通信 つうしん の秘密 ひみつ (つうしんのひみつ)とは、個人 こじん 間 あいだ の通信 つうしん (信書 しんしょ ・電話 でんわ ・電波 でんぱ ・電子 でんし メール など)の内容 ないよう 及 およ びこれに関連 かんれん した一切 いっさい の事項 じこう [要 よう 出典 しゅってん ] に関 かん して、公権力 こうけんりょく や通信 つうしん 当事 とうじ 者 しゃ 以外 いがい の第三者 だいさんしゃ がこれを把握 はあく すること、および知 し り得 え たことを他者 たしゃ に漏 も らすなどを禁止 きんし すること。通信 つうしん の自由 じゆう (つうしんのじゆう)の保障 ほしょう と表裏一体 ひょうりいったい の関係 かんけい にある。
一般 いっぱん に「通信 つうしん の秘密 ひみつ 」は「信書 しんしょ の秘密 ひみつ 」よりも広 ひろ く、封書 ふうしょ やはがき のみならず電信 でんしん ・電話 でんわ 等 とう の秘密 ひみつ を含 ふく む[1] 。「信書 しんしょ の秘密 ひみつ 」は狭義 きょうぎ には封書 ふうしょ の内容 ないよう の秘密 ひみつ を意味 いみ し、一般 いっぱん 的 てき には封緘 ふうかん の有無 うむ を問 と わず特定 とくてい 人 じん に対 たい して自己 じこ の意思 いし を伝達 でんたつ する文書 ぶんしょ の秘密 ひみつ を意味 いみ する[1] 。さらに、「信書 しんしょ の秘密 ひみつ 」は最 さい 広義 こうぎ には電信 でんしん ・電話 でんわ 等 とう の秘密 ひみつ も含 ふく まれ、「通信 つうしん の秘密 ひみつ 」と同義 どうぎ に用 もち いられる[1] 。
通信 つうしん の秘密 ひみつ は個人 こじん 間 あいだ の通信 つうしん の秘匿 ひとく を保障 ほしょう するものである。表現 ひょうげん の自由 じゆう が人 ひと の内部 ないぶ の思想 しそう ・信条 しんじょう を不 ふ 特定 とくてい 多数 たすう 人 じん に対 たい して表出 ひょうしゅつ する行為 こうい についての自由 じゆう であるのに対 たい し[2] 、個人 こじん 間 あいだ の日常 にちじょう 会話 かいわ などは通信 つうしん の秘密 ひみつ またはそれを包括 ほうかつ する私生活 しせいかつ の自由 じゆう (プライバシー権 けん )として法的 ほうてき 保護 ほご の対象 たいしょう となる[2] 。通信 つうしん の秘密 ひみつ は不 ふ 特定 とくてい 多数 たすう への表現 ひょうげん ・情報 じょうほう の伝達 でんたつ にあたる検閲 けんえつ の禁止 きんし と対 たい として考 かんが えられる場合 ばあい が多 おお い。
「通信 つうしん の秘密 ひみつ 」の主 しゅ たる目的 もくてき は、特定 とくてい 人 じん の間 あいだ のコミュニケーションの保護 ほご にあるので、私生活 しせいかつ ・プライバシー の保護 ほご の一環 いっかん としての意味 いみ が重要 じゅうよう である[3] 。
通信 つうしん の秘密 ひみつ の保障 ほしょう の範囲 はんい は、その保障 ほしょう の趣旨 しゅし をプライバシーの保護 ほご に求 もと める立場 たちば からすると、通信 つうしん の内容 ないよう だけではなく、通信 つうしん の存在 そんざい 自体 じたい に関 かん する事柄 ことがら 、すなわち差出人 さしだしにん (発信 はっしん 人 じん )・受取 うけとり 人 じん (受信 じゅしん 人 じん )の氏名 しめい ・住所 じゅうしょ 、差出 さしで ・通話 つうわ ・発信 はっしん の個数 こすう 、通信 つうしん の日時 にちじ や発信 はっしん 場所 ばしょ などにも及 およ ぶ(通説 つうせつ 、大阪 おおさか 高 だか 判 ばん 昭和 しょうわ 41年 ねん 2月 がつ 26日 にち 高 だか 刑 けい 集 しゅう 19巻 かん 1号 ごう 58頁 ぺーじ )[1] 。
通信 つうしん の秘密 ひみつ は早 はや くから諸国 しょこく の権利 けんり 宣言 せんげん で保障 ほしょう されている(例 たと えばベルギー1831年 ねん 憲法 けんぽう 22条 じょう )[4] 。ただ、かつて通信 つうしん 手段 しゅだん は主 しゅ として郵便 ゆうびん 物 ぶつ であったので、各国 かっこく 憲法 けんぽう は「信書 しんしょ の秘密 ひみつ 」を保障 ほしょう する規定 きてい を置 お くのが通例 つうれい であった[5] 。しかし通信 つうしん 手段 しゅだん は電波 でんぱ や電気 でんき 通信 つうしん に拡大 かくだい し、広汎 こうはん な保護 ほご が必要 ひつよう となった。「通信 つうしん の秘密 ひみつ 」は、手紙 てがみ や葉書 はがき や封書 ふうしょ だけではなく、電波 でんぱ ・電報 でんぽう ・電話 でんわ ・電子 でんし メール ・インスタントメッセージ などの秘密 ひみつ を含 ふく む、広 ひろ い意味 いみ に理解 りかい されている[6] 。
大日本帝国 だいにっぽんていこく 憲法 けんぽう (明治 めいじ 憲法 けんぽう )
編集 へんしゅう
大日本帝国 だいにっぽんていこく 憲法 けんぽう (明治 めいじ 憲法 けんぽう )は第 だい 26条 じょう で通信 つうしん の秘密 ひみつ を定 さだ めていた。
明治 めいじ 憲法 けんぽう 下 か の通説 つうせつ でも「信書 しんしょ ノ秘密 ひみつ 」は最 さい 広義 こうぎ の意味 いみ とされ電信 でんしん ・電話 でんわ 等 とう の秘密 ひみつ も含 ふく まれると解 ほぐ されていた[1] 。しかし、明治 めいじ 憲法 けんぽう 第 だい 26条 じょう の規定 きてい はプロイセン憲法 けんぽう 33条 じょう にならったもので[5] 、明治 めいじ 憲法 けんぽう 下 か の権利 けんり 保障 ほしょう は原則 げんそく として「法律 ほうりつ ノ範囲 はんい 内 ない ニ於テ」または「法律 ほうりつ ニ定 てい メタル場合 ばあい ヲ除 じょ ク外 がい 」認 みと めるというものであった(法律 ほうりつ の留保 りゅうほ )[7] 。
大日本帝国 だいにっぽんていこく 憲法 けんぽう 26条 じょう では法律 ほうりつ に定 さだ められた場合 ばあい を除 のぞ いて信書 しんしょ の秘密 ひみつ が保障 ほしょう されていたが、日 にち 露 ろ 戦争 せんそう の後 のち 、内務省 ないむしょう は逓信 ていしん 省 しょう に通牒 つうちょう して極秘 ごくひ の内 うち に検閲 けんえつ を始 はじ めた [8] 。更 さら に1941年 ねん (昭和 しょうわ 16年 ねん )10月 がつ 4日 にち には、臨時 りんじ 郵便 ゆうびん 取締 とりしまり 令 れい (昭和 しょうわ 16年 ねん 勅 みことのり 令 れい 第 だい 891号 ごう )が出 だ されて法令 ほうれい 上 じょう の根拠 こんきょ に基 もと づくものとなった。
日本国 にっぽんこく 憲法 けんぽう は第 だい 21条 じょう 第 だい 2項 こう 後段 こうだん で通信 つうしん の秘密 ひみつ を定 さだ めている。
通信 つうしん の秘密 ひみつ には、第 だい 一 いち に、公権力 こうけんりょく によって通信 つうしん の内容 ないよう および通信 つうしん の存在 そんざい 自体 じたい に関 かん する事柄 ことがら について調査 ちょうさ の対象 たいしょう とはされないこと(積極 せっきょく 的 てき 知得 ちとく 行為 こうい の禁止 きんし )、第 だい 二 に に通信 つうしん 業務 ぎょうむ 従事 じゅうじ 者 しゃ によって職務 しょくむ 上 じょう 知 し り得 え た通信 つうしん に関 かん する情報 じょうほう を漏洩 ろうえい されないこと(漏洩 ろうえい 行為 こうい の禁止 きんし )の二 ふた つの面 めん を有 ゆう している[9] 。
積極 せっきょく 的 てき 知得 ちとく 行為 こうい の禁止 きんし
積極 せっきょく 的 てき 知得 ちとく 行為 こうい の禁止 きんし は一般 いっぱん には通信 つうしん の検閲 けんえつ の禁止 きんし として理解 りかい されているものであるが、その禁止 きんし は通信 つうしん の存在 そんざい じたいに関 かん する調査 ちょうさ にも及 およ ぶから本来 ほんらい の「検閲 けんえつ 」の概念 がいねん よりも広 ひろ い[9] 。
郵便 ゆうびん 法 ほう は第 だい 7条 じょう で郵便 ゆうびん 物 ぶつ の検閲 けんえつ の禁止 きんし を定 さだ め、第 だい 8条 じょう 第 だい 1項 こう で日本 にっぽん 郵便 ゆうびん 株式会社 かぶしきがいしゃ の取扱 とりあつかい 中 ちゅう に係 かか る信書 しんしょ の秘密 ひみつ はこれを侵 おか してはならないと定 さだ めている。
電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 法 ほう も第 だい 3条 じょう で電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ の取扱 とりあつかい 中 ちゅう に係 かか る通信 つうしん の検閲 けんえつ の禁止 きんし を定 さだ め、第 だい 4条 じょう 第 だい 1項 こう で電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ の取扱 とりあつかい 中 ちゅう に係 かか る通信 つうしん の秘密 ひみつ はこれを侵 おか してはならないと定 さだ めている。
漏洩 ろうえい 行為 こうい の禁止 きんし
漏洩 ろうえい 行為 こうい の禁止 きんし は通信 つうしん 業務 ぎょうむ 従事 じゅうじ 者 しゃ は職務 しょくむ 上 じょう 知 し り得 え た通信 つうしん に関 かん する情報 じょうほう を他 た に漏 も らしてはならないことを意味 いみ し、その漏洩 ろうえい 行為 こうい の相手方 あいてがた は公権力 こうけんりょく たると私人 しじん たるとを問 と わない[9] [10] 。
郵便 ゆうびん 法 ほう 第 だい 8条 じょう 第 だい 2項 こう は「郵便 ゆうびん の業務 ぎょうむ に従事 じゅうじ する者 もの は、在職 ざいしょく 中 ちゅう 郵便 ゆうびん 物 ぶつ に関 かん して知 し り得 え た他人 たにん の秘密 ひみつ を守 まも らなければならない。その職 しょく を退 しりぞ いた後 のち においても、同様 どうよう とする。」と定 さだ める。
電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 法 ほう 第 だい 4条 じょう 第 だい 2項 こう も「電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう に従事 じゅうじ する者 もの は、在職 ざいしょく 中 ちゅう 電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ の取扱 とりあつかい 中 ちゅう に係 かか る通信 つうしん に関 かん して知 し り得 え た他人 たにん の秘密 ひみつ を守 まも らなければならない。その職 しょく を退 しりぞ いた後 のち においても、同様 どうよう とする。」と定 さだ める。
さらに漏洩 ろうえい 行為 こうい の禁止 きんし については、法 ほう がある者 もの をコモン・キャリアたる通信 つうしん 業務 ぎょうむ 従事 じゅうじ 者 しゃ と位置 いち づけた場合 ばあい には、憲法 けんぽう 上 じょう の通信 つうしん の秘密 ひみつ についての不可侵 ふかしん の要請 ようせい が当然 とうぜん にその者 もの に及 およ ぶと解 ほぐ されている[10] 。
なお、憲法 けんぽう 第 だい 21条 じょう の通信 つうしん の秘密 ひみつ は、公権力 こうけんりょく による積極 せっきょく 的 てき 知得 ちとく 行為 こうい の禁止 きんし と通信 つうしん 業務 ぎょうむ 従事 じゅうじ 者 しゃ による漏洩 ろうえい 行為 こうい の禁止 きんし について定 さだ めているが[9] 、通信 つうしん の秘密 ひみつ は個人 こじん の私生活 しせいかつ の自由 じゆう を保障 ほしょう する上 じょう でも自由 じゆう なコミュニケーションの手段 しゅだん を保障 ほしょう する上 じょう でも大変 たいへん 重要 じゅうよう であることから、憲法 けんぽう 第 だい 21条 じょう 第 だい 2項 こう の趣旨 しゅし を受 う けて、電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 法 ほう などではこれらの事項 じこう について広 ひろ く通信 つうしん 当事 とうじ 者 しゃ 以外 いがい の第三者 だいさんしゃ が正当 せいとう な理由 りゆう なく故意 こい に知 し ったり、自己 じこ 又 また は他人 たにん のために利用 りよう したり、第三者 だいさんしゃ に漏 ろう えいすることに対 たい しても刑事 けいじ 罰 ばつ を定 さだ めている[11] (#電気 でんき 通信 つうしん における通信 つうしん の秘密 ひみつ を参照 さんしょう )。
通信 つうしん の秘密 ひみつ の保障 ほしょう にも一定 いってい の内在 ないざい 的 てき 制約 せいやく があることは一般 いっぱん に承認 しょうにん されている[12] 。
犯罪 はんざい 捜査 そうさ のための郵便 ゆうびん 物 ぶつ 等 とう の押収 おうしゅう
犯罪 はんざい 捜査 そうさ のために郵便 ゆうびん 物 ぶつ を令状 れいじょう 押収 おうしゅう することは日本国 にっぽんこく 憲法 けんぽう 第 だい 35条 じょう の要件 ようけん を満 み たす限 かぎ り問題 もんだい はない[13] 。
通信 つうしん の秘密 ひみつ の制約 せいやく として、刑事 けいじ 訴訟 そしょう 法 ほう は、郵便 ゆうびん 物 ぶつ の押収 おうしゅう (100条 じょう 、222条 じょう )、接見 せっけん 交通 こうつう にかかる通信 つうしん 物 ぶつ の検閲 けんえつ 、授受 じゅじゅ の禁止 きんし 、押収 おうしゅう (81条 じょう )を認 みと め、郵便 ゆうびん 法 ほう が、郵便 ゆうびん 物 ぶつ の開示 かいじ を求 もと めることができるとし(40条 じょう 、41条 じょう )、関税 かんぜい 法 ほう が、郵便 ゆうびん 物 ぶつ の差押 さしおさえ を認 みと めている(122条 じょう )。
このうち刑事 けいじ 訴訟 そしょう 法 ほう 100条 じょう の郵便 ゆうびん 物 ぶつ の押収 おうしゅう については、通信 つうしん 機関 きかん の保管 ほかん ・所持 しょじ する郵便 ゆうびん 物 ぶつ などにつき、「被告人 ひこくにん から発 はっ し、又 また は被告人 ひこくにん に対 たい して発 はっ した」もの(100条 じょう 1項 こう )および「被告 ひこく 事件 じけん に関係 かんけい があると認 みと めるに足 た りる状況 じょうきょう のあるもの」(100条 じょう 2項 こう )であれば差 さ し押 おさ えうるとして、通常 つうじょう の差押 さしおさ えの場合 ばあい の「証拠 しょうこ 物 ぶつ 又 また は没収 ぼっしゅう すべき物 もの と思料 しりょう するもの」(99条 じょう )でなくともよく要件 ようけん が緩和 かんわ されている[13] 。この規定 きてい については郵便 ゆうびん 物 ぶつ の中 なか にも証拠 しょうこ 物 ぶつ が含 ふく まれている蓋然性 がいぜんせい が強 つよ いことから合憲 ごうけん とする学説 がくせつ [14] がある一方 いっぽう 、必要 ひつよう 以上 いじょう に広範 こうはん な押収 おうしゅう を許 ゆる すことになり違憲 いけん の疑 うたが いが強 つよ いとする学説 がくせつ [13] [6] もある。
犯罪 はんざい 捜査 そうさ のための通信 つうしん の傍受 ぼうじゅ
犯罪 はんざい 捜査 そうさ のための通信 つうしん の傍受 ぼうじゅ についても学説 がくせつ は厳格 げんかく な許可 きょか 条件 じょうけん のもとであれば憲法 けんぽう 上 じょう 許 ゆる されていると解 かい している[15] 。
日本 にっぽん では1999年 ねん に犯罪 はんざい 捜査 そうさ のための通信 つうしん 傍受 ぼうじゅ に関 かん する法律 ほうりつ が制定 せいてい された。ただし、法的 ほうてき な問題 もんだい 点 てん も指摘 してき されている[16] 。
最高裁 さいこうさい は「電話 でんわ 傍受 ぼうじゅ は、通信 つうしん の秘密 ひみつ を侵害 しんがい し、ひいては、個人 こじん のプライバシーを侵害 しんがい する強制 きょうせい 処分 しょぶん であるが、一定 いってい の要件 ようけん の下 した では、捜査 そうさ の手段 しゅだん として憲法 けんぽう 上 じょう 全 まった く許 ゆる されないものではない」と判示 はんじ し、憲法 けんぽう 上 じょう 許 ゆる される要件 ようけん を、「重大 じゅうだい な犯罪 はんざい に係 かか る被疑 ひぎ 事件 じけん について、被疑 ひぎ 者 しゃ が罪 つみ を犯 おか したと疑 うたが うに足 た りる十分 じゅうぶん な理由 りゆう があり、かつ、当該 とうがい 電話 でんわ により被疑 ひぎ 事実 じじつ に関連 かんれん する通話 つうわ の行 おこな われる蓋然性 がいぜんせい があるとともに、電話 でんわ 傍受 ぼうじゅ 以外 いがい の方法 ほうほう によってはその罪 つみ に関 かん する重要 じゅうよう かつ必要 ひつよう な証拠 しょうこ を得 え ることが著 いちじる しく困難 こんなん であるなどの事情 じじょう が存 そん する場合 ばあい において、電話 でんわ 傍受 ぼうじゅ により侵害 しんがい される利益 りえき の内容 ないよう 、程度 ていど を慎重 しんちょう に考慮 こうりょ した上 うえ で、なお電話 でんわ 傍受 ぼうじゅ を行 おこな うことが犯罪 はんざい の捜査 そうさ 上 じょう 真 しん にやむを得 え ないと認 みと められるときには、法律 ほうりつ の定 さだ める手続 てつづ きに従 したが ってこれを行 おこな うことも憲法 けんぽう 上 じょう 許 ゆる される」としている(最 さい 判 はん 平成 へいせい 11年 ねん 12月16日 にち 刑 けい 集 しゅう 53巻 かん 9号 ごう 1327頁 ぺーじ )。
電気 でんき 通信 つうしん における通信 つうしん の秘密 ひみつ
編集 へんしゅう
憲法 けんぽう 第 だい 21条 じょう の通信 つうしん の秘密 ひみつ は、公権力 こうけんりょく による積極 せっきょく 的 てき 知得 ちとく 行為 こうい の禁止 きんし と、通信 つうしん 業務 ぎょうむ 従事 じゅうじ 者 しゃ による漏洩 ろうえい 行為 こうい の禁止 きんし という、二 ふた つの面 めん を定 さだ めたものである[9] 。ただ、通信 つうしん の内容 ないよう や存在 そんざい 、相手方 あいてがた といった事実 じじつ を知 し られることなく、秘密 ひみつ のうちに通信 つうしん を行 おこな うことができることは、個人 こじん の私生活 しせいかつ の自由 じゆう を保障 ほしょう する上 じょう でも、自由 じゆう なコミュニケーションの手段 しゅだん を保障 ほしょう する上 じょう でも大変 たいへん 重要 じゅうよう である[11] 。
このことから、日本国 にっぽんこく 憲法 けんぽう 第 だい 21条 じょう 第 だい 2項 こう の趣旨 しゅし を受 う けて、電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 法 ほう などでは、これらの事項 じこう について広 ひろ く通信 つうしん 当事 とうじ 者 しゃ 以外 いがい の第三者 だいさんしゃ が正当 せいとう な理由 りゆう なく故意 こい に知 し ったり、自己 じこ 又 また は他人 たにん のために利用 りよう したり、第三者 だいさんしゃ に漏 ろう えいすることに対 たい して刑事 けいじ 罰 ばつ を定 さだ めている[11] 。具体 ぐたい 的 てき には、電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ の取扱 とりあつかい 中 ちゅう に係 かか る通信 つうしん の秘密 ひみつ については、電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 法 ほう (第 だい 4条 じょう ・第 だい 179条 じょう )、有線 ゆうせん 電気 でんき 通信 つうしん における通信 つうしん の秘密 ひみつ は有線 ゆうせん 電気 でんき 通信 つうしん 法 ほう (第 だい 9条 じょう ・第 だい 14条 じょう )、無線 むせん 通信 つうしん における通信 つうしん の秘密 ひみつ は電波 でんぱ 法 ほう (第 だい 59条 じょう ・第 だい 109条 じょう )により、通信 つうしん の秘密 ひみつ はそれぞれ罰則 ばっそく をもって保護 ほご されている[11] 。
インターネット を利用 りよう して行 おこな われる通信 つうしん についても、インターネット接続 せつぞく 事業 じぎょう 者 しゃ のサービスを利用 りよう して行 おこな われるような場合 ばあい 、電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ の取扱 とりあつかい 中 ちゅう に係 かか る通信 つうしん の秘密 ひみつ に該当 がいとう するため、電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 法 ほう に定 さだ める保護 ほご が与 あた えられ、それ以外 いがい の場合 ばあい にも、必要 ひつよう に応 おう じて有線 ゆうせん 電気 でんき 通信 つうしん 法 ほう や電波 でんぱ 法 ほう などの保護 ほご が与 あた えられている[11] 。
なお機械 きかい 的 てき な処理 しょり により、人 ひと の手 て による監視 かんし がない場合 ばあい であっても、通信 つうしん の秘密 ひみつ を侵害 しんがい したことには変 か わりはない。そのため、インターネットサービスプロバイダ のルーティングや電子 でんし メール配送 はいそう などの行為 こうい は、すべて通信 つうしん の秘密 ひみつ を侵害 しんがい しているとされている。ただし、当事 とうじ 者 しゃ の同意 どうい がある場合 ばあい 、そもそも通信 つうしん の秘密 ひみつ の侵害 しんがい とされないことから、オプションで提供 ていきょう するウイルスチェックサービスや、迷惑 めいわく メールフィルタリングサービスは、通信 つうしん 当事 とうじ 者 しゃ の片方 かたがた である受信 じゅしん 者 しゃ の同意 どうい が取 と れていることから、通信 つうしん の秘密 ひみつ の侵害 しんがい にはあたらないとされている。また、特定 とくてい のソフトウェア(P2P など)による通信 つうしん をインターネットサービスプロバイダ が遮断 しゃだん する場合 ばあい のように、通信 つうしん の秘密 ひみつ の侵害 しんがい が行 おこ なわれた場合 ばあい などは、違法 いほう 性 せい 阻却事由 じゆう が存在 そんざい し、違法 いほう とはされないと解 ほぐ されている。
2006年 ねん 5月 がつ 、ぷらら ネットワークスがWinny の遮断 しゃだん を発表 はっぴょう したことに対 たい し、総務 そうむ 省 しょう が「通信 つうしん の秘密 ひみつ の侵害 しんがい に該当 がいとう し、違法 いほう である」という指摘 してき を行 おこ なった。これについては、その後 ご デフォルト・オンでWinny やShare など、違法 いほう 性 せい の高 たか いP2Pの遮断 しゃだん サービスを提供 ていきょう するものの、その後 ご 利用 りよう 者 しゃ の希望 きぼう に応 おう じて、通信 つうしん 遮断 しゃだん が解除 かいじょ できるなどの幾 いく つかの条件 じょうけん を付 ふ して総務 そうむ 省 しょう が容認 ようにん した。その条件 じょうけん については基本 きほん 的 てき に「電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ が行 おこな う電子 でんし メールのフィルタリングと電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 法 ほう 第 だい 4条 じょう (通信 つうしん の秘密 ひみつ の保護 ほご )の関係 かんけい について」[2] の考 かんが え方 かた が踏襲 とうしゅう されていると思 おも われる。また、迷惑 めいわく メール(スパムメール )対策 たいさく としてのOutbound Port 25 Blocking (OP25B)が、通信 つうしん の秘密 ひみつ を侵害 しんがい し、違法 いほう であるかについては2006年 ねん 11月に総務 そうむ 省 しょう が「通信 つうしん の秘密 ひみつ を侵害 しんがい するが、正当 せいとう 業務 ぎょうむ 行為 こうい であるとして違法 いほう ではない 」という判断 はんだん を下 くだ している。[3]
インターネットサービスプロバイダ が行 おこ なう、各種 かくしゅ の行為 こうい が通信 つうしん の秘密 ひみつ の侵害 しんがい として違法 いほう であるかどうかについては、電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 関連 かんれん の4団体 だんたい (社団 しゃだん 法人 ほうじん 日本 にっぽん インターネットプロバイダー協会 きょうかい 、社団 しゃだん 法人 ほうじん 電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ 協会 きょうかい 、社団 しゃだん 法人 ほうじん テレコムサービス協会 きょうかい 及 およ び社団 しゃだん 法人 ほうじん 日本 にっぽん ケーブルテレビ連盟 れんめい )が、2007年 ねん 5月 がつ に「電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ における大量 たいりょう 通信 つうしん 等 とう への対処 たいしょ と通信 つうしん の秘密 ひみつ に関 かん するガイドライン(第 だい 1版 はん )」を策定 さくてい した。
若年 じゃくねん 層 そう によるソーシャル・ネットワーキング・サイト の利用 りよう が拡大 かくだい したことを契機 けいき に、ウェブサイト での個人 こじん 情報 じょうほう のやり取 と りを禁止 きんし し、直接 ちょくせつ 会 あ うことを未然 みぜん に防 ふせ ぐ方策 ほうさく について議論 ぎろん がなされている。しかしながら、電気 でんき 通信 つうしん 事業 じぎょう 者 しゃ であるサイト運営 うんえい 者 しゃ が、ユーザー間 あいだ のメッセージを監視 かんし し、削除 さくじょ などの措置 そち を取 と ることは、通信 つうしん の秘密 ひみつ を害 がい するとの指摘 してき がされている。[4]
欧州 おうしゅう 連合 れんごう (独 どく 仏 ふつ 伊 い 西 にし など)・イギリス・大韓民国 だいかんみんこく ・オーストラリアなど42カ国 かこく では、海賊版 かいぞくばん サイトにアクセス遮断 しゃだん が導入 どうにゅう されている[17] [18] 。EU加盟 かめい 国 こく ではEU情報 じょうほう 社会 しゃかい 指令 しれい を反映 はんえい して、各国 かっこく に海賊版 かいぞくばん サイトや違法 いほう コンテンツ規制 きせい が義務 ぎむ づけられた。
ドイツは国内 こくない で新法 しんぽう を制定 せいてい しないで規制 きせい したため裁判 さいばん になった。しかし、2015年 ねん にドイツ連邦 れんぽう 最高裁 さいこうさい は、ドイツ民法 みんぽう の間接 かんせつ 侵害 しんがい の概念 がいねん を適用 てきよう し、知的 ちてき 財産 ざいさん 権 けん ・著作 ちょさく 権 けん 侵害 しんがい サイトへのアクセスブロックした措置 そち の有効 ゆうこう 性 せい を合憲 ごうけん とした。2017年 ねん に欧州 おうしゅう 連合 れんごう 司法 しほう 裁判所 さいばんしょ は、金銭 きんせん 利益 りえき 目的 もくてき で違法 いほう コンテンツへのハイパーリンク を投稿 とうこう することを「著作 ちょさく 権 けん 者 しゃ の公衆 こうしゅう 送信 そうしん 権 けん を侵害 しんがい する行為 こうい 」と判断 はんだん した[19] 。
^ a b c d e 樋口 ひぐち 陽一 よういち 、佐藤 さとう 幸治 こうじ 、中村 なかむら 睦男 むつお 、浦部 うらべ 法 ほう 穂 ほ 『注解 ちゅうかい 法律 ほうりつ 学 がく 全集 ぜんしゅう (2)憲法 けんぽう II』青 あお 林 りん 書院 しょいん 、1997年 ねん 、85頁 ぺーじ 。ISBN 4-417-01040-4 。
^ a b 阿部 あべ 照 あきら 哉 編 へん 『憲法 けんぽう 2 基本 きほん 的 てき 人権 じんけん (1)』有斐閣 ゆうひかく 〈有斐閣 ゆうひかく 双書 そうしょ 〉、1975年 ねん 、161頁 ぺーじ 。
^ 大阪 おおさか 高 だか 判 ばん 昭和 しょうわ 41年 ねん 2月 がつ 26日 にち 高 だか 刑 けい 集 しゅう 19巻 かん 1号 ごう 58頁 ぺーじ 「憲法 けんぽう は思想 しそう の自由 じゆう や、言論 げんろん 、出版 しゅっぱん 等 とう の表現 ひょうげん の自由 じゆう を保障 ほしょう するとともに、その一環 いっかん として通信 つうしん の秘密 ひみつ を保護 ほご し、もって私生活 しせいかつ の自由 じゆう を保障 ほしょう しようとしている」
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^ 佐藤 さとう 幸治 こうじ 『現代 げんだい 法律 ほうりつ 学 がく 講座 こうざ (5)憲法 けんぽう 第 だい 3版 はん 』青 あお 林 りん 書院 しょいん 、1995年 ねん 、579-580頁 ぺーじ 。
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^ [1] 深刻 しんこく 化 か するマンガ海賊 かいぞく サイト、ブロッキングの是非 ぜひ は 福井 ふくい 弁護士 べんごし に聞 き く
^ マンガ海賊版 かいぞくばん サイトへのアクセス遮断 しゃだん は違法 いほう か?弁護士 べんごし に聞 き いた
^ 『出版 しゅっぱん 業界 ぎょうかい 気 き になるニュースまとめ2017』鷹野 たかの 凌 りょう