年金ねんきん支給しきゅう開始かいしと定年ていねん、75歳さいへ引ひき上あげの公算こうさん…あなたは今いまの仕事しごとのままでよいですか？

　ですから、「会社かいしゃは65歳さいでクビになる」→「年金ねんきんは75歳さいに延長えんちょうされる」→「このあいだの10年間ねんかんを無む収入しゅうにゅうで過すごす羽目はめになる」→「老後ろうご破産はさん一直線いっちょくせん！」のようなストーリーは相手あいてにしないほうがいいでしょう。

「75歳さいまで働はたらかされる」と考かんがえると苦くるしくなる

　我々われわれが危機きき感かんを抱だいておくべきは「空白くうはくの10年間ねんかん」ではありません。むしろ問題もんだいは「10年間ねんかんのやる気き」にあると思おもいます。

　60歳さい定年ていねんでありながら、65歳さいまでの継続けいぞく雇用こようをしている現在げんざいの60代だいの会社かいしゃ員いんは、ある程度ていどやる気きがあるものの給料きゅうりょうがそれに見合みあわないため、手てを抜ぬいて5年間ねんかんを過すごしていることが多おおいようです。あなたの会社かいしゃの先輩せんぱいにも、そういう気配けはいの人ひとがいないでしょうか。

　定年ていねん退職たいしょくを迎むかえた翌日よくじつも会社かいしゃにいるものの、若手わかて社員しゃいんと同おなじような席せき位置いちに移動いどう、単純たんじゅん作業さぎょうを手伝てつだっているようなパターンです。これではやる気きが出でるはずもありません。しかし、別べつの会社かいしゃで今いまより高たかい年収ねんしゅうを得える方法ほうほうもないので、仕方しかたなく継続けいぞく雇用こようで5年間ねんかん働はたらいているというわけです。

　おそらく、こういう「一応いちおう雇やとっておいてあげるよ」というような継続けいぞく雇用こようは、今後こんごは減少げんしょうしていくことと思おもいます。労働ろうどう力りょく人口じんこうの減少げんしょうは我わが国くにでは今後こんご加速度かそくど的てきに進すすむため、本当ほんとうは仕事しごとができる人材じんざいをアルバイト感覚かんかくで使つかうような贅沢ぜいたくができなくなるからです。

　そして、それなりの仕事しごとをさせる以上いじょうは、給料きゅうりょうも払はらわざるを得えなくなります。結果けっかとして65歳さい以降いこうに定年ていねんが延長えんちょうされたり、75歳さいまでそこそこの給料きゅうりょうをもらいつつ仕事しごとができる可能かのう性せいは高たかまります。

　しかし、問題もんだいは「働はたらかされる」という状況じょうきょうです。5年ねんは適当てきとうに働はたらけても、10年ねんはしんどいと思おもうはずです。「75歳さいまで働はたらかされている」と感かんじてしまうのなら、今いまよりも10年ねんも長ながく仕事しごとする生活せいかつはしんどいことでしょう。

「75歳さいまで働はたらくならどう働はたらけば楽たのしめるか」と考かんがえる発想はっそう法ほうが必要ひつようになる

　本ほんコラムのメイン読者どくしゃ層そうは20～30代だいと思おもいますが、人生じんせい100年ねん時代じだいを意識いしきした「キャリアづくり」を心こころがけてほしいと思おもいます。

　そのとき必要ひつようとなるのは、「75歳さいまで働はたらかされる」という発想はっそう法ほうからの逆転ぎゃくてんです。そうではなく、「75歳さいまで働はたらいていいと思おもえる仕事しごとは何なにか」を自分じぶんで考かんがえ、選択せんたくしていく視点してんが必要ひつようになってくるのです。