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ワシントン・ポスト - Wikipedia
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ワシントン・ポスト

ワシントンD.C.の日刊にっかん紙し
（ワシントンポストから転送てんそう）
曖昧さ回避 この項目こうもくでは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで発行はっこうされる新聞しんぶんについて説明せつめいしています。スーザが作曲さっきょくした行進曲こうしんきょくについては「ワシントン・ポスト (行進曲こうしんきょく)」をご覧らんください。

ワシントン・ポスト（英語えいご: The Washington Post）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくワシントンD.C.で発行はっこうされている日刊にっかん紙しである。ワシントン都市とし圏けん（英語えいご版ばん）で最もっとも多おおく発行はっこうされている新聞しんぶんであり[4][5]、アメリカ全土ぜんどにも多おおくの読者どくしゃがいる。日刊にっかんのブランケット版ばんはワシントンD.C.、メリーランド州しゅう、バージニア州しゅうで発行はっこうされている。単たんにポスト(the Post)とも呼よばれ[6]、非公式ひこうしきにWaPo（ワポ）と略りゃくされる。

ワシントン・ポスト
Democracy Dies in Darkness（英語えいご版ばん）
同紙どうしのライノタイプ
種別しゅべつ日刊にっかん紙し
判はん型がたブランケット判ばん
所有しょゆう者しゃナッシュ・ホールディングス
設立せつりつ者しゃスティルソン・ハッチンス（英語えいご版ばん）
発行はっこう者しゃフレッド・ライアン（英語えいご版ばん）[1]
編集へんしゅう長ちょうサリー・バズビー（英語えいご版ばん）
社員しゃいん数すう1,050人にん（ジャーナリスト）[2]
設立せつりつ1877年ねん12月6日にち (146年ねん前まえ) (1877-12-06)
政治せいじ的てき傾向けいこうリベラル（冷戦れいせん終結しゅうけつ以前いぜん革新かくしん）
言語げんご英語えいご
本社ほんしゃ所在地しょざいちアメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく ワシントンD.C.北西ほくせい地区ちくK通とおり1301番地ばんち ワン・フランクリン・スクエア（英語えいご版ばん）[3]
発行はっこう数すう159,040部ぶ (印刷いんさつ版ばん、2022年ねん)
ISSN0190-8286
OCLC2269358
ウェブサイトwashingtonpost.com
国くにアメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

ピューリッツァー賞しょうを69回かい受賞じゅしょうしており[7]、これは『ニューヨーク・タイムズ』紙しに次ついで2番目ばんめに多おおい受賞じゅしょう数すうである[8]。アメリカ国内こくないでは主要しゅよう新聞しんぶん (en:newspaper of record) の一ひとつとみなされている[9][10][11]。ポスト紙しのジャーナリストは、ニーマン・フェローシップ（英語えいご版ばん）を18回かい、ホワイトハウス報道ほうどう写真しゃしん家か協会きょうかい賞しょうを368回かい受賞じゅしょうしている[12][13]。ポスト紙しは政治せいじ報道ほうどう（英語えいご版ばん）で知しられており、アメリカの新聞しんぶんの中なかで国外こくがい支局しきょく（英語えいご版ばん）を運営うんえいしている数少かずすくない新聞しんぶんの一ひとつである。

ポスト紙しは1877年ねんに創刊そうかんした。創刊そうかん当初とうしょはオーナーが何人なんにんも変かわり、経済けいざい的てきにも編集へんしゅう的てきにも苦くるしい状況じょうきょうが続つづいた。1933年ねんに破産はさんし競売きょうばいにかけられたところを金融きんゆう業者ぎょうしゃのユージン・メイヤーが買収ばいしゅうし、評判ひょうばんを回復かいふくさせた。その後ご、後継こうけい者しゃのキャサリン・グラハムとフィル・グラハム（メイヤーの娘むすめとその夫おっと）が、ライバル紙しを買収ばいしゅうするなどして規模きぼを拡大かくだいさせた。

1971年ねん、ポスト紙しは政府せいふの機密きみつ文書ぶんしょ「ペンタゴン・ペーパーズ」を掲載けいさいし、ベトナム反戦はんせん運動うんどうに拍車はくしゃをかけた。ポスト紙しの記者きしゃのボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインの取材しゅざいは、ウォーターゲート事件じけんという一大いちだい政治せいじスキャンダルにつながり、1974年ねんにリチャード・ニクソン大統領だいとうりょうが辞任じにんするに至いたった。　

インターネット時代じだいについていけずに部数ぶすうと広告こうこく収入しゅうにゅうは減へり続つづけ、2013年ねん1月がつには人員じんいんと経費けいひ削減さくげんを毎年まいとし必須ひっすな経営けいえい難なん状況じょうきょうであった[14]。そのため、2013年ねん10月、グラハム家かは同紙どうしをジェフ・ベゾスが設立せつりつした持株もちかぶ会社かいしゃナッシュ・ホールディングスに2億おく5千せん万まんドルで売却ばいきゃくした[14][15][16][17]。2022年ねん時点じてんでもアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのリベラル派はの立場たちばを取とる大手おおて新聞しんぶんである[18]。

概要がいよう

編集へんしゅう
 
ワシントンD.C.の北西ほくせい地区ちく15番ばん通どおりにあった旧きゅう本社ほんしゃ

『ワシントン・ポスト』は、『ニューヨーク・タイムズ』、『ロサンゼルス・タイムズ』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』と並ならんで、アメリカを代表だいひょうする日刊にっかん紙しの一ひとつとされている[19]。『ワシントン・ポスト』は、ホワイトハウスや連邦れんぽう議会ぎかいなどアメリカ政府せいふの動うごきを伝つたえる政治せいじ的てきな報道ほうどうで、その存在そんざいを際立きわだたせてきた。

『ニューヨーク・タイムズ』や『ウォール・ストリート・ジャーナル』とは異ことなり、『ワシントン・ポスト』は東海岸ひがしかいがんから離はなれた場所ばしょで印刷いんさつ版ばんを発行はっこうしていない。2009年ねんには、発行はっこう部数ぶすうの減少げんしょうを理由りゆうに、その週しゅうの印刷いんさつ版ばんの記事きじをまとめた「ナショナル・ウィークリー・エディション」の発行はっこうを中止ちゅうしした[20]。印刷いんさつ版ばんの読者どくしゃの大半たいはんは、ワシントンD.C.とその近郊きんこうのメリーランド州しゅう、バージニア州しゅう北部ほくぶに集中しゅうちゅうしている[21]。

同紙どうしは、アメリカの新聞しんぶんの中なかで国外こくがい支局しきょく（英語えいご版ばん）を運営うんえいしている数少かずすくない新聞しんぶんの一ひとつであり、バグダッド、北京ぺきん、ベイルート、ベルリン、ブリュッセル、カイロ、ダカール、香港ほんこん、イスラマバード、イスタンブール、エルサレム、ロンドン、メキシコシティ、モスクワ、ナイロビ、ニューデリー、リオデジャネイロ、ローマ、東京とうきょう、トロントに支局しきょくを置おいている[22]。2009年ねん11月、ワシントンでの政治せいじ記事きじや地元じもとのニュース報道ほうどうに重点じゅうてんを置おく施策しさくの一環いっかんとして、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨークの支局しきょくを閉鎖へいさした[23]。現在げんざいは、メリーランド州しゅう（アナポリス、モンゴメリー郡ぐん、プリンスジョージズ郡ぐん、メリーランド州しゅう南部なんぶ）とバージニア州しゅう（アレクサンドリア、フェアファックス、ラウドン郡ぐん、リッチモンド、プリンスウィリアム郡ぐん）に支局しきょくを置おいている[24]。

新聞しんぶん発行はっこう部数ぶすう公こう査機構きこう（英語えいご版ばん）(ABC)によると、2013年ねん5月がつ現在げんざいの平日へいじつの平均へいきん発行はっこう部数ぶすうは474,767部ぶで、『USAトゥデイ』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』、『ニューヨーク・タイムズ』、『ロサンゼルス・タイムズ』、『デイリーニューズ』、『ニューヨーク・ポスト』に次つぐ全米ぜんべい第だい7位いの発行はっこう部数ぶすうである。ほとんどの新聞しんぶん同様どうよう、発行はっこう部数ぶすうは減少げんしょうしつつあるが、大都市だいとし圏けんの日刊にっかん紙しの中なかでは市場いちば浸透しんとう率りつ（英語えいご版ばん）が最もっとも高たかい。

ポスト紙しは何なん十じゅう年ねんもの間あいだ、ワシントンD.C北西ほくせい地区ちく15番ばん通どおり1150番地ばんちにメインオフィスを構かまえていた。この土地とちは、2013年ねんにジェフ・ベゾスのナッシュ・ホールディングスに売却ばいきゃくされた後のちも、グラハム・ホールディングス（旧きゅうワシントン・ポスト・カンパニー）が保有ほゆうしていた。グラハム・ホールディングスは、2013年ねん11月にこの土地とちを近隣きんりんの土地とちと共ともに1億おく5900万まんドルで売却ばいきゃくした。ポスト紙しは引ひき続つづきこの土地とちを借かりていた[25]。2014年ねん5月がつ、ポスト紙しは、ワシントンD.C.北西ほくせい地区ちくK通とおり1301番地ばんちにある高層こうそうビル、ワン・フランクリン・スクエア（英語えいご版ばん）の西にし塔とうを借かり、2015年ねん12月14日にちに新あたらしいオフィスに移転いてんした[26]。

歴史れきし

編集へんしゅう

創刊そうかんと初期しょき

編集へんしゅう
 
1948年ねん当時とうじの社屋しゃおく

1877年ねんにスティルソン・ハッチンス（英語えいご版ばん）（1838-1912）によって創刊そうかんされた。1880年ねんには日曜にちよう版ばんを加くわえ、ワシントンD.C.で初はつの週しゅう7日にち発行はっこうの新聞しんぶんとなった[27]。

 
『ワシントン・ポスト・アンド・ユニオン』の題字だいじ

1878年ねん4月がつ、ポスト紙しは創刊そうかん4か月げつ目めで、ジョン・リンチが1877年ねん末まつに創刊そうかんした競合きょうごう紙し『ワシントン・ユニオン』を買収ばいしゅうした。買収ばいしゅうした時点じてんでユニオン紙しは創刊そうかんから約やく6か月げつしか経たっていなかった。統合とうごう後ごの4月がつ15日にちからは題名だいめいを『ワシントン・ポスト・アンド・ユニオン』とし、発行はっこう部数ぶすうは13,000部ぶだった[28][29]。『ポスト・アンド・ユニオン』の名前なまえは4月がつ29日にちまで約やく2週間しゅうかん使用しようされ、4月がつ30日にちからは元もとの『ワシントン・ポスト』に戻もどった[30]。

1889年ねん、ハッチンスはポスト紙しを元もと郵便ゆうびん局長きょくちょうのフランク・ハットン（英語えいご版ばん）とオハイオ州しゅうの元もと民主党みんしゅとう下院かいん議員ぎいんのベライア・ウィルキンス（英語えいご版ばん）に売却ばいきゃくした。新しんオーナーは、当時とうじアメリカ海兵かいへい隊たい軍楽隊ぐんがくたいのリーダーだったジョン・フィリップ・スーザに、新聞しんぶん社しゃの作文さくぶんコンテストの授賞じゅしょう式しきで使つかう行進曲こうしんきょくの作曲さっきょくを依頼いらいした。こうして作曲さっきょくされたのが『ワシントン・ポスト』であり[31]、19世紀せいき末まつのダンスブーム(dance craze)の際さいに流行りゅうこうしたダンス「ツーステップ」の定番ていばん音楽おんがくとなり[32]、スーザの代表だいひょう作さくの一ひとつとなっている。

1893年ねん、本社ほんしゃをワシントンD.C.北西ほくせい地区ちくの14番ばん通どおりとE通どおりの角かくに移転いてんし、1950年ねんまで使用しようした。このビルでは、取材しゅざい、広告こうこく、植字しょくじ、印刷いんさつといった新聞しんぶん社しゃの機能きのうを1つの本部ほんぶにまとめ、24時じ間あいだ体制たいせいで運営うんえいしていた[33]。

 
『ミシシッピで一線いっせんを画かくする』(Drawing the Line in Mississippi) クリフォード・K・ベリーマン（英語えいご版ばん）画が

米べい西にし戦争せんそう中なかの1898年ねん、ポスト紙しはクリフォード・K・ベリーマン（英語えいご版ばん）の風刺ふうし漫画まんが『メイン号ごうを忘わすれるな』(Remember the Maine) を掲載けいさいした。この題名だいめいは、米べい西にし戦争せんそう中ちゅうのアメリカ人じん水兵すいへいが士気しきを高たかめるための合言葉あいことばとなった。1902年ねん、ポスト紙しにベリーマンの風刺ふうし漫画まんが『ミシシッピで一線いっせんを画かくする』(Drawing the Line in Mississippi) が掲載けいさいされた。これは、狩猟しゅりょうに出でかけたセオドア・ルーズベルト大統領だいとうりょうが、傷きずを負おった子こ熊ぐまを仕留しとめず助たすけてやった様子ようすを描えがいたもので、ニューヨークの店主てんしゅモリス・ミットム（英語えいご版ばん）がテディベアを作つくるきっかけとなった[34]。

1894年ねん、ハットンの死去しきょに伴ともない、ウィルキンスがハットンの持もち分ぶんを取得しゅとくした。1903年ねんのウィルキンスの死後しご、その息子むすこのジョンとロバートが2年間ねんかん経営けいえいした後のち、1905年ねんに『シンシナティ・エンクワイアラー（英語えいご版ばん）』紙しのオーナーのジョン・R・マクレーン（英語えいご版ばん）に売却ばいきゃくした。ウッドロウ・ウィルソン大統領だいとうりょう時代じだいに、ポスト紙しはワシントンの歴史れきしの中なかで「最もっとも有名ゆうめいな新聞しんぶんの誤植ごしょく」を犯おかした。ウィルソン大統領だいとうりょうが後妻ごさいのガルト夫人ふじんを「楽たのしませていた」(entertaining)と書かくべきところを、ガルト夫人ふじんに「入はいっていた」(entering)と書かいてしまった[35][36][37]。

1916年ねんにジョン・マクレーンは亡なくなったが、彼かれは遺言ゆいごんで新聞しんぶん社しゃを信託しんたくした。プレイボーイとして知しられる息子むすこエドワード・"ネッド"・マクレーン（英語えいご版ばん）が遺産いさんを管理かんりできるとは思おもえなかったからである。ネッドは裁判さいばんを起おこして信託しんたくを破棄はきし、経営けいえい権けんを獲得かくとくしたが、ネッドの下したで新聞しんぶん社しゃの経営けいえいは傾かたむいていった。ネッドは新聞しんぶん社しゃの利益りえきを搾取さくしゅして贅沢ぜいたくな生活せいかつをし、自身じしんの政治せいじ主張しゅちょうのために新聞しんぶんを利用りようした[38]。最終さいしゅう的てきに、ポスト紙しを発行はっこうするワシントン・ポスト・カンパニーは、世界せかい恐慌きょうこう中なかの1933年ねんに破産はさんし、競売きょうばいにかけられた。

1919年ねんに全米ぜんべい各地かくちで起おきた人種じんしゅ暴動ぼうどう事件じけん「赤あかい夏なつ」において、ポスト紙しは白人はくじんの暴徒ぼうとを支持しじし、白人はくじんの軍人ぐんじんが黒人こくじんのワシントン市民しみんへの攻撃こうげきを実行じっこうするための集会しゅうかいの場所ばしょを一いち面めんに掲載けいさいしたこともあった[39]。

メイヤー＝グラハム時代ときよ

編集へんしゅう

1929年ねん、金融きんゆう家かのユージン・メイヤーは、秘密裏ひみつりに500万まんドルでポスト紙しの買収ばいしゅうを提案ていあんしたが、ネッド・マクレーンに断ことわられた[40][41]。1933年ねん6月がつ1日にち、メイヤーは連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじ会かい (FRB) 議長ぎちょうを退任たいにんした3週間しゅうかん後ごに、競売きょうばいにかけられていたワシントン・ポスト・カンパニーを82万まん5千せんドルで落札らくさつした。匿名とくめいで入札にゅうさつしていたメイヤーは、他たの入札にゅうさつ者しゃよりもはるかに高たかい200万まんドルを入札にゅうさつのために用意よういしていた[42][43]。他たの入札にゅうさつ者しゃの中なかには「新聞しんぶん王おう」ウィリアム・ランドルフ・ハーストもいた。ハーストは以前いぜんから、自身じしんが経営けいえいするワシントンの新聞しんぶん社しゃを有利ゆうりにするために、経営けいえい不振ふしんのポスト紙しを買収ばいしゅうして廃刊はいかんにしようと目論もくろんでいた[44]。

その後ご、メイヤーはポスト社しゃの健全けんぜん性せいと評判ひょうばんを回復かいふくさせ、ハーストの新聞しんぶん社しゃにも勝利しょうりした。ハーストが保有ほゆうしていた『ワシントン・タイムズ』[注釈ちゅうしゃく 1]と『ワシントン・ヘラルド』は、1939年ねんに合併がっぺいして『ワシントン・タイムズ＝ヘラルド』となった後のち、1954年ねんにポスト社しゃに買収ばいしゅうされ、ポスト紙しに吸収きゅうしゅうされた[45]。合併がっぺい後ご、題字だいじには『ワシントン・ポスト・アンド・タイムズ＝ヘラルド』(The Washington Post and Times-Herald) と書かかれていたが、段々だんだん「アンド・タイムズ＝ヘラルド」の表記ひょうきが小ちいさくなり、1973年ねんには消滅しょうめつした。この合併がっぺいにより、ポスト紙しの競合きょうごう紙しは『ワシントン・スター』と『ワシントン・デイリー・ニュース（英語えいご版ばん）』の2紙しのみとなり、両者りょうしゃは1972年ねんに合併がっぺいして『ワシントン・スター・ニュース』になった[46][47]。

 
『ワシントン・ポスト』を読よむ少女しょうじょ（1969年ねん撮影さつえい）。記事きじはアポロ11号ごうの月面げつめん着陸ちゃくりくに関かんするもの。

1946年ねん、メイヤーが初代しょだい世界銀行せかいぎんこうグループ総裁そうさいに就任しゅうにんするに当あたり、新聞しんぶんの発行はっこう者しゃの職しょくを女おんな壻むこのフィル・グラハムに継承けいしょうさせた[48]。メイヤーは世銀せぎん総裁そうさいを半年はんとしで辞任じにんし、ポスト社しゃの会長かいちょうとなったが、発行はっこう者しゃはフィル・グラハムのままとした。1948年ねんに実質じっしつ的てきな支配しはい権けんをフィル・グラハムとその妻つまでユージン・メイヤーの娘むすめのキャサリン・グラハム（1917-2001）に譲ゆずり、1959年ねんのメイヤーの死後しご、フィル・グラハムが社長しゃちょう兼けん会長かいちょうに就任しゅうにんした。フィル・グラハムは、ポスト紙しを全国ぜんこく的てきな新聞しんぶんに成長せいちょうさせ、ポスト社しゃを他たの新聞しんぶん社しゃやラジオ局きょく、テレビ局てれびきょくを所有しょゆうするまでに拡大かくだいさせたが、1963年ねんに自殺じさつした。

1963年ねんのフィル・グラハムの死後しご、ポスト社しゃの経営けいえい権けんは妻つまのキャサリン・グラハムに引ひき継つがれた。それまでに、アメリカの出版しゅっぱん社しゃでこのような高たかい地位ちいに就ついた女性じょせいはおらず、キャサリン・グラハムには手本てほんとなる人物じんぶつがいなかった。また、多おおくの男性だんせい社員しゃいんからは軽かるく見みられることが多おおかった。キャサリン・グラハムは、自分じぶんの知識ちしきに対たいする自信じしんのなさと不信ふしん感かんを回顧かいこ録ろくに記しるしている。キャサリン・グラハムは、ポスト紙しの発行はっこう者しゃを1969年ねんから1979年ねんまで務つとめ[49]、1973年ねんから1991年ねんまで社長しゃちょうを、1999年ねんから亡なくなる2001年ねんまで会長かいちょうを歴任れきにんした。

1971年ねん6月がつ15日にち、ポスト社しゃは株式かぶしきの一部いちぶを公開こうかいし、ニューヨーク証券しょうけん取引とりひき所しょに上場じょうじょうした。1株かぶあたり26ドルで129万まん4千せん株かぶが公開こうかいされた[50][51]。グラハムがCEOとして在任ざいにんした1991年ねんの終おわりには、1株かぶあたり888ドルの価値かちを持もつようになっていた[52]。

グラハムはポスト社しゃの事業じぎょうを多角たかく化かし、1984年ねんには4000万まんドルで教育きょういく・研修けんしゅう会社かいしゃのカプランを買収ばいしゅうした[53]。その20年ねん後ご、カプラン社しゃの収益しゅうえきは新聞しんぶんを上回うわまわるようになり、2010年ねんには会社かいしゃ全体ぜんたいの収入しゅうにゅうの60%以上いじょうがカプラン社しゃからのものとなっていた[54]。

グラハムは、ベン・ブラッドリーをポスト紙しの編集へんしゅう長ちょうとして雇やとった。ブラッドリー編集へんしゅう長ちょうの下もとで、若手わかて記者きしゃのボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインは、長期ちょうきの取材しゅざいにより、1972年ねんにワシントンのウォーターゲート複ふく合あい施設しせつ（英語えいご版ばん）にあった民主党みんしゅとう全国ぜんこく委員いいん会かいのオフィスへの侵入しんにゅう事件じけんの真相しんそうを解明かいめいしていった。この記事きじは、最終さいしゅう的てきにリチャード・ニクソン大統領だいとうりょうの辞任じにんへとつながるウォーターゲート事件じけんに発展はってんし、1973年ねんにピューリッツァー賞しょうを受賞じゅしょうした[55]。

1972年ねん、ピューリッツァー賞しょうを受賞じゅしょうした評論ひょうろん家か、ウィリアム・マクファーソン（英語えいご版ばん）を初代しょだい編集へんしゅう長ちょうに迎むかえ、「ブックワールド」というコーナーをスタートさせた[56]。ジョナサン・ヤードリー（英語えいご版ばん）やマイケル・ディルダ（英語えいご版ばん）などの批評ひひょう家かが登場とうじょうし、ディルダはポスト紙しの批評ひひょう家かとしてのキャリアを確立かくりつした。2009年ねん、「ブック・ワールド」は、読者どくしゃの大おおきな反発はんぱつと抗議こうぎを受うけて2月がつ15日にちを最後さいごに廃止はいしされた[57]。

1975年ねん、印刷いんさつ工こうの労働ろうどう組合くみあいがストライキ (1975–1976 Washington Post pressmen's strike) を起おこした。ポスト社しゃは他たの印刷いんさつ工こうを雇やとって発行はっこうを継続けいぞくし、組合くみあい員いんは1976年ねん2月がつに現場げんばに復帰ふっきした[58]。

1979年ねん、キャサリンの息子むすこのドナルド・E・グラハムが発行はっこう者しゃの職しょくを継承けいしょうし[49]、2000年ねんまで務つとめた。　

冷戦れいせん終結しゅうけつ以降いこう

1995年ねん、washingtonpost.comというドメイン名めいを取得しゅとくした。同年どうねん、"Digital Ink"というオンラインニュースリポジトリを作つくろうとして失敗しっぱいし、翌年よくねんに閉鎖へいさされた。1996年ねん6月がつに最初さいしょのウェブサイトが開設かいせつされた[59]。

インターネット普及ふきゅうによる低迷ていめい

インターネット普及ふきゅうの影響えいきょうで部数ぶすうと広告こうこく収入しゅうにゅうは減へり続つづけ、2013年ねん1月がつには新聞しんぶん事業じぎょうの営業えいぎょう収入しゅうにゅうは2007度ど比ひで44%減少げんしょうというあらゆるコスト削減さくげんを毎年まいとし続つづけなければならない状じょう厳きびしい状況じょうきょうであった。同月どうげつに就任しゅうにんした新あたらしい編集へんしゅう主幹しゅかんが経営けいえい不振ふしんであるワシントン・ポストの編集へんしゅう部門ぶもんの改革かいかくを行おこない、電子でんし版ばん購読こうどく者しゃ数すうを大おおきく増ふやした[14]。

売却ばいきゃく以降いこう・ベゾス時代じだい

編集へんしゅう
 
2016年ねん4月がつ、15番ばん通どおりの旧きゅう本社ほんしゃビルの解体かいたい
 
現在げんざいの本社ほんしゃが入居にゅうきょするワン・フランクリン・スクエア（英語えいご版ばん）

同どう編集へんしゅう主幹しゅかん就任しゅうにん8ヶ月かげつ後ごに[14]、2013年ねん8月がつ5日にち、ワシントン・ポスト・カンパニーは、ワシントン・ポストを含ふくむ同社どうしゃの新聞しんぶん事業じぎょうを2億おく5千せん万まんドルでAmazon.com創業そうぎょう者しゃのジェフ・ベゾスに売却ばいきゃくすると発表はっぴょうした[60][61][62][63]。同年どうねん10月がつ1日にちに取引とりひきが完了かんりょうし、ワシントン・ポスト（WP Company LLC）はベゾスの個人こじん投資とうし会社かいしゃであるナッシュ・ホールディングスLLCの傘下さんかになった[62]。この買収ばいしゅうには、他たの地方ちほう出版しゅっぱん物ぶつ、ウェブサイト、不動産ふどうさんも含ふくまれていた[64][65][66]。一方いっぽうで、ポスト社しゃのテレビ事業じぎょう（英語えいご版ばん）、教育きょういく事業じぎょう（カプラン社しゃ）、一部いちぶの出版しゅっぱん事業じぎょう、医療いりょう事業じぎょうなどのその他たの資産しさんは本ほん取引とりひきには含ふくまれない。新聞しんぶん事業じぎょうを売却ばいきゃくしたワシントン・ポスト・カンパニーは、同年どうねん11月がつ29日にち付づけでグラハム・ホールディングス・カンパニー（NYSE: GHC）に改称かいしょうした[15][67]。

この買収ばいしゅうにAmazon.comは関与かんよしておらず、ポスト紙しを含ふくむナッシュ・ホールディングスはAmazon.comとは別べつに運営うんえいされている[68][69]。ベゾスは、「ポスト紙しを読よむという「日々ひびの儀式ぎしき」を、単たんに個々ここの記事きじの連続れんぞくではなく、束たばねて読よむ」ことを再現さいげんするビジョンを持もっていると述のべている[70]。ベゾスは、編集へんしゅう長ちょうのマーティン・バロン（英語えいご版ばん）と2週間しゅうかんに一いち度ど電話でんわ会議かいぎを行おこなう程度ていどであり、「ハンズオフ（口出くちだししない）・オーナー」と評ひょうされている[71]。ベゾスは、オンライン・ニュースメディア「ポリティコ」の創業そうぎょう者しゃでCEOのフレッド・ライアン（英語えいご版ばん）を発行はっこう者しゃ兼けんCEOに任命にんめいした。これは、ポスト紙しをよりデジタルに特とく化かし、全米ぜんべいおよび全ぜん世界せかいの読者どくしゃに向むけて発信はっしんしていくというベゾスの意図いとを示しめすものである[72]。

2014年ねん、ポスト紙しは15番ばん通どおり1150番地ばんちから3ブロック先さきのK通どおりにあるワン・フランクリン・スクエア（英語えいご版ばん）の賃貸ちんたいスペースに移転いてんすることを発表はっぴょうした[73]。

ポスト紙しはオンラインのパーソナル・ファイナンス部門ぶもんを立たち上あげ[74]、レトロをテーマにしたブログやポッドキャストを開始かいしした[75][76]。ポスト紙しは2020年ねんのウェビー賞しょうを受賞じゅしょうした[77]。

政治せいじ的てき姿勢しせい・社説しゃせつ

編集へんしゅう

1933年ねん以降いこう

編集へんしゅう

破産はさんしたポスト紙しを金融きんゆう家かのユージン・メイヤーが1933年ねんに買収ばいしゅうした時とき、メイヤーは「どの政党せいとうにも属ぞくさない」と世間せけんに宣言せんげんした[78]。しかし、有力ゆうりょくな共和党きょうわとう員いんであるメイヤーは、フランクリン・ルーズベルトのニューディール政策せいさくに反対はんたいしており、それがポスト紙しの論調ろんちょうや報道ほうどう内容ないように影響えいきょうを与あたえていた。メイヤーは偽名ぎめいを使つかってポスト紙しに寄稿きこうすることもあった[79][80][81]。メイヤーの妻つまのアグネス・E・メイヤーは、政治せいじ的てきには反対はんたいの立場たちばのジャーナリストだった。ポスト紙しは、彼女かのじょの個人こじん的てきな友人ゆうじんであるジョン・デューイやソウル・アリンスキーへの賛辞さんじを含ふくむ、アグネスの作品さくひんを多おおく掲載けいさいした[82][83][84][85]。

ユージン・メイヤーの後継こうけいの発行はっこう者しゃとなったフィル・グラハムとキャサリン・グラハムは、ジョン・F・ケネディ、ベン・ブラッドリーを始はじめとする「ジョージタウンセット」（大半たいはんがハーバード大学だいがく卒業生そつぎょうせい）と親交しんこうを深ふかめ、ポスト紙しの政治せいじ的てき方向ほうこう性せいを決定けっていづけていった[86]。キャサリン・グラハムがジョージタウンで開催かいさいした晩餐ばんさん会かいの招待しょうたい者しゃには、イギリスの外交がいこう官かんでソ連それんのスパイのドナルド・マクリーンが含ふくまれていた[87][88]。　

冷戦れいせん開始かいし以降いこう・「ポトマック河畔かはんのプラウダ」時代じだい

「マッカーシズム」というマッカーシーの共産きょうさん主義しゅぎ者しゃ・スパイ告発こくはつ活動かつどうを批判ひはんする言葉ことばが初はじめて使つかわれたのは、1950年ねんにワシントンポスト紙しに掲載けいさいされたハーブロックの風刺ふうし漫画まんがだった[89]。この漫画まんがは、ジョセフ・マッカーシー上院じょういん議員ぎいんを揶揄やゆしたもので、バケツに入はいったタールが描えがかれている。マッカーシー上院じょういん議員ぎいんは、下院かいん非ひ米べい活動かつどう委員いいん会かい(HAUC)がアメリカ国内こくないのソ連それんのスパイ活動かつどうを調査ちょうさのためにやってきたことを、上院じょういんでもやろうとしていた。著名ちょめいな友人ゆうじんの多おおかったローゼンバーグ夫妻ふさい摘発てきはつ以降いこうに強つよまった批判ひはんでマッカーシーは失脚しっきゃくしたが、冷戦れいせん終結しゅうけつ後ごにベノナ文書ぶんしょが公表こうひょうされた後のちはマッカーシーの告発こくはつが正ただしかったこと、ソ連それんのスパイやシンパはマッカーシーの告発こくはつ以上いじょうに大だい規模きぼであったことが確定かくていし、マッカーシーは再さい評価ひょうかされている。[90]

フィル・グラハムとジョン・F・ケネディの友情ゆうじょうは、1963年ねんに2人ふたりが亡なくなるまで続つづいた[91]。初代しょだいFBI長官ちょうかんのジョン・エドガー・フーヴァーは、新しん大統領だいとうりょうのリンドン・ジョンソンに対たいし、「私わたしはポスト紙しを読よまないので、その影響えいきょうはあまりない。私わたしはポスト紙しを『デイリー・ワーカー（英語えいご版ばん）』[注釈ちゅうしゃく 2]のようなものだと思おもっている」と言いったと伝つたえられている[92][93]。

1968年ねんにベン・ブラッドリーが編集へんしゅう主幹しゅかんに就任しゅうにんし、1969年ねんにはキャサリン・グラハムが正式せいしきに発行はっこう者しゃとなり、ペンタゴン・ペーパーズやウォーターゲート事件じけんなどの積極せっきょく的てきな報道ほうどうへの道みちが開ひらかれた。1971年ねん、ポスト紙しは、FBIから盗ぬすまれたFBIの違法いほうな監視かんし活動かつどうをが記載きさいされた記録きろく書類しょるい「ペンタゴン・ペーパーズ」の内容ないようを、『ロサンゼルスタイムズ』『ニューヨーク・タイムズ』が掲載けいさいを見送みおくる中なかで掲載けいさいした。これは、ベトナム戦争せんそうに対たいする国民こくみんの反発はんぱつにつながった[94]。

1970年代ねんだい半なかばには、報道ほうどうと社説しゃせつの両方りょうほうで左翼さよく的てきな偏向へんこうが見みられるとして、保守ほしゅ派はの一部いちぶがポスト紙しを「ポトマック河畔かはんのプラウダ」(Pravda on the Potomac) とアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく国内こくないのポトマック川がわ付近ふきんに本社ほんしゃのあるソ連それん共産党きょうさんとうの機関きかん誌し「プラウダ」のようだ、と皮肉ひにくった呼称こしょうをつけた[95][96][97]。それ以来いらい、リベラル派はと保守ほしゅ派はの両方りょうほうのワシントンポスト紙しの批判ひはん者しゃによって、冷戦れいせん下かでこの呼称こしょうが使つかわれていた[98][99]。

冷戦れいせん終結しゅうけつ以降いこう

編集へんしゅう

PBSのドキュメンタリー番組ばんぐみ"Buying the War"において、ジャーナリストのビル・モイヤーズ（英語えいご版ばん）は、イラク戦争せんそう勃発ぼっぱつ前年ぜんねんの2002年ねん、ポスト紙しの社説しゃせつでブッシュ政権せいけんのイラク侵攻しんこうの野望やぼうを支持しじするものが27本ほんあったと述のべた。ポスト紙しの国家こっか安全あんぜん保障ほしょう特派とくは員いんのウォルター・ピンカス（英語えいご版ばん）は、政権せいけんに批判ひはん的てきな報道ほうどうをやめるように命めいじられたと述のべている[100]。作家さっか・ジャーナリストのグレッグ・ミッチェル（英語えいご版ばん）は、「戦争せんそう前まえの数すうか月げつ間あいだ、ポスト紙しは140以上いじょうの戦争せんそう推進すいしんの記事きじを一いち面めんに掲載けいさいし、その反対はんたいの情報じょうほうは失うしなわれたと、ポスト社しゃ自体じたいが認識にんしきしている」と述のべた[101]。

2007年ねん3月がつ26日にち、クリス・マシューズ（英語えいご版ばん）は自身じしんのテレビ番組ばんぐみで、「ワシントンポストはリベラルな新聞しんぶんではないよ、下院かいん議員ぎいんさん、言いっておくけど。私わたしは何なん年ねんも読よんでいるが、あれはネオコンの新聞しんぶんだ」と述のべた[102]。ポスト紙しは、左派さはのコラムニスト（E・J・ディアン（英語えいご版ばん）、ダナ・ミルバンク（英語えいご版ばん）、グレッグ・サージェント、ユージン・ロビンソン（英語えいご版ばん）など）と右派うはのコラムニスト（ジョージ・ウィル（英語えいご版ばん）、マーク・ティーセン（英語えいご版ばん）、マイケル・ガーソン（英語えいご版ばん）、チャールズ・クラウトハマーなど）の双方そうほうの論説ろんせつ記事きじを定期ていき的てきに掲載けいさいしている。

イェール大学だいがくのアラン・ガーバー、ディーン・カーラン（英語えいご版ばん）、ダニエル・バーガンが2007年ねん4月がつ18日にちに発表はっぴょうした研究けんきゅうでは、メディアが投票とうひょうパターンに与あたえる影響えいきょうを調しらべるために、保守ほしゅ的てきな『ワシントン・タイムズ』とリベラルな『ワシントン・ポスト』のどちらかを市民しみんに購読こうどくさせた。ガーバーはこれまでの研究けんきゅうで、ポスト紙しはタイムズ紙しと同おなじくらい左ひだりに傾かたむいていると推定すいていしていた。ガーバーは、ポスト紙しを購読こうどくした人ひとたちは、対照たいしょう群ぐんに割わり当あてられた人ひとたちよりも民主党みんしゅとうの知事ちじ候補こうほに投票とうひょうする可能かのう性せいが7.9%ないし11.4%高たかいことを発見はっけんした。しかし、タイムズ紙しを購読こうどくした人ひとたちも、対照たいしょう群ぐんよりも民主党みんしゅとうに投票とうひょうする可能かのう性せいが高たかく、その効果こうかはポスト紙しについて推定すいていされた効果こうかの約やく60%だった[103][104]。著者ちょしゃらは、保守ほしゅ寄よりのタイムズ紙しの購読こうどく者しゃも民主党みんしゅとう候補こうほを支持しじする率りつが高たかくなったのは、民主党みんしゅとう候補こうほが通常つうじょうよりも保守ほしゅ寄よりの立場たちばをとっていたことや、選挙せんきょ後ごの調査ちょうさの前月ぜんげつはブッシュ大統領だいとうりょうにとって困難こんなんな時期じきであり、全米ぜんべいで総合そうごう的てきな支持しじ率りつが約やく4ポイント低下ていかしていたことに加くわえ、サンプリングエラーが影響えいきょうしている可能かのう性せいがあるとした。その上うえで、両紙りょうしの報道ほうどうに触ふれる機会きかいが増ふえたことで、イデオロギーの違ちがいはあっても、世論せろんが共和党きょうわとうから離はなれていったと考かんがえられると述のべた[104]。

2007年ねん11月、独立どくりつ系けいジャーナリストのロバート・パリー（英語えいご版ばん）は、反はんオバマ派はのチェーンメールを報道ほうどうした際さいに、匿名とくめいの主張しゅちょうが虚偽きょぎであることを読者どくしゃに十分じゅうぶんに強調きょうちょうしなかったとしてポスト紙しを批判ひはんした[105]。2009年ねん、パリーは、アル・ゴア副ふく大統領だいとうりょうやバラク・オバマ大統領だいとうりょうを含ふくむリベラル派はの政治せいじ家かを不当ふとうに報道ほうどうしたとして、同紙どうしを批判ひはんした[106]。

2008年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょに向むけての同紙どうしの報道ほうどうに対たいする批判ひはんに対たいして、ポスト紙しの元もとオンブズマンのデボラ・ハウエル（英語えいご版ばん）は「［ポスト紙しの］論説ろんせつページには強つよい保守ほしゅ派はの声こえがあり、編集へんしゅう委員いいん会かいには中道ちゅうどう派はと保守ほしゅ派はが含ふくまれ、オバマに批判ひはん的てきな社説しゃせつもあった。しかし、意見いけんは依然いぜんとしてオバマに偏かたよっていた」と書かいた[107]。リチャード・デイビスが2009年ねんに刊行かんこうしたブログがアメリカ政治せいじに与あたえる影響えいきょうについての著書ちょしょによると、リベラルなブロガーは他たの主要しゅよう新聞しんぶんよりも『ワシントン・ポスト』や『ニューヨーク・タイムズ』にリンクすることが多おおいが、保守ほしゅ的てきなブロガーもリベラルな新聞しんぶんに優位ゆういにリンクしているという[108]。

2013年ねん6月より、元もとCIA職員しょくいんのエドワード・スノーデンから託たくされたNSAの機密きみつ資料しりょうに基もとづき、多数たすうの記事きじを掲載けいさいした。2014年ねん4月がつ、NSAの極秘ごくひ情報じょうほう収集しゅうしゅう活動かつどう「PRISM」の告発こくはつ・調査ちょうさ報道ほうどうが評価ひょうかされ、ピューリッツァー賞しょうの公益こうえき部門ぶもん金賞きんしょうを受賞じゅしょうした[109]。2016年ねん9月がつ中旬ちゅうじゅん、『フォーブス』誌しのマシュー・イングラムは、「スノーデンが、スパイ容疑ようぎで裁判さいばんを受うけることを要求ようきゅうした」とポスト紙しを批判ひはんし、『ザ・インターセプト』のグレン・グリーンウォルドと『ガーディアン』のトレバー・ティムもそれに同調どうちょうした[110][111][112][113]。

2017年ねん、ポスト紙しはスローガンを「民主みんしゅ主義しゅぎは暗闇くらやみの中なかで死しぬ（英語えいご版ばん）」(Democracy Dies in Darkness) とし、公式こうしきウェブサイトのみでなく、今後こんご紙面しめんなどでも掲かかげていくことを発表はっぴょうした[114]。このスローガンはそれ以前いぜんから編集へんしゅう部ぶ内ないで使つかわれていたものである[115]。

2011年ねん以降いこう、ポスト紙しは「ファクト・チェッカー」(The Fact Checker) というコラムを掲載けいさいしている[116]。ファクト・チェッカーはGoogleから25万まんドルの助成じょせい金きんを受うけ、動画どうがによるファクトチェックの制作せいさくを行おこなっている[116]。2017年ねん以降いこうは、ポインター研究所けんきゅうじょ（英語えいご版ばん）の国際こくさいファクトチェックネットワークのメンバーにほぼ毎年まいとし認定にんていされている[117]。

2022年ねん7月がつ11日にちに日本にっぽん以外いがいの世界せかいの民主みんしゅ主義しゅぎ国家こっか・先進せんしん国こくの政権せいけん支持しじ率りつが不安定ふあんていな状況じょうきょうにあるため、「民主みんしゅ的てきな日本にっぽんの軍事ぐんじ力りょくの正当せいとう性せいを支持しじすべきである。憲法けんぽう改正かいせい案あんは、日本にっぽんが陸海空りくかいくう軍ぐんを保有ほゆうするという既すでに現実げんじつとなっているものを合法ごうほう化かするだけのものである」「21世紀せいきの日本にっぽんは国際こくさい社会しゃかいで信頼しんらいできる一員いちいんであり、ロシアのウクライナ侵攻しんこう以前いぜんよりも世界せかいの安全あんぜん保障ほしょうへの貢献こうけんが必要ひつようになってくる」「安倍あべ元もと首相しゅしょうはあまりにも早はやく逝いってしまった。日本にっぽんや世界せかいに与あたえたインパクトは忘わすれてはならない」という内容ないようの「日本にっぽんよ、改憲かいけんしてくれ」という社説しゃせつを出だした[118]。

政治せいじ的てき支持しじ

編集へんしゅう

ポスト紙しの編集へんしゅう委員いいん会かいは、連邦れんぽう、州しゅう、地方ちほうの選挙せんきょの大だい部分ぶぶんで民主党みんしゅとう候補こうほを支持しじしている[119]。ポスト紙し編集へんしゅう委員いいん会かいの支持しじ決定けっていは、編集へんしゅう室しつの運営うんえいとは別べつのものである[119]。1976年ねんまで、ポスト紙しは大統領だいとうりょう選挙せんきょで支持しじを表明ひょうめいすることはなかった。1976年ねんにジミー・カーターを支持しじして以来いらい、ポスト紙しは大統領だいとうりょう選挙せんきょで民主党みんしゅとうを支持しじしており、共和党きょうわとうの候補者こうほしゃを支持しじしたことはない[119]。1988年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょ（ジョージ・H・W・ブッシュ対たいマイケル・デュカキス）では支持しじ表明ひょうめいをしなかった[119][120]。編集へんしゅう委員いいん会かいは、2008年ねん[121]と2012年ねん[122]はバラク・オバマ、2016年ねんはヒラリー・クリントン[123]、2020年ねんはジョー・バイデンを支持しじした[124]。

ポスト紙しは、連邦れんぽう議会ぎかい、州しゅう、地方ちほうの選挙せんきょでは主おもに民主党みんしゅとう候補こうほを支持しじしているが、共和党きょうわとう候補こうほを支持しじすることも時折ときおりある[119]。バージニア州しゅう知事ちじ選挙せんきょで共和党きょうわとう候補こうほを支持しじしたことは一いち度どもないが[119]、2006年ねんのメリーランド州しゅう知事ちじのロバート・アーリック（英語えいご版ばん）の2期き目めの選挙せんきょのときには共和党きょうわとうのアーリックを支持しじした[119][125]。上院じょういん議員ぎいん選挙せんきょでは、バージニア州しゅう選出せんしゅつの共和党きょうわとう上院じょういん議員ぎいんジョン・ウォーナーを1990年ねん、1996年ねん、2002年ねんに支持しじしている。メリーランド州しゅうでは、1980年代ねんだいにチャールズ・マティアス（英語えいご版ばん）上院じょういん議員ぎいんを支持しじしたのが、最後さいごの共和党きょうわとう候補こうほの支持しじである[119]。下院かいん議員ぎいん選挙せんきょでは、バージニア州しゅうやメリーランド州しゅうの穏健おんけん派は共和党きょうわとう員いんであるウェイン・ギルクレスト（英語えいご版ばん）、トム・デイビス、フランク・ウルフ（英語えいご版ばん）などがポスト紙しの支持しじを受うけた。ポスト紙しはワシントンD.C.の一部いちぶの選挙せんきょでキャロル・シュワルツ（英語えいご版ばん）などの共和党きょうわとう員いんを支持しじしたこともある[119]。

批判ひはんと論争ろんそう

編集へんしゅう

「ジミーの世界せかい」捏造ねつぞう記事きじ事件じけん

編集へんしゅう

1980年ねん9月がつ、ポスト紙しの日曜にちよう版ばん一いち面めんに、ジャネット・クック記者きしゃの取材しゅざいによる8歳さいのヘロイン中毒ちゅうどく者しゃの生活せいかつを紹介しょうかいする特集とくしゅう記事きじ「ジミーの世界せかい」(Jimmy's World)が掲載けいさいされた[126]。ポスト紙し内ないにもこの記事きじの信憑しんぴょう性せいを疑うたがう声こえはあったが、編集へんしゅう部ぶはこの記事きじを擁護ようごし、副ふく編集へんしゅう長ちょうのボブ・ウッドワードはこの記事きじをピューリッツァー賞しょうに応募おうぼした[127]。クックはこの記事きじで1981年ねん4月がつ13日にちにピューリッツァー賞しょう 特集とくしゅう記事きじ部門ぶもん（英語えいご版ばん）を受賞じゅしょうした[128]。その後ご、この記事きじが完全かんぜんな捏造ねつぞうであることが判明はんめいし、ピューリッツァー賞しょうは返上へんじょうされた[129][130]。

個人こじん的てきな「サロン」での勧誘かんゆう

編集へんしゅう

2009年ねん7月がつ、バラク・オバマ政権せいけん下かでの医療いりょう制度せいど改革かいかくをめぐる激はげしい議論ぎろんが行おこなわれている時期じき、ポリティコは、ある医療いりょうロビイストがポスト紙しの医療いりょう関連かんれんの編集へんしゅうスタッフからの接触せっしょくを受うけたと報ほうじた[131]。ポスト紙し発行はっこう者しゃのキャサリン・ウェイマス（英語えいご版ばん）は、私邸していでディナーパーティーやサロンを計画けいかくし、著名ちょめいなロビイストや業界ぎょうかい団体だんたいのメンバー、政治せいじ家か、実業じつぎょう家かを招待しょうたいしていた[132]。参加さんか者しゃには、サロン1回かいのスポンサー料りょうとして2万まん5千せんドル、11回かいで25万まんドルが請求せいきゅうされ、イベントは一般いっぱん市民しみんやポスト紙し以外いがいの報道ほうどう機関きかんには非公開ひこうかいとされていた[133]。ポリティコの報道ほうどうは、「ポスト紙しのスタッフとの交流こうりゅうを目的もくてきとしたパーティ」という印象いんしょうを与あたえ、ワシントンではやや複雑ふくざつな反応はんのうがあった[134][135][136]。

報道ほうどうの直後ちょくご、ウェイマスはサロンを中止ちゅうしした。ホワイトハウス法律ほうりつ顧問こもんのグレゴリー・B・クレイグ（英語えいご版ばん）は、連邦れんぽう倫理りんり規定きてい（英語えいご版ばん）により、このようなイベントには事前じぜんの承認しょうにんが必要ひつようであることを関係かんけい者しゃに伝つたえた。このサロンの「ホスト兼けんディスカッションリーダー」の一人ひとりとして名前なまえが挙あがっていたポスト紙し編集へんしゅう主幹しゅかんのマーカス・ブラウチュリ（英語えいご版ばん）は、この計画けいかくに「愕然がくぜんとした」(appalled)と述のべ、「ワシントン・ポストのジャーナリストへの接触せっしょくが買収ばいしゅう可能かのうであることを示唆しさしている」と付つけ加くわえた[137][132]。

『チャイナデイリー』からの広告こうこく付録ふろくの提供ていきょう

編集へんしゅう

ポスト紙しは2011年ねんから、中国共産党ちゅうごくきょうさんとう中央ちゅうおう宣伝せんでん部ぶが所有しょゆうする英字えいじ新聞しんぶん『チャイナデイリー』が提供ていきょうする「チャイナ・ウォッチ」の広告こうこく付録ふろくを印刷いんさつ版ばんとオンライン版ばんに掲載けいさいするようになった。オンライン版ばん「チャイナ・ウォッチ」のヘッダーには、"A Paid Supplement to The Washington Post"（ワシントン・ポストへの有料ゆうりょう広告こうこく）と告知こくちが一応いちおうされていたが、『アトランティック』誌しのジェームス・ファローズ（英語えいご版ばん）は、ほとんどの読者どくしゃはこの告知こくちに気きが付つかないだろうと指摘してきしている[138]。ポスト紙しを始はじめとする世界せかいの複数ふくすうの新聞しんぶん社しゃに配布はいふされた「チャイナ・ウォッチ」の広告こうこく付録ふろくは、4ページから8ページで、月つき1回かい以上いじょう掲載けいさいされている。『ガーディアン』紙しの2018年ねんの報道ほうどうによると、「チャイナ・ウォッチ」は「教則きょうそく的てきで旧態きゅうたい依然いぜんとしたプロパガンダの手法しゅほう」を用もちいているという[139][140]。

2020年ねんのフリーダム・ハウスによるレポート"Beijing's Global Megaphone"でも、「チャイナ・ウォッチ」を配信はいしんしているポスト紙しなどの新聞しんぶん社しゃが批判ひはんされている[141][142]。同年どうねん2月がつ、連邦れんぽう議会ぎかいの共和党きょうわとう議員ぎいん35名めいは司法省しほうしょうに書簡しょかんを送おくり、『チャイナ・デイリー』による外国がいこく代理人だいりにん登録とうろく法ほう(FARA)違反いはんの可能かのう性せいについて調査ちょうさを求もとめた[143]。書簡しょかんでは、ポスト紙しに掲載けいさいされた記事きじ"Education Flaws Linked to Hong Kong Unrest"（香港ほんこんの騒乱そうらんにつながる教育きょういくの欠陥けっかん）を、「香港ほんこんでの弾圧だんあつへの支持しじなど、中国ちゅうごくの残虐ざんぎゃく行為こういの隠かくれ蓑みのとなる記事きじ」の一いち例れいとして挙あげている[144]。『ガーディアン』によると、ポスト紙しは2019年ねんまでに「チャイナ・ウォッチ」の掲載けいさいを中止ちゅうしした[145]。

従業じゅうぎょう員いんの給与きゅうよ・福利ふくり厚生こうせい

編集へんしゅう

1986年ねん、クラウディア・レヴィ（英語えいご版ばん）らポスト紙しの5人にんの従業じゅうぎょう員いんが、ポスト社しゃが予算よさん上じょう残業ざんぎょう代だいを認みとめていないと主張しゅちょうしていたとして、残業ざんぎょう代だいの支払しはらいを求もとめてポスト社しゃを提訴ていそした[146]。

2018年ねん6月がつ、ポスト紙しの400人にん以上いじょうの従業じゅうぎょう員いんが、オーナーのジェフ・ベゾスに対たいし「公正こうせいな賃金ちんぎん、退職たいしょく・家族かぞく休暇きゅうか・健康けんこう管理かんりのための公正こうせいな福利ふくり厚生こうせい、および公正こうせいな雇用こよう保障ほしょう」を要求ようきゅうする公開こうかい書簡しょかんに署名しょめいした。この公開こうかい書簡しょかんには、従業じゅうぎょう員いんの証言しょうげんビデオが添付てんぷされており、ポスト紙しの購読こうどく者しゃ数すうが記録きろく的てきに伸のびているにもかかわらず、「衝撃しょうげき的てきな給与きゅうよ慣行かんこう」が行おこなわれており、給与きゅうよは週しゅうに平均へいきん10ドル上昇じょうしょうしているが、これはインフレ率りつの半分はんぶん以下いかだと主張しゅちょうしている。ポスト紙しの労働ろうどう組合くみあいと経営けいえい陣じんの間あいだでの給与きゅうよや福利ふくり厚生こうせいをめぐる交渉こうしょうが1年ねんにわたって不調ふちょうに終おわっていたため、この請願せいがんが実施じっしされた[147]。

コビントン・カトリック高校こうこうの生徒せいとによる訴訟そしょう

編集へんしゅう

2019年ねん、コビントン・カトリック高等こうとう学校がっこう（英語えいご版ばん）の生徒せいと、ニック・サンドマン(Nick Sandmann)は、同年どうねん1月がつに起おきたコビントン高校こうこうの生徒せいとと先住民せんじゅうみん族ぞくの行進こうしん（英語えいご版ばん）とのリンカーン記念きねん館かんでの対立たいりつに関かんするポスト紙しの記事きじで名誉めいよを毀損きそんされたとして、ポスト社しゃを訴うったえた[148][149]。同年どうねん10月がつ、連邦れんぽう判事はんじは、サンドマンが名誉めいよ毀損きそんであると主張しゅちょうしたポスト紙しの33の記述きじゅつのうち30は名誉めいよ毀損きそんではないと判断はんだんし、訴訟そしょうを却下きゃっかしたが、サンドマンが訴状そじょうを修正しゅうせいして再さい提出ていしゅつすることを認みとめた[150]。サンドマンの弁護士べんごしが訴状そじょうを修正しゅうせいした後のち、同年どうねん10月がつ28日にちに訴訟そしょうが再開さいかいされた[151]。判事はんじは、訴状そじょうの対象たいしょうとなったポスト紙しの33の記述きじゅつのうち30は名誉めいよ毀損きそんではないとする先さきの判決はんけつを支持しじしたが、「（サンドマンが）ネイサン・フィリップスを『ブロック』し、『退却たいきゃくを許ゆるさない』と述のべている」とした3つの記述きじゅつについては、さらなる検討けんとうが必要ひつようであることに同意どういした[152]。2020年ねん7月がつ24日にち、ポスト社しゃはサンドマンと和解わかいした。和解わかい金きんの額がくは公表こうひょうされていない[153]。

物議ぶつぎを醸かもした論説ろんせつやコラム

編集へんしゅう

ポスト紙しの論説ろんせつやコラムの中なかには、批判ひはんを招まねいたものがいくつかある。コラムニストのリチャード・コーエン（英語えいご版ばん）の長年ながねんにわたる人種じんしゅに関かんするコメント[154][155]や、2014年ねんの大学だいがくでの性的せいてき暴行ぼうこう（英語えいご版ばん）に関かんするジョージ・ウィル（英語えいご版ばん）のコラム[156][157]などである。ポスト紙しがイエメンのフーシの指導しどう者しゃであるムハンマド・アリ・アル・フーシの論説ろんせつを掲載けいさいしたことは、一部いちぶの活動かつどう家かから、「イランが支援しえんする反はん欧米おうべい・反はんユダヤ主義しゅぎのグループに主張しゅちょうの場ばを提供ていきょうした」という理由りゆうで批判ひはんされた[158]。ポスト紙しのコラムニスト、ダナ・ミルバンク（英語えいご版ばん）は、物議ぶつぎを醸かもしている金融きんゆう家かジョージ・ソロスをあからさまに皮肉ひにくを込こめて攻撃こうげきした[159]。ポスト紙しのコラムニスト、ジョナサン・ケープハートは、デモに参加さんかしているバーニー・サンダースの写真しゃしんは実際じっさいのサンダースではないと主張しゅちょうした。本当ほんとうにサンダースであることを確認かくにんする追加ついか写真しゃしんを写真しゃしん家かが発表はっぴょうしても、ケープハートもポスト紙しも主張しゅちょうを撤回てっかいしなかった[160]。

選挙せんきょ選出せんしゅつ者しゃからの批判ひはん

編集へんしゅう

ドナルド・トランプ元もと大統領だいとうりょうは、自身じしんのTwitterアカウントでポスト紙しをフェイクニュースだなどと繰くり返かえし非難ひなんしており[161]、2016年ねんの大統領だいとうりょう選せん開始かいしから2018年ねん8月がつまでに、20回かい以上いじょうもAmazon.comに絡からめて同紙どうしへの批判ひはんをツイートまたはリツイートしていた[162]。トランプは、同紙どうし自体じたいを攻撃こうげきするだけでなく、Twitterでポスト紙しのジャーナリストやコラムニストも非難ひなんしていた[163]。2019年ねん10月27日にちまでに、ホワイトハウスは全すべての連邦れんぽう政府せいふ機関きかんに対たいしポスト紙しの購読こうどく停止ていしを求もとめたと発表はっぴょうした[164]。

2020年ねんの民主党みんしゅとう大統領だいとうりょう予備よび選挙せんきょで、バーニー・サンダース上院じょういん議員ぎいんは、ポスト紙しが自身じしんの選挙せんきょ戦せんに関かんして偏向へんこう報道ほうどうをしており、これはベゾスによる同紙どうしの買収ばいしゅうが原因げんいんだとして、繰くり返かえし批判ひはんした[165][166]。サンダースは、社会しゃかい主義しゅぎ雑誌ざっし『ジャコビン（英語えいご版ばん）』[167]や進歩しんぽ的てきジャーナリスト監視かんし団体だんたい「フェアネス・アンド・アキュラシー・イン・レポーティング（英語えいご版ばん）」[168]に対たいしても批判ひはんした。ポスト紙しの編集へんしゅう主幹しゅかんマーティン・バロン（英語えいご版ばん）は、サンダースの批判ひはんは「根拠こんきょがなく、陰謀いんぼうに満みちている」と反論はんろんした[169]。

化石かせき燃料ねんりょうの宣伝せんでん広告こうこく

編集へんしゅう

ザ・インターセプト、ネイション、DeSmog（英語えいご版ばん）の共同きょうどう調査ちょうさで、ポスト紙しは化石かせき燃料ねんりょう業界ぎょうかいの宣伝せんでん広告こうこくを掲載けいさいしている大手おおてメディアの1社しゃであることが判明はんめいしている[170]。ポスト紙しの気候きこう変動へんどう報道ほうどうを担当たんとうするジャーナリストは、気候きこう変動へんどうを引ひき起おこし、対策たいさくを妨害ぼうがいした企業きぎょう・業界ぎょうかいとの利益りえき相反あいはんにより、気候きこう変動へんどうに関かんする報道ほうどうの信頼しんらい性せいが低下ていかし、読者どくしゃが気候きこう危機ききを軽視けいしするようになることを懸念けねんしている[170]。国際こくさい連合れんごう事務じむ総長そうちょうのアントニオ・グテーレスは、激化げきかする地球ちきゅう温暖おんだん化かを受うけて、ポスト紙しをはじめとする大手おおてメディアに化石かせき燃料ねんりょう業界ぎょうかいの広告こうこく掲載けいさい（グリーンウォッシングへの協力きょうりょく）をやめるよう警告けいこくしている[171]。

日本にっぽん関連かんれん

編集へんしゅう

1993年ねん、皇太子こうたいし徳とく仁じん親王しんのうと小和田こわだ雅子まさこの結婚けっこん決定けっていに関かんして、ポスト紙しは報道ほうどう協定きょうていや記者きしゃクラブに縛しばられない外国がいこく報道ほうどう機関きかんであったため、ポスト紙しの日本人にっぽんじん記者きしゃ東郷とうごう茂彦しげひこがスクープとして報ほうじ、報道ほうどう協定きょうていが事実じじつ上じょう無効むこうになった。

2007年ねん、従軍じゅうぐん慰安いあん婦ふ問題もんだいについて、日本国にっぽんこく政府せいふの責任せきにんを否定ひていし、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく下院かいん121号ごう決議けつぎの全面ぜんめん撤回てっかいを要求ようきゅうする意見いけん広告こうこく"THE FACTS"が掲載けいさいされた。日本にっぽんの保守ほしゅ派はの主張しゅちょうを広ひろめることができたとする意見いけんや、かえってアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく下院かいんの同どう決議けつぎを早はやめる結果けっかとなったという意見いけんがあるなど、評価ひょうかは分わかれている。

2010年ねんの核かくセキュリティ・サミットに関連かんれんした記事きじで、鳩山はとやま由紀夫ゆきおを"loopy"（愚おろか、変かわり者もの）や「最大さいだいの敗者はいしゃ」と厳きびしく批判ひはんした[172][173]。

登場とうじょうしたフィクション作品さくひん

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1976年ねんの映画えいが『大統領だいとうりょうの陰謀いんぼう』(All the President's Men) は、ウォーターゲート事件じけんを調査ちょうさしたポスト紙しの2人ふたりの記者きしゃを主人公しゅじんこうとしている。

2017年ねんの映画えいが『ペンタゴン・ペーパーズ/最高さいこう機密きみつ文書ぶんしょ』(The Post) は、「ペンタゴン・ペーパーズ」の内容ないようを暴露ばくろしたポスト紙しの発行はっこう者しゃキャサリン・グラハムと編集へんしゅう主幹しゅかんのベン・ブラッドリーを主人公しゅじんこうとしている。

歴代れきだいの役員やくいん・編集へんしゅう者しゃ

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所有しょゆう者しゃ

  1. スティルソン・ハッチンス（英語えいご版ばん）（1877年ねん - 1889年ねん）
  2. フランク・ハットン（英語えいご版ばん）、ベライア・ウィルキンス（英語えいご版ばん）（1889年ねん - 1905年ねん）
  3. ジョン・R・マクレーン（英語えいご版ばん）（1905年ねん - 1916年ねん）
  4. エドワード・"ネッド"・マクレーン（英語えいご版ばん）（1916年ねん - 1933年ねん）
  5. ユージン・メイヤー（1933年ねん - 1948年ねん）
  6. ワシントン・ポスト・カンパニー（1948年ねん - 2013年ねん）
  7. ナッシュ・ホールディングス（2013年ねん - ）

発行はっこう者しゃ

  1. スティルソン・ハッチンス（英語えいご版ばん）（1877年ねん - 1889年ねん）
  2. ベライア・ウィルキンス（英語えいご版ばん）（1889年ねん - 1905年ねん）
  3. ジョン・R・マクレーン（英語えいご版ばん）（1905年ねん - 1916年ねん）
  4. エドワード・"ネッド"・マクレーン（英語えいご版ばん）（1916年ねん - 1933年ねん）
  5. ユージン・メイヤー（1933年ねん - 1946年ねん）
  6. フィル・グラハム（1946年ねん - 1961年ねん）
  7. ジョン・W・スウィーターマン（英語えいご版ばん）（1961年ねん - 1968年ねん）
  8. キャサリン・グラハム（1969年ねん - 1979年ねん）
  9. ドナルド・E・グラハム（1979年ねん - 2000年ねん）
  10. ボーファレー・ジョーンズ・ジュニア（英語えいご版ばん）（2000年ねん - 2008年ねん）
  11. キャサリン・ウェイマス（英語えいご版ばん）（2008年ねん - 2014年ねん）
  12. フレッド・ライアン（英語えいご版ばん）（2014年ねん - ）

編集へんしゅう主幹しゅかん

  1. ジェームズ・ラッセル・ウィギンズ（英語えいご版ばん）（1955年ねん - 1968年ねん）
  2. ベン・ブラッドリー（1968年ねん - 1991年ねん）
  3. レオナルド・ダウニー・ジュニア（英語えいご版ばん）（1991年ねん - 2008年ねん）
  4. マーカス・ブラウチュリ（英語えいご版ばん）（2008年ねん - 2012年ねん）[174]
  5. マーティン・バロン（英語えいご版ばん）（2012年ねん - 2021年ねん）[175]
  6. サリー・バズビー（英語えいご版ばん）（2021年ねん - ）[176]

著名ちょめいな編集へんしゅうスタッフ

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脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 現存げんそんする同名どうめいの新聞しんぶんとは無関係むかんけい
  2. ^ 当時とうじアメリカ共産党きょうさんとうが発行はっこうしていた新聞しんぶん。

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  • Roberts, Chalmers McGeagh. In the shadow of power: the story of the Washington Post (Seven Locks Pr, 1989)

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