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会社分割 - Wikipedia

会社かいしゃ分割ぶんかつ

既存きそん会社かいしゃ既存きそん会社かいしゃまたは新設しんせつする会社かいしゃ分割ぶんかつするもの
新設しんせつ分割ぶんかつから転送てんそう

会社かいしゃ分割ぶんかつ(かいしゃぶんかつ)とは、企業きぎょう組織そしき再編さいへん手法しゅほうひとつで、既存きそん会社かいしゃ分割ぶんかつ会社かいしゃ)を既存きそん会社かいしゃ承継しょうけい会社かいしゃ)または新設しんせつする会社かいしゃ設立せつりつ会社かいしゃ)に分割ぶんかつするもの。

大陸たいりくほうけい諸国しょこくには同様どうよう制度せいどゆうしているくにおお[1]

概要がいよう

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会社かいしゃ分割ぶんかつは、企業きぎょう採算さいさん部門ぶもんはなしや、ことなる企業きぎょうどういち部門ぶもんをおたがいに分離ぶんり統合とうごうスケールメリットをもとめる場合ばあい、あるいは持株もちかぶ会社かいしゃさいなどにおこなわれ、法人ほうじん事業じぎょう部門ぶもん全部ぜんぶまた一部いちぶを、既存きそん法人ほうじん新設しんせつ法人ほうじん移転いてんすることとなる。

会社かいしゃ分割ぶんかつ種類しゅるい

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吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ新設しんせつ分割ぶんかつ

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吸収きゅうしゅう分割ぶんかつとは、既存きそん会社かいしゃが、その事業じぎょうかんしてゆうする権利けんり義務ぎむ全部ぜんぶまた一部いちぶ分割ぶんかつして既存きそん会社かいしゃ承継しょうけいさせる会社かいしゃ分割ぶんかつをいう。

新設しんせつ分割ぶんかつとは、既存きそん会社かいしゃが、その事業じぎょうかんしてゆうする権利けんり義務ぎむ全部ぜんぶまた一部いちぶ分割ぶんかつにより設立せつりつする会社かいしゃ承継しょうけいさせる会社かいしゃ分割ぶんかつをいう。

物的ぶってき分割ぶんかつ人的じんてき分割ぶんかつ

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物的ぶってき分割ぶんかつとは、分割ぶんかつ会社かいしゃたいして承継しょうけい会社かいしゃ設立せつりつ会社かいしゃから対価たいか交付こうふされる会社かいしゃ分割ぶんかつをいう[2]

人的じんてき分割ぶんかつとは、分割ぶんかつ会社かいしゃ株主かぶぬし社員しゃいんたいして承継しょうけい会社かいしゃ設立せつりつ会社かいしゃから対価たいか交付こうふされる会社かいしゃ分割ぶんかつをいう[2]

物的ぶってき分割ぶんかつ人的じんてき分割ぶんかつ混合こんごう形態けいたいとしてちゅうあいだがた分割ぶんかつがある[2]。なお、分割ぶんかつ会社かいしゃ分割ぶんかつ解散かいさんする消滅しょうめつ分割ぶんかつ採用さいようしているくにもある[1]

これらの会社かいしゃ分割ぶんかつ形態けいたいはすべてのくに存在そんざいするわけではない。2006ねん平成へいせい18ねん改正かいせいまえ日本にっぽん商法しょうほうでは物的ぶってき分割ぶんかつ人的じんてき分割ぶんかつみとめられていたが、2006ねん平成へいせい18ねん)5がつ1にち施行しこう会社かいしゃほう会社かいしゃ分割ぶんかつ制度せいどでは、物的ぶってき分割ぶんかつのみを規定きていしている[2]。なお、日本にっぽん会社かいしゃほうでも全部ぜんぶ取得しゅとく条項じょうこうづけ種類しゅるい株式かぶしき取得しゅとく剰余じょうよきん配当はいとうわせることで人的じんてき分割ぶんかつ同様どうよう結果けっかしょうじさせることができる[2]

単独たんどく分割ぶんかつ共同きょうどう分割ぶんかつ

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単独たんどく分割ぶんかつとは、分割ぶんかつ会社かいしゃいちしゃのみである会社かいしゃ分割ぶんかつをいう[3]共同きょうどう分割ぶんかつとは、分割ぶんかつ会社かいしゃしゃ以上いじょうによって共同きょうどうおこなわれる会社かいしゃ分割ぶんかつをいう[3]

交付こうふきん分割ぶんかつ

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交付こうふきん分割ぶんかつとは、承継しょうけい会社かいしゃからの分割ぶんかつ対価たいかとして金銭きんせんのみが交付こうふされるものをいう[3]

三角さんかく分割ぶんかつ

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三角さんかく分割ぶんかつとは、承継しょうけい会社かいしゃからの分割ぶんかつ対価たいかとして親会社おやがいしゃ株式かぶしき交付こうふされるものをいう[3]

対価たいか分割ぶんかつ

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対価たいか分割ぶんかつとは、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつのうち、分割ぶんかつ会社かいしゃたいして事業じぎょう全部ぜんぶまたは一部いちぶたいする金銭きんせんとう交付こうふされないものをいう[4]

EU加盟かめいこくにおける会社かいしゃ分割ぶんかつ

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1982ねん欧州おうしゅう連合れんごう(EU)による「物的ぶってき会社かいしゃ会社かいしゃ分割ぶんかつかんするだい6指令しれい」では、消滅しょうめつ分割ぶんかつ人的じんてき分割ぶんかつのみが規定きていされており、物的ぶってき分割ぶんかつ規定きていされていない[5]。ただし、具体ぐたいてき法律ほうりつ各国かっこくゆだねられている。

フランスにおける会社かいしゃ分割ぶんかつ

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フランスほうには物的ぶってき分割ぶんかつ制度せいどとして会社かいしゃ部分ぶぶん分離ぶんり制度せいどがある[1]。また、会社かいしゃ分割ぶんかつとともに従来じゅうらい分割ぶんかつ会社かいしゃ解散かいさんする消滅しょうめつ分割ぶんかつ制度せいど採用さいようされている[1]

ドイツにおける会社かいしゃ分割ぶんかつ

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ドイツほうには物的ぶってき分割ぶんかつ制度せいどとして会社かいしゃ分離ぶんり制度せいどがある[1]

日本にっぽんにおける会社かいしゃ分割ぶんかつ

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日本にっぽんでは2001ねん平成へいせい13ねん4がつ1にち当時とうじ商法しょうほう導入どうにゅうされた。導入どうにゅう以前いぜんからあった営業えいぎょう譲渡じょうと会社かいしゃほう移行いこう事業じぎょう譲渡じょうと)と比較ひかくして、会社かいしゃ分割ぶんかつはその手法しゅほう明確めいかくになされているために、用途ようと自体じたい限定げんていてきである一方いっぽう分社ぶんしゃさいしての透明とうめいせいたかいうえに手続てつづきが簡素かんそである。それゆえ、会社かいしゃ分割ぶんかつ制度せいど導入どうにゅう以後いご分社ぶんしゃでは、会社かいしゃ分割ぶんかつもちいられるケースがおおい。

商法しょうほうでは物的ぶってき分割ぶんかつ人的じんてき分割ぶんかつみとめていたが、2006ねん平成へいせい18ねん)5がつ1にち施行しこう会社かいしゃほうでは人的じんてき分割ぶんかつ会社かいしゃほううえ会社かいしゃ分割ぶんかつ対象たいしょうからはずし、物的ぶってき分割ぶんかつのみを規定きていしている[6]人的じんてき分割ぶんかつ同様どうよう結果けっかしょうじさせるには、会社かいしゃ分割ぶんかつ同時どうじ全部ぜんぶ取得しゅとく条項じょうこうづけ種類しゅるい株式かぶしき取得しゅとく対価たいか剰余じょうよきん配当はいとうとして承継しょうけい会社かいしゃ設立せつりつ会社かいしゃ株式かぶしき交付こうふすることによって実現じつげんできる[6]。なお、日本にっぽん会社かいしゃほうでは消滅しょうめつ分割ぶんかつ規定きていされていない[6]

吸収きゅうしゅう分割ぶんかつとは株式会社かぶしきがいしゃまた合同ごうどう会社かいしゃがその事業じぎょうかんしてゆうする権利けんり義務ぎむ全部ぜんぶまた一部いちぶ分割ぶんかつ会社かいしゃ承継しょうけいさせることをいう(会社かいしゃほう2じょう 29ごう)。新設しんせつ分割ぶんかつとはいちまた以上いじょう株式会社かぶしきがいしゃまた合同ごうどう会社かいしゃがその事業じぎょうかんしてゆうする権利けんり義務ぎむ全部ぜんぶまた一部いちぶ分割ぶんかつにより設立せつりつする会社かいしゃ承継しょうけいさせることをいう(会社かいしゃほう2じょう 30ごう)。

吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ手続てつづき

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契約けいやく

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吸収きゅうしゅう分割ぶんかつをする会社かいしゃは、当該とうがい会社かいしゃがその事業じぎょうかんしてゆうする権利けんり義務ぎむ全部ぜんぶまた一部いちぶ当該とうがい会社かいしゃから承継しょうけいする会社かいしゃとのあいだで、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ契約けいやく締結ていけつしなければならない(会社かいしゃほう757じょう)。

承認しょうにん

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原則げんそくとして、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ株式会社かぶしきがいしゃは、効力こうりょく発生はっせい前日ぜんじつまでに、株主かぶぬし総会そうかい決議けつぎによって、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ契約けいやく承認しょうにんけなければならない(会社かいしゃほう783じょう1こう)。その株主かぶぬし総会そうかい決議けつぎは、当該とうがい株主かぶぬし総会そうかいにおいて議決ぎけつけん行使こうしすることができる株主かぶぬし議決ぎけつけん過半数かはんすうさんぶんいち以上いじょう割合わりあい定款ていかんさだめた場合ばあいにあっては、その割合わりあい以上いじょう)をゆうする株主かぶぬし出席しゅっせきし、出席しゅっせきした当該とうがい株主かぶぬし議決ぎけつけんさんぶん(これを上回うわまわ割合わりあい定款ていかんさだめた場合ばあいにあっては、その割合わりあい以上いじょうたる多数たすうをもっておこなわなければならない(会社かいしゃほう309じょう2こう12ごう)。

吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ株式会社かぶしきがいしゃ債権さいけんしゃは、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ契約けいやく取決とりきめにより、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ株式会社かぶしきがいしゃたいして債務さいむ履行りこう請求せいきゅうすることができない場合ばあいは、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ株式会社かぶしきがいしゃたいし、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつについて異議いぎべることができる。

原則げんそくとして、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ承継しょうけい株式会社かぶしきがいしゃは、効力こうりょく発生はっせい前日ぜんじつまでに、株主かぶぬし総会そうかい決議けつぎによって、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ契約けいやく承認しょうにんけなければならない(会社かいしゃほう795じょう1こう)。その株主かぶぬし総会そうかい決議けつぎは、当該とうがい株主かぶぬし総会そうかいにおいて議決ぎけつけん行使こうしすることができる株主かぶぬし議決ぎけつけん過半数かはんすうさんぶんいち以上いじょう割合わりあい定款ていかんさだめた場合ばあいにあっては、その割合わりあい以上いじょう)をゆうする株主かぶぬし出席しゅっせきし、出席しゅっせきした当該とうがい株主かぶぬし議決ぎけつけんさんぶん(これを上回うわまわ割合わりあい定款ていかんさだめた場合ばあいにあっては、その割合わりあい以上いじょうたる多数たすうをもっておこなわなければならない(会社かいしゃほう309じょう2こう12ごう)。

  • 吸収きゅうしゅう分割ぶんかつまた株式かぶしき交換こうかんかんする書面しょめんとうの備およ閲覧えつらんとう(会社かいしゃほう791じょう)
  • 吸収きゅうしゅう分割ぶんかつかんする書面しょめんとうの備およ閲覧えつらんとう会社かいしゃほう794じょう

吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ承継しょうけい株式会社かぶしきがいしゃ株主かぶぬしおよ債権さいけんしゃは、請求せいきゅうすることが出来できる。

吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ承継しょうけい株式会社かぶしきがいしゃ債権さいけんしゃは、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ承継しょうけい株式会社かぶしきがいしゃたいし、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつについて異議いぎべることができる。

なお、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつのうち、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ契約けいやくにおいて758じょうだいはちごうまただい760じょうだいななごうかかげる事項じこうさだめたものであって、吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ会社かいしゃ当該とうがい事項じこうについてのさだめにしたが吸収きゅうしゅうがた再編さいへん対価たいか全部ぜんぶ当該とうがい吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ会社かいしゃ株主かぶぬしたいして交付こうふするものを分割ぶんかつがた吸収きゅうしゅう分割ぶんかつという(会社かいしゃ計算けいさん規則きそくだい2じょう)。

新設しんせつ分割ぶんかつ手続てつづき

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計画けいかく

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新設しんせつ分割ぶんかつをする会社かいしゃは、新設しんせつ分割ぶんかつ計画けいかく作成さくせいしなければならない(会社かいしゃほう762じょう)。

承認しょうにん

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新設しんせつ分割ぶんかつ株式会社かぶしきがいしゃは、株主かぶぬし総会そうかい決議けつぎによって、新設しんせつ分割ぶんかつ計画けいかく承認しょうにんけなければならない(会社かいしゃほう804じょう1こう)。その株主かぶぬし総会そうかい決議けつぎは、当該とうがい株主かぶぬし総会そうかいにおいて議決ぎけつけん行使こうしすることができる株主かぶぬし議決ぎけつけん過半数かはんすうさんぶんいち以上いじょう割合わりあい定款ていかんさだめた場合ばあいにあっては、その割合わりあい以上いじょう)をゆうする株主かぶぬし出席しゅっせきし、出席しゅっせきした当該とうがい株主かぶぬし議決ぎけつけんさんぶん(これを上回うわまわ割合わりあい定款ていかんさだめた場合ばあいにあっては、その割合わりあい以上いじょうたる多数たすうをもっておこなわなければならない(会社かいしゃほう309じょう2こう12ごう)。

新設しんせつ分割ぶんかつ株式会社かぶしきがいしゃが、公告こうこくを、官報かんぽうのほか、電子でんし公告こうこくによりするときでも、不法ふほう行為こういによってしょうじた債権さいけんしゃたいしては、かくべつ催告さいこくをすることをようする。

税務ぜいむじょう取扱とりあつか

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分割ぶんかつがた分割ぶんかつ分社ぶんしゃがた分割ぶんかつ

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税務ぜいむじょうは、人的じんてき分割ぶんかつ分割ぶんかつがた分割ぶんかつ物的ぶってき分割ぶんかつ分社ぶんしゃがた分割ぶんかつぶ。両者りょうしゃおおきな相違そういてんは、前者ぜんしゃにおいては分割ぶんかつ時点じてん分割ぶんかつ承継しょうけい法人ほうじん移転いてんする利益りえき積立つみたて金額きんがく確定かくていようするため分割ぶんかつ法人ほうじん事業じぎょう年度ねんど分断ぶんだんされるが、後者こうしゃ場合ばあい分割ぶんかつ法人ほうじん事業じぎょう年度ねんど継続けいぞくする。分割ぶんかつがた分割ぶんかつ合併がっぺいと、分社ぶんしゃがた分割ぶんかつ現物げんぶつ出資しゅっし類似るいじしている。

適格てきかく分割ぶんかつ適格てきかく分割ぶんかつ

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分割ぶんかつには、資産しさん負債ふさい移転いてんともなうが、法人ほうじん税法ぜいほうは、原則げんそくてきに、これを時価じかにより移転いてんするものとかんがえて取扱とりあつかう。これは、一般いっぱんてきには適格てきかく分割ぶんかつとよばれる。適格てきかく分割ぶんかつによりふくえきのある資産しさんたとえば、土地とち有価ゆうか証券しょうけん)が移転いてんする場合ばあいには、まず、分割ぶんかつ法人ほうじんにおいて資産しさん譲渡じょうとえき課税かぜいしょうじ、また、分割ぶんかつ法人ほうじん株主かぶぬしについてもみなし配当はいとう課税かぜい譲渡じょうとえき課税かぜいしょうじうる。

一方いっぽう移転いてん前後ぜんこう経済けいざいてき実体じったいわらないような一定いってい基準きじゅんたす分割ぶんかつは、例外れいがいてき適格てきかく分割ぶんかつばれ、移転いてん資産しさん簿による引継ひきつぎをおこなうことにより課税かぜい関係かんけいしょうじない仕組しくみがられている。

なお、適格てきかく分割ぶんかつがた分割ぶんかつのうち、分割ぶんかつ承継しょうけい法人ほうじん資産しさん負債ふさい移転いてんただちに分割ぶんかつ法人ほうじん解散かいさんするスキーム適格てきかく合併がっぺいており、これをとく合併がっぺい類似るいじ適格てきかく分割ぶんかつがた分割ぶんかつとよぶ。

会社かいしゃ分割ぶんかつ会社かいしゃほう22じょう1こう類推るいすい適用てきよう

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最高裁さいこうさいは、ゴルフじょう運営うんえい承継しょうけい会社かいしゃ会社かいしゃ分割ぶんかつさせた事案じあんで、承継しょうけい会社かいしゃ存続そんぞく会社かいしゃのゴルフクラブの名称めいしょうつづ使用しようしている場合ばあいにおいて、分割ぶんかつ契約けいやくじょう存続そんぞく会社かいしゃゴルフ会員かいいんけん預託よたくきん返還へんかん債務さいむ承継しょうけいしていないにもかかわらず、事業じぎょう譲渡じょうと商号しょうごう使用しようした譲受じょうじゅ会社かいしゃ責任せきにん規定きていした会社かいしゃほう22じょう1こう類推るいすい適用てきようし、承継しょうけい会社かいしゃ優先ゆうせん利用りようけん遅滞ちたいなく拒否きょひするなど特段とくだん事情じじょうのないかぎり、承継しょうけい会社かいしゃ預託よたくきん返還へんかん義務ぎむみとめた(さいはん平成へいせい20ねん6がつ10日とおか)。

存続そんぞく会社かいしゃ事業じぎょうをほぼ承継しょうけい会社かいしゃ承継しょうけいさせ、存続そんぞく会社かいしゃにほとんど財産ざいさんのこらないのに存続そんぞく会社かいしゃ債務さいむつづのこ場合ばあいには債権さいけんしゃ保護ほご手続てつづき対象たいしょうにならないことから、この場合ばあいに、存続そんぞく会社かいしゃ債権さいけんしゃ一定いってい救済きゅうさい余地よちあたえうるものとして注目ちゅうもくされる。

問題もんだいてん

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会社かいしゃ分割ぶんかつ制度せいど悪用あくようし、架空かくう会社かいしゃ設立せつりつしたうえ分割ぶんかつし、詐欺さぎ集団しゅうだんや、出会であけいサイトなどの犯罪はんざい組織そしき会社かいしゃ組織そしきした企業きぎょう設立せつりつさせるれいがあり、電磁でんじてき公正こうせい証書しょうしょ原本げんぽん不実ふじつ記録きろくどう供用きょうよう容疑ようぎ逮捕たいほしゃている[7][8]

米国べいこくにおける会社かいしゃ分割ぶんかつ

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米国べいこくには大陸たいりくほうけい諸国しょこくにあるような一般いっぱん承継しょうけいおこな会社かいしゃ分割ぶんかつ制度せいど存在そんざいしない[6]会社かいしゃ分割ぶんかつするときは移転いてんさき会社かいしゃたいして資産しさん負債ふさい事業じぎょう譲渡じょうとしたうえでスピンオフ、スプリットオフ、スプリットアップなどの手法しゅほうがとられる[6]

会社かいしゃ分割ぶんかつ事例じれい

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みずほ銀行ぎんこうみずほコーポレート銀行ぎんこう
会社かいしゃ分割ぶんかつ制度せいど導入どうにゅう背景はいけいには、財界ざいかいつよ要望ようぼうがあった。これは、2002ねん以降いこう第一勧業銀行だいいちかんぎょうぎんこう富士銀行ふじぎんこう普通ふつう銀行ぎんこう)・日本興業銀行にほんこうぎょうぎんこう長期ちょうき信用しんよう銀行ぎんこう)をみずほ銀行ぎんこう・みずほコーポレート銀行ぎんこう再編さいへんするにあたり、その規模きぼおよび社会しゃかいてき影響えいきょうから、事業じぎょう譲渡じょうとよりも会社かいしゃ分割ぶんかつおこなうほうがのぞましいと判断はんだんされたことによる。くわえて、当時とうじ法律ほうりつじょう普通ふつう銀行ぎんこう同士どうし、あるいは長期ちょうき信用しんよう銀行ぎんこう同士どうしでの合併がっぺい会社かいしゃ分割ぶんかつ事業じぎょう譲渡じょうと可能かのうではあったが、第一勧銀だいいちかんぎん富士ふじ興銀こうぎん場合ばあい合併がっぺい可能かのうだが、会社かいしゃ分割ぶんかつ事業じぎょう譲渡じょうと不可能ふかのうであったため、以下いかのスキームで再編さいへんがなされている。
まず、2002ねん1がつ8にちづけで「みずほ統合とうごう準備じゅんび銀行ぎんこう」という長期ちょうき信用しんよう銀行ぎんこう設立せつりつして免許めんきょ取得しゅとく興銀こうぎんはコンシューマーバンキング業務ぎょうむ統合とうごう準備じゅんびぎん吸収きゅうしゅう分割ぶんかつさせ、コーポレートバンキング業務ぎょうむのみとなる。統合とうごう準備じゅんびぎんは、免許めんきょこそ長期ちょうき信用しんよう銀行ぎんこうあつかいだが、あつか業務ぎょうむはコンシューマーバンキングのみであるから、実体じったい普通ふつう銀行ぎんこうである。
同年どうねん4がつ1にち第一勧銀だいいちかんぎんがコーポレートバンキング業務ぎょうむ富士ふじに、富士ふじのコンシューマーバンキング業務ぎょうむ第一勧銀だいいちかんぎん事業じぎょう交換こうかんするかたち吸収きゅうしゅう分割ぶんかつ第一勧銀だいいちかんぎん統合とうごう準備じゅんびぎん吸収きゅうしゅう合併がっぺいして「みずほ銀行ぎんこう」、富士ふじ興銀こうぎん吸収きゅうしゅう合併がっぺいして「みずほコーポレート銀行ぎんこう」にそれぞれ商号しょうごう変更へんこう、コンシューマーとコーポレートの機能きのうべつレフ体制たいせいはじまった。
2013ねん7がつ1にちづけで、みずほコーポレート銀行ぎんこうがみずほ銀行ぎんこう吸収きゅうしゅう合併がっぺいあらたに「みずほ銀行ぎんこう」となり、機能きのうべつレフ体制たいせいわりをげた。みずほコーポレートぎん存続そんぞく会社かいしゃとなるため、きゅう富士ふじぎん法人ほうじんかく以降いこうのみずほ銀行ぎんこう継承けいしょうするかたちとなった。
モビット
実質じっしつてき経営けいえいけん移動いどうともない、2013ねんまつごろ公式こうしき発表はっぴょう、2014ねん2がつ実施じっし。カードローン事業じぎょう譲受じょうじゅさきである三菱みつびし東京とうきょうUFJ銀行ぎんこうどう部門ぶもん統廃合とうはいごう実施じっししんブランド「バンクイック(BANQUICK)」としてさい出発しゅっぱつ
安田信託銀行やすだしんたくぎんこう
1990年代ねんだい後半こうはん経営けいえい危機ききおちいった安田信託銀行やすだしんたくぎんこうは、1999ねん収益しゅうえきせいたか法人ほうじん部門ぶもん年金ねんきん部門ぶもんなどを分割ぶんかつして、だいいち勧業かんぎょう富士ふじ信託しんたく銀行ぎんこう営業えいぎょう譲渡じょうとした。
なお、その再編さいへんともなって、2003ねんにみずほグループの信託しんたく分野ぶんやはすべて統合とうごうされ、みずほ信託しんたく銀行ぎんこう名実めいじつども一本いっぽんされている(法人ほうじんかくじょうは、安田信託銀行やすだしんたくぎんこうから改称かいしょうしたみずほアセット信託しんたく銀行ぎんこうが、きゅうみずほ信託しんたく銀行ぎんこう吸収きゅうしゅう合併がっぺいして改称かいしょう)。
岩田屋いわたや三越みつこし
2010ねん実施じっし詳細しょうさいこちら参照さんしょう
あさひ銀行ぎんこう
協和きょうわ銀行ぎんこう埼玉さいたま銀行ぎんこう合併がっぺい協和きょうわ埼玉さいたま銀行ぎんこう誕生たんじょう、さらにくだりめいあさひ銀行ぎんこう変更へんこうしたが、あさひは会社かいしゃ分割ぶんかつきゅう埼玉さいたまして埼玉さいたまりそな銀行ぎんこう設立せつりつのこったあさひ(=実質じっしつてきには協和きょうわ)がりそな銀行ぎんこう統合とうごうした。
新日鉄しんにってつ興和不動産こうわふどうさん
きゅう会社かいしゃ興銀こうぎん不動産ふどうさんが2003ねん実施じっしきゅう会社かいしゃ清算せいさん会社かいしゃ移行いこうされ解散かいさん2007ねん存続そんぞく会社かいしゃきゅう新日鉄しんにってつ都市とし開発かいはつによりきゅう日鉄鋼管にってつこうかん不動産ふどうさん事業じぎょう分割ぶんかつ移譲いじょうでも同様どうよう手法しゅほう実施じっし
アルナ工機あるなこうき
阪急電鉄はんきゅうでんてつきゅうしゃげん阪急はんきゅう阪神はんしんホールディングス)を母体ぼたいとして設立せつりつした車両しゃりょうけいメーカー。2002ねん実施じっしした会社かいしゃ分割ぶんかつでは車両しゃりょう部門ぶもんアルナ車両しゃりょう(グループ残留ざんりゅう)、輸送ゆそう機器きき用品ようひん部門ぶもんアルナ輸送ゆそう部品ぶひん(のち川崎重工かわさきじゅうこうけいに)、特殊とくしゅ車両しゃりょう(アルミバン)部門ぶもんアルナ矢野やの特車とくしゃ同業どうぎょう中堅ちゅうけん矢野やの特殊とくしゅ自動車じどうしゃ売却ばいきゃく)の3しゃにそれぞれ解体かいたいした。
ペティオ
2016ねん母体ぼたい企業きぎょうヤマヒサ住宅じゅうたく設備せつび用品ようひんメーカー)がきゅうペットケア事業じぎょう分社ぶんしゃなお、このことにともな減資げんし実施じっし
コミックス・ウェーブ
2006年度ねんどまつMBOともな会社かいしゃ分割ぶんかつ実施じっしだい会社かいしゃとして新設しんせつされた企業きぎょうに、新海しんかいまこと参加さんかしたアニメけいコンテンツ制作せいさく会社かいしゃであるげんコミックス・ウェーブ・フィルムや、アダルトゲームブランド『minori』がある。
アートコーヒー
2008ねんごろ経営けいえい危機ききに、窓口まどぐち商社しょうしゃ三菱商事みつびししょうじ支援しえんけ、会社かいしゃ分割ぶんかつ実施じっし。その創業そうぎょう翌々年よくよくねん参入さんにゅうした喫茶店きっさてん事業じぎょうをアートカフェとして分社ぶんしゃゼンショーグループ身売みうり。
ブルーハイウェイライン
2000ねん大阪おおさか-志布志しぶしフェリー航路こうろ事業じぎょうブルーハイウェイライン西日本にしにほんに、2001ねん大洗おおあらい-苫小牧とまこまいフェリー航路こうろ事業じぎょう貨物かもつせん事業じぎょう商船しょうせん三井みついフェリーに分社ぶんしゃのこ東京とうきょう-那智勝浦なちかつうら-高知こうち航路こうろを2001ねん10がつ廃止はいし清算せいさんされた。
その2023ねんには商船しょうせん三井みついフェリーがブルーハイウェイライン西日本にしにほん後身こうしんとなるフェリーさんふらわあ合併がっぺいし「商船しょうせん三井みついさんふらわあ」としてさい統合とうごうしている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e 森本もりもとしげる へん会社かいしゃほうコンメンタール 17 組織そしき変更へんこう合併がっぺい会社かいしゃ分割ぶんかつ株式かぶしき交換こうかんとう(1)』商事しょうじ法務ほうむ、2010ねん、238ぺーじ
  2. ^ a b c d e 森本もりもとしげる へん会社かいしゃほうコンメンタール 17 組織そしき変更へんこう合併がっぺい会社かいしゃ分割ぶんかつ株式かぶしき交換こうかんとう(1)』商事しょうじ法務ほうむ、2010ねん、241ぺーじ
  3. ^ a b c d 森本もりもとしげる へん会社かいしゃほうコンメンタール 17 組織そしき変更へんこう合併がっぺい会社かいしゃ分割ぶんかつ株式かぶしき交換こうかんとう(1)』商事しょうじ法務ほうむ、2010ねん、243ぺーじ
  4. ^ 森本もりもとしげる へん会社かいしゃほうコンメンタール 17 組織そしき変更へんこう合併がっぺい会社かいしゃ分割ぶんかつ株式かぶしき交換こうかんとう(1)』商事しょうじ法務ほうむ、2010ねん、244ぺーじ
  5. ^ 森本もりもとしげる へん会社かいしゃほうコンメンタール 17 組織そしき変更へんこう合併がっぺい会社かいしゃ分割ぶんかつ株式かぶしき交換こうかんとう(1)』商事しょうじ法務ほうむ、2010ねん、238-239ぺーじ
  6. ^ a b c d e 森本もりもとしげる へん会社かいしゃほうコンメンタール 17 組織そしき変更へんこう合併がっぺい会社かいしゃ分割ぶんかつ株式かぶしき交換こうかんとう(1)』商事しょうじ法務ほうむ、2010ねん、239ぺーじ
  7. ^ 会社かいしゃ分割ぶんかつ:制度せいど悪用あくよう架空かくう会社かいしゃ 広島ひろしま県警けんけい容疑ようぎおとこ逮捕たいほ 200しゃ以上いじょう売却ばいきゃく 毎日新聞まいにちしんぶん 2013ねん2がつ25にち
  8. ^ 会社かいしゃ分割ぶんかつ制度せいど悪用あくよう:架空かくう会社かいしゃ22しゃ犯罪はんざい 毎日新聞まいにちしんぶん 2013ねん2がつ26にち

関連かんれん項目こうもく

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