ぜん1359文字もじ

 えいDeepMind(ディープマインド)の囲碁いごAI(Artificial Intelligence、人工じんこう知能ちのう)「AlphaGo」がイ・セドル名人めいじんはつ対戦たいせんしたとき、AlphaGoはプロ棋士きしでも理解りかいできない予想よそうがいった――。こんなふうに、深層しんそう学習がくしゅう(ディープラーニング)にもとづく機械きかい学習がくしゅう実装じっそうしたAIが想像そうぞうがい推論すいろん結果けっかしたとき、「なぜ」とおもうだろう。

 その気持きもちはかる。だが推論すいろんいたった「理由りゆう」を説明せつめいしてほしいのであれば、機械きかい学習がくしゅうではなくロジックやルールにもとづくAIを使つかうべきだろう。

 深層しんそう学習がくしゅうもちいられている技術ぎじゅつが、のう神経しんけい回路かいろをモデルしたニューラルネットワークだ。そしてニューラルネットワークによる推論すいろん結果けっかには、理由りゆうからないので不安ふあんだという意見いけんがつきまとう。なんと1980年代ねんだいだい2AIブームのころからそうした意見いけんがあった。

 かんがえてみれば、理由りゆうからないのはたりまえであり、「そういうものだ」とって使つかうべきであろう。そもそもニューラルネットワークにおける推論すいろんとは、教師きょうしデータ(ある一定いっていりょう入力にゅうりょくデータと出力しゅつりょくデータのくみ)を学習がくしゅうした結果けっかとして、なにかデータを入力にゅうりょくするとそれなりにたしからしいデータを出力しゅつりょくすることである。くわえて、学習がくしゅうしたデータそのものにもとづかなくても、入力にゅうりょくたいしてそれなりにいいかんじの結果けっかしてくれる。

 この「いいかんじ」らしさを「ひろし性能せいのう」とぶ。機械きかい学習がくしゅうには様々さまざま種類しゅるいがあるが、深層しんそう学習がくしゅうはこのひろし性能せいのうたかさが評価ひょうかされている。

 だいたい機械きかい学習がくしゅう使つか場面ばめんというのは、明確めいかくなロジックやルールとして記述きじゅつしきれないなにかを、うまくシステムしたいときだ。ちゃんとロジックやルールを記述きじゅつできるのなら、それにもとづくAIをつくって使つかうべきである。

 そうではなく、自分じぶん認知にんちれない、あるいは言語げんごれないから深層しんそう学習がくしゅう使つかうのに、それをたなげて「出力しゅつりょく理由りゆう説明せつめいせよ」とするのは惰弱だじゃくといえよう。