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M4中戦車 - Wikipedia

M4ちゅう戦車せんしゃ

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく開発かいはつしたなか戦車せんしゃ

M4ちゅう戦車せんしゃ(M4ちゅうせんしゃ、Medium Tank M4)は、だい世界せかい大戦たいせんときアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく開発かいはつ製造せいぞうされたちゅう戦車せんしゃ(30トンきゅう)。通称つうしょうシャーマン (Sherman)[ちゅう 1]たか機動きどうりょく火力かりょくほこるアメリカの代表だいひょうてき戦車せんしゃである。

M4ちゅう戦車せんしゃ シャーマン
M4A1E8
性能せいのうしょもと
車体しゃたいちょう 5.84 m (19.2 ft)
全幅ぜんぷく 2.62 m (8 ft 7 in)
ぜんこう 2.67 m (8 ft 9 in)
重量じゅうりょう 30.3 t
懸架けんか方式ほうしき VVSS(垂直すいちょく渦巻うずまきスプリングサスペンション)M4A2E8などのT84くつたい使用しようする車体しゃたいはHVSS(水平すいへい渦巻うずまきスプリングサスペンション)
速度そくど 38.6 km/h(整地せいち
19.3 km/h(整地せいち
行動こうどう距離きょり 193 km
主砲しゅほう 37.5口径こうけい75mm戦車せんしゃほうM3(90はつ
52口径こうけい76.2mm戦車せんしゃほうM1(71はつ
22.5口径こうけい105mm榴弾りゅうだんほうM4(66はつ)
ふく武装ぶそう 12.7mmじゅう機関きかんじゅうM2×1(600はつ
7.62mm機関きかんじゅうM1919×2(6,250はつ
装甲そうこう
砲塔ほうとう
  • ぼうたて88.9 mm
  • 前面ぜんめん64–76 mm
  • 側面そくめん50 mm
  • こうめん64 mm
車体しゃたい
  • 前面ぜんめん51 mm
  • 側面そくめん38–45 mm
  • こうめん38.1 mm
エンジン コンチネンタル R975 C4
4ストロークほしがた 9気筒きとう空冷くうれいガソリン
400 HP
乗員じょういん 5 めい
そう生産せいさんすう やく50,000りょう
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開発かいはつ経緯けいい

編集へんしゅう

だい世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつした1939ねんアメリカ陸軍りくぐん戦車せんしゃ保有ほゆうすうすくなく、唯一ゆいいつなか戦車せんしゃM2ちゅう戦車せんしゃ時代遅じだいおくれで、陸上りくじょう戦力せんりょくには不安ふあんがあった。これは、アメリカヨーロッパから大西おおにしひろしへだてていたことや、当初とうしょ中立ちゅうりつてき立場たちば孤立こりつ主義しゅぎ)をっていたことにも起因きいんするが、ナチス・ドイツにより欧州おうしゅう連合れんごうこく次々つぎつぎ陥落かんらくし、さらに東南とうなんアジア進出しんしゅつした日本にっぽんとの関係かんけい悪化あっかなどから、1940ねんころには連合れんごう各国かっこくへのレンドリースほう適用てきようした支援しえんやアメリカ自身じしん参戦さんせんそなえて、ぜん周旋しゅうせんかい砲塔ほうとう大型おおがたほう搭載とうさいした戦車せんしゃ必要ひつよう認識にんしきされた。しかし、当時とうじのアメリカではだい直径ちょっけい砲塔ほうとうリングを量産りょうさんできる体制たいせいがなかったことから、M4が開発かいはつされるまでのつなぎとして車体しゃたいに75mmほう搭載とうさいM3ちゅう戦車せんしゃ(25トンきゅう)が先行せんこう生産せいさんされた。

その、M3のシャーシをベースに75mmほう搭載とうさいした大型おおがた砲塔ほうとうしん戦車せんしゃT6の開発かいはつ同時どうじに、航空こうくう自動車じどうしゃ産業さんぎょう中心ちゅうしん生産せいさん体制たいせい整備せいびきゅうピッチでおこなわれた。1941ねん10月にM4ちゅう戦車せんしゃとして制式せいしき採用さいようされたが、鋳造ちゅうぞう生産せいさん能力のうりょく不足ふそくからT6とおな鋳造ちゅうぞう一体いったい構造こうぞう上部じょうぶ車体しゃたいつM4A1と鋼板こうはん溶接ようせつ車体しゃたいのM4とが同時どうじ量産りょうさんされることになり、M4A1はアメリカ参戦さんせん直後ちょくご1942ねん2がつから量産りょうさん開始かいしされ、M4は1942ねん7がつから量産りょうさん開始かいしされた。

車体しゃたい構成こうせい

編集へんしゅう
 
M4A1、A2、A3 かくかた外観がいかんちが

車体しゃたい前部ぜんぶ左右さゆうせい操縦そうじゅうせきふく操縦そうじゅうせきけん前方ぜんぽう機関きかんじゅうもうけられている。砲塔ほうとううちにはくるまちょう砲手ほうしゅ装填そうてんしゅの3めい搭乗とうじょう砲塔ほうとう上面うわつらハッチはくるまちょうようのみ設置せっちされたが、左側ひだりがわ砲手ほうしゅ装填そうてんしゅようハッチが追加ついかされ、くるまちょうようハッチは防弾ぼうだんまどキューポラ発展はってんした。左側ひだりがわめんもうけられたたい歩兵ほへい射撃しゃげきよう開閉かいへいしきガンポート防御ぼうぎょりょく向上こうじょうのために一時いちじ廃止はいしされたが、弾薬だんやく搬入はんにゅう薬莢やっきょう搬出はんしゅつ便利べんりだったことから短期間たんきかん復活ふっかつしている。車体しゃたい下部かぶには脱出だっしゅつハッチがもうけられている。

くつたいは、ちょん金属きんぞくせいものゴムブロックをふくものとに大別たいべつされ、さらにすべめパターンの形状けいじょうちがいなどでおおくの種類しゅるいがある。 接地せっちあつは76㎜ほう搭載とうさいがた場合ばあい従来じゅうらいの42㎝はばくつたいであれば1.04㎏/㎠とたかく、砂地すなじ湿地しっちなどの軟弱なんじゃく地形ちけいでの移動いどうなんがあったが、新型しんがたサスペンションのHVSSがた後述こうじゅつ)にあらためたうえ、 くつたいも58.4㎝はばかわそうしたことで0.77㎏/㎠に改善かいぜんされた[1]

初期しょき圧延あつえん装甲そうこう溶接ようせつ車体しゃたい前面ぜんめん避弾けいはじめ考慮こうりょして(垂直すいちょくせんから)56傾斜けいしゃけられ、操縦そうじゅうせきふく操縦そうじゅうせき部分ぶぶん前方ぜんぽうした構造こうぞうになっていたが、のち生産せいさんせい向上こうじょう車内しゃない容積ようせき増加ぞうか(76mm砲塔ほうとう湿式しっしき弾薬だんやく搭載とうさいのため)などの目的もくてきで、(垂直すいちょくせんから)傾斜けいしゃかく47いちまいいた変更へんこうされており、あわせてA1の鋳造ちゅうぞう車体しゃたいふくめて操縦そうじゅうようハッチの大型おおがたおこなわれた。これらは一般いっぱんてきに「前期ぜんきがた」「後期こうきがた」とばれているが、これらの改良かいりょうかく生産せいさん拠点きょてんによる差異さい現地げんち改修かいしゅうなどにより千差万別せんさばんべつであり、車体しゃたい分類ぶんるいなども後世こうせい研究けんきゅうによるものでさだまっていない。

  • [1] - (垂直すいちょくせんから)56傾斜けいしゃ装甲そうこう
  • [2] - (垂直すいちょくせんから)47傾斜けいしゃ装甲そうこう

ほうは75㎜ほう搭載とうさいがた場合ばあいは、回転かいてんぼうだてともばれる搭載とうさいほうおおせ俯角ふかくほう一緒いっしょうご外装がいそうぼうだてと、砲塔ほうとう固定こていされる内装ないそうぼうだてからなっており、それぞれが湾曲わんきょくかさなりっていた。外装がいそうぼうだては88.9㎜の装甲そうこうあつがあり、内装ないそうぼうだては38.1㎜のあつみがあった[2]

車体しゃたい(M4A4)
 
後部こうぶ誘導ゆうどうとVVSS

後部こうぶのエンジンからドライブシャフトさい前部ぜんぶ変速へんそく動力どうりょくつたえる、M3を踏襲とうしゅうした前輪ぜんりん駆動くどう型式けいしき採用さいようし、航空機こうくうきようであるほしがたエンジン使用しよう前提ぜんていとした設計せっけいのために、エンジンデッキとドライブシャフトの位置いちたかくなっている[ちゅう 2]

サスペンションは、前期ぜんきがたではM3とどう形式けいしきのVVSS[ちゅう 3]採用さいようされたが、強化きょうか対策たいさくによる重量じゅうりょう増加ぞうか対応たいおうするため、後期こうきがたではより耐久たいきゅうせいたかいHVSS[ちゅう 4]採用さいようされた。

無線むせん砲塔ほうとう後部こうぶしにおさめられていたが、送信そうしん受信じゅしん両方りょうほうそなえていたのは指揮しきかんよう戦車せんしゃなど全体ぜんたいよんわりにすぎず、受信じゅしんのみであった。全車ぜんしゃ送信そうしん完備かんびするようになったのは1944ねん後半こうはんになってからであった。

 
1945ねん4がつ18にち、ドイツのライプツィヒ市街しがいせん被弾ひだん炎上えんじょうするM4(75)。主砲しゅほうぼうたて初期しょきはばせまかたのまま、車体しゃたい側面そくめん弾薬だんやく補助ほじょ装甲そうこうと、砲塔ほうとうのスタビライザー搭載とうさい肉薄にくはくになった部分ぶぶん補助ほじょ装甲そうこう確認かくにんできる。また車体しゃたいじょうには増加ぞうか装甲そうこうわりの土嚢どのうまれている。

主砲しゅほう当初とうしょ75mm戦車せんしゃほうM3(M61だん初速しょそく619m/s)と105mm榴弾りゅうだんほうM4(M67だん初速しょそく381m/s)の搭載とうさい構想こうそうされていたが生産せいさん簡略かんりゃくため75mm戦車せんしゃほうM3のみにしぼられ、105mm榴弾りゅうだんほう搭載とうさい後回あとまわしにされている[3]

いで76mm戦車せんしゃほうM1口径こうけい3インチ=76.2mm、M62だん初速しょそく792m/s)を搭載とうさいした車輌しゃりょう生産せいさんされた。開発かいはつ自体じたいは1942ねんからおこなわれていたが、実戦じっせん配備はいびは1944ねんになってからであった。76.2mmほうは75mmほうくらべて装甲そうこう貫徹かんてつりょくすぐれていたが、砲弾ほうだんなが搭載とうさいすうすくなくなったこと(71はつ)、発射はっしゃ砲煙ほうえんおおいこと、榴弾りゅうだん炸薬さくやくりょうが75mmほうよりすくないなどの欠点けってんもあることから、それぞれのほう搭載とうさいした車輌しゃりょう並行へいこう生産せいさんされた。大型おおがたした76.2mmよう砲塔ほうとうは、75mmよう砲塔ほうとう共通きょうつう砲塔ほうとうリングであるが、前期ぜんきがた車体しゃたいでは搭載とうさいスペースが不十分ふじゅうぶんなため、前面ぜんめん装甲そうこうばん一体いったいなどで車内しゃない容積ようせきえた後期こうき改良かいりょうがた車体しゃたいにのみせられていた。砲身ほうしんふくむと全長ぜんちょうが7.47メートルとなる。

当初とうしょ、75mmほうがた平行へいこうして生産せいさんすることを構想こうそうされていた105mmほうがたは、生産せいさん簡略かんりゃくおよほう不具合ふぐあいなどの理由りゆうにより、その生産せいさん開始かいしは1944ねんとなった。この搭載とうさいされた105mmほうは、105mm榴弾りゅうだんほうM2を車載しゃさいよう改造かいぞうしたものであり、105mm榴弾りゅうだんほうM4とばれた。使用しよう弾薬だんやくには、榴弾りゅうだんであるM1や発煙はつえんだんのM84のほか対戦たいせんしゃ戦闘せんとうよう成形せいけい炸薬さくやくだんのM67などがある。(この成形せいけい炸薬さくやくだん距離きょりにかかわらず、やく100mmの垂直すいちょく装甲そうこうばん貫通かんつうする性能せいのうがあった)このタイプの欠点けってんとして、弾薬だんやくのサイズが車内しゃないひろさにたい少々しょうしょう過大かだい気味ぎみであり、装弾そうだんすうも76.2mmほう搭載とうさいがたよりもすくなかった。

イギリスぐんでは75mmほう搭載とうさいがた記号きごう、76.2mmほうがたをA、105mmほうがたをB、17ポンドほうがたをCと分類ぶんるいしていた。シャーマンICは、シャーマンI(M4)ベースのファイアフライ、シャーマンIIIAはM4A2ベースの76.2mmほうがたということになる。また、イスラエル国防こくぼうぐんでは、車体しゃたい関係かんけいなく搭載とうさい火砲かほう種別しゅべつのみで、M1、M3、M4と分類ぶんるいしていた(これはM50/M51スーパーシャーマンも同様どうようである)。

M4:主要しゅよう生産せいさん車体しゃたいかくかた比較ひかく
名称めいしょう 主砲しゅほう 車体しゃたい エンジン
M4(75) 75 mm 溶接ようせつ車体しゃたい コンチネンタルR-975
ほしがたガソリン
M4(105) 105 mm 榴弾りゅうだんほう
M4 コンポジット 75 mm 前面ぜんめん鋳造ちゅうぞう後部こうぶ溶接ようせつ
M4A1(75) 鋳造ちゅうぞう車体しゃたい
M4A1(76)W 76 mm
M4A2(75) 75 mm 溶接ようせつ車体しゃたい GM6046
ふくれつ12気筒きとうディーゼル
M4A2(76)W 76 mm
M4A3(75)W 75 mm フォード GAA
Vがた8気筒きとうガソリン
M4A3(76)W 76 mm
M4A3(105)W 105 mm榴弾りゅうだんほう
M4A3E2 75 mm[ちゅう 5]
M4A4 75 mm 溶接ようせつ車体しゃたい延長えんちょう クライスラー A57
直列ちょくれつ6気筒きとう×5 ふくれつガソリン
M4A6 前面ぜんめん鋳造ちゅうぞう後部こうぶ溶接ようせつ延長えんちょう キャタピラー D200A
ほしがたディーゼル
 
車体しゃたい前方ぜんぽう固定こてい機銃きじゅう搭載とうさいした 鋳造ちゅうぞう車体しゃたいのM4A1試作しさくがた

76mm戦車せんしゃほうM1がタングステンはがねしんりの高速こうそくてっかぶとだん(HVAP)M93をもちいた場合ばあいは、ドイツぐん88mmほうみの貫徹かんてつりょく距離きょり914m、30°で135mm)だが砲身ほうしん寿命じゅみょう半減はんげんする。くわえて発射はっしゃ反動はんどうおおきいためほうこうマズルブレーキ追加ついかされた。この砲弾ほうだんは、1944ねん8がつから前線ぜんせん支給しきゅうされるようになったが、月産げっさん10,000はつしか製造せいぞうできなかったので、M10駆逐くちく戦車せんしゃなどに優先ゆうせんして供給きょうきゅうされ、シャーマンへの供給きょうきゅう十分じゅうぶんではく、バルジのたたかころにおいても、シャーマンには常時じょうじ1~2はつ程度ていど支給しきゅうとどまった[4]朝鮮ちょうせん戦争せんそうでは十分じゅうぶん供給きょうきゅうされ、T-34撃破げきはする威力いりょくせた。

なお、ぼうづけてっかぶとだんであるM62だんもちいた場合ばあいは、距離きょり500mで116mmじゅうろくみりあつ装甲そうこうを、1000mでは106mmの装甲そうこう貫通かんつうできた[5]が、実戦じっせんにおいてはドイツぐん戦車せんしゃであるパンターぼうたて場合ばあいは180mの距離きょりまで接近せっきんする必要ひつようせいがあった。M93だん場合ばあいは730m~910mの距離きょりでパンターのぼうたて貫通かんつうできた。しかし、いずれも車体しゃたい正面しょうめん貫通かんつう不可能ふかのうであった[6]

ドイツぐんはパンターなどの自軍じぐん戦車せんしゃつよみである、強力きょうりょく戦車せんしゃほうあつ装甲そうこうかした長距離ちょうきょりでの戦闘せんとうのぞみ、戦車せんしゃへいに1,800mから2,000mでの戦闘せんとう指示しじしたが、ドイツぐん想定そうていどおりの距離きょりでの戦闘せんとうとはならず[7]、アメリカぐんがドイツぐん戦車せんしゃ撃破げきはした平均へいきん距離きょりは893mにたいしドイツぐんがアメリカぐん戦車せんしゃ撃破げきはした距離きょりは946mであり、自軍じぐん戦車せんしゃつよみを十分じゅうぶんかすことはできなかった[8]。これはパンターが関係かんけいした戦闘せんとうでもおなじであり、パンターが直面ちょくめんした平均へいきん交戦こうせん距離きょりは850mで、1,400mから1,750mのドイツぐんのぞんだ長距離ちょうきょりでの戦闘せんとうはわずか5%、それよりなが距離きょり戦闘せんとうほとんどなく[9]結果けっかてきおおくのパンターがシャーマンに撃破げきはされて、76.2mmほう高速こうそくてっかぶとだんはシャーマンの対戦たいせんしゃ能力のうりょくおおきく向上こうじょうさせることとなった[4]

ふく武装ぶそうに、1てい12.7mm機銃きじゅう、2てい7.62mm機銃きじゅう搭載とうさいする。しかしイギリスぐん車輌しゃりょうでは12.7mm機銃きじゅう装備そうびしていないもの大半たいはんである。M4A1とA2のきょく初期しょきがたには、M3ちゅう戦車せんしゃのように車体しゃたい前方ぜんぽうに2ていの7.62mm固定こてい機銃きじゅういていたが、すぐに廃止はいしされた。

防御ぼうぎょ

編集へんしゅう
 
沖縄おきなわせん日本にっぽんぐん速射そくしゃほう爆雷ばくらい対抗たいこうするため、現地げんち増加ぞうか装甲そうこうばん溶接ようせつされる海兵かいへいたいのM4A3(75)W、砲塔ほうとうにもくつたいけてある
M4ちゅう戦車せんしゃたいする7.5cm48口径こうけい戦車せんしゃほう有効ゆうこう距離きょり
部位ぶい 距離きょり 備考びこう
ぼうだて 100 m 戦車せんしゃ飛翔ひしょうしているとおるかぶとだんたいし30角度かくどをとった場合ばあい想定そうてい
砲塔ほうとう正面しょうめん 1,000 m
車体しゃたい正面しょうめん上部じょうぶ 0 m
車体しゃたい正面しょうめん下部かぶ 1,300 m

ドイツぐん兵器へいききょくが1944ねん10がつ5にち作成さくせいした資料しりょうによると、IVごう戦車せんしゃIVごう突撃とつげきほうなどに搭載とうさいされた7.5cmせんちめーとる48口径こうけい戦車せんしゃほう使用しようした場合ばあい車体しゃたい正面しょうめん下部かぶは1300m、砲塔ほうとう正面しょうめんは1000mで撃破げきは可能かのうとしているものの、車体しゃたい正面しょうめん上部じょうぶ(傾斜けいしゃ部分ぶぶん)は貫通かんつう不可能ふかのうであり、ぼうだて(砲身ほうしん付近ふきん)は100m以内いない接近せっきんしなければ貫通かんつうできないと分析ぶんせきしている[10]

主砲しゅほう弾薬だんやく前期ぜんきがた車体しゃたいでは左右さゆうそで(スポンソン)にもうけられていたため、てきだん貫通かんつうやぶれた薬莢やっきょうからそうやく引火いんか火災かさいがM4の撃破げきは原因げんいんの60-80%というたか割合わりあいめていた[11]。あまりにM4がはげしく炎上えんじょうするため、アメリカぐんやイギリスぐん戦車せんしゃへいなかではM4のことを「ジッポー」や「ロンソン」(いずれも有名ゆうめいライターのこと)とんだり、またてきのドイツへいは「トミー・クッカー」(トミーはイギリスへい俗称ぞくしょう、クッカーは野戦やせん調理ちょうりよう固形こけい燃料ねんりょうかんのことで、イギリスへい調理ちょうりという揶揄やゆ)とんでいたという[12]。M4が炎上えんじょうやすかったのは、ガソリンエンジンを搭載とうさいしたためという誤解ごかいもあるが、実際じっさいには前述ぜんじゅつとお被弾ひだんしやすい位置いち弾薬だんやくがあったことが原因げんいんであった[4]

応急おうきゅう対策たいさくとして、弾薬だんやくばこ位置いち車体しゃたい側面そくめん補助ほじょ装甲そうこうばん溶接ようせつされた。後期こうき改良かいりょうがた車体しゃたいでは全体ぜんたい不凍液ふとうえきグリセリン溶液ようえき)でたして引火いんかふせ湿式しっしき弾薬だんやく床下ゆかした設置せっち湿式しっしき弾薬だんやく搭載とうさいがた末尾まつびにWaterのりゃくである「W」がけられている)されて、火災かさい発生はっせいりつやく10-15%とおおきく低下ていかした[11]。これにより、前期ぜんきがた車体しゃたいでは装填そうてんしゅ砲塔ほうとうバスケットのフロアにっていたのが、後期こうきがた車体しゃたいでは床下ゆかしたから砲弾ほうだんすのに邪魔じゃま足元あしもとのフロアがくなり、砲塔ほうとう旋回せんかいさいには自力じりきうごいてついていかなくてはならなくなった。また、これとはべつに、イギリスぐんシャーマン ファイアフライ改造かいぞうにスポンソンじょう弾薬だんやくばこ撤去てっきょし、床上ゆかうえふく操縦そうじゅうせきのあった場所ばしょ装甲そうこう弾薬だんやくばこ新設しんせつしている。

また、前線ぜんせんでは予備よびくつたいてん土嚢どのう増加ぞうか装甲そうこうわりに積載せきさいしたり、コンクリートあつ塗布とふするなど、追加ついか防御ぼうぎょさくおこなわれている。おおくは調達ちょうたつ交換こうかん容易よういで、パンツァーファウスト成型せいけい炸薬さくやくだん対策たいさくにもなる土嚢どのうもちいられた。しかし、この効果こうかたいしては賛否さんぴ両論りょうろんあり、ぎゃく貫徹かんてつりょくたかめる間合まあい(スタンドオフ)をつくってしまうという意見いけん反面はんめん実戦じっせん効果こうかがあったと主張しゅちょうするものもいた[ちゅう 6]パットン将軍しょうぐんは、「軍人ぐんじん所業しょぎょうらしくない」とこれをきらって土嚢どのう装甲そうこう禁止きんしし、麾下きかのアメリカだい3ぐんでは撃破げきはされた友軍ゆうぐんやドイツぐん戦車せんしゃ車体しゃたいからした鋼板こうはんけていた。

アメリカ海兵かいへいたいにおいては、太平洋たいへいよう戦線せんせん日本にっぽんぐん速射そくしゃほう側面そくめんこうめんねらたれて撃破げきはされるM4が続出ぞくしゅつしたこともあり、現地げんち鉄板てっぱんやコンクリートや木材もくざいなどはい材料ざいりょうなんでも増加ぞうか装甲そうこうわりに装着そうちゃくした。

戦後せんご、イスラエル国防こくぼうぐん独自どくじ改良かいりょうおこなったM50/M51スーパーシャーマンでは、火力かりょくはフランスせいAMX-13もちい75mmほうAMX-30もちい105mmほう装備そうびにより一線いっせんきゅうたもっていたのにたいし、装甲そうこう防御ぼうぎょりょくについては重量じゅうりょうてき限界げんかいからほとんど対策たいさくされないままであった。

運用うんよう

編集へんしゅう

きたアフリカ戦線せんせん

編集へんしゅう
 
エル・アラメインのたたかいに投入とうにゅうされたイギリスぐんのシャーマンII(M4A1)

だい世界せかい大戦たいせん連合れんごうこく主力しゅりょく戦車せんしゃで、アメリカのたか工業こうぎょうりょく大量たいりょう生産せいさんされた。生産せいさんたずさわった主要しゅよう企業きぎょうは11しゃにもおよび、1945ねんまでにぜん車種しゃしゅで49,234りょう生産せいさんした。かく生産せいさん拠点きょてんてきしたエンジン形式けいしき生産せいさん方法ほうほうかたち並行へいこう生産せいさんさせたため、おおくのバリエーションをつが、構成こうせい部品ぶひん統一とういつして互換ごかんせいたせることによりたか信頼しんらいせい良好りょうこう運用うんよう効率こうりつたもたれていた。

M4が最初さいしょ戦闘せんとう投入とうにゅうされたのは、きたアフリカ戦線せんせんエル・アラメインのたたかであった。ガザラのたたかトブルク要塞ようさいうしなったイギリス首相しゅしょうウィンストン・チャーチルが、アメリカ大統領だいとうりょうフランクリン・ルーズベルトだい2かいワシントン会談かいだんせきレンドリース直談判じかだんぱん実現じつげんしたものであった。このときにはまだM4の生産せいさん軌道きどうにのったばかりで、完成かんせいしていた300りょうすでにアメリカぐん戦車せんしゃ師団しだん配備はいびされていたが、ルーズベルトの政治せいじてき判断はんだんで、そのM4ちゅう戦車せんしゃ300りょうをそのままイギリスに供与きょうよすることとなった。さらにM101 105mm榴弾りゅうだんほうをM4ちゅう戦車せんしゃ車体しゃたい搭載とうさいしたM7はしほう100りょう供与きょうよ決定けっていされた[13]。ドイツの情報じょうほう機関きかんもアメリカせい新型しんがた戦車せんしゃが、輸送ゆそうかん搭載とうさいされてきたアフリカかっているという情報じょうほうつかんでおり、その性能せいのう分析ぶんせき躍起やっきとなっていたが、その分析ぶんせき資料しりょうとなったのが、エジプトカイロ入手にゅうしゅしたみなみアフリカぐん雑誌ざっしで、その雑誌ざっし掲載けいさいされていたクリスマスカードの広告こうこくにM4の写真しゃしん使つかわれており、ドイツぐん情報じょうほう機関きかんはこの写真しゃしんから主砲しゅほう口径こうけいなどを類推るいすいしている[14]

M4ちゅう戦車せんしゃ初陣ういじんは1942ねん10がつ23にちから開始かいしされただいエル・アラメインのたたかいとなった。作戦さくせん開始かいしイギリスだい8ぐん英語えいごばん司令しれいかんバーナード・モントゴメリー中将ちゅうじょう)は1,200りょう戦車せんしゃゆうしていたが、そのうち500りょうがアメリカから供与きょうよされたM4とM3ちゅう戦車せんしゃであった[15]。エルアラメインにおくられたM4は初期しょきがたのM4A1、M4A2であったが、作戦さくせん開始かいし早々そうそうから猛威もういるい、ドイツアフリカ軍団ぐんだん主力しゅりょく戦車せんしゃ50mm 60口径こうけいほう搭載とうさいIIIごう戦車せんしゃあつだお[16]、これまで散々さんざんイギリスぐん戦車せんしゃくるしめてきた88mmほうも、いままでのイギリスぐん戦車せんしゃにはなかった破壊はかいりょくの75㎜榴弾りゅうだん次々つぎつぎ撃破げきはしていった[17]

それでもアフリカ装甲そうこうぐん司令しれいかんエルヴィン・ロンメル元帥げんすいはM4を“じゅう戦車せんしゃ”とんで警戒けいかいし、その対策たいさくとしてドイツぐん兵器へいき唯一ゆいいつM4に対抗たいこう可能かのうな8.8 cm FlaKをかきあつめて、なるべく集中しゅうちゅう運用うんようして対抗たいこうしようとしたが[18]、モントゴメリーは、クルセーダー巡航じゅんこう戦車せんしゃバレンタイン歩兵ほへい戦車せんしゃなど従来じゅうらいのイギリスぐん戦車せんしゃ先行せんこうさせ、M4を後方こうほうひかえさせて、ドイツぐん先行せんこうしているイギリスせい戦車せんしゃ砲撃ほうげき開始かいしすると、上空じょうくうから偵察ていさつしているイギリス空軍くうぐん偵察ていさつがドイツぐんてん特定とくていし、M4が2,500mもの長距離ちょうきょりから無尽蔵むじんぞう弾薬だんやく弾幕だんまくるという対策たいさくをとった。この距離きょりでは8.8 cm FlaKでもM4の前面ぜんめん装甲そうこう貫通かんつうするのは困難こんなんであったが、M4の75㎜ほうはドイツぐん兵器へいきすべてを撃破げきはすることが可能かのうであり、戦車せんしゃ陣地じんち歩兵ほへいすべ覆滅ふくめつされていった[19]。こうしてエル・アラメインの勝利しょうり立役者たてやくしゃとなったM4はドイツへいにとって恐怖きょうふまととなり、これまでロンメルの指揮しきしたたか戦意せんいたたかってきたドイツへいは、ドイツぐん戦車せんしゃ比較ひかくするとたか砲塔ほうとうたび戦意せんいうしなっていたという[20]

M4をたくみに運用うんようして勝利しょうりかさねていたイギリスぐんたいし、トーチ作戦さくせんきたアフリカ戦線せんせん参戦さんせんしたアメリカぐんは、アメリカぐん戦車せんしゃへい戦車せんしゃせん不慣ふなれなこともあって苦戦くせんしており、カセリーヌとうげたたかではドイツぐんティーガーIゆうしていたこともあって、M3ちゅう戦車せんしゃM3けい戦車せんしゃふくめて183りょう戦車せんしゃうしなっている[21]。そののアメリカぐんはティーガーIの脅威きょういるとともに、ソ連それんからVごう戦車せんしゃパンター情報じょうほう仕入しいれていたが、どちらの戦車せんしゃ接触せっしょく頻度ひんどまれであったので、少数しょうすう配備はいびされるじゅう戦車せんしゃであるとあやまった認識にんしきをして、すで決定けっていしていた76.2㎜ほう搭載とうさいする以上いじょう対策たいさくをとることはなかった[22]一方いっぽうで、イギリスぐんはM4の対戦たいせんしゃ能力のうりょく向上こうじょうのため、アメリカぐんの76.2mmほうよりは強力きょうりょく17ポンド(76.2mm)たい戦車せんしゃほう搭載とうさいしたシャーマン ファイアフライ開発かいはつおこなっている[23]

ヨーロッパ戦線せんせん

編集へんしゅう
 
1944ねん7がつ10日とおか、ノルマンディーのカーンへの攻撃こうげきさい、ハーケンクロイツはた鹵獲ろかくしたイギリスぐんだい27機甲きこう旅団りょだんのシャーマンと戦車せんしゃへいたち

アメリカぐん分析ぶんせきとはことなり、ノルマンディー上陸じょうりく作戦さくせんからのフランスでのたたかいで、M4とパンターやティーガーIとの交戦こうせん頻度ひんどたかく、75mmほう搭載とうさいがたはおろか76.2mmほう搭載とうさいがた非力ひりきさがあきらかになった[9]東部とうぶ戦線せんせん経験けいけんんだ一部いちぶドイツの戦車せんしゃエースたちの活躍かつやくもあって、M4がドイツぐん戦車せんしゃ一方いっぽうてき撃破げきはされたという印象いんしょうつよく、とくにエルンスト・バルクマン親衛隊しんえいたい軍曹ぐんそうはパンターにって多数たすうのM4を撃破げきはしたとされている。バルクマンの有名ゆうめい逸話いつわは、1944ねん7がつ27にちサン=ローからクータンセつづ街道かいどうがりかどのところで、アメリカぐんのM4たい交戦こうせんし、たった1りょうで9りょうのM4を撃破げきはしてアメリカぐん進撃しんげき足止あしどめしたとされる、のちに『バルクマンコーナー』としょうされた活躍かつやくだんであった[24][25]。このような一部いちぶかぎられた活躍かつやくだんをもって、大戦たいせんちゅうのアメリカぐん証言しょうげんでは、1だいのパンターに5だいのM4でたたかわなければならない、と徹底てっていされていたと主張しゅちょうするものもいるが[26]、それはたん大戦たいせんのアメリカの戦車せんしゃ小隊しょうたいが5りょうから編成へんせいされているからにぎない。また、『バルクマンコーナー』でのバルクマンの活躍かつやくだんも、歴史れきし研究けんきゅうおおくの戦車せんしゃ戦記せんきでの著作ちょさくがあるスティーヴン・ザロガ英語えいごばん調査ちょうさによれば、アメリカぐん該当がいとうする戦闘せんとう記録きろくがないことが判明はんめいし、ドイツぐんプロパガンダではなかったかとの指摘してきもある[27]

かぎられた活躍かつやくだんでの印象いんしょうとはことなり、M4はパンターを相手あいてにしても善戦ぜんせんしている。ノルマンディのたたかにおけるサン マンヴュー ノレ攻防こうぼうせんでは、進撃しんげきしてきただい12SS装甲そうこう師団しだんのパンター12輛を、だい2カナダ機甲きこう旅団りょだんの9輛のM4シャーマン(一部いちぶがシャーマン ファイアフライ)が迎撃げいげきし、一方いっぽうてきにパンター7輛を撃破げきはして撃退げきたいしている[28]アラクールのたたか英語えいごばんにおいては、アメリカぐんだい4機甲きこう師団しだん英語えいごばんがドイツぐんだい5装甲そうこうぐんだい損害そんがいあたえて勝利しょうりしたが、なかでもクレイトン・エイブラムス中佐ちゅうさひきいるだい37戦車せんしゃ大隊だいたい多数たすうのパンターを撃破げきはしており、1944ねん9がつ19にち戦闘せんとうでは、たくみに地形ちけい利用りようしたM4シャーマンによって、攻撃こうげき追撃ついげきで11りょうものパンターを撃破げきはして撃退げきたいしている[28]だい37戦車せんしゃ大隊だいたいは、アラクールのたたかいで55りょうのティーガーIとパンターを撃破げきはして連合れんごうぐん勝利しょうり貢献こうけんした[29]

アメリカぐんはパンターやティーガーIへの対策たいさくとして、新型しんがた高速こうそくてっかぶとだん生産せいさん強化きょうかした。このてっかぶとだんは、M4戦車せんしゃたい十分じゅうぶんりょうとどかなかったが、500mで208mmの垂直すいちょく鋼板こうはん貫通かんつうりょくしめし、76.2mmほう搭載とうさいがたM4の強力きょうりょく武器ぶきとなった[30]。また、M4は信頼しんらいせい生産せいさんせいなど工業こうぎょう製品せいひんとしての完成かんせいたかく、大量たいりょう補充ほじゅう整備せいびせいさ、たか稼働かどうりつによって、高価こうかすぎて複雑ふくざつ構造こうぞうのドイツぐん戦車せんしゃ総合そうごうりょく圧倒あっとうするようになり[31]、ドイツぐん戦車せんしゃへい大量たいりょう消耗しょうもうにより次第しだいしつ低下ていかしていったのにたいして、アメリカぐん熟練じゅくれんした戦車せんしゃへいえて[32]、M4がパンターを圧倒あっとうする戦闘せんとうえている。バルジのたたかにおいて、1944ねん12月24にちに、フレヌーフランス語ふらんすごばん接近せっきんしてきただい2装甲そうこう師団しだんだい2戦車せんしゃ連隊れんたいだい2戦車せんしゃ中隊ちゅうたいのアルフレッドハーゲシェイマー親衛隊しんえいたい大尉たいいとフリッツ・ランガンケ親衛隊しんえいたい少尉しょういひきいる11りょうのパンターGがたを、だい3機甲きこう師団しだん英語えいごばんだい32機甲きこう旅団りょだんD中隊ちゅうたいのM4シャーマン2りょうむかえうって、遠距離えんきょり砲撃ほうげきで6りょう撃破げきはし、2りょう損傷そんしょうさせて一旦いったん撃退げきたいしている。その、ハーゲシェイマーたいのこった3りょうのパンターで再度さいどフレヌーを目指めざし、途中とちゅう接触せっしょくしたM5けい戦車せんしゃ1りょう撃破げきはしたものの、またM4シャーマンからの砲撃ほうげきで1りょう撃破げきはされ、ハーゲシェイマーしゃ命中めいちゅうだんけて損傷そんしょうしている。一旦いったん退却たいきゃくしたドイツの戦車せんしゃエースの1にんでもあったランガンケは、命中めいちゅうだんけて自身じしんのパンターが損傷そんしょうしていたため、フレヌー付近ふきんもりなかのくぼひそめていたが、その監視かんし任務にんむからフレヌーに警戒けいかい帰還きかんしてきたほか部隊ぶたいのM4シャーマン4りょう撃破げきはして一矢いっしむくいている[33]よく12がつ25にちにもノヴィルをめぐたたかいにおいても、M4シャーマンがわずか45分間ふんかんあいだに、一方いっぽうてきにパンターGがたを6りょう撃破げきはして、ドイツぐん攻撃こうげき撃退げきたいしている[34]

バルジのたたかいにおいて、最初さいしょの2週間しゅうかんでM4シャーマンはあらゆる原因げんいんによって320りょう喪失そうしつしていたが、1,085りょう前線ぜんせんにあり、うち980りょう稼働かどう状態じょうたいとその抜群ばつぐん信頼しんらいせい誇示こじしていたのにたいして、投入とうにゅうされた415りょうのパンターは、2週間しゅうかんで180りょう撃破げきはされ、のこり235りょうもまともに稼働かどうしていたのは45%のやく100りょうといった有様ありさまだった[35]結局けっきょくは、正面しょうめんからのげきいではパンターにぶんがあったが、生産せいさんせい整備せいびせい耐久たいきゅうりょくなどすべてを比較ひかくすると、M4シャーマンのほうすぐれていたという評価ひょうかもある[36]。1944ねん8がつから1944ねん12月のバルジのたたかいまでのあいだの、アメリカぐんだい3機甲きこう師団しだんだい4機甲きこう師団しだん統計とうけいによれば、ぜん98かい戦車せんしゃせんのなかでパンターとM4シャーマンのみが直接ちょくせつたたかった戦闘せんとうは29かいであったが、その結果けっか下記かきとおりであった[37]

M4とパンターの直接ちょくせつ交戦こうせんによる撃破げきはすう
攻守こうしゅ 交戦こうせんすう  交戦こうせんしたM4のかず 撃破げきはされたM4のかず 交戦こうせんしたパンターのかず  撃破げきはしたパンターのかず
攻撃こうげき 9かい 68りょう 10りょう 47りょう 13りょう
防御ぼうぎょ 20かい 115りょう 6りょう 98りょう 59りょう
合計ごうけい 29かい 183りょう 16りょう 145りょう 72りょう

29かい平均へいきんして、M4シャーマンのすうてき優勢ゆうせいは1.2ばいぎなかったにもかかわらず、M4シャーマンの有用ゆうようせいはパンターの3.6ばいで、とくにM4シャーマンが防御ぼうぎょまわったときにはパンターの8.4ばい有用ゆうようせいがあったとの評価ひょうかもあるが、データのかず不十分ふじゅうぶんでありりょう戦車せんしゃ性能せいのう戦闘せんとうにどのような影響えいきょうおよぼしたのかを証明しょうめいするまでにはいたっていない[38]

アメリカぐんはドイツぐんとはことなり、戦車せんしゃ撃破げきはすうしょうされることはなかったが、だい37戦車せんしゃ大隊だいたい大隊だいたいちょうエイブラムスは、自分じぶん搭乗とうじょうしたM4シャーマン『サンダーボルト』でも多数たすうのドイツぐん戦車せんしゃ撃破げきはし、終戦しゅうせんまでに50りょうのドイツぐん戦闘せんとう車両しゃりょう撃破げきはしている[29]。またラファイエット・G・プール准尉じゅんいも、M4を3りょうえながら、兵員へいいん1,000めい殺害さつがい捕虜ほりょ250めい確保かくほ戦車せんしゃ12りょうふく戦闘せんとう車両しゃりょう258りょう撃破げきは戦果せんかげている[39]。 また、イギリスカナダオーストラリアなどイギリス連邦れんぽう加盟かめいこくのほか、ソビエト連邦れんぽうに4,000りょう以上いじょう自由じゆうフランスぐんポーランド亡命ぼうめい政府せいふぐんにもレンドリースされた。カナダぐんではシドニー・ヴァルピー・ラドリー=ウォルターズ少佐しょうさがM4にて18りょうのドイツぐん戦車せんしゃ多数たすう戦闘せんとう車両しゃりょう撃破げきはして、だい世界せかい大戦たいせんにおける連合れんごうぐん戦車せんしゃエース英語えいごばん1人ひとりとなったが、ウォルターズが撃破げきはした戦車せんしゃのなかには、ドイツの戦車せんしゃエースミハエル・ヴィットマンるティーガーIもふくまれていたともわれている[40]

「M4の75mmほう理想りそう武器ぶき」「てきじゅう戦車せんしゃも76mmほう撃破げきはできる」とするAGF(Army Ground Force/陸軍りくぐん地上ちじょうぐん管理かんり本部ほんぶ)の判断はんだんM26パーシング配備はいびおくらせ[ちゅう 7]終戦しゅうせんまで連合れんごう国軍こくぐん主力しゅりょく戦車せんしゃとして活躍かつやくした。

太平洋たいへいよう戦線せんせん

編集へんしゅう
 
グアムのたたかいにおいて日本にっぽんぐん速射そくしゃほう撃破げきはされた、べい陸軍りくぐんのM4(75)コンポジット車体しゃたいがた。それぞれ車体しゃたい側面そくめん被弾ひだんあとうつっている。この時期じき太平洋たいへいよう戦線せんせんにおいて、海兵かいへいたい装備そうびがM4A2なのにたいし、陸軍りくぐんはM4やM4A1を装備そうびしていた。

きたアフリカおよびヨーロッパ太平洋戦争たいへいようせんそうにも投入とうにゅうされた。戦車せんしゃ戦力せんりょくよわ日本にっぽんにとってM4は非常ひじょうなんてきであった。サイパンのたたかグアムのたたかペリリューのたたかなどでM4と日本にっぽんぐんきゅうななしきちゅう戦車せんしゃきゅうしきけい戦車せんしゃとの戦車せんしゃせんおこなわれたものの日本にっぽんぐん戦車せんしゃきゅうななしきせんちめーとるなな戦車せんしゃほうきゅうはちしきさんじゅうななみりめーとる戦車せんしゃほうはM4に命中めいちゅうしたとしても、まるでボールのようにがえされ、日本にっぽんぐん戦車せんしゃ一方いっぽうてき撃破げきはされることがおおかった[41]日本にっぽんぐん戦車せんしゃへいはM4を「うご要塞ようさい」としょうしておそれた[42]。そのような状況じょうきょうでも戦車せんしゃだい2師団しだんたたかったルソン島るそんとうたたかにおいては、重見しげみ支隊したい支隊したいちょう重見しげみ三雄みつお少将しょうしょう戦車せんしゃだい3旅団りょだん基幹きかん戦車せんしゃやく60りょうなど)がリンガエンわん上陸じょうりくしたアメリカぐん迎撃げいげきし、太平洋戦争たいへいようせんそう最大さいだい戦車せんしゃせんたたかわれた。きゅうななしきちゅう戦車せんしゃあらため搭載とうさいされた一式いっしきよんじゅうななみりめーとる戦車せんしゃほうは、500ヤード(やく457.2m)で67㎜の装甲そうこう、1,000ヤード(やく914.4m)で55㎜の装甲そうこう貫通かんつうしたので、M4の側面そくめんこうめん装甲そうこうであれば、かなりの遠距離えんきょりからでも貫通かんつう可能かのうであり、戦車せんしゃせん撃破げきはされるM4もすくなくはなく[43]、アメリカぐんきゅうななしきちゅう戦車せんしゃしん砲塔ほうとうがたを「もっとも効果こうかてき日本にっぽんぐん戦車せんしゃ」とひょうして警戒けいかいした[44]戦車せんしゃせんでの不利ふり痛感つうかんした日本にっぽんぐんは、その硫黄いおうとうたたか沖縄おきなわせんでは、戦車せんしゃ車体しゃたい地面じめんめて、即席そくせき対戦たいせんしゃトーチカとして使用しようするようになった[45]

そこで日本にっぽんぐんのM4対策たいさくは、せによる速射そくしゃほう地雷じらい歩兵ほへいによる肉弾にくだん攻撃こうげきとなっていった。速射そくしゃほうのなかでも一式いっしき機動きどうよんじゅうななみりめーとる速射そくしゃほうきゅうよんしきさんじゅうななみりめーとる速射そくしゃほうがM4の側面そくめん装甲そうこう至近しきん距離きょりから貫徹かんてつでき撃破げきはしたこともあった。沖縄おきなわせんではM4を主力しゅりょくとするアメリカ陸軍りくぐん戦車せんしゃたいが221りょう撃破げきはされたが[46]、そのうち111りょう速射そくしゃほう野戦やせん重砲じゅうほうなどの砲撃ほうげきによる損害そんがいであった。また、海兵かいへいたいの51りょうのM4の損失そんしつふくめると合計ごうけい272りょう撃破げきはされたことになり[47]、これは、沖縄おきなわ投入とうにゅうされたアメリカぐん戦車せんしゃのうち57%にものぼっている[48]。また沖縄おきなわせんにおいては、日本にっぽんぐんだんボールだいばこ爆薬ばくやくんだ急造きゅうぞう爆雷ばくらい多数たすう準備じゅんびした。日本にっぽんへいはこの急造きゅうぞう爆雷ばくらいをアメリカぐん戦車せんしゃキャタピラけてげつけるか、もしくは爆雷ばくらいをもったまま体当たいあたり攻撃こうげきをかけた[49]。この特攻とっこう戦術せんじゅつ効果こうかがあり、激戦げきせんとなった嘉数かかずたたかでは、この歩兵ほへいによる体当たいあたり攻撃こうげきで1にちに6りょうのM4が撃破げきはされ、アメリカ陸軍りくぐん公式こうしき報告ほうこくしょでも「とく爆薬ばくやくばこった日本にっぽんぐん兵士へいしは、(アメリカぐん戦車せんしゃにとってだい脅威きょういだった。」と警戒けいかいしていた[50]

アメリカぐん戦車せんしゃへいは、急造きゅうぞう爆雷ばくらい磁力じりょく吸着きゅうちゃくしき九九式破甲爆雷対戦たいせんしゃ特攻とっこうおこなってくる日本にっぽんへい警戒けいかいし、戦車せんしゃ攻撃こうげきしようとする日本にっぽんへいつけると、優先ゆうせんして車載しゃさい機銃きじゅう射撃しゃげきしたが、日本にっぽんへいかかえている爆雷ばくらい銃弾じゅうだん命中めいちゅうすると爆発ばくはつし、周囲しゅうい日本にっぽんへいごとばしてしまうこともあった。また、戦車せんしゃない多数たすう手榴弾しゅりゅうだんちこみ、対戦たいせんしゃ特攻とっこう日本にっぽんへいひそんでいそうな塹壕ざんごうつけると、戦車せんしゃのハッチをけて塹壕ざんごう手榴弾しゅりゅうだんみ、特攻とっこうするためひそんでいた日本にっぽんへい掃討そうとうしている[51]。ほかにも、ハッチに爆薬ばくやく密着みっちゃくさせないように多数たすうのスパイクや金網かなあみ周囲しゅうい溶接ようせつ、そのほか車体しゃたい側面そくめんいた装着そうちゃく、またはこれをかたわくのようにけ、車体しゃたいとのあいだにコンクリートをなが磁力じりょく吸着きゅうちゃくしきの九九式破甲爆雷対策としたれいられる。

だい世界せかい大戦たいせん

編集へんしゅう
 
朝鮮ちょうせん戦争せんそうでのM4A3E8、中国ちゅうごく義勇軍ぎゆうぐんたい心理しんりてき影響えいきょうねらって、車体しゃたい砲塔ほうとう前面ぜんめんとら悪魔あくまかおなどがえがかれた

M4は朝鮮ちょうせん戦争せんそうでも活躍かつやくした。おも投入とうにゅうされたのは52口径こうけい76.2mm戦車せんしゃほうM1A2を搭載とうさいしたM4A3E8(イージーエイト)となったが、M24けい戦車せんしゃの138りょう、M26パーシングの309りょうM46パットンの200りょうたいしてM4A3E8は679りょう投入とうにゅうされており、依然いぜんとしてすうてきには主力しゅりょく戦車せんしゃであった。朝鮮ちょうせん戦争せんそうではアメリカ陸軍りくぐん海兵かいへいたい戦車せんしゃ部隊ぶたい北朝鮮きたちょうせんぐんT-34-85一部いちぶSU-76)と合計ごうけい119かい戦車せんしゃせんおこなったが、そのうちの59かい(50%)はM4A3E8によるものであった。アメリカぐん合計ごうけいで97りょうのT-34-85を確実かくじつ撃破げきはし、さらに18りょう確実かくじつ撃破げきは記録きろくしたのにたいして、うしなった戦車せんしゃ合計ごうけい34りょうぎず、そのうちM4A3E8は20りょうであり、さらに完全かんぜん撃破げきはされたのはその半分はんぶん以下いかであった。アメリカぐん確実かくじつ撃破げきはした97りょうのT-34-85のうち、M4A3E8が撃破げきはしたのは47りょうとされ、依然いぜんとして十分じゅうぶん戦力せんりょくになることを証明しょうめいした[52]

その中東ちゅうとう戦争せんそうなどで使用しようされ、とくにイスラエル国防こくぼうぐんはM4の中古ちゅうこスクラップ大量たいりょう収集しゅうしゅう再生さいせいし、初期しょき地上ちじょう戦力せんりょく中核ちゅうかくとして活用かつよう、その独自どくじ改良かいりょうにより「最強さいきょうのシャーマン」とばれるM50/M51スーパーシャーマンしている。だい一線いっせん退しりぞいたのち装甲そうこう回収かいしゅうしゃなどの支援しえん車両しゃりょう改造かいぞうされ、最近さいきんまで各国かっこく使用しようされていた。

M4A3E8がたMSA協定きょうていにより日本にっぽん陸上りくじょう自衛隊じえいたいにも供与きょうよされて[53]1970年代ねんだいなかばまで使用しようされ、同年代どうねんだいまつ61しき戦車せんしゃ交代こうたいするかたち全車ぜんしゃ退役たいえきした。21世紀せいきむかえてもなお少数しょうすう運用うんようされていたが、2018ねんパラグアイ運用うんようされていたM4A3の最後さいごの3りょう退役たいえきし、これをもって正規せいきぐん使用しようされていたM4はぜん車輌しゃりょう退役たいえきした。

運用うんようこく

編集へんしゅう

バリエーション

編集へんしゅう
M4
 
エアボーンミュージアムで展示てんじされているシャーマンI(M4)。
ブレスド・スチール・カーしゃボールドウィン・ロコモティブ・ワークスアメリカン・ロコモティブしゃ、ブルマン・スタンダードしゃ製造せいぞう航空機こうくうきようコンチネンタルR975エンジンを、陸上りくじょう部隊ぶたいけのていオクタン価おくたんかガソリン仕様しよう改良かいりょうして採用さいようした。
車体しゃたい前面ぜんめんはハッチ周囲しゅうい操縦そうじゅうせきフードが鋳造ちゅうぞうせいで、これに生産せいさん工場こうじょう時期じきにより仕様しようことなるすうまい圧延あつえん鋼板こうはん鋳造ちゅうぞう部品ぶひんをパッチワークのように溶接ようせつ接合せつごうしていたが、強度きょうどおとるため前線ぜんせん改修かいしゅうよう前面ぜんめん増加ぞうか装甲そうこうキットが開発かいはつされた。また後部こうぶ溶接ようせつがたのまま車体しゃたい前面ぜんめんのみをA1と同様どうよう一体いったい鋳造ちゅうぞうがた変更へんこうした、1676りょうのコンポジット車体しゃたいがたが1943ねん5がつから翌年よくねん8がつまで、デトロイト戦車せんしゃ工廠こうしょう製造せいぞうされた。これは当初とうしょ前期ぜんきがたのスモールハッチ車体しゃたいであったが、ほどなく後期こうきがたのビッグハッチ車体しゃたいえられ、大半たいはん後者こうしゃであった。なお、M4を改良かいりょうしてM4A1以降いこうかたになったのではなく、かくかたことなる工場こうじょう並行へいこう生産せいさんされている。
1944ねん6月のノルマンディー上陸じょうりく作戦さくせんからあきごろまではA1とともにアメリカぐん主力しゅりょくであったが、同年どうねんまつごろから次第しだいにA3に更新こうしんされていった。76.2mmほう搭型は量産りょうさんされていないが、支援しえんようとして後期こうきがた車体しゃたいに105mm榴弾りゅうだんほう搭載とうさいしたものや、中古ちゅうこ前期ぜんきがた車体しゃたいで114mmロケットランチャー(カリオペ)を搭載とうさいしたものおおい。75mmほうがた1942ねん7がつから1年間ねんかんに6,748りょう、105mmほうがたは1944ねん2がつ-1945ねん5がつまでに1,641りょう生産せいさんされた。イギリスぐん名称めいしょう「シャーマンI」、コンポジットがた車体しゃたいは「シャーマン・ハイブリッド」。
M4E9
本土ほんど訓練くんれんようもちいられていた初期しょき生産せいさん車輌しゃりょう1943ねん12月からオーバーホールしたさいに「ダックビル」がたエンドコネクターを、あしまわりにスペーサーをかませくつたい両側りょうがわ装着そうちゃくした仕様しよう接地せっちあつくつたいはばひろいE8仕様しようのように低減ていげんされた。
M4A1
 
鋳造ちゅうぞう車体しゃたいのM4A1(76)W
生産せいさん開始かいし実戦じっせん投入とうにゅうもっとはやく、アメリカぐんけに製造せいぞうされた初期しょきがた急遽きゅうきょきたアフリカのイギリスぐん配備はいびされ、だいエル・アラメイン会戦かいせんから実戦じっせん投入とうにゅうされた。
M4とおな空冷くうれいほしがたエンジン搭載とうさいしているが、車体しゃたい上部じょうぶ溶接ようせつしきではなく一体いったい鋳造ちゅうぞうされている。まるみをびた車体しゃたい前面ぜんめん形状けいじょうにより避弾けいはじめ向上こうじょうした反面はんめん車内しゃないスペースが減少げんしょうしている。のち操縦そうじゅうハッチを大型おおがたもの変更へんこう湿式しっしき弾薬だんやく後期こうきがた車体しゃたい[ちゅう 9]のM4A1(75)Wに生産せいさんわった。この車体しゃたいに76mmほう搭載とうさいするT23砲塔ほうとうのM4A1(76)Wも併行へいこうして生産せいさんされ、1944ねん7がつのコブラ作戦さくせんから実戦じっせん投入とうにゅうされた。
べいぐんけとしては水冷すいれいガソリンエンジン装備そうびのA3がつぎしゅ生産せいさんがたとなったため、A1の76mmほう搭載とうさいがたはイタリア戦線せんせんまわされたり、イギリス連邦れんぽうぐん自由じゆうポーランドぐん自由じゆうフランスぐん供与きょうよされたが、1945ねんはるには後期こうきがた砲塔ほうとう搭載とうさいしたものが西にしヨーロッパのべいぐんふたた供給きょうきゅうされている。エンジンが共通きょうつうであるため、M4とおな部隊ぶたい混成こんせい配備はいびされることもあった。当初とうしょ鋳造ちゅうぞう装甲そうこう強度きょうど疑問ぎもん部隊ぶたい使用しよう拒否きょひされたこともあったが、前期ぜんきがた溶接ようせつ車体しゃたいよりA1のほう被弾ひだんつよいと認識にんしきされた。
75mmほうがたは1942ねん2がつ-よく11がつまでに6,281りょう、76.2mmほうがたは1944ねん1がつ-よく5がつまでに3,426りょう生産せいさんされた。担当たんとうライマ・ロコモティブ・ワークス、プレスド・スチールしゃパシフィック・カー&ファウンドリーしゃ。イギリスぐん名称めいしょう「シャーマンII」。
M4A1E6
 
パキスタンぐん使用しようし、インドぐん撃破げきはされたM4A1E6
戦後せんご、75mmほう搭に76.2mmほう搭載とうさいしたもの。パキスタン給与きゅうよされ、カシミール紛争ふんそうしるし戦争せんそうなどで使つかわれた。資料しりょうによってはこのタイプをM4A1E4としているものもある。
M4A1E8
76mmほう搭載とうさいしたM4A1(76)のサスペンションをHVSSに変更へんこうした後期こうき生産せいさんしゃ、またはVVSSサスペンションがたからの改修かいしゅうがた。イスラエルが購入こうにゅうした中古ちゅうこしゃは、M1スーパーシャーマンとばれた。
M4A1E9
M4A1の初期しょきがたをM4E9同様どうようクライスラー・エヴェンスビル工場こうじょう改修かいしゅう、E9仕様しようにしたもの。
M4A2
 
自由じゆうフランスぐん使用しようされていたM4A2(75)
 
ソ連それんぐんだい64親衛しんえい戦車せんしゃ連隊れんたいのM4A2(76)W。ドイツ北部ほくぶソ連それんぐん合流ごうりゅうしたアメリカぐん撮影さつえいしたもの
M4の生産せいさん開始かいしから搭載とうさいされていた空冷くうれいほしがたエンジンが、練習れんしゅう増産ぞうさん影響えいきょう供給きょうきゅう力不足ちからぶそくとなることが予想よそうされ、代替だいたいエンジンとして民間みんかんトラックようゼネラルモーターズしゃ生産せいさんしていた、GM 6046直列ちょくれつ6気筒きとう2ストロークえきひやディーゼルエンジン2連結れんけつして搭載とうさい。これはほこりにややよわいとの批判ひはんもあったが、1とままっても走行そうこう可能かのうトルク空冷くうれいほしがたより強力きょうりょくであり、速度そくどたか好評こうひょうだった。しかしアメリカ陸軍りくぐんでは使用しよう燃料ねんりょうガソリン統一とういつしていたことから、生産せいさんりょうのほとんどが上陸じょうりくよう舟艇しゅうてい燃料ねんりょう共用きょうようできるアメリカ海兵かいへいたいのちにA3に更新こうしん)、およびレンドリースようとしてイギリスぐん自由じゆうフランスぐん使用しようされ、のちにはすべソ連それんけに供与きょうよされるようになった。
前期ぜんきがた車体しゃたい前面ぜんめんは、M4同様どうよう鋳造ちゅうぞう部品ぶひん圧延あつえん鋼板こうはん最初さいしょがた機銃きじゅう周辺しゅうへんとアンテナベース、左右さゆう操縦そうじゅうせきフードの鋳造ちゅうぞう部品ぶひん4、圧延あつえん鋼板こうはん4)を溶接ようせつ接合せつごうしたものだが、生産せいさん工場こうじょうによっては操縦そうじゅうしゅせきフードが一体いったい鋳造ちゅうぞうから溶接ようせつてにわり、また分割ぶんかつらされ圧延あつえん鋼板こうはん比率ひりつえている。
ソ連それんぐんでは、T-34より故障こしょうすくなく操縦そうじゅうらくあつかいやすく十分じゅうぶん戦闘せんとうりょくもあると報告ほうこくされた。「エムチャ(M4=エム・チトィーリェのりゃく)」「シェールマン(シャーマンのロシアみ)」とばれ、目立めだくるまだか泥濘でいねいでの機動きどうせい初期しょきおくられたゴム皮膜ひまくくつたい夏場なつばねつけること、重心じゅうしんたかいため横転おうてんしやすいこと以外いがい大変たいへん好評こうひょうであり、エリート部隊ぶたい親衛しんえい戦車せんしゃ連隊れんたい優先ゆうせん配備はいびされた。また、砲塔ほうとうじょうの12.7mm機銃きじゅう搭載とうさい車輌しゃりょう搭載とうさい車輌しゃりょうがある)は、瓦礫がれきかげなどでせるパンツァーファウストったてき歩兵ほへい障害しょうがいぶつごと掃討そうとうしたり、満州まんしゅう侵攻しんこうとき肉薄にくはく攻撃こうげき仕掛しかける日本にっぽんぐん歩兵ほへいたいしても有効ゆうこうであったとの証言しょうげんもある。しかし太平洋たいへいよう戦線せんせんでは、行軍こうぐんちゅうのM4にせていた日本にっぽんへいり、12.7mm機銃きじゅう後続こうぞく歩兵ほへい乱射らんしゃするケースが発生はっせい以後いごはずした車輌しゃりょうおおい。
たいどく戦線せんせんでは1943ねん1がつから部隊ぶたい配備はいびはじまり、ベルリン市街しがいせんでもM4A2(76)Wの写真しゃしんおおられる。なお、A2では75mmほう装備そうびのビッグハッチ車体しゃたいでも湿式しっしき弾薬だんやくタイプはく、またこのタイプはアメリカ海兵かいへいたいソ連それんぐんでしか使つかわれていない。また、フィッシャーしゃ生産せいさんされたA2の操縦そうじゅうせきフードは、途中とちゅうから鋳造ちゅうぞうがたではなく溶接ようせつがた変更へんこうされている。75mmほうがたは1942ねん4がつ-1944ねん4がつまでに8,053りょうが、76.2mmほうがたは1944ねん5がつ-よく5がつまでに2,915りょう生産せいさん、うち2073りょうソ連それん供与きょうよ担当たんとうはブルマン・スタンダードしゃ、グランド・ブランク戦車せんしゃ工廠こうしょう、フェデラル・マシーン&ウェルダーしゃ、アメリカン・ロコモーティブしゃ少数しょうすう)イギリスぐん名称めいしょう「シャーマンIII」。
M4A2E4
M4ちゅう戦車せんしゃでは性能せいのう向上こうじょうねらって様々さまざま試作しさくしゃ製作せいさくされたが、M4A2E4は機動きどうせい向上こうじょうねらい、M4A2にトーションバーとよりはばひろくつたい装備そうびした試作しさくしゃである。トーションバーサスペンションはサスペンションとしての性能せいのうすぐれ、ドイツではIIIごう戦車せんしゃ以降いこうひろ採用さいようされており、M4ちゅう戦車せんしゃでもM4A2E4のほか、M4に同様どうよう改良かいりょうほどこしたM4E4が試作しさくされたが、整備せいびせい悪化あっか、M4ちゅう戦車せんしゃでは採用さいようされなかった。
M4A2E8
M4A2(76)をHVSSサスペンションに変更へんこうした1945ねんはいってから生産せいさん開始かいしされた後期こうき生産せいさんしゃ。イギリスに5りょうわたされた以外いがいソ連それんに460りょうほどがレンドリースされたが、すべ太平洋たいへいようルートでシベリアに揚陸ようりくされたため、たいどくせんにはあいだにあっていない。戦後せんごカナダぐん装備そうびしており、朝鮮ちょうせん戦争せんそう使つかわれたほか砲塔ほうとう撤去てっきょしたカンガルー装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそうしゃ改造かいぞうされたものもあった。
M4A3
 
ヨーロッパ戦線せんせんにおけるM4A3(75)WとM4A3E8。ノルマンディー上陸じょうりく作戦さくせん当時とうじべいぐん戦車せんしゃたいでは、空冷くうれいガソリンエンジン搭載とうさいのM4(75)とM4A1(75)が主力しゅりょくで、M4A1(76)Wの投入とうにゅうはコブラ作戦さくせん以降いこうだったが、1944ねんすえちかづくにつれ水冷すいれいガソリンエンジン搭載とうさいのA3(75)WとA3(76)Wの配備はいびすうえ、バルジのたたかいの後半こうはんからA3E8がくわわった。
それまでの航空機こうくうきようエンジンの流用りゅうようから、フォードしゃ戦車せんしゃよう開発かいはつしたGAAえきひやVがた8気筒きとうエンジン(450馬力ばりき搭載とうさい、M4やM4A1の空冷くうれいほしがたエンジンよりも整備せいびせい低速ていそくのトルクでまさり、かくエンジンのなかもっと評判ひょうばんかったためアメリカぐん主力しゅりょく戦車せんしゃとして優先ゆうせんてき供給きょうきゅうされた。
大戦たいせんちゅう他国たこくおくられた台数だいすうきわめてすくないが、戦後せんご余剰よじょうとなってからは大量たいりょう供与きょうよされた。前面ぜんめん装甲そうこういちまいばん湿式しっしき弾薬だんやく後期こうきがた車体しゃたいはじめて採用さいようされ、デトロイト戦車せんしゃ工廠こうしょうやグランド・ブランク戦車せんしゃ工廠こうしょう製造せいぞうされた。M4戦車せんしゃ系列けいれつとしては後発こうはつであるためフォードしゃ製造せいぞう前期ぜんきがた車体しゃたい左右さゆうスポンソンの前方ぜんぽうのぞ車体しゃたい前面ぜんめん装甲そうこうは、いたじょう鋳造ちゅうぞう装甲そうこうさんまいわせ)は比較的ひかくてきすくなく(1,690りょう)、 おも本土ほんどでの訓練くんれんよう使つかわれた。
べいぐんでは本土ほんど訓練くんれんえた部隊ぶたい新車しんしゃあたえられ前線ぜんせんおくられるため、実戦じっせん参加さんかしたA3がたほとんどは後期こうきがた車体しゃたいだった。ヨーロッパ戦線せんせんでは75mm、76mmほうがたともに1944ねんなつ以降いこう供給きょうきゅうされたのはほとんどこのA3がたで、かずうえ主力しゅりょくしてからの本格ほんかくてき実戦じっせんバルジのたたか太平洋たいへいようでは硫黄いおうとうたたかからであった。またのち前期ぜんきがた車体しゃたいも681りょうがオーバーホールされ、ダックビル追加ついかなどのE9がた改修かいしゅうけて一部いちぶ前線ぜんせんおくられている。
75mmほうがたは1942ねん6がつ-1945ねん5がつまでに4,761りょう、76.2mmほうがたは1944ねん3がつ-よく4がつまでに4,542りょう、105mmほうがたは1944ねん3がつ-よく6がつまでに3,039りょう生産せいさん当初とうしょ、75mmほうがたおお部隊ぶたい配備はいびされていたが、バルジのたたかいでの苦戦くせんのち対戦たいせんしゃ戦闘せんとう能力のうりょくたか戦車せんしゃもとめられた結果けっかわたしが中止ちゅうしされた600りょうもの余剰よじょう75mmほうがた兵器へいき集積しゅうせきしょにあふれ、76mmほうがた配備はいびすう急増きゅうぞうした。一方いっぽう太平洋たいへいよう戦域せんいき陸軍りくぐん海兵かいへいたいには75mmほうがたのみがおくられている。
イギリスぐん名称めいしょうは「シャーマンIV」だが、サンプルとしておくられただけで、部隊ぶたい配備はいびはされていない。
M4A3E2(ジャンボ)
 
M4A3E2。この展示てんじ車輌しゃりょうではダックビルが装着そうちゃくされていない
M4A3の装甲そうこう強化きょうかがた。「ジャンボ」という名称めいしょうは、戦後せんごけられたニックネームである。グランド・ブランク戦車せんしゃ工廠こうしょうによる生産せいさんすうは254りょうほどとすくないが、ぼうたて177mm、砲塔ほうとう側面そくめん152mm、のじゅう装甲そうこうかして、ドイツの対戦たいせんしゃほうけていそうな場所ばしょ突破とっぱするために重宝ちょうほうされた。
100りょう以上いじょう現地げんち主砲しゅほうを76.2mmほうかわそうしているが、装甲そうこう強化きょうかした76.2mmよう砲塔ほうとう歩兵ほへい支援しえん陣地じんち攻撃こうげきてきした75mmほう装備そうびしていたので容易よういであった。重量じゅうりょう増加ぞうかがった接地せっちあつげるために、くつたいわきに「ダックビル」とばれるアタッチメントを装着そうちゃくしている。
M4A3E4
 
75mmほうを76mmほうかわそうしたM4A3E4
朝鮮ちょうせん戦争せんそう当時とうじ北朝鮮きたちょうせんのT-34-85に対抗たいこうするため、東京とうきょう赤羽あかはねデポで進駐軍しんちゅうぐんの75mmほう搭型を76.2mmほうえたもので「赤羽あかはねスペシャル」とばれていたが、戦場せんじょう投入とうにゅうされる機会きかいはなかったという[54]のちおな改造かいぞうほどこされたものがユーゴスラビア供与きょうよされ、映画えいが戦略せんりゃくだい作戦さくせん』でその姿すがたることができる。
M4A3E8(イージーエイト)
 
M4A3E8
 
陸上りくじょう自衛隊じえいたいのM4A3E8
E8とはHVSS装備そうび付加ふかされる型式けいしきめいだが、大戦たいせんちゅう兵站へいたん品目ひんもくめいでは「M4A3(76mm 24インチはばくつたい)」とばれており、「イージーエイト」の通称つうしょう戦後せんごになってからひろまったものである。
デトロイト戦車せんしゃ工廠こうしょうせい。M4系列けいれつのアメリカぐんでの最終さいしゅうがたで、バルジのたたかいの後半こうはんから登場とうじょうした。1944ねん8がつ-1945ねん9がつまでに2,539りょう生産せいさんされた。もとになったM4A3(76)Wは、試作しさく戦車せんしゃT23から流用りゅうようされた砲塔ほうとうに52口径こうけい76.2mm戦車せんしゃほうM1A2を搭載とうさいしている。車体しゃたい前面ぜんめん装甲そうこういちまいいたにして生産せいさんせいたいだん性能せいのう向上こうじょうさせ、湿式しっしき弾薬だんやくそなえる後期こうきがたである。大戦たいせん末期まっき、ドイツ国内こくない侵攻しんこうしただい3ぐん所属しょぞく車輌しゃりょうには、撃破げきはされたシャーマンのスクラップからった装甲そうこう溶接ようせつ車体しゃたい前面ぜんめん防御ぼうぎょりょく強化きょうかしたものおおられる。
懸架けんか装置そうちはそれまでのVVSSからHVSSに変更へんこうされくつたいはばひろくなり接地せっちあつ低下ていかあわせてフェンダーが増設ぞうせつされている。戦後せんごになってから他国たこく供与きょうよされたA1-A4がたおおくも同様どうようにHVSSのE8仕様しよう改修かいしゅうされている。朝鮮ちょうせん戦争せんそうではT-34-85と交戦こうせんおなじエンジンでおもM26より、やまがちな地形ちけい朝鮮ちょうせんでは機動きどうせいたかいことからさい評価ひょうかされた。1954ねんからは陸上りくじょう自衛隊じえいたい[53]、また、NATO諸国しょこくなど親米しんべい国家こっかにも供与きょうよされた。イスラエルでも少数しょうすう使つかわれているが、時期じきてきにアメリカぐんからの供与きょうよではなく、スクラップヤードや各国かっこく余剰よじょうひんからあつめたなかのM4A3(76)WをE8したものとおもわれる。
なお、“イージーエイト”の呼称こしょうについて「操作そうさ簡単かんたん(Easy)だから」とするのはあやまり。NATOフォネティックコード採用さいようする以前いぜんのアメリカぐんしきフォネティックコードの“E”のみが“イージー”であり、それにもとづくみというのがただしい。
M4A4
 
ビルマ方面ほうめんにおける、国民こくみん革命かくめいぐん供与きょうよされたシャーマンV(M4A4)
デトロイト戦車せんしゃ工廠こうしょう製造せいぞうクライスラーA-57「マルチバンクエンジン」を搭載とうさいしたかた。これは従来じゅうらい搭載とうさいされていたコンチネンタルR-975空冷くうれいほしがたエンジンが、練習れんしゅうけを優先ゆうせんするために供給きょうきゅう不足ふそくとなり、そのためM3A4よう設計せっけいされたもので、バスよう生産せいさんされていた直列ちょくれつ6気筒きとうガソリンエンジン5扇形せんけいたばねて連結れんけつしたふくれつ30気筒きとうえきひやガソリンエンジンである。30気筒きとうというほかれいない構成こうせいのため整備せいびせいには問題もんだいがあり、点火てんか時期じきやベルトの調整ちょうせい方法ほうほうなど高度こうど教本きょうほんすることでろうとした。
おおくがイギリスぐん供与きょうよされ「シャーマンV」と呼称こしょうされたが、どう時代じだいのイギリスせい戦車せんしゃくらべれば故障こしょうすくなく運用うんよう実績じっせきかったようである。イギリスぐん以外いがいにもカナダぐん自由じゆうポーランドぐん自由じゆうフランスぐん中国ちゅうごく国民党こくみんとうぐんにも供与きょうよされ、アメリカぐんでは本国ほんごくでの訓練くんれんようにのみ使つかわれた。エンジンルームの関係かんけいでこのかたとA6がたのみかたより全長ぜんちょうがわずかにながい。前期ぜんきがた車体しゃたい左右さゆうスポンソンの前方ぜんぽうのぞ車体しゃたい前面ぜんめん装甲そうこうは、いたじょう鋳造ちゅうぞう装甲そうこうさんまいわせ)のみで後期こうきがた車体しゃたいや76.2mmほう搭型、湿式しっしき弾薬だんやくく、デファレンシャルカバーはさん分割ぶんかつタイプのみである。デトロイト戦車せんしゃ工廠こうしょうで1942ねん6がつ-よく8がつまでに7,499りょう生産せいさんされた。
なお戦後せんごフランスではM4A4のエンジンをコンチネンタルR-975にかわそうし、おなじくフランス陸軍りくぐん配備はいびされていたM4A1(76)Wと統一とういつ、M4A4Tと呼称こしょうされた。これはエンジングリルのハッチもM4/M4A1同様どうようになっており、外見がいけんからも識別しきべつできる。
M4A5
カナダ国産こくさん装甲そうこう戦闘せんとう車両しゃりょうとして独自どくじ生産せいさんしたラム巡航じゅんこう戦車せんしゃにアメリカ陸軍りくぐん軍需ぐんじゅあたえた形式けいしき番号ばんごうM3をベースに独自どくじ開発かいはつしたものだが、パーツのおおくをアメリカから供給きょうきゅうけたこともあり、M4に酷似こくじしている。その生産せいさんグリズリー巡航じゅんこう戦車せんしゃ(M4A1のライセンス生産せいさん)へと移行いこうした。
M4A6
 
M4A6
試作しさく名称めいしょうM4E1。生産せいさん終了しゅうりょうするA4をコンポジット車体しゃたいにして、キャタピラーしゃせい空冷くうれいほしがたディーゼルエンジンにかわそうしたもの。1943ねん8がつから翌年よくねん2がつまで、デトロイト戦車せんしゃ工廠こうしょうで75りょうのみ生産せいさんされ、すべてアメリカ国内こくないでの訓練くんれんようとなった。

派生はせいがた

編集へんしゅう
M4 105mm 突撃とつげき戦車せんしゃ
 
M4A3E8(105)HVSS 突撃とつげき戦車せんしゃ
105mm榴弾りゅうだんほうM4搭載とうさいした車輌しゃりょう
機甲きこう部隊ぶたい使用しようする、機甲きこう歩兵ほへい援護えんごする支援しえん戦車せんしゃとして開発かいはつされた。歩兵ほへい支援しえんだけでなく分厚ぶあつぼうだてだい口径こうけいほうかした敵陣てきじん突破とっぱ対戦たいせんしゃ戦闘せんとう先鋒せんぽうとして活躍かつやくした[55]当初とうしょは75mmほう搭載とうさいがた同時どうじ生産せいさん開始かいしされる予定よていだったが、先述せんじゅつとおり、ほうちゅう退すさうつわ不具合ふぐあいによって開発かいはつ遅延ちえんし、さらにほう安定あんてい装置そうち砲塔ほうとう旋回せんかいモーターの省略しょうりゃくといった事情じじょうから生産せいさん時期じきさきばしにされている。
1942ねんに2りょうのM4A4を改修かいしゅうし105mm榴弾りゅうだんほう搭載とうさいする改造かいぞうおこなわれ、M4A4E1形式けいしきめいけられアバディーン性能せいのう試験場しけんじょうでテストがおこなわれた。この試験しけんほうちゅう退すさうつわ不具合ふぐあい判明はんめいし、改良かいりょうしたほう本体ほんたいほうぼうたてをM4初期しょきがた搭載とうさいしたものが1943ねんM4E5形式けいしきめいでテストされ、制式せいしき承認しょうにんされ量産りょうさんされることになった。
量産りょうさんがた空冷くうれいほしがたガソリンエンジンで後期こうき仕様しようラージハッチ車体しゃたいM4(105)、これをHVSSサスペンションに改修かいしゅうしたM4(105)HVSS、Vがた8気筒きとうガソリンエンジンのM4A3(105)、これをHVSSサスペンションに改修かいしゅうしたM4A3(105)HVSS存在そんざいし、1944ねん2がつから生産せいさん開始かいしし、1945ねん3がつまでにけい4,680りょう完成かんせいした。
かく型式けいしき生産せいさんすうはM4(105)が800りょう、M4(105)HVSSが841りょう、M4A3(105)が500りょう、M4A3(105)HVSSが2,539りょうである。
イギリスぐん呼称こしょうではM4(105)がシャーマンIB、M4(105)HVSSがシャーマンIBY、M4A3(105)がシャーマンIVB、M4A3(105)HVSSがシャーマンIVBYとなる。
グリズリー巡航じゅんこう戦車せんしゃ
 
グリズリー巡航じゅんこう戦車せんしゃ
くつたいはカナダ軍用ぐんよう独自どくじのシングルピンがた
Cruiser Tank Grizzly Mk.I
M4A1(シャーマンII)をカナダのモントリオール・ロコモーティブ・ワークスでライセンス生産せいさんするにたり、装備そうびひんなどの規格きかくイギリス・カナダにわせるためのあらため設計せっけいおこなった車輌しゃりょう砲塔ほうとう後部こうぶにNo.19がた無線むせん格納かくのうするためのしをもうけたり、2インチ発煙はつえんだん発射はっしゃなどが増設ぞうせつされている。
大量たいりょう生産せいさん予定よていされていたが、イギリスぐんけに特別とくべつなシャーマンを生産せいさんすることは効率こうりつだと判断はんだんされ、生産せいさんは188りょうまった。おおくはイギリスぐん訓練くんれんよう戦車せんしゃとしてもちいられた。
セクストンIIはしほう
 
セクストンはしほう
ラム巡航じゅんこう戦車せんしゃ車台しゃだい流用りゅうようした25ポンドほう搭載とうさいのセクストンIはしほうわる、グリズリー巡航じゅんこう戦車せんしゃ車台しゃだい流用りゅうようした後期こうき生産せいさんがた。カナダぐんとイギリスぐん運用うんようされた。
スキンク対空たいくう戦車せんしゃ
グリズリーIに20mm機関きかんほう4もん搭載とうさいした対空たいくう戦車せんしゃ。3りょう製造せいぞうされた時点じてんでキャンセルされた。
シャーマン ファイアフライ
 
シャーマン ファイアフライVC
車体しゃたい機関きかんじゅう撤去てっきょされ、乗員じょういんがいなくなった場所ばしょ弾薬だんやくになっている
Sherman Firefly
イギリスぐんがシャーマンを改造かいぞうして17ポンドほう搭載とうさいしたもの。
75mmほう装甲そうこう貫通かんつう能力のうりょくひくいため、じゅう装甲そうこうのドイツぐん戦車せんしゃ対抗たいこうして75mm砲塔ほうとう改造かいぞうして17ポンド(76.2mm)対戦たいせんしゃほう搭載とうさいした。前期ぜんきにはM4A4(シャーマンV)、後期こうきには前期ぜんきがた車体しゃたいまたはハイブリッド車体しゃたいのM4(シャーマンI)から改造かいぞうされた。少数しょうすうながらA2やA3からの改造かいぞう車両しゃりょうもある。
じゅう戦車せんしゃ仕留しとめることが可能かのう火力かりょくはドイツぐんにとって脅威きょういであり優先ゆうせん撃破げきは目標もくひょう指定していされたため、通常つうじょうの75mmほうがたシャーマンのうしろにいて駆逐くちく戦車せんしゃてきもちいられた。ミハエル・ヴィットマンティーガーI撃破げきはしたのもこのファイアフライである。
M10ウルヴァリン/M36ジャクソン
 
M36ジャクソン 駆逐くちく戦車せんしゃ
M4車体しゃたいをベースにした駆逐くちく戦車せんしゃ
M35 装甲そうこう牽引けんいんしゃ
M10の砲塔ほうとう撤去てっきょした砲兵ほうへいトラクター重砲じゅうほう牽引けんいんよう高速こうそく牽引けんいんしゃ不足ふそくおぎなうためにM10から改造かいぞうされて製造せいぞうされた。
M7プリースト 105mmはし榴弾りゅうだんほう
 
M7B1プリースト
はし105mm榴弾りゅうだんほうくるま初期しょきがたはM3ベースだが、改良かいりょうがたのB1/B2はM4ベースとなっている。
M7カンガルー 装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそうしゃ
主砲しゅほう撤去てっきょしたM7プリーストを装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそうしゃとして使用しようしたもの。カナダぐん使用しようされた。"カンガルー"のばれるのはM7をベースとした車両しゃりょうだけではなく、ラム巡航じゅんこう戦車せんしゃチャーチル歩兵ほへい戦車せんしゃからも製造せいぞうされている。
M32 戦車せんしゃ回収かいしゅうしゃ
 
M32B2 戦車せんしゃ回収かいしゅうしゃ
砲塔ほうとう撤去てっきょして砲塔ほうとうがた戦闘せんとうしつ旋回せんかいはできない)を設置せっちし、ウィンチと回収かいしゅうようクレーンを装備そうびした車輌しゃりょうイスラエル退役たいえきしたM1/M50一部いちぶ同様どうよう改造かいぞうほどこしている。
M34 装甲そうこう牽引けんいんしゃ
M32のクレーンを撤去てっきょした砲兵ほうへいトラクター重砲じゅうほう牽引けんいんよう高速こうそく牽引けんいんしゃ不足ふそくおぎなうためにM32から改造かいぞうされて製造せいぞうされたが、実戦じっせんではほとんど使つかわれなかった。
シャーマンDD
 
シャーマンDD
防水ぼうすいスクリーンをげた状態じょうたい
ShermanDD(Duplex Drive)
イギリスぐんノルマンディー上陸じょうりく作戦さくせんのために開発かいはつした水陸すいりく両用りょうよう戦車せんしゃ
車体しゃたい周囲しゅうい展開てんかいする防水ぼうすいスクリーンと、後部こうぶ誘導ゆうどう駆動くどうする推進すいしんようプロペラ2そなえていたが、沖合おきあいから発進はっしんせざるをなかったDDの大半たいはんなみこうむって水没すいぼつした。
シャーマン・カリオペ
 
シャーマン・カリオペ
(ロケットランチャー射撃しゃげき)
砲塔ほうとうじょうにT34多連装たれんそうロケットほう搭載とうさいした火力かりょく支援しえん車両しゃりょうてつパイプせいのロケットランチャーは投棄とうき可能かのうで、砲塔ほうとうによる旋回せんかいおよび、砲身ほうしん連動れんどうしてのおおせ俯角ふかく可能かのうだった。
シャーマン・チューリップ
砲塔ほうとう側面そくめん航空機こうくうきようRP-3ロケットだん発射はっしゃ装着そうちゃくした火力かりょく支援しえん車両しゃりょうで、イギリスぐん使用しようされた。
シャーマンフレイル
 
シャーマンフレイル
地雷じらい処理しょりようのチェーンローラーを装備そうびした車輌しゃりょう。シャーマン・クラブとも。
シャーマン・クロコダイル
火炎かえん放射ほうしゃ戦車せんしゃ車体しゃたい前面ぜんめん火炎かえん放射ほうしゃ搭載とうさいし、うしろに火炎かえん放射ほうしゃよう燃料ねんりょうんだ2りんトレーラーをいている。主砲しゅほう装備そうびされており、普通ふつう戦車せんしゃとしても使つかえる。
シャーマンARV
イギリスぐんがシャーマン戦車せんしゃ改造かいぞうして製作せいさくした装甲そうこう回収かいしゅうしゃ砲塔ほうとう撤去てっきょして回収かいしゅう機材きざい搭載とうさいしたSherman ARV.I砲塔ほうとう撤去てっきょして砲塔ほうとうせた戦闘せんとうしつ設置せっちしたSherman ARV.IIがある。
なお、イギリスぐん供与きょうよされたM32戦車せんしゃ回収かいしゅうしゃSherman ARV.IIIばれた。

イスラエルでの改造かいぞう車両しゃりょう

編集へんしゅう
M1スーパーシャーマン
 
M1スーパーシャーマン
フランスぐん使用しようしていた中古ちゅうこのM4A1(76)WおよびM4A1E8を、イスラエルが60りょう(250りょう程度ていどとする資料しりょうる)ったものが、それまで使用しようしていた75mmほう搭載とうさいがたとの差別さべつのため、搭載とうさいほうが76mm戦車せんしゃほうM1であることからこうばれた。
だい中東ちゅうとう戦争せんそう投入とうにゅうされた当時とうじは、あしまわりがVVSSのものとHVSSのものが混在こんざいして使つかわれているのが確認かくにんできる。これらはのちすべてHVSSされ、さらにM51にだい改造かいぞうされた。M51に改造かいぞうされずにのこった一部いちぶ車両しゃりょうは、だいよん中東ちゅうとう戦争せんそうときにドーザーブレードを装着そうちゃくした支援しえん車両しゃりょうとして使用しようされた。
M50スーパーシャーマン
 
M50スーパーシャーマン
イスラエル国防こくぼうぐん(IDF)が改修かいしゅうしたシャーマン。世界中せかいじゅうからだい一線いっせん退しりぞいた各種かくしゅシャーマン(M50に改造かいぞうされたものはA4がもっとおおい)をあつめ、砲塔ほうとうフランスAMX-13おなだか初速しょそくの75mmほう搭載とうさい砲身ほうしんちょうわせて砲塔ほうとう後部こうぶカウンターウエイト延長えんちょうされている。また、後期こうきには懸架けんか装置そうちをHVSSにかわそうし、エンジンをカミンズせいディーゼルエンジンかわそうしている。
M51スーパーシャーマン
 
M51スーパーシャーマン
75mm砲塔ほうとうがたがベースのM50にたいし、76mmほう搭型のM1シャーマンにフランスがAMX-30よう開発かいはつしたCN105・F1がた56口径こうけい105mm戦車せんしゃほう砲身ほうしん短縮たんしゅくがた原型げんけいの56口径こうけいから44口径こうけい変更へんこう)を搭載とうさいし、エンジンもカミンズVT8-460ディーゼルエンジンにかわそうしている。
重量じゅうりょうバランスをるため砲塔ほうとう後方こうほう延長えんちょうし、またほうこうには反動はんどうおさえるべく板金ばんきん溶接ようせつせい巨大きょだいマズルブレーキ装着そうちゃくしたが、それでも105mmほう反動はんどう強烈きょうれつであるため、停車ていしゃし、ギアをニュートラルにれて車体しゃたい全体ぜんたい反動はんどう吸収きゅうしゅうして射撃しゃげきしたという。また、少数しょうすうではあるが鋼板こうはん溶接ようせつ車体しゃたいのM4A3E8をベースに改造かいぞうしたものもある。
だいさん-だいよん中東ちゅうとう戦争せんそうT-34-85T-54/55T-62などを相手あいて奮戦ふんせんした。なお一部いちぶ資料しりょうプラモデル商品しょうひんめいなどにられる「アイシャーマン」という呼称こしょうは、M50との区別くべつのために西側にしがわジャーナリストが勝手かって命名めいめいしたもので、実際じっさいにはそうばれていない。
M60
M50/M51の主砲しゅほうしん開発かいはつのイスラエルせい60mm高速こうそくほうかわそうしたものチリ陸軍りくぐん売却ばいきゃくされ、現在げんざい使用しようされている。
M50 155mmはし榴弾りゅうだんほう
 
M50 155mmはし榴弾りゅうだんほう
M4A4のエンジンを前部ぜんぶ補助ほじょ操縦そうじゅうせき部分ぶぶんうつして、オープントップの後部こうぶにフランスせいM50 155mm榴弾りゅうだんほう搭載とうさいしたはし榴弾りゅうだんほうのちにHVSSとカミンズエンジンにかわそうされたがソルタムL33 155mmはし榴弾りゅうだんほうM107 175mmはしカノンほう更新こうしんされ、一部いちぶ車体しゃたい装甲そうこう救急きゅうきゅうしゃ改造かいぞうされた。
ソルタムL33 155mmはし榴弾りゅうだんほう
 
L33 155mmはし榴弾りゅうだんほう
イスラエルのソルタムしゃ余剰よじょうしたM50/M51を改造かいぞうしたはし榴弾りゅうだんほう密閉みっぺいしき戦闘せんとうしつもうけ、ソルタム・システムズせい33口径こうけいM68 155mm榴弾りゅうだんほう搭載とうさいだんすう60はつうち16はつそくよう弾薬だんやく収容しゅうよう)を搭載とうさい。200輛前改造かいぞうされてだいよん中東ちゅうとう戦争せんそう使用しようされた。
マクマト 160mmはし迫撃はくげきほう
 
マクマト 160mmはし迫撃はくげきほう
ソルタムしゃがM50/M51を改造かいぞうしたはし迫撃はくげきほう車体しゃたい大型おおがた戦闘せんとうしつ改装かいそうソルタム・システムズせいM66 160mm迫撃はくげきほう搭載とうさいだんすう56はつ)を搭載とうさいしたものである。
シャーマンMRL
砲塔ほうとうはずして多連装たれんそうロケットほう装備そうびした車輌しゃりょう
鹵獲ろかくしたソ連それんせい多連装たれんそうロケットほうBM-24カチューシャ)のロケットだんをコピーした240mmロケットだん36連装れんそうランチャーを搭載とうさいしたMAR-240と、290mmロケットだん4連装れんそうランチャーを搭載とうさいしたMAR-290とが存在そんざいする。
MAR-290にはショットもとにした車輌しゃりょう存在そんざいするがMLRS更新こうしんされて現役げんえき装備そうびからはずされた。
キルション
 
キルション
砲塔ほうとうはずしてAGM-45 シュライクたいレーダーミサイル発射はっしゃ装備そうびした車輌しゃりょう
トレイルブレイザー
 
トレイルブレイザー
スーパーシャーマンの車体しゃたい大型おおがたクレーンを搭載とうさいした装甲そうこう回収かいしゅうしゃ

このほかにも、フランスのBatignolle-Chatillonしゃによる改造かいぞうで、シャーマンの車体しゃたいフランスせいAMX-13けい戦車せんしゃ砲塔ほうとう搭載とうさいした「ニコイチ戦車せんしゃエジプトぐん配備はいびされ、だい中東ちゅうとう戦争せんそうでイスラエル国防こくぼうぐんがM4A1(76)の砲塔ほうとうにAMX-13の主砲しゅほう搭載とうさいしたM50スーパーシャーマン交戦こうせんした。これはM4A1後期こうきがた車体しゃたい使つかった試作しさくがた「M4A1 Revalorisé FL10」が最初さいしょつくられ、のちにM4A4の車体しゃたいにM4A2ようディーゼルエンジンせて改修かいしゅうしたものが、1955ねんごろにエジプトに売却ばいきゃくされた。

登場とうじょう作品さくひん

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 南北戦争なんぼくせんそうどき将軍しょうぐんであったウィリアム・シャーマン由来ゆらいする。この通称つうしょうは、もとイギリスぐんがつけたものでアメリカぐんでは非公式ひこうしきであったが、兵士へいしあいだでは使つかわれることもおおかった。
  2. ^ おなじエンジンを搭載とうさいするM18ヘルキャットは、ユニバーサルジョイントをかいしてシャフトが水平すいへいであるため設置せっち場所ばしょがり、くるまだかも10cmほどひくくなっている。
  3. ^ Vertical Volute Spring Suspension, 垂直すいちょく渦巻うずまきスプリングしきサスペンション。左右さゆうびたアームの中心ちゅうしん渦巻うずまがたのスプリングを内蔵ないぞうし、車体しゃたいとサスペンションユニットが独立どくりつしていることから破損はそん整備せいびとも改良かいりょうがたへの交換こうかん比較的ひかくてき容易よういという利点りてんつ、複数ふくすうてんを1つのユニットとしたボギーしき
  4. ^ Holizontal Volute Spring Suspension, 水平すいへい渦巻うずまきスプリングサスペンション。くつたいはばを2ばいじゃく大幅おおはば拡大かくだいうたて左右さゆうじゅう配置はいちすることで接地せっちあつひくおさえることに成功せいこうした。
  5. ^ 100りょうほどの76 mm
  6. ^ 1はつのパンツァーファウストで40土嚢どのうやぶれた反面はんめん側面そくめん装甲そうこうにひびがはいった程度ていどまった。
  7. ^ それどころか新型しんがた戦車せんしゃの90mmほう搭載とうさいめさせ、75/76mmほうえるように指示しじさえしていた。
  8. ^ イスラエルからの鹵獲ろかく
  9. ^ 以前いぜんは75mm砲塔ほうとうのA1に後期こうきがた車体しゃたいいとおもわれていたが、実際じっさいはプレスド・スティールカーしゃせいM4A1(75)・シリアルナンバー37800-37899のあいだの100りょうほどが後期こうきがた車体しゃたいつくられていた。これらが実戦じっせん部隊ぶたい運用うんようされている写真しゃしんもあり、また一部いちぶがシャーマンDDに改造かいぞうされ、訓練くんれんちゅう水没すいぼつ戦後せんごきあげられた1りょう現存げんそんしている。

出典しゅってん

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  5. ^ だい日本にっぽん絵画かいが世界せかい戦車せんしゃイラストレイテッド29 M4(76mm)シャーマンちゅう戦車せんしゃ 1943-1965』5ぺーじ。ただし、対象たいしょう装甲そうこうばん種類しゅるいおよ角度かくど不明ふめいである。
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参考さんこう文献ぶんけん

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  • アルゴノート編集へんしゅう『PANZER(パンツァー) 2020ねん01がつごうアルゴノート〈PANZER〉、2019ねんASIN B07ZLJXKBQ 
  • 下田しもだ四郎しろう『サイパン戦車せんしゃせん光人みつひとしゃ光人みつひとしゃNF文庫ぶんこ〉、2014ねんISBN 4769821050 
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  • ウィンストン・チャーチルだい世界せかい大戦たいせん〈3〉だい同盟どうめい佐藤さとう亮一りょういち わけ)、河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、1975ねんASIN B000J9EIUK 
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  • ハインツ・ヴェルナー・シュミット しる清水しみず政二まさじ やく『ロンメル将軍しょうぐん : 砂漠さばくのキツネ』角川かどかわ文庫ぶんこ、1971ねんNCID BN11409565 
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  • 増補ぞうほ改訂かいてい新版しんぱん ちょう最新さいしんゴジラ大図おおずあきら企画きかく構成こうせい編集へんしゅう 安井やすい尚志ひさしクラフトだん)、バンダイ〈エンターテイメントバイブルシリーズ50〉、1992ねん12月25にちISBN 4-89189-284-6 

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