行くだり台だい

行くだり台だい是これ魏ぎ晉すすむ至いたり金代かなだい尚書しょうしょ省しょう在外ざいがい設置せっち的てき臨時りんじ分ぶん支ささえ機構きこう。「台だい」指ゆび在ざい中央ちゅうおう的てき尚書しょうしょ省しょう，出征しゅっせい時じ駐ちゅう行くだり在ざい當地とうち設立せつりつ的てき臨時りんじ性せい機構きこう稱しょう為ため「行くだり台だい」，又また稱たたえ「行くだり尚書しょうしょ台だい」或ある「行くだり台だい省しょう」。

魏ぎ晉すすむ時期じき

曹魏甘露かんろ二に年ねん（257年ねん），司馬しば昭あきら討伐とうばつ諸しょ葛かずら誕，尚書しょうしょ僕ぼく射しゃ陳ちん泰やすし、中書ちゅうしょ侍さむらい郎ろう鍾會等とう以「行くだり台だい」隨從ずいじゅう出征しゅっせい。西にし晉すすむ永えい嘉之よしゆき亂らん，尚書しょうしょ令れい東海とうかい王おう司馬しば越えつ以「行くだり台だい」率りつ軍ぐん四よん萬まん討伐とうばつ漢かん趙ちょう大將たいしょう石いし勒。以後いご尚書しょうしょ省しょう長官ちょうかん出征しゅっせい，隨ずい軍ぐん的てき機構きこう稱しょう為ため「行くだり台だい」。

南北なんぼく朝あさ時期じき

到いた了りょう北きた魏たかし，「行くだり台だい」成なり為ため皇帝こうてい派出はしゅつ的てき特使とくし，指揮しき軍事ぐんじ或ある巡視じゅんし邊境へんきょう，但ただし不ふ常設じょうせつ不ふ管かん地方ちほう民政みんせい。天てん興きょう元年がんねん(398年ねん)，道みち武たけ帝みかど拓つぶせ跋ばつ珪攻おさむ佔後こう燕つばめ首都しゅと中山なかやま（今こん河北かわきた定じょう縣けん）一帶いったい，因いん為ため都城みやこのじょう遠とお在ざい平城ひらじろ（今こん山西さんせい大同だいどう市し城北しろきた），就近於鄴城（今こん河北かほく省しょう臨漳縣けん）、中山なかやま置おけ「行くだり台だい」，讓ゆずる尚書しょうしょ令れい拓つぶせ跋ばつ儀ぎ管理かんり。熙平元年がんねん (516年ねん)，南朝なんちょう梁りょう武たけし帝みかど遣や左ひだり游ゆう擊げき將軍しょうぐん趙ちょう祖そ悅えつ率りつ眾數萬襲據西硤石，進しん逼壽ことぶき春はる。北きた魏ぎ以李平ひらた為ため尚書しょうしょ右みぎ僕ぼく射しゃ置おけ「行くだり台だい」節度せつど諸しょ軍ぐん，破やぶ硤石城じょう，斬き趙ちょう祖そ悅えつ。魏ぎ孝文たかふみ帝みかど元宏もとひろ遷都せんと洛陽らくよう，以尚書しょ左ひだり僕ぼく射しゃ源げん懷ふところ為ため「行くだり台だい」，巡視じゅんし北邊ほくへん六ろく鎮和恆つね、燕つばめ、朔ついたち三さん州しゅう。正せい光ひかり五ご年ねん (524年ねん)，相あい繼つぎ爆發ばくはつ六ろく鎮之亂らん、關せき隴起義よし，北きた魏たかし不ふ得とく不在ふざい各地かくち設しつらえ「行くだり台だい」指揮しき鎮壓ちんあつ。先後せんご以尚書しょ僕ぼく射しゃ元げん脩おさむ義よし、大だい都と督とく蕭しょう寶たから寅とら為ため「西にし道行みちゆき台だい」，鎮壓ちんあつ關せき中ちゅう莫折念ねん生せい起おこり義ぎ。孝昌たかまさ元年がんねん (525年ねん)，以尚書しょ幽かそけ州しゅう刺史しし常つね景けい為ため「行くだり台だい」，鎮壓ちんあつ河北かほく杜もり洛らく周しゅう起おこり義ぎ。

北きた魏たかし孝明たかあき帝みかど、孝こう莊そう帝みかど時とき，「行くだり台だい」設置せっち較多。出で任にん「行くだり台だい」長官ちょうかん的てき多た兼任けんにん當とう州しゅう刺史しし或ある都と督とく諸しょ州しゅう軍事ぐんじ，成なり為ため地方ちほう性せい軍事ぐんじ指揮しき機關きかん。正せい光ひかり年間ねんかん，有ゆう曹世表ひょう為ため「東南とうなん道行みちゆき台だい」、東豫とうよ州しゅう刺史しし。魏ぎ子こ建けん為ため「山南さんなん行ゆき台だい」，梁りょう、巴ともえ、二に益えき、兩りょう秦しん之の事こと，皆みな歸き其節度ど。正せい光ひかり末すえ，以薛脩おさむ義よし都と督とく華はな、豳、東ひがし秦しん諸もろ州しゅう軍事ぐんじ，為ため「西にし道行みちゆき台だい」。孝昌たかまさ年間ねんかん，楊津為ため定じょう州しゅう刺史しし兼けん「北道ほくどう行ゆき台だい」。武たけ泰やすし元年がんねん (528年ねん)孝明たかあき帝みかど任命にんめい爾しか朱しゅ榮さかえ為ため「北道ほくどう大だい行ぎょう台だい」，「大だい行くだり台だい」稱號しょうごう始はじめ見み於此。其後爾しか朱しゅ氏し兄弟子あにでし侄各據よりどころ一方いっぽう，多た任にん「大だい行くだり台だい」。

北きた魏たかし末まつ年ねん，高こう歡專權せんけん，為ため「大だい行くだり台だい」，其餘「行くだり台だい」都と被ひ廢除はいじょ。孝こう武たけ帝みかど欲よく分ぶん高だか歡之權けん，以賀が拔岳為ため「關西かんさい道どう大だい行ぎょう台だい」，都と督とく雍、涼りょう、梁りょう、益えき等とう二に十じゅう州しゅう諸しょ軍事ぐんじ；以賀が拔勝為ため荊州刺史しし、尚書しょうしょ左ひだり僕ぼく射しゃ、「南道みなみどう大だい行ぎょう台だい」。賀が拔岳死し，宇文うぶん泰たい繼つぎ任にん。東あずま魏たかし、西にし魏たかし分立ぶんりつ，高こう歡在東ひがし魏ぎ為ため丞相じょうしょう、「大だい行くだり台だい」，駐ちゅう并州，於州治ち晉すすむ陽ひ置おけ丞相じょうしょう府ふ。宇文うぶん泰たい在ざい西にし魏たかし亦また任にん「大だい行くだり台だい」，都と督とく內外軍事ぐんじ，鎮雍州しゅう。高こう歡任命にんめい侯ほう景けい為ため「河南かなん道どう大だい行ぎょう台だい」， 鎮虎牢ろう，擁よう兵へい十じゅう萬まん，專制せんせい河南かなん，指揮しき對たい西にし魏たかし、南みなみ梁はり的てき戰爭せんそう。南みなみ梁はり中ちゅう大同だいどう二に年ねん (547年ねん)，侯ほう景けい叛東魏ぎ降くだ南みなみ梁はり，上表じょうひょう稱たたえ黃河こうが以南いなん，皆みな他た所掌しょしょう管かん，請舉函はこ谷だに(今こん河南かなん新しん安やす北きた)以東いとう，瑕きず丘おか(今こん山東さんとう兗州北きた)以西いせい，豫よ、廣こう、郢、荊、襄じょう、兗、南みなみ兗、濟すみ 、東豫とうよ、洛らく、陽ひ、北きた荊、北きた揚あげ等とう十じゅう三さん州しゅう內附，所しょ列れつ當とう即そく「河南かなん道どう大だい行ぎょう台だい」的てき管轄かんかつ範圍はんい。

北きた魏たかし「行くだり台だい」的てき組織そしき雖略同どう於「中台ちゅうたい」(在ざい中央ちゅうおう的てき尚書しょうしょ台だい)，有ゆう令れい、僕ぼく射しゃ、尚書しょうしょ、丞すすむ、郎等ろうどう員いん，但ただし都と是ぜ臨時りんじ權けん置おけ，並なみ不ふ完備かんび。「行くだり台だい」的てき官かん長ちょう，不ふ一定いってい都と有ゆう令れい、僕ぼく射しゃ、尚書しょうしょ等とう官位かんい。

北きた齊ひとし「行くだり台だい」承うけたまわ北きた魏ぎ制せい，「并州大だい行ぎょう台だい」改稱かいしょう并州尚書しょうしょ省しょう，地位ちい僅在鄴城北きた齊ひとし中央ちゅうおう尚書しょうしょ省しょう之の下した。其餘下台しもだい多た以州劃分，史籍しせき所見しょけん有ゆう：

• 「幽かそけ州しゅう道行みちゆき台だい」，亦また稱たたえ「北道ほくどう行ゆき台だい」，駐ちゅう薊あざみ(今北いまきた京きょう西北せいほく)；
• 「朔ついたち州しゅう道行みちゆき台だい」，駐ちゅう廣安ひろやす(今こん山西さんせい朔さく縣けん)；
• 「晉すすむ州しゅう道行みちゆき台だい」，駐ちゅう平ひら陽ひ(今こん山西さんせい臨汾)；
• 「建けん州しゅう道行みちゆき台だい」，駐ちゅう高こう都と(今こん山西さんせい晉すすむ城東北じょうとうきた)；
• 「東ひがし雍州行ぎょう台だい」，駐ちゅう正平しょうへい(今山いまやま西新にしあら絳);
• 「洛らく州しゅう行あるき台だい」，亦また稱たたえ「河南かなん道行みちゆき台だい」，駐ちゅう洛陽らくよう；
• 「河陽かわよう道行みちゆき台だい」，駐ちゅう河陽かわよう(今こん河南かなん孟はじめ縣西けんせい)；
• 「豫よ州しゅう道行みちゆき台だい」，駐ちゅう汝なんじ南みなみ(今こん屬ぞく河南かなん)；
• 「東ひがし徐じょ州しゅう行あるき台だい」，亦また稱たたえ「東南とうなん道行みちゆき台だい」，駐ちゅう下した邳(今こん屬ぞく江蘇ちぁんすー)；
• 「揚あげ州しゅう道行みちゆき台だい」，駐ちゅう壽ことぶき春はる(今こん安徽あんき壽ことぶき縣けん)。

以上いじょう「行くだり台だい」之これ外がい，東あずま魏たかし、北きた齊ひとし又また有ゆう臨時りんじ性せい「行くだり台だい」，指揮しき與あずか西にし魏たかし、南みなみ梁はり作戰さくせん，巡視じゅんし地方ちほう，事こと畢即撤除。北きた齊ひとし文宣ふみのぶ帝みかど時じ，辛からし術じゅつ為ため東ひがし徐じょ州しゅう刺史しし、「東南とうなん道行みちゆき台だい」，駐ちゅう下した邳，所しょ統すべ十餘州地犯法者，悉由術じゅつ判ばん處しょ。此時「行くだり台だい」才ざい開始かいし管理かんり地方ちほう民政みんせい。

西にし魏たかし「行くだり台だい」不ふ常設じょうせつ。除のぞき宇文うぶん泰たい自任じにん「大だい行くだり台だい」外そと，獨どく孤こ信しん為ため荊州刺史しし、「東南とうなん道行みちゆき台だい」。王思おうし政せい為ため「東道とうどう行ぎょう台だい」，駐ちゅう玉たま壁かべ，都と督とく汾、晉すすむ、並なみ諸もろ州しゅう軍事ぐんじ。侯ほう景けい叛東魏ぎ，王思おうし政せい率りつ西にし魏ぎ軍ぐん入にゅう據よりどころ潁州，「行くだり台だい」亦また移うつり至いたり潁州。北きた周あまね置おけ總そう管かん府ふ(實じつ即そく「行くだり台だい」的てき後身こうしん)，遂とげ廢はい「行くだり台だい」之これ制せい。

南朝なんちょう無む「行くだり台だい」之これ制せい。梁はり末まつ侯こう景けい來き降ぶ，梁りょう武たけし帝みかど蕭しょう衍保留ほりゅう其「大だい行くだり台だい」稱號しょうごう，封ふう侯こう景けい為ため河南かなん王おう，都みやこ督ただし河南かなん諸しょ軍事ぐんじ。南朝なんちょう宋そう、齊ひとし時とき，由ゆかり中央ちゅうおう派出はしゅつ催徵賦ふ稅ぜい之の台たい使し，往往おうおう亦また自稱じしょう「行くだり台だい」，但ただし只ただ是ぜ名稱めいしょう相しょう同どう。

隋ずい唐から時期じき

隋ずい文ぶん帝みかど開ひらき皇すめらぎ二に年ねん(582年ねん)於並、洛らく、益えき三州各置河北道、河南かなん道どう、西南せいなん道行みちゆき台だい尚書しょうしょ省しょう，隋ずい文ぶん帝みかど以其子こ楊廣、楊俊、楊秀各かく為ため行ぎょう台だい尚書しょうしょ令れい。後こう廢はい洛らく州しゅう行あるき台だい，又また於襄州しゅう、壽ことぶき春はる兩りょう地ち設置せっち山さん南道みなみどう、淮南ワイナン道行みちゆき台だい。這兩處しょ「行くだり台だい」都と因いん為ため討伐とうばつ南みなみ陳ひね而設置せっち，統一とういつ以後いご就被廢除はいじょ了りょう。文ぶん帝みかど開ひらき皇すめらぎ九きゅう年ねん (589年ねん)後ご，「行くだり台だい」全部ぜんぶ被ひ廢除はいじょ，而置並なみ、揚あげ、益えき、荊四大だい總そう管かん府ふ，各かく統すべ十じゅう餘よ州しゅう至いたり數すう十じゅう州しゅう。隋ずい煬帝大業おおわざ元年がんねん (605年ねん)各かく總そう管かん府ふ也被廢除はいじょ。

唐から初はつ復ふく置おけ「大だい行くだり台だい」。「陝東道とうどう大だい行ぎょう台だい」置おけ於洛陽ひ，以秦王おう李り世よ民みん為ため尚書しょうしょ令れい，地位ちい在ざい其餘「行くだり台だい」之これ上じょう。其餘「行くだり台だい」如益州しゅう道どう、襄じょう州しゅう道どう、東南とうなん道どう、河東かわとう道みち、河北かわきた道みち，均ひとし以宗室しつ親王しんのう或ある親おや信しん大將たいしょう任にん尚書しょうしょ左ひだり僕ぼく射しゃ，為ため「行くだり台だい主ぬし」。武德ぶとく九きゅう年ねん (626年ねん)，諸道しょどう「行くだり台だい」也都廢除はいじょ。

隋ずい唐とう的てき「行くだり台だい尚書しょうしょ省しょう」則のり以「行くだり台だい尚書しょうしょ令れい」為ため最高さいこう長官ちょうかん，若わか不ふ置おけ令れい，即そく以左僕ぼく射しゃ為ため首くび。置おけ官かん大略たいりゃく同どう中台ちゅうたい而人數にんずう較少。「行くだり台だい」主要しゅよう為ため處理しょり軍務ぐんむ而設，故こ以兵部ぶ居きょ首くび，又また兼けん綜民事みんじ，故こ吏、戶と、刑けい、工こう並置へいち，卻往往おうおう一人ひとり兼けん兩りょう職しょく或ある三さん職しょく。唯ただ禮れい部ぶ僭越せんえつ中央ちゅうおう權力けんりょく，以及天下でんか只ただ有ゆう京きょう城じょう可か建けん天子てんし旌旗せいき而而往往おうおう不ふ被ひ設置せっち。「行くだり台だい」的てき統轄とうかつ地區ちく既すんで廣こう，位い重じゅう權けん大だい，不利ふり於中央ちゅうおう集權しゅうけん，所以ゆえん唐から太ふとし宗そう李り世よ民みん即位そくい後ご就予以廢除じょ。

金元かねもと時期じき

金きむ天てん會かい十じゅう五ご年ねん(1137年ねん)，廢はい偽にせ齊ひとし國こく，於汴京（今こん河南かなん開封かいふう）成立せいりつ「行くだり台だい尚書しょうしょ省しょう」，管理かんり偽にせ齊ひとし國こく舊きゅう地ち。「行くだり台だい尚書しょうしょ省しょう」由ゆかり朝廷ちょうてい尚書しょうしょ省しょう統すべ領りょう，設しつらえ行くだり台だい左ひだり丞相じょうしょう和行かずゆき台だい右みぎ丞相じょうしょう。天てん眷元年がんねん(1138年ねん)，因いん為ため根據こんきょ金きん宋そう紹興しょうこう和議わぎ，河南かなん、陝西せんせい要よう歸還きかん南みなみ宋そう，「行くだり台だい尚書しょうしょ省しょう」改あらため設しつらえ到いた中京ちゅうきょう。但ただし天てん眷三さん年ねん(1140年ねん)五ご月がつ，完かん顏がお宗むね弼（兀朮）晉すすむ升ます都と元帥げんすい，撕毀和わ約やく重おも新しん攻おさむ宋そう佔領河南かなん、陝西せんせい，復ふく設しつらえ「行くだり台だい尚書しょうしょ省しょう」於汴京きょう。天德てんとく二に年ねん(1150年ねん)，「行くだり台だい尚書しょうしょ省しょう」被ひ廢はい。

元もと代だい設置せっち的てき「御ご史し台だい」，也簡稱しょう為ため「行くだり台だい」。地方ちほう行政ぎょうせい機構きこう與あずか及行くだり尚書しょうしょ台だい的てき權力けんりょく則そく被ひ行くだり中書ちゅうしょ省しょう代替だいたい。

參まいり見み

• 行くだり在ざい、行あるき都と：君主くんしゅ行ぎょう鑾駐蹕所在しょざい。
• 行くだり省しょう：朝廷ちょうてい指ゆび派は官員かんいん到いた地方ちほう行使こうし省しょう級きゅう權力けんりょく。
• 紅べに壇だん：廟びょう會かい接せっ駕が神祇じんぎ的てき行ぎょう台だい。