群馬県立藤岡高等学校の生徒たちを中心に結成されたBUCK-TICKは、東京に拠点を移しライブ活動を行っていた[2]。その後BUCK-TICKに対する世間の認知度を高めるため、太陽レコード主催者のサワキカズヲプロデュースで、インディーズレーベルからアルバム『HURRY UP MODE』(1987年)をリリースする[3]。リリースと同日には太陽レコード所属アーティストによるイベントライブが豊島公会堂にて開催され、無名バンドしか参加していないため当初は無謀であると言われていたが、結果として予想を上回る800人を動員し成功を収めることとなった[4]。同公演には様々なレコード会社関係者も観覧に訪れており、BUCK-TICK獲得のためそれぞれが動き出しており、サワキが窓口となって各レコード会社のディレクターと交渉を行いBUCK-TICKのメジャー・デビューが検討されることとなった[5]。その際にメンバーはサワキに対し下記の条件を出していた[5]。
1987年6月16日には渋谷ライブインにて「BUCK-TICK現象・II」と題したライブを決行し600人を動員した[8]。櫻井敦司は同公演の中で聴衆に対しビクターと契約したことを告げ、「これからもヨロシク!」とMCを行った[9]。また同公演の模様を収録したライブ・ビデオ『BUCK-TICK現象 at 渋谷LIVE INN』が本作よりも前の9月21日にリリースされ、アルバムに先行してビデオでメジャー・デビューを果たす形となった[9]。『HURRY UP MODE』リリースからわずか2か月でメジャー・デビューが決定したことに対して、今井寿は不思議な感覚を覚えており、また樋口豊は「プロ意識」という言葉を意識してバンドに対する責任感が強くなることを感じていた[8]。また、メジャー・デビューすることでサワキ1人での運営が困難となることから、サワキの知り合いであった枡岡慶彦を中心にBUCK-TICKの個人事務所となる「SHAKING HANDS」が9月3日に設立された[10]。
メンバーは制作に当たり、「日本のミュージック・シーンをかき混ぜるようなアルバムを作りたい」という思いでレコーディングを開始した[9]。当時は「せーの!」の合言葉と共にで1発録りでレコーディングされ、ドラムおよびベース、サイドギターが問題なければ基本的にそのテイクを採用しており、ヤガミトールは「ユータとヒデがしくってなければまあOKだろうっていうレベル」と述べている[11]。収録曲の「MY EYES & YOUR EYES」においてスネアドラムのフチを叩く「クローズド・リム」という叩き方をしているが、途中から位置がズレて音が変化している。当時は「メインの演奏が間違っていなければそれでいい」という判断だったため、再録音はされなかった[12]。
レコーディング・エンジニアは、後にTHE BLUE HEARTSやTHE YELLOW MONKEYを手掛けることになる山口州治が担当している[13]。表題曲である「SEXUAL×××××!」のレコーディング中にヤガミが「スネアの音がおれの感じじゃないんですけど」と伝えたところ、山口は録音機械を止めた上で「じゃ、明日やりますから」とい残して帰宅[13]。ヤガミは山口を怒らせたと思い、打ち上げの時に「生意気なこと言ってすいませんでした」と謝ったら、「君たちのアルバムだから、それでいいんです。セルフプロデュースでやってるんだから、それで間違ってないですよ」と返答されたと述べている[13]。また新人バンドということもあり、ビクター側からプロデュースの補佐的な役割として、頭脳警察のパンタのサポートなどを行っていたキーボーディストの中山努が参加することとなった[11]。
本作のテーマとして「愛」を題材としたものが多いと質問されたことに対し、櫻井は男女の恋愛に限らず家庭愛でも片思いにしても個人によって微妙に異なる感覚が面白いと述べ、作詞については実体験と想像の半々であるとして、一節は実体験であっても残りの歌詞は想像や人づてに聞いた話を膨らませていると述べている[14]。恋愛体験が豊富でなくてもラブソングは制作できるかとの質問に対し、ヤガミは恋愛経験が少なくてもそれを補うのが想像力であると述べている[14]。櫻井はSEXだけが愛ではなく、プラトニックな純愛を描いたのが「ILLUSION」であり、その対極にある曲が「SEXUAL×××××!」であると述べ、自らの恥部を人に見せることで自らの弱い部分に重ね合わせることができるのではないかと述べている[14]。また、「DREAM OR TRUTH」に関しては愛の両極端な部分を描いた曲であると櫻井は述べ、愛は気持ちや状況で常に上昇や下降に繋がり真実もウソになり夢も現実も紙一重であるとした上で、恋愛することに理由はないと総括している[14]。今井は前作との違いは曲に対してメロディの乗せ方が工夫できるようになった点であると述べ、コードとメロディの組み合わせ方が自身の中で進歩したとも述べている[15]。
2002年9月19日には、ビクターエンタテインメントのHAPPY HOUSEレーベルから比留間整監修によるデジタルリマスター版がリリースされ、初回限定盤にはジャケットサイズのオリジナルステッカーが付属されたほか、ボーナス・トラックとして「ROMANESQUE (released from BT)」および「SEXUAL ×××××! (another Climax Together Live)」の2曲が追加収録された。
その後12月19日の札幌メッセホール公演を皮切りに、12月27日の青森FREE LIVE SPACE 1/3公演まで「BUCK-TICK現象 III TOUR」と題したコンサートツアーを6都市全6公演を実施した[1]。12月31日には新潟市産業振興センターにて行われたイベントライブ「ROCK'N'ROLL BAND STAND」に参加、5000人の聴衆の前で演奏することとなった[28][1]。
1.バクチク現象 at THE LIVE INN - 2.MORE SEXUAL!!!!! - 3.Sabbat I - 4.Sabbat II - 5.悪の華 - 6.M・A・D - 7.BUCK-TICK - 8.Climax Together - 9.CATALOGUE 1987-1995 - 10.SWEET STRANGE LIVE FILM - 11.DREAM BOX - 12.ONE LIFE, ONE DEATH CUT UP - 13.BUCK-TICK PICTURE PRODUCT - 14.BUCK-TICK TOUR2002 WARP DAYS 20020616 BAY NK HALL - 15.PICTURE PRODUCT II - 16.Climax Together Collector's Box - 17.Mona Lisa OVERDRIVE -XANADU- - 18.at the night side - 19.悪魔とフロイト -Devil and Freud- Climax Together - 20.13th FLOOR WITH DIANA - 21.BUCK-TICK SINGLES on Digital Video Disc - 22.BUCK-TICK FEST 2007 ON PARADE - 23.TOUR2007天使のリボルバー - 24.memento mori 090702 - 25.TOUR 2010 go on the“RAZZLE DAZZLE” - 26.THE DAY IN QUESTION 2011 - 27.B-T LIVE PRODUCT -1987/1989/1992 VICTOR YEARS- - 28.BUCK-TICK FEST 2012 ON PARADE - 29.TOUR 夢見る宇宙 - 30.劇場版BUCK-TICK 〜バクチク現象〜 - 31.TOUR2014 或いはアナーキー -FINAL- - 32.TOUR アトム 未来派 No.9 -FINAL- - 33.CLIMAX TOGETHER ON SCREEN 1992-2016 / CLIMAX TOGETHER 3rd - 34.THE PARADE 〜30th anniversary〜 - 35.THE DAY IN QUESTION 2017 - 36.TOUR no.0 - 37.ロクス・ソルスの獣たち - 38.B-T LIVE PRODUCT -Ariola YEARS- - 39.TOUR2020 ABRACADABRA ON SCREEN / ABRACADABRA LIVE ON THE NET
書籍
写真集
1.BUCK-TICK - 2.HYPER - 3.HYPER NUMBER 3 - 4.BT8992 - 5.SHAPELESS - 6.TOUR GUIDE BOOK/13th FLOOR WITH MOONSHINE - 7.BUCK-TICK TOUR 2009 memento mori PIX
関連書籍
1.LOVE ME - 2.天使のざわめき - 3.WORDS BY BUCK-TICK - 4.IKONOKRUSM - 5.ORAL HISTORY-20th ANNIVERSARY SPECIAL BOOK