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梱包爆薬 - Wikipedia

梱包こんぽう爆薬ばくやく(こんぽうばくやく)は、はこびやすいりょう爆薬ばくやくつつみ、信管しんかんをつけて使用しようする兵器へいき一般いっぱん工兵こうへい資材しざいとして、障害しょうがいぶつ破壊はかいなどにもちいられ、これでてき路上ろじょう設置せっちしたバリケード排除はいじょしたり、建造けんぞうぶつあなけて侵入しんにゅう経路けいろつくる。ときにはてき掩体ごう装甲そうこう車両しゃりょうたいする肉薄にくはく攻撃こうげきにも使用しようされる。

ワルシャワ蜂起ほうきもちいられた梱包こんぽうばくだんはこなか左上ひだりうえすみ
フィンランドのふゆ戦争せんそう投入とうにゅうされた梱包こんぽう爆薬ばくやく"カサパノス"。みぎへい火炎瓶かえんびん装備そうび

梱包こんぽう爆薬ばくやく爆破ばくは解体かいたいもちいられるが、おも戦闘せんとうでの使用しよう構想こうそうしている。梱包こんぽうされる中身なかみダイナマイトや、もっと威力いりょくのあるC-4プラスチック爆薬ばくやくのような材料ざいりょうからなり、発火はっか装置そうちつきの肩掛かたかかばん(satchel)やメッセンジャーバッグ類似るいじしたものに収納しゅうのうしてはこぶ。この梱包こんぽう爆薬ばくやくという用語ようごは、制式せいしき兵器へいきとして開発かいはつされたものと、即席そくせきつくられたものとの両方りょうほうしめ言葉ことばである。

元々もともと工兵こうへい手持てもちの爆薬ばくやく点火てんか装置そうちわせ、その情況じょうきょうおうじて制作せいさくされていた。爆薬ばくやく設置せっちして構造こうぞうぶつ破壊はかいすること自体じたい火薬かやく登場とうじょう以来いらいひろおこなわれていた。なかでもおさむしろせんにおいて、坑道こうどう塹壕ざんごうるなどして城壁じょうへきちかづいて爆破ばくはし、進入しんにゅうつくることが工兵こうへい期待きたいされた重要じゅうよう任務にんむひとつであった。当時とうじ火薬かやくいまにもましてあつかいが危険きけんもので、専門せんもんである工兵こうへいあつかった。のち信管しんかん発明はつめいされあつかいやすくなったものの、あつかいに専門せんもん技能ぎのうようするてん同様どうようであった。のち工兵こうへい以外いがいでもあつかいやすいようにパッケージされた梱包こんぽう爆薬ばくやく登場とうじょうする。一説いっせつには、ふゆ戦争せんそう前夜ぜんや1936ねんフィンランド司令しれいかんカーッロ・トゥルナによって開発かいはつされた[1]とされる。

だいいち世界せかい大戦たいせんとき戦車せんしゃ登場とうじょうしたことより、梱包こんぽう爆薬ばくやく対戦たいせんしゃ兵器へいきというあらたな使つかみちくわわった。当時とうじロケットランチャーのような兵士へいし携行けいこう可能かのう重量じゅうりょう投射とうしゃ手段しゅだん発達はったつであった。火砲かほう手押ておしでうごかすのは機動きどうせいけ、対戦たいせんしゃじゅう戦車せんしゃ乗員じょういん部品ぶひんくことは出来できても戦車せんしゃそのものを破壊はかいできなかった。

結局けっきょくてき戦車せんしゃ無力むりょくするには、危険きけんおかして肉薄にくはくし、大量たいりょう爆薬ばくやく設置せっちして爆破ばくはするのが確実かくじつであった。まずは爆薬ばくやく専門せんもんである工兵こうへいがそのにんにあたったが、それ以外いがい兵士へいしでも多少たしょう訓練くんれんあつかえる爆薬ばくやくがあれば、対戦たいせんしゃ能力のうりょくることができる。さらに肉薄にくはく攻撃こうげきてき反撃はんげきけながらおこな危険きけん任務にんむであるため、ゆっくり調整ちょうせいする余裕よゆうがなく、あらかじ適切てきせつ調整ちょうせいがされたパッケージをつくっておくことがこのましかった。このような経緯けいいから梱包こんぽう爆薬ばくやく洗練せんれんされていった。

だい世界せかい大戦たいせん

編集へんしゅう

だい世界せかい大戦たいせんでは、工兵こうへいは、巨大きょだいけられた目標もくひょうぶつたとえば鉄道てつどう障害しょうがいぶつ防塞ぼうさい掩蔽えんぺいごう洞窟どうくつ橋梁きょうりょうなどの爆破ばくは解体かいたいのために梱包こんぽう爆薬ばくやく使用しようした。大戦たいせんちゅうアメリカ陸軍りくぐんでは、8分割ぶんかつされた高性能こうせいのう爆薬ばくやくと、2つの信管しんかん器具きぐからなるM37解体かいたい機材きざいをキャンバスバッグに収納しゅうのうし、ショルダーストラップによってはこんだ。使用しようするさいには、バッグをまわして、目標もくひょうけてんだ。

この梱包こんぽう爆薬ばくやくは、一部いちぶまたは全部ぜんぶ目標もくひょう設置せっちするか、開口かいこうりこんで使用しようする。爆発ばくはつさせるには通常つうじょうならひしげなわ(りゅうじょう・信管しんかん点火てんかさせるひも)をもちい、対戦たいせんしゃ戦闘せんとうには、戦車せんしゃてんくつたいなどのそう部分ぶぶんねらうことではげしい損傷そんしょうあたえることができる。

日本にっぽんぐんは、対戦たいせんしゃ兵器へいきしつりょうともに不足ふそくしており、それをおぎなうため肉薄にくはく攻撃こうげき多用たようしていた。ノモンハン事件じけんではガソリンエンジン車両しゃりょうたいし、火炎瓶かえんびん機関きかん炎上えんじょうさせて行動こうどう不能ふのうにできたが、大戦たいせんには引火いんかしにくいディーゼルエンジン戦車せんしゃ一般いっぱんてきになり、通用つうようしなくなった。歩兵ほへいによる肉薄にくはく攻撃こうげきにはおも九九式破甲爆雷対戦たいせんしゃ地雷じらい使つかわれていたが、いずれも戦車せんしゃ完全かんぜん破壊はかいするには威力いりょく不足ふそくで、工兵こうへい梱包こんぽう爆薬ばくやく通称つうしょう布団ふとんばくだん」または「布団ふとん爆雷ばくらい」)にたよらざるをなかったが、さらに物資ぶっし欠乏けつぼうするようになると、梱包こんぽう爆薬ばくやく簡易かんいした急造きゅうぞう爆雷ばくらい使つかわれるようになった。

理想りそうてきには、肉薄にくはく攻撃こうげき火力かりょく支援しえんてき歩兵ほへい排除はいじょしたうえで、爆雷ばくらい地雷じらいながぼうさき地雷じらいけて戦車せんしゃませる「ぼう地雷じらい戦術せんじゅつ多用たようされた)でくつたい破壊はかいしてうごきをめ、しかるのち梱包こんぽう爆薬ばくやく破壊はかいするものだった。

対戦たいせんしゃ戦闘せんとうにおいて布団ふとんばくだん使用しよう方法ほうほうは、戦車せんしゃ機関きかん上面うわつら設置せっちしてから、起爆きばくまでやく10びょう猶予ゆうよがある時限じげんしき信管しんかん[2]から安全あんぜん装置そうちいて起爆きばく装置そうち作動さどうさせ、安全あんぜんけん退避たいひするということになっていた。また急造きゅうぞう爆雷ばくらい場合ばあい戦車せんしゃ底面ていめん地面じめん隙間すきまんで起爆きばくするということになっていた[注釈ちゅうしゃく 1]

しかし実際じっさいにはその余裕よゆうすらないことおおく、確実かくじつてき戦車せんしゃめるために爆薬ばくやく背負せおった兵士へいし自分じぶんもろとも戦車せんしゃ爆破ばくはする自殺じさつ攻撃こうげきおこなわれた[注釈ちゅうしゃく 2]大戦たいせん後半こうはんには日本にっぽんぐんたい戦車せんしゃほう破壊はかい困難こんなんM4ちゅう戦車せんしゃ戦場せんじょう投入とうにゅうされ、められた日本にっぽんぐん梱包こんぽう爆薬ばくやく急造きゅうぞう爆雷ばくらい)やとげ突爆かみなりによる自殺じさつ攻撃こうげき多用たようするようになる。きたるべき本土ほんど決戦けっせんでは、一般いっぱん国民こくみん国民こくみん義勇ぎゆう戦闘せんとうたい動員どういんすることとなっていたが、正規せいきぐんですら兵器へいき不足ふそく深刻しんこくになっている状態じょうたい満足まんぞく対戦たいせんしゃ兵器へいき支給しきゅうされなかった。そのため爆薬ばくやく背負せおっての自殺じさつ攻撃こうげき想定そうていされ、学徒がくとひとしにたいして訓練くんれんおこなわれたという。

アメリカぐんでは、M183解体かいたい爆薬ばくやく機材きざい(M183 Demolition Charge Assembly)にC-4爆薬ばくやく9.1kgを収納しゅうのうした。これは、時限じげんしき信管しんかん使用しようすることができる。イラク戦争せんそうにおけるだいファルージャせんでは、べいぐんてき占拠せんきょされた家屋かおくいち部屋へやずつを歩兵ほへい検索けんさく掃討そうとうするかわりに、M2 20ポンド戦闘せんとうよう爆薬ばくやく家屋かおく爆破ばくはした。

特殊とくしゅ部隊ぶたい任務にんむでは、特別とくべつ目標もくひょう破壊はかいするべくあらため設計せっけいされた梱包こんぽう爆薬ばくやく使用しようすることもある。

出典しゅってん

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  1. ^ winterwar.com” (English). 2010ねん1がつ28にち閲覧えつらん
  2. ^ 佐山さやま二郎じろう日本にっぽん陸海りくかいぐん戦車せんしゃせん光人みつひとしゃNF文庫ぶんこ、594ページ
  3. ^ 佐山さやま二郎じろう日本にっぽん陸海りくかいぐん戦車せんしゃせん光人みつひとしゃNF文庫ぶんこ、191ページ
  4. ^ アジア歴史れきし資料しりょうセンター「大本営だいほんえい陸軍りくぐんせんくん速報そくほう150ごう 比島ひじまにおける戦闘せんとう教訓きょうくん の5 昭和しょうわ20ねん2がつ9にち』」レファンスコード19010197700、10画像がぞう、8画像がぞう

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 急造きゅうぞう爆雷ばくらい起爆きばくまでの猶予ゆうよ調整ちょうせいできたが、通常つうじょうは1びょう起爆きばくするようになっており、特攻とっこう兵器へいきのように使用しようしゃ死傷ししょう前提ぜんてい使用しようされることがおおかった[3]
  2. ^ ただし、布団ふとんばくだん用法ようほうは1945ねん(昭和しょうわ20ねん)3がつ1にちづけ資料しりょうである『放送ほうそうせんくん』や同年どうねん2がつ9にちけの『せんくん速報そくほう150ごう 比島ひじまにおける戦闘せんとう教訓きょうくん の5』でも、その用法ようほう戦車せんしゃ機関きかん上部じょうぶ設置せっちして使用しようすることになっており、使用しようしゃごと戦車せんしゃ爆破ばくはするという記述きじゅつられない[4]