チェーザレ・ロンブローゾ

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チェーザレ・ロンブローゾ

チェーザレ・ロンブローゾCesare Lombroso1835ねん11月6にち - 1909ねん10月19にち)は、イタリア精神せいしんで、犯罪はんざい生物せいぶつがくがたとなった犯罪はんざい人類じんるいがく英語えいごばんした[1]ノーベル生理学せいりがく医学いがくしょう受賞じゅしょうしたカミッロ・ゴルジ指導しどう教官きょうかんでもある。隔世かくせい遺伝いでんにより先祖返せんぞがえりした犯罪はんざいおかしやすい人類じんるいいち変種へんしゅ存在そんざいし、身体しんたい形質けいしつ外見がいけん)によって判別はんべつ可能かのうだとする生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつとなえ、当時とうじおおきな影響えいきょうりょくをもったが、現在げんざいでは否定ひていされている。「犯罪はんざいがくちち」ともばれることもあるが[注釈ちゅうしゃく 1]、「科学かがくとしての犯罪はんざいがくはロンブローゾにはじまる」というのは通説つうせつにすぎず、「犯罪はんざいがくにおける神話しんわ」であると指摘してきされている[2]

生涯しょうがい[編集へんしゅう]

1835ねん11月6にちきたイタリアのヴェローナで、ユダヤじん家庭かてい生誕せいたん[3]幼少ようしょうより天才てんさい名高なだかく、2さいでギリシアラテン語らてんご会話かいわし、14さいで『ローマの盛衰せいすい』をあらわした[4]。18さい医学いがくこころざし、パドヴァ大学だいがくウィーン大学だいがくパリ大学だいがく医学いがくまなんだ[5][4]1859ねん軍医ぐんいとしてイタリア統一とういつ戦争せんそう従軍じゅうぐん。1863ねんから1872ねんまでのあいだに、パヴィアペーザロレッジョ・エミリア精神せいしん病院びょういん院長いんちょう歴任れきにんした[5]パヴィア大学だいがく教授きょうじゅとなり、1876ねんトリノ大学だいがく法医学ほういがくおよび衛生えいせいがく教授きょうじゅとなり、トリノ監獄かんごく囚人しゅうじん研究けんきゅうはじめた[5][6]。1906ねん同大どうだい犯罪はんざい人類じんるいがく教授きょうじゅ就任しゅうにんした[6]

1870ねん4がつ10日とおかにニナ・デ・ベネデッティ(Nina De Benedetti)と結婚けっこんし、彼女かのじょとのあいだジーナイタリアばんふくむ5にんもうけた[7]

研究けんきゅう領域りょういきは、内分泌ないぶんぴつ異常いじょうビタミン欠乏症けつぼうしょう研究けんきゅう天才てんさい狂気きょうき関係かんけい研究けんきゅうするやまいあとがく(パトグラフィー)と幅広はばひろく、筆跡ひっせきがく催眠さいみん心霊しんれい現象げんしょう研究けんきゅうもある[4]。キャリアの初期しょきには忠実ちゅうじつ唯物ゆいぶつろんしゃだったが、晩年ばんねんには心霊しんれい主義しゅぎ興味きょうみち、心霊しんれい現象げんしょう事実じじつみとめるようになった[7]

1909ねん10月19にちトリノ死去しきょ。ジーナは父親ちちおや死後しごかれ晩年ばんねん著述ちょじゅつ編集へんしゅうして出版しゅっぱんした[7]

生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつ[編集へんしゅう]

犯罪はんざいじん』より
犯罪はんざいじん』より
犯罪はんざいじん』より
犯罪はんざいじん』より、刺青しせい
犯罪はんざいじん』より

ロンブローゾがおこなった研究けんきゅうのうちもっと有名ゆうめいなのは、1876ねん上梓じょうしされた『犯罪はんざいじんL'uomo delinquente、ホモ・デリンクエンス)』である。ぜん3かんやく1,900ページにもおよぶこの大著たいちょにおいて、かれ犯罪はんざいおよぼす遺伝いでんてき要素ようそ影響えいきょう指摘してきした。これは精神せいしん医学いがく概念がいねんであったベネディクト・モレルの「変質へんしつ」(堕落だらく退化たいか英語えいごばん概念がいねん犯罪はんざい研究けんきゅう導入どうにゅうしたものとえ、フランツ・ヨーゼフ・ガル骨相こっそうがく[注釈ちゅうしゃく 2]直接的ちょくせつてき継承けいしょうしており[注釈ちゅうしゃく 3]アンドレ・ミシェル・ゲリー英語えいごばんアドルフ・ケトレー犯罪はんざい統計とうけいがくチャールズ・ダーウィン進化しんかろんつよ影響えいきょうけていた[1][3]

ロンブローゾはかねてより「天賦てんぷ才能さいのう」についての研究けんきゅうおこない、『天才てんさい狂気きょうきGenio e follia1864ねん)』などの著作ちょさくうていた。ブリガンテイタリアばん(「山賊さんぞく」「匪賊ひぞく」と和訳わやくされる)のヴィレラの検視けんしおこなったさいに、頭蓋骨ずがいこつにある特徴とくちょう下等かとう脊椎動物せきついどうぶつのそれに類似るいじしていることを「発見はっけん」し、「突然とつぜんえさかるそらしたらしされた大地だいちのように、犯罪はんざいしゃ性質せいしつ問題もんだい」の解決かいけつひらめき、「かれらが原始げんしてき人類じんるい下等かとう動物どうぶつ残忍ざんにん本性ほんしょうをその身体しんたいうち再生さいせいさせた隔世かくせい遺伝いでん(atavism)の産物さんぶつである」という発想はっそう[10][11]。ロンブローゾはこのかんがえを「たんなるかんがえではなく啓示けいじである」であるとしょうしている[10]

骨相こっそうがく観相かんそうがく人類じんるいがく遺伝いでんがく統計とうけいがく社会しゃかいがくなどの手法しゅほう動員どういんし、退化たいか隔世かくせい遺伝いでんあらわ身体しんたいてき特徴とくちょう烙印らくいん)の目録もくろくつくり、人間にんげん身体しんたいてき精神せいしんてき特徴とくちょう犯罪はんざいとの相関そうかんせい検証けんしょうした。かれ処刑しょけいされた囚人しゅうじん遺体いたい解剖かいぼう頭蓋骨ずがいこつおおきさや形状けいじょう丹念たんねん観察かんさつした。解剖かいぼうされた頭蓋骨ずがいこつは383にのぼり、5907にん体格たいかく調査ちょうさした[12]。こうした多大ただい労力ろうりょくついやしたすえに、かれは「犯罪はんざいしゃには一定いってい身体しんたいてき精神せいしんてき特徴とくちょう(Stigmata)がみとめられる」との結果けっかいたった。

ロンブローゾは犯罪はんざいしゃ身体しんたいてき特徴とくちょうとして、つぎのような18項目こうもくげている。

  • ちいさなのう
  • あつ頭蓋骨ずがいこつ
  • おおきなあごあご前方ぜんぽうへの突出とっしゅつ
  • ひくがく
  • たか頬骨ほおぼね
  • たいらなはな、または上向うわむきのはな
  • のようなかたちをしたみみ
  • たかのようなはな
  • 肉付にくづきのよいくちびる
  • 異常いじょう歯並はなら
  • きびしいつき、およ目線めせん
  • 毛深けぶか
  • ひげがすくない、またはない
  • 下肢かしくらべてうでなが[13][7]

また精神せいしんてき特徴とくちょうとして道徳どうとく観念かんねん欠如けつじょ残忍ざんにんせい衝動しょうどうせい怠惰たいだひく知能ちのう痛覚つうかく鈍麻どんま、(ホモ・デリンクエンス特有とくゆう心理しんり表象ひょうしょうとしての)刺青しせいつよ自己じこ顕示けんじほっとう列挙れっきょした[13]先史せんし時代じだいひと未開みかいじん動物どうぶつとの比較ひかくから、これらの特徴とくちょう人類じんるいよりもむしろ類人猿るいじんえんにおいておおくみられるものであり、人類じんるいがくてきにみれば、原始げんしじん遺伝いでんてき特徴とくちょう隔世かくせい遺伝いでんによって再現さいげんした原始げんしてき先祖返せんぞがえり)また退行たいこうてき起源きげん複数ふくすう身体しんたいてき異常いじょう発現はつげんであり、犯罪はんざいしゃはこうした退行たいこうてき隔世かくせい遺伝いでんしょうじた、人類じんるい下等かとう段階だんかいよみがえり、人類じんるい一変いっぺんしゅホモ・デリンクエンス(犯罪はんざいじん」というせつてた[14][15][11]精神せいしん医学いがくてき見地けんちからは悖徳はいとくきょうと、病理びょうりがくてき見地けんちからはてんかんしょう診断しんだんされる。そしてこれらの特徴とくちょうをもってまれたものは、文明ぶんめい社会しゃかい道徳心どうとくしん責任せきにんかんわせておらず、文明ぶんめい社会しゃかい適応てきおうすることができず犯罪はんざいめやすい、すなわ犯罪はんざいしゃとなることを先天的せんてんてき宿命しゅくめいけられた存在そんざいであると結論けつろんけた[16]犯罪はんざいしゃやく3ぶんの1はホモ・デリンクエンスであって、生来せいらい素質そしつのために必然ひつぜんてき犯罪はんざいしゃになるのだから、道義どうぎてき非難ひなんという意味いみでの処罰しょばつ間違まちがっており、犯罪はんざい責任せきにんわせるわけにはいかないが、かれらは危険きけん存在そんざいであるのだから、国家こっか対策たいさくこうじねばならないと主張しゅちょうした[12]。ロンブローゾは犯罪はんざいしゃ人道的じんどうてき処遇しょぐう提唱ていしょうし、犯罪はんざいしゃ自身じしん社会しゃかいまもるために、ホモ・デリンクエンスを社会しゃかいから排除はいじょすることを主張しゅちょうし、ホモ・デリンクエンスでない犯罪はんざいしゃについては更生こうせいできるとかんが死刑しけい反対はんたいした[7]。ホモ・デリンクエンスの犯罪はんざいしゃ死刑しけい肯定こうていしている[17]

ロンブローゾは、文明ぶんめい中心ちゅうしんたるヨーロッパ内部ないぶに、「動物どうぶつや『未開みかいじん』のようにまずしく不潔ふけつ生活せいかつおく都市とし貧民ひんみん犯罪はんざいしゃ辺鄙へんぴ田舎いなか先史せんし時代じだい穴居けっきょじんのようにらす貧農ひんのうや、ししのような性欲せいよく性的せいてき倒錯とうさくしゃとう野蛮やばんじん』や『原住民げんじゅうみん』に相当そうとうする変質へんしつ退化たいかしたもの」、犯罪はんざいしゃ予備よびぐん存在そんざいするとして問題もんだいし、国民こくみんとしてかれらをどうにか近代きんだい国家こっか統合とうごうしなければならないとかんがえ、つみおかすことが宿命しゅくめいけられている人々ひとびとを、外見がいけんてき特徴とくちょうから犯行はんこうまえ識別しきべつして隔離かくりできるようにすることが、犯罪はんざい人類じんるいがく使命しめいであるとみなした[15]。イタリアが近代きんだい国家こっかとして統一とういつしたのは1861ねんとヨーロッパのなかおそく、南北なんぼくなが地域ちいき多様たようせいむイタリア半島はんとうくにとしてまとめることは難航なんこうしていた[16]和光大学わこうだいがく宮崎みやざきかすみは「ロンブローゾはイタリアの政治せいじてき後進こうしんせいという問題もんだい克服こくふくするために、進化しんかろんてき生物せいぶつがく形質けいしつ人類じんるいがく動員どういんした」とべている[16]

ロンブローゾの生得しょうとくてき犯罪はんざいせい理論りろん犯罪はんざい人類じんるいがくは、退化たいか変質へんしつそとから識別しきべつ可能かのうなものとかんがえたてん人類じんるいがく系譜けいふぞくしており、「生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつ」とばれている[16]。しかし、1906ねん最後さいご著書ちょしょ犯罪はんざい原因げんいん治療ちりょう』では、大幅おおはば犯罪はんざい環境かんきょう要因よういんくわえており、主張しゅちょうにかなり変化へんかられる[18]

犯罪はんざいしゃだけでなく娼婦しょうふ同性愛どうせいあいしゃも、隔世かくせい遺伝いでんによって当代とうだいのヨーロッパじんよりもなに世代せだいまえ未開みかい野蛮やばん状態じょうたい先祖返せんぞがえりしており、そのため売春ばいしゅん同性愛どうせいあいといった行動こうどうはしるのだと説明せつめいした[19]

犯罪はんざい人類じんるいがくでは、人間にんげん行為こういは「のうという生理学せいりがくてき要素ようそによって決定けっていされる傾向けいこうがある」として、「精神せいしんのうという物質ぶっしつ作用さよう」であるとかんがえる[9]哲学てつがくしゃ中山なかやまはじめは、「これは精神せいしんが『もの』とみなされるということである」とべている[9]

女性じょせい犯罪はんざい月経げっけい要因よういんせつ[編集へんしゅう]

女性じょせい犯罪はんざいしゃ売春ばいしゅん正常せいじょう女性じょせい』より

ヨーロッパの19世紀せいきまつ医師いしたちは、「女性じょせい本性ほんしょう」のモデルを母性ぼせいのイメージにわせて構築こうちくし、「生殖せいしょくのためにだけきる」女性じょせい本能ほんのう、すなわち母性ぼせい本能ほんのうつみおかすことはふくまれず、「子宮しきゅう支配しはいされている女性じょせい必然ひつぜんてきに「虚弱きょじゃく」であるため、女性じょせい男性だんせい同等どうとう犯罪はんざいおこなうことは、狂気きょうきにとらわれでもしないかぎりできないとかんがえられていた[20]。19世紀せいき後半こうはんおおくの女性じょせい犯罪はんざいしゃ精神せいしん障害しょうがいしゃとみなされ、監獄かんごくではなく精神せいしん病院びょういんおくられた[20]

ロンブローゾの女性じょせい犯罪はんざいかんする研究けんきゅうは、女性じょせい頭蓋骨ずがいこつ計測けいそく写真しゃしんからはじまり、先天的せんてんてき退化たいか兆候ちょうこうさぐったが、女性じょせい犯罪はんざいしゃはまれであり、退化たいか兆候ちょうこうはほとんどられないと結論けつろんづけた[7]かれは、しん女性じょせいてきつみ唯一ゆいいつ言及げんきゅうあたいするつみ売春ばいしゅんざいであるとをかたしんじており、むすめおっとグッリエルモ・フェッレーロとの共著きょうちょ女性じょせい犯罪はんざいしゃ売春ばいしゅん正常せいじょう女性じょせい』(1893ねん)では、ほぼ全面ぜんめんてき売春ばいしゅんについてげている[20]

女性じょせいまれつき受動じゅどうてきで、犯罪はんざいしゃになるための知性ちせい自発じはつせいき、それがほうおかすことをさまたげているのだと主張しゅちょうした[7]本書ほんしょでは、女性じょせい生来せいらい嫉妬しっとふかく、残虐ざんぎゃくとく同性どうせい弱者じゃくしゃ相手あいて場合ばあい拍車はくしゃがかかる)、冷酷れいこく短気たんき不道徳ふどうとく不誠実ふせいじつ復讐ふくしゅうしん虚栄きょえいしんつよく、こうした性質せいしつ通常つうじょう母性ぼせいひく知性ちせいよわとうによって「中和ちゅうわ」されているが、もし「中和ちゅうわ」されず犯罪はんざいしゃとなれば、女性じょせい犯罪はんざいしゃ男性だんせい犯罪はんざいしゃとは比較ひかくにならないほど悪魔あくまてき犯罪はんざいおかすと主張しゅちょうした[13]女性じょせいうそをつくのは生理せいりてき現象げんしょうであり、月経げっけいときとくにそれが顕著けんちょであるといた[13]当時とうじ現行げんこうはん逮捕たいほされた女性じょせいの「80にんちゅう71にん」が月経げっけいちゅうであったひとしべ、女性じょせい犯罪はんざい月経げっけいを「実証じっしょうてき」にむすけた[13]。こうしたかんがえは、白人はくじん男性だんせいもっと進化しんかした存在そんざい白人はくじん女性じょせいもっと下等かとう存在そんざいであるとしたチャールズ・ダーウィン影響えいきょうにあり、当時とうじのダーウィニズムの科学かがくしゃたちは、女性じょせい月経げっけいがあるため男性だんせいより動物どうぶつちかいとかんがえていた[13]

天才てんさいろん[編集へんしゅう]

ロンブローゾは『天才てんさいろんL'uomo di Genio天才てんさい狂気きょうき)』(1888ねん)において、芸術げいじゅつてき天才てんさいとは遺伝いでんせい狂気きょうきいち形態けいたいであると主張しゅちょうした[7]カエサルムハンマドナポレオンなど非常ひじょうおおくの古今ここん偉人いじん天才てんさいいたるげられ、かれらの人生じんせい能力のうりょくと、おも遺伝いでんによってがれた神経しんけい精神せいしん病気びょうきてんかんひとし)との関連かんれんせいいた[21]天才てんさいろん生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつにより、天才てんさい狂気きょうき犯罪はんざいは、まれつきの、遺伝いでんてき資質ししつ顕現けんげんのバリエーションとして、一体いったいてき説明せつめいされる[21]

西洋せいよう近代きんだいのロマンティシズムがりたせてきた「天才てんさい狂人きょうじん紙一重かみひとえ」、「天才てんさい狂人きょうじんせつ」は、ロンブローゾの『天才てんさいろんとうで「アイロニカルでありながら『医学いがく科学かがくせい』をびた天才てんさいかん」として提示ていじされ、ひろ大衆たいしゅう普及ふきゅう[22]精神せいしん医学いがく天才てんさいというテーマについてつづ人々ひとびと影響えいきょうあたえた[7]とくにドイツの精神せいしん精神病せいしんびょう患者かんじゃによる彫刻ちょうこく作品さくひん研究けんきゅうしたハンス・プリンツホルン英語えいごばん影響えいきょうあたえ、当時とうじ前衛ぜんえい芸術げいじゅつたちアール・ブリュット宣言せんげんをしたジャン・デュビュッフェひとし)は、かれの『精神病せいしんびょうしゃ芸術げいじゅつせい』(1922ねん)に多大ただい衝撃しょうげきけたとされる[7][23]

評価ひょうか[編集へんしゅう]

生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつは、顔面がんめん非対称ひたいしょう犯罪はんざいしゃヒラメとの類似るいじせい指摘してきしたりするロンブローゾの理論りろんには、発表はっぴょう当初とうしょから批判ひはんこえおおかった。

生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつ生物せいぶつがくてき決定けっていろん英語えいごばん)をとなえるロンブローゾ、エンリコ・フェリラファエレ・ガロファロ中心ちゅうしんに、刑法けいほうがくにおける「イタリア犯罪はんざい学派がくは英語えいごばん」(犯罪はんざい生物せいぶつがく犯罪はんざい人類じんるいがく)がまれ、これにたい環境かんきょう因子いんし重視じゅうしした ガブリエル・タルドアレクサンドル・ラカサーニュ英語えいごばんらの「フランス環境かんきょう学派がくは」があり、どちらも犯罪はんざい原因げんいん決定けっていろんてきかんがえて犯罪はんざいしゃ個人こじん異質いしつせい注目ちゅうもくし、犯罪はんざい犯罪はんざいしゃ自由じゆう意志いしによるおこないとする(決定けっていろん古典こてん犯罪はんざいがく英語えいごばん批判ひはんしながらも、両派りょうはは19世紀せいきまつからロンブローゾがつくった国際こくさい犯罪はんざい人類じんるい学会がっかい舞台ぶたいに、はげしい論争ろんそうおこなった[18]。ロンブローゾの主張しゅちょうおおくの批判ひはんけたが、結果けっかてき犯罪はんざい生物せいぶつがくてき原因げんいん注目ちゅうもくあつめ、研究けんきゅう活性かっせいすることになった[11]

また、イタリア犯罪はんざい学派がくははイタリアのファシズム支持しじしゃともなっていった[24]

ロンブローゾの死後しご 1913ねんチャールズ・ゴーリングが『イギリスの受刑じゅけいしゃ統計とうけいてき研究けんきゅうThe English Convict, A Statistical Study)』において、「精密せいみつ測定そくていおこなった結果けっか犯罪はんざいしゃとそうでないものとのあいだには有意ゆういみとめられなかった」と発表はっぴょうするなど批判ひはんてき意見いけん続出ぞくしゅつし、生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつ次第しだい退潮たいちょう現在げんざいこの理論りろんは「科学かがくてき根拠こんきょがない、人種じんしゅ差別さべつてき妄言ぼうげん」、疑似ぎじ科学かがくとして退しりぞけられている[25]

法学ほうがくしゃ寺中じちゅうまことは、ロンブローゾの研究けんきゅう現在げんざい一部いちぶ例外れいがいてきせつのぞいて(すくなくとも公式こうしきには)否定ひていされ継承けいしょうされておらず、かれ研究けんきゅう手法しゅほうおも骨相こっそうがく身体しんたい測定そくていで、実証じっしょう主義しゅぎ犯罪はんざいがくのはじまりとしては、犯罪はんざい統計とうけいがくのゲリー、ケトレーという先行せんこうしゃがおり、近代きんだい犯罪はんざいがく源流げんりゅうばれる研究けんきゅうは19世紀せいき前半ぜんはんからはじまったという指摘してきおおくあるとべ、犯罪はんざいがくはじまりとえるか疑問ぎもんしている[2]一方いっぽうおも哲学てつがくてき見地けんちから考察こうさつされてきた従来じゅうらい刑法けいほうがくに、えるかたちでデータをあつめて客観きゃっかんてき方法ほうほう調しらべるという実証じっしょう主義しゅぎてき手法しゅほう導入どうにゅうするだい変革へんかくをもたらしたとして、そのてんをロンブローゾの業績ぎょうせきとしてたか評価ひょうかするきもある[11]

影響えいきょう[編集へんしゅう]

かれ生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつ女性じょせい犯罪はんざい月経げっけい要因よういんせつ書籍しょせきは、日本にっぽんふくしょ外国がいこくひろ紹介しょうかいされた[13]生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつはムーブメントとなり、各地かくち論争ろんそうこした。このあらそいの過程かていで、双生児そうせいじ養子ようし染色せんしょくたいかんする調査ちょうさとおして、犯罪はんざいおよぼす遺伝いでん環境かんきょう相対そうたいてき影響えいきょうりょく強弱きょうじゃくはかこころみが数多かずおおくなされた。

刑法けいほうのパラダイムシフトの時期じきであったヴァイマールのドイツでは、刑法けいほう学者がくしゃらの反発はんぱつけたが、精神せいしんエミール・クレペリングスタフ・アシャッフェンブルク英語えいごばんらの関心かんしんき、クレペリンが「内因ないいんてき道徳どうとくてき欠陥けっかん発露はつろとしての犯罪はんざいせつを、アシャッフェンブルクが「環境かんきょうてき要因よういん個人こじん抵抗ていこうりょく結果けっかとしての犯罪はんざいせついたことで、生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつ自体じたい否定ひていされながらも、「生物せいぶつがくてき要因よういん環境かんきょうてき要因よういん相互そうご作用さよう産物さんぶつとしての犯罪はんざい」という穏当おんとう見解けんかいとなり「犯罪はんざい生物せいぶつがくてき要因よういん」というかんがえが犯罪はんざいがくれられた[26]

生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつは、ロンブローゾは上述じょうじゅつのフェリやガロファロのほか、作家さっか医師いしユダヤじんマックス・ノルダウ思想しそう影響えいきょうおよぼし、かれ生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつ近代きんだい美術びじゅつ批評ひひょうれ、医学いがくしょ退廃たいはいろん堕落だらくろん退化たいかろん)』で退廃たいはい芸術げいじゅつ排除はいじょろん主張しゅちょうした。当時とうじ一般いっぱんてきかんがえは、天才てんさい病的びょうてきなところがあったとしても作品さくひん重要じゅうようせいおびやかされないというものだったが、これにこととなえ、天才てんさい心身しんしん健康けんこう不可分ふかぶんであるとし、「世紀せいきまつ芸術げいじゅつがいかに病的びょうてきであるかを「科学かがくてき」「医学いがくてき」に証明しょうめいしようとこころみ、「健康けんこうな」芸術げいじゅつを「んだ」芸術げいじゅつから分離ぶんりすべきと主張しゅちょうし、「世紀せいきまつ芸術げいじゅつたちを退廃たいはいしゃはん社会しゃかいてき存在そんざいとして糾弾きゅうだんした[27]。ノルダウのこの著作ちょさくおおきな議論ぎろんこし、19世紀せいきまつ-20世紀せいき初頭しょとうのヨーロッパちゅうひろがり、ナチス現代げんだい芸術げいじゅつやユダヤ文化ぶんか堕落だらくした文化ぶんか退廃たいはい芸術げいじゅつめつけ排除はいじょした[27][28]

ロンブローゾの「生来せいらいせい犯罪はんざいしゃ」とモレルの「変質へんしつ」というかんがえは、危険きけんせいまれつき刻印こくいんされた特殊とくしゅなタイプの人間にんげん排除はいじょすることがただしい「危険きけん人間にんげん」というひょうぞうのプロトタイプとなり、民族みんぞく国家こっかまもるためとしておこなわれたおおくの政策せいさく立法りっぽう影響えいきょうあたえた[29]。19世紀せいきまつひろまった優生ゆうせいがく、そこからの逸脱いつだつともいえるナチス・ドイツ政策せいさくもまた、全体ぜんたい利益りえきのために生物せいぶつがくてき弱者じゃくしゃてるという意味いみで、この系譜けいふにある[29]

フィクションの世界せかいにおいてもロンブローゾの影響えいきょうおおきく、歴史れきし学者がくしゃ精神せいしん分析ぶんせきダニエル・ピック英語えいごばんは、ロンブローゾが「19世紀せいきまつ文学ぶんがく研究けんきゅうにおいて、不思議ふしぎ脚注きゃくちゅうとして機能きのうしている」とろんじている[30]エミール・ゾラの『獣人じゅうじん』の登場とうじょう人物じんぶつジャックは、しもあごまえていると描写びょうしゃされ、物語ものがたり終盤しゅうばんかれつよ殺意さついられる場面ばめん強調きょうちょうされている[30]

コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズはロンブローゾに由来ゆらいする変質へんしつろんおよび「生来せいらいせい犯罪はんざいしゃせつ影響えいきょうけており、作中さくちゅう犯人はんにんそとから識別しきべつ可能かのう犯罪はんざいしゃ特徴とくちょうち、しばしば異様いよう特徴とくちょうてき容貌ようぼう体躯たいくであり、ホームズは観察かんさつ得意とくい演繹えんえきてき推理すいりりょく犯人はんにん特定とくていする[31]変質へんしつろんにおいては、天才てんさい犯罪はんざいしゃ標準ひょうじゅんからの変異へんい逸脱いつだつであり、ホームズあく天才てんさいモリアーティ教授きょうじゅ人物じんぶつぞうはロンブローゾの天才てんさいろん依拠いきょしているとかんがえられる[32]

ブラム・ストーカー代表だいひょうさく吸血鬼きゅうけつきドラキュラ』では、主人公しゅじんこうらがドラキュラ伯爵はくしゃく異常いじょう性格せいかく指摘してきするさいにロンブローゾの名前なまえいにされており、ドラキュラ伯爵はくしゃくはロンブローゾが犯罪はんざいしゃ特徴とくちょうそなえた外見がいけんをしていると描写びょうしゃされている[33][30]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

明治めいじ以降いこう、ロンブローゾの研究けんきゅうは、教育きょういく精神せいしん医学いがくなどのアカデミックな領域りょういき文学ぶんがく芸術げいじゅつろんとうひろ継続けいぞくてき受容じゅようされ、こうしたもんがたで「科学かがくてき人間にんげん分析ぶんせき大衆たいしゅう興味きょうみをかきたて、無意識むいしきてき人々ひとびと影響えいきょうあたえてきた[22]夏目なつめ漱石そうせき死去しきょしたさいには、検死けんしおこなった医学いがく博士はかせ長与ながよ又郎またろう講演こうえんでロンブローゾの『天才てんさいろん』をいにして漱石そうせきのう批評ひひょうし、『東京とうきょう朝日新聞あさひしんぶん』がこの講演こうえん記事きじを「解剖かいぼうから漱石そうせき ▽天才てんさいのうくある ▽追跡ついせききょうてき症状しょうじょう 長与ながよ博士はかせ講演こうえん」とだいして掲載けいさいし、世間せけん注目ちゅうもくあつめた[34]美術びじゅつ学者がくしゃ岡田おかだあつしは、ロンブローゾのせつ下敷したじきとした「漱石そうせきの『天才てんさい狂気きょうき神話しんわは、解剖かいぼうがくうしたてとして学術がくじゅつてきなレベルから一般いっぱん大衆たいしゅうのレベルまで、ひろ流布るふしていった」とべ、芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけ後進こうしん小説しょうせつたちがいだ芸術げいじゅつぞうあたえた影響えいきょう指摘してきしている[34]

日本にっぽんでロンブローゾの女性じょせいろん明治めいじ導入どうにゅうされ、かれが「月経げっけい精神せいしんあたえる影響えいきょう」についていた部分ぶぶんは、女学校じょがっこうとう性別せいべつ役割やくわり分業ぶんぎょうおしえるさい利用りようされた[35]

大正たいしょう時代じだい、1920年代ねんだいになると、大正たいしょうデモクラシー猟奇りょうき犯罪はんざい多発たはつ背景はいけいに、犯罪はんざい学者がくしゃたちが活躍かつやくするようになり、犯罪はんざい実話じつわ犯罪はんざいがく専門せんもん雑誌ざっし出版しゅっぱんされ一般いっぱん人気にんきはくした[36]。ロンブローゾの著作ちょさく翻訳ほんやく紹介しょうかいされるようになり、1914ねんつじじゅん邦訳ほうやくした『天才てんさいろん』は話題わだいんだ。欧米おうべい犯罪はんざいがく最先端さいせんたん見聞みききしてきた医者いしゃ推理すいり小説しょうせつ作家さっか小酒井不木こざかいふぼくも、犯罪はんざいしゃ人相にんそうかんするロンブローゾの学説がくせつ著書ちょしょ紹介しょうかいしている[37][36]小酒井こさかいおおくの犯罪はんざいがくエッセイをあらわし、そのなかで、女性じょせい犯罪はんざい月経げっけいヒステリーむすびつけてかえろんじた。女性じょせい犯罪はんざいおかしやすく、その要因よういん月経げっけいであるというせつ日本にっぽんにもひろまり、だい大戦たいせん刑事けいじ司法しほうでも影響えいきょう根強ねづよのこり、事件じけん当時とうじ月経げっけいちゅうだった関係かんけいしゃ逮捕たいほする冤罪えんざい事件じけんきた[38][39]

また、大正たいしょう時代じだい犯罪はんざい学者がくしゃたちはロンブローゾの主張しゅちょう多用たようして「おんなうそつき」せつかえし、とくに「おんな強姦ごうかんされてもいないのに、されたとうそをつく」という主張しゅちょう強調きょうちょうした[40]歴史れきし社会しゃかい学者がくしゃ田中たなかひかるは、「『おんなうそつき』せつは、性別せいべつ役割やくわり分業ぶんぎょう徹底てっていされた近代きんだい国家こっか形成けいせいに、女性じょせい特有とくゆう生理せいり現象げんしょうである月経げっけい関連かんれんづけてかたられ、ながあいだ、(女性じょせいへの)せい犯罪はんざい隠蔽いんぺいするために都合つごうよく使つかわれてきた。」とべている[40]。なお、月経げっけいうそ因果いんが関係かんけいがあるという科学かがくてき根拠こんきょ存在そんざいしない[40]

文学ぶんがくにおいては、小栗おぐり虫太郎むしたろうの『くろかん殺人さつじん事件じけん』や夢野ゆめの久作きゅうさくの『ドグラ・マグラ』といった衒学げんがく趣味しゅみてき小説しょうせつにもロンブローゾの影響えいきょうることができる。[よう出典しゅってん]

その研究けんきゅう[編集へんしゅう]

  • 1872ねんきたイタリアで流行りゅうこうしていた皮膚ひふびょうペラグラについて研究けんきゅう農民のうみん階級かいきゅう主食しゅしょくであったトウモロコシとの関連かんれんせい発見はっけんした。このときかれは、ふるくなったトウモロコシの変質へんしつによる中毒ちゅうどくであるとのせつ発表はっぴょうしたが、実際じっさい食事しょくじかたよりによるナイアシン不足ふそく主因しゅいんとする疾患しっかんであった。
  • ロンブローゾは人生じんせい後半こうはん霊媒れいばいについて調しらはじめ、心霊しんれい研究けんきゅう心霊しんれい主義しゅぎ)としてのかおっていた。霊魂れいこん存在そんざいしんじ、当時とうじ著名ちょめい物理ぶつり霊媒れいばい詐欺さぎ偽物にせものという評判ひょうばんのあったエウサピア・パラディーノ英語えいごばんについて、本物ほんものであると判断はんだんし、『英国えいこく医学いがく雑誌ざっし』の論文ろんぶんでロンブローゾがだまされたことはおどろきをもってられた[30]
  • 1902ねんひとうそをつくと血圧けつあつ脈拍みゃくはく変化へんかすることを発見はっけん。その原理げんり応用おうようしたプレチスモグラフ(ポリグラフ原型げんけい)を犯罪はんざい捜査そうさ使用しようした。

ロンブローゾ学説がくせつみなみイタリア[編集へんしゅう]

19世紀せいきイタリア統一とういつ運動うんどう勃興ぼっこうしたが、みなみイタリア統治とうちするりょうシチリア王国おうこくシチリア・ブルボンあさ)のフランチェスコ2せいやローマ教皇きょうこうピウス9せいはそれに否定ひていてき態度たいどだった。ジュゼッペ・ガリバルディによってりょうシチリア王国おうこく征服せいふくされイタリア王国おうこく成立せいりつすると、統治とうちするブルボンあさへの崇敬すうけいねんつよく、また熱心ねっしんキリスト教きりすときょう信者しんじゃおおみなみイタリアでは、それに抵抗ていこうするデモや反乱はんらんブリガンテイタリアばん活動かつどう活発かっぱつした[41][42]元々もともときたイタリアじんみなみイタリアじん蔑視べっししていたが、それらによって「野蛮やばん南部なんぶ」という差別さべつ感情かんじょうがさらに増幅ぞうふくされた[43]統一とういつ政府せいふはそれらを一律いちりつに「山賊さんぞく」とんで弾圧だんあつした(イタリア統一とういつ運動うんどう#南部なんぶ問題もんだい発生はっせい参照さんしょう[44]みなみイタリア経済けいざい発展はってんおくれていたが、統一とういつ達成たっせいされても北部ほくぶたいする経済けいざい格差かくさ解消かいしょうされなかった(いわゆる南部なんぶ問題もんだいイタリアばん[45]イタリア王国おうこく宰相さいしょうカミッロ・カヴールみなみイタリアを「イタリアでもっと腐敗ふはいした地域ちいき」とんだ[46]

ロンブローゾは、みなみイタリアひとは「生来せいらいせい犯罪はんざいしゃ」がおおいとろんじ、南部なんぶ差別さべつ論理ろんりてき根拠こんきょあたえた。ロンブローゾはイタリア北部ほくぶ住民じゅうみん南部なんぶ住民じゅうみんでは「人種じんしゅ」にちがいがあり、「金髪きんぱつ」の人物じんぶつおお北部ほくぶでは犯罪はんざい発生はっせいりつすくなく、「金髪きんぱつ」の人物じんぶつすくない南部なんぶでは犯罪はんざい発生はっせいりつおおいとろんじた[47]

ロンブローゾに師事しじしたエンリコ・フェリはロンブローゾ学説がくせつ発展はってんさせ「まれながらの犯罪はんざいしゃ」という概念がいねん強調きょうちょうした[48]。フェリは、北部ほくぶ住民じゅうみんゲルマンじんスラブじんケルトじんき、南部なんぶ住民じゅうみんアラブじんフェニキアじんギリシャじんいているが、南部なんぶ住民じゅうみんはアフリカやオリエントの血統けっとういているがゆえに犯罪はんざいりつたかく、犯罪はんざいしゃおおいとろんじた[49]。ロンブローゾ学説がくせつながれをアルフレード・ニチェーフォロイタリアばんは、南部なんぶ住民じゅうみんつみおかしやすい精神せいしんてき気質きしつ野蛮やばんさゆえブリガンテイタリアばんマフィアカモッラなどの凶悪きょうあく犯罪はんざいしゃ集団しゅうだんしてきたとろんじた[50]。そして南部なんぶ住民じゅうみんのそれらの精神せいしんてき気質きしつ治療ちりょうするためにはきたイタリアじんによる南部なんぶの「文明ぶんめい」が必要ひつようだとうったえた[51]

ロンブローゾ学説がくせつ海外かいがいへも伝播でんぱ南米なんべいにも定着ていちゃくした。アルゼンチン欧州おうしゅうからの移民いみんれていたが都市とし犯罪はんざい件数けんすう増加ぞうかられ、ロンブローゾ学説がくせつもとづき移民いみんの「人種じんしゅ」ごとの犯罪はんざい発生はっせい件数けんすう統計とうけいがくてき分析ぶんせきし、「人種じんしゅ」ごとの犯罪はんざい傾向けいこう調査ちょうさすすめられた[52]貧困ひんこん差別さべつにあえぐイタリア南部なんぶ住民じゅうみんおおくが移民いみんとして海外かいがいわたったが、カルロス・ネストル・マシェルは自著じちょ『アルゼンチンのイタリア』で、アルゼンチンにたイタリア移民いみんはアルゼンチンの発展はってん貢献こうけんせず社会しゃかい汚濁おだくするだけの存在そんざいだとして排斥はいせき主張しゅちょうした[53]

皮肉ひにくにもナショナリズムによる国民こくみん統合とうごううったえるムッソリーニファシストとう全体ぜんたい主義しゅぎ体制たいせいで、国民こくみん分断ぶんだんあおるロンブローゾ学説がくせつもとづく南部なんぶ差別さべつ論説ろんせつ公言こうげんすることが制限せいげんされ、それは退潮たいちょうした[54]。しかしきたイタリアじん南部なんぶたいする差別さべつ感情かんじょうのこり、心理しんり学者がくしゃのバッタッキ(Marco Walter Battacchi)は1959ねん段階だんかいきたイタリアじんいまだに南部なんぶたいする差別さべつ感情かんじょういていることを自著じちょべている[55]みなみイタリアじんたいする差別さべつとして「テッローネイタリアばん」があり、現代げんだいでもみなみイタリア出身しゅっしんのサッカー選手せんしゅたいする侮辱ぶじょくとして、サッカースタジアムで「テッローネ」とかれた横断幕おうだんまくかかげられることがある[56]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 犯罪はんざいがく」という名称めいしょう自体じたいおなじイタリア学派がくはラファエレ・ガロファロはじめた。
  2. ^ 頭蓋骨ずがいこつ形状けいじょう調しらべて人間にんげん内面ないめん頭蓋骨ずがいこつ形状けいじょう傾向けいこう類型るいけいすることで、その人物じんぶつ頭蓋骨ずがいこつてはまる類型るいけいから内面ないめん特定とくていできるというかんがえで、のう機能きのう局在きょくざいろんもとづいている[8][9]
  3. ^ ガルはペトルス・カンパーらの初期しょき文化ぶんか人類じんるいがく影響えいきょうけている[8]。カンパーらの理論りろんは、古代こだいギリシア・ローマの絵画かいが彫刻ちょうこくえがかれた人間にんげん理想りそうとみなすヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマン古典こてん主義しゅぎ美学びがく根拠こんきょとしており、人種じんしゅ体型たいけい容貌ようぼう美醜びしゅうつよ意識いしきしたものだった[8]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]