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酵素こうそA

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CoAから転送てんそう
酵素こうそA
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識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 85-61-0 チェック
PubChem 6816
ChemSpider 6557 チェック
UNII SAA04E81UX チェック
KEGG C00010
MeSH Coenzyme+A
特性とくせい
化学かがくしき C21H36N7O16P3S
モル質量しつりょう 767.535 g/mol
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

酵素こうそA(ほこうそA、コエンザイムA あるいは CoA)は、生物せいぶつにとってきわめて重要じゅうよう酵素こうそじょ酵素こうそ)である。パントテンさんアデノシンリンさん、およびシステアミンから構成こうせいされており、化学かがくしきはC21H36P3N7O16S、分子ぶんしりょうは767.5 g/molである。

末端まったんにあるチオールもと様々さまざま化合かごうぶつアシルもとチオエステル結合けつごうすることによってクエン酸くえんさん回路かいろβべーた酸化さんかなどの代謝たいしゃ反応はんのうかかわる。たとえばアセチルもと結合けつごうしたものはアセチルCoAである。そのにもおおくの酵素こうそAのチオエステル化合かごうぶつがある。

1945ねんピルビンさんからクエン酸くえんさん回路かいろはい過程かていなかあいだたい活性かっせい酢酸さくさん」(アセチルCoA)としてリップマンによって発見はっけんされた。この業績ぎょうせきにより、かれは1953ねんにノーベルしょう受賞じゅしょうした。なお、同年どうねん一緒いっしょ授賞じゅしょうしたクレブスは、1937ねんクエン酸くえんさん回路かいろ完成かんせいしたことで有名ゆうめいである。しかし、1937ねん当時とうじ酵素こうそAはまだられておらず、中間ちゅうかん代謝たいしゃ研究けんきゅうにおけるリップマンの業績ぎょうせき非常ひじょうおおきいといえる。

生体せいたいないでの動作どうさ

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アセチルCoAは様々さまざま経路けいろによって生産せいさんされる。もっと代表だいひょうてきなものはかいとうけい(EM経路けいろ)で、ピルビンさん原料げんりょうとし、ピルビンさんデヒドロゲナーゼふく合体がったいはたらきによって生成せいせいする。そのにも脂肪酸しぼうさん代謝たいしゃや、アミノ酸あみのさん異化いかによっても生成せいせいする。また、一部いちぶ嫌気いやけせい微生物びせいぶつ二酸化炭素にさんかたんそ水素すいそ反応はんのうさせることによってつくす。この経路けいろはアセチルCoA経路けいろばれる。ほとんどのなま合成ごうせい経路けいろ関連かんれんする、もっと重要じゅうよう化合かごうぶつといっても過言かごんではない。クエン酸くえんさんシンターゼによってオキサロ酢酸さくさん反応はんのうしてクエン酸くえんさんとなりクエン酸くえんさん回路かいろまれる。また、アセチルCoAチオラーゼはたらきによりアセトアセチルCoAとなってメバロンさん経路けいろ出発しゅっぱつ物質ぶっしつとなる。また、マロニルCoAとともに酢酸さくさん-マロンさん経路けいろとも関連かんれんしている。

酵素こうそAのおもな誘導体ゆうどうたい

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アセトアセチルCoA
アセチルもとがアセチルCoAに結合けつごうしたもので、チオラーゼが触媒しょくばいするアセチルCoA 2分子ぶんしちぢみあい反応はんのうによって生成せいせいする。テルペノイド合成ごうせいメバロンさん経路けいろおよβべーた酸化さんか最終さいしゅう段階だんかいあらわれる。詳細しょうさいについてはかくなま合成ごうせい経路けいろ参照さんしょうのこと。
カフェオイルCoA
コーヒーさん酵素こうそAからなる。リグニンせい合成ごうせいかかわる物質ぶっしつひとつで、trans-コーヒーさんから4-クマルさんリガーゼのはたらきによって生成せいせいする。キナさん O-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼによりクロロゲンさん生成せいせい。また、シンナモイルCoAレダクターゼによりコーヒーアルデヒドができる。
クマロイルCoA(4-クマロイルCoA
p-クマルさん(4-ヒドロキシケイがわさん)と酵素こうそAがちぢみあわしたものであり、フェルロイルCoA、シンナモイルCoA、シナポイルCoAおよびカフェオイルCoAとともにフェニルプロパノイド/リグナン合成ごうせいなかあいだたいであり、フラボノイドなま合成ごうせい出発しゅっぱつ物質ぶっしつでもある。トリヒドロキシスチルベンシンテターゼによってトリヒドロキシスチルベンとなり、シンナモイルCoAレダクターゼにより、クマリルアルデヒドとなる。
グルタリルCoA
グルタルさん酵素こうそAのちぢみあい化合かごうぶつリシンおよびトリプトファン分解ぶんかいともなって生成せいせいする2-オキソアジピンさん酵素こうそAが2-オキソアジピンさんデヒドロゲナーゼによってちぢみあわして生成せいせいする。あるいは、グルタルさん-CoAリガーゼによるちぢみあい反応はんのうによってできる。グルタリルCoAレダクターゼによってクロトニルCoAとなる。
クロトニルCoA
クロトンさんとのチオエステル化合かごうぶつ。トリプトファンおよびリシン代謝たいしゃなかあいだたいとして、グルタリルCoAがグルタリルCoAレダクターゼによって還元かんげんされて生成せいせいする。これはさらにエノイルCoAヒドラーゼによる還元かんげんけ、3-ヒドロキシブタノイルCoAとなり、最終さいしゅうてきにはかいとうけいれられる。
シナポイルCoA
4-クマルさん-CoAリガーゼによってシナップさんとCoAのチオエステル化合かごうぶつで、ケイがわさんなどともにリグニンせい合成ごうせい関連かんれんする化合かごうぶつ。シンナモイルCoAレダクターゼによってシナポイルアルデヒドとなる。さらにこの化合かごうぶつ還元かんげんされてシナポイルアルコールとなり、リグニンの直接ちょくせつ原料げんりょうとなる。
シンナモイルCoA
ケイがわさん酵素こうそAから4-クマルさん-CoAリガーゼにより生成せいせいする。リグニン合成ごうせい関連かんれんする化合かごうぶつ一種いっしゅである。シンナモイルCoAレダクターゼにより還元かんげんされてシナミルアルデヒドとなるほか、ピノシルビンシンテターゼによりピノシルビンとなる。
スクシニルCoA(サクシニルCoA)
コハクさん酵素こうそAのチオエステル化合かごうぶつで、クエン酸くえんさん回路かいろ構成こうせいする化合かごうぶつの1つである。これは2-オキソグルタルさん酵素こうそAが2-オキソグルタルさんデヒドロゲナーゼによって反応はんのうしてできる化合かごうぶつで、スクシニルCoAシンテターゼにより、コハクさんとなる。この化合かごうぶつ重要じゅうよう役割やくわりクエン酸くえんさん回路かいろなかあいだたいであるということだけでなく、クエン酸くえんさん回路かいろ反応はんのう調節ちょうせつするてんにある。スクシニルCoAによってクエン酸くえんさんシンターゼおよび2-オキソグルタルさんデヒドロゲナーゼがアロステリック効果こうかにより阻害そがいけるのである。スクシニルCoAは脂肪酸しぼうさん代謝たいしゃでも重要じゅうよう役割やくわりたす。脂肪酸しぼうさん代謝たいしゃにおいて、偶数ぐうすう炭素たんそゆうする脂肪酸しぼうさんβべーた酸化さんかによりアセチルCoA単位たんい分割ぶんかつされてクエン酸くえんさん回路かいろまれるが、すう炭素たんそゆうする脂肪酸しぼうさん最後さいごにプロピオニルCoAがのこってしまう(プロピオニルCoAはアミノ酸あみのさん代謝たいしゃによっても生成せいせいする)。これを代謝たいしゃするためにプロピオニルCoAは特殊とくしゅ酸化さんかける。すなわち、プロピオニルCoAカルボキシラーゼによって2炭素たんそがカルボキシルし、D-メチルマロニルCoAとなる。さらにこれはメチルマロニルCoAラセマーゼによりラセミし、L-メチルマロニルCoAとなる。これがメチルマロニルCoAムターゼにより異性いせいし、スクシニルCoAとなったうえクエン酸くえんさん回路かいろまれるのである。
3-ヒドロキシブタノイルCoA
トリプトファンおよびリシンの分解ぶんかいなかあいだたいである化合かごうぶつで、形式けいしきてきには3-ヒドロキシ酪酸酵素こうそAのチオエステル化合かごうぶつ生体せいたいないではクロトニルCoAがエノイルCoAヒドラーゼによって水素すいそされることにより生成せいせいする。3-ヒドロキシアシルデヒドロゲナーゼによってアセトアセチルCoAとなる。
ヒドロキシメチルグルタリルCoA
略称りゃくしょうHMG-CoAられている。アセトアセチルCoAがHMG-CoAシンテターゼによって還元かんげんされて生成せいせいする。メバロンさん回路かいろ中心ちゅうしんてき化合かごうぶつであり、HMG-CoAレダクターゼによってメバロンさんとなる反応はんのうテルペノイド/ステロイド/カロテノイド合成ごうせいりつそく反応はんのうである。そのため、英語えいごではメバロンさん経路けいろをHMG-CoA経路けいろんでいる。
フェルロイルCoA
フェルラさん(3-メトキシ-4-ヒドロキシケイがわさん)と酵素こうそAのちぢみあい化合かごうぶつ。フェルラから4-クマルさん-CoAリガーゼによって生成せいせいする経路けいろと、カフェオイルCoAからカフェオイル-CoA Oレダクターゼによって生成せいせいする経路けいろがある。シンナモイルCoAレダクターゼにより、コニフェリルアルデヒドとなる。
プロピオニルCoA
プロピオンさん酵素こうそAのチオエステル化合かごうぶつ奇数きすう炭素たんそくさり脂肪酸しぼうさんバリンロイシンイソロイシンおよβべーた-アラニン分解ぶんかいによって生成せいせいする、中間なかまたい直接ちょくせつにはアクリロイルCoAがアシルCoAデヒドロゲナーゼによって生成せいせいする。プロピオニルCoAカルボキシラーゼによりカルボキシルされ、メチルマロニルCoAとなったのち、いくつかの反応はんのうけてスクシニルCoAとなり、クエン酸くえんさん回路かいろまれる。
マロニルCoA
マロンさん酵素こうそAのチオエステル化合かごうぶつである。酢酸さくさん-マロンさん経路けいろおよ脂肪酸しぼうさん合成ごうせいでみられる。酢酸さくさん-マロンさん経路けいろではアセチルCoAとちぢみあい反応はんのうをすることにより、ポリケチド芳香ほうこうぞく化合かごうぶつなま合成ごうせい基質きしつとなる。また、脂肪酸しぼうさん合成ごうせいではアセチルCoAがアセチルCoAカルボキシラーゼによってマロニルCoAとなる。これはATPを消費しょうひする吸エルゴン反応はんのう脂肪酸しぼうさん合成ごうせいりつそく段階だんかいである。また、この反応はんのうにはビオチンが必須ひっすである。このマロニルCoAはアシルキャリヤータンパクしつ (ACP) と結合けつごうしてアセチルもと付加ふかされるなどして炭素たんそくさり延長えんちょうされ、脂肪酸しぼうさんとなる(詳細しょうさい脂肪酸しぼうさん参照さんしょう)。

関連かんれん項目こうもく

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