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盗聴 - Wikipedia

盗聴とうちょう

無関係むかんけい第三者だいさんしゃ秘密ひみつおこな録音ろくおん

盗聴とうちょう(とうちょう)とは、会話かいわ通信つうしんなどを、当人とうにんらにられないようにそれらがはっするおとこえをひそかに聴取ちょうしゅ録音ろくおんする行為こういである。聴取ちょうしゅした音声おんせいから様々さまざま情報じょうほう収集しゅうしゅうし、関係かんけいしゃとう動向どうこうさぐ目的もくてきもちいられることもある。

ヴァルトミュラーぬすきされた恋人こいびとたち(くちづけ)』

盗聴とうちょうとプライバシーけん

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盗聴とうちょうはプライバシーけん侵害しんがい一種いっしゅである。盗聴とうちょう定義ていぎするにあたってはプライバシーとの関係かんけい重要じゅうようとなる。

これまで、憲法けんぽう保障ほしょうされる「住居じゅうきょ」「書類しょるい」「所持しょじひん」など(これらを憲法けんぽうじょう保護ほごされた領域りょういきという)が伝統でんとうてきなプライバシーけんとされてきたが、技術ぎじゅつ発展はってんともないこれらの基準きじゅん通用つうようしなくなった。そのためにあらたなプライバシーけん基準きじゅん確立かくりつもとめられていた。そのさなか、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく発生はっせいしたカッツ(キャッツ)事件じけん[1]で、警察官けいさつかんおこな電話でんわ傍受ぼうじゅかんしてプライバシーけんおよぶかが問題もんだいとなった。米国べいこく最高裁判所さいこうさいばんしょのハーラン裁判官さいばんかんは、補足ほそく意見いけんとしてつぎ要件ようけん提示ていじ[2]した。

  • プライバシーの主観しゅかんてき期待きたい(プライバシーの事実じじつじょう期待きたい
  • プライバシーの客観きゃっかんてき期待きたい(プライバシーの合理ごうりてき期待きたい

これがのち合衆国がっしゅうこく最高裁さいこうさい法廷ほうてい意見いけんとなった。昨今さっこん日本にっぽんにおける法学ほうがくでは、プライバシーけんかんがえるさいにはこの要件ようけん参考さんこうにしている。

態様たいよう

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旧来きゅうらい家屋かおく侵入しんにゅうし、屋内おくない様子ようす直接ちょくせつぬす方法ほうほうられていたが、無線むせん機器きき小型こがた高性能こうせいのうともなって、それらをもちいて盗聴とうちょうする様式ようしき無線むせん盗聴とうちょう)が一般いっぱんてきとなっている。また、物音ものおと反応はんのうして録音ろくおん開始かいしするテープレコーダーひとし記録きろく機器ききもちいることもあるが、この記録きろく機器ききかんしても小型こがた高性能こうせいのうすすんでいる。まどガラスなど物体ぶったい表面ひょうめん振動しんどう光線こうせん計測けいそくして、その振幅しんぷく変調へんちょう音声おんせいとして出力しゅつりょくさせる技術ぎじゅつ実用じつようされている[3]

盗聴とうちょう通信つうしん販売はんばい専門せんもんてんとう店頭てんとう販売はんばいされており、私的してき趣味しゅみ個人こじんてき愛憎あいぞう関係かんけい怨恨えんこんでこれら機器きき購入こうにゅうした個人こじんが、他人たにん家屋かおくやホテルなどに設置せっちしてまわっているケースも多数たすうほうじられている。また、なかには盗聴とうちょうマニアとばれる趣味しゅみ盗聴とうちょうおこなものもいるとされ、それら盗聴とうちょうマニアが賃貸ちんたい住宅じゅうたくホテル盗聴とうちょう設置せっちするケースもある(おおくのもの無線むせん盗聴とうちょうからながされる電波でんぱ傍受ぼうじゅするのみである)。

盗聴とうちょう捜索そうさく除去じょきょおこな専門せんもん業者ぎょうしゃ存在そんざいする。

目的もくてき

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家庭かていない浮気うわき調査ちょうさから企業きぎょうない動向どうこう調査ちょうさ国家こっかあいだ諜報ちょうほう合戦かっせんいたるまで多岐たきおよぶ(ソ連それん時代じだいざいモスクワ外国がいこく公館こうかんすべてに盗聴とうちょう仕掛しかけられているとかんがえられていた)が、往々おうおうにしてプライバシー侵害しんがい、または国家こっか規模きぼ諜報ちょうほう合戦かっせんにおいては国家こっか威信いしんかかわるおも大事だいじ発展はってんすることもある。反面はんめん事件じけん究明きゅうめいにおけるこれら盗聴とうちょうでは、組織そしき団体だんたいたいする内偵ないてい手法しゅほうとしてもちいられ、疑獄ぎごく真相しんそうにたどりくこともある。

秋田あきたけんでは生活せいかつ保護ほご申請しんせいよう判断はんだんめぐり、2014ねん2がつ4にち市民しみん団体だんたい記者きしゃ会見かいけんおこなったさいテーブルうえ盗聴とうちょう目的もくてきでICレコーダーが設置せっちされ、どうけん福祉ふくし政策せいさく課員かいんいたものと判明はんめいしている[4]

盗聴とうちょう種類しゅるい

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電池でんちしき小型こがた無線むせんしき盗聴とうちょう
周波数しゅうはすうは、無線むせんしき盗聴とうちょうのUHF-Bチャンネルである「399.455MHz」を使用しよう

構造こうぞうワイヤレスマイクなんわらない。

電話でんわ盗聴とうちょう場合ばあい電話でんわようコネクタうち仕込しこまれることがおおいが、戸外こがい電話でんわ架線かせんより盗聴とうちょうするケースもられ、架線かせん保護ほごようもうけられる電話でんわせんヒューズボックスないに、純正じゅんせい部品ぶひん偽装ぎそうした盗聴とうちょう仕掛しかけられていた事件じけんこっている。

部屋へや物音ものおとこえしゅうおとする場合ばあい電源でんげんコンセントACアダプタ電源でんげんタップなどに仕込しこまれ、またはそれにけた製品せいひん出回でまわっている。これらは無線むせん電波でんぱもちいて発信はっしんされる。いずれも電気でんき設置せっち場所ばしょからることができるため、盗聴とうちょう回収かいしゅう不要ふようであり、半永久はんえいきゅうてき発信はっしんつづけることが可能かのうである。また、賃貸ちんたい住宅じゅうたくなどでは、まえ住人じゅうにんけていた盗聴とうちょう被害ひがいをそのままいでしまう可能かのうせいもある。

録音ろくおんしきもの電池でんち駆動くどうする種類しゅるい盗聴とうちょう一定いってい期間きかんごとに回収かいしゅう電池でんち交換こうかん必要ひつようとするが、それらは身近みぢか物品ぶっぴん仕掛しかけられていることも多々たたある。小型こがたものではきにくく発見はっけんされにくい。たとえば、電卓でんたく筆記用具ひっきようぐ小型こがた家電かでん製品せいひん置物おきものといった調度ちょうどひんなどである。

このほかおとがしないと電波でんぱ発信はっしんしないタイプもあり、これは常時じょうじ発信はっしんタイプよりも電池でんち寿命じゅみょうながく、また発信はっしんもと探知たんちむずかしい。

となり部屋へやからはっせられるこえ物音ものおと盗聴とうちょうする場合ばあいコンクリートマイクもちいられ、これはテープレコーダーやICレコーダー接続せつぞくして録音ろくおんすることができる。

高度こうどものでは、それ専用せんよう技術ぎじゅつしゃ設計せっけい開発かいはつから製作せいさくまでをおこなっており、電子でんし技術ぎじゅつ発達はったつにもともない、小型こがた軽量けいりょうてい消費しょうひ電力でんりょくすすんでいる。

よく市販しはんされている無線むせんしき盗聴とうちょうは「技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめい」をほとんどがけていない(もっとも盗聴とうちょう目的もくてき装置そうち技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいれるとはかんがえにくい)。したがって、一般いっぱんてき盗聴とうちょうとして出回でまわっているものを使用しようした場合ばあい電波でんぱほう違反いはんとなる可能かのうせいがあるとかんがえられる。ただし、無線むせんきょく免許めんきょ技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう証明しょうめいようしない「微弱びじゃく無線むせんきょく[5]もちいる方法ほうほうもあるため、(無線むせん設備せつびたる)盗聴とうちょう開設かいせつしたとしても、ただちに無線むせんきょく不法ふほう開設かいせつ電波でんぱほう違反いはんとなるとはいえず、慎重しんちょう判断はんだんようする。

あかちゃんよう監視かんしようモニターは、構造こうぞうじょう無線むせんしき盗聴とうちょうおなじなので、便乗びんじょう受信じゅしん対象たいしょうとなるので注意ちゅうい必要ひつようである。おもわぬプライバシーが筒抜つつぬけになりやすい。

無音むおん振動しんどう自動じどう着信ちゃくしん設定せっていされた携帯けいたい電話でんわしゅうおんマイクをけて、これを盗聴とうちょうとして使用しようされるケースもある。仕掛しかけた携帯けいたい電話でんわけているあいだだけ盗聴とうちょう行為こういとなる。この場合ばあい盗聴とうちょう発見はっけん業者ぎょうしゃでも見付みつけられがたい。

また、盗聴とうちょう使用しようせずレーザー光線こうせんまどなどに照射しょうしゃし、音波おんぱ振動しんどうひろ反射はんしゃ位相いそう変化へんかから音声おんせいるレーザー盗聴とうちょうシステムという技術ぎじゅつもある。遠距離えんきょりからの盗聴とうちょう可能かのう光線こうせん電波でんぱではないので、傍受ぼうじゅされることもない[6]

盗聴とうちょうかならずしも電源でんげん必要ひつようとしない

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1945ねんソ連それんからべい大使館たいしかん一抱ひとかかえほどの円周えんしゅうをもつアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくくにあきらおくられたが、大使たいしW・アヴェレル・ハリマンはそれを大使館たいしかんかべかざった。7ねんたかがらのくちばしに盗聴とうちょう発見はっけんされた。この盗聴とうちょう電波でんぱつね発信はっしんするわけではなく、バッテリーも使つかわれていなかった。かんがいから放射ほうしゃされる電波でんぱ電源でんげんとスイッチをねた。機器きき電波でんぱけると、振動しんどうばん変換へんかんされた音波おんぱひろって自動的じどうてき変調へんちょうされた電波でんぱそと発信はっしんされる仕組しくみ、つまりトランスポンダであった。

この事件じけんは、1960ねん国連こくれん大使たいしヘンリー・カボット・ロッジ・ジュニア国連こくれん席上せきじょう暴露ばくろした[7]

発見はっけん除去じょきょ

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ハンディータイプのアマチュア無線むせん、マランツC701
無線むせんしき盗聴とうちょう仕掛しか場所ばしょ特定とくていするためのフォックスハンティングのさい広帯域こうたいいき受信じゅしん画像がぞうのハンディタイプのアマチュア無線むせん受信じゅしん改造かいぞう受信じゅしん改造かいぞう合法ごうほう)したものが使用しようされる。ちなみに画像がぞう表示ひょうじされた周波数しゅうはすう399.4550MHzは無線むせんしき盗聴とうちょうのUHF-Bチャンネルとして使用しようされ、使用しよう頻度ひんどはかなりたかい。

自意識じいしき過剰かじょうストーカーは、積極せっきょくてきに「自分じぶん盗聴とうちょうしていること」を相手あいてにほのめかす場合ばあいがある。その場合ばあい盗聴とうちょう仕掛しかけられていることが予測よそくできる。しかし、ひたすらききみみてるタイプの盗聴とうちょう場合ばあいは、盗聴とうちょう存在そんざい気付きづかないケースもおおい。

電話でんわせん仕掛しかけられたタイプのものではノイズはいるなど、電話でんわ通話つうわ品質ひんしつ影響えいきょう場合ばあいもあり、不審ふしんおもって修理しゅうりんださい発覚はっかくしたケースがあるほか、FMラジオ放送ほうそうなどの帯域たいいき利用りようする市販しはん盗聴とうちょうおおく、ラジオへの混信こんしん気付きづいたケースもみられる。

無線むせんしき盗聴とうちょう場合ばあいは、ワイドバンドレシーバー広帯域こうたいいき受信じゅしん)で盗聴とうちょう電波でんぱ確認かくにんし、電波でんぱ発信はっしんげんフォックスハンティングばれる手法しゅほうで、おおよその位置いち方向ほうこう特定とくていして発見はっけんする方法ほうほうられている。

また、市販しはん盗聴とうちょうおおむ使用しようされている周波数しゅうはすうまっているため、その周波数しゅうはすうにのみ反応はんのうする比較的ひかくてき安価あんか電波でんぱ受信じゅしん市販しはんされており、その機器きき反応はんのう強弱きょうじゃく位置いち特定とくてい発見はっけんすることも可能かのうである。ラジオの放送ほうそう帯域たいいき利用りようするタイプでは、屋内おくないおとしたまま、いえそとでラジオ放送ほうそう選曲せんきょくをしてみるなどの方法ほうほう発見はっけん可能かのうである。

市販しはん無線むせんしき盗聴とうちょう使用しよう頻度ひんどたか周波数しゅうはすう

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UHFタイプ
398.605MHz(Aチャンネル)
399.455MHz(Bチャンネル)
399.030MHz(Cチャンネル)
VHFタイプ
139.970MHz(Aチャンネル)
139.940MHz(Cチャンネル)
* いずれもモードはナローFMである。

通信つうしんシステムと盗聴とうちょう

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一般いっぱんてきに「盗聴とうちょう」というと、特定とくてい個所かしょ設置せっちされた「盗聴とうちょう」ばかりが話題わだいとなるが、通信つうしんというサービスを提供ていきょうしているシステム全体ぜんたいが、その様々さまざま通話つうわ経路けいろでの傍聴ぼうちょう可能かのうである。たとえば電話でんわきょく交換こうかんには「回線かいせんモニタ」という経路けいろ付加ふかされており、本来ほんらい通話つうわ品質ひんしつをチェックするためのこの経路けいろ傍聴ぼうちょうすることは、技術ぎじゅつてきには可能かのうである。これにより「盗聴とうちょうという証拠しょうこのこさず」に盗聴とうちょう可能かのうだともかんがえられる。

電話でんわ交換こうかん電話でんわ回線かいせんきょく構内こうないにあって警備けいびされているため、こういった操作そうさおこなえるものぎゃくかぎられてしまう。日本にっぽんでは戦前せんぜん二・二六事件ににろくじけん前後ぜんごに、事件じけん関係かんけいしゃ当時とうじ陸軍りくぐんすめらぎどうにつながるとされたもの)にたいして、東京とうきょう憲兵けんぺいたい陸軍りくぐんしょう軍務ぐんむきょく事件じけん発生はっせい戒厳かいげん司令しれい当時とうじ逓信ていしんしょう協力きょうりょく電話でんわきょく電話でんわ傍受ぼうじゅ盗聴とうちょうおこなっていたことが戦後せんごあきらかになっている[8]。この行為こうい戦前せんぜんにおいても憲法けんぽうさだめられた「信書しんしょ秘密ひみつ不可侵ふかしん」をやぶるものであった[ちゅう 1]戦後せんご日本にっぽんではこういった盗聴とうちょう事件じけん報告ほうこくはない。

近年きんねん、アメリカ・イギリスがぜん世界せかいてき電子でんし盗聴とうちょうもうエシュロン」をひそかに構築こうちくしてだい規模きぼ盗聴とうちょう行為こういおこなっていることが欧州おうしゅう議会ぎかいにより告発こくはつされているほか、nytimesが2005ねん2がつ20日はつかほうじたところでは、アメリカ海軍かいぐん保有ほゆうするシーウルフきゅう原子力げんしりょく潜水せんすいかんジミー・カーター」が海底かいていケーブル傍聴ぼうちょうよう設備せつび搭載とうさいしているという。こういった活動かつどう諜報ちょうほう機関きかんなどがテロ動向どうこうさぐるためにおこなわれているともほうじられているが、日本にっぽんでも同様どうよう電子でんし盗聴とうちょうもう運用うんよう可能かのうである[9]

ただ、こういった通信つうしん経路けいろそのものを傍聴ぼうちょうする場合ばあいには、通信つうしん内容ないようによる情報じょうほう取捨選択しゅしゃせんたく必要ひつようで、現実げんじつレベルとしては膨大ぼうだいなコストがかる。何故なぜならテロリストがばくだん仕掛しかけるための指示しじ蕎麦そばへの出前でまえ注文ちゅうもんも、どちらも電話でんわ使つかえばおな通信つうしん経路けいろながるためである。こういったノイズ取捨選択しゅしゃせんたくにはたか技術ぎじゅつてきなハードルが存在そんざいし、ストーカーが意中いちゅうだれかの通話つうわぬすくためにはあまりに無駄むだおおいといえよう。これを応用おうようして、無関係むかんけい電子でんしメールのなかに「爆破ばくは」「暗殺あんさつ」「同時どうじ多発たはつ」といった単語たんごをわざと混入こんにゅうさせて特定とくていいちにち一斉いっせい発信はっしん盗聴とうちょうシステムを混乱こんらんさせる、はん盗聴とうちょうサイバーデモもおこなわれている。

ざつ情報じょうほうによる防衛ぼうえい

編集へんしゅう

盗聴とうちょうは、盗聴とうちょうされているがわ気付きづかずに重要じゅうようはなしぬすかれた場合ばあいには、非常ひじょう痛手いたでとなるが、ぎゃく盗聴とうちょうこうむっているがわ盗聴とうちょうされていることにづいている場合ばあいには、「意図いとしてにせ情報じょうほう盗聴とうちょうさせる」ことであざむくことも可能かのうである。この「にせ情報じょうほう」はだい世界せかい大戦たいせんころより通信つうしん戦術せんじゅつ戦略せんりゃくうえ重要じゅうよう役割やくわりたすようになると、意図いとしてダミー情報じょうほう流布るふさせる場合ばあいもあった[よう出典しゅってん]

こういった実際じっさいとはちがうダミー情報じょうほう流布るふは、盗聴とうちょうがわたいする牽制けんせい無駄むだうごきをいることにもつながり、盗聴とうちょうぎゃく利用りようした「攻撃こうげき」だということもできる。また通信つうしん自体じたいざつ情報じょうほうまぎませることで、情報じょうほう価値かちそこなわせることも出来できる。たとえば子供こどもなぞなぞあそびにある「たぬき」はその好例こうれいである。「たぬき:あたす、じゅたうよたじにえたきまえ」とぶんでは、そのままいたら意味いみ不明ふめいだが、「た」をく(たき)することで「明日あした、14駅前えきまえ」となるのである。諜報ちょうほう合戦かっせんでは、しばしばこれにだましあいのケースが存在そんざいした。

このほか可逆かぎゃく圧縮あっしゅくなど符号ふごうによる暗号あんごうもちいた通信つうしん有効ゆうこうである。平壌放送ぴょんやんほうそう乱数らんすう放送ほうそうも、読解どっかいよう乱数らんすうひょうければ文字もじわせが膨大ぼうだいでもあるため、傍聴ぼうちょう短波たんぱラジオさえあればだれにでも可能かのうだが、その内容ないよう解読かいどく困難こんなんになる。(→暗号あんごう

無線むせん電波でんぱ傍受ぼうじゅ

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無線むせんによっても各種かくしゅ通信つうしんおこなわれている。たとえば業務ぎょうむ無線むせん警察けいさつ無線むせん消防しょうぼう無線むせん航空こうくう交通こうつう管制かんせい、タクシー無線むせん鉄道てつどう無線むせん)、コンサート会場かいじょうなどで歌手かしゅ演奏えんそうしゃ楽器がっきけられたワイヤレスマイク身近みぢかなところでは携帯けいたい電話でんわコードレス電話でんわなどである。これらの無線むせん通信つうしん暗号あんごうされているものもあれば、暗号あんごうされていないものもある。

こうした無線むせん通信つうしん電波でんぱによっておこなわれるため、てきした受信じゅしんがあれば、電波でんぱとど範囲はんいでなら傍受ぼうじゅすることができる。受信じゅしん無線むせん機器ききあつかみせなどでだれでも購入こうにゅうすることができるので、暗号あんごうされていない無線むせん通信つうしんならば容易ようい傍受ぼうじゅすることができる。

日本にっぽん電波でんぱほうでは、たんにこれらの無線むせん通信つうしん傍受ぼうじゅ音声おんせいならくこと、画像がぞうならること)することを直接ちょくせつ禁止きんししていない。このため、日本にっぽんではだれでも合法ごうほうてきにすべての無線むせん通信つうしん傍受ぼうじゅすることができる。ただし、特定とくてい相手方あいてがたたいしておこなわれる通信つうしん傍受ぼうじゅしてその存在そんざい内容ないようだれかにらしたり、窃用(せつよう。通信つうしん内容ないよう自己じこまたは第三者だいさんしゃ利益りえきのために利用りようすること)したりすることは電波でんぱほう59じょう禁止きんしされている[10]

また、通信つうしん当事とうじしゃ以外いがいのものが暗号あんごうされている無線むせん通信つうしん傍受ぼうじゅして、その内容ないようらすまたは窃用する目的もくてきこれを復調ふくちょうしても電波でんぱほう違反いはんとなりうる[11]

関連かんれん事象じしょう

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刑事けいじ訴訟そしょうほうじょうの「盗聴とうちょう」は「公開こうかいをのぞまないひと会話かいわをひそかに聴取ちょうしゅまたは録音ろくおんすること[12]」と定義ていぎされる。この定義ていぎ対象たいしょう会話かいわ限定げんていしており、会話かいわそのままの盗聴とうちょう有線ゆうせん通信つうしん盗聴とうちょう区分くぶんされる。

盗聴とうちょう法的ほうてきには有線ゆうせん電気でんき通信つうしんほう違反いはん電気でんき通信つうしん事業じぎょうほう違反いはん電話でんわなど通信つうしん盗聴とうちょうまることは出来できるが、通信つうしん以外いがいは「盗聴とうちょう行為こういまる法律ほうりつはない[13]。しかし、警察けいさつは「盗聴とうちょう氾濫はんらん見逃みのがせない」としており、電波でんぱほう違反いはん住居じゅうきょ侵入しんにゅうざいなど様々さまざま法令ほうれい適用てきようして摘発てきはつしている[13]盗聴とうちょう事件じけん使つかわれた延長えんちょうコードきコンセントがた盗聴とうちょう販売はんばいしていた東京とうきょう千代田ちよだ業者ぎょうしゃについて、電気でんき製品せいひん刻印こくいん義務ぎむづけられている製造せいぞうしゃ番号ばんごう型式けいしき番号ばんごう盗聴とうちょう転換てんかんされるさいけずられていた電気でんき用品ようひん取締とりしまりほう違反いはん容疑ようぎ摘発てきはつしたれいもある[13]

盗聴とうちょう捜査そうさ方法ほうほうとして許容きょようされるか、許容きょようされるとしてもいかなる要件ようけんしたでか、ということについてはあらそいがあるが、捜査そうさ機関きかんによる有線ゆうせん通信つうしん盗聴とうちょう(傍受ぼうじゅ)については、日本にっぽん国内こくないでは2000ねん8がつ15にち通称つうしょう通信つうしん傍受ぼうじゅほう正式せいしき名称めいしょう犯罪はんざい捜査そうさのための通信つうしん傍受ぼうじゅかんする法律ほうりつ」)が施行しこうされ、電話でんわとう盗聴とうちょうふくめた通信つうしん傍受ぼうじゅによる捜査そうさ一定いってい要件ようけんした可能かのうとなった。この法律ほうりつでいう「傍受ぼうじゅ」とは、「げんおこなわれている他人たにんあいだ通信つうしんについて、その内容ないようるため、当該とうがい通信つうしん当事とうじしゃのいずれの同意どういないで、これをけることをいう(通信つうしん傍受ぼうじゅほう2じょう2こう)」という意義いぎである。この法律ほうりつたいしては日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい21じょうによって保障ほしょうされた通信つうしん秘密ひみつ阻害そがいされるとして反対はんたい意見いけんがある。

なお、会話かいわ当事とうじしゃ一方いっぽう相手方あいてがた同意どういずに会話かいわ録音ろくおんすることは秘密ひみつ録音ろくおんとして盗聴とうちょう区別くべつされる。

盗聴とうちょう注目ちゅうもくされた有名ゆうめい事件じけん

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 事件じけん収拾しゅうしゅう帝国ていこく議会ぎかい秘密ひみつかい)で逓信ていしんしょう戒厳かいげんれい布告ふこく傍受ぼうじゅについては戒厳かいげんれいだい14じょうの「郵信電報でんぽうひらき緘」を根拠こんきょとすると説明せつめいしたが、当時とうじ隠匿いんとくされた布告ふこくまえ傍受ぼうじゅ完全かんぜん違法いほう行為こういであった。

出典しゅってん

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  1. ^ KATZ v. UNITED STATES(389 U.S. 347)
  2. ^ KATZ v. UNITED STATES(389 U.S. 347)CONCUR/MR.JUSTICE HARLAN, concurring.
  3. ^ レーザー盗聴とうちょう装置そうち製造せいぞうしている会社かいしゃ
  4. ^ 市民しみん団体だんたい記者きしゃ会見かいけんかくしどり” ICレコーダーく 秋田あきたけん当局とうきょく県政けんせい記者きしゃかい抗議こうぎへ”. 産経新聞さんけいしんぶん. (2014ねん2がつ4にち). オリジナルの2014ねん8がつ14にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140814043244/https://sankei.jp.msn.com/politics/news/140204/lcl14020420330002-n1.htm 
  5. ^ 総務そうむしょう電波でんぱ利用りようホームページ「微弱びじゃく無線むせんきょく規定きていhttps://www.tele.soumu.go.jp/j/ref/material/rule/index.htm 「カーラジオようFMトランスミッター」や「ミニFM」などが一般いっぱんてき微弱びじゃく無線むせんきょく代表だいひょうれいである。
  6. ^ たにこし 2004, p. 152-153.
  7. ^ Pursglove SD (1966) Electronic Design 14(15):34-49.
  8. ^ 中田なかた整一せいいち盗聴とうちょう ろく事件じけん』(文藝春秋ぶんげいしゅんじゅうしゃ、2007ねん)を参照さんしょう
  9. ^ Press, The Associated (2005ねん2がつ20日はつか). “New Nuclear Sub Is Said to Have Special Eavesdropping Ability” (英語えいご). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2005/02/20/politics/new-nuclear-sub-is-said-to-have-special-eavesdropping-ability.html 2022ねん11月17にち閲覧えつらん 
  10. ^ 秘密ひみつ保護ほごだい59じょう 何人なんにん法律ほうりつ別段べつだんさだめがある場合ばあいのぞくほか、特定とくてい相手方あいてがたたいしておこなわれる無線むせん通信つうしん電気でんき通信つうしん事業じぎょうほうだい4じょうだい1こうまただい164じょうだい2こう通信つうしんであるものをのぞく。だい109じょうならびにだい109じょうの2だい2こうおよだい3こうにおいておなじ。)を傍受ぼうじゅしてその存在そんざいしくは内容ないようらし、またはこれを窃用してはならない。(“ほうもとづく別段べつだんさだめ”とは電波でんぱほうだい52じょう規定きていされる「非常ひじょう通信つうしん」、「遭難そうなん通信つうしん」、「緊急きんきゅう通信つうしん」、「安全あんぜん通信つうしん」、放送ほうそう受信じゅしんの5つのこと)
  11. ^ 電波でんぱほうだい109じょうの2  暗号あんごう通信つうしん傍受ぼうじゅしたものまた暗号あんごう通信つうしん媒介ばいかいするものであつて当該とうがい暗号あんごう通信つうしん受信じゅしんしたものが、当該とうがい暗号あんごう通信つうしん秘密ひみつらし、または窃用する目的もくてきで、その内容ないよう復元ふくげんしたときは、いちねん以下いか懲役ちょうえきまたじゅうまんえん以下いか罰金ばっきんしょする。
  12. ^ 田宮たみやひろし刑事けいじ訴訟そしょうほう[新版しんぱん]』,1996)
  13. ^ a b c 盗聴とうちょう社会しゃかい」 おっと浮気うわき調査ちょうさ部下ぶか発言はつげん監視かんし企業きぎょうスパイ あのこの摘発てきはつ 読売新聞よみうりしんぶん 1998ねん4がつ3にち

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 2007ねんラジオライフ』2がつごう付録ふろく「RADIOLIFE YEAR BOOK 2007」
  • たにこし欣司きんじ『トコトンやさしいちょう音波おんぱほん日刊工業新聞社にっかんこうぎょうしんぶんしゃ、2004ねん10がつ31にちISBN 4526053554 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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