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HD 140283

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
HD 140283[1]
星座せいざ てんびん[2]
かけの等級とうきゅう (mv) 7.205 ± 0.020[3]
分類ぶんるい 恒星こうせい
てい金属きんぞくぼし
位置いち
もと:J2000.0[1]
あかけい (RA, αあるふぁ)  15h 43m 03.0967798658s[1]
あかぬき (Dec, δでるた) −10° 56′ 00.595803430″[1]
あか方偏かたへんうつり -0.000568[1]
視線しせん速度そくど (Rv) -170.37 km/s[1]
固有こゆう運動うんどう (μみゅー) あかけい: -1114.869 ミリびょう/とし[1]
あかぬき: -303.574 ミリびょう/とし[1]
とししゅう視差しさ (πぱい) 16.1140 ± 0.0720ミリびょう[1]
誤差ごさ0.4%)
距離きょり 202.4 ± 0.9 光年こうねん[ちゅう 1]
(62.1 ± 0.3 パーセク[ちゅう 1]
絶対ぜったい等級とうきゅう (MV) 3.377 ± 0.027[3]
3.2[ちゅう 2]
物理ぶつりてき性質せいしつ
半径はんけい 2.04 ± 0.04 R[4]
質量しつりょう 0.775 ± 0.005 Mまたは
0.800 ± 0.005 M[5]
スペクトル分類ぶんるい F9VkA5mA1[1]
光度こうど 4.82 ± 0.27 L[4]
表面ひょうめん温度おんど 5787 ± 48 K[4]
いろ指数しすう (B-V) 0.506 ± 0.020[3]
金属きんぞくりょう[Fe/H] -2.40 ± 0.10[3]
年齢ねんれい 144.6 ± 8.0 おくねん[3][5]
カタログでの名称めいしょう
GJ 1195[1]
Gaia DR2 6268770373590148224[1]
HIP 76976[1]
NSV 7210[1]
SAO 159459[1]
TYC 5601-694-1[1]
2MASS J15430307-1056009[1]
Methuselah star[2]
Template (ノート 解説かいせつ■Project

HD 140283は、地球ちきゅうからてんびん方向ほうこうやく200光年こうねんはなれた位置いちにある恒星こうせいである。そのきわめてすくない金属きんぞくりょうから、宇宙うちゅう年齢ねんれい(137.2 ± 1.2おくねん)に匹敵ひってきするか、宇宙うちゅうそのものより歴史れきしふるかんがえられている天体てんたいとしてられる[2][3]

物理ぶつりてき特徴とくちょう年齢ねんれい

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ウィルソンやま天文台てんもんだいにある世界せかい最大さいだいきゅうひかりあかがい干渉かんしょうけい「CHARA」を使つかった2018ねん研究けんきゅうでは、表面ひょうめん温度おんど太陽たいよう (5772 K)にくらべてわずかにたかい5787K半径はんけい太陽たいようの2.04ばい光度こうどは4.82ばい程度ていど推測すいそくされている[4]

HD 140283は固有こゆう運動うんどう非常ひじょうおおきいため、元々もともとそらかわ銀河ぎんがぞくしていた天体てんたいではなく、そらかわ銀河ぎんが吸収きゅうしゅうされた矮小わいしょう銀河ぎんが誕生たんじょうしたものとかんがえられている[2]

HD 140283は、てつ水素すいそ存在そんざい ([Fe/H]) であらわされる金属きんぞくりょうが-2.40(太陽たいようやく0.4%)とひくてい金属きんぞくぼしである[3]微量びりょうながらも金属きんぞくふくんでいるため、種族しゅぞくIII(宇宙うちゅう最初さいしょビッグバン原子核げんしかく合成ごうせい生成せいせいされる水素すいそヘリウムのみで構成こうせいされ、金属きんぞくまったふくんでいない)の恒星こうせいには該当がいとうせず[2]種族しゅぞくII(すでべつ恒星こうせい超新星ちょうしんせい爆発ばくはつこし、それによってしょうじたじゅう元素げんそで「汚染おせん」されている)に分類ぶんるいされる[2]年齢ねんれいは136おく6000まんねんから152おく6000まんねん推定すいていされている。これは不確ふたしかさがおおきいものの、それまででもっとふる恒星こうせいであったHE 1523-0901の132おくねん[6]よりふるい。これはプランク観測かんそく結果けっかから推定すいていされる宇宙うちゅう年齢ねんれい(137.99 ± 0.21おくねん)と矛盾むじゅんする可能かのうせいがある[2][3]。また年齢ねんれいではなく時代じだいかんがえると、133おく6000まんねんまえ天体てんたいであるUDFj-39546284[7]や、133おくねんまえ天体てんたいであるMACS0647-JD[8]くらべてもふるい。NASAは「メトシェラぼし (Methuselah star)」というあだんでおり[2]、これは旧約きゅうやく聖書せいしょもっと長寿ちょうじゅ人物じんぶつであるメトシェラちなんでいる。

HD 140283の年齢ねんれいは、恒星こうせいふくまれる金属きんぞくりょう表面ひょうめん温度おんどからまず144おく6000まんねんとされた。それのみでのかくかさは3おく1000まんねんである。さらにいくつかの不確ふたしかさを導入どうにゅうすると、年齢ねんれい不確ふたしかさは8おく0000まんねんとなった。不確ふたしかさのおおきくなったのは、とく酸素さんそりょう不確ふたしかさに起因きいんする[3]。これらのは、2000ねん段階だんかい算出さんしゅつされた「すくなくとも140おくねんであり最大さいだいでも160おくねん」という年齢ねんれい[2][9]2002ねん段階だんかい算出さんしゅつされた「120おくねんから150おくねん[3]という年齢ねんれいよりも改善かいぜんされている。

HD 140283の年齢ねんれいかくかさ要素ようそ[3]
要素ようそ かくかさ
おくねん
とししゅう視差しさ (mas/とし) 17.15 ± 0.14 ±2.1
等級とうきゅう (等級とうきゅう) 7.205 ± 0.02 ±2.3
E(B - V) 0.000 ± 0.002 ±0.6
表面ひょうめん温度おんど (K) 5777 ± 55 ±3.5
金属きんぞくりょう [Fe/H] -2.40 ± 0.10 ±1.0
酸素さんそりょう [O/H] -1.67 ± 0.15 ±6.1
窒素ちっそりょう (solar log N) 8.69 ± 0.05 ±2.0
合計ごうけいかくかさ ±8.0

HD 140283の年齢ねんれいさら不確ふたしかさをげること可能かのうである。とく酸素さんそりょう予想よそうよりたかいため、宇宙うちゅう存在そんざいする酸素さんそりょう比較ひかくすれば、HD 140283の年齢ねんれいげ、おそらく宇宙うちゅう年齢ねんれい以下いかにすることが可能かのうである[2]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ とししゅう視差しさびょう)より計算けいさん光年こうねんは1÷とししゅう視差しさびょう)×3.2615638より計算けいさん
  2. ^ 等級とうきゅう + 5 + 5×log(とししゅう視差しさびょう))より計算けいさん小数しょうすうだい1まで表記ひょうき

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q HD 140283 -- Variable Star”. SIMBAD. CDS. 2019ねん5がつ13にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j "Hubble Finds Birth Certificate of Oldest Known Star". HubbleSite (Press release). アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく. 7 March 2013.
  3. ^ a b c d e f g h i j k Bond, Howard E. et al. (2013). “HD 140283: A Star in the Solar Neighborhood that Formed Shortly After the Big Bang”. The Astrophysical Journal 765 (1): L12. arXiv:1302.3180. Bibcode2013ApJ...765L..12B. doi:10.1088/2041-8205/765/1/L12. ISSN 2041-8205. 
  4. ^ a b c d Karovicova, I et al. (2018). “Accurate effective temperatures of the metal-poor benchmark stars HD 140283, HD 122563, and HD 103095 from CHARA interferometry”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society: Letters 475 (1): L81-L85. arXiv:1801.03274. Bibcode2018MNRAS.475L..81K. doi:10.1093/mnrasl/sly010. ISSN 1745-3925. 
  5. ^ a b Creevey, O. L. et al. (2015). “Benchmark stars forGaiaFundamental properties of the Population II star HD 140283 from interferometric, spectroscopic, and photometric data”. Astronomy & Astrophysics 575: A26. arXiv:1410.4780. Bibcode2015A&A...575A..26C. doi:10.1051/0004-6361/201424310. ISSN 0004-6361. 
  6. ^ Frebel, Anna et al. (2007). “Discovery of HE 1523-0901, a Stronglyr-Process-enhanced Metal-poor Star with Detected Uranium”. The Astrophysical Journal 660 (2): L117-L120. arXiv:astro-ph/0703414. Bibcode2007ApJ...660L.117F. doi:10.1086/518122. ISSN 0004-637X. 
  7. ^ Ellis, Richard S. et al. (2013). “The Abundance of Star-forming Galaxies in the Redshift Range 8.5-12: New Results from the 2012 Hubble Ultra Deep Field Campaign”. The Astrophysical Journal 763 (1): L7. arXiv:1211.6804. Bibcode2013ApJ...763L...7E. doi:10.1088/2041-8205/763/1/L7. ISSN 2041-8205. 
  8. ^ Coe, Dan et al. (2013). “CLASH: Three Strongly Lensed Images of a Candidate z ≈ 11 Galaxy”. The Astrophysical Journal 762 (1): 32. arXiv:1211.3663. Bibcode2013ApJ...762...32C. doi:10.1088/0004-637X/762/1/32. ISSN 0004-637X. 
  9. ^ VandenBerg, Don A. (2000). “Models for Old, Metal‐Poor Stars with Enhanced αあるふぁ‐Element Abundances. II. Their Implications for the Ages of the Galaxy’s Globular Clusters and Field Halo Stars”. The Astrophysical Journal Supplement Series 129 (1): 315-352. Bibcode2000ApJS..129..315V. doi:10.1086/313404. ISSN 0067-0049. 

関連かんれん項目こうもく

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座標ざひょう: 星図 15h 43m 03.09706s, −10° 56′ 00.6036″