プレスリリース

プレスリリース（英語えいご: press release）とは、報道ほうどう機関きかんに向むけた、情報じょうほうの提供ていきょう・告知こくち・発表はっぴょうのこと。「ニュースリリース」（news release）、「報道ほうどう発表はっぴょう」とも。

英語えいごの「プレス」（press）は元々もともと「新聞しんぶん」または「新聞しんぶん社しゃ」も意味いみし（それが転てんじて「報道ほうどう機関きかん」というニュアンスで用もちいて）、「リリース」（release）は「発表はっぴょう」「公開こうかい」「放出ほうしゅつ」を意味いみする。

概説がいせつ

プレスリリースの発表はっぴょうには、ファクシミリ送信そうしん、郵送ゆうそう^[1]、文書ぶんしょの直接ちょくせつ配布はいふ（投なげ込こみ）、記者きしゃ会見かいけんなどの方法ほうほうが用もちいられ、（ここ20年ねんほどでは）電子でんしメールで行おこなうことや、電子でんしメールとインターネットの自社じしゃウェブサイトの情報じょうほう掲載けいさいを組くみ合あわせて行おこなわれる割合わりあいも増ふえてきている。

企業きぎょうでは、一般いっぱん的てきに広報こうほう部門ぶもんの担当たんとう者しゃ（「広報こうほう担当たんとう（者しゃ）」）、IR部門ぶもんの担当たんとう者しゃ、マーケティング部門ぶもんの担当たんとう者しゃなどがリリースを行おこなっていることが多おおい。政府せいふなどでは、広報こうほう担当たんとう者しゃが行おこなったり、あるいは報道ほうどう官かんなどが行おこなうことがある。

プレスリリース文書ぶんしょの作成さくせい、およびそれを報道ほうどう各社かくしゃに届とどける仕事しごとを、企業きぎょうから請うけ負おっている会社かいしゃもある^[1]。

プレスリリースと報道ほうどう機関きかん側がわの選択せんたく: ほとんどのプレスリリースは、実際じっさいには記事きじにしてもらえない^[1]。発表はっぴょうする側がわの組織そしき内ないでは「重要じゅうような情報じょうほう」だと思おもわれている事柄ことがらでも、報道ほうどう機関きかんや通信つうしん社しゃに「記事きじにするに値あたいしない」（たとえば「ニュース性せいが無ない」「掲載けいさいに値あたいしない」「消費しょうひ者しゃが関心かんしんを持もっていない」など）と判断はんだんされれば、記事きじにはならない。メディアの掲載けいさい可能かのうスペースも限かぎられており、情報じょうほうを読者どくしゃや視聴しちょう者しゃに「届とどけるに値あたいするもの」と「届とどけるに値あたいしないもの」に、それぞれの判断はんだんで取捨選択しゅしゃせんたくすることも、報道ほうどう機関きかんや通信つうしん社しゃの重要じゅうような仕事しごとである。; 記事きじにするかしないかは、報道ほうどう機関きかん・通信つうしん社しゃ側がわの判断はんだんである。報道ほうどう機関きかんから見みれば、毎日まいにち多数たすうのプレスリリースが届とどいており、その中なかから記事きじにしたいものだけを選択せんたくし、それについて取材しゅざいを行おこなって記事きじにする。選択せんたくされなかったプレスリリースは保存ほぞんされ、多おおくはそのままになってしまうが、場合ばあいによってはしばらくたってから記事きじにされることもある。
プレスリリースと投資とうし: 投資とうし家かにとって、プレスリリースは投資とうし、たとえば当該とうがい会社かいしゃの株券かぶけんの売買ばいばい、当該とうがい行政ぎょうせい組織そしきの債権さいけん（国債こくさい、地方ちほう債さいなど）や通貨つうかの売買ばいばいの判断はんだんを行おこなう上うえで、重要じゅうような情報じょうほう源げんとなる。; なお上場じょうじょう企業きぎょうの場合ばあいには、証券しょうけん取引とりひき所しょの規則きそくによって決算けっさん短信たんしんの仕方しかたが定さだめられているが、この決算けっさん短信たんしんは投資とうし家かへの（直接ちょくせつの）情報じょうほう公開こうかいの機能きのうもあるうえ、プレスリリースの機能きのうを兼かねており、報道ほうどう機関きかんへの情報じょうほう開示かいじの機能きのうも果はたしている。

様々さまざまな手法しゅほう

まず、誤解ごかいを生うまないように、数すう的てきに多おおい手法しゅほう、実際じっさい的てきには最もっとも多おおく用もちいられている手法しゅほうから説明せつめいする。

FAX送付そうふ、電子でんしメール送付そうふ

世よの中なかで一番いちばん多おおく行おこなわれているプレスリリース手法しゅほうである。

“普通ふつうの”案件あんけん、よくあるような案件あんけんの場合ばあい、たとえば企業きぎょうの（しばしばありがちな）新規しんき製品せいひんや新しんサービスの発表はっぴょう、ちょっとした人事じんじ異動いどう等ひとしの場合ばあいは、ファクシミリ・電子でんしメール・手紙てがみで報道ほうどう機関きかんに送付そうふする。報道ほうどう機関きかんには一般いっぱんに、プレスリリース用ようのFAX番号ばんごうや電子でんしメールアドレスがあるので、それを調しらべて個々ここに送信そうしんする方法ほうほうがある。PR会社かいしゃの配信はいしん代行だいこうサービスを使つかい、広報こうほう資料しりょうを送おくることも可能かのうである。

記者きしゃ室しつでの「投なげ込こみ」

官公庁かんこうちょうや公社こうしゃなどの場合ばあいは、内部ないぶに記者きしゃクラブ（記者きしゃ室しつ）があるので、記者きしゃ室しつの各かく記者きしゃの机つくえの上うわや棚だなにプレスリリース文書ぶんしょを配くばることをもって「発表はっぴょう」とする方法ほうほうがある。企業きぎょうの決算けっさん発表はっぴょうでは（多数たすうの記者きしゃの出席しゅっせきが見込みこまれるような特とくに大おおきな大だい企業きぎょうを除のぞき）資料しりょう投函とうかんのみを行おこなう、という方法ほうほうがある。

自社じしゃ内ないに記者きしゃクラブを持もたない民間みんかん企業きぎょうの場合ばあいは、業種ぎょうしゅに応おうじて業界ぎょうかい団体だんたい・経済けいざい団体だんたいの記者きしゃクラブの会員かいいん企業きぎょうとなることができ、記者きしゃ室しつが設置せっちされている県庁けんちょうや市役所しやくしょ、証券しょうけん取引とりひき所しょなどの記者きしゃクラブへ出向でむいて発表はっぴょうを行おこなう方法ほうほうもある。

「投なげ込こみ」は紙かみに印字いんじされた文書ぶんしょで行おこなわれるわけだが、インターネットの利用りようが一般いっぱん化かしてからは、以下いかに説明せつめいするが、記者きしゃにとって記事きじ作成さくせい時じに文字もじデータ、グラフデータなどを使つかいやすいウェブサイト上じょうの文書ぶんしょのほうが重宝ちょうほうされるようになってきている。

ウェブページとのリンク

最近さいきんは、記者きしゃクラブで配布はいふしたのと全まったく同おなじ資料しりょうを、自社じしゃの公式こうしきウェブサイトに掲載けいさいする官庁かんちょう・企業きぎょうが多おおい。ウェブサイトの中なかにプレスリリースのコーナーを設もうけており、ウェブページをウェブブラウザーで閲覧えつらん可能かのうにすることによって、利用りよう者しゃの便びんを図はかっていることも多おおい。

記者きしゃクラブでの資料しりょう配布はいふは、それ以前いぜんに情報じょうほう公開こうかいしていないことが前提ぜんていであるため、ウェブサイトへの掲載けいさいは、記者きしゃクラブでの資料しりょう配布はいふと同どう時刻じこくあるいはそれ以降いこうに行おこなわれる。

発表はっぴょうする側がわから見みれば、テレビや新聞しんぶんなどのマスメディアでは、プレスリリースがあっても報道ほうどうされるとは限かぎらない上じょう、報道ほうどうされても、全体ぜんたいの一部いちぶに過すぎない場合ばあいがある。また発表はっぴょう側がわの意図いととは違ちがった報道ほうどうがなされることもある。インターネットで公開こうかいすることにより、発表はっぴょうの一部いちぶをまとめられたり、切きり取とられることなく、原文げんぶんどおり公開こうかいすることができる。

情報じょうほうを受うけ取とる側がわからすれば、企業きぎょうや自治体じちたいなどからのプレスリリースを、原文げんぶんで読よめるというのが大おおきなメリットである。かつてはマスコミ関係かんけい者しゃしか手てに入はいらなかったり、手てに入いれることができるにせよ多大ただいな手間てまがかかっていたが、インターネットさえあれば、いつでも最新さいしんの情報じょうほうを原文げんぶんのまま手てに入いれることができる。前節ぜんせつにあるように、これまでマスメディアの「一方いっぽう的てきな選択せんたく」によって「ゴミ箱ごみばこ行いき」とされていたものも、一般人いっぱんじんが知しることができるようになった。

インターネットでプレスリリースを配信はいしんする手段しゅだんとしてはHTMLやPDF、ストリーミングによる映像えいぞう・音声おんせい配信はいしんがある。

ウェブサイト上じょうでの過去かこのプレスリリースの保存ほぞん期間きかんは、数すうか月げつで削除さくじょする企業きぎょうから、10年ねん以上いじょうに渡わたって保存ほぞんしている企業きぎょうまで様々さまざまである。

記者きしゃ会見かいけん

記者きしゃ会見かいけんの例れい。ブッシュ大統領だいとうりょうが2007年ねん10月がつ17日にちにJames S. Brady Press Briefing Roomで開ひらいた記者きしゃ会見かいけん。

詳細しょうさいは「記者きしゃ会見かいけん」を参照さんしょう

大おおきな組織そしきや政府せいふ機関きかんが、社会しゃかい的てきに見みてかなり重要じゅうような内容ないよう、社会しゃかい的てき影響えいきょうが大おおきいと判断はんだんされる内容ないようの発表はっぴょうをするときは「記者きしゃ会見かいけん」を開ひらく。誤解ごかいの無ないように説明せつめいしておくと、全ぜんプレスリリースのうち記者きしゃ会見かいけんが行おこなわれているのは、あくまでごくごく一部いちぶである。（もしも仮かりに記者きしゃ会見かいけんがプレスリリースの主しゅたる手法しゅほうだと思おもえているのなら、テレビなどを見みている人間にんげんにこちらの印象いんしょうばかりが強つよく残のこっていて、錯覚さっかくが起おきているにすぎない）

官公庁かんこうちょうや公社こうしゃなどの場合ばあい、内部ないぶに記者きしゃクラブ（記者きしゃ室しつ）があるので、そこで行おこなう。また、民間みんかん企業きぎょうのことでも、特とくに大おおきな社会しゃかい問題もんだい・関心事かんしんじとなっている場合ばあい（各かく報道ほうどう機関きかんの記者きしゃの側がわのほうが、自主じしゅ的てきに張はり付つくほどの状態じょうたいになっている場合ばあい）は、記者きしゃクラブが会見かいけん開催かいさい要望ようぼうを出だして、本社ほんしゃの大だい会議かいぎ室しつや講堂こうどうに、長ちょうテーブルと椅子いすを置おくなどして、急きゅうごしらえの会見かいけん場じょうを設もうけることもある。

経済けいざい指標しひょうや統計とうけい、現物げんぶつを持もち込こむことができない（大型おおがたの）工業こうぎょう製品せいひんの発表はっぴょうなど、発表はっぴょう内容ないようと発表はっぴょう場面ばめんとの関連かんれん性せいが薄うすい場合ばあいはカメラ撮影さつえいは行おこなわれず、いたって落おち着ついた雰囲気ふんいきで行おこなわれる。

社会しゃかいの側がわの注目ちゅうもく度どの高たかい製品せいひん発表はっぴょうの場合ばあいは、華はなやかな雰囲気ふんいきとなる。

不祥事ふしょうじが発生はっせいした謝罪しゃざい会見かいけんの場合ばあいは、カメラのフラッシュや照明しょうめいを浴あびながら、緊迫きんぱくした雰囲気ふんいきでの会見かいけんとなる。記者きしゃからも厳きびしい質問しつもんが飛とび出だすことになる。

発表はっぴょうする側がわも質問しつもんする側がわも、発言はつげん内容ないようには注意ちゅういをする必要ひつようがあり、不正ふせい確かく・不用意ふよういな発言はつげんをすると、取とり返かえしのつかないことになってしまうこともある。

また、記者きしゃ会見かいけん中ちゅうに事件じけんが起おきたりすると、肝心かんじんのプレスリリースの内容ないよう自体じたいがメディアにのらず、他たの話題わだいばかりが報道ほうどうされることにもなりかねない^{[注釈ちゅうしゃく 1]}。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^
週刊しゅうかん少年しょうねんジャンプ編集へんしゅう長ちょうの突然とつぜん死し（2003年ねん）

2003年ねん1月がつ24日にち、東京とうきょう湾内わんないの船上せんじょうで行おこなわれた、アニメ映画えいが化か作品さくひん『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険ぼうけん』の製作せいさく発表はっぴょう会見かいけんの最中さいちゅうに、当時とうじ同誌どうしの編集へんしゅう長ちょうであった高橋たかはし俊昌としまさがクモ膜まく下か出血しゅっけつを発症はっしょうして突然とつぜん倒たおれ、そのまま亡なくなるという事態じたいが発生はっせいした。多おおくのマスコミ関係かんけい者しゃを集あつめた場ばで突如とつじょ起おきた、人気にんき漫画まんが雑誌ざっしの編集へんしゅう長ちょうの突然とつぜん死しであっただけに社会しゃかい的てきな話題わだいとなった。

宅たく八郎はちろうの記者きしゃ会見かいけん乱入らんにゅう

2003年ねん7月がつ18日にち、長野ながの県庁けんちょうの表現ひょうげん道場どうじょう（当時とうじ長野ながの県知事けんちじだった田中たなか康夫やすおの脱だつ記者きしゃクラブ宣言せんげんによって記者きしゃクラブがフリー記者きしゃにも開放かいほうされていた）で行おこなわれた県知事けんちじ記者きしゃ会見かいけんにおたく評論ひょうろん家かの宅たく八郎はちろうが参加さんかし、田中たなか康夫やすおが過去かこに雑誌ざっしで連載れんさいしていた内容ないようについて謝罪しゃざいをするように執拗しつように要求ようきゅうし、田中たなかがこれを拒否きょひすると宅たくが怒鳴どなり声ごえを上あげながら激はげしく抗議こうぎするなど場内じょうないは異様いような雰囲気ふんいきに包つつまれた。この一部始終いちぶしじゅうはテレビや雑誌ざっしなどのメディアでも取とり上あげられ話題わだいになった。因ちなみに、この時とき宅たくはフリーランスとして会見かいけんに参加さんかしていた。

出典しゅってん

^ ^a ^b ^c 野呂のろエイシロウ『プレスリリースはラブレター: テレビを完全かんぜん攻略こうりゃくする戦略せんりゃく的てきPR術じゅつ』（万まん来らい舎しゃ、2009年ねん10月がつ1日にち発売はつばい、ISBN 9784901221382）^{[要ようページ番号ばんごう]}

参考さんこう文献ぶんけん

野呂のろエイシロウ『プレスリリースはラブレター: テレビを完全かんぜん攻略こうりゃくする戦略せんりゃく的てきPR術じゅつ』