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ATR 72

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』

ATR 72

ATR 72はフランスとイタリアの航空機こうくうきメーカーATRが製造せいぞうするターボプロップ双発そうはつ旅客機りょかくきである。ATR 42のストレッチ型がたで積載せきさい量りょうが増加ぞうかしている。1988年ねんに初はつ飛行ひこう。現在げんざいも開発かいはつが続つづけられている。

開発かいはつ

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ATR 72-500の機内きない

機体きたい胴どう部ぶを4.5メートルとATR 42よりも翼つばさ幅はばを延長えんちょうし、より強力きょうりょくなエンジンを搭載とうさいした。また、燃料ねんりょう積載せきさい量りょうを約やく10パーセント増ふやした。1985年ねんにパリ航空こうくうショーで発表はっぴょうされ、翌年よくねんの1986年ねんに試作しさく機き3機きが完成かんせいした。それぞれ、1988年ねん10月がつ27日にち、同年どうねん12月がつ20日はつか、1989年ねん4月がつに初はつ飛行ひこうを行おこなった[2]。

ATR 42の拡大かくだい型がたであるため、基本きほん構造こうぞうは同おなじであり、高こう翼つばさ配置はいちの後退こうたい角かくのない主翼しゅよくを持もつ。アスペクト比ひは11と高たかく、細長ほそながい主翼しゅよくを持もち、二に重じゅう隙間すきまフラップを有ゆうする。T字じ尾翼びよくを持もち、主しゅ脚あしは胴体どうたい側がわ下面かめんのバルジ内ないに収おさめる。真ま円えんの胴体どうたい形状けいじょうで与あずか圧あつに配慮はいりょしている。

1996年ねん1月がつにATR 72-500が初はつ飛行ひこう。エンジン出力しゅつりょくの向上こうじょうなどの改良かいりょうが続つづけられているほか、ATR 72-500ではプロペラに6枚まい翅のものが採用さいようされ、騒音そうおんと振動しんどうが軽減けいげん、快適かいてき性せいが向上こうじょうしている。ATRは、国際こくさい民間みんかん航空こうくう機関きかん (ICAO) の騒音そうおん基準きじゅんを下回したまわっていると発表はっぴょうした。

2002年ねん7月がつには、ATR 72の貨物かもつ専用せんよう機きがファーンボロー国際こくさい航空こうくうショーで公開こうかいされた。ATR 72の前部ぜんぶハッチは貨物かもつドアで、オプションでさらに大型おおがたのドアを装備そうびできるため、既存きそんのATR 72を貨物かもつ機きに改装かいそうすることも可能かのうである[1]。発注はっちゅう以前いぜんに機体きたい前部ぜんぶに格納かくのうスペースを4.6 m3から5.8 m3にかけて構成こうせいすることができるが、何なん十じゅう機きかは前部ぜんぶハッチを乗降じょうこうドアにしている[3]。

運用うんよう者しゃ

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民間みんかん型がた

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Air DolomitiのATR 72-500
フライビー・ノルディック航空こうくうのATR 72-500

1986年ねんにフィンランド航空こうくうがローンチカスタマーとなり、1号機ごうきが1989年ねん10月がつ27日にちに納入のうにゅうされた。1997年ねん7月がつには、ATR 72-500の1号機ごうきがアメリカン・イーグル航空こうくう（現げん・エンヴォイ・エア）に納入のうにゅうされた。

1995年ねんの時点じてんで163機きのATR 72が発注はっちゅうされ、そのうち149機きが納入のうにゅうされた。1998年ねん3月がつにはATR 72の通算つうさん200機き目めが生産せいさんされ、新しん疆航空こうくうに納入のうにゅうされた。2004年ねん11月にはATR 72の通算つうさん300機き目めをニュージーランド航空こうくうに納入のうにゅう。

競合きょうごう機きとなるデ・ハビランド・カナダ DHC-8（ボンバルディア）やリージョナルジェットと比くらべ、低てい騒音そうおん、低てい燃費ねんぴ、機体きたい価格かかくの安やすさをセールスポイントとしている。2007年ねんに日本にっぽんの小型こがた旅客機りょかくき市場いちばへの参入さんにゅうを表明ひょうめいし、伊藤忠商事いとうちゅうしょうじの子会社こがいしゃを販売はんばい代理だいり店てんとするなど日本にっぽんでの販売はんばい体制たいせいを整備せいびしている[4]。

日本にっぽんでは、スターフライヤーと航空こうくう運送うんそう事業じぎょうの立たち上あげ支援しえんについて基本きほん合意ごういを締結ていけつし、2012年ねん4月がつに設立せつりつされた地域ちいき航空こうくう会社かいしゃリンクが、2013年ねん秋あきに日本にっぽんで初はじめてATR 72-600型がた機きを3機き導入どうにゅうする予定よていで[5][6]、同年どうねん10月28日にちに国土こくど交通省こうつうしょうがATR 72の型式けいしき証明しょうめい書しょを交付こうふした[7]が、リンクの倒産とうさんにより就航しゅうこう計画けいかくは立たち消ぎえとなり、受領じゅりょうは行おこなわれなかった。

2018年ねん6月5日にち、日本にほんエアコミューターがATR 42-600の発注はっちゅう分ぶんの1機きをATR 72-600に変更へんこうすることがATR・日本にほんエアコミューター双方そうほうから発表はっぴょうされ[8]、2018年ねんに受領じゅりょう就航しゅうこうし、2019年ねんに追加ついかでもう1機き導入どうにゅうされた。

2020年ねん9月がつ、前述ぜんじゅつのリンクと同様どうようなリージョナルLCCであるトキエアが、ATR 72-600を2機きリース導入どうにゅうする契約けいやくを締結ていけつ[9]。2022年ねん10月がつに1号機ごうき[10]、2023年ねん1月がつに2号機ごうきが納入のうにゅう[11]。2号機ごうきは旅客りょかく定員ていいん72席せきを44席せきに減へらして貨物かもつ搭載とうさい量りょうを1,400 kg増ふやすことができるカーゴフレックス対応たいおう型がたである[11]。

軍事ぐんじ型がた

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タイプ

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ATR 72-212 (B&H Airlines)
P-72A（ATR 72ASW）
ATR 72-100
初はつ量産りょうさん型がた。プラット・アンド・ホイットニー・カナダ製せいPW124Bエンジン (2,400 shp) を搭載とうさい。派生はせい型がたとして、ATR 72-101とATR 72-102がある。
ATR 72-200
ATR 72-100と同おなじくPW124Bエンジンを搭載とうさい。最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうを増加ぞうかさせた。ATR 72-201とATR 72-202がある。
ATR 72-210
PW127エンジン (2,750 shp) へ換かわ装そう。高こう高度こうどおよび熱ねつへの耐たい性せいを向上こうじょうさせた。1992年ねんに認証にんしょうを得えた。ATR 72-211とATR 72-212がある。
ATR 72-500
搭載とうさい量りょうを増大ぞうだいし、離着陸りちゃくりく性能せいのうと操縦そうじゅう性せいを向上こうじょうさせた。エンジンはPW127Fへ換かわ装そう。かつてATR 72-210Aと呼よばれていた。
ATR 72-600
2007年ねん10月がつに発表はっぴょうされ、2010年ねんから導入どうにゅうされるシリーズ。エンジンをPW127Mへ換かわ装そうし、液晶えきしょう画面がめんへの交換こうかんによるグラスコックピット化かがなされた。
ATR 72-600F
-600の貨物かもつ型がたであり、2017年ねんにフェデックス・エクスプレスが計けい50機き（確定かくてい30機きとオプション20機き）を発注はっちゅうした[13]。初号しょごう機きは2020年ねんに予定よていどおり納入のうにゅうされた[14]。
ATR 72ASW
レオナルド S.p.Aが72-600をベースに開発かいはつ中ちゅうの哨戒しょうかい機き[15]。イタリアとトルコ[16]が採用さいようしている。イタリアでの名称めいしょうはP-72A。

スペック

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ATR 72-200 ATR 72-210 ATR 72-500 ATR 72-600 ATR 72-600F
運航うんこう乗務じょうむ員いん 2人ふたり
座席ざせき数すう 66席せき（標準ひょうじゅん） 68席せき（標準ひょうじゅん） 72席せき（標準ひょうじゅん）
全長ぜんちょう 27.166 m (89 ft 1.5 in)
全幅ぜんぷく 27.050 m (88 ft 9.0 in)
全ぜん高こう 7.65 m (25 ft 1 in)
翼つばさ面積めんせき 61 m2 (660 sq ft)
主翼しゅよくアスペクト比ひ 12
ホイールベース 10.77 m (35 ft 4 in)
キャビン長ちょう
自重じちょう 13,000 kg (29,000 lb) 13,500 kg (29,800 lb) 13,600 kg (30,000 lb) 11,800 kg (26,000 lb)
最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう
(MTOW) 		21,500 kg (47,400 lb) 22,000 kg (49,000 lb) 23,000 kg (51,000 lb)
ペイロード 7,000 kg (15,000 lb) 7,400 kg (16,300 lb) 7,930 kg (17,480 lb)
巡航じゅんこう速度そくど 515 km/h (278 kn) 517 km/h (279 kn) 510 km/h (280 kn) 500 km/h (270 kn)
航続こうぞく距離きょり 1,596 km (862 nmi) 1,465 km (791 nmi) 1,430 km (772 nmi) 1,370 km (740 nmi) 1,910 km (1,030 nmi)
離陸りりく滑走かっそう距離きょり
（最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう時じ） 		1,409 m (4,623 ft) 1,211 m (3,973 ft) 1,224 m (4,016 ft) 1,315 m (4,314 ft)
着陸ちゃくりく滑走かっそう距離きょり
（最大さいだい着陸ちゃくりく重量じゅうりょう時じ） 		1,036 m (3,399 ft) 902 m (2,959 ft) 899 m (2,949 ft) 915 m (3,002 ft)
最大さいだい燃料ねんりょう容量ようりょう 5,000 kg (11,000 lb)
実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど 7,600 m (24,900 ft)
エンジン (×2) PW124B PW127 PW127F/M PW127XT-M
出典しゅってん [17] [18] [19] [20] [21]
ATR 72の三面さんめん図ず
ATR 72-500

事故じこ

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着陸ちゃくりくに失敗しっぱいしたアメリカン・イーグル5401便びん

脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ a b “ATR 72, deagel.com”. Guide to Military Equipment and Civil Aviation. 2009年ねん5月がつ12日にち閲覧えつらん。
  2. ^ JANE'S ALL THE WORLD'S AIRCRAFT 1995-96 p.158 1995-09-22
  3. ^ “First Generation Aircraft - Products - ATR”. ATR. 2009年ねん5月がつ11日にち閲覧えつらん。
  4. ^ 白壁しらかべ達たち久ひさ. “小型こがた旅客機りょかくきの“価格かかく破壊はかい者しゃ”：仏ふつATR参入さんにゅうで、国産こくさんジェットに新あらたな不安ふあん”. 日経にっけいビジネス (2007年ねん7月がつ16日にち): 14. 
  5. ^ “新しん航空こうくう会社かいしゃリンク、ATR72を日本にっぽん初はつ導入どうにゅう　上場じょうじょう視野しやに”. Aviation Wire. 2012年ねん10月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  6. ^ “ATR enters the Japanese market”. ATR. 2012年ねん10月がつ9日にち閲覧えつらん。
  7. ^ “国交こっこう省しょう、ATR72に型式けいしき証明しょうめい交付こうふ　リンクが14年ねん春はる運航うんこうへ”. Aviation Wire. 2013年ねん10月がつ29日にち閲覧えつらん。
  8. ^ 『ATR 72-600 日本にっぽんでの就航しゅうこう決定けってい』（PDF）（プレスリリース）日本にほんエアコミューター、2018年ねん6月がつ5日にち。http://www.jac.co.jp/pressrelease/pdf/ATR72%20PRESS.pdf。2018年ねん6月がつ9日にち閲覧えつらん。 
  9. ^ 航空機こうくうき（ATR72-600）のリース契約けいやくを締結ていけつしました
  10. ^ 『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん』2022年ねん10月がつ10日とおか。2023年ねん2月がつ26日にち閲覧えつらん。
  11. ^ a b Tadayuki YOSHIKAWA「トキエア、那な覇はに2号機ごうき到着とうちゃく　初はつのカーゴフレックス仕様しよう」『Aviation Wire』2023年ねん1月がつ18日にち。2023年ねん1月がつ22日にち閲覧えつらん。
  12. ^ 井上いのうえ孝司たかし「航空こうくう最新さいしんニュース・海外かいがい軍事ぐんじ航空こうくう パキスタン海軍かいぐんの哨戒しょうかい機きATR72の2号機ごうきを納入のうにゅう」『航空こうくうファン』通巻つうかん802号ごう（2019年ねん10月がつ号ごう）文ぶん林堂はやしどう P.116
  13. ^ "FedEx Express buys up to 50 new ATR 72-600F freighters Wednesday" (Press release). ATR. 8 November 2017. 2017年ねん11月8日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2017年ねん11月8日にち閲覧えつらん。
  14. ^ Thierry Dubois (2019年ねん2月がつ4日にち). “ATR Maintains Its Low-Risk Strategy”. Aviation Week & Space Technology. http://aviationweek.com/commercial-aviation/atr-maintains-its-low-risk-strategy 
  15. ^ ATR 72ASW - DETAIL - Leonardo - Aerospace, Defence and Security
  16. ^ “Turkish Navy Completes Acceptance Tests for Third ATR-72 Maritime Patrol Aircraft”. DEFENSE WORLD.NET (2021年ねん7月がつ10日とおか). 2021年ねん10月がつ23日にち閲覧えつらん。
  17. ^ ATR 72-200 - ATR Aircraft
  18. ^ ATR 72-210 - ATR Aircraft
  19. ^ ATR 72-500 - ATR Aricraft
  20. ^ ATR 72-600 - ATR Aircraft
  21. ^ ATR 72-600F - ATR Aircraft

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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ウィキメディア・コモンズには、ATR 72に関連かんれんするメディアおよびカテゴリがあります。
ウィキニュースに関連かんれん記事きじがあります。
  • “航空機こうくうきファミリー”. ATR. 2024年ねん1月がつ21日にち閲覧えつらん。 - ATR（日本語にほんご）
  • “ATR42/72の概要がいよう” (pdf). 2024年ねん1月がつ21日にち閲覧えつらん。 - 財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん航空機こうくうき開発かいはつ協会きょうかい（日本語にほんご）
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