東京大学とうきょうだいがく（読よみ）トウキョウダイガク

成立せいりつ

発足ほっそく当時とうじの学部がくぶ構成こうせいは法学ほうがく、理学りがく、文学ぶんがく、医学いがくの4学部がくぶからなり、ほかに東京とうきょう大学だいがく予備よび門もん（第一高等学校だいちこうとうがっこうの前身ぜんしん）を所管しょかんしていた。1881年ねん（明治めいじ14）時点じてんの教員きょういん数すうは36人にん（うち外国がいこく人じん教師きょうし16人にん）、学生がくせい数すうは370人にんであった。当時とうじ、東大とうだい経費けいひは、文部省もんぶしょう所管しょかん経費けいひ中ちゅうの40％近ちかくを占しめていた。なお法学ほうがく、理学りがく、文学ぶんがく3学部がくぶは神田かんだ錦にしき(にしき)町まち、医学部いがくぶは本郷ほんごう本ほん富士ふじ町まちに分散ぶんさんし、本郷ほんごうキャンパスに集結しゅうけつするのは帝国ていこく大学だいがく成立せいりつ後ごである。こうした揺籃ようらん(ようらん)期きを経へて、1886年ねん公布こうふの帝国ていこく大学だいがく令れいにより東京大学とうきょうだいがくは帝国ていこく大学だいがくとなり、他た官省かんしょう所管しょかんの法ほう学校がっこう（司法省しほうしょう）、工こう部ぶ大だい学校がっこう（工こう部ぶ省しょう）といった専門せんもん教育きょういく機関きかんを包摂ほうせつして成立せいりつし、日本にっぽん唯一ゆいいつの大学だいがくとして学校がっこう体系たいけいの頂点ちょうてんにたつとともに、国家こっか機関きかん的てき性格せいかくを強つよめた。

　帝国ていこく大学だいがくは法科ほうか、医科いか、工科こうか、文科ぶんか、理科りかの五いつつの分科ぶんか大学だいがくと一ひとつの大学院だいがくいんから組織そしきされ、修業しゅうぎょう年限ねんげんは3年ねん（医科いかは4年ねん）である。1897年ねん京都きょうと帝国ていこく大学だいがくの創設そうせつに伴ともない、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがくと改称かいしょうするまでの期間きかんに大学だいがく諸しょ組織そしきの設置せっちをみていた。まず、大学だいがくの統括とうかつ者しゃとして総長そうちょう名めいの採用さいよう、大学だいがくの実質じっしつ的てきな最高さいこう意思いし決定けってい機関きかんとしての評議ひょうぎ会かいの設置せっち（1886）、講座こうざ制せいの採用さいよう（1893）、分科ぶんか大学だいがく教授きょうじゅ会かいの設置せっち（1893）、名誉めいよ教授きょうじゅ制せいの採用さいよう（1893）など、近代きんだい日本にっぽんにおける大学だいがくの範はん型がたを形成けいせいしていった。帝国ていこく大学だいがく発足ほっそくと同時どうじに、総長そうちょうは法科ほうか大だい学長がくちょうを兼任けんにんし、あわせて東京とうきょう府下ふかの五大ごだい私立しりつ法律ほうりつ学校がっこう（現げん、専修大学せんしゅうだいがく、明治大学めいじだいがく、早稲田わせだ(わせだ)大学だいがく、中央大学ちゅうおうだいがく、法政大学ほうせいだいがく）の教育きょういく課程かていを監督かんとくする権限けんげんを与あたえられた。また、文官ぶんかん試験しけん試補しほ及見習みならい規則きそく（1887）により帝国ていこく大学だいがく卒業生そつぎょうせいは事実じじつ上じょう無試験むしけん任用にんようの特典とくてんが付与ふよされた。1890年ねんには農のう科か大学だいがく（旧きゅう、東京とうきょう農林のうりん学校がっこう・農のう商務省しょうむしょう所管しょかん）を設置せっちした。

［中野なかの　実み］

東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく時代じだい

1897年ねん（明治めいじ30）から1947年ねん（昭和しょうわ22）までの50年間ねんかん、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく時代じだいとなる。大正たいしょうなかばまで制度せいどおよび実態じったい上じょうに大おおきな変化へんかはみられず、その規模きぼを拡大かくだいしていった。伝染病でんせんびょう研究所けんきゅうじょ（1916）、航空こうくう研究所けんきゅうじょ（1921）などの附置ふち研究所けんきゅうじょが誕生たんじょうし、演習えんしゅう林りんも旧きゅう植民しょくみん地ち等とう（台湾たいわん、朝鮮ちょうせん、樺太からふと(からふと)）へ拡大かくだいしていった。

　1918年ねん（大正たいしょう7）大学だいがく令れいが公布こうふされ、帝みかど大だい以外いがいに官公かんこう私立しりつ大学だいがくの設置せっちが法認ほうにんされた。また分科ぶんか大学だいがく制せいが学部がくぶ制せいに改あらためられ、学部がくぶを構成こうせい原理げんりとする総合大学そうごうだいがく制せいが採用さいようされた。東京とうきょう帝国ていこく大学だいがくにおいてもこの時期じきさまざまの改革かいかくが行おこなわれた。(1)4月がつ学年がくねん開始かいし（従前じゅうぜん9月がつ）、(2)優等生ゆうとうせい・特待とくたい生せいの廃止はいし、(3)卒業そつぎょう式しきの廃止はいし（ただし1928年ねん復活ふっかつ）、(4)教授きょうじゅ・助教授じょきょうじゅの定年ていねん制せい（60歳さい）、(5)総長そうちょう・学部がくぶ長ちょう候補者こうほしゃの選挙せんきょなどが逐次ちくじ実施じっしされていった。学部がくぶ・研究所けんきゅうじょの増設ぞうせつも行おこなわれ、学部がくぶでは経済学部けいざいがくぶ（1919）、ついで第だい二に工学部こうがくぶ（1942年ねん、1951年ねん閉学）があり、附置ふち研究所けんきゅうじょでは東京とうきょう天文台てんもんだい、地震じしん研究所けんきゅうじょをはじめ、第だい二次世界大戦前東京帝大唯一の人文じんぶん系けいの研究所けんきゅうじょとして東洋とうよう文化ぶんか研究所けんきゅうじょ、戦争せんそう末期まっきに至いたり南方なんぽう自然しぜん科学かがく研究所けんきゅうじょ（1946年ねん立地りっち自然しぜん科学かがく研究所けんきゅうじょと改称かいしょう、1952年ねん廃止はいし）、輻射ふくしゃ(ふくしゃ)線せん化学かがく研究所けんきゅうじょ（1950年ねん廃止はいし）が設もうけられた。戦後せんご改組かいそ・廃止はいしされたものを含ふくめて、1945年ねんの敗戦はいせんまでに七ななつの附置ふち研究所けんきゅうじょがあった。また、この時期じき、大だい講堂こうどう（通称つうしょう安田やすだ講堂こうどう）の竣工しゅんこう(しゅんこう)（1925）、農学部のうがくぶの目黒めぐろ区く駒場こまんば(こまば)から本郷ほんごう弥生やよい(やよい)町まちへの移転いてん（1935年ねん、旧制きゅうせい第一高等学校だいちこうとうがっこうとの敷地しきち交換こうかん）などがあった。

［中野なかの　実み］

新制しんせい東京大学とうきょうだいがく

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの敗戦はいせん直後ちょくごから連合れんごう国軍こくぐんによる接収せっしゅう問題もんだい、教職員きょうしょくいん・学生がくせいの宿舎しゅくしゃ問題もんだい、教授きょうじゅの復帰ふっきと公職こうしょく追放ついほうなどの難問なんもんが生しょうじるとともに、戦時せんじ体制たいせいの払拭ふっしょく(ふっしょく)が進行しんこうした。そのなかでも、1946年ねん（昭和しょうわ21）の女子じょし学生がくせいの入学にゅうがくは創立そうりつ以来いらいのことで、明あかるいニュースであった。1947年ねん東京とうきょう帝国ていこく大学だいがくは東京大学とうきょうだいがく（旧制きゅうせい）となり、社会しゃかい科学かがく研究所けんきゅうじょ、新聞しんぶん研究所けんきゅうじょ（現げん、大学院だいがくいん情報じょうほう学がく環たまき）など新あたらしい研究所けんきゅうじょが設置せっちされた。1949年ねんには国立こくりつ学校がっこう設置せっち法ほうが公布こうふ、新制しんせい東京とうきょう大学だいがくが発足ほっそくする。新制しんせい東京とうきょう大学だいがくは旧制きゅうせい第一高等学校だいちこうとうがっこう、旧制きゅうせい東京とうきょう高等こうとう学校がっこうを包摂ほうせつし、教養きょうよう学部がくぶ、教育きょういく学部がくぶを設置せっち、9学部がくぶ、10附置ふち研究所けんきゅうじょで出発しゅっぱつした。1958年ねんには薬学部やくがくぶが設もうけられた。1968年ねん医学部いがくぶ研修けんしゅう医い問題もんだいに端はしを発はっした紛争ふんそうが起おこり、それにより1969年度ねんどの入学にゅうがく試験しけんが中止ちゅうしされた。1977年ねん創立そうりつ100年ねんを迎むかえた。1981年ねん附置ふち研けんの宇宙うちゅう航空こうくう研究所けんきゅうじょ、1988年ねん東京とうきょう天文台てんもんだいが文部省もんぶしょう（現げん、文部もんぶ科学かがく省しょう）に移管いかんされ、それぞれ宇宙うちゅう科学かがく研究所けんきゅうじょ、国立こくりつ天文台てんもんだいとなった。1996年ねん（平成へいせい8）東京大学とうきょうだいがく総合そうごう研究けんきゅう博物館はくぶつかんを開設かいせつ。

［中野なかの　実み］