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マコモ - Wikipedia

マコモ

イネイネ植物しょくぶつ
真菰まこもから転送てんそう

マコモZizania latifolia真菰まこも)は、イネマコモぞく多年草たねんそう別名べつめいハナガツミ[1]

マコモ
分類ぶんるいAPG III
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : たん子葉しようるい monocots
階級かいきゅうなし : ツユクサるい commelinids
: イネ Poales
: イネ Poaceae
: エールハルタ Ehrhartoideae
ぞく : Oryzeae
ぞく : マコモぞく Zizania
たね : マコモ Z. latifolia
学名がくめい
Zizania latifolia L.
和名わみょう
マコモ(真菰まこも)、ハナガツミ(はな勝美かつみ
英名えいめい
Manchurian Wild Rice

種子しゅし穀物こくもつとして、古代こだい中国ちゅうごく[2]:165日本にっぽん[3]しょくされた。しょくできる種子しゅしを、カツミ、ハナガツミ、マコモノミ、サムコマイとも[3]

また、黒穂くろほきん英語えいごばん感染かんせんしてきんおおきくなったなんまいぎとっていくと、ちゅうからしろなマコモダケ、こもかく(こもづの)とばれる食用しょくようあらわれる[1][3]

特徴とくちょう

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ふゆのマコモ

マコモは、ひがしアジア東南とうなんアジア分布ぶんぷしており、日本にっぽんでは全国ぜんこくられる。

水辺みずべ群生ぐんせいし、ぬま河川かせんみずうみなどに生育せいいく成長せいちょうすると大型おおがたになり、ひとくらいになる。花期かきなつからあきで、雌花めばな緑色みどりいろ雄花おばな紫色むらさきいろ葉脈ようみゃく平行へいこう

 
調理ちょうりみのワイルドライス

種子しゅし(ワイルドライス)、肥大ひだいした新芽しんめ(マコモダケ)が食用しょくようとされる(後述こうじゅつ)。また、マコモダケがくろへんじたものからはくろ顔料がんりょうのマコモズミがられ、歯黒はぐろ眉墨まゆずみ漢方薬かんぽうやくなどにもちいられたがすたれ、鎌倉彫かまくらぼり古色こしょくもちいられる[3]

くきむしろ(むしろ)やみの材料ざいりょうとしてももちいられ[3]、「こも」ともばれる。ぼんだな精霊棚しょうりょうだなうえにはマコモで出来できむしろ(これ自体じたいがマコモとばれる)がござわりにかれる。

古事記こじき万葉集まんようしゅうにも登場とうじょうし、かみ宿やどくさとされ神社じんじゃの「しめなわ」や「」の材料ざいりょうとされた[4]

出雲いずも大社たいしゃでは毎年まいとし6がつに「マコモの神事しんじ」がおこなわれる。「出雲いずももり」から、御手洗みたらいまでの道中どうちゅうきよすなき、そのうえにマコモがかれ、宮司ぐうじはそのうえあるいて参進さんしんする。宮司ぐうじんだマコモは神威しんい宿やどるとされ、参拝さんぱいしゃかえって神棚かみだなかざったり、浴槽よくそうれたりする[5]。 また、出雲いずも大社たいしゃ神幸しんこうさいでもマコモをもちいる。マコモを藁苞わらづと(わらづと)のように加工かこうしたつと(しぼ)というもの神職しんしょくにして神幸しんこうときぎょうする[6]健康けんこうほうでマコモをもちいるものが以前いぜんからあったが、疑似ぎじ科学かがく範疇はんちゅうはいるものも散見さんけんされる。

 
マコモダケ

中国ちゅうごく東部とうぶから東南とうなんアジアにひろ分布ぶんぷしているマコモの1系統けいとうのヒロハマコモで、黒穂くろほきん英語えいごばん(くろぼきん)の一種いっしゅUstilago esculenta英語えいごばん寄生きせいされて肥大ひだいした新芽しんめマコモダケ真菰まこもたけのこ、茭白。マコモタケとも[7]中国ちゅうごくではジャオパイ[3])とよばれる食材しょくざいである[8]ふるくは『万葉集まんようしゅう』に登場とうじょうする。中国ちゅうごく台湾たいわんベトナムタイラオスカンボジアなどのアジア各国かっこくでも食用しょくよう薬用やくようとされる。台湾たいわんでは「茭白」が標準ひょうじゅんてきかたであるが、中部ちゅうぶみなみとうけん埔里鎮周辺しゅうへん特産とくさんとされ、色白いろじろ女性じょせいあし見立みたてた「美人びじんもも」(メイレントゥイ)の愛称あいしょう出荷しゅっかされている。

香港ほんこんふく広東かんとん使用しよう地域ちいきでは「茭筍」(カーウソン)とび、いたぶつやスープのなどにもちいることがおおい。

たけのこやさしくしたような適度てきどしょくかんと、ほのかな甘味あまみヤングコーンのようなかおりがある。くせがなくあっさりしたあじで、さっとでたり、グリルき、にくさかなわせたいためものにもいているほか[7]新鮮しんせんなものは生食なましょくしてもおいしい。沖縄おきなわけんでは「まくむ」、鹿児島かごしまけん奄美あまみ大島おおしまでは「台湾たいわんだーな(たけ)」とんで、いたぶつイリチー奄美あまみ料理りょうりの「いっき」、あぶらぞうめんなどに使用しようする。中国ちゅうごくではスープにもされ、台湾たいわんでは麺類めんるいのひとつにもくわえられることがある。こまかくきざんで餃子ぎょうざハンバーグチャーハンなどにもちいることもできる。

収穫しゅうかくあき(10がつごろ)で、新芽しんめ根元ねもとがじゅうぶんに肥大ひだいしたらすぐに収穫しゅうかくする[4]収穫しゅうかくおくれると、組織そしきないくろ胞子ほうし斑点はんてんじょうこんじるようになり、しょくかん食味しょくみちて、商品しょうひん価値かちうしなわれる。マコモズミはこのくろ胞子ほうしたい利用りようしたもの。

日本にっぽん自生じせいするマコモでは中国ちゅうごく栽培さいばい品種ひんしゅのようにおおきくならず、肥大ひだい初期しょきからくろ胞子ほうしられ食用しょくようとならない[4]

ワイルドライス

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北米ほくべい大陸たいりくきんえんしゅZ. aquatica、アメリカマコモ)の種子しゅしふるくから穀物こくもつとして食用しょくようとされており、今日きょうワイルドライスWild rice)の利用りようされている。

ワイルドライスの生育せいいくけんオジブワぞくメノミニーぞく英語えいごばんなど、五大ごだいみずうみ地方ちほうアメリカ・インディアン部族ぶぞくそれぞれによって縄張なわばがあり、かれらの保留ほりゅう(Reservation)で栽培さいばいされる。

マコモは野生やせい植物しょくぶつから食用しょくよう作物さくもつへの過渡かと初期しょき段階だんかいられる場合ばあいがある[だれによって?]。しかし、種子しゅし乾燥かんそう2-3にち発芽はつがしなくなるため、イネ割合わりあいちか植物しょくぶつでありながら、種子しゅしから栽培さいばいできる変異へんいしゅ選別せんべつおこなわれなかったとかんがえられている[だれによって?]したがって、日本にっぽんでマコモの栽培さいばいおこな場合ばあいは、種子しゅしからではなく親株おやかぶからかぶけるという方法ほうほうる。

ワイルドライスは1977ねんにミネソタしゅうしゅう穀物こくもつ(state grain)に指定していされている[9]

侵入しんにゅうしゅ

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マコモはあやまってニュージーランド繁殖はんしょくし、侵略しんりゃくてき外来がいらいしゅ指定していされている[10]ハワイ導入どうにゅうされている。くきアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく輸入ゆにゅうすることは、北米ほくべいのマコモぞく(ワイルドライス)を菌類きんるいから保護ほごするために禁止きんしされている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 真菰まこも. コトバンクより。
  2. ^ Simoons, Frederick J. (1991). Food in China: a cultural and historical inquiry. CRC Press. pp. 559. ISBN 978-0-8493-8804-0. https://books.google.com/books?id=Fo087ZxohA4C&q=manchurian%20wild%20rice%20china&pg=PA165 
  3. ^ a b c d e f 岸本きしもと, 妙子たえこ、キシモト, タエコ、Shigenobu-Kishimoto, Taeko「わがくにしょく資源しげんとしてのマコモ(Zizania latifolia)」1996ねん 
  4. ^ a b c 新発田しばたべてみたーい!とおもうおすすめの「マコモダケ」レシピは? - 新潟にいがたけんホームページ”. www.pref.niigata.lg.jp. 2024ねん1がつ7にち閲覧えつらん
  5. ^ かそけあらわ1245ごう平成へいせい28ねん7がつ1にち出雲いずも大社たいしゃかそけあらわしゃ発行はっこう
  6. ^ かそけあらわ出雲いずも大社たいしゃかそけあらわしゃ平成へいせい28ねん9がつ1にち発行はっこう4ぺーじ
  7. ^ a b 猪股いのまた慶子けいこ監修かんしゅう 成美せいびどう出版しゅっぱん編集へんしゅうへん 2012, p. 61.
  8. ^ 猪股いのまた慶子けいこ監修かんしゅう 成美せいびどう出版しゅっぱん編集へんしゅうへん 2012, p. 98.
  9. ^ State Grain - Wild Rice, About Minnesota, https://www.sos.state.mn.us/about-minnesota/state-symbols/state-grain-wild-rice/ 
  10. ^ NIWA: Stopping the freshwater wild rice invader

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 猪股いのまた慶子けいこ監修かんしゅう 成美せいびどう出版しゅっぱん編集へんしゅうへん『かしこくえらぶ・おいしくべる 野菜やさいまるごと事典じてん成美せいびどう出版しゅっぱん、2012ねん7がつ10日とおかISBN 978-4-415-30997-2 
  • 小野寺おのでら広志ひろし『マコモ誕生たんじょう』EYE企画きかく、1985ねん
  • 中村なかむら重正しげまさきんしょく民俗みんぞく -マコモと黒穂くろほきん利用りよう-』(八坂やさか書房しょぼう、2000ねんISBN 978-4-89694-453-2 URL
  • 永田ながた信治しんじ不思議ふしぎくにの「マコモ」」『まこも草子ぞうし』100ごう、2010ねん3がつ
  • 星川ほしかわ清親きよちか食用しょくよう作物さくもつ
  • まこも草子ぞうし編集へんしゅう『まこも草子ぞうし』マコモのかい 会報かいほう企画きかく制作せいさく: デラフィック

関連かんれん項目こうもく

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  • バスマティ
  • あかまい
  • ハナカツミ
  • こも - ふゆまえまつにマコモなどからなるむしろ(むしろ)をけ、真冬まふゆになってからはずさむさからのがれていた害虫がいちゅう駆除くじょする方法ほうほうがとられていた。のちにマコモにわってわら(わら)が使つかわれるようになった。

外部がいぶリンク

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