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太陽電池 - Wikipedia

太陽たいよう電池でんち

ひかりエネルギーを電気でんきエネルギーに変換へんかんする電力でんりょく機器きき

太陽たいよう電池でんち(たいようでんち、えい: solar cell)は、光起みつおき電力でんりょく効果こうか利用りようして、ひかりエネルギー電気でんきエネルギー電力でんりょく)に変換へんかんする[1]電力でんりょく機器ききである。おもに、太陽光たいようあきらから電力でんりょく目的もくてき使用しようされる。"電池でんち"と表現ひょうげんされるが、電力でんりょくたくわえる蓄電ちくでん機能きのうっていない。タイプはおおきくけてシリコンけい化合かごうぶつけい有機ゆうきけいがある。

たん結晶けっしょうシリコンがた太陽たいよう電池でんち
色素しきそぞうかん太陽たいよう電池でんち
 
結晶けっしょうシリコンがた太陽たいよう電池でんち代表だいひょうてき構造こうぞう

太陽たいよう電池でんち用途ようとと、採用さいようされている理由りゆう以下いかげる(太陽光たいようこう発電はつでんこう参照さんしょうのこと)。

種類しゅるい

編集へんしゅう

ひかり吸収きゅうしゅうそう材料ざいりょう、および素子そし形態けいたいなどにより、おおくの種類しゅるい分類ぶんるいされる。それぞれことなる特徴とくちょうち、用途ようとおうじて使つかけられている。

シリコンけい

編集へんしゅう

シリコンもちいる太陽たいよう電池でんちは、a.材料ざいりょう性質せいしつ観点かんてんからは、おおきく結晶けっしょうシリコンとアモルファスシリコン分類ぶんるいすることができる。またそのb.形態けいたい観点かんてんから、薄膜うすまくがた接合せつごうがたなどを分別ふんべつすることができる。その形式けいしき性能せいのう非常ひじょう多様たようであり、近年きんねん複数ふくすうかたふくあわさせたものも実用じつようされている。このため、ここにげた分類ぶんるいほう絶対ぜったいのものではないことを付記ふきしておく。太陽たいよう電池でんちもちいられるシリコンの純度じゅんど格子こうし欠陥けっかん集積しゅうせき回路かいろようくらべて基準きじゅんがゆるく、これまでは集積しゅうせき回路かいろようのシリコンがもちいられてきたが、太陽たいよう電池でんち生産せいさんりょう増加ぞうかするにしたがい、ソーラーグレードのシリコン材料ざいりょう供給きょうきゅうのぞまれてきた。シリコンのこう純度じゅんどには従来じゅうらい水素すいそとシリコンを反応はんのうさせて蒸留じょうりゅうして純度じゅんどたかめる化学かがくてき手法しゅほう使用しようされていたが、近年きんねん冶金やきんてき手法しゅほうにより、真空しんくうちゅう電子でんしビームを照射しょうしゃすることによってシリコンちゅう不純物ふじゅんぶつ気化きか精製せいせい凝固ぎょうこ精製せいせいおこな不純物ふじゅんぶつ除去じょきょすることにより、純度じゅんどたかめるプロセスも開発かいはつされている[2]

材質ざいしつ観点かんてんによる分類ぶんるい

編集へんしゅう

結晶けっしょうシリコン禁制きんせいたいはばは 1.12 eV であり、太陽たいよう電池でんちもちいた場合ばあいきんむらさきがいいきから 1.2 μみゅーm 程度ていどまでのひかり吸収きゅうしゅうして発電はつでんできる。間接かんせつ遷移せんいがた半導体はんどうたいであるためひかり吸収きゅうしゅう係数けいすうひくく、実用じつようてき吸収きゅうしゅうりょうるには最低さいてい200µm程度ていどのシリコンそう必要ひつようとされてきた。しかし表面ひょうめんテクスチャなどをもちいたひかり技術ぎじゅつ発達はったつしてきており、近年きんねん結晶けっしょうシリコンであってもシリコンそうかず μみゅーm~50 μみゅーmなどと非常ひじょううすく、薄膜うすまく太陽たいよう電池でんち分類ぶんるいできるものも開発かいはつされている。c-Siなどと略記りゃっきされる。

たん結晶けっしょうシリコンがた
こう純度じゅんどシリコンたん結晶けっしょうウエハを半導体はんどうたい基板きばんとして利用りようするもので、もっとふるくから使つかわれている。変換へんかん効率こうりつたかいがこう純度じゅんどシリコンの利用りようりょうおおく、生産せいさん必要ひつようなエネルギーやコストがたかくなる。そのため近年きんねん下記かき結晶けっしょうシリコンや薄膜うすまくシリコン太陽たいよう電池でんち移行いこうすすんでいる。
結晶けっしょうシリコンがた
結晶けっしょうつぶみちすうmm程度ていど結晶けっしょうシリコン利用りようした太陽たいよう電池でんちのシリコン半導体はんどうたい素子そし製造せいぞう過程かていしょうじたはしざいやオフグレードひんのシリコン原料げんりょう利用りようして製造せいぞうできる。たん結晶けっしょうシリコンにくらべると面積めんせきあたりの出力しゅつりょく変換へんかん効率こうりつ)はちるが、生産せいさん必要ひつようなエネルギーはすくなく、エネルギー収支しゅうしやEPT、GEG排出はいしゅつりょうめんではたん結晶けっしょうシリコンよりすぐれる。コストと性能せいのうのバランスのさから、現在げんざい主流しゅりゅうとなっている。近年きんねんはウエハを薄型うすがたするコスト削減さくげん技術ぎじゅつ競争きょうそうすすんでおり、2004ねんの300µmあつから、2010ねんには150µmあつ半減はんげんすると予想よそうされている[3]。また、ガラスじょう非常ひじょううす結晶けっしょうシリコン太陽たいよう電池でんち形成けいせいする、CSG(またはSOG)技術ぎじゅつ普及ふきゅう有望ゆうぼうされている[4]化学かがくしょう成長せいちょうによりなりまくするため生産せいさん過程かていでSiH4、NH3、H2などのガスを使用しようする。
ほろ結晶けっしょうシリコンがた
微細びさい結晶けっしょう構成こうせいされた薄膜うすまくをCVDほうなどにてせいまくするものである。結晶けっしょうがたの1しゅなせるが、せいまく条件じょうけんによってはアモルファスてき性質せいしつあわつ。μみゅーc-Si などと略記りゃっきされる。比較的ひかくてきあたらしい技術ぎじゅつで、インゴットを切断せつだんする手間てまはぶけ、資源しげん使用しようりょう削減さくげんできるほか、製法せいほうによっては200℃程度ていど低温ていおんでのせいまく可能かのう基板きばんえらばない、などの特長とくちょうがある。今後こんご広範囲こうはんい応用おうよう期待きたいされている[5]化学かがくしょう成長せいちょうによりなりまくするため生産せいさん過程かていでSiH4、PH3、B2H6,GeH4、H2などの気体きたい使用しようする。
アモルファスシリコンがた
シランガスから化学かがくしょう成長せいちょう (CVD) させてできるアモルファスシリコン利用りようした太陽たいよう電池でんちで、a-Si などと略記りゃっきされる。形態けいたいてきには薄膜うすまくシリコン太陽たいよう電池でんちにも分類ぶんるいできる。アモルファスシリコンは、タウツギャップとばれる通常つうじょう 1.75~1.8 eV 程度ていどエネルギーギャップと、それよりちいさなすそじゅんかいしたエネルギーギャップをつ。結晶けっしょうシリコンにくらべてエネルギーギャップおおきいため、高温こうおん出力しゅつりょくちにくい特性とくせいつ。太陽たいよう電池でんちにそのままもちいた場合ばあいおもに 700 nm 以下いか短波たんぱちょうひかり利用りようされ、にはあかっぽくえる。結晶けっしょう構造こうぞうみだれにより、光学こうがく遷移せんいフォノン介在かいざい必要ひつようとせず、ひかり吸収きゅうしゅう係数けいすうたかい。このため 0.5 μみゅーm 程度ていどあつさでも実用じつようになり、使用しようするシリコン原料げんりょうすくなく、エネルギーやコストてきにも有利ゆうりである。極端きょくたんてい照度しょうどでの効率こうりつたかいことや、蛍光けいこうとう短波たんぱ長光ながみつ感度かんどがあることから、おも電卓でんたくなど室内しつない用途ようと使つかわれてきた。太陽光たいようこう劣化れっかしやすいのが欠点けってんだったが、技術ぎじゅつ進歩しんぽにより長寿ちょうじゅいのちされ(アモルファスシリコンのひかり劣化れっか参照さんしょう)、近年きんねん屋外おくがいようにも市販しはんされている。エネルギー変換へんかん効率こうりつが10%以下いかひくい(設置せっち面積めんせきおおきくなる)のも欠点けってんだったが、結晶けっしょうシリコンとう積層せきそうした接合せつごうがたとすることで高性能こうせいのうされている。また、タウツギャップのおおきさはドーピングによって1~2eV程度ていど範囲はんい可変かへんであり、これを利用りようしてアモルファスそうのみで構成こうせいされた接合せつごうがた太陽たいよう電池でんち実用じつようされている。近年きんねん下記かき薄膜うすまく太陽たいよう電池でんち一種いっしゅとしてろんじられることもおおい。化学かがくしょう成長せいちょうによりなりまくするため生産せいさん過程かていでSiH4、PH3、B2H6、GeH4、H2などの気体きたい使用しようする。また、アモルファスシリコン太陽たいよう電池でんち開発かいはつ過程かていつちかわれただい面積めんせきガラス基板きばんじょうでの半導体はんどうたいせいまく技術ぎじゅつはTFT液晶えきしょうディスプレイパネルの生産せいさん技術ぎじゅつにも役立やくだった。

形態けいたい観点かんてんによる分類ぶんるい

編集へんしゅう
薄膜うすまくシリコンがた
シリコンそうあつみをうすくすることで、使用しよう原料げんりょう生産せいさんようするエネルギー、コストなどの削減さくげんをはかったもの。比較的ひかくてきあたらしい技術ぎじゅつで、様々さまざま形態けいたい存在そんざいするためひとくくりにするのはむずかしい。広義こうぎにはしょう資源しげん意味いみで、従来じゅうらいすうひゃくμみゅーmよりもうすいもの全般ぜんぱんたとえば 100 μみゅーm 以下いか)をす。狭義きょうぎには柔軟じゅうなんせいなども充分じゅうぶんられるあつみの意味いみで、たとえば 10 μみゅーm 以下いかのものをす。シリコンとおるえきから表面張力ひょうめんちょうりょくでリボンじょうすストリングリボンほう[6]もちいたかたや、CVDほうなどをもちいるほろ結晶けっしょうがたなどが代表だいひょうてきである。あつみは生産せいさん方法ほうほう選択せんたくによって100nm(0.1μみゅーm)単位たんいからすうひゃくµm以上いじょうまで連続れんぞくてきにカバーでき、目的もくてきおうじて使つかけられる。インゴットから切断せつだんしたウエハをもちいて製造せいぞうする場合ばあい通常つうじょうすうひゃく μみゅーm 単位たんいになるのにたいし、とおるえきから直接ちょくせつ薄膜うすまくかたちにするリボンほうなどでは100 μみゅーm 以下いかCVDほうなどをもちいた場合ばあい(アモルファスがたほろ結晶けっしょうがたなど)では0.5~すうμみゅーmまでうすくなる。薄膜うすまくのままでは充分じゅうぶん入射にゅうしゃこう吸収きゅうしゅうできないため、表面ひょうめんテクスチャやちゅうあいだそうもちいて光学こうがくてき特性とくせい制御せいぎょし、入射にゅうしゃこう利用りようりつたかめる工夫くふうほどこされる(ライトトラッピング)。効率こうりつ低下ていかぶんよりも生産せいさん使用しようエネルギーやコストがおお削減さくげんできるため、環境かんきょう負荷ふか観点かんてんから優秀ゆうしゅうなものがおお
ハイブリッドがた(HITがた
結晶けっしょうシリコンとアモルファスシリコンを積層せきそうした太陽たいよう電池でんちである。通常つうじょう結晶けっしょうシリコンにして変換へんかん効率こうりつたかく、温度おんど特性とくせいいなどの特長とくちょうゆうする[7][8]。シリコンの使用しようりょうらせるほか両面りょうめん受光じゅこうがたにも出来できる。日本にっぽん三洋電機さんようでんきおも製造せいぞうしゃである。なお、吸収きゅうしゅう波長はちょういきことなる材料ざいりょう同士どうし積層せきそうするというてんでは下記かき接合せつごうがた太陽たいよう電池でんちるが、pn接合せつごうは1つ(たん接合せつごう)である。
接合せつごうがた(タンデムがた
吸収きゅうしゅう波長はちょういきことなるシリコンそう積層せきそうしたもの。アモルファスシリコン各種かくしゅ結晶けっしょうシリコン積層せきそうしたもののほか通常つうじょうのa-Siに吸収きゅうしゅう波長はちょういきことなるa-SiCやa-SiGeを積層せきそうしたものなどが開発かいはつ実用じつようされている。こう効率こうりつ温度おんど特性とくせいなどにすぐれるものがおおい。接合せつごうがた太陽たいよう電池でんちこう参照さんしょう
球状きゅうじょうシリコンがた
球状きゅうじょうシリコンがた太陽たいよう電池でんちとは、無数むすう球状きゅうじょうシリコン粒子りゅうし直径ちょっけい1mm程度ていど)と、あつまりこう能力のうりょくげる直径ちょっけい2~3mmの凹面鏡おうめんきょう電極でんきょくねる)をわせた太陽たいよう電池でんちのことである[9]一般いっぱんてき結晶けっしょうシリコンがたの1/5程度ていどのシリコン使用しようりょうで、アモルファスシリコンよりもたか変換へんかん効率こうりつ期待きたいできる方式ほうしきである。2007ねんはじめの時点じてんで10%をえる発電はつでん効率こうりつ報告ほうこくされている。球状きゅうじょうシリコンの生産せいさん方法ほうほうは、プラズマかしたシリコンえきしずくを1~2びょう程度ていど自由じゆう落下らっか滴下てきかさせ、表面張力ひょうめんちょうりょくでシリコンえきしずく球状きゅうじょうとし、落下らっかちゅうレーザー照射しょうしゃにより結晶けっしょうさせることにより生産せいさんされる。個々ここのシリコン粒子りゅうしたん結晶けっしょうである。こう純度じゅんどシリコン原料げんりょう供給きょうきゅういつかない状況じょうきょうつづなか、シリコンの供給きょうきゅうじょうきょう影響えいきょうされにくく、生産せいさん工程こうてい簡易かんいなことから、コストをげやすい方式ほうしきとして普及ふきゅう期待きたいされている。また、基板きばんいたじょうではないため、曲面きょくめんにも設置せっち可能かのうでかつ軽量けいりょうであるメリットがある[10]。2007ねんあきから日本にっぽん企業きぎょうにて量産りょうさん開始かいし、2008ねんより一般いっぱん販売はんばいされている[11]
電界でんかい効果こうかがた
従来じゅうらいのpin接合せつごう構造こうぞうつアモルファスシリコンがたのpがたまどそう役割やくわりを、絶縁ぜつえんされた透明とうめい電極でんきょくから電界でんかい効果こうかによってさそえおこされる反転はんてんそうえた構造こうぞうつ。pがたまどそうないさい結合けつごうによりうしなわれていたキャリア電界でんかいによってすみやかに分離ぶんりする効果こうかとうにより、変換へんかん効率こうりつ飛躍ひやくてき改善かいぜんするものと期待きたいされる。研究けんきゅうおこなわれていた1996ねん当時とうじ従来じゅうらいがたくら最大さいだい50%の効率こうりつ改善かいぜんがシミュレーションよりられたが、製造せいぞうプロセスとう課題かだいにより実験じっけんレベルでの大幅おおはば効率こうりつ改善かいぜんにはいたっていない[12][13]

化合かごうぶつけい

編集へんしゅう
InGaAs太陽たいよう電池でんち
シャープ開発かいはつした。InGaAsインジウムガリウムヒ素ひそ)をもちい、3そう結晶けっしょう構造こうぞうがほぼ一致いっちするように原材料げんざいりょう元素げんそわせ、さらにそうあいだ緩衝かんしょうざいれて、そうのひずみを解消かいしょうした。2009ねん10がつ現在げんざい世界せかい最高さいこう変換へんかん効率こうりつ(35.8%)である。毒性どくせいのあるヒ素ひそ使つかい、コストがたかいので、用途ようと宇宙うちゅうようかぎられる[14]
GaAsけい太陽たいよう電池でんち
たん結晶けっしょうGaAsもちいるもので、禁制きんせいたいはば 1.4 eV で太陽光たいようこうのスペクトルにくマッチし、たん接合せつごうセルではもっとたか変換へんかん効率こうりつせる(2005ねんまつ世界せかい記録きろくは25.1%;Kopinら)。宇宙うちゅうようなど、とくたか変換へんかん効率こうりつ必要ひつよう用途ようともちいられている。
CISけい(カルコパイライトけい太陽たいよう電池でんち
新型しんがた薄膜うすまく結晶けっしょう太陽たいよう電池でんちひかり吸収きゅうしゅうそう材料ざいりょうとして、シリコンのわりに、CuInGaAlSeSなどからカルコパイライトけいばれるI-III-VIぞく化合かごうぶつもちいる。代表だいひょうてきなものはCu(In,Ga)Se2 やCu(In,Ga)(Se,S)2, CuInS2 などで、それぞれCIGS, CIGSS, CIS などと略称りゃくしょうされる。製造せいぞうほう材料ざいりょうのバリエーションが豊富ほうふで、ていコストひんから高性能こうせいのうひんまで対応たいおうできるのが特長とくちょう。また、結晶けっしょうであるため、だい面積めんせき量産りょうさんく。フレキシブルなものやカスタマイズしなつくりやすい。シリコン太陽たいよう電池でんち苦手にがてとする分野ぶんやから実用じつようはじまっているほか、禁制きんせいたいはば材料ざいりょう次第しだい自由じゆうえられることから将来しょうらい接合せつごうがた太陽たいよう電池でんちへの応用おうよう期待きたいされている。日本にっぽんでも量産りょうさんはじまっている[15]
CIGSけい太陽たいよう電池でんち
CIGS太陽たいよう電池でんちはCu(In、Ga)Se2という化合かごうぶつからなる太陽たいよう電池でんちである。携帯けいたい電話でんわ搭載とうさいできる程度ていど面積めんせきちいさくてかるくとも、大量たいりょう電力でんりょくこう効率こうりつ太陽たいよう電池でんちとして注目ちゅうもくされ、利点りてんとしてつぎげられる[16]
  1. ひかりでん変換へんかん効率こうりつたかい。
  2. かずµmのうすさでも十分じゅうぶん機能きのうする。
  3. 経年けいねん劣化れっかすくない。
  4. くろ一色いっしょく色合いろあいがいている。
とくに1.にかんしては、2010ねん産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ開発かいはつしたCIGS薄膜うすまくがた太陽たいよう電池でんちは19.4%のひかりでん変換へんかん効率こうりつ実現じつげんしたという、キャリアがある[17]。この技術ぎじゅつ応用おうようにより、セラミックス金属きんぞくはくポリマーなど様々さまざまフレキシブル基板きばんもちいた高性能こうせいのう太陽たいよう電池でんち作製さくせい成功せいこうした[16]
CZTS(Cu2ZnSnS4太陽たいよう電池でんち
めっきプロセスをもちいたCZTScopper zinc tin sulfide薄膜うすまく近年きんねん開発かいはつはじまった材料ざいりょうけい上記じょうきのCISけい形態けいたいるが、利用りようする材料ざいりょうがより豊富ほうふかつ安価あんかなのが特長とくちょう日本にっぽん長岡工業高等専門学校ながおかこうぎょうこうとうせんもんがっこうなどで研究けんきゅうおこなわれている[18]2012ねん9月ソーラーフロンティアしゃIBMコーポレーション、東京応化工業とうきょうおうかこうぎょうDelSolar英語えいごばんしゃとの共同きょうどう研究けんきゅうにおいて11.1%のエネルギー変換へんかん効率こうりつ達成たっせいした[19]
CdTe/CdSけい太陽たいよう電池でんち
テルルカドミウム(cadmium telluride, CdTe)薄膜うすまくもちいた太陽たいよう電池でんちで、2まいのガラスに太陽たいよう電池でんちはさんだ形態けいたいのモジュールが代表だいひょうてきである。毒物どくぶつであるカドミウムもちいるが、少量しょうりょうでしかも安定あんていした化合かごうぶつがモジュールにじこめられているため、じつ環境かんきょう負荷ふかひく太陽たいよう電池でんちとされている[20]日本にっぽんでは販売はんばいされていないが、性能せいのうくかつ安価あんかであるため、米国べいこく欧州おうしゅう実用じつようされている[21][22]
その
InPけい太陽たいよう電池でんちSiGeけい太陽たいよう電池でんち、Ge太陽たいよう電池でんちZnO(酸化さんか亜鉛あえん/CuAlO2どうアルミ酸化さんかぶつ太陽たいよう電池でんち透明とうめい太陽たいよう電池でんち[23][24])などがある。

有機ゆうきけい

編集へんしゅう

上記じょうきのシリコンや無機むき化合かごうぶつ材料ざいりょうもちいた太陽たいよう電池でんちたいし、ひかり吸収きゅうしゅうそうひかりでん変換へんかんそう)に有機ゆうき化合かごうぶつもちいた太陽たいよう電池でんち開発かいはつされている。製法せいほう簡便かんべん生産せいさんコストがひくくでき、着色ちゃくしょくせい柔軟じゅうなんせいなどをたせられるなどの特長とくちょうゆうする。変換へんかん効率こうりつ寿命じゅみょう課題かだいがあるが、実用じつようされれば将来しょうらい市場いちばおおきなインパクトが期待きたいされるため、開発かいはつきそわれている。

色素しきそぞうかん太陽たいよう電池でんち
有機ゆうき色素しきそもちいて光起みつおき電力でんりょく太陽たいよう電池でんち代表だいひょうてきなものはグレッツエルがた(または湿式しっしき太陽たいよう電池でんち)とばれる型式けいしきのもので、2まい透明とうめい電極でんきょくあいだ微量びりょうルテニウム錯体さくたいなどの色素しきそ吸着きゅうちゃくさせた二酸化にさんかチタンそう電解でんかいしつはさんだ単純たんじゅん構造こうぞうゆうしている。製造せいぞう簡単かんたん材料ざいりょう安価あんかなことから大幅おおはばていコスト見込みこまれ、最終さいしゅうてきには現在げんざい主流しゅりゅう結晶けっしょうシリコン太陽たいよう電池でんちの1~すうわり程度ていどのコストで製造せいぞうできるとわれている。また、軽量けいりょう着色ちゃくしょく可能かのうなどの特長とくちょうつ。現在げんざい課題かだいはルテニウムや白金はっきんのような高価こうか金属きんぞく使用しようされていること効率こうりつ寿命じゅみょうであり、技術ぎじゅつてき改良かいりょうすすめられている。電解でんかいえき蒸発じょうはつ如何いかふせぐかが重要じゅうようであり、固体こたいなどの技術ぎじゅつ開発かいはつすすめられている。2016ねん2がつ時点じてんで、スイス連邦れんぽう工科こうか大学だいがくローザンヌこうのチームが15%のエネルギー変換へんかん効率こうりつ達成たっせいしている[25]
有機ゆうき薄膜うすまく太陽たいよう電池でんち
導電性どうでんせいポリマーやフラーレンなどをわせた有機ゆうき薄膜うすまく半導体はんどうたいもちいる太陽たいよう電池でんち次世代じせだい照明しょうめい/TVの有機ゆうきELのぎゃく反応はんのうとして研究けんきゅう進展しんてんした。ロールツーロールで印刷いんさつによる製造せいぞう可能かのうになるため、上記じょうき色素しきそぞうかん太陽たいよう電池でんちよりもさらに構造こうぞう製法せいほう簡便かんべんになるとわれており、また電解でんかいえきもちいないために(色素しきそぞうかんくらべると)柔軟じゅうなんせい寿命じゅみょう向上こうじょうじょうでも有利ゆうりなのが特長とくちょうである。21世紀せいきはいってからさかんに開発かいはつおこなわれるようになっている。課題かだい変換へんかん効率こうりつ寿命じゅみょうであり、2016ねん2がつ現在げんざい記録きろくはドイツのヘリアテック(Heliatek)が開発かいはつした接合せつごうがたセルによる13.2%が世界せかい記録きろくである[26]

ペロブスカイトがた

編集へんしゅう

ペロブスカイト結晶けっしょうもちいた太陽たいよう電池でんち2009ねんきりかげ横浜よこはま大学だいがく宮坂みやさかつとむ教授きょうじゅ研究けんきゅうしつによってハロゲンなまりけいペロブスカイトを利用りようした太陽たいよう電池でんち開発かいはつされた。エネルギー変換へんかん効率こうりつは2009ねん当時とうじのCH3NH3PbI3をもちいた3.9%から2016ねんには最大さいだい21.0%[27]たっするといういちじるしい性能せいのう向上こうじょうしめし、次世代じせだい太陽たいよう電池でんちとして期待きたいされる。[28][29][30]

量子りょうしドットがた

編集へんしゅう

使用しようする材料ざいりょうがまだ特定とくていされていない太陽たいよう電池でんちとして、量子りょうし効果こうかもちいた太陽たいよう電池でんち検討けんとうされている。だいさん世代せだいがた太陽たいよう電池でんちともばれる。たとえばp-i-n構造こうぞうゆうする太陽たいよう電池でんちのiそうちゅうおおきさがすうnm~すう10nm程度ていど量子りょうしドット構造こうぞう規則きそくてきならべた構造こうぞうなどが提案ていあんされている[31]。この量子りょうしドットの間隔かんかく調整ちょうせいすることで、もと半導体はんどうたい(シリコンやGaAsなど)の禁制きんせいたいちゅう複数ふくすうのミニバンドを形成けいせいできる。これにより、たん接合せつごう太陽たいよう電池でんちであっても、ことなる波長はちょうひかりをそれぞれ効率こうりつよく電力でんりょく変換へんかんすることが可能かのうになり、変換へんかん効率こうりつ理論りろん限界げんかいは60%以上いじょう拡大かくだいする[32]現在げんざい一般いっぱんてき半導体はんどうたいプロセスよりもさらに微細びさい加工かこうプロセスの開発かいはつ必要ひつようである。2012ねん6がつ東北大学とうほくだいがくがシリコンを使用しようした量子りょうしドットがた太陽たいよう電池でんちで12.6%の変換へんかん効率こうりつ達成たっせいしている[33]

 
各種かくしゅ太陽たいよう電池でんち変換へんかん効率こうりつ向上こうじょう歴史れきし研究けんきゅうレベルの世界せかい記録きろく

1839ねん太陽たいよう電池でんち基本きほん原理げんり発見はっけんされる(フランス物理ぶつり学者がくしゃアレクサンドル・エドモン・ベクレル[34][35][36]

1884ねん最初さいしょ発電はつでん成功せいこうする(アメリカ発明はつめいチャールズ・フリッツ)。構造こうぞう半導体はんどうたいせいセレンきわめてうすきむまくとを接合はぎあわしたものである[37]。これによりられた変換へんかん効率こうりつはわずか1%ほどであった[37]。この発明はつめいのちにセレン光電池こうでんちとして1960年代ねんだいまでカメラ露出ろしゅつけいなどにひろ応用おうようされていたが、シリコンかた普及ふきゅうとともに市場いちばからっていった(光起みつおき電力でんりょく効果こうか#歴史れきし露出ろしゅつけい参照さんしょう)。

1954ねん結晶けっしょうシリコン太陽たいよう電池でんち発明はつめいされる(ベル研究所けんきゅうじょダリル・チャピンカルビン・フラージェラルド・ピアソン[38]電力でんりょく機器ききとしての太陽たいよう電池でんち先駆さきがけとなった。通信つうしん機器ききもちいる電池でんち熱帯ねったい地方ちほうでの使用しようえなかったため、そのわりの電源でんげんとして開発かいはつされた[38]当時とうじえい: Bell Solar Batteryばれ[36]太陽光たいようあきらエネルギー電力でんりょく変換へんかんする効率こうりつは6%だった[39]当初とうしょ通信つうしんよう宇宙うちゅうようとうおも用途ようとで、いち電池でんちもちいた世界せかい最初さいしょ人工じんこう衛星えいせいスプートニク1ごうが21にち寿命じゅみょうしかなかったのにたいし、太陽たいよう電池でんちもちいた最初さいしょ人工じんこう衛星えいせいヴァンガード1ごう[40]は6ねん以上いじょう動作どうさし、その有用ゆうようせいしめしている。その無人むじん灯台とうだいなど徐々じょじょ用途ようと拡大かくだいし、日本にっぽんでも1960年代ねんだい量産りょうさん開始かいしされた。

1974ねん石油せきゆショック以降いこう電源でんげんとしての本格ほんかくてき開発かいはつはじまる。開発かいはつ当初とうしょかずWぶんぎなかった[38]生産せいさんりょうは、2010ねん時点じてんでそのすうじゅうおくばい(23GWp/とし)にえている(太陽光たいようこう発電はつでん市場いちば動向どうこう参照さんしょう)。変換へんかん効率こうりつ向上こうじょう太陽たいよう電池でんち多様たようすすみ、現在げんざいでは変換へんかん効率こうりつ40%をえる化合かごうぶつ接合せつごうがた太陽たいよう電池でんち開発かいはつされている(みぎ)。

概要がいよう 太陽たいよう電池でんち入射にゅうしゃしたひかりのエネルギーは、電子でんしによって吸収きゅうしゅうされ、電力でんりょくとして太陽たいよう電池でんち外部がいぶ出力しゅつりょくされる。くわしくは光起みつおき電力でんりょく効果こうかこう参照さんしょうのこと。

pn接合せつごうがた場合ばあい

 
pn接合せつごうにおける光起みつおき電力でんりょく効果こうか

現在げんざい一般いっぱんてき太陽たいよう電池でんちは、pがたとnがた半導体はんどうたい接合はぎあわした構造こうぞうpn接合せつごうかたダイオードフォトダイオード)である。シリコンけい化合かごうぶつけい太陽たいよう電池でんちがこれに該当がいとうする。電子でんしひかりのエネルギーを吸収きゅうしゅうさせ(光励起ひかりれいき)、電力でんりょくとしてす。これは、発光はっこうダイオードぎゃく過程かていである。

色素しきそぞうかん太陽たいよう電池でんち場合ばあい

色素しきそぞうかん太陽たいよう電池でんちでは、入射にゅうしゃこうによって、二酸化にさんかチタンに吸着きゅうちゃくされた色素しきそちゅう電子でんし励起れいきされる。この励起れいきされた電子でんし二酸化にさんかチタンをかいして電極でんきょく陰極いんきょく)へとみちびき、電流でんりゅうとしてす。おくされた電子でんし外部がいぶ回路かいろ経由けいゆして対向たいこう電極でんきょく陽極ようきょく)にもどり、電極でんきょくあいだはさまれた電解でんかいしつちゅうのイオンをかいしてふたた色素しきそ吸着きゅうちゃくへともど[41][42]

回路かいろ部品ぶひんとしての動作どうさ

 
太陽たいよう電池でんち等価とうか回路かいろ

太陽たいよう電池でんち等価とうか回路かいろみぎのようになる。もっと単純たんじゅんなモデルでは抵抗ていこう成分せいぶん無視むしして、電流でんりゅうげん  と(理想りそうダイオードではない)ダイオードのみであらわされる。抵抗ていこう成分せいぶん無視むしした太陽たいよう電池でんちくら電流でんりゅうは、 ぎゃく方向ほうこう飽和ほうわ電流でんりゅう、qを電気でんきもとりょう、Vを電圧でんあつ、nを理想りそうダイオード因子いんし、kをボルツマン定数ていすう、Tを温度おんどとして

 

のようにあらわされる。ここで n=1 としたものがpn接合せつごう理想りそうI-V特性とくせいである。

実際じっさい素子そし近似きんじするには、直列ちょくれつ抵抗ていこう(series resistance) 並列へいれつ抵抗ていこう(shunt resistance)  成分せいぶん考慮こうりょする。直列ちょくれつ抵抗ていこう成分せいぶん素子そし各部かくぶ電流でんりゅうながれるとき抵抗ていこう成分せいぶんであり、これがひくいほど性能せいのうくなる。並列へいれつ抵抗ていこうはpn接合せつごう周辺しゅうへんにおけるれ(リーク)電流でんりゅうなどによってしょうじ、これがたかいほど性能せいのうい。抵抗ていこう成分せいぶんふくめた太陽たいよう電池でんちひかり照射しょうしゃ電流でんりゅう-電圧でんあつ特性とくせいつぎのようにあらわされる。

 
 
太陽たいよう電池でんち電圧でんあつ-電流でんりゅう特性とくせい

太陽たいよう電池でんち電圧でんあつ-電流でんりゅう特性とくせいみぎのようになる。ひかり照射しょうしゃいて、端子たんし開放かいほうしたとき出力しゅつりょく電圧でんあつ開放かいほう電圧でんあつ(open circuit voltage  )、短絡たんらくしたとき電流でんりゅう短絡たんらく電流でんりゅう(short-circuit current,  )とぶ。また 有効ゆうこう受光じゅこう面積めんせき ったものを短絡たんらく電流でんりゅう密度みつど )とぶ。最大さいだい出力しゅつりょく電力でんりょくあたえる動作どうさてんPmax最大さいだい出力しゅつりょくてん(maximum power point, 最適さいてき動作どうさてん最適さいてき負荷ふかてん)とぶ。また  曲線きょくせん因子いんし(fill factor)とぶ。照射しょうしゃこうによる入力にゅうりょくエネルギーを 100mW/cm2(または1000W/m2)で規格きかくした測定そくていでは、公称こうしょう変換へんかん効率こうりつ

 

あたえられる。

太陽たいよう電池でんちから効率こうりつよく電力でんりょくるには、太陽たいよう電池でんち最大さいだい出力しゅつりょくてん付近ふきん動作どうささせる必要ひつようがある。このためだい電力でんりょくようのシステムでは通常つうじょう最大さいだい電力でんりょくてん追従ついしょう装置そうち(Maximum Power Point Tracker, MPPT)をもちいて、日射にっしゃりょう負荷ふかにかかわらず、太陽たいよう電池でんちがわからみた負荷ふかつね最適さいてきたもつように運転うんてんおこなわれる。

かげ影響えいきょう

一般いっぱん太陽たいよう電池でんち十分じゅうぶん電圧でんあつ確保かくほするため直列ちょくれつ接続せつぞくされるが、直列ちょくれつ接続せつぞくされる一部いちぶ太陽たいよう電池でんちにおいてかげなどにより出力しゅつりょく低下ていかすると、そこで電流でんりゅうりょう制限せいげんされ、全体ぜんたい発電はつでんりょう低下ていかすることがある。対策たいさくとしては、バイパスダイオード搭載とうさい当該とうがい太陽たいよう電池でんち電気でんきてき迂回うかいする方法ほうほうげられる。また、電圧でんあつ-電流でんりゅう特性とくせいにも変化へんかあらわれ、ピークが複数ふくすうあらわれることによって、山登やまのぼほうアルゴリズムを利用りようするおおくのMPPTでは最大さいだい出力しゅつりょくてん到達とうたつできないことがある。これを回避かいひするためには、より複雑ふくざつ電圧でんあつ-電流でんりゅう特性とくせいてきするアルゴリズムを使用しようする必要ひつようがある。[43]また、MPPTを一括いっかつおこなわずに複数ふくすう単位たんい区切くぎって個別こべつにMPPT制御せいぎょおこなうのもである。かげ影響えいきょう太陽たいよう電池でんち種類しゅるいによってもことなり、アモルファスシリコンがベストで、次点じてんでCdTeがた、そのつぎにバイパスダイオードたん結晶けっしょうシリコンがた、CIGSがたつづきバイパスダイオードのないシリコンがた太陽たいよう電池でんちもっとわるい。[44]一般いっぱん薄膜うすまくのものほどかげたいするたいせいすぐれる。[45]

その参考さんこう資料しりょう

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接合せつごうがた太陽たいよう電池でんち

接合せつごうがたスタックがた積層せきそうがたタンデムがたなどともばれる)太陽たいよう電池でんちとは、利用りよう波長はちょうことなる太陽たいよう電池でんち複数ふくすうかさねた太陽たいよう電池でんちである。

特徴とくちょう

  • 太陽光たいようあきらのエネルギーをより無駄むだなく利用りようすることで変換へんかん効率こうりつ向上こうじょうはかれる。
  • 材料ざいりょうわせによっては、温度おんど特性とくせい必要ひつよう資源しげんりょう削減さくげんするなどの効果こうかられる。

原理げんり

 
接合せつごうがた太陽たいよう電池でんち概念がいねんかく波長はちょう光子こうしのエネルギーを効率こうりつ利用りようする。
  • 太陽光たいようあきらスペクトル紫外線しがいせんから赤外線せきがいせんまで幅広はばひろ分布ぶんぷするが、短波たんぱちょうむらさきがいむらさきあお)のひかりになるほど光子こうしおおきなエネルギーち、よりおおきな禁制きんせいたいはばえてキャリアを励起れいきできる。この短波たんぱちょうがわひかり対応たいおうした禁制きんせいたいはばたん接合せつごう太陽たいよう電池でんちもちいれば、よりおおきな電圧でんあつることが出来でき短波たんぱちょういきひかりのエネルギーをより効率こうりつ利用りようできる。しかし禁制きんせいたいはばひろげすぎれば、より長波ちょうはちょうひかり素通すどおりして利用りようされず、出力しゅつりょく電流でんりゅう減少げんしょうする。
  • すなわpn接合せつごうが1つだけのたん接合せつごう太陽たいよう電池でんちにおいては、禁制きんせいたいはばよりおおきなエネルギーの光子こうしのエネルギーの一部いちぶ無駄むだになり、禁制きんせいたいはばよりちいさなエネルギーの光子こうしのエネルギーは利用りようできない。このようないから、たん接合せつごう太陽たいよう電池でんちでは禁制きんせいたいはば 1.3~1.4 eV付近ふきんもっとたか変換へんかん効率こうりつられる。たん接合せつごう場合ばあい変換へんかん効率こうりつ限界げんかいやく30%とされる。2005ねん現在げんざい記録きろくはAM1.5G,1sunにおいて25.1%、AM1.5、255suns(あつまりこうセル)において27.6%である。
  • ここで、禁制きんせいたいはばことなる複数ふくすうpn接合せつごう素子そし積層せきそうし、ひかり入射にゅうしゃがわ素子そしからじゅん短波たんぱちょうひかり利用りようして発電はつでんし、より長波ちょうはちょうこうはより下層かそう素子そし利用りようする。こうすればかく波長はちょういき光子こうしのエネルギーをより無駄むだなくすことが出来でき(よりたか電圧でんあつられる)、かつより長波ちょうはちょうまでふくめたよりおおくの光子こうし利用りようできる(よりおおくの電流でんりゅうられる)。変換へんかん効率こうりつ最終さいしゅうてきせる電力でんりょく電圧でんあつ×電流でんりゅう)でまるため、たん接合せつごう場合ばあいくらべてよりたか効率こうりつられる。
  • 理論りろんてきには無限むげん接合せつごうやせばやく86%の変換へんかん効率こうりつになると計算けいさんされるが、実際じっさいには上層じょうそう素子そし通過つうかするさいひかり損失そんしつ素子そしあいだ電流でんりゅう整合せいごう問題もんだいで、それよりひくくなる。2012ねん現在げんざい記録きろくは3接合せつごうセルでられている(下記かき)。4接合せつごう、5接合せつごうのセルも研究けんきゅうされている。

応用おうよう

  • GaInP/GaAs/Geの3接合せつごうセルで30%をえる効率こうりつられ、おも宇宙うちゅうようもちいられている。2012ねん5がつ時点じてんで、シャープがInGaP、GaAs、InGaAsのしゅうこうがた化合かごうぶつ3接合せつごうセルで43.5%を達成たっせいしている[46]
  • 民生みんせいひんでは、ほろ結晶けっしょうシリコンとアモルファスシリコンを積層せきそうしたものや、通常つうじょうのa-Siと禁制きんせいたいはばことなるa-SiCやa-SiGeを積層せきそうしたものなどが開発かいはつ実用じつようされている[47]。アモルファスシリコンは禁制きんせいたいはばひろく、利用りよう波長はちょういき結晶けっしょうシリコンとことなるため、どういち元素げんそ同士どうしでも接合せつごう太陽たいよう電池でんち形成けいせいできる。このようにすることで効率こうりつだけでなく、温度おんどひかり強度きょうどたいする特性とくせい最終さいしゅうてき資源しげん消費しょうひりょうめんでもすぐれた製品せいひん市販しはんされている(温度おんど影響えいきょう参照さんしょう)。

温度おんど影響えいきょう

太陽たいよう電池でんちモジュールは条件じょうけんによっては日光にっこうによって温度おんどが60~80℃にもたっすることがあるが、太陽たいよう電池でんちでは温度おんど上昇じょうしょうすることで出力しゅつりょく低下ていかする現象げんしょうられることがある。これは高温こうおんにおいて禁制きんせいたいはば(シリコンでは1.2eV)が減少げんしょうすることで出力しゅつりょく電圧でんあつ低下ていかするためである。エネルギーギャップおおきいアモルファスシリコン一部いちぶ化合かごうぶつけい太陽たいよう電池でんちでは電圧でんあつ低下ていか影響えいきょうすくないため、モジュールが高温こうおんになる地域ちいきでは有利ゆうりになる。一方いっぽう高温こうおんになるとひかり吸収きゅうしゅう係数けいすうおおきくなることで電流でんりゅう増加ぞうかする効果こうか発生はっせいするが、結晶けっしょうシリコンでは通常つうじょうこの効果こうかちいさい。このほか、上部じょうぶに2まい以上いじょうへんこういた回転かいてんさせて日光にっこうりょう調節ちょうせつ温度おんど抑制よくせいあるいは出力しゅつりょく調整ちょうせいをする方法ほうほうがある。

  • 温度おんど係数けいすう結晶けっしょうシリコンにおいては通常つうじょう-0.45%/℃前後ぜんこうであり、これは70℃において基準きじゅん温度おんど(25℃)にたいしてやく2わり出力しゅつりょく低下ていかになる。
  • アモルファスシリコンにおいては禁制きんせいたいはばが1.75eVとおおきいため、温度おんどによる効率こうりつ低下ていかすくない。アモルファスシリコンを結晶けっしょうシリコンとう積層せきそうすることで、変換へんかん効率こうりつたん結晶けっしょうシリコンなみの20%前後ぜんごにしつつ、温度おんど係数けいすうを-0.2~-0.3%/℃程度ていど(70℃においても1わり程度ていど出力しゅつりょく低下ていか)におさえることが出来でき内外ないがい企業きぎょうによって実用じつようされている。
  • GaAs禁制きんせいたいはば1.4eV)では温度おんど係数けいすうは-0.2~-0.3%/℃である。
  • CISけいなど一部いちぶ太陽たいよう電池でんちでは、ある程度ていど温度おんどがることでひかり放射線ほうしゃせんによる劣化れっかがアニーリング効果こうかによって回復かいふくする性質せいしつがある。
  • 人工じんこう衛星えいせいようなど宇宙うちゅうよう太陽たいよう電池でんちモジュールでは、使用しよう温度おんどが-100℃~+120℃程度ていど範囲はんい軌道きどう周回しゅうかいともなって頻繁ひんぱん変化へんかするのに対応たいおうして、ねつサイクルによる疲労ひろうなどに配慮はいりょした製品せいひんもちいられる。

アモルファスシリコンのひかり劣化れっか

アモルファスシリコンつよひかり照射しょうしゃによってシリコンダングリングボンド増加ぞうかし、しるべでんりつ劣化れっかする性質せいしつつ。これはステブラー・ロンスキー(Staebler-Wronski)効果こうかばれ、欠陥けっかん密度みつど増加ぞうかによって素子そしないでのキャリア移動いどう阻害そがいし、太陽たいよう電池でんち性能せいのう劣化れっかまねく。これにたいしては、下記かきのような対策たいさくられる。

  • アモルファスシリコンのせいまく工程こうてい改良かいりょうし、関連かんれんする不純物ふじゅんぶつ水素すいそ窒素ちっそなど)の含有がんゆうりょう最適さいてきする
  • ひかりめを利用りようしてまくあつうすくする。これによってそらとぼしそうない電場でんじょうおおきくなり、キャリアの移動いどう阻害そがいされにくくなる。
  • 接合せつごうしてひかり利用りよう効率こうりつたかめるとともに、個々ここそらとぼしそううすくする。
  • 紫外線しがいせんとく問題もんだいになる場合ばあいは、モジュールの保護ほごそう(ガラスやEVA樹脂じゅし)で遮断しゃだんする。

こうした対策たいさく技術ぎじゅつ開発かいはつにより、現在げんざい屋外おくがいようにも長寿ちょうじゅいのちのものが実用じつようされている。

なお、ひかり照射しょうしゃによって増加ぞうかした欠陥けっかん密度みつどは、ひかり照射しょうしゃつづくと飽和ほうわする。また、ねつくわわることで時間じかんとも減少げんしょうする[48]一般いっぱん屋外おくがいよう製品せいひんにおいては、使用しよう開始かいし性能せいのうかず% - 10すう%程度ていど低下ていかする現象げんしょう初期しょき劣化れっか)がられるが、その安定あんていする。カタログ性能せいのうには初期しょき劣化れっかもちいられる。

薄膜うすまく太陽たいよう電池でんち

従来じゅうらい太陽たいよう電池でんちたん結晶けっしょう結晶けっしょう、あるいはシリコンや化合かごうぶつけい半導体はんどうたいわずインゴットからワイヤソーとうしていたため、材料ざいりょう無駄むだすくなくなかった。そのため、毛細管もうさいかん現象げんしょう利用りようして坩堝るつぼから帯状おびじょうのシリコンをげたりアモルファス半導体はんどうたいやCISけい半導体はんどうたいとう薄膜うすまく太陽たいよう電池でんち開発かいはつおこなわれてきた。近年きんねんでは基板きばんじょう結晶けっしょう成長せいちょうさせてがす方法ほうほう実用じつよういきたっしつつある。従来じゅうらい変換へんかん効率こうりつにおいて従来じゅうらい製法せいほうによるもの比較ひかくしておとるものがすくなくなかったが、近年きんねんはプロセスの改良かいりょうにより改善かいぜんされつつある。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
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外部がいぶリンク

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解説かいせつサイト
関連かんれん団体だんたい