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Shuo Yuan : 脩文 - Chinese Text Project
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《脩おさむ文ぶん》

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1 脩おさむ文ぶん:
天下てんか有道ありみち，則のり禮樂れいがく征伐せいばつ自じ天子てんし出で。夫おっと功こう成なり制せい禮れい，治定じじょう作樂さくら，禮樂れいがく者しゃ，行ぎょう化か之の大だい者しゃ也。孔子こうし曰：「移うつり風ふう易えき俗ぞく，莫善於樂；安やす上治うえじ民みん，莫善於禮。是ぜ故こ聖王せいおう修おさむ禮文れぶん，設しつらえ庠序，陳ちん鍾鼓，天子てんし辟雍，諸侯しょこう泮宮，所以ゆえん行ぎょう德化とっか。《詩し》云うん：『鎬京辟雍，自じ西にし自じ東ひがし，自じ南みなみ自じ北きた，無む思おもえ不服ふふく。』此之謂いい也。」

2 脩おさむ文ぶん:
積せき恩おん為ため愛あい，積せき愛あい為ため仁ひとし，積せき仁じん為ため靈れい，靈れい臺だい之の所以ゆえん為ため靈れい者しゃ，積せき仁じん也。神靈しんれい者しゃ，天地てんち之の本ほん，而為萬物之始也。是ぜ故こ文ぶん王おう始はじめ接せっ民みん以仁，而天下か莫不仁ふじん焉。文ぶん，德之のりゆき至いたり也，德とく不ふ至いたり則そく不ふ能文のうぶん。商しょう者しゃ，常つね也，常つね者しゃ質しつ，質しつ主ぬし天てん；夏なつ者しゃ，大だい也，大だい者しゃ，文也ふみや，文ぶん主ぬし地ち。故こ王者おうじゃ一いち商しょう一いち夏なつ，再さい而復者しゃ也，正せい色いろ三さん而復者しゃ也。味あじ尚ひさし甘あま，聲こえ尚なお宮みや，一いち而復者しゃ，故こ三さん王おう術じゅつ如循環じゅんかん，故こ夏なつ后きさき氏し教きょう以忠，而君子くんし忠ちゅう矣；小人こども之の失しつ野の，救すくい野の莫如敬けい，故こ殷いん人じん教きょう以敬，而君子くんし敬けい矣。小人こども之の失しつ鬼おに，救すくい鬼おに莫如文ぶん，故こ周しゅう人じん教きょう以文，而君子くんし文ぶん矣。小人こども之の失しつ薄うす，救すくい薄うす莫如忠ちゅう，故こ聖人せいじん之の與あずか聖せい也，如矩之の三さん雜ざつ，規ぶんまわし之の三さん雜ざつ，周しゅう則そく又また始はじめ，窮きゅう則そく反はん本ほん也。《詩し》曰：「彫琢ちょうたく其章，金玉きんぎょく其相。」言文げんぶん質しつ美也みや。

3 脩おさむ文ぶん:
傳つて曰：「觸さわ情じょう縱たて欲よく，謂いい之の禽獸きんじゅう；苟可而行，謂いい之の野人やじん；安やす故こ重じゅう遷，謂いい之の眾庶；辨べん然しか通つう古今ここん之の道みち謂いい之の士し；進しん賢けん達たち能のう，謂いい之の大夫たいふ；敬けい上じょう愛あい下か，謂いい之の諸侯しょこう；天てん覆くつがえ地ち載の，謂いい之の天子てんし。是ぜ故こ士し服ふく黼，大夫たいふ黻，諸侯しょこう火ひ，天子あまこ山さん龍りゅう；德彌とくや盛者じょうしゃ文彌ぶんや縟，中なか彌わたる理り者しゃ文彌ぶんや章あきら也。」《詩し》曰：「左ひだり之の左ひだり之の，君子くんし宜よろし之これ；右みぎ之の右みぎ之の，君子くんし有ゆう之の。」傳つて曰：「君子くんし者しゃ，無む所しょ不ふ宜むべ也，是ぜ故こ韠冕厲戒，立たて于廟堂之上どうのうえ，有司ゆうし執事しつじ無む不敬ふけい者しゃ；斬き衰おとろえ裳も，苴絰杖つえ，立たて于喪次じ，賓客ひんきゃく弔ちょう唁無不ふ哀あい者しゃ；被ひ甲かぶと攖冑立りつ于桴鼓こ之の間あいだ，士卒しそつ莫不勇者ゆうしゃ。故こ仁者じんしゃ足あし以懷百姓ひゃくしょう，勇足いさみあし以安危あんき國こく，信しん足あし以結諸侯しょこう，強つよ足あし以拒患難，威い足あし以率三軍さんぐん。故こ曰為左ひだり亦また宜むべ，為ため右みぎ亦また宜むべ，為ため君子くんし無む不ふ宜よろし者しゃ，此之謂いい也。」

4 脩おさむ文ぶん:
齊ひとし景けい公こう登とう射い，晏子脩おさむ禮れい而待。公おおやけ曰：「選せん射しゃ之の禮れい，寡人厭いや之の矣。吾われ欲得よくとく天下でんか勇士ゆうし，與あずか之これ圖ず國こく。」晏子對たい曰：「君子くんし無禮ぶれい，是ぜ庶人也；庶人無禮ぶれい，是ぜ禽獸きんじゅう也；夫おっと臣しん勇いさむ多た則のり弒其君くん，子こ力りょく多た則のり弒其長ちょう，然しか而不敢者，惟おもんみ禮れい之の謂いい也。禮者れいしゃ所以ゆえん御ご民みん也，轡くつわ者しゃ所以ゆえん御馬おんま也；無禮ぶれい而能治ち國家こっか者しゃ，嬰未之の聞也。」景けい公こう曰：「善ぜん。」乃飭射い更さら席せき以為上客じょうきゃく，終日しゅうじつ問とい禮れい。

5 脩おさむ文ぶん:
書しょ曰五事ごと：一いち曰貌。貌者男子だんし之の所以ゆえん恭敬きょうけい，婦人ふじん之の所以ゆえん姣好也；行ぎょう步ふ中ちゅう矩のり，折おり旋中規ぶんまわし，立たて則のり磬かおる折おり，拱則抱だき鼓こ，其以入いれ君くん朝あさ，尊みこと以嚴，其以入にゅう宗廟そうびょう，敬けい以忠，其以入鄉いりごう曲きょく，和かず以順，其以入いり州しゅう里さと族ぞく黨とう之の中なか，和かず以親。《詩し》曰：「溫溫ぬくぬく恭きょう人じん，惟おもんみ德之のりゆき基もと。」孔子こうし曰：「恭きょう近きん於禮，遠とお恥辱ちじょく也。」

6 脩おさむ文ぶん:
衣服いふく容貌ようぼう者しゃ，所以ゆえん悅えつ目め也；聲音こわね應對おうたい者しゃ，所以ゆえん悅えつ耳みみ也；嗜慾好惡こうお者しゃ，所以ゆえん悅えつ心こころ也。君子くんし衣服いふく中ちゅう，容貌ようぼう得え，則のり民みん之の目め悅えつ矣；言語げんご順じゅん，應對おうたい給きゅう，則のり民みん之の耳みみ悅えつ矣；就仁去さ不仁ふじん，則のり民みん之の心こころ悅えつ矣。三者さんしゃ存そん乎心，暢とおる乎體，形かたち乎動靜どうせい，雖不在位ざいい，謂いい之の素行そこう。故こ忠心ちゅうしん好こう善ぜん而日新にっしん之の，獨居どっきょ樂らく德とく，內悅而形。《詩し》曰：「何なに其處也？必有與あずか也；何なん其久也ひさや？必有以也。」惟おもんみ有ゆう以者，惟おもんみ能のう長生ちょうせい久ひさ視し，而無累るい於物也。

7 脩おさむ文ぶん:
知ち天道てんとう者しゃ冠かんむり鉥，知ち地道じみち者しゃ履くつ蹻，能のう治ち煩はん決けつ亂らん者しゃ佩觿，能のう射しゃ御者ぎょしゃ佩韘，能のう正せい三軍さんぐん者しゃ搢笏；衣ころも必荷規ぶんまわし而承矩のり，負ふ繩なわ而準下か。故こ君子くんし衣服いふく中ちゅう而容貌ようぼう得え，接せっ其服而象其德，故こ望もち玉だま貌而行ぎょう能のう，有ゆう所定しょてい矣。《詩し》曰：「芃蘭之の枝えだ，童子どうじ佩觿。」說せつ行ぎょう能のう者しゃ也。

8 脩おさむ文ぶん:
冠者かんじゃ所以ゆえん別べつ成人せいじん也，脩おさむ德とく束たば躬以自じ申さる飭，所以ゆえん檢けん其邪心しん，守まもり其正意い也。君子くんし始はじめ冠かんむり，必祝成なり禮れい，加冠かかん以屬其心，故こ君子くんし成人せいじん，必冠帶たい以行事ぎょうじ，棄幼少しょう嬉戲きぎ惰慢之の心しん，而衎衎於進德しんとく脩おさむ業ぎょう之の志こころざし。是ぜ故こ服ふく不ふ成なり象ぞう，而內心こころ不變ふへん，內心脩おさむ德とく，外そと被ひ禮文れぶん，所以ゆえん成なり顯あらわ令れい之の名めい也。是ぜ故こ皮かわ弁べん素もと積せき，百ひゃく王おう不易ふえき，既すんで以脩德とく，又また以正容よう。孔子こうし曰：「正せい其衣冠いかん，尊みこと其瞻視し，嚴然げんぜん人望じんぼう而畏之の，不ふ亦また威い而不猛もう乎？」

9 脩おさむ文ぶん:
成なり王將おうしょう冠かんむり，周しゅう公使こうし祝しゅく雍祝，王おう曰：「達いたる而勿多た也。」祝しゅく雍曰：「使つかい王おう近きん於民，遠とお於佞，嗇於時じ，惠めぐみ於財，任にん賢けん使し能のう。」於此始はじめ成之しげゆき時じ，祝辭しゅくじ四よん加か而後退こうたい，公おおやけ冠かんむり自じ以為主ぬし，卿きょう為ため賓まろうど，饗きょう之の以三獻さんこん之の禮れい。公おおやけ始はじめ加か玄げん端はし與あずか皮かわ弁べん，皆みな必朝服ふく玄げん冕四加か，諸侯しょこう、太子たいし、庶子しょし冠かんむり公こう為ため主ぬし，其禮與あずか上うわ同どう。冠かんむり於祖廟そびょう曰：「令れい月吉つきよし日び，加か子こ元服げんぷく，去さ爾しか幼よう志こころざし，順じゅん爾しか成德しげのり。」冠かんむり禮あや十じゅう九きゅう見み正せい而冠，古こ之これ通どおり禮れい也。

10 脩おさむ文ぶん:
夏なつ，公おおやけ如齊逆ぎゃく女おんな，何なに以書？親おや迎むかい禮あや也。其禮奈何いかん？曰：諸侯しょこう以屨二に兩りょう加か琮，大夫たいふ庶人以屨二に兩りょう加か束脩そくしゅう二に。曰：「某國ぼうこく寡小君くん，使つかい寡人奉たてまつ不ふ珍ちん之の琮，不ふ珍ちん之の屨，禮れい夫人ふじん貞女ていじょ。」夫人ふじん曰：「有ゆう幽かそけ室しつ數すう辱はずかしめ之これ產さん，未み諭さとし於傅母はは之の教きょう，得とく承うけたまわ執と衣裳いしょう之の事こと，敢不敬けい拜はい？」拜はい祝しゅく，祝しゅく答こたえ拜はい。夫おっと人受ひとうけ琮取一いち兩りょう，屨以履くつ女おんな，正せい笄衣裳いしょう而命之の曰：「往矣，善事ぜんじ爾なんじ舅しゅうと姑しゅうと，以順為ため宮室きゅうしつ，無む二に爾なんじ心しん，無む敢回也。」女おんな拜はい，乃親引其手しゅ，授夫乎戶，夫おっと引手ひきて出戶でと；夫おっと行ぎょう女おんな從したがえ，拜辭はいじ父ちち於堂，拜はい諸しょ母はは於大おだい門もん。夫おっと先さき升ます與あずか執と轡くつわ，女おんな乃升輿こし，轂こしき三さん轉てん，然しか後天こうてん下か先行せんこう。大夫たいふ士し庶人稱にんしょう其父曰：「某ぼう之の父ちち，某ぼう之の師友しゆう，使つかい其執不ふ珍ちん之の屨，不ふ珍ちん之の束脩そくしゅう，敢不敬禮けいれい某氏ぼうし貞女ていじょ。」母はは曰：「有ゆう草くさ茅ちがや之これ產さん，未み習於織紝紡績之事ごと，得とく奉たてまつ執と箕み帚之事ごと，敢不敬けい拜はい？」

11 脩おさむ文ぶん:
春秋しゅんじゅう曰：「壬みずのえ申さる，公おおやけ薨於高だか寢ね。」傳つて曰：「高こう寢ね者しゃ何なに？正せい寢ね也。曷為或ある言げん高だか寢ね，或ある言げん路ろ寢ね？曰，諸侯しょこう正せい寢ね三さん：一いち曰高寢ね，二に曰左路ろ寢ね，三さん曰右路ろ寢ね。高こう寢ね者しゃ，始はじめ封ふう君くん之の寢ね也。二に路ろ寢ね者しゃ，繼つぎ體たい之の君きみ寢ね也。其二そのじ何なに？曰，子こ不ふ居きょ父ちち之の寢ね，故こ二に寢ね。繼つぎ體たい君くん世世せぜ不可ふか居きょ高祖こうそ之の寢ね，故こ有高ありだか寢ね，名めい曰高也。路みち寢ね其立奈何いかん？高こう寢ね立中たつなか，路みち寢ね左右さゆう。」春秋しゅんじゅう曰：「天王てんのう入にゅう于成周しゅう。」傳つて曰：「成なる周しゅう者しゃ何なに？東あずま周あまね也。然しか則のり天子てんし之の寢ね奈何いかん？曰，亦また二に承うけたまわ明あきら，繼つぎ體たい守もり文ぶん之の君きみ之の寢ね，曰左右さゆう之の路みち寢ね。謂いい之の承うけたまわ明あきら何なに？曰承乎明堂どう之の後者こうしゃ也。故こ天子てんし諸侯しょこう三寢立而名實正，父子ふし之の義章よしあき，尊卑そんぴ之の事こと別べつ，大小だいしょう之の德とく異い矣。」

12 脩おさむ文ぶん:
天子てんし以鬯為ため贄にえ，鬯者百ひゃく草くさ之の本ほん也，上うえ暢とおる於天，下した暢とおる於地，無む所しょ不ふ暢とおる，故こ天子てんし以鬯為ため贄にえ。諸侯しょこう以圭為ため贄にえ，圭けい者しゃ玉だま也，薄うす而不撓ふとう，廉れん而不劌，有ゆう瑕きず於中，必見ひっけん於外，故こ諸侯しょこう以玉為ため贄にえ。卿きょう以羔為ため贄にえ，羔者，羊ひつじ也，羊ひつじ群ぐん而不黨とう，故こ卿きょう以為贄にえ。大夫たいふ以鴈為ため贄にえ，鴈かり者しゃ行列ぎょうれつ有ゆう長幼ちょうよう之の禮れい，故こ大夫たいふ以為贄にえ。士し以雉為ため贄にえ，贄にえ可か不可ふか指ゆび食しょく，籠かご狎而服ふく之の，故こ士し以雉為ため贄にえ。庶人以鶩為ため贄にえ，鶩者鶩鶩也，鶩鶩無む它心，故こ庶人以鶩為ため贄にえ。贄にえ者しゃ，所以ゆえん質しつ也。

13 脩おさむ文ぶん:
諸侯しょこう三さん年ねん一いち貢みつぎ士し，士し一いち適てき謂いい之の好德よしのり，再さい適てき謂いい之の尊みこと賢けん，三さん適てき謂いい之の有功ゆうこう。有功ゆうこう者しゃ，天子てんし一賜以輿服弓矢，再さい賜たまもの以鬯，三賜以虎賁百人，號ごう曰命諸侯しょこう。命いのち諸侯しょこう者しゃ，鄰國有こくゆう臣しん弒其君くん，孽弒其宗，雖不請乎天子てんし而征之の可也かなり，已やめ征せい而歸其地於天子こ。諸侯しょこう貢みつぎ士し，一いち不適ふてき謂いい之の過か，再さい不適ふてき謂いい之の傲，三さん不適ふてき謂いい之の誣。誣者天子てんし黜之，一いち黜以爵，再さい黜以地ち，三さん黜而地ち畢。諸侯しょこう有ゆう不ふ貢みつぎ士し，謂いい之の不ふ率りつ正ただし，不ふ率りつ正せい者しゃ，天子てんし黜之，一いち黜以爵，再さい黜以地ち，三さん黜而地ち畢。然しか後天こうてん子こ比ひ年ねん秩官之の無む文者もんじゃ而黜之の，以諸侯こう之の所ところ貢みつぐ士し伐き之これ。《詩し》云うん：「濟濟せいせい多士たし，文ぶん王おう以寧。」此之謂いい也。

14 脩おさむ文ぶん:
古いにしえ者しゃ必有命いのち民みん，命いのち民みん能のう敬けい長ちょう憐孤，取と舍しゃ好こう讓ゆずる，居きょ事ごと力りょく者しゃ，命いのち於其君くん。命いのち然しか後こう得とく乘じょう飭輿駢馬，未み得とく命いのち者しゃ不ふ得とく乘じょう，乘じょう者しゃ皆みな有ゆう罰ばつ。故こ其民雖有餘財よざい侈物，而無仁義じんぎ功德くどく者しゃ，則のり無む所用しょよう其餘財ざい侈物；故こ其民皆みな興きょう仁義じんぎ而賤財ざい利り，賤財利則としのり不ふ爭そう，不ふ爭そう則そく強きょう不ふ凌しのげ弱じゃく，眾不暴寡。是ぜ唐から虞おそれ所以ゆえん興きょう象ぞう刑けい，而民莫敢犯はん法ほう，而亂斯止矣。《詩し》云うん：「告つげ爾なんじ民みん人じん，謹爾侯こう度ど，用よう戒不虞おそれ。」此之謂いい也。

15 脩おさむ文ぶん:
天子てんし曰巡狩かり，諸侯しょこう曰述職しょく。巡めぐ狩かり者しゃ，巡じゅん其所守也もりや；述じゅつ職しょく者しゃ，述じゅつ其所職しょく也。春はる省しょう耕たがやせ，助じょ不ふ給きゅう也；秋あき省しょう斂，助じょ不足ふそく也。天子てんし五ご年ねん一いち巡じゅん狩かり，歲さい二に月がつ東ひがし巡じゅん狩かり，至いたり於東おひがし嶽だけ，柴しば而望祀まつ山川やまかわ，見み諸侯しょこう，問もん百ひゃく年ねん者しゃ，命いのち太たい師し陳ひね詩し以觀民みん風ふう，命いのち市し納おさめ賈以觀かん民みん之これ所しょ好惡こうお，志こころざし淫いん好こう僻へき者しゃ，命いのち典禮てんれい，考こう時じ月がつ定日ていじつ，同どう律りつ禮樂れいがく制度せいど衣服いふく正之まさゆき。山川やまかわ神祇じんぎ有ゆう不ふ舉者為ため不敬ふけい，不敬ふけい者しゃ君くん黜以爵；宗廟そうびょう有ゆう不順ふじゅん者しゃ為ため不孝ふこう，不孝ふこう者しゃ君くん削そぎ其地；有功ゆうこう澤さわ於民者しゃ，然しか後ご加地かじ。入にゅう其境，土地とち辟除，敬老けいろう尊みこと賢けん，則のり有ゆう慶けい，益えき其地；入にゅう其境，土地とち荒あら穢けがれ，遺のこ老ろう失しつ賢けん，掊克在位ざいい，則のり有ゆう讓ゆずる，削そぎ其地。一不朝者黜其爵，再さい不ふ朝ちょう者しゃ黜其地ち，三不朝者以六師移之。歲とし五ご月がつ南みなみ巡じゅん狩かり，至いたり于南嶽だけ，如東巡じゅん狩かり之の禮れい；歲とし八はち月がつ西にし巡じゅん狩かり，至いたり于西嶽だけ，如南巡じゅん狩かり之の禮れい；歲とし十じゅう一いち月がつ北きた巡じゅん狩かり，至いたり于北嶽だけ，如西巡じゅん狩かり之の禮れい。歸かえり格かく于祖禰，用よう特とく。

16 脩おさむ文ぶん:
春秋しゅんじゅう曰：「正月しょうがつ，公おおやけ狩かり于郎。」傳つて曰：「春はる曰蒐，夏なつ曰苗，秋あき曰獮，冬ふゆ曰狩。」苗なえ者しゃ奈何いかん？曰苗者しゃ毛げ也，取と之これ不ふ圍澤かこいざわ，不ふ揜群，取と禽不麛卵，不ふ殺ころせ孕重者しゃ。春はる蒐者不ふ殺ころせ小しょう麛及孕重者しゃ；冬ふゆ狩かり皆みな取と之これ，百姓ひゃくしょう皆みな出で，不ふ失しつ其馳，不ふ抵禽，不ふ詭遇，逐不出で防ぼう，此苗獮蒐狩かり之の義也よしや。故こ苗なえ獮蒐狩かり之の禮れい，簡其戎えびす事ごと也；故こ苗なえ者しゃ毛げ取と之これ，蒐者搜索そうさく之の，狩かり者しゃ守もり留とめ之の。夏なつ不ふ田た，何なに也？曰，天地てんち陰陽いんよう盛長もりなが之これ時じ，猛獸もうじゅう不ふ攫，鷙鳥不ふ搏，蝮まむし蠆不螫，鳥獸ちょうじゅう蟲ちゅう蛇へび且知應おう天てん，而況人じん乎哉？是ぜ以古者しゃ必有豢牢。其謂之の畋何？聖人せいじん舉事必返本へんぽん，五穀ごこく者しゃ，以奉宗廟そうびょう，養やしなえ萬民ばんみん也，去さ禽獸きんじゅう害がい稼穡者しゃ，故こ以田言ごと之の，聖人せいじん作名さくな號ごう而事義ぎ可か知也ともや。

17 脩おさむ文ぶん:
天子てんし諸侯しょこう無事ぶじ則そく歲とし三田みた，一いち為ため乾いぬい豆まめ，二に為ため賓客ひんきゃく，三さん為ため充たかし君くん之の庖。無事ぶじ而不田た，曰不敬けい，田た不ふ以禮，曰暴天物てんぶつ。天子てんし不ふ合ごう圍かこえ，諸侯しょこう不ふ揜群；天子てんし殺ころせ則そく下大しもおお緌，諸侯しょこう殺ころせ則のり下か小しょう緌，大夫たいふ殺ころせ則そく止とめ佐さ轝，佐さ轝止則そく百姓ひゃくしょう畋獵。獺うそ祭さい魚ぎょ，然しか後こう漁りょう人じん入澤いりさわ梁はり；鳩ばと化か為ため鴈かり，然しか後ご設しつらえ罻羅；草木くさき零落れいらく，然しか後こう入山にゅうざん林りん。昆蟲こんちゅう不ふ蟄不以火田た，不ふ麛不卵たまご，不ふ殀夭，不ふ覆くつがえ巢す；此皆聖人せいじん在ざい上うえ，君子くんし在位ざいい，能のう者しゃ在職ざいしょく，大德だいとく之の發はつ者しゃ也。是ぜ故こ皋陶為ため大だい理り乎，民みん各かく服ふく得とく其實；伯はく夷えびす主ぬし禮れい，上下じょうげ皆みな讓ゆずる；倕為工こう師し，百ひゃく工こう致功；益えき主しゅ虞おそれ，山澤やまさわ辟成；棄主稷きび，百ひゃく穀こく時じ茂しげる；契ちぎり主司しゅし徒と，百姓ひゃくしょう親和しんわ；龍りゅう主賓しゅひん客きゃく，遠とお人じん至いたり。十じゅう二に牧まき行こう，而九州莫敢僻違；禹陂九きゅう澤さわ，通つう九きゅう道みち，定てい九州きゅうしゅう，各かく以其職しょく來貢らいこう，不ふ失しつ厥宜，方ぽう五十里いかり至いたる于荒服ふく，南みなみ撫なで交趾、大發だいはつ，西にし析支渠みぞ、搜さがせ氐羌，北きた至いたる山さん戎えびす、肅慎，東ひがし至いたり長ちょう夷えびす、島しま夷えびす，四海之內皆戴帝舜之功。於是禹乃興きょう九きゅう韶之樂らく，致異物ぶつ，鳳凰ほうおう來らい翔しょう，天下てんか明德めいとく也。

18 脩おさむ文ぶん:
射い者しゃ必心平體へいたい正ただし，持もち弓矢ゆみや審しん固かた，然しか後ご射い者しゃ能のう以中。《詩し》云うん：「大だい侯こう既すんで抗こう，弓矢ゆみや斯張；射い夫おっと既すんで同どう，獻けんじ爾なんじ發はつ功こう。」此之謂いい也。弧こ之の為ため言げん豫よ也，豫よ者しゃ豫よ吾われ意い也。故こ古いにしえ者しゃ兒じ生せい三さん日にち，桑くわ弧こ蓬よもぎ矢や六ろく射しゃ天地てんち四方しほう，天地てんち四方しほう者しゃ，男子だんし之の所有しょゆう事ごと也，必有意ゆうい其所有事ゆうじ，然しか後こう敢食穀こく，故こ曰：「不ふ素もと飧兮。」此之謂いい也。

19 脩おさむ文ぶん:
生なま而相與あずか交通こうつう，故こ曰留賓まろうど。自じ天子てんし至いたり士し，各かく有ゆう次じ，贈おく死し不ふ及柩尸しかばね，弔ちょう生せい不ふ及悲哀あい，非禮ひれい也。故こ古いにしえ者しゃ吉行よしゆき五十里いかり，奔喪百ひゃく里り，贈おく賵及事ごと之の謂いい時じ；時じ，禮れい之の大だい者しゃ也。春秋しゅんじゅう曰：「天王てんのう使し宰おさむ咺來歸かえり惠めぐみ公おおやけ、仲子なかご之の賵。」賵者何なに？喪も事ごと有ゆう賵者，蓋ぶた以乘馬じょうば束たば帛輿馬ば曰賵，貨財曰賻，水みず被ひ曰襚，口實こうじつ曰唅，玩好曰贈。知生ともお者しゃ賻賵，知ち死者ししゃ贈おく襚；贈おく襚所以送死し也，賻賵所以ゆえん佐生さそ也。輿こし馬ば、束たば帛、貨財、衣ころも被ひ、玩好，其數奈何いかん？曰，天子てんし乘馬じょうば六ろく匹ひき，諸侯しょこう四よん匹ひき，大夫たいふ三さん匹ひき，元もと士し二に匹ひき，下士かし一いち匹ひき；天子てんし束たば帛五ご匹ひき、玄げん三さん纁二，各かく五ご十じゅう尺しゃく，諸侯しょこう玄げん三さん纁二，各かく三さん十じゅう尺しゃく，大夫たいふ玄げん一いち纁二，各かく三さん十じゅう尺しゃく，元もと士し玄げん一いち纁一，各かく二に丈たけ，下士かし綵縵各かく一いち匹ひき，庶人布帛ふはく各かく一いち匹ひき；天子てんし之の賵，乘馬じょうば六ろく匹ひき乘車じょうしゃ，諸侯しょこう四よん匹ひき乘じょう輿こし，大夫たいふ曰參輿こし，元もと士し下士かし不用ふよう輿こし；天子てんし文ぶん繡衣各かく一襲到地，諸侯しょこう覆くつがえ跗，大夫たいふ到いた踝くるぶし，士し到いた髀；天子てんし唅實以珠，諸侯しょこう以玉，大夫たいふ以璣，士し以貝，庶人以穀實み。位い尊德そんとく厚あつ及親者しゃ賻賵唅襚厚あつ，貧富ひんぷ亦また有ゆう差さ；二に三さん四よん五ご之これ數すう，取と之これ天地てんち而制奇偶きぐう，度ど人情にんじょう而出節ぶし文ぶん，謂いい之の有ゆう因いん，禮れい之の大宗たいそう也。

20 脩おさむ文ぶん:
春秋しゅんじゅう曰：「庚かのえ戌いぬ天王てんのう崩くずし。」傳つて曰：「天王てんのう何なん以不書しょ葬そう？天子てんし記き崩くずし不ふ記き葬そう，必其時じ也；諸侯しょこう記き卒そつ記き葬そう，有ゆう天子てんし在ざい，不ふ必其時じ也。」必其時じ奈何いかん？天子てんし七なな日にち而殯，七なな月がつ而葬；諸侯しょこう五ご日にち而殯，五月ごがつ而葬；大夫たいふ三さん日にち而殯，三さん月がつ而葬；士し庶人二に日にち而殯，二に月がつ而葬。皆みな何なん以然？曰，禮れい不ふ豫よ凶事きょうじ，死し而後治ち凶きょう服ふく，衣ころも衰おとろえ飾かざり，修おさむ棺かん槨，作さく穿ほじ窆宅兆ちょう，然しか後こう喪も文成ふみなり，外そと親おや畢至，葬そう墳ふん集しゅう，孝子こうし忠臣ちゅうしん之の恩おん厚あつ備盡矣。故こ天子てんし七なな月がつ而葬，同どう軌畢至いたり；諸侯しょこう五ご月がつ而葬，同どう會かい畢至；大夫たいふ三さん月がつ而葬，同どう朝あさ畢至；士し庶人二に月がつ而葬，外そと姻畢至いたり也。

21 脩おさむ文ぶん:
延のべ陵りょう季子としこ適てき齊ひとし，於其反はん也，其長子ちょうし死し於嬴博之ひろゆき間あいだ，因いん葬そう焉。孔子こうし聞之，曰：「延のべ陵りょう季子としこ吳くれ之の習於禮者れいしゃ也。」使つかい子こ貢みつぎ往而觀かん之の，其穿，深ふか不ふ至いたり泉いずみ；其斂，以時服ふく；既すんで葬そう，封ふう壙墳掩坎，其高可か隱かくれ也；既すんで封ふうじ，左袒さたん右みぎ旋，其封且號者しゃ三さん。言げん曰：「骨肉こつにく歸き復ふく於土，命いのち也。若わか魂たましい氣き則そく無む不ふ之これ也！無む不ふ之これ也！」而遂行すいこう。孔子こうし曰：「延のべ陵りょう季子としこ於禮其合矣。」

22 脩おさむ文ぶん:
子生こなじ三さん年ねん，然しか後免ごめん於父母ちちはは之の懷なつけ，故こ制せい喪も三さん年ねん，所以ゆえん報ほう父母ちちはは之の恩おん也。期き年ねん之の喪も通どおり乎諸侯こう，三年之喪通乎天子，禮れい之の經けい也。子こ夏なつ三さん年ねん之の喪も畢，見み於孔子こ，孔子こうし與あずか之これ琴きん，使つかい之の絃，援琴而絃，衎衎而樂作さく，而曰：「先生せんせい制せい禮れい不ふ敢不及也。」孔子こうし曰：「君子くんし也。」閔子騫三さん年ねん之の喪も畢，見み於孔子こ，孔子こうし與あずか之これ琴きん，使つかい之の絃，援琴而絃，切切せつせつ而悲作さく，而曰：「先生せんせい制せい禮れい不ふ敢過也。」孔子こうし曰：「君子くんし也。」子こ貢みつぎ問とい曰：「閔子哀あい不盡ふじん，子し曰君子くんし也；子こ夏なつ哀あい已やめ盡つき，子こ曰君子くんし也。賜たまもの也惑，敢問何なん謂いい？」孔子こうし曰：「閔子哀あい未み盡つき，能のう斷だん之の以禮，故こ曰君子くんし也；子こ夏なつ哀あい已やめ盡つき，能のう引而致之，故こ曰君子くんし也。夫おっと三さん年ねん之の喪も，固かた優ゆう者しゃ之これ所しょ屈こごめ，劣れつ者しゃ之の所ところ勉つとむ。」

23 脩おさむ文ぶん:
齊ひとし宣せん王おう謂いい田た過か曰：「吾われ聞儒者しゃ喪も親おや三さん年ねん，喪も君くん三さん年ねん；君くん與あずか父ちち孰重？」田た過か對たい曰：「殆不如父重じゅう。」王おう忿然怒いか曰：「然しか則のり何なん為ため去さ親しん而事君くん？」田た過か對たい曰：「非ひ君きみ之の土地とち無む以處吾われ親おや，非ひ君きみ之の祿ろく無む以養吾われ親おや，非ひ君きみ之の爵位しゃくい無む以尊顯あらわ吾われ親おや；受之君くん，致之親おや，凡事君くん所以ゆえん為ため親おや也。」宣せん王おう邑邑無む以應。

24 脩おさむ文ぶん:
古いにしえ者しゃ有ゆう菑者謂いい之の厲，君くん一いち時じ素もと服ふく，使つかい有司ゆうし弔ちょう死し問とい疾やまし，憂ゆう以巫醫い，匍匐ほふく以救之の，湯ゆ粥かゆ以方之の。善ぜん者しゃ必先乎鰥寡孤獨こどく，及病不能ふのう相しょう養やしなえ，死し無む以葬埋うめ，則のり葬そう埋うめ之これ。有ゆう親おや喪も者しゃ不ふ呼よび其門，有ゆう齊ひとし衰おとろえ大功たいこう，五月ごがつ不服ふふく力りょく役やく之の征せい，有ゆう小しょう功こう之の喪も者しゃ未ひつじ葬そう，不服ふふく力りょく役やく之の征せい。其有重じゅう尸しかばね多た死者ししゃ，急きゅう則のり有ゆう聚眾，童子どうじ擊げき鼓こ苣火，入いれ官かん宮里みやざと用よう之の，各かく擊げき鼓こ苣火，逐官宮里みやざと。家いえ之の主人しゅじん冠かんむり立りつ於阼，事こと畢出乎里門もん，出で乎邑門もん，至いたり野外やがい；此匍匐ほふく救すくい厲之道也みちや。師し大敗たいはい亦また然しか。

25 脩おさむ文ぶん:
齋とき者しゃ思おもえ其居處しょ也，思おもえ其笑語ご也，思おもえ其所為しょい也；齋とき三さん日にち，乃見其所為しょい齋とき者しゃ。祭まつり之の日にち，將はた入戶にっと，僾然若わか有ゆう見み乎其容よう；盤ばん旋出戶ど，喟然若わか有ゆう聞乎嘆息たんそく之の聲こえ。先人せんじん之の色いろ，不ふ絕ぜっ於目；聲音こわね咳唾がいだ，不ふ絕ぜっ於耳；嗜欲好惡こうお，不ふ忘於心しん；是則これのり孝子こうし之の齋とき也。

26 脩おさむ文ぶん:
春はる祭さい曰祠，夏なつ祭さい曰禴，秋祭あきまつり曰嘗，冬ふゆ祭さい曰烝；春はる薦こも韭にら卵たまご，夏なつ薦こも麥むぎ魚ぎょ；秋あき薦こも黍きび豚ぶた，冬ふゆ薦こも稻いね鴈かり。三さん歲さい一いち祫，五ご年ねん一いち禘；祫者，合ごう也；禘者，諦たい也。祫者大だい合ごう祭さい於祖廟そびょう也，禘者諦たい其德而差優劣ゆうれつ也。聖せい主將しゅしょう祭さい，必潔齋けっさい精せい思おもえ，若わか親おや之の在ざい；方かた興きょう未み登とう，㥥㥥憧憧，專せん一いち想そう親おや之の容貌ようぼう彷彿ほうふつ，此孝子こ之の誠まこと也。四方しほう之の助祭じょさい，空そら而來者しゃ滿まん而反，虛きょ而至者しゃ實じつ而還，皆みな取と法則ほうそく焉。

27 脩おさむ文ぶん:
韓かん褐子濟ずみ於河，津つ人じん告つげ之の曰：「夫人ふじん過か於此者しゃ，未み有ゆう不快ふかい用よう者しゃ也；而子不用ふよう乎？」韓かん褐子曰：「天子てんし祭さい海うみ內之神しん，諸侯しょこう祭さい封ふう域いき之の內，大夫たいふ祭さい其親，士し祭さい其祖禰。褐也，未み得とく事ごと河かわ伯はく也。」津つ人じん申さる楫かじ舟ぶね中ちゅう水みず而運，津つ人じん曰：「向こう也，役人やくにん固かた已やめ告つげ矣，夫子ふうし不ふ聽役人じん之の言げん也；今こん舟ふね中ちゅう水みず而運，甚殆，治おさむ裝そう衣ころも而下遊ゆう乎！」韓かん子こ曰：「吾われ不為ふため人じん之の惡わる我わが而改吾われ志こころざし，不為ふため我わが將しょう死し而改吾われ義ぎ。」言げん未み已やめ，舟ふね泆然行ぎょう。韓かん褐子曰：「《詩し》云うん：『莫莫葛かずら藟，施ほどこせ于條枚まい；愷悌君子くんし，求もとめ福ぶく不ふ回かい。』鬼神きじん且不回かい，況きょう於人乎？」

28 脩おさむ文ぶん:
孔子こうし曰：「無體むたい之の禮れい，敬けい也；無む服ふく之の喪も，憂ゆう也；無聲むせい之の樂らく，懽也；不言ふげん而信，不動ふどう而威，不ふ施ほどこせ而仁，志こころざし也。鐘鼓しょうこ之の聲こえ，怒いか而擊之の則武のりたけ，憂ゆう而擊之の則のり悲，喜き而擊之の則のり樂らく；其志變へん，其聲亦また變へん。其志誠まこと，通つう乎金石せき，而況人じん乎？」

29 脩おさむ文ぶん:
公おおやけ孟子もうこ高見こうけん顓孫子まごこ莫曰：「敢問君子くんし之の禮れい何なん如？」顓孫子まごこ莫曰：「去さ爾しか外そと厲，與あずか爾しか內折，色いろ勝しょう而心自じ取と之これ，去さ三さん者しゃ而可矣。」公おおやけ孟はじめ不知ふち以告曾子，曾子愀然逡巡しゅんじゅん曰：「大だい哉言乎！夫おっと外がい厲者必內折おり，色いろ勝しょう而心自じ取と之これ必為人じん役やく。是ぜ故こ君子くんし德行とっこう成なり而容不知ふち，聞識博はく而辭不ふ爭そう，知慮ちりょ微ほろ達いたる而能不ふ愚ぐ。」

30 脩おさむ文ぶん:
曾子有ゆう疾やまし，孟はじめ儀ぎ往問之の。曾子曰：「鳥とり之の將しょう死し，必有悲聲；君子くんし集しゅう大だい辟，必有順じゅん辭じ。禮れい有ゆう三さん儀ぎ，知之ともゆき乎？」對たい曰：「不ふ識也。」曾子曰：「坐すわ，吾われ語ご汝なんじ。君子くんし脩おさむ禮れい以立志りっし，則のり貪慾どんよく之の心こころ不ふ來らい；君子くんし思おもえ禮れい以脩身み，則のり怠惰たいだ慢易之の節ふし不ふ至いたり；君子くんし脩おさむ禮れい以仁義じんぎ，則のり忿爭暴亂之の辭やめ遠とお。若わか夫おっと置おけ樽俎そんそ、列れつ籩豆，此有司し之の事こと也，君子くんし雖勿能のう可也かなり。」

31 脩おさむ文ぶん:
孔子こうし曰可也簡。簡者，易えき野の也，易えき野の者しゃ，無禮ぶれい文也ふみや。孔子こうし見み子こ桑くわ伯はく子こ，子し桑くわ伯はく子こ不ふ衣冠いかん而處，弟子でし曰：「夫子ふうし何なん為ため見み此人乎？」曰：「其質美び而無文むもん，吾われ欲ほっ說せつ而文之の。」孔子こうし去さ，子こ桑くわ伯はく子こ門人もんじん不ふ說せつ，曰：「何なに為ため見み孔子こうし乎？」曰：「其質美び而文繁しげる，吾われ欲ほっ說せつ而去其文。」故こ曰，文ぶん質しつ脩おさむ者しゃ謂いい之の君子くんし，有ゆう質しつ而無文むもん謂いい之の易えき野の，子し桑くわ伯はく子易こやす野の，欲よく同どう人道じんどう於牛馬ば，故こ仲なか弓ゆみ曰太簡。上うえ無む明天子めいてんし，下した無む賢けん方かた伯はく，天下てんか為ため無道むどう，臣しん弒其君くん，子こ弒其父ちち，力ちから能のう討之，討之可也かなり。當とう孔子こうし之これ時じ，上うえ無む明天子めいてんし也，故こ言げん雍也可か使し南面なんめん，南面なんめん者しゃ天子てんし也，雍之所以ゆえん得とく稱しょう南面なんめん者しゃ，問もん子こ桑くわ伯はく子こ於孔子こ，孔子こうし曰：「可也かなり簡。」仲なか弓ゆみ曰：「居きょ敬けい而行簡以道民どうみん，不ふ亦また可か乎？居きょ簡而行ぎょう簡，無む乃太簡乎？」子こ曰：「雍之言ごと然しか！」仲なか弓ゆみ通どおり於化術じゅつ，孔子こうし明あきら於王道どう，而無以加仲なか弓之ゆみの言げん。

32 脩おさむ文ぶん:
孔子こうし至いたり齊ひとし郭かく門もん之の外そと，遇ぐう一いち嬰兒えいじ挈一壺つぼ，相そう與あずか俱行，其視精しらげ，其心正ただし，其行端はし，孔子こうし謂いい御ご曰：「趣おもむき驅か之これ，趣おもむき驅か之これ。」韶樂方かた作さく，孔子こうし至いたり彼かれ，聞韶三さん月がつ不知ふち肉にく味あじ。故こ樂らく非ひ獨どく以自樂らく也，又また以樂人じん；非ひ獨どく以自正也まさや，又また以正人じん矣哉！於此樂らく者しゃ，不ふ圖ず為ため樂らく至いたり於此。黃き帝みかど詔みことのり伶倫作為さくい音律おんりつ，伶倫自大じだい夏なつ之の西にし，乃之崑こん崙之陰かげ，取と竹たけ於嶰谷だに，以生竅厚薄うすき均ひとし者しゃ，斷だん兩りょう節ふし間あいだ，其長九きゅう寸すん而吹之の，以為黃き鐘がね之の宮みや，日にち含少次じ，制せい十じゅう二に管かん，以崑崙之下か，聽鳳之の鳴な，以別十じゅう二に律りつ，其雄鳴な為ため六ろく，雌めす鳴な亦また六ろく，以比黃き鐘がね之の宮みや，適合てきごう黃き鐘がね之の宮みや，皆みな可か生せい之の，而律之の本ほん也。故こ曰黃鐘がね微ほろ而均，鮮全而不傷きず，其為宮みや獨どく尊みこと，象ぞう大聖たいせい之の德とく，可か以明至いたり賢けん之の功こう，故こ奉たてまつ而薦之の于宗廟そうびょう，以歌迎むかえ功德くどく，世世せぜ不ふ忘。是ぜ故こ黃き鐘かね生せい林りん鐘かね，林はやし鐘かね生せい大呂おおろ，大呂おおろ生せい夷えびす則そく，夷えびす則そく生なま太ふと簇むらが，太ふとし簇生そうせい南みなみ呂りょ，南みなみ呂りょ生せい夾鐘，夾鐘生せい無む射い，無む射い生なま姑しゅうと洗あらい，姑しゅうと洗あらい生せい應おう鐘がね，應おう鐘かね生せい蕤賓。三さん分ふん所生しょせい，益えき之の以一いち分ふん以上いじょう生なま；三さん分ふん所生しょせい，去さ其一いち分ふん以下いか生なま。黃き鐘がね、大呂おおろ、太ふと簇むらが、夾鐘、姑しゅうと洗あらい、仲なか呂りょ、蕤賓為ため上じょう，林はやし鐘かね、夷えびす則そく、南みなみ呂りょ、無む射い、應おう鐘がね為ため下か。大聖たいせい至いたり治之はるゆき世よ，天地てんち之の氣き，合ごう以生風ふう，日にち至いたり則そく日び行ぎょう其風以生十じゅう二に律りつ，故こ仲冬ちゅうとう短たん至いたり則そく生せい黃き鐘がね，季冬きとう生せい大呂おおろ，孟春もうしゅん生せい太ふとし簇むらが，仲春ちゅうしゅう生せい夾鐘，季春きしゅん生せい姑しゅうと洗あらい，孟夏もうか生せい仲なか呂りょ，仲なか夏生なつき蕤賓，季夏きか生せい林りん鐘かね，孟秋もうしゅう生せい夷えびす則そく，仲なか秋生あきお南みなみ呂りょ，季秋きしゅう生せい無む射い，孟冬もうとう生せい應おう鐘がね。天地てんち之の風氣かざけ正ただし，十じゅう二に律りつ至いたり也。

33 脩おさむ文ぶん:
聖人せいじん作為さくい鞉鼓控ひかえ揭塤箎，比ひ六ろく者しゃ德とく音おん之の音おと，然しか後ご鐘しょう磬かおる竽瑟以和之の，然しか後ご干ひ戚旄狄以舞まい之の；此所以ゆえん祭さい先王せんおう之の廟びょう也，此所以獻酢す酳之酬むくい也，所以ゆえん官かん序じょ貴き賤各得とく其宜也，此可以示後世こうせい有ゆう尊卑そんぴ長幼ちょうよう之の序じょ也。

34 脩おさむ文ぶん:
鐘聲しょうせい鏗鏗以立號ごう，號ごう以立橫よこ，橫よこ以立武たけ，君子くんし聽鐘聲ごえ則そく思おもえ武臣ぶしん。石いし聲ごえ磬かおる磬かおる以立辯べん，辯べん以致死し，君子くんし聽磬聲ごえ則そく思おもえ死し封ふう疆之臣しん。絲いと聲ごえ哀あい哀あい以立廉れん，廉れん以立志りっし，君子くんし聽琴瑟之聲ごえ，則のり思おもえ志こころざし義之よしゆき臣しん。竹たけ聲ごえ濫濫以立會かい，會かい以聚眾，君子くんし聽竽笙しょう簫しょう管かん之の聲こえ，則のり思おもえ畜聚之の臣しん。鼓つづみ鞞之聲ごえ懽懽以立動どう，動どう以進眾，君子くんし聽鼓鞞之聲ごえ，則のり思おもえ將帥しょうすい之の臣しん。君子くんし之の聽音ちょうおん，非ひ聽其鏗鏘而已，彼かれ亦また有ゆう所しょ合あい之の也。

35 脩おさむ文ぶん:
樂らく者しゃ，聖人せいじん之これ所しょ樂らく也，而可以善民心みんしん，其感人じん深ふか，其移風ふう易やす俗ぞく，故こ先王せんおう著ちょ其教焉。夫おっと民有みんゆう血氣けっき心こころ知之ともゆき性せい，而無哀樂あいらく喜怒きど之の常つね，應おう感かん起おこり物ぶつ而動，然しか後こう心術しんじゅつ形がた焉。是ぜ故こ感激かんげき憔悴しょうすい之の音おと作さく，而民思おもえ憂う；嘽奔慢易繁しげる文ぶん簡節之の音おと作さく，而民康やすし樂らく；粗そ屬ぞく猛もう奮廣賁之音おん作さく，而民剛毅ごうき；廉直れんちょく勁正莊そう誠之せいし音おと作さく，而民肅敬；寬ひろし裕ひろし肉にく好こう順じゅん成和せいわ動どう之の音おと作さく，而民慈愛じあい。流りゅう僻へき邪よこしま散ち狄成滌濫之の音おと作さく，而民淫亂いんらん。是ぜ故こ先王せんおう本ほん之の情じょう性せい，稽之度數どすう，制せい之の禮れい義ぎ；含生氣き之の和わ，道みち五常ごじょう之これ行ぎょう，使つかい陽ひ而不散ち，陰かげ而不密みつ，剛つよし氣き不ふ怒いか，柔やわら氣き不ふ懾；四よん暢とおる交於中ちゅう，而發作さく於外，皆みな安やす其位，不ふ相あい奪だつ也。然しか後こう立だて之の學まなべ等とう，廣こう其節奏そう，省しょう其文彩いろどり；以繩德とく厚あつ，律りつ小しょう大だい之の稱たたえ，比ひ終始しゅうし之これ序じょ，以象事ごと行ぎょう，使つかい親おや疏貴賤，長幼ちょうよう男女だんじょ之の理り，皆みな形見がたみ於樂，故こ曰樂觀かん其深矣。土ど弊へい則そく草木くさき不ふ長ちょう，水みず煩はん則そく魚ぎょ鱉不大だい，氣き衰おとろえ則そく生物せいぶつ不ふ遂とげ，世せい亂らん則そく禮れい慝而樂らく淫いん；是ぜ故こ其聲哀あい而不莊そう，樂らく而不安ふあん，慢易以犯節ぶし，流りゅう漫以忘本，廣則ひろのり容よう姦かん，狹せま則のり思おもえ慾よく；感かん滌蕩之の氣き，滅めつ平和へいわ之の德とく，是ぜ以君子くんし賤之也。凡姦聲ごえ感かん人じん而逆氣き應おう之の，逆ぎゃく氣き成なり象ぞう而淫樂いんらく興きょう焉；正せい聲こえ感かん人じん而順氣き應おう之の，順じゅん氣き成なり象ぞう而和樂わらく興きょう焉。唱和しょうわ有ゆう應おう，回かい邪よこしま曲直きょくちょく，各かく歸き其分，而萬物ぶつ之の理り，以類相しょう動どう也。是ぜ故こ君子くんし反はん情じょう以和其志，比類ひるい以成其行，姦かん聲ごえ亂らん色しょく，不ふ習於聽，淫樂いんらく慝禮，不ふ接せっ心術しんじゅつ，惰慢邪よこしま辟之氣き，不ふ設しつらえ於身體しんたい；使し耳みみ目鼻めはな口こう心こころ智さとし百ひゃく體たい，皆みな由よし順じゅん正せい以行其義，然しか後發こうはつ以聲音おん，文ぶん以琴瑟きんしつ，動どう以干戚，飾かざり以羽旄，從したがえ以簫管かん；奮至德之のりゆき光こう，動どう四よん氣き之の和わ，以著萬物ばんぶつ之の理り。是ぜ故こ清明せいめい象ぞう天てん，廣大こうだい象ぞう地ち，終始しゅうし象ぞう四よん時じ，周旋しゅうせん象ぞう風雨ふうう；五色成文而不亂，八風從律而不姦，百ひゃく度ど得え數すう而有常つね。小しょう大だい相成あいな，終始しゅうし相生あいおい，唱和しょうわ清濁せいだく，代だい相しょう為ため經けい，故こ樂らく行ぎょう而倫清きよし，耳目じもく聰明そうめい，血氣けっき和平わへい，移うつり風ふう易えき俗ぞく，天下てんか皆みな寧やすし，故こ曰樂者しゃ樂らく也。君子くんし樂らく得とく其道，小人こども樂らく得とく其欲，以道制欲せいよく，則のり樂らく而不亂ふらん；以欲忘道，則のり惑而不ふ樂らく，是ぜ故こ君子くんし反はん情じょう以和其意，廣こう樂らく以成其教，故こ樂らく行ぎょう而民向むこう方かた，可か以觀德とく矣。德とく者しゃ性せい之の端はし也，樂らく者しゃ德之のりゆき華はな也，金石かねいし絲竹いとたけ，樂らく之の器うつわ也。詩し言げん其志，歌うた詠えい其聲，舞まい動どう其容，三さん者しゃ本ほん於心，然しか後樂こうらく器き從したがえ之の；是ぜ故こ情深なさけぶか而文明ぶんめい，氣き盛もり而化神しん，和かず順じゅん積せき中ちゅう而英華はな發はつ外がい，惟おもんみ樂らく不可ふか以為偽にせ。樂らく者しゃ，心しん之の動どう也，聲こえ者しゃ，樂らく之の象ぞう也，文ぶん采さい節奏せっそう，聲こえ之の飾かざり也。君子くんし之の動どう本ほん，樂らく其象也，後ご治ち其飾，是ぜ故こ先さき鼓こ以警戒けいかい，三さん步ほ以見方かた，再さい始はじめ以著往，復ふく亂らん以飭歸き；奮疾而不拔ふばつ，極ごく幽かそけ而不隱かくれ，獨樂こま其志，不ふ厭いや其道，備舉其道，不ふ私わたし其欲。是ぜ故こ情じょう見み而義立りつ，樂らく終おわり而德尊みこと，君子くんし以好善ぜん，小人こども以飭過か，故こ曰生民みん之の道みち，樂たのし為ため大だい焉。

36 脩おさむ文ぶん:
樂らく之の可か密みつ者しゃ，琴きん最さい宜むべ焉，君子くんし以其可か脩おさむ德とく，故こ近きん之これ。凡音之の起おこり，由人よしと心こころ生なま也；人心じんしん之の動どう，物もの使し之の然しか也；感かん於物而後動どう，故こ形かたち於聲；聲ごえ相應そうおう故こ生なま變へん，變成へんせい方かた故こ謂いい之の音おと。比ひ音おん而樂之の，及干戚羽旄謂之の樂らく；樂らく者しゃ音おん之の所由しょゆう生せい也，其本在ざい人心じんしん之の感かんじ於物。是ぜ故こ其哀心しん感かん者しゃ，其聲瞧以殺ころせ；其樂心しん感かん者しゃ，其聲嘽以緩なる；其喜心しん感かん者しゃ，其聲發はつ以散；其怒心しん感かん者しゃ，其聲壯たけし以厲；其敬心しん感かん者しゃ，其聲直ちょく以廉；其愛心しん感かん者しゃ，其聲和わ以調。人ひと之の善惡ぜんあく非ひ牲也，感かん於物而後動どう，是ぜ故こ先王せんおう慎まき所以ゆえん感かん之の，故こ禮れい以定其意，樂らく以和其性，政せい以一其行，刑けい以防其姦；禮樂れいがく刑けい政せい，其極一也かずや，所以ゆえん同どう民心みんしん而立じりつ治ち道也みちや。

37 脩おさむ文ぶん:
凡音，生なま人心じんしん者しゃ也，情動じょうどう於中而形於聲，聲こえ成文せいぶん謂いい之の音おと。是ぜ故こ治世ちせい之の音おと安やす以樂，其政和わ；亂世らんせい之の音おと怨以怒いか，其政乖；亡國ぼうこく之の音おと哀あい以思，其民困こま。聲音こわね之の道みち，與あずか政せい通どおり矣。宮みや為ため君くん，商しょう為ため臣しん，角かく為ため民みん，徵しるし為事しごと，羽わ為ため物ぶつ；五音ごいん亂らん則そく無法むほう，無法むほう之の音おと：宮みや亂らん則そく荒あら，其君驕おご；商しょう亂らん則そく陂，其官壞；角かく亂らん則そく憂ゆう，其民怨；徵ちょう亂らん則そく哀あい，其事勤つとむ；羽わ亂らん則そく危，其財匱；五ご者しゃ皆みな亂らん，代だい相しょう淩謂之の慢，如此則そく國こく之の滅亡めつぼう無む日にち矣。鄭てい、衛まもる之の音おと，亂世らんせい之の音おと也，比ひ於慢矣；桑くわ間あいだ、濮上之の音おと，亡國ぼうこく之の音おと也，其政散ち，其民流りゅう，誣上行ぎょう私わたし而不可ふか止とめ也。

38 脩おさむ文ぶん:
凡人ぼんじん之の有ゆう患禍者しゃ，生なま於淫泆暴慢ぼうまん，淫いん泆暴慢ぼうまん之の本ほん，生なま於飲酒しゅ；故こ古いにしえ者しゃ慎まき其飲酒しゅ之の禮れい，使つかい耳みみ聽雅音おん，目視もくし正儀まさき，足あし行正ゆきまさ容よう，心しん論ろん正道せいどう。故こ終日しゅうじつ飲酒いんしゅ而無過失かしつ，近こん者しゃ數日すうじつ，遠とお者しゃ數すう月がつ，皆みな人じん有德うとく焉以益えき善ぜん，《詩し》云うん：「既すんで醉よい以酒，既すんで飽以德とく。」此之謂いい也。

39 脩おさむ文ぶん:
凡從外入とのにゅう者しゃ，莫深於聲音おん，變人へんじん最さい極きょく，故こ聖人せいじん因いん而成之の以德曰樂，樂らく者しゃ德之のりゆき風ふう，《詩し》曰：「威儀いぎ抑そもそも抑そもそも，德とく音おん秩秩。」謂いい禮樂れいがく也。故こ君子くんし以禮正せい外がい，以樂正せい內；內須臾離樂らく，則のり邪氣じゃき生せい矣，外そと須臾しゅゆ離はなれ禮れい，則のり慢行起おこり矣；故こ古いにしえ者しゃ天子てんし諸侯しょこう聽鐘聲ごえ，未み嘗離於庭，卿きょう大夫たいふ聽琴瑟きんしつ，未み嘗離於前；所以ゆえん養やしなえ正せい心しん而滅淫いん氣き也。樂らく之の動どう於內，使つかい人じん易えき道どう而好良りょう；樂らく之の動どう於外，使つかい人じん溫ゆたか恭きょう而文雅ぶんが；雅みやび頌之聲ごえ動どう人じん，而正氣き應おう之の；和成かずなり容よう好之よしゆき聲ごえ動どう人じん，而和氣わき應おう之の；粗そ厲猛賁之聲ごえ動どう人じん，而怒氣き應おう之の；鄭てい衛まもる之これ聲ごえ動どう人じん，而淫氣き應おう之の。是ぜ以君子くんし慎まき其所以動人じん也。

40 脩おさむ文ぶん:
子こ路ろ鼓こ瑟有北きた鄙ひな之の聲こえ，孔子こうし聞之曰：「信しん矣，由之よしゆき不才ふさい也！」冉有侍さむらい，孔子こうし曰：「求もとめ來らい，爾しか奚不謂いい由夫よしお先王せんおう之の制せい音おん也？奏そう中ちゅう聲こえ，為ため中ちゅう節ふし；流入りゅうにゅう於南，不歸ふき於北。南みなみ者しゃ生育せいいく之の鄉さと，北きた者しゃ殺伐さつばつ之の域いき；故こ君子くんし執と中ちゅう以為本ほん，務つとむ生なま以為基もと，故こ其音溫和おんわ而居中ちゅう，以象生育せいいく之の氣き也。憂ゆう哀あい悲痛ひつう之の感かんじ不ふ加か乎心，暴厲淫いん荒あら之の動どう不在ふざい乎體，夫おっと然しか者しゃ，乃治存そん之の風ふう，安樂あんらく之の為ため也。彼かれ小人こども則そく不ふ然しか，執と末すえ以論本ほん，務つとむ剛つよし以為基もと，故こ其音湫厲而微末まつ，以象殺伐さつばつ之の氣き。和わ節ぶし中正ちゅうせい之の感かんじ不ふ加か乎心，溫ゆたか儼げん恭きょう莊そう之の動どう不ふ存そん乎體，夫おっと殺ころせ者しゃ乃亂亡ほろび之の風ふう，奔北之の為ため也。昔むかし舜しゅん造づくり南風みなみかぜ之の聲こえ，其興也勃焉，至いたり今こん王おう公述こうじゅつ無む不ふ釋しゃく；紂為北きた鄙ひな之の聲こえ，其廢也忽焉こつえん，至いたり今こん王公おうこう以為笑わらい。彼かれ舜しゅん以匹夫ひっぷ，積せき正せい合ごう仁ひとし，履くつ中ちゅう行ぎょう善ぜん，而卒以興，紂以天子てんし，好こう慢淫荒あら，剛つよし厲暴賊ぞく，而卒以滅。今いま由也よしや匹夫ひっぷ之の徒と，布衣ふい之の醜みにく也，既すんで無む意い乎先王おう之これ制せい，而又有ゆう亡國ぼうこく之の聲こえ，豈あに能のう保ほ七なな尺しゃく之の身み哉？」冉有以告子こ路ろ，子こ路ろ曰：「由之よしゆき罪ざい也！小人こども不能ふのう，耳みみ陷おちい而入於斯。宜むべ矣，夫子ふうし之の言げん也！」遂とげ自じ悔，不ふ食しょく七日而骨立焉，孔子こうし曰：「由之よしゆき改あらため過か矣。」

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