ヤモリ科か

ヤモリ科か
	トッケイヤモリ
分類ぶんるい
学名がくめい
	Gekkonidae; J.E.Gray, 1825

ヤモリ科か（ヤモリか、守宮やもり科か、壁かべ虎とら科か、学名がくめい：Gekkonidae）は有ゆう鱗うろこ目めの科かの一ひとつ。模も式しき属ぞくはヤモリ属ぞく。

分布ぶんぷ

南極大陸なんきょくたいりくを除のぞく全ぜん大陸たいりくに分布ぶんぷする。小型こがた種しゅが多おおいこともあり、漂流ひょうりゅう物ぶつに乗のって海洋かいよう島とうに流ながれ着つくなどの広域こういきな分散ぶんさんが行おこなわれたと考かんがえられている。有史ゆうし以後いごは、貨物かもつに紛まぎれ込こんで移動いどう先さきで定着ていちゃくした例れいも多おおいものと考かんがえられている。

日本にっぽんにはニホンヤモリほか十じゅう数すう種しゅが棲息せいそくする。

形態けいたい

体形たいけいは扁平へんぺい。全身ぜんしんは細こまかい鱗うろこで覆おおわれる。

眼めは大型おおがたで、瞼まぶたが変化へんかした透明とうめいな鱗うろこで覆おおわれる。瞼まぶたを閉とじることができないため、舌したで眼め（表面ひょうめんの透明とうめいな鱗うろこ）を舐なめ清浄せいじょうに保たもつ。瞳孔どうこうは縦長たてながの種たねが多おおく（昼ひる行ぎょう性せいの種たねは瞳孔どうこうが丸まるい種たねもいる）で、多おおくの光ひかりを集あつめ夜間やかんの活動かつどうに適てきしている。舌したは太ふとくて短みじかく、先端せんたんにはわずかに切きれこみが入はいる。耳みみ孔あなは小型こがた。

多おおくの種たねで四肢ししは短みじかい。指ゆび趾は5本ほんずつで、襞ひだ状じょうの鱗うろこ（趾下薄板うすいた、指ゆび下板しもいた）が並ならぶ種たねもいる。この趾下薄板うすいたはガラスケースなどの滑なめらかな垂直すいちょくの面めんにも接着せっちゃくし登のぼることができる。かつては、この襞ひだは細こまかい鉤かぎ型がたになり、壁面へきめんの僅わずかな凹凸おうとつに引ひっ掛かけることで接着せっちゃくさせていると考かんがえられていたが、2000年ねんにカリフォルニア大かりふぉるにあだいのFullらにより、それぞれの足あしの裏うらにある約やく50万まん本ほんもの剛毛ごうもうが壁面へきめんの分子ぶんしとの間あいだにファンデルワールス力りょくを発生はっせいさせることで接着せっちゃくしていることが証明しょうめいされた。指ゆび趾だけでなく同おなじ機構きこうを尾端びたんに持もつ種たねもいる。樹き上じょう棲では趾下薄板うすいたの発達はったつしている種たねが多おおく、地表ちひょう棲の種たねでは発達はったつしていない種たねが多おおい。ヤモリテープなど新あたらしい接着せっちゃく剤ざいの開発かいはつに応用おうようが期待きたいされている。

生態せいたい

森林しんりん、砂漠さばくなどの様々さまざまな環境かんきょうに生息せいそくし、民家みんかに生息せいそくする種たねもいる。主おもに夜行やこう性せい。威嚇いかくや求愛きゅうあいのために鳴なき声ごえを出だす種たねもいる。

食しょく性せいは主おもに動物どうぶつ食しょくで、生いきた昆虫こんちゅう、小型こがた爬虫類はちゅうるい、小型こがた哺乳類ほにゅうるいなどを食たべるが、花はなの蜜みつや果実かじつを食たべる種たねもいる。

繁殖はんしょく形態けいたいは主おもに卵生らんせい。主おもに1回かいに2個こずつの卵たまごを数すう回かいに分わけて産うむ。

人間にんげんとの関係かんけい

ペットとして飼育しいくされることがあり、日本にっぽんに棲息せいそくしないものも輸入ゆにゅうされている。例外れいがいがあるものの小型こがた種しゅが多おおいこと、主おもに夜行やこう性せいのため紫外線しがいせん等とうの人工じんこうの照明しょうめいが必要ひつようないこと、比較的ひかくてき飼育しいくや繁殖はんしょくが易やさしいことから日本にっぽんでの飼育しいくに適てきした爬虫類はちゅうるいとして紹介しょうかいされることもある。しかし垂直すいちょく壁かべやガラス面めんで活動かつどうを行おこない、動うごきが素早すばやいことから（特とくに立体りったい的てきな活動かつどうをする種しゅにおいて）メンテナンス中ちゅうの脱走だっそう等とうには気きをつける必要ひつようがある。種類しゅるいによっては食用しょくようになるものがある。

分類ぶんるい

オンナダケヤモリ
Gehyra mutilata

オガサワラヤモリ
Lepidodactylus lugubris

ビブロンヤモリ
Chondrodactylus bibronii

ソメワケササクレヤモリ
Paroedura pictus

オオヒルヤモリ
Phelsuma madagascariensis

ヤマビタイヘラオヤモリ
Uroplatus sikorae

ヤモリの卵たまご

Gekko ヤモリ属ぞく（コバンヤモリ属ぞく） - 約やく50種しゅニホンヤモリ、タワヤモリ、ミナミヤモリ、トッケイヤモリなど
Ptychozoon トビヤモリ属ぞく - 8種しゅクールトビヤモリ
Pseudogekko - 4種しゅ
Lepidodactylus オガサワラヤモリ属ぞく - 32種しゅ
Luperosaurus - 13種しゅ
Nactus - 12種しゅペラジックヤモリ
Dixonius - 5種しゅシャムザラハダヤモリ
Heteronotia - 5種しゅ
Hemiphyllodactylus キノボリヤモリ属ぞく - 15種しゅ
Gehyra フトオヤモリ属ぞく - 43種しゅ
Rhinogecko - 2種しゅ
Alsophylax - 6種しゅ
Microgecko - 4種しゅ
Cyrtodactylus ホソユビヤモリ属ぞく - 約やく200種しゅ
Hemidactylus ナキヤモリ属ぞく - 約やく130種しゅヒラオヤモリ・マツカサヤモリ・ホオグロヤモリ
Altiphylax - 6種しゅ
Mediodactylus - 13種しゅ
Pseudoceramodactylus khobarensis HAAS, 1957
Tropiocolotes - 10種しゅカワラヤモリ
Stenodactylus ハリユビヤモリ属ぞく - 13種しゅペトリボウユビヤモリ
Tenuidactylus - 8種しゅ
Cyrtopodion - 28種しゅ
Agamura persica (DUMÉRIL, 1856) クモヤモリ
Bunopus - 4種しゅツブハダイワチヤモリ
Crossobamon - 2種しゅ
Perochirus シマヤモリ属ぞく - 3種しゅミナミトリシマヤモリ
Urocotyledon - 5種しゅ
Ebenavia - 2種しゅクチボソツメナシヤモリ
Paroedura ササクレヤモリ属ぞく - 18種しゅ
Ailuronyx - 3種しゅ
Calodactylodes - 2種しゅギュンターシマヤモリ
Ptenopus - 3種しゅ
Narudasia festiva METHUEN & HEWITT, 1914
Uroplatus ヘラオヤモリ属ぞく - 14種しゅ
Phelsuma ヒルヤモリ属ぞく - 52種しゅ
Rhoptropella ocellata (BOULENGER, 1885)
Lygodactylus コビトヤモリ属ぞく - 62種しゅカンムリマルメヤモリ
Kolekanos plumicaudus HAACKE, 2008
Paragehyra - 2種しゅ
Christinus - 3種しゅ
Afrogecko - 2種しゅ
Ramigekko swartbergensis (HAACKE, 1996)
Cryptactites peringueyi (BOULENGER, 1910)
Matoatoa - 2種しゅサラマンダーヤモリ
Afroedura - 27種しゅ
Geckolepis - 3種しゅチビバクチヤモリ
Blaesodactylus - 4種しゅボイヴィンネコツメヤモリ
Homopholis - 4種しゅ
Goggia - 8種しゅ
Rhoptropus - 7種しゅ
Elasmodactylus - 2種しゅ
Chondrodactylus グローブヤモリ属ぞく - 4種しゅグローブヤモリ・ビブロンヤモリ
Colopus - 2種しゅ Colopus wahlbergii
Pachydactylus フトユビヤモリ属ぞく - 54種しゅトラフフトユビヤモリ・ミズカキヤモリ
Cnemaspis - 117種しゅ、多た系統けいとう。アフリカマルメスベユビヤモリ等ひとし

系統けいとう

次つぎのような系統けいとう樹じゅが得えられている^[1]^[2]^[3]。

ヤモリ属ぞく+トビヤモリ属ぞく+Luperosaurus の一部いちぶ

Luperosaurus

	Pseudogekko

	オガサワラヤモリ属ぞく

	キノボリヤモリ属ぞく

	フトオヤモリ属ぞく

Nactus

	Dixonius

	Heteronotia

Alsophylax

	Microgecko

	Cnemaspis の一部いちぶ

	ホソユビヤモリ属ぞく

	ナキヤモリ属ぞく

Altiphylax

Mediodactylus

Pseudoceramodactylus khobarensis

	Tropiocolotes

	ハリユビヤモリ属ぞく

Tenuidactylus

Cyrtopodion

	クモヤモリ

	Bunopus+Crossobamon

シマヤモリ属ぞく

Urocotyledon

	Ebenavia

	ササクレヤモリ属ぞく

Ailuronyx

Calodactylodes

	Ptenopus

	Narudasia festiva

	Cnemaspis の一部いちぶ

	ヘラオヤモリ属ぞく

Cnemaspis の一部いちぶ

ヒルヤモリ属ぞく

	Rhoptropella ocellata

	コビトヤモリ属ぞく

Paragehyra

Christinus・Afrogecko・Cryptactites・Matoatoa・Afroedura 等ひとし

Geckolepis

	Homopholis

	Blaesodactylus

Goggia

Rhoptropus

Elasmodactylus

	グローブヤモリ属ぞく

	フトユビヤモリ属ぞく+Colopus

脚注きゃくちゅう

^ Pyron, R. Alexander, Frank T. Burbrink, and John J. Wiens. (2013). “A phylogeny and revised classification of Squamata, including 4161 species of lizards and snakes”. BMC evolutionary biology 13 (1): 93. doi:10.1186/1471-2148-13-93.
^ Brown, Rafe M., et al. (2012). “Testing the phylogenetic affinities of Southeast Asia’s rarest geckos: Flap-legged geckos (Luperosaurus), Flying geckos (Ptychozoon) and their relationship to the pan-Asian genus Gekko”. Molecular phylogenetics and evolution 63 (3): 915-921. doi:10.1016/j.ympev.2012.02.019.
^ Bauer, Aaron M., et al. (2013). “A preliminary phylogeny of the Palearctic naked-toed geckos (Reptilia: Squamata: Gekkonidae) with taxonomic implications”. Zootaxa 3599 (4): 301-324.

参考さんこう文献ぶんけん

今泉いまいずみ吉よし典のり、松井まつい孝たかし爾なんじ監修かんしゅう『原色げんしょくワイド図鑑ずかん3 動物どうぶつ』、学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、1984年ねん、140頁ぺーじ。
海老えび沼ぬま剛つよし『爬虫・両生類りょうせいるいビジュアルガイドトカゲ2 ヤモリ上うえ科か&スキンク上うえ科か』、誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ、2004年ねん、10-55、65-66頁ぺーじ。
小原おはら秀雄ひでお・浦うら本ほん昌紀まさき・太田おおた英利ひでとし・松井まつい正文まさふみ編著へんちょ『レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北きたアメリカ』、講談社こうだんしゃ、2000年ねん、225-209頁ぺーじ。
小原おはら秀雄ひでお・浦うら本ほん昌紀まさき・太田おおた英利ひでとし・松井まつい正文まさふみ編著へんちょ『レッド・データ・アニマルズ2 アマゾン』、講談社こうだんしゃ、2001年ねん、259-260頁ぺーじ。
小原おはら秀雄ひでお・浦うら本ほん昌紀まさき・太田おおた英利ひでとし・松井まつい正文まさふみ編著へんちょ『レッド・データ・アニマルズ3 中央ちゅうおう・南みなみアメリカ』、講談社こうだんしゃ、2001年ねん、259-260頁ぺーじ。
小原おはら秀雄ひでお・浦うら本ほん昌紀まさき・太田おおた英利ひでとし・松井まつい正文まさふみ編著へんちょ『レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』、講談社こうだんしゃ、2000年ねん、208-226頁ぺーじ。
小原おはら秀雄ひでお・浦うら本ほん昌紀まさき・太田おおた英利ひでとし・松井まつい正文まさふみ編著へんちょ『レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』、講談社こうだんしゃ、2000年ねん、205-206頁ぺーじ。
小原おはら秀雄ひでお・浦うら本ほん昌紀まさき・太田おおた英利ひでとし・松井まつい正文まさふみ編著へんちょ『レッド・データ・アニマルズ8 太平洋たいへいよう、インド洋いんどよう』、講談社こうだんしゃ、2001年ねん、238-240頁ぺーじ。
千せん石せき正一しょういち監修かんしゅう長坂ながさか拓也たくや編著へんちょ『爬虫類はちゅうるい・両生類りょうせいるい800種しゅ図鑑ずかん第だい3版はん』、ピーシーズ、2002年ねん、15-27、314-315頁ぺーじ。
冨とみ水明すいめい『可愛かわいいヤモリと暮くらす本ほんレオパ&クレス』、マリン企画きかく、2008年ねん、46-55、82-101、104-123頁ぺーじ。
深田ふかた祝はじめ監修かんしゅう T.R.ハリディ、K.アドラー編へん『動物どうぶつ大だい百科ひゃっか12 両生りょうせい・爬虫類はちゅうるい』、平凡社へいぼんしゃ、1986年ねん、112-113、123-124、159-160頁ぺーじ。
『小学館しょうがくかんの図鑑ずかんNEO 両生りょうせい・はちゅう類るい』、小学館しょうがくかん、2004年ねん、91-95頁ぺーじ。
Kellar Autumn, Yiching A. Liang, S. Tonia Hsieh, Wolfgang Zesch, Wai Pang Chan, Thomas W. Lenny, Ronald Fearing and Robert J. Full　Adhesive force of a single gecko foot-hair、Nature、2000年ねん6月がつ8日にち、405, 681-685。

外部がいぶリンク

[Pyron2013-1] Pyron, R. Alexander, Frank T. Burbrink, and John J. Wiens. (2013). “A phylogeny and revised classification of Squamata, including 4161 species of lizards and snakes”. BMC evolutionary biology 13 (1): 93. doi:10.1186/1471-2148-13-93.

[2] Brown, Rafe M., et al. (2012). “Testing the phylogenetic affinities of Southeast Asia’s rarest geckos: Flap-legged geckos (Luperosaurus), Flying geckos (Ptychozoon) and their relationship to the pan-Asian genus Gekko”. Molecular phylogenetics and evolution 63 (3): 915-921. doi:10.1016/j.ympev.2012.02.019.

[3] Bauer, Aaron M., et al. (2013). “A preliminary phylogeny of the Palearctic naked-toed geckos (Reptilia: Squamata: Gekkonidae) with taxonomic implications”. Zootaxa 3599 (4): 301-324.

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