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HD 63433

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
HD 63433
星座せいざ ふたご座ざ
見みかけの等級とうきゅう (mv) 6.91[1]
変光星へんこうせい型がた りゅう座ざBY型がた変光星へんこうせい[1][2]
分類ぶんるい G型かた主ぬし系列けいれつ星ぼし[1]
位置いち
元もと期き:J2000.0[1]
赤あか経けい (RA, αあるふぁ)  07h 49m 55.0606576176s[1]
赤あか緯ぬき (Dec, δでるた) +27° 21′ 47.457467316″[1]
赤あか方偏かたへん移うつり -0.000053[1]
視線しせん速度そくど (Rv) -15.856 km/s[1]
固有こゆう運動うんどう (μみゅー) 赤あか経けい: -10.220 ミリ秒びょう/年とし[1]
赤あか緯ぬき: -11.235 ミリ秒びょう/年とし[1]
年とし周しゅう視差しさ (πぱい) 44.6848 ± 0.0228ミリ秒びょう[1]
（誤差ごさ0.1%）
距離きょり 72.99 ± 0.04 光年こうねん[注ちゅう 1]
（22.38 ± 0.01 パーセク[注ちゅう 1]）
軌道きどう要素ようそと性質せいしつ
惑星わくせいの数かず 3
物理ぶつり的てき性質せいしつ
半径はんけい 0.912 ± 0.034 R☉[3]
質量しつりょう 0.99 ± 0.03 M☉[3]
平均へいきん密度みつど 1.3 ± 0.15 ρろー☉[3]
表面ひょうめん重力じゅうりょく (log g) 4.52 ± 0.05[4]
自転じてん速度そくど 7.26 ± 0.15 km/s[5]
自転じてん周期しゅうき 6.45 ± 0.05 日にち[3]
スペクトル分類ぶんるい G5V[1][6]
光度こうど 0.75 ± 0.03 L☉[3]
有効ゆうこう温度おんど (Teff) 5,688 ± 28 K[4]
金属きんぞく量りょう[Fe/H] 0.03 ± 0.05[4]
年齢ねんれい 4.14 ± 0.23 億おく年ねん[3][7]
他たのカタログでの名称めいしょう
ふたご座ざV377星ほし[1]
BD+27 1490[1]
GSC 01933-00747[1]
HIP 38228[1]
SAO 79729[1]
TIC 130181866[1]
TOI-1726[1]
TYC 1933-747-1[1]
2MASS J07495506+2721473[1]
■Template （■ノート ■解説かいせつ） ■Project

HD 63433 は、地球ちきゅうからふたご座ざの方向ほうこうに約やく73光年こうねん離はなれた位置いちにある7等級とうきゅうの恒星こうせいである。2024年ねん初頭しょとう時点じてんで、3個この太陽系たいようけい外がい惑星わくせいが周囲しゅういを公転こうてんしていることが知しられている[8]。

特徴とくちょう

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大おおきさの比較ひかく
太陽たいよう HD 63433
太陽 Exoplanet

HD 63433 は、太陽たいようよりやや小ちいさい半径はんけいと質量しつりょうを持もつ恒星こうせいである[3]。有効ゆうこう温度おんどは太陽たいようよりやや低ひくい 5,688 K（5,415 ℃）であり[4]、スペクトル分類ぶんるいでは G5V 型がたに分類ぶんるいされるG型かた主ぬし系列けいれつ星ぼしとなっている[1][6]。一方いっぽうで、主しゅ系列けいれつ星ぼしではなく準じゅん巨星きょせいの段階だんかいにあるとして G5IV 型がたに分類ぶんるいされることもあり[9]、以前いぜんは G0 型がたに分類ぶんるいされることもあった[10][11]。ガイア衛星えいせいとTESSによる観測かんそく結果けっかから解析かいせきされた宇宙うちゅう空間くうかんにおける運動うんどうやリチウムの含有がんゆう量りょう、自転じてん速度そくどなどの観点かんてんから、HD 63433 はおおぐま座ざ運動うんどう星団せいだんに属ぞくする恒星こうせいであることが知しられている[3]。おおぐま座ざ運動うんどう星団せいだんに属ぞくする恒星こうせいは比較的ひかくてき若わかく、形成けいせいされてから約やく4億おく年ねんしか経過けいかしていないと考かんがえられており[7]、この運動うんどう星団せいだんに属ぞくする HD 63433 も形成けいせいされてから同どう程度ていどの時間じかんしか経過けいかしていないと考かんがえられている[3]。

りゅう座ざBY型がた変光星へんこうせいと呼よばれる分類ぶんるいに属ぞくする変光星へんこうせいであり[1][2]、6.46日にちの周期しゅうきで0.05等級とうきゅうの変へん光こうを起おこしている[2]。そのため、アルゲランダー記法きほうにおける命名めいめい規則きそくに則のっとってふたご座ざV377星ほしとも呼称こしょうされる[1][2]。また、TESSによる観測かんそくから周囲しゅういに惑星わくせいが存在そんざいしている可能かのう性せいが示しめされたことで、TESS object of interest (TOI) におけるカタログ番号ばんごうとして TOI-1726 という名称めいしょうも与あたえられている[1]。

惑星わくせい系けい

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2020年ねん、太陽系たいようけい外がい惑星わくせい観測かんそく衛星えいせいTESSによるトランジット法ほうでの観測かんそくから、周囲しゅういを公転こうてんしている2つの太陽系たいようけい外がい惑星わくせいが発見はっけんされ、内側うちがわから順じゅんに HD 63433 b (TOI-1726 b) と HD 63433 c (TOI-1726 c) と命名めいめいされた[3]。2つの惑星わくせいはそれぞれ約やく7日にちと約やく20日にち半はんの公転こうてん周期しゅうきで軌道きどうを公転こうてんしており、どちらも地球ちきゅうの2倍ばい以上いじょうの大おおきさを持もつ。カナリア諸島かなりあしょとうのラ・パルマ島とうにあるロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台てんもんだいに設置せっちされている分光ぶんこう器きHARPS-Nによる視線しせん速度そくど観測かんそくからもこれらの惑星わくせいの存在そんざいが確認かくにんされており、また、この視線しせん速度そくど観測かんそくを用もちいて行おこなわれたロシタ―・マクローリン効果こうかの測定そくていからは、内側うちがわを公転こうてんしている HD 63433 b の軌道きどう面めんが主しゅ星ほしの赤道せきどう面めんからほとんど傾かたむいていない順行じゅんこう軌道きどうで公転こうてんしていることも確たしかめられている[3]。

そして2024年ねんには、TESSの観測かんそく結果けっかの分析ぶんせきから新あらたに HD 63433 b のさらに内側うちがわを約やく4日にちの周期しゅうきで公転こうてんしている惑星わくせい HD 63433 d (TOI-1726 d) が発見はっけんされたと公表こうひょうされた[8]。HD 63433 d は、先さきに見みつかっていた2つの惑星わくせいよりも小ちいさく、地球ちきゅうと同どう程度ていどの大おおきさを持もっている[8]。形成けいせいされてから5億おく年ねん未満みまんしか経過けいかしていないと考かんがえられている太陽系たいようけい外がい惑星わくせいとしては、これまでに発見はっけんされている中なかで最もっとも小ちいさい[8][12]。主しゅ星ほしからの距離きょりが近ちかく、受うける潮汐ちょうせき力りょくが強つよいため、HD 63433 d では自転じてんと公転こうてんの同期どうき（潮汐ちょうせき固定こてい）が発生はっせいし、常つねに表面ひょうめんの片側かたがわを主おも星ぼしに向むけている状態じょうたいであると考かんがえられている。永久えいきゅう的てきに主しゅ星ほしがある方向ほうこうを向むけている昼ひる側がわの面めんでは表面ひょうめん温度おんどが 1,530 K（1,257 ℃）に達たっしていると推定すいていされることから、ケプラー10bやCoRoT-7bのように片側かたがわの表面ひょうめんが溶岩ようがんに覆おおわれている状態じょうたいになっている可能かのう性せいが高たかいと考かんがえられており、地球ちきゅうから比較的ひかくてき近ちかい距離きょりに存在そんざいしている若わかい地球ちきゅう規模きぼの惑星わくせいであるため、惑星わくせいの形成けいせいや進化しんかを研究けんきゅうするにあたっての重要じゅうような観測かんそく対象たいしょうであるとされている[8][12][13]。

HD 63433の惑星わくせい[8]
名称めいしょう
（恒星こうせいに近ちかい順じゅん） 		質量しつりょう[5] 軌道きどう長ちょう半径はんけい
（天文てんもん単位たんい） 		公転こうてん周期しゅうき
(日ひ) 		軌道きどう離はなれ心しん率りつ 軌道きどう傾斜けいしゃ角かく 半径はんけい
d — 0.0503+0.0025
−0.0027 		4.209075+0.000012
−0.000023 		0.16+0.36
−0.12 		88.73+0.85
−1.06° 		1.073+0.046
−0.044 R⊕
b < 21.888 M⊕ 0.0714+0.0036
−0.0038 		7.1079379 ± 0.0000054 0.24+0.27
−0.18 		88.49+0.87
−0.40° 		2.112+0.093
−0.086 R⊕
c 15.319+4.188
−3.992 M⊕ 		0.1448+0.0073
−0.0077 		20.543791+0.000017
−0.000018 		0.21+0.33
−0.14 		89.28+0.40
−0.22° 		2.521 ± 0.1 R⊕

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年とし周しゅう視差しさ（秒びょう）より計算けいさん、光年こうねんは1÷年とし周しゅう視差しさ（秒びょう）×3.2615638より計算けいさん

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y “Results for HD 63433”. SIMBAD Astronomical Database. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2024年ねん1月がつ19日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c d “HD 63433”. GCVS. 2024年ねん1月がつ19日にち閲覧えつらん。
  3. ^ a b c d e f g h i j k Mann, Andrew W.; Johnson, Marshall C.; Vanderburg, Andrew et al. (2020). “TESS Hunt for Young and Maturing Exoplanets (THYME). III. A Two-planet System in the 400 Myr Ursa Major Group”. The Astronomical Journal 160 (4): 18. arXiv:2005.00047. Bibcode: 2020AJ....160..179M. doi:10.3847/1538-3881/abae64. 179. 
  4. ^ a b c d Hinkel, Natalie R.; Timmes, F. X.; Young, Patrick A. et al. (2014). “Stellar Abundances in the Solar Neighborhood: The Hypatia Catalog”. The Astronomical Journal 148 (3): 33. arXiv:1405.6719. Bibcode: 2014AJ....148...54H. doi:10.1088/0004-6256/148/3/54. 54. 
  5. ^ a b Mallorquín, M.; Béjar, V. J. S.; Lodieu, N. et al. (2023). “Dynamical masses of two young transiting sub-Neptunes orbiting HD 63433”. Astronomy and Astrophysics 671: 19. arXiv:2303.15411. Bibcode: 2023A&A...671A.163M. doi:10.1051/0004-6361/202245397. A163. 
  6. ^ a b Gray, R. O.; Corbally, C. J.; Garrison, R. F. et al. (2003). “Contributions to the Nearby Stars (NStars) Project: Spectroscopy of Stars Earlier than M0 within 40 Parsecs: The Northern Sample. I.”. The Astronomical Journal 126 (4): 2048-2059. arXiv:astro-ph/0308182. Bibcode: 2003AJ....126.2048G. doi:10.1051/0004-6361/202245397. 
  7. ^ a b Jones, Jeremy; White, R. J.; Boyajian, T. et al. (2015). “The Ages of A-Stars. I. Interferometric Observations and Age Estimates for Stars in the Ursa Major Moving Group”. The Astrophysical Journal 813 (1): 18. arXiv:1508.05643. Bibcode: 2015ApJ...813...58J. doi:10.1088/0004-637X/813/1/58. 58. 
  8. ^ a b c d e f Capistrant, Benjamin K.; Soares-Furtado, Melinda; Vanderburg, Andrew et al. (2024). “TESS Hunt for Young and Maturing Exoplanets (THYME). XI. An Earth-sized Planet Orbiting a Nearby, Solar-like Host in the 400 Myr Ursa Major Moving Group”. The Astronomical Journal 167 (2): 18. arXiv:2401.04785. Bibcode: 2024AJ....167...54C. doi:10.3847/1538-3881/ad1039. 54. 
  9. ^ Stanford-Moore, Adam; Macintosh, Bruce; Nielsen, Eric; De Rosa, Robert (2020). “BAFFLES: Bayesian Ages For Field LowEr-mass Stars”. The Astrophysical Journal 898 (1): 27. arXiv:2006.04811. Bibcode: 2019AAS...23324725S. doi:10.3847/1538-4357/ab9a35. 
  10. ^ Roeser, S.; Bastian, U. (1988). “A New Star Catalogue of SAO Type”. Astronomy and Astrophysics Supplement Series 74: 449. Bibcode: 1988A&AS...74..449R.  VizieR
  11. ^ Cannon, A. J.; Pickering, E. C. (1993). “VizieR Online Data Catalog: Henry Draper Catalogue and Extension (Cannon+ 1918-1924; ADC 1989)”. Harv. Ann. 91-100 (1918-1924): VizieR On-line Data Catalog: III/135A. Bibcode: 1993yCat.3135....0C.  VizieR
  12. ^ a b Chelsea Gohd (2024年ねん1月がつ10日とおか). “Discovery Alert: Earth-sized Planet Has a ‘Lava Hemisphere’”. NASA. 2024年ねん1月がつ19日にち閲覧えつらん。
  13. ^ Robert Lea (2024年ねん1月がつ12日にち). “Newfound Earth-size exoplanet has a scorching-hot lava side”. Space.com. 2024年ねん1月がつ19日にち閲覧えつらん。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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