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合 (天文) - Wikipedia

ごう (天文てんもん)

天体てんたい太陽たいようおな方向ほうこうえなくなること
うちごうから転送てんそう

ごう(ごう、英語えいご:conjunction)とは位置いち天文学てんもんがく占星術せんせいじゅつにおいて、ふたつの天体てんたいがある観測かんそくてん通常つうじょう地球ちきゅう)からてほぼおな位置いちにある状態じょうたい言葉ことばである。とく太陽系たいようけい天体てんたい場合ばあいには、地球ちきゅうからてある天体てんたい太陽たいようとほぼおな位置いちにある状態じょうたいす。後者こうしゃごう厳密げんみつには、その天体てんたい太陽たいよう地球ちきゅうからけいが0となる瞬間しゅんかんとして定義ていぎされる。うち惑星わくせいごううちごうそとあいけられる。ごうあらわ記号きごうUnicode: 0x260c ☌)である。

うち惑星わくせいそと惑星わくせいとの関係かんけい

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うちごうそとあいというかたり地球ちきゅうからうち惑星わくせいである水星すいせい金星かなぼしについてもっぱもちいられるが、一般いっぱん任意にんい惑星わくせいについて、外側そとがわ公転こうてんする惑星わくせいから内側うちがわ惑星わくせい場合ばあいうちごうそとあい同様どうよう定義ていぎできる。たとえば地球ちきゅうから火星かせいが衝のとき火星かせいからると地球ちきゅううちごうである。

太陽系たいようけいそと惑星わくせい小惑星しょうわくせい彗星すいせいについては、地球ちきゅうから太陽たいようおな方向ほうこうにある場合ばあいに「ごう位置いちにある」と単純たんじゅんうことがおおい。つき新月しんげつついたち)のとき太陽たいようごうとなる。

けいごうあかけいごう

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一般いっぱん太陽系たいようけい天体てんたいごう複数ふくすう天体てんたいけいおなをとる状態じょうたいすが、あかけいひとしい場合ばあいにもごう場合ばあいがある。両者りょうしゃとく区別くべつする必要ひつようがある場合ばあいにはそれぞれけいごうあかけいごうぶ。黄道こうどうてん赤道せきどうは23.4°かたむいているため、通常つうじょうけいごうあかけいごう完全かんぜん同時どうじにはこらないが、ほぼちか日時にちじこる。ただしさんれん会合かいごうけいもしくはあかけいのいずれか一方いっぽうでしかこらない。ごう状態じょうたいにある惑星わくせい天球てんきゅうじょう非常ひじょうちか位置いちにあり、通常つうじょう一方いっぽう天体てんたいがもう一方いっぽう天体てんたいきたまたはみなみ通過つうかするようにえる。

掩蔽えんぺい通過つうかしょく

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けいごう状態じょうたいにあるふたつの天体てんたいぬきおなをとる場合ばあい(またはあかけいごう状態じょうたいにある天体てんたいあかぬきおなをとる場合ばあい)には、地球ちきゅうちかほう天体てんたいがもう一方いっぽう天体てんたい手前てまえとおることになる。このようなときには両者りょうしゃによって掩蔽えんぺい現象げんしょうこる。片方かたがた天体てんたいがもう片方かたがた天体てんたいかげはい場合ばあいしょくぶ。たとえば、つき地球ちきゅうかげごう状態じょうたいになり、かげなかはい現象げんしょう月食げっしょくぶ。手前てまえ天体てんたい直径ちょっけいうしろの天体てんたい直径ちょっけいよりも十分じゅうぶんちいさい場合ばあいには通過つうかぶ。れいとして、水星すいせい太陽たいよううちあい状態じょうたいになって太陽たいよう手前てまえ通過つうかする現象げんしょう水星すいせい太陽たいようめん通過つうかぶ。金星きんぼし太陽たいようこる同様どうよう現象げんしょう金星きんぼし太陽たいようめん通過つうかぶ。手前てまえ天体てんたいうしろの天体てんたいよりおおきく、うしろの天体てんたい完全かんぜんかくされる場合ばあいには掩蔽えんぺいばれる。掩蔽えんぺいれいつき地球ちきゅう太陽たいようあいだはいって太陽たいよう一部いちぶまたは全部ぜんぶかくされる日食にっしょくである(日食にっしょくにはしょくという名前なまえいているが掩蔽えんぺい分類ぶんるいされる)。太陽たいようつき以外いがい天体てんたいによる掩蔽えんぺい非常ひじょうまれ現象げんしょうである。つきによる惑星わくせい掩蔽えんぺい割合わりあい頻繁ひんぱんこっており、毎年まいとしすうかい地球ちきゅうじょうから観測かんそくできる。

歴史れきしじょうごう

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占星術せんせいじゅつたちは、ごう歴史れきしてき変事へんじむすけてきた。こうしたかんがえは『だい会合かいごうしょ』をあらわしたアブー・マーシャルイスラム世界せかい占星術せんせいじゅつたちによって発展はってんさせられたもので、12世紀せいきルネサンスつうじて西洋せいよう占星術せんせいじゅつにも導入どうにゅうされた。ごう周期しゅうきせいつため、年代ねんだい整理せいりもちいようとするものもあらわれた(うらないぼし年代ねんだいがく[1]。 また、惑星わくせい多数たすうでなくても金星きんぼし木星もくせいごう吉兆きっちょうとされ、そのときまれたものを「サーヒブ・キラーン(直訳ちょくやくでは「ごうぬし」、意訳いやくで「天運てんうんあるじ」など)」とばれ、幸運こううんぬしとされて、オスマン帝国ていこくなどでは(実際じっさいにそのときまれたのかはさておき)かくじょう存在そんざいのない世界せかいおう称号しょうごうとされ、オスマン帝国ていこく全盛期ぜんせいききずいたスレイマン1せいは、歴史れきしじょうだい帝国ていこく君主くんしゅだったチンギス・ハンティムールともにこの称号しょうごうぬしとされた[2]歴史れきしじょう、よくられているごう社会しゃかいてき騒擾そうじょうこしたごうとしては、以下いかれいげることが出来できる。

  • 紀元前きげんぜん7ねん - 木星もくせい土星どせい火星かせいさん重合じゅうごう
    • 聖書せいしょ記述きじゅつされているベツレヘムのほしはこのさん重合じゅうごうだったとする解釈かいしゃくがしばしばなされている。しかしこの現象げんしょうでの木星もくせい土星どせいかく距離きょりやく1つき直径ちょっけいの2ばいちかく、極端きょくたんちか接近せっきんではない。木星もくせいによる土星どせい掩蔽えんぺい有史ゆうし以降いこうこっていない。
    • このせつ提唱ていしょうしゃはしばしばヨハネス・ケプラーとされるが、実際じっさいにケプラーが推測すいそくしたのは、木星もくせい土星どせいのグレートコンジャンクションがあった紀元前きげんぜん7ねんは、処女しょじょ懐胎かいたいとしにふさわしいということだけで、ごうとベツレヘムのほし同一どういつしたわけではなかった[3]
  • 1186ねん - 天秤てんびんみやすべての惑星わくせいあつまった[4]
    • トレドのヨハネという人物じんぶつが、「トレドの書簡しょかん」(1179ねん)で、このとし世界せかいてきだい災害さいがいこり、とくに9がつにはだい地震じしんこると予言よげんしたため、大騒おおさわぎになった。実際じっさいには、特筆とくひつすべきだい災害さいがいこらなかった。[5]
  • 1345ねん11月20にち - たからびんみや木星もくせい火星かせい土星どせいごうこる。
  • 1484ねん - てんさそりみや土星どせい木星もくせい火星かせいさん重合じゅうごうこった。
    • ヨハン・リヒテンベルガーの『予言よげんしゅう』(1488ねん)では、このとし教会きょうかい刷新さっしんしゃとしてあらわれることになるにせ預言よげんしゃまれたとべられていた。これはのちカトリックがわからもルターからも、マルティン・ルターのこととされた(カトリックは「にせ預言よげんしゃ」に、ルターは「刷新さっしんしゃ」に、それぞれ力点りきてんいている)。ルターの生年せいねんは1483ねんだが、当時とうじはこのごうにあわせるために、占星術せんせいじゅつたちはルターの生年せいねんをしばしばずらしていた[7]
  • 1524ねん2がつ - そうさかなみやおおくのほしあつまり、いくつものごうこった。
  • 1584ねん - そうさかなみや木星もくせい土星どせいごうこった。
    • 占星術せんせいじゅつキュプリアヌス・レオウィティウスは、『20年間ねんかん予言よげん』(1564ねん)において、このごう理由りゆうのひとつとするかたちで、世界せかいわると予言よげんし、当時とうじ非常ひじょう話題わだいになった[9]
  • 1962ねん2がつ - 8つの惑星わくせい会合かいごう
    • インドではだい災厄さいやくこるとされてパニックになり、ネルー首相しゅしょう鎮静ちんせいのための声明せいめい事態じたいにまでなった[10]

はんしのげはん

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ごうのうち天体てんたいが7すんやく0.7以内いない接近せっきんすることは、日本にっぽん中国ちゅうごくなどひがしアジアの文献ぶんけんに「はん」としるされ、凶兆きょうちょうかんがえられていた[11]。また、清朝せいちょう初期しょきこよみしょである『かん窺輯よう まきろく』の「ほし総論そうろん」では相去あいさりいちしゃくやく1かく以内いないおかせすんやく0.5以内いないしのげはんとしている。[12] 以下いか文献ぶんけんられる事例じれいしめす。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ジョルジュ・ミノワ未来みらい歴史れきし筑摩書房ちくましょぼう、2000ねん、p.368, 中山なかやましげる占星術せんせいじゅつ朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1993ねん、p.83
  2. ^ 小笠原おがさわら弘幸ひろゆき『オスマン帝国ていこく 繁栄はんえい衰亡すいぼうの600ねん中公新書ちゅうこうしんしょ、2018ねんISBN 978-4-12-102518-0、p.129-131。
  3. ^ P. ジェイムズ、N. ソープ『古代こだい文明ぶんめいなぞはどこまでけたか I 』太田出版おおたしゅっぱん、2002ねん、pp.229-232
  4. ^ そうたかしそうあつし熙13ねん「8がつ1にちおつ日月じつげつほし聚軫」とある。(中国ちゅうごく天文学てんもんがく)(ぞくどおりかんまき15)
  5. ^ ポール・クーデール『占星術せんせいじゅつ白水しろみずしゃ文庫ぶんこクセジュ)、p.135
  6. ^ ジム・テスター『西洋せいよう占星術せんせいじゅつ歴史れきし恒星こうせいしゃ厚生こうせいかく、1997ねん、pp.249-250
  7. ^ 岡部おかべ雄三ゆうぞうてんのしるしとかみのことば」(村上むらかみ樺山かばやま高田たかだへん『ノストラダムスとルネサンス』岩波書店いわなみしょてん、2000ねん)pp.211-213
  8. ^ クーデール、前掲ぜんけいしょ、 pp.136-137
  9. ^ Hoefer(direction), Nouvelle biographie universelle depuis les temps les plus reculés jusqu'à nos jours, Tome 30, Paris, 1859, pp.814-815
  10. ^ 中山なかやま前掲ぜんけいしょ、1993ねん、pp.203-204
  11. ^ あすとろんだい4ごう”. 特定とくてい営利えいり活動かつどう法人ほうじん花山はなやま星空ほしぞらネットワーク (2008ねん9がつ30にち). 2022ねん7がつ25にち閲覧えつらん
  12. ^ 賀茂かも注進ちゅうしん雑記ざっき」にかれた天変てんぺんごういのり”. 梅辻うめつじ (2001ねん). 2022ねん7がつ26にち閲覧えつらん
  13. ^ 京都きょうと天文学てんもんがく【3】安倍晴明あべのせいめい出会であった天変てんぺん”. 白井しらいただし (2008ねん). 2024ねん7がつ28にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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