研究けんきゅう / Research

コンテンツ科学かがく研究けんきゅう系けい

池畑いけはた諭さとし
IKEHATA Satoshi
コンテンツ科学かがく研究けんきゅう系けい准じゅん教授きょうじゅ

学位がくい：博士はかせ（情報じょうほう理工りこう学がく）、東京大学とうきょうだいがく
専門せんもん分野ぶんや：パターンメディア
研究けんきゅう内容ないよう：https://researchmap.jp/sikehata/
研究けんきゅう室しつWEB

研究けんきゅう紹介しょうかい

高こう精度せいどな３次元じげん復元ふくげん技術ぎじゅつの実用じつよう化かを目指めざす

２次元じげん情報じょうほうを３次元じげんに復元ふくげん

　人間にんげんの視覚しかくは、見みる対象たいしょうの奥行おくゆき等とうの情報じょうほうを複雑ふくざつに組くみ合あわせて知覚ちかくし、３次元じげんのものとして把握はあくします。私わたしはこの人間にんげんの目めの機能きのうをいかにコンピュータで再現さいげんするか、すなわち、写真しゃしんなどの２次元じげんの画像がぞう情報じょうほうをいかに３次元じげん情報じょうほうとして復元ふくげんするかという「コンピュータビジョン」の研究けんきゅうに取とり組くんでいます。
　これまでは１台だいのカメラでさまざまな角度かくどから光ひかりを当あてた対象たいしょう物ぶつを撮影さつえいし、１ひとつの対象たいしょう物ぶつの多数たすうの陰影いんえいパターンを元もとに３次元じげん復元ふくげんしていく「フォトメトリックステレオ法ほう」を中心ちゅうしんに研究けんきゅうしてきました。特徴とくちょうは小ちいさな対象たいしょう物ぶつの細こまかい形状けいじょうまで精緻せいちに復元ふくげんできる点てんにあり、油絵あぶらえの筆致ひっちの再現さいげんのほか、内視鏡ないしきょう画像がぞうの３次元じげん復元ふくげんなども可能かのうです。

不動産ふどうさん業界ぎょうかいへの応用おうよう

　とはいえ、コンピュータビジョンの応おう用例ようれいはまだわずかです。研究けんきゅう成果せいかの応用おうようを目指めざし、前まえ職しょくのワシントン大学だいがくでは、不動産ふどうさん会社かいしゃとの共同きょうどう研究けんきゅうにより物件ぶっけん情報じょうほうの３次元じげんモデル化かを行おこないました。アメリカではインターネットの情報じょうほうだけで不動産ふどうさんの購入こうにゅうや賃貸ちんたいを決きめることが多おおく、物件ぶっけんの詳細しょうさいな３次元じげん情報じょうほう化かが求もとめられていたのです。
　それまでも屋内おくないの３次元じげん復元ふくげん例れいはありましたが、あくまで間取まどり図ずを３次元じげん化かするだけのもので、部屋へやの区分くぶんやつながり、あるいはどこが寝室しんしつであるかといったような、住すむために必要ひつようとなる意味いみ的てき情報じょうほうを付与ふよできない状況じょうきょうでした。それに対たいして我々われわれは、部屋へやの複数ふくすう箇所かしょで撮影さつえいした写真しゃしんをもとに３次元じげん復元ふくげんする独自どくじの手法しゅほうを用もちいて、３次元じげんモデルに意味いみ的てき情報じょうほうを与あたえ、CADきゃどとの連携れんけいも可能かのうな使つかい勝手がっての良よい物件ぶっけん情報じょうほうをつくることに成功せいこうしました。

ディープラーニングとの融合ゆうごうを目指めざす

　現在げんざいは３次元じげん復元ふくげんとディープラーニングを組くみ合あわせ、陰影いんえいパターン等とうの大量たいりょうのデータを読よみ込こませて学習がくしゅうさせることで復元ふくげん精度せいどを上あげる研究けんきゅうを進すすめています。しかし、現在げんざいのディープラーニングでは、２次元じげん情報じょうほうの入力にゅうりょくから３次元じげん情報じょうほうを出力しゅつりょくするのは困難こんなんです。正確せいかくな3次元じげん情報じょうほうを復元ふくげんする研究けんきゅうはまだ世界せかいに成功せいこう例れいがなく、私わたしは世界せかいにインパクトを与あたえうる難題なんだいに挑戦ちょうせんしています。
　また、既存きそんのディープラーニングでは、対象たいしょうを決きめたら、その対象たいしょうにしかアルゴリズムを適用てきようできないという課題かだいもありました。つまり、ある用途ようとの３次元じげん復元ふくげん用ようアルゴリズムは他たの対象たいしょうに転用てんようできないのです。そのため、そのような制約せいやくをなくし、汎用はんよう性せいを高たかめる手法しゅほうの開発かいはつにも取とり組くんでいます。さらに、人間にんげんの視覚しかくが両りょう眼め視しによる視差しさや陰影いんえい、テクスチャーなど複数ふくすうの手てがかりから３次元じげん復元ふくげんをするように、コンピュータが複数ふくすうの手てがかりを組くみ合あわせて３次元じげんの復元ふくげんを可能かのうにするところまで実現じつげんさせたいと考かんがえています。
　将来しょうらい的てきには、それらの３次元じげん復元ふくげん技術ぎじゅつを用もちいたアプリケーション開発かいはつを通とおして、研究けんきゅう成果せいかを社会しゃかいに還元かんげんしていくことを目指めざしています。