パスカル (単位たんい)

パスカル(Pa) pascal
圧力あつりょく計けい
記号きごう	Pa
系けい	国際こくさい単位たんい系けい (SI)
種類しゅるい	組立くみたて単位たんい
量りょう	圧力あつりょく・応力おうりょく
組立くみたて	N/m2
定義ていぎ	1m2につき1Nの圧力あつりょく・応力おうりょく
語源ごげん	ブレーズ・パスカル

パスカル (英えい: pascal、記号きごう: Pa) は、圧力あつりょく・応力おうりょくの物理ぶつり単位たんいで、国際こくさい単位たんい系けい (SI) における、固有こゆうの名称めいしょうと記号きごうを持もつ22個このSI組立くみたて単位たんいの一ひとつである。定義ていぎより「ニュートン毎ごと平方へいほうメートル」に等ひとしい。

1パスカルは、1平方へいほうメートル (m²) の面積めんせきにつき1ニュートン (N) の力ちからが作用さようする圧力あつりょくまたは応力おうりょくと定義ていぎされている。

名称めいしょう・記号きごう

単位たんいの名称めいしょうは、流体りゅうたい力学りきがく・流体りゅうたい静せい力学りきがくへの貢献こうけんと気圧きあつ計けいの実験じっけんで有名ゆうめいなブレーズ・パスカルに因ちなむものである。SI組立くみたて単位たんい「ニュートン毎ごと平方へいほうメートル(N/m²)」に対たいする固有こゆうの名称めいしょう「パスカル」とその記号きごう「Pa」は、1971年ねんの第だい14回かい国際こくさい度量衡どりょうこう総会そうかい(CGPM)で採択さいたくされた。

定義ていぎ

パスカルを、SI基本きほん単位たんいや他たのSI組立くみたて単位たんいで表あらわすと、以下いかのようになる。

${\rm {1~Pa=1~{\frac {N}{m^{2}}}=1~{\frac {kg}{m\cdot s^{2}}}}}$

ここで、Nはニュートン、mはメートル、kgはキログラム、sは秒びょうである。

倍量ばいりょう・分量ぶんりょう単位たんい

パスカル (Pa) の倍量ばいりょう・分量ぶんりょう単位たんい

分量ぶんりょう				倍量ばいりょう
値ね	記号きごう	名称めいしょう		値ね	記号きごう	名称めいしょう
10−1 Pa	dPa	デシパスカル		101 Pa	daPa	デカパスカル
10−2 Pa	cPa	センチパスカル		102 Pa	hPa	ヘクトパスカル
10−3 Pa	mPa	ミリパスカル		103 Pa	kPa	キロパスカル
10−6 Pa	µPa	マイクロパスカル		106 Pa	MPa	メガパスカル
10−9 Pa	nPa	ナノパスカル		109 Pa	GPa	ギガパスカル
10−12 Pa	pPa	ピコパスカル		1012 Pa	TPa	テラパスカル
10−15 Pa	fPa	フェムトパスカル		1015 Pa	PPa	ペタパスカル
10−18 Pa	aPa	アトパスカル		1018 Pa	EPa	エクサパスカル
10−21 Pa	zPa	ゼプトパスカル		1021 Pa	ZPa	ゼタパスカル
10−24 Pa	yPa	ヨクトパスカル		1024 Pa	YPa	ヨタパスカル
10−27 Pa	rPa	ロントパスカル		1027 Pa	RPa	ロナパスカル
10−30 Pa	qPa	クエクトパスカル		1030 Pa	QPa	クエタパスカル
よく使つかわれる単位たんいを太字ふとじで示しめす

よく使用しようされる倍量ばいりょう・分量ぶんりょう単位たんいは、ヘクトパスカル（hPa、ミリバールに等ひとしい）、キロパスカル(kPa)、メガパスカル(MPa)、ギガパスカル(GPa)である。気象きしょう学がく以外いがいの分野ぶんやでは、1000の倍数ばいすうの接頭せっとう辞じを使用しようすることが好このまれる。

1気圧きあつ程度ていどの圧力あつりょくならば、キロパスカル (kPa) が使用しようされている。日本にっぽんでは1999年ねん10月がつ以降いこう、パスカルへの移行いこうが行おこなわれた。工学こうがく的てきには今いままで使つかわれていた 1 kgf/cm² = 98.0665 kPa で換算かんさんしているが、自動車じどうしゃのタイヤの空気圧くうきあつなど一般いっぱん向むけには、1 kgf/cm² = 100 kPa で換算かんさんしている場合ばあいが多おおい。ソビエト連邦れんぽうで1933年ねんから1955年ねんまで使用しようされていたメートル・トン・秒びょう単位たんい系けいにおける圧力あつりょくの単位たんいピエーズは、1キロパスカルに等ひとしい。

地球ちきゅう物理ぶつり学がくでは、地球ちきゅう内部ないぶの造みやつこ構応力りょくの計測けいそく・計算けいさんにギガパスカル (GPa) を使用しようする。

医療いりょうにおいて、エラストグラフィーは超ちょう音波おんぱや核かく磁気じき共鳴きょうめい画像がぞう法ほう(MRI)で非ひ侵おかせ襲かさね的てきに組織そしきの堅かたさを計測けいそくするものであるが、その表示ひょうじはキロパスカル単位たんいのヤング率りつや剛性ごうせい率りつで表あらわされる。

材料ざいりょう力学りきがく・材料ざいりょう工学こうがくでは、パスカルは材料ざいりょうのヤング率りつ・強度きょうど・耐たい圧あつ強度きょうどはパスカルの単位たんいで計測けいそくされる。工学こうがくの用途ようとでは、パスカルは小ちいさすぎるので、メガパスカル (MPa) がよく用もちいられる。

ヘクトパスカルとミリバール

→詳細しょうさいは「バール (単位たんい)」を参照さんしょう

気象きしょう学がく（天気てんき予報よほうや天気てんき図ずなど）では、世界中せかいじゅうで長ながい間あいだにわたって気圧きあつをミリバールで測定そくていしていた。SIが導入どうにゅうされた後のちも、慣習かんしゅう的てきな圧力あつりょくの数値すうちがそのまま使つかわれることが希望きぼうされた。そのため気象きしょう学がくでは、今日きょうではミリバールと同おなじ値ちになるヘクトパスカル (hPa) を使用しようしている。日本にっぽんにおいては、1992年ねん12月1日にちからミリバールがヘクトパスカルに置おき換かえられた。ただし、カナダとポルトガルではキロパスカル(kPa)を使用しようしている。

倍量ばいりょう・分量ぶんりょう単位たんいにおける大文字おおもじ・小文字こもじの区別くべつ

単位たんいの記号きごうは、国際こくさい的てきな合意ごういの上うえで規定きていされたものであって、大文字おおもじ・小文字こもじの区別くべつについても厳密げんみつに規定きていされている。

次つぎのような誤あやま表記ひょうきがしばしば存在そんざいする。

• メガパスカル（MPa）に対たいする"Mpa"という誤あやま表記ひょうき。
  民間みんかん企業きぎょうの技術ぎじゅつ資料しりょうによく見受みうけられる。技術ぎじゅつ者しゃがパーソナルコンピュータで文書ぶんしょを作成さくせいする際さいに、"MPa"と正まさしく入力にゅうりょくしても、使用しようした日本語にほんご変換へんかんソフトのオートコレクト機能きのうによって"Mpa"と誤あやま修正しゅうせいされ、それが修正しゅうせいされずに放置ほうちされることによる間違まちがいである。

• メガパスカル（MPa）とミリパスカル（mPa）の混同こんどう。
  SI接頭せっとう語ごの使用しようにおいて、大文字おおもじと小文字こもじを厳密げんみつに区別くべつする原則げんそくの不ふ理解りかいによる間違まちがいである。

• キロパスカル（kPa）に対たいする"KPa"、"Kpa"という誤あやま表記ひょうき。
  パスカルの場合ばあいに限かぎらず、キログラム（kg）を"Kg"と誤あやま表記ひょうきするのと同様どうように"KPa"と入力にゅうりょくし、さらに上うえの"Mpa"の場合ばあいと同様どうように日本語にほんご変換へんかんソフトのオートコレクト機能きのうによって"Kpa"と誤あやま修正しゅうせいされ、そのまま修正しゅうせいされずに放置ほうちされることによる間違まちがいである。

換算かんさん

他たの単位たんいとの換算かんさんは以下いかのようになる。

• 1 ミリバール (mbar) = 100 Pa = 1 ヘクトパスカル (hPa)
• 1 バール (bar) = 100 000 Pa
  = 100 キロパスカル (kPa) = 0.1 メガパスカル (MPa)
  ≈ 0.987 気圧きあつ（標準ひょうじゅん大気たいき圧あつ） (atm)
  ≈ 約やく1 標準ひょうじゅん気圧きあつ (atm)
• 1 標準ひょうじゅん気圧きあつ (atm)
  = 1.01325 bar = 1013.25 mbar
  = 1 013.25 hPa = 101 325 Pa = 101.325 kPa = 0.101325 MPa
• 1 トル(Torr) = 1 水銀柱すいぎんちゅうミリメートル(mmHg) = 正確せいかくに 101 325/760 Pa（計量けいりょう法ほう体系たいけいによる）≈ 約やく133.3224 Pa
• 1 水銀柱すいぎんちゅうインチ (inch Hg) = 正確せいかくに 3386.39 Pa（計量けいりょう法ほう体系たいけいによる）
• 1 標準ひょうじゅん気圧きあつ = 約やく29.92 inches
  （航空機こうくうきの高度こうど計けい (altimeter) は一般いっぱんにこれを基準きじゅんとして、気圧きあつの変化へんかに合あわせて、平均へいきん海面かいめん (MSL; mean sea level) からの高度こうどを計器けいきに反映はんえいさせるために高度こうど計けいを調整ちょうせいする（高度こうど計けい規正きせい値ち/altimeter setting）。高度こうど計けい規正きせい値ちの意味いみで使つかう場合ばあい、水銀柱すいぎんちゅうインチであることは自明じめいのためHgは省略しょうりゃくされる。）
• 1 工学こうがく気圧きあつ = 1 重量じゅうりょうキログラム毎ごと平方へいほうセンチメートル (kgf/cm²) = 98 066.5 Pa = 98.0665 kPa

圧力あつりょくの単位たんい

	パスカル（SI単位たんい）	バール	工学こうがく気圧きあつ	気圧きあつ	トル	psi
1 Pa	≡ 1 N/m2	= 10−5 bar	≈ 10.2×10−6 at	≈ 9.87×10−6 atm	≈ 7.5×10−3 Torr	≈ 145×10−6 psi
1 bar	= 100000 Pa	≡ 106 dyn/cm2	≈ 1.02 at	≈ 0.987 atm	≈ 750 Torr	≈ 14.504 psi
1 at	= 98066.5 Pa	= 0.980665 bar	≡ 1 kgf/cm2	≈ 0.968 atm	≈ 736 Torr	≈ 14.223 psi
1 atm	= 101325 Pa	= 1.01325 bar	≈ 1.033 at	≡ p0	= 760 Torr	≈ 14.696 psi
1 Torr	≈ 133.322 Pa	≈ 1.333×10−3 bar	≈ 1.360×10−3 at	≈ 1.316×10−3 atm	≡ 1 mmHg	≈ 19.337×10−3 psi
1 psi	≈ 6894.757 Pa	≈ 68.948×10−3 bar	≈ 70.307×10−3 at	≈ 68.046×10−3 atm	≈ 51.7149 Torr	≡ 1 lbf/in2

符号ふごう位置いち

記号きごう	Unicode	JIS X 0213	文字もじ参照さんしょう	名称めいしょう
㍱	U+3371	-	㍱ ㍱	ヘクトパスカル
㎩	U+33A9	-	㎩ ㎩	パスカル
㎪	U+33AA	-	㎪ ㎪	キロパスカル
㎫	U+33AB	-	㎫ ㎫	メガパスカル
㎬	U+33AC	-	㎬ ㎬	ギガパスカル

Unicodeには、CJK互換ごかん用よう文字もじとして以下いかの文字もじが収録しゅうろくされている。

• U+3371 ㍱ square hpa
• U+33A9 ㎩ square pa
• U+33AA ㎪ square kpa
• U+33AB ㎫ square mpa
• U+33AC ㎬ square gpa

これらは、既存きそんの文字もじコードに対たいする後方こうほう互換ごかん性せいのために収録しゅうろくされているものであり、使用しようは推奨すいしょうされない。

関連かんれん項目こうもく

• 圧力あつりょくの比較ひかく
• 単位たんいの換算かんさん一覧いちらん#圧力あつりょく・応力おうりょく
• ブレーズ・パスカル
• ヘクトパスカル
• パスカル (曖昧あいまいさ回避かいひ)

力学りきがくの単位たんいの3つのアプローチ

基本きほん単位たんい	力ちから・長ながさ・時間じかん		重おもさ・長ながさ・時間じかん		質量しつりょう・長ながさ・時間じかん
力ちから (F)	F = m⋅a = w⋅a/g		F = m⋅a/gc = w⋅a/g		F = m⋅a = w⋅a/g
重おもさ (w)	w = m⋅g		w = m⋅g/gc ≈ m		w = m⋅g
単位たんい系けい	BG	GM	EE	M	AE	CGS	MTS	SI(MKS)
加速度かそくど (a)	ft/s2	m/s2	ft/s2	m/s2	ft/s2	Gal	m/s2	m/s2
質量しつりょう (m)	slug	slug	lbm	kg	lb	g	t	kg
力ちから (F)	lb	kgf	lbF	kgf	pdl	dyn	sn	N
圧力あつりょく (p)	lb/in2	at	PSI	atm	pdl/ft2	Ba	pz	Pa