(Translated by https://www.hiragana.jp/)
Kuバンド - Wikipedia コンテンツにスキップ

Kuバンド

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
IEEE Ku band
周波数しゅうはすう帯域たいいき
12–18 GHz
波長はちょういき
2.5–1.67 cm
関連かんれんバンド

Kuバンド(ケーユーバンド)は電磁でんじスペクトルマイクロなかでも周波数しゅうはすう範囲はんい 12–18 GHz帯域たいいきのこと。この名前なまえ"K-under"もとはドイツKurz-unten)をりゃくしたものであり、これは NATO Kバンド英語えいごばんした部分ぶぶんであることが由来ゆらいである。NATO Kバンドはなか部分ぶぶんに 22.24 GHz の大気たいき水蒸気すいじょうき共鳴きょうめいピークをふくみ、その部分ぶぶん長距離ちょうきょり伝送でんそう不可能ふかのうであったため、 Ku, K英語えいごばん, Kaの3つに分割ぶんかつされた。レーザ応用おうようにおいては、IEEE規格きかく521-2002のレーダ周波数しゅうはすうたい命名めいめいほう正式せいしき定義ていぎしたがい、その範囲はんいは 12–18 GHz である[1][2]

Kuバンドはおも衛星えいせい通信つうしんとく衛星えいせい放送ほうそうながすための直接ちょくせつ放送ほうそう衛星えいせいにより使つかわれるダウンリンク、およびスペースシャトル国際こくさい宇宙うちゅうステーション両方りょうほう通信つうしん使用しようされるNASATDRSなど特定とくてい用途ようと使用しようされている。Kuバンド衛星えいせいバックホール英語えいごばんとく遠隔えんかくからテレビのネットワークのスタジオにもどして編集へんしゅうおよび放送ほうそうするための衛星えいせいとしても使つかわれる。このバンドはITUによって地域ちいきによりことなる複数ふくすうのセグメントに分割ぶんかつされている。NBCは1983ねんにKuバンドをかいして系列けいれつきょくのフィードのだい部分ぶぶんをアップリンクした最初さいしょのテレビネットワークである。

この無線むせん周波数しゅうはすうたい一部いちぶ周波数しゅうはすうは、とくにヨーロッパで自動車じどうしゃのスピード違反いはんつけるためにもちいられているレーダーガン使つかわれている[3]

セグメントと地域ちいき

[編集へんしゅう]
このバンドの1つの使用しようれい直接ちょくせつ放送ほうそう衛星えいせいテレビである。地球ちきゅうから35,700kmはなれた静止せいし軌道きどうにある放送ほうそう通信つうしん衛星えいせいからのKu バンドマイクロビームをかいした衛星えいせいテレビチャンネルを受信じゅしんする住宅じゅうたく衛星えいせい放送ほうそう受信じゅしんアンテナ

アメリカ

[編集へんしゅう]

北米ほくべいおよび南米なんべいのほとんどは、ITUだい2地域ちいきであり、11.7-12.2 GHz (局部きょくぶ発振器はっしんき周波数しゅうはすう (LOF) 10.75-11.25 GHz)がFSS(固定こてい衛星えいせい業務ぎょうむ)に、14.0-14.5GHzがアップリンクにてられている。北米ほくべいまわりをまわっているFSS Ku バンド衛星えいせいが22以上いじょうあり、1つ1つが12から48のトランスポンダを搭載とうさいし、1つのトランスポンダあたり20-120ワットであり、はっきりと受信じゅしんするためには0.8-1.5mのアンテナが必要ひつようである。

12.2-12.7 GHz (LOF 11.25-11.75 GHz) のセグメントはBSS(放送ほうそう衛星えいせい業務ぎょうむ)にてられる。BSS (DBS直接ちょくせつ放送ほうそう衛星えいせい) は100から240ワットの電力でんりょく動作どうさする27GHz帯域たいいきはばのトランスポンダを通常つうじょう16から32搭載とうさいし、18インチ(450mm)ほどのちいさい受信じゅしんアンテナの使用しよう可能かのうにする。

ヨーロッパ・アフリカ

[編集へんしゅう]

ヨーロッパ・アフリカでのセグメントはITUだいいち地域ちいきあらわされ、11.45-11.7および12.5-12.75GHz帯域たいいきがFSS (固定こてい衛星えいせい業務ぎょうむ, アップリンク14.0-14.5 GHz) にてられている。ヨーロッパにおいてはKuバンドは10.7-12.75GHz (LOFてい 9.750 GHz, LOFだか 10.750 GHz) がアストラ衛星えいせい搭載とうさいされるような直接ちょくせつ放送ほうそう衛星えいせい業務ぎょうむ使用しようされている。11.7-12.5GHzはBSS(放送ほうそう衛星えいせい業務ぎょうむ)にてられている。

オーストラリア

[編集へんしゅう]

オーストラリアはITUだい3地域ちいき一部いちぶであり、オーストラリアの規制きせい環境かんきょうは11.70-12.75GHzのダウンリンクおよび14.0-14.5GHzのアップリンクにおよぶクラスライセンスを提供ていきょうしている[4]

インドネシア

[編集へんしゅう]

ITUインドネシア非常ひじょうたか降雨こううりょうである地域ちいきPに分類ぶんるいしている。これによりインドネシアでKuバンド (11 – 18 GHz) を使つかうことについておおくの人々ひとびと確信かくしんてなくなった。もし豪雨ごうう地域ちいきで10GHzをえる周波数しゅうはすう使つかうと、通信つうしん有効ゆうこうせい低下ていかする。この問題もんだい無線むせん通信つうしん回線かいせん設計せっけいするさい適切てきせつなリンクバジェットを使用しようすることで解決かいけつすることができる。たかいパワーによりあめ損失そんしつ減衰げんすいするのを克服こくふくできる。

インドネシアにおける降雨こううによる減衰げんすい測定そくていは、パダン、チビノン、スラバヤ、バンドンの衛星えいせい通信つうしん回線かいせんたいしておこなわれた。インドネシアにおいてITUモデルにくわえ、DAHモデルがあめによる減衰げんすい予測よそくするのに有効ゆうこうである。DAHモデルは2001ねんよりITU勧告かんこくとなっている(勧告かんこく番号ばんごう No. ITU-R P.618-7)。このモデルは99.7%利用りよう可能かのう回線かいせん作製さくせいすることができ、Kuバンドをインドネシアで適用てきようできるようになる。

インドネシアのような熱帯ねったい地域ちいき衛星えいせい通信つうしんにKuバンドを使用しようすることの頻度ひんどえている。インドネシアじょう衛星えいせいのいくつかはKuバンドのトランスポンダ、さらにKaバンドのトランスポンダを搭載とうさいしている。2002ねん12月にげられ95°ひがし位置いちするNewskies (NSS 6)にはインドネシア(スマトラ島すまとらとうジャワ島じゃわとうボルネオとうスラウェシとうバリ島ばりとうしょうスンダ列島れっとうモルッカ諸島しょとう)で受信じゅしん可能かのうなKuバンドトランスポンダのみ搭載とうさいしている。NSS 6は2018ねん6がつげられ54のKuバンドトランスポンダを搭載とうさいするおな場所ばしょにあるSES-12にえられる予定よていである。2004ねんげられたiPSTAR衛星えいせいもKuバンドをもちいている。Kuバンドをもちいてインドネシアで受信じゅしんできる衛星えいせいパラパ D, MEASAT 3/3A, JCSAT-4B, AsiaSat 5, ST 2, Chinasat 11, Korea Telecom Koreasat 8/ABS 2 (2nd half 2013), SES-8がある。

KuバンドないのITUのほかてには、固定こてい業務ぎょうむ(マイクロなみとう)、電波でんぱ天文学てんもんがく業務ぎょうむ宇宙うちゅう研究けんきゅう業務ぎょうむ移動いどう業務ぎょうむ無線むせん測位そくい業務ぎょうむ(レーダー)、アマチュア無線むせん業務ぎょうむ無線むせんナビゲーションなどがある。しかし、これらの業務ぎょうむのすべてが実際じっさいにこの帯域たいいき動作どうさしているわけではなく、あまり使つかわれていないものもある。

利点りてん

[編集へんしゅう]

Cバンドくらべて、Kuバンドは地上ちじょうマイクロシステムとの干渉かんしょうけるためにおなじようにパワーが制限せいげんされておらず、アップリンク・ダウンリンクのパワーを増大ぞうだいさせることができる。このたかいパワーはちいさいアンテナでも受信じゅしんでき、衛星えいせい送信そうしん電力でんりょくとアンテナのおおきさのあいだ一般いっぱんてき関係かんけいがある。パワーが増大ぞうだいすると、アンテナのさらおおきさはちいさくなる[5][ようページ番号ばんごう]。これはアンテナのさら目的もくてきはある領域りょういきにわたる入射にゅうしゃあつめそれらをすべさら前面ぜんめんけられた(めんいて後方こうほうけられた)アンテナの実際じっさい受信じゅしん集中しゅうちゅうさせることであるからであり、もしなみつよ場合ばあい受信じゅしんおな強度きょうど達成たっせいするためにあつめる必要ひつようがあるなみかずすくなくなる。なみつよ場合ばあい受信じゅしん素子そしおな強度きょうど達成たっせいするために収集しゅうしゅうする必要ひつようのあるなみかずすくなくなる。

マイクロなみたいでのひく周波数しゅうはすうおも魅力みりょくは、みじか波長はちょうちいさい地上ちじょうパラボラアンテナことなる通信つうしん衛星えいせい信号しんごう分離ぶんりするのに十分じゅうぶん角度かくど分解能ぶんかいのう達成たっせいできることにある。レイリー基準きじゅんにより、所与しょよ角度かくどビームはば利得りとく)をゆうする放射ほうしゃパターンを生成せいせいするのに必要ひつようであるパラボラアンテナのさら直径ちょっけい波長はちょう比例ひれいする、つまり、周波数しゅうはすう反比例はんぴれいする。12GHzでは1メートルのさらで2つの衛星えいせい焦点しょうてんわせることができるが、わずか2はなれたべつ衛星えいせいからの信号しんごう十分じゅうぶん拒否きょひする。FSS(固定こてい衛星えいせい業務ぎょうむ、アメリカでは11.7-12.2GHz)の衛星えいせいはたった2しかはなれていないため、これは重要じゅうようである。4GHz(Cバンド)では、このせま角度かくど分解能ぶんかいのう達成たっせいするためには3メートルのさら必要ひつようである。さらおおきさと周波数しゅうはすうあいだにはぎゃく線形せんけい相関そうかんがあることに注意ちゅういする。DBS(直接ちょくせつ放送ほうそう衛星えいせい業務ぎょうむ(アメリカでは12.2-12.7GHz)におけるKu衛星えいせい場合ばあい、これらの衛星えいせいは9はなれていたため1mよりずっとちいさいアンテナを使つかうことができる。CバンドおよびKuバンド衛星えいせいのパワーレベルは長年ながねんにわたり増加ぞうかしているため、さらのビームはば利得りとくよりもはるかに重要じゅうようになってきている。

Kuバンドは使用しようしゃおおくのフレキシビリティを提供ていきょうする。さらちいささと地上ちじょう操作そうさから自由じゆうになったKuバンドシステムにより適切てきせつさら位置いちつけることが簡単かんたんになる。エンドユーザーにとってKuバンドは一般いっぱんてきやすく、小型こがたアンテナを可能かのうにする(どちらも高周波こうしゅうはすう集束しゅうそくビームにより)[6]。KuバンドはKaバンドの周波数しゅうはすうスペクトルよりもあめによる減衰げんすいけにくい。

欠点けってん

[編集へんしゅう]

しかし、Kuバンドのシステムにはいくつかの欠点けってんがある。10GHz周辺しゅうへんでは液体えきたいすいなか分子ぶんし配向はいこう緩和かんわ起因きいんする吸収きゅうしゅうピークがある[7]。10GHzよりうえではミー散乱さんらんがそれをぐ。この効果こうか大雨おおあめ(100mm/h)のときの一般いっぱんてきにレインフェードとばれる顕著けんちょ減衰げんすいである[8]。 ただし、衛星えいせいネットワークを設計せっけいするさい適切てきせつなリンクバジェット戦略せんりゃく展開てんかいし、かつたか電力でんりょく消費しょうひあててレインフェードのロスを補償ほしょうすることによりこの問題もんだい軽減けいげんすることができる。したがって、Kuバンド衛星えいせい通常つうじょうCバンド衛星えいせいよりもかなりおおくの送信そうしん電力でんりょく必要ひつようとする。

「スノーフェード」とばれる同様どうよう現象げんしょうはKuバンドに特有とくゆうのものではない。これはさらゆきこおりがつもったことにより焦点しょうてんおおきくわるためである。

衛星えいせいオペレーターのEarth Stationアンテナは、あたえられたおおきさのさらにおいてKuバンドで動作どうさするときはCバンドとくらべてはるかにせまいフォーカスビームのため、より正確せいかく位置いち制御せいぎょ必要ひつようとする。位置いちフィードバック精度せいどたかく、アンテナがさら表面ひょうめんふう荷重かじゅうしたでの位置いち維持いじするためのへいループ制御せいぎょシステムを必要ひつようとしうる。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ IEEE Std 521 - 2002 URL only available to IEEE members
  2. ^ 11.2–12 GHz の帯域たいいきでは KuバンドとXバンドの「動作どうさ定義ていぎ重複じゅうふくしている。衛星えいせい通信つうしんのエンジニアは通常つうじょう 11.2 GHz をえる周波数しゅうはすうを Kuバンドの一部いちぶとみなす。
  3. ^ Radar Detectors Glossary
  4. ^ Radiocommunications (Communication with Space Object) Class Licence 1998”. Federal Register of Legislation. Australian Government (2012ねん3がつ21にち). 2016ねん7がつ6にち閲覧えつらん
  5. ^ Mirabito, M; Morgenstern, B (2004). Satellites: Operations and Applications. The New Communication Technologies (5 ed.). Burlington: Focal Press.. ISBN 978-0240805863 
  6. ^ Satellite Communications: Advantage and Disadvantages Archived 2007-10-23 at the Wayback Machine.
  7. ^ Martin Chaplin: Water and Microwaves.
  8. ^ TECH-FAQ: Ku band.

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]