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米GitHub(ギットハブ)が提供するソフトウエア開発支援AI(人工知能)サービス「GitHub Copilot」の導入事例が続出している。
「GitHub CopilotやChatGPTといった生成AIを利用するサービスをキャッチアップしていかないと、会社としてマイナスになる。こうしたツールを活用しないという選択肢はなかった」。生産スケジュール管理ツール「最適ワークス」などを提供するスカイディスクの内村安里代表取締役CEO(最高経営責任者)は、GitHub Copilot導入の背景をこう語る。スカイディスクは2023年3月、同ツールを社内の全エンジニアを対象に導入すると発表した。
また、マーケティング支援ツールを提供するナイルもGitHub Copilotを社内の全エンジニアに提供すると発表した。ほかにも全社的に導入する企業が相次いでいる。
GPT-4対応などを機に企業レベルで導入する事例が増加
GitHub Copilotは、米Microsoft(マイクロソフト)の開発ツール「Visual Studio」や「Visual Studio Code」、チェコJetBrains(ジェットブレインズ)が提供する各種統合開発環境(IDE)などに補助機能として組み込むことで利用できる。ユーザーがこれらの開発ツール上でコードやコメントを入力すると、プログラムの文脈などに沿ったコードの候補をGitHub Copilotが提案してくれる。提案されたコードを受け入れるかどうかはユーザーが選択できる。
GitHub Copilotでは、コードを途中まで書くと続き(青い線の部分)を自動で生成してくれる
(出所:米GitHub)
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GitHubは2023年3月、米OpenAI(オープンAI)が開発した大規模言語モデル「GPT-4」を利用して質問に答える機能や、ソースコード管理サービス「GitHub」でコードを修正する際に修正の説明文を自動生成する機能などをGitHub Copilotに試験的に追加した。こうした大幅な機能強化により、全社的に採用する企業が増えている。
GitHubが2023年2月に公開したブログ記事では「GitHub Copilotはすべてのプログラミング言語で平均46%のコードを生成しており、開発者のコード作成を最大55%高速化した」としている。なお、「GitHub Copilot X」はGitHubが試験的に提供する新機能の総称であり、サービス名としては「GitHub Copilot」である。
GitHub Copilotを業務で利用するナイルの工藤択斗メディアテクノロジー事業部VPoE/エンジニアリングマネージャーは、「簡単なモジュールならクリックだけで作成できるケースもある」とその威力を語る。
一方で生成AIサービスに入力した情報は、サービス提供者側でモデルの追加学習に使われるリスクもある。機密情報や個人情報などが外部に流出すると、セキュリティーインシデントの発生は避けられない。業務でGitHub Copilotを活用する際のルール整備をどう進めればいいのか。先行企業2社の取り組みから導入の勘所を探る。