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通信の秘密 - Wikipedia

通信つうしん秘密ひみつ(つうしんのひみつ)とは、個人こじんあいだ通信つうしん信書しんしょ電話でんわ電波でんぱ電子でんしメールなど)の内容ないようおよびこれに関連かんれんした一切いっさい事項じこう[よう出典しゅってん]かんして、公権力こうけんりょく通信つうしん当事とうじしゃ以外いがい第三者だいさんしゃがこれを把握はあくすること、およびたことを他者たしゃらすなどを禁止きんしすること。通信つうしん自由じゆう(つうしんのじゆう)の保障ほしょう表裏一体ひょうりいったい関係かんけいにある。

概説がいせつ

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一般いっぱんに「通信つうしん秘密ひみつ」は「信書しんしょ秘密ひみつ」よりもひろく、封書ふうしょはがきのみならず電信でんしん電話でんわとう秘密ひみつふく[1]。「信書しんしょ秘密ひみつ」は狭義きょうぎには封書ふうしょ内容ないよう秘密ひみつ意味いみし、一般いっぱんてきには封緘ふうかん有無うむわず特定とくていじんたいして自己じこ意思いし伝達でんたつする文書ぶんしょ秘密ひみつ意味いみする[1]。さらに、「信書しんしょ秘密ひみつ」はさい広義こうぎには電信でんしん電話でんわとう秘密ひみつふくまれ、「通信つうしん秘密ひみつ」と同義どうぎもちいられる[1]

通信つうしん秘密ひみつ個人こじんあいだ通信つうしん秘匿ひとく保障ほしょうするものである。表現ひょうげん自由じゆうひと内部ないぶ思想しそう信条しんじょう特定とくてい多数たすうじんたいして表出ひょうしゅつする行為こういについての自由じゆうであるのにたい[2]個人こじんあいだ日常にちじょう会話かいわなどは通信つうしん秘密ひみつまたはそれを包括ほうかつする私生活しせいかつ自由じゆうプライバシーけん)として法的ほうてき保護ほご対象たいしょうとなる[2]通信つうしん秘密ひみつ特定とくてい多数たすうへの表現ひょうげん情報じょうほう伝達でんたつにあたる検閲けんえつ禁止きんしたいとしてかんがえられる場合ばあいおおい。

通信つうしん秘密ひみつ」のしゅたる目的もくてきは、特定とくていじんあいだのコミュニケーションの保護ほごにあるので、私生活しせいかつプライバシー保護ほご一環いっかんとしての意味いみ重要じゅうようである[3]通信つうしん秘密ひみつ保障ほしょう範囲はんいは、その保障ほしょう趣旨しゅしをプライバシーの保護ほごもとめる立場たちばからすると、通信つうしん内容ないようだけではなく、通信つうしん存在そんざい自体じたいかんする事柄ことがら、すなわち差出人さしだしにん発信はっしんじん)・受取うけとりじん受信じゅしんじん)の氏名しめい住所じゅうしょ差出さしで通話つうわ発信はっしん個数こすう通信つうしん日時にちじ発信はっしん場所ばしょなどにもおよぶ(通説つうせつ大阪おおさかだかばん昭和しょうわ41ねん2がつ26にちだかけいしゅう19かん1ごう58ぺーじ[1]

通信つうしん秘密ひみつはやくから諸国しょこく権利けんり宣言せんげん保障ほしょうされている(たとえばベルギー1831ねん憲法けんぽう22じょう[4]。ただ、かつて通信つうしん手段しゅだんしゅとして郵便ゆうびんぶつであったので、各国かっこく憲法けんぽうは「信書しんしょ秘密ひみつ」を保障ほしょうする規定きていくのが通例つうれいであった[5]。しかし通信つうしん手段しゅだん電波でんぱ電気でんき通信つうしん拡大かくだいし、広汎こうはん保護ほご必要ひつようとなった。「通信つうしん秘密ひみつ」は、手紙てがみ葉書はがき封書ふうしょだけではなく、電波でんぱ電報でんぽう電話でんわ電子でんしメールインスタントメッセージなどの秘密ひみつふくむ、ひろ意味いみ理解りかいされている[6]

各国かっこく

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日本にっぽん

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大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう明治めいじ憲法けんぽう

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大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう明治めいじ憲法けんぽう)はだい26じょう通信つうしん秘密ひみつさだめていた。

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうだい26じょう
日本にっぽん臣民しんみん法律ほうりつていメタル場合ばあいじょ外信がいしんしょ秘密ひみつおかせサルルコトナシ

明治めいじ憲法けんぽう通説つうせつでも「信書しんしょ秘密ひみつ」はさい広義こうぎ意味いみとされ電信でんしん電話でんわとう秘密ひみつふくまれるとほぐされていた[1]。しかし、明治めいじ憲法けんぽうだい26じょう規定きていはプロイセン憲法けんぽう33じょうにならったもので[5]明治めいじ憲法けんぽう権利けんり保障ほしょう原則げんそくとして「法律ほうりつ範囲はんいないニ於テ」または「法律ほうりつていメタル場合ばあいじょがいみとめるというものであった(法律ほうりつ留保りゅうほ[7]

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう26じょうでは法律ほうりつさだめられた場合ばあいのぞいて信書しんしょ秘密ひみつ保障ほしょうされていたが、にち戦争せんそうのち内務省ないむしょう逓信ていしんしょう通牒つうちょうして極秘ごくひうち検閲けんえつはじめた [8]さらに1941ねん昭和しょうわ16ねん)10がつ4にちには、臨時りんじ郵便ゆうびん取締とりしまりれい昭和しょうわ16ねんみことのりれいだい891ごう)がされて法令ほうれいじょう根拠こんきょもとづくものとなった。

日本国にっぽんこく憲法けんぽう

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日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい21じょうだい2こう後段こうだん通信つうしん秘密ひみつさだめている。

日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい21じょう
だい2こう
検閲けんえつは、これをしてはならない。通信つうしん秘密ひみつは、これをおかしてはならない。

通信つうしん秘密ひみつ意義いぎ

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通信つうしん秘密ひみつには、だいいちに、公権力こうけんりょくによって通信つうしん内容ないようおよび通信つうしん存在そんざい自体じたいかんする事柄ことがらについて調査ちょうさ対象たいしょうとはされないこと(積極せっきょくてき知得ちとく行為こうい禁止きんし)、だい通信つうしん業務ぎょうむ従事じゅうじしゃによって職務しょくむじょう通信つうしんかんする情報じょうほう漏洩ろうえいされないこと(漏洩ろうえい行為こうい禁止きんし)のふたつのめんゆうしている[9]

  • 積極せっきょくてき知得ちとく行為こうい禁止きんし
    • 積極せっきょくてき知得ちとく行為こうい禁止きんし一般いっぱんには通信つうしん検閲けんえつ禁止きんしとして理解りかいされているものであるが、その禁止きんし通信つうしん存在そんざいじたいにかんする調査ちょうさにもおよぶから本来ほんらいの「検閲けんえつ」の概念がいねんよりもひろ[9]
    • 郵便ゆうびんほうだい7じょう郵便ゆうびんぶつ検閲けんえつ禁止きんしさだめ、だい8じょうだい1こう日本にっぽん郵便ゆうびん株式会社かぶしきがいしゃ取扱とりあつかいちゅうかか信書しんしょ秘密ひみつはこれをおかしてはならないとさだめている。
    • 電気でんき通信つうしん事業じぎょうほうだい3じょう電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃ取扱とりあつかいちゅうかか通信つうしん検閲けんえつ禁止きんしさだめ、だい4じょうだい1こう電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃ取扱とりあつかいちゅうかか通信つうしん秘密ひみつはこれをおかしてはならないとさだめている。
  • 漏洩ろうえい行為こうい禁止きんし
    • 漏洩ろうえい行為こうい禁止きんし通信つうしん業務ぎょうむ従事じゅうじしゃ職務しょくむじょう通信つうしんかんする情報じょうほうらしてはならないことを意味いみし、その漏洩ろうえい行為こうい相手方あいてがた公権力こうけんりょくたると私人しじんたるとをわない[9][10]
    • 郵便ゆうびんほうだい8じょうだい2こうは「郵便ゆうびん業務ぎょうむ従事じゅうじするものは、在職ざいしょくちゅう郵便ゆうびんぶつかんして他人たにん秘密ひみつまもらなければならない。そのしょく退しりぞいたのちにおいても、同様どうようとする。」とさだめる。
    • 電気でんき通信つうしん事業じぎょうほうだい4じょうだい2こうも「電気でんき通信つうしん事業じぎょう従事じゅうじするものは、在職ざいしょくちゅう電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃ取扱とりあつかいちゅうかか通信つうしんかんして他人たにん秘密ひみつまもらなければならない。そのしょく退しりぞいたのちにおいても、同様どうようとする。」とさだめる。
    • さらに漏洩ろうえい行為こうい禁止きんしについては、ほうがあるものをコモン・キャリアたる通信つうしん業務ぎょうむ従事じゅうじしゃ位置いちづけた場合ばあいには、憲法けんぽうじょう通信つうしん秘密ひみつについての不可侵ふかしん要請ようせい当然とうぜんにそのものおよぶとほぐされている[10]

なお、憲法けんぽうだい21じょう通信つうしん秘密ひみつは、公権力こうけんりょくによる積極せっきょくてき知得ちとく行為こうい禁止きんし通信つうしん業務ぎょうむ従事じゅうじしゃによる漏洩ろうえい行為こうい禁止きんしについてさだめているが[9]通信つうしん秘密ひみつ個人こじん私生活しせいかつ自由じゆう保障ほしょうするじょうでも自由じゆうなコミュニケーションの手段しゅだん保障ほしょうするじょうでも大変たいへん重要じゅうようであることから、憲法けんぽうだい21じょうだい2こう趣旨しゅしけて、電気でんき通信つうしん事業じぎょうほうなどではこれらの事項じこうについてひろ通信つうしん当事とうじしゃ以外いがい第三者だいさんしゃ正当せいとう理由りゆうなく故意こいったり、自己じこまた他人たにんのために利用りようしたり、第三者だいさんしゃろうえいすることにたいしても刑事けいじばつさだめている[11]#電気でんき通信つうしんにおける通信つうしん秘密ひみつ参照さんしょう)。

通信つうしん秘密ひみつ限界げんかい

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通信つうしん秘密ひみつ保障ほしょうにも一定いってい内在ないざいてき制約せいやくがあることは一般いっぱん承認しょうにんされている[12]

  • 犯罪はんざい捜査そうさのための郵便ゆうびんぶつとう押収おうしゅう
    犯罪はんざい捜査そうさのために郵便ゆうびんぶつ令状れいじょう押収おうしゅうすることは日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい35じょう要件ようけんたすかぎ問題もんだいはない[13]
    通信つうしん秘密ひみつ制約せいやくとして、刑事けいじ訴訟そしょうほうは、郵便ゆうびんぶつ押収おうしゅう(100じょう、222じょう)、接見せっけん交通こうつうにかかる通信つうしんぶつ検閲けんえつ授受じゅじゅ禁止きんし押収おうしゅう(81じょう)をみとめ、郵便ゆうびんほうが、郵便ゆうびんぶつ開示かいじもとめることができるとし(40じょう、41じょう)、関税かんぜいほうが、郵便ゆうびんぶつ差押さしおさえみとめている(122じょう)。
    このうち刑事けいじ訴訟そしょうほう100じょう郵便ゆうびんぶつ押収おうしゅうについては、通信つうしん機関きかん保管ほかん所持しょじする郵便ゆうびんぶつなどにつき、「被告人ひこくにんからはっし、また被告人ひこくにんたいしてはっした」もの(100じょう1こう)および「被告ひこく事件じけん関係かんけいがあるとみとめるにりる状況じょうきょうのあるもの」(100じょう2こう)であればおさえうるとして、通常つうじょう差押さしおさえの場合ばあいの「証拠しょうこぶつまた没収ぼっしゅうすべきもの思料しりょうするもの」(99じょう)でなくともよく要件ようけん緩和かんわされている[13]。この規定きていについては郵便ゆうびんぶつなかにも証拠しょうこぶつふくまれている蓋然性がいぜんせいつよいことから合憲ごうけんとする学説がくせつ[14]がある一方いっぽう必要ひつよう以上いじょう広範こうはん押収おうしゅうゆるすことになり違憲いけんうたがいがつよいとする学説がくせつ[13][6]もある。
  • 犯罪はんざい捜査そうさのための通信つうしん傍受ぼうじゅ
    犯罪はんざい捜査そうさのための通信つうしん傍受ぼうじゅについても学説がくせつ厳格げんかく許可きょか条件じょうけんのもとであれば憲法けんぽうじょうゆるされているとかいしている[15]
    日本にっぽんでは1999ねん犯罪はんざい捜査そうさのための通信つうしん傍受ぼうじゅかんする法律ほうりつ制定せいていされた。ただし、法的ほうてき問題もんだいてん指摘してきされている[16]
    最高裁さいこうさいは「電話でんわ傍受ぼうじゅは、通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがいし、ひいては、個人こじんのプライバシーを侵害しんがいする強制きょうせい処分しょぶんであるが、一定いってい要件ようけんしたでは、捜査そうさ手段しゅだんとして憲法けんぽうじょうまったゆるされないものではない」と判示はんじし、憲法けんぽうじょうゆるされる要件ようけんを、「重大じゅうだい犯罪はんざいかか被疑ひぎ事件じけんについて、被疑ひぎしゃつみおかしたとうたがうにりる十分じゅうぶん理由りゆうがあり、かつ、当該とうがい電話でんわにより被疑ひぎ事実じじつ関連かんれんする通話つうわおこなわれる蓋然性がいぜんせいがあるとともに、電話でんわ傍受ぼうじゅ以外いがい方法ほうほうによってはそのつみかんする重要じゅうようかつ必要ひつよう証拠しょうこることがいちじるしく困難こんなんであるなどの事情じじょうそんする場合ばあいにおいて、電話でんわ傍受ぼうじゅにより侵害しんがいされる利益りえき内容ないよう程度ていど慎重しんちょう考慮こうりょしたうえで、なお電話でんわ傍受ぼうじゅおこなうことが犯罪はんざい捜査そうさじょうしんにやむをないとみとめられるときには、法律ほうりつさだめる手続てつづきにしたがってこれをおこなうことも憲法けんぽうじょうゆるされる」としている(さいはん平成へいせい11ねん12月16にちけいしゅう53かん9ごう1327ぺーじ)。

電気でんき通信つうしんにおける通信つうしん秘密ひみつ

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憲法けんぽうだい21じょう通信つうしん秘密ひみつは、公権力こうけんりょくによる積極せっきょくてき知得ちとく行為こうい禁止きんしと、通信つうしん業務ぎょうむ従事じゅうじしゃによる漏洩ろうえい行為こうい禁止きんしという、ふたつのめんさだめたものである[9]。ただ、通信つうしん内容ないよう存在そんざい相手方あいてがたといった事実じじつられることなく、秘密ひみつのうちに通信つうしんおこなうことができることは、個人こじん私生活しせいかつ自由じゆう保障ほしょうするじょうでも、自由じゆうなコミュニケーションの手段しゅだん保障ほしょうするじょうでも大変たいへん重要じゅうようである[11]

このことから、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい21じょうだい2こう趣旨しゅしけて、電気でんき通信つうしん事業じぎょうほうなどでは、これらの事項じこうについてひろ通信つうしん当事とうじしゃ以外いがい第三者だいさんしゃ正当せいとう理由りゆうなく故意こいったり、自己じこまた他人たにんのために利用りようしたり、第三者だいさんしゃろうえいすることにたいして刑事けいじばつさだめている[11]具体ぐたいてきには、電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃ取扱とりあつかいちゅうかか通信つうしん秘密ひみつについては、電気でんき通信つうしん事業じぎょうほうだい4じょうだい179じょう)、有線ゆうせん電気でんき通信つうしんにおける通信つうしん秘密ひみつ有線ゆうせん電気でんき通信つうしんほうだい9じょうだい14じょう)、無線むせん通信つうしんにおける通信つうしん秘密ひみつ電波でんぱほうだい59じょうだい109じょう)により、通信つうしん秘密ひみつはそれぞれ罰則ばっそくをもって保護ほごされている[11]

インターネット利用りようしておこなわれる通信つうしんについても、インターネット接続せつぞく事業じぎょうしゃのサービスを利用りようしておこなわれるような場合ばあい電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃ取扱とりあつかいちゅうかか通信つうしん秘密ひみつ該当がいとうするため、電気でんき通信つうしん事業じぎょうほうさだめる保護ほごあたえられ、それ以外いがい場合ばあいにも、必要ひつようおうじて有線ゆうせん電気でんき通信つうしんほう電波でんぱほうなどの保護ほごあたえられている[11]

なお機械きかいてき処理しょりにより、ひとによる監視かんしがない場合ばあいであっても、通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがいしたことにはわりはない。そのため、インターネットサービスプロバイダのルーティングや電子でんしメール配送はいそうなどの行為こういは、すべて通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがいしているとされている。ただし、当事とうじしゃ同意どういがある場合ばあい、そもそも通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがいとされないことから、オプションで提供ていきょうするウイルスチェックサービスや、迷惑めいわくメールフィルタリングサービスは、通信つうしん当事とうじしゃ片方かたがたである受信じゅしんしゃ同意どういれていることから、通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがいにはあたらないとされている。また、特定とくていのソフトウェア(P2Pなど)による通信つうしんインターネットサービスプロバイダ遮断しゃだんする場合ばあいのように、通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがいおこなわれた場合ばあいなどは、違法いほうせい阻却事由じゆう存在そんざいし、違法いほうとはされないとほぐされている。

2006ねん5がつぷららネットワークスがWinny遮断しゃだん発表はっぴょうしたことにたいし、総務そうむしょうが「通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがい該当がいとうし、違法いほうである」という指摘してきおこなった。これについては、そのデフォルト・オンでWinnyShareなど、違法いほうせいたかいP2Pの遮断しゃだんサービスを提供ていきょうするものの、その利用りようしゃ希望きぼうおうじて、通信つうしん遮断しゃだん解除かいじょできるなどのいくつかの条件じょうけんして総務そうむしょう容認ようにんした。その条件じょうけんについては基本きほんてきに「電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃおこな電子でんしメールのフィルタリングと電気でんき通信つうしん事業じぎょうほうだいじょう通信つうしん秘密ひみつ保護ほご)の関係かんけいについて」[2]かんがかた踏襲とうしゅうされているとおもわれる。また、迷惑めいわくメール(スパムメール対策たいさくとしてのOutbound Port 25 Blocking (OP25B)が、通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがいし、違法いほうであるかについては2006ねん11月に総務そうむしょうが「通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがいするが、正当せいとう業務ぎょうむ行為こういであるとして違法いほうではない」という判断はんだんくだしている。[3]

インターネットサービスプロバイダおこなう、各種かくしゅ行為こうい通信つうしん秘密ひみつ侵害しんがいとして違法いほうであるかどうかについては、電気でんき通信つうしん事業じぎょう関連かんれんの4団体だんたい社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽんインターネットプロバイダー協会きょうかい社団しゃだん法人ほうじん電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃ協会きょうかい社団しゃだん法人ほうじんテレコムサービス協会きょうかいおよ社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽんケーブルテレビ連盟れんめい)が、2007ねん5がつに「電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃにおける大量たいりょう通信つうしんとうへの対処たいしょ通信つうしん秘密ひみつかんするガイドライン(だい1はん)」を策定さくていした。

若年じゃくねんそうによるソーシャル・ネットワーキング・サイト利用りよう拡大かくだいしたことを契機けいきに、ウェブサイトでの個人こじん情報じょうほうのやりりを禁止きんしし、直接ちょくせつうことを未然みぜんふせ方策ほうさくについて議論ぎろんがなされている。しかしながら、電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃであるサイト運営うんえいしゃが、ユーザーあいだのメッセージを監視かんしし、削除さくじょなどの措置そちることは、通信つうしん秘密ひみつがいするとの指摘してきがされている。[4]

その先進せんしんこく

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欧州おうしゅう連合れんごうどくふつ西にしなど)・イギリス・大韓民国だいかんみんこく・オーストラリアなど42カ国かこくでは、海賊版かいぞくばんサイトにアクセス遮断しゃだん導入どうにゅうされている[17][18]。EU加盟かめいこくではEU情報じょうほう社会しゃかい指令しれい反映はんえいして、各国かっこく海賊版かいぞくばんサイトや違法いほうコンテンツ規制きせい義務ぎむづけられた。

ドイツは国内こくない新法しんぽう制定せいていしないで規制きせいしたため裁判さいばんになった。しかし、2015ねんにドイツ連邦れんぽう最高裁さいこうさいは、ドイツ民法みんぽう間接かんせつ侵害しんがい概念がいねん適用てきようし、知的ちてき財産ざいさんけん著作ちょさくけん侵害しんがいサイトへのアクセスブロックした措置そち有効ゆうこうせい合憲ごうけんとした。2017ねん欧州おうしゅう連合れんごう司法しほう裁判所さいばんしょは、金銭きんせん利益りえき目的もくてき違法いほうコンテンツへのハイパーリンク投稿とうこうすることを「著作ちょさくけんしゃ公衆こうしゅう送信そうしんけん侵害しんがいする行為こうい」と判断はんだんした[19]

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e 樋口ひぐち陽一よういち佐藤さとう幸治こうじ中村なかむら睦男むつお浦部うらべほう注解ちゅうかい法律ほうりつがく全集ぜんしゅう(2)憲法けんぽうII』あおりん書院しょいん、1997ねん、85ぺーじISBN 4-417-01040-4 
  2. ^ a b 阿部あべあきらへん憲法けんぽう 2 基本きほんてき人権じんけん(1)』有斐閣ゆうひかく有斐閣ゆうひかく双書そうしょ〉、1975ねん、161ぺーじ 
  3. ^ 大阪おおさかだかばん昭和しょうわ41ねん2がつ26にちだかけいしゅう19かん1ごう58ぺーじ憲法けんぽう思想しそう自由じゆうや、言論げんろん出版しゅっぱんとう表現ひょうげん自由じゆう保障ほしょうするとともに、その一環いっかんとして通信つうしん秘密ひみつ保護ほごし、もって私生活しせいかつ自由じゆう保障ほしょうしようとしている」
  4. ^ 新版しんぱん 体系たいけい憲法けんぽう事典じてん p534
  5. ^ a b 芦部あしべ信喜しき憲法けんぽうがくIII人権じんけん各論かくろん(1)増補ぞうほばん有斐閣ゆうひかく、2000ねん、544ぺーじ 
  6. ^ a b 佐藤さとう幸治こうじ現代げんだい法律ほうりつがく講座こうざ(5)憲法けんぽうだい3はんあおりん書院しょいん、1995ねん、576ぺーじ 
  7. ^ 阿部あべあきらへん憲法けんぽう 2 基本きほんてき人権じんけん(1)』有斐閣ゆうひかく有斐閣ゆうひかく双書そうしょ〉、1975ねん、139ぺーじ 
  8. ^ 郵政省ゆうせいしょうぞく逓信ていしん事業じぎょう』1961ねん、ほか。
  9. ^ a b c d e 樋口ひぐち陽一よういち佐藤さとう幸治こうじ中村なかむら睦男むつお浦部うらべほう注解ちゅうかい法律ほうりつがく全集ぜんしゅう(2)憲法けんぽうII』あおりん書院しょいん、1997ねん、86ぺーじISBN 4-417-01040-4 
  10. ^ a b 佐藤さとう幸治こうじ現代げんだい法律ほうりつがく講座こうざ(5)憲法けんぽうだい3はんあおりん書院しょいん、1995ねん、577ぺーじ 
  11. ^ a b c d e 通信つうしん秘密ひみつ個人こじん情報じょうほう保護ほごについて”. 総務そうむしょう. 2016ねん8がつ13にち閲覧えつらん
  12. ^ 樋口ひぐち陽一よういち佐藤さとう幸治こうじ中村なかむら睦男むつお浦部うらべほう注解ちゅうかい法律ほうりつがく全集ぜんしゅう(2)憲法けんぽうII』あおりん書院しょいん、1997ねん、86-87ぺーじISBN 4-417-01040-4 
  13. ^ a b c 樋口ひぐち陽一よういち佐藤さとう幸治こうじ中村なかむら睦男むつお浦部うらべほう注解ちゅうかい法律ほうりつがく全集ぜんしゅう(2)憲法けんぽうII』あおりん書院しょいん、1997ねん、87ぺーじISBN 4-417-01040-4 
  14. ^ 平野ひらの龍一りゅういち法律ほうりつがく全集ぜんしゅう(43)刑事けいじ訴訟そしょうほう有斐閣ゆうひかく、1958ねん、577ぺーじ 
  15. ^ 佐藤さとう幸治こうじ現代げんだい法律ほうりつがく講座こうざ(5)憲法けんぽうだい3はんあおりん書院しょいん、1995ねん、579-580ぺーじ 
  16. ^ 鈴木すずき秀美ひでみ通信つうしん傍受ぼうじゅほう」『法学ほうがく教室きょうしつだい232かん有斐閣ゆうひかく、2000ねん、29ぺーじ 
  17. ^ [1]深刻しんこくするマンガ海賊かいぞくサイト、ブロッキングの是非ぜひは  福井ふくい弁護士べんごし
  18. ^ マンガ海賊版かいぞくばんサイトへのアクセス遮断しゃだん違法いほうか?弁護士べんごしいた
  19. ^ 出版しゅっぱん業界ぎょうかいになるニュースまとめ2017』鷹野たかのりょう

関連かんれん項目こうもく

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