Vバンド

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IEEE V band
周波数しゅうはすう帯域たいいき
40 – 75 GHz
波長はちょういき
7.5 – 4 mm
関連かんれんバンド

Vバンド電磁でんじスペクトルマイクロなかでも40-75GHzのものとIEEEによりあたえられた規格きかくめい[1][2]。ミリレーダーや種類しゅるい科学かがく研究けんきゅうのぞき、あまり使つかわれていない。UHF周波数しゅうはすうたいの600–1000MHz帯域たいいきのバンドV(バンド5)と混同こんどうしないよう注意ちゅういする必要ひつようがある。

Vバンドはだい容量ようりょう地上ちじょうミリ通信つうしんシステムにも使用しようされている。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは連邦れんぽう通信つうしん委員いいんかい免許めんきょのいらない無線むせんシステムにたいし57-71GHzの周波数しゅうはすうたいてている[3]。これらのシステムはおもこう容量ようりょう短距離たんきょり(1マイル未満みまん)の通信つうしん使用しようされる。さらに、70, 80, 90GHzの周波数しゅうはすうはマルチギガビット無線むせん通信つうしんの「かる認可にんかされた」帯域たいいきとしててられている。Vバンドのすべての通信つうしん回線かいせん送信そうしんてん受信じゅしんてんあいだ妨害ぼうがい照準しょうじゅんせん必要ひつようとし、回線かいせん予算よさん分析ぶんせき実行じっこうするにはレイン・フェードを考慮こうりょしなくてはならない。

使用しよう[編集へんしゅう]

1995ねん12月15にち星座せいざない衛星えいせいあいだ世界せかいはつのクロスリンク通信つうしんに60GHzのVバンドが使用しようされた。この通信つうしんはアメリカのMilstar 1とMilstar 2のあいだおこなわれた[4]。60GHzはたかいデータレート、せまいビームを可能かのうとし、酸素さんそ強力きょうりょく吸収きゅうしゅうたいにあり地上ちじょうにいるてきによる傍受ぼうじゅたいする保護ほご提供ていきょうできるため、安全あんぜん衛星えいせいクロスリンクにとって魅力みりょくがある。

非常ひじょうみじか範囲はんいのWi-Fi[編集へんしゅう]

Wi-Fi規格きかくIEEE 802.11adは、60GHz(EHFマイクロ)スペクトルを利用りようして、10メートル (33 ft)までの非常ひじょうみじか範囲はんい最大さいだい7Gbit/sのデータ転送てんそう速度そくどつかもしれない[5]

モバイルバックホール[編集へんしゅう]

携帯けいたい事業じぎょうしゃはよりおおくの帯域たいいきはば必要ひつようとしているため、無線むせんバックホールのコストを削減さくげんするためにあらたな周波数しゅうはすうたいさがしている。ライセンスが免除めんじょされているVバンドスペクトル(57-71 GHz)とEバンドスペクトル(71-76 GHz, 81-86 GHz, 92-95 GHz)の両方りょうほうがはっきりとした技術ぎじゅつてき経済けいざいてき利点りてんゆうしている。これらの帯域たいいきてられた27GHzは6-38GHzの帯域たいいきはば制限せいげん周波数しゅうはすうをはるかにえるすうギガビット/びょう容量ようりょう可能かのうにする。

Point to Point無線むせんバックホール回線かいせんつくるために使つかわれるこう利得りとく指向しこうせいアンテナをそなえたCableFree V-Band 60GHz MMW link

VバンドおよびEバンドスペクトルでは、無線むせんシステムは非常ひじょうひろてられたスペクトルおよびチャネルを利用りようして、マルチギガビットのデータ速度そくど提供ていきょうすることができる。これによりシンプルで強固きょうこていコストのモデムとラジオの設計せっけい可能かのうとなる。よって、VバンドとEバンドのミリ無線むせんシステムは6-38GHz無線むせんシステムにくらべてコストの優位ゆういせいおお提供ていきょうする(追加ついか無線むせん機器ききやライセンスりょうなしでギガビット容量ようりょうまで拡張かくちょうすることができる)。

無線むせん広帯域こうたいいき[編集へんしゅう]

インターネットサービスプロバイダギガビット高速こうそくサービスをきゃく展開てんかいする方法ほうほうさがしている。FTTP広帯域こうたいいきネットワークアーキテクチャや、使用しようしゃたいするひかりファイバーケーブルのトレンチングコストを低減ていげんするためにおこなわれるミドルマイルのファイバーもうわせたラストマイル固定こてい無線むせんもちいるより手頃てごろ代替だいたいひんによりこれらが実現じつげんできる。アメリカではVバンドは免許めんきょ必要ひつようない。よってVバンドは家庭かてい会社かいしゃ接続せつぞくするためのギガビットサービスの固定こてい無線むせんアクセスとして魅力みりょくてき選択肢せんたくしとなっている[6]

衛星えいせい配置はいち[編集へんしゅう]

2017ねん3がつ (2017-03)現在げんざい、アメリカのいくつかの企業きぎょうボーイングSpaceXOneWebTelesat、O3b Networks、Theia Holdings)はそれぞれ連邦れんぽう通信つうしん委員いいんかい以前いぜんは「商用しょうよう通信つうしんサービスに多用たようされていなかった」電磁でんじスペクトルの「通信つうしんサービスを提供ていきょうするための対地たいち同期どうき軌道きどううえのVバンド衛星えいせいコンステレーション配置はいち計画けいかく」を提出ていしゅつしている[7]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Leonid A. Belov; Sergey M. Smolskiy; Victor N. Kochemasov (2012). Handbook of RF, Microwave, and Millimeter-Wave Components. Artech House. pp. 27–28. ISBN 978-1-60807-209-5. https://books.google.com/books?id=bHhYjINB6KMC&pg=PA28 
  2. ^ George Kizer (22 May 2013). Digital Microwave Communication: Engineering Point-to-Point Microwave Systems. John Wiley & Sons. p. 62. ISBN 978-1-118-63680-0. https://books.google.com/books?id=JVhGmjQ8TyoC&pg=PA62 
  3. ^ FCC Rules, Part 15.255
  4. ^ Boeing: Satellite Development Center - Milstar II”. CROSSLINK PAYLOAD. 2012ねん7がつ20日はつか時点じてんオリジナルよりアーカイブ。
  5. ^ IEEE 802.11ad Microwave Wi-Fi / WiGig Tutorial”. Radio-Electronics.com. 2018ねん1がつ16にち閲覧えつらん
  6. ^ Alleven, Monica (2017ねん10がつ25にち). “60 GHz band particularly appealing for fixed wireless: report”. Fierce Wireless. https://www.fiercewireless.com/wireless/60-ghz-band-particularly-appealing-for-fixed-wireless-report 2018ねん1がつ16にち閲覧えつらん 
  7. ^ http://spacenews.com/fcc-gets-five-new-applications-for-non-geostationary-satellite-constellations/