ロンドンに行ってから、日本にいるときよりもミュージシャンに会うようになりました。みんな、けっこうロンドンに来てるんですよね。この前も小袋成彬くんに初めて会ったりとかフワちゃん、PORIN(Awesome City Club)もロンドンに来てました。彼らとひさしぶりに会うことによって刺激をもらいました。日本でのせわしない時間から離れて、みんながどういうことを考えているのかをじっくり聞けるから。海外まで行ってるのに日本人とばかりツルんでんじゃねえよとは自分でも思います。でもみんなけっこうロンドンに来るから、結果的に忙しい(笑)。
「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」もそうですけど、先進的な会社って、海外で成功しているシステムを本当に早くから持ってきたりしてるんですよね。ロッキング・オンはフェス公式アプリを導入するのがめちゃくちゃ早かったと思うんですよ。あのアプリでユーザーのビッグデータを分析しているんだと思います。WACKはファンクラブとかにしてもダメ。アプリでビッグデータを取り扱ったり、そういうことができてないので、けっこうヤバいですね。やれよって話ですけど(笑)。でも革新的な部分で言うと、BiSHの東京ドーム公演の最前席はOpenSea(世界最大のNFTマーケットプレイス)で、イーサリアム(ETH)オンリーでチケットを販売しました。NFTとかブロックチェーンを取り入れるなら、やっぱり本家のプラットフォームでやらないと。日本独自のプラットフォームだと本物とは言えないんじゃないかとすら思います。今、NFTを取り入れてる運営がそれをわかってないのか、それともそうせざるを得ないのか、わかりませんけどね。
でも日本とイギリスって国民性に関して言えば、非常に似ているなと感じます。僕の中で試してみたいことがあって、いわゆる「応援するストーリーを描く」みたいなことって、実はイギリスでもできるんじゃないかという気がしていて。地下アイドルのフォーマットをイギリスで流行らせることはできるかもしれない。でも僕たちが本当に向き合わなきゃいけないのはK-POPだろうなと。イギリス人に限らず、外国人と会って話して「自分はジャパニーズだ」って伝えると、「K-POPが好き」ってめっちゃ言われるのが悲しい。毎回説明するんですけどね、「K-POPのKはKoreaのKだよ」と。日本人の海外進出はいつの時代もなかなか難しい。でもアメリカの「コーチェラ(Coachella Valley Music and Arts Festival)」に行ってみたら、YOASOBIは人気だったし、88risingががんばっているからアジア勢が紹介される場面もありました。僕は観てないですけど、藤井風さんもロサンゼルスとかでけっこういい感じだったみたいだし、ロンドンとかヨーロッパだとBABYMETALががんばってる。僕が高校生だった20年以上前とは違う状況になっているから、もう1回、別の新しい何かを切り拓くチャンスだと捉えて、このチャンスを僕のパワーの1つにできたらいいな。そもそも僕たちは、まったく海外戦略を練れていないので、それはこれからやっていけたらと思っています。