内藤ないとう雄つよし

内藤ないとう 雄つよし（ないとう たけし、1903年ねん（明治めいじ36年ねん）8月がつ17日にち - 1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）3月31日にち）は、日本にっぽんの海軍かいぐん軍人ぐんじん（海兵かいへい52期き、海うみ大だい36期き卒そつ）。太平洋戦争たいへいようせんそうにおいて艦隊かんたい参謀さんぼう職しょくを歴任れきにんした後のち、海軍かいぐん乙おつ事件じけんで殉職じゅんしょく。殉職じゅんしょくによる一いち階かい級きゅう昇進しょうしんで最終さいしゅう階級かいきゅうは海軍かいぐん大佐たいさ。

内藤ないとう 雄つよし
生誕せいたん	1903年ねん8月がつ17日にち 日本にっぽん 山形やまがた県けん
死没しぼつ	(1944-03-31) 1944年ねん3月31日にち（40歳さい没ぼつ） 西にし太平洋たいへいよう
所属しょぞく組織そしき	大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐん
軍ぐん歴れき	1925 - 1944
最終さいしゅう階級かいきゅう	海軍かいぐん大佐たいさ

人物じんぶつ・来歴らいれき

略歴りゃくれき

山形やまがた県けん出身しゅっしん。山形やまがた中学ちゅうがく卒そつ。海軍兵学校かいぐんへいがっこう52期き。席次せきじは236名めい中ちゅう6番ばん。高松宮たかまつのみや宣仁のぶひと親王しんのう、入佐いりさ俊しゅん家か、淵田ふちた美津雄みつおらは同期生どうきせいである。海軍かいぐん大だい学校がっこう甲種こうしゅ36期き。内藤ないとうは戦闘せんとう機きの源田げんた實みと並ならび、爆ばく撃げき機きの内藤ないとう雄つよしとして知しられ、樋とい端はし久ひさし利雄としおらとともに海軍かいぐん爆撃ばくげき術じゅつの体系たいけい化かに功績こうせきがあった。1939年ねん（昭和しょうわ16年ねん）1月がつから10月がつまで独どく出張しゅっちょう。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつ直後ちょくごの独どく空軍くうぐんは目覚めざましい活躍かつやくを見みせていたが（電撃でんげき戦せん）、内藤ないとうは海上かいじょう攻撃こうげきにおける問題もんだい点てんを指摘してきした。

1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）海軍かいぐん中佐ちゅうさへ進級しんきゅう。南みなみ遣や艦隊かんたい参謀さんぼうとして太平洋戦争たいへいようせんそうの開戦かいせんを迎むかえ、南みなみ遣や艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん・小沢おざわ治おさむ三郎さぶろうを補佐ほさした。南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい航空こうくう参謀さんぼうを経へて、ミッドウェー海戦かいせん後のちに再建さいけんされた第だい三さん艦隊かんたい（南雲なぐも機動きどう部隊ぶたい）の航空こうくう甲かぶと参謀さんぼうに就任しゅうにん。第だい一いち航空こうくう艦隊かんたい航空こうくう参謀さんぼうであった同期生どうきせい・源田げんた實みの役割やくわりを担になう。

第だい三さん艦隊かんたいの作戦さくせん指導しどうの中心ちゅうしんは首席しゅせき参謀さんぼうの高田たかだ利とし種しゅであったが、ミッドウェー海戦かいせんの敗因はいいんとなった索敵さくてきについて、内藤ないとうは新あらたに索敵さくてき計画けいかく法ほうを立案りつあんし、陣形じんけいについても空母くうぼと直衛なおえで構成こうせいされた本隊ほんたいとは別べつに、前衛ぜんえい部隊ぶたいを横よこ広ひろに展開てんかいさせる陣形じんけいを発案はつあんする。この陣形じんけいは敵てきを早期そうきに発見はっけんし、攻撃こうげき隊たいの道標どうひょうになるなどの利点りてんがあり、また航空こうくう攻撃こうげきに次ついで前衛ぜんえい部隊ぶたいによる攻撃こうげきを意図いとしていた。南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせんにおいて採用さいようされたこの陣形じんけいは、前衛ぜんえい部隊ぶたいが米べい空母くうぼ「ホーネット」に止とめをさすなど日本にっぽんの勝利しょうりにつながった。なお同どう海戦かいせんにおける内藤ないとうの攻撃こうげき方向ほうこうについての判断はんだんを伊藤いとう正徳まさのりは名めい断だんと評ひょうしている。

1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）4月がつ、連合れんごう艦隊かんたい航空こうくう甲かぶと参謀さんぼうに就任しゅうにん。連合れんごう艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん・古賀こが峯みね一いちの補佐ほさにあたる。翌年よくねん3月がつのパラオ大だい空襲くうしゅうの際さい、同地どうちにあった連合れんごう艦隊かんたい司令しれい部ぶは「二に式しき大だい艇てい」2機きに分乗ぶんじょうしてダバオへ脱出だっしゅつすることとなる。しかし、内藤ないとうが同乗どうじょうした古賀こが機きは行方ゆくえ不明ふめい（海軍かいぐん乙おつ事件じけん）となり、内藤ないとうは殉職じゅんしょく認定にんていを受うけた。

同期生どうきせい

南太平洋みなみたいへいよう海戦かいせんに空母くうぼ「翔しょう鶴づる」運用うんよう長ちょうとして参戦さんせんした福地ふくち周夫ちかおは内藤ないとうの同期生どうきせいである。内藤ないとうは昇進しょうしんがクラスの先頭せんとうグループにあり海軍かいぐん中佐ちゅうさになっていたが、福地ふくちは海軍かいぐん少佐しょうさであった。同どう海戦かいせん前夜ぜんや、福地ふくちが内藤ないとうから渡わたされた紙かみ包つつみを開ひらくと中身なかみは海軍かいぐん中佐ちゅうさの襟章えりしょうであった。内藤ないとうは明日あしたは戦死せんしするかも知しれない同期生どうきせいに、内うち報ほうされていた昇進しょうしんをそれとなく伝つたえたのである。翌日よくじつの戦闘せんとうで内藤ないとうは司令しれい部ぶと共ともに退すさ艦かんし、二人ふたりは再会さいかいすることはなかった。

他たの補職ほしょく

• 霞ヶ浦かすみがうら海軍かいぐん航空こうくう隊たい偵察ていさつ学生がくせい
• 臨時りんじ第だい二に連合れんごう航空こうくう隊たい参謀さんぼう
• 第だい三さん連合れんごう航空こうくう隊たい参謀さんぼう
• 海軍かいぐん航空こうくう本部ほんぶ員いんなど

参考さんこう文献ぶんけん

• 雨倉あめくら孝之たかゆき『帝国ていこく海軍かいぐん士官しかん入門にゅうもん』光人みつひと社しゃNF文庫ぶんこ ISBN 978-4-7698-2528-9
• 伊藤いとう正徳まさのり『連合れんごう艦隊かんたいの栄光えいこう』角川かどかわ文庫ぶんこ 1974年ねん
• 草くさ鹿しか龍之介りゅうのすけ『連合れんごう艦隊かんたい参謀さんぼう長ちょうの回想かいそう』光和こうわ堂どう 1973年ねん
• 源田げんた實み『海軍かいぐん航空こうくう隊たい始末しまつ記き』文春ぶんしゅん文庫ぶんこ ISBN 4-16-731003-1
• 中島なかじま親ちかし孝こう『聯合れんごう艦隊かんたい作戦さくせん室しつから見みた太平洋戦争たいへいようせんそう』光人みつひと社しゃNF文庫ぶんこ ISBN 4-7698-2175-1
• 中村なかむら菊男きくお編へん『昭和しょうわ海軍かいぐん秘史ひし』番ばん町まち書房しょぼう 1969年ねん
• 中山なかやま定義さだよし『一いち海軍かいぐん士官しかんの回想かいそう』毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ 1981年ねん
• 福地ふくち周夫ちかお『海軍かいぐんくろしお物語ものがたり』光人みつひと社しゃ ISBN 4-7698-0166-1
• 淵田ふちた美津雄みつお、奥宮おくのみや正武まさたけ『機動きどう部隊ぶたい』日本にっぽん出版しゅっぱん協同きょうどう 1951年ねん
• 吉田よしだ俊雄としお『海軍かいぐん参謀さんぼう』文春ぶんしゅん文庫ぶんこ ISBN 4-16-736005-5
• 秦はた郁いく彦編へん『日本にっぽん陸海りくかい軍ぐん総合そうごう事典じてん』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい
• 外山とやま操みさお編へん『陸海りくかい軍ぐん将官しょうかん人事じんじ総覧そうらん 海軍かいぐん篇へん』芙蓉ふよう書房しょぼう出版しゅっぱん ISBN 4-8295-0003-4