瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう器き

瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう器き（しゅんかんぶっしついそうき）は、アニメ「宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマトシリーズ」に登場とうじょうする架空かくうの兵器へいき。

広義こうぎには転送てんそう装置そうちの一種いっしゅと見みなされている。

諸しょ設定せってい

「瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう機き」とも表記ひょうきされる。ガミラス帝国ていこくのドメルが長年ながねん構想こうそうしていた、敵艦てきかん付近ふきんに自軍じぐんの戦闘せんとう機きや戦闘せんとう艦艇かんていを転送てんそうして強襲きょうしゅう攻撃こうげきするという戦術せんじゅつを実現じつげんさせるため、兵器へいき開発かいはつ部ぶに開発かいはつさせていた物質ぶっしつ移送いそう空間くうかんの発生はっせい装置そうち。ヤマトとの七なな色しょく星団せいだん決戦けっせんで実戦じっせん投入とうにゅうされる。

複眼ふくがん状じょうのレンズを持もつ発生はっせい器きから、ワープさせたい対象たいしょう物ぶつへワープ光線こうせんを照射しょうしゃする。発生はっせい器きは2基きで1組くみであり、2つの発生はっせい器きから照射しょうしゃされた光線こうせんが交まじわった範囲はんいが、ワープ可能かのうエリアとなる。光線こうせんのエリア内ないに収おさまってさえいれば、対象たいしょう物ぶつの大おおきさや数かずに関係かんけいなく、任意にんいの場所ばしょに転送てんそうすることが可能かのうである。同どう帝国ていこくのドメラーズ2世せい、デスラー艦かん、デスラー戦闘せんとう空母くうぼ（未み使用しよう）および、ガルマン・ガミラス帝国ていこくの二に連れん三さん段だん空母くうぼ、新型しんがたデスラー艦かん（未み使用しよう）の艦載かんさい兵器へいきとして搭載とうさいされた。航空機こうくうきではガルマン・ガミラスの重じゅう爆ばく機きに搭載とうさいされていたが、劇げき中ちゅうでは未み使用しようとなっている。

デスラー戦法せんぽう

遠方えんぽうから攻撃こうげき対象たいしょうの近ちかくにワープ機能きのうを持もたない航空機こうくうきや、小型こがた戦闘せんとう用よう艦艇かんていを瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう器きで移送いそうさせるガミラス軍ぐんの奇襲きしゅう戦法せんぽうを、地球ちきゅう側がわではこう呼よんでいる。

デスラー戦法せんぽうという名前なまえが劇げき中ちゅうで用もちいられたのは『さらば』でワープアウトから奇襲きしゅうしてくる敵てきに対たいして南部なんぶ康雄やすおが叫さけんだセリフ中ちゅうでのみである。実際じっさいに発案はつあんしたのはドメルであるため、媒体ばいたいによっては「ドメル戦法せんぽう」とも呼よばれる。

攻撃こうげき側がわは存在そんざいを秘匿ひとくして完全かんぜんな奇襲きしゅう攻撃こうげきが可能かのうなため、敵てきの迎撃げいげきを受うけずに攻撃こうげき隊たいを無傷むきずで敵艦てきかん付近ふきんに投入とうにゅうし、圧倒的あっとうてきに優位ゆういな作戦さくせん展開てんかいが可能かのうである。また、「航空こうくう隊たいや戦闘せんとう用よう艦船かんせんが至近しきん距離きょりに突然とつぜん出現しゅつげんして攻撃こうげきしてくる」ことで敵てきの意表いひょうを突つき、心理しんり面めんでも先制せんせいすることによる精神せいしん的てきな恐怖きょうふ感かんやダメージも大おおきい。ヤマトシリーズの作中さくちゅうでは航空機こうくうきの航続こうぞく距離きょりの概念がいねんが希薄きはくだが、瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう器きでは往路おうろに要ようする時間じかんやエネルギーを省略しょうりゃくできるため、行動こうどう半径はんけいや攻撃こうげきの機会きかいの拡大かくだいも見込みこめる。そして自力じりきでの移動いどう・航行こうこう能力のうりょくを持もたない機雷きらいのような兵器へいきでも移送いそう可能かのうであるため、敵てきの周囲しゅういに瞬間しゅんかん的てきに機雷きらい原ばらを形成けいせいすることさえ可能かのうである（一種いっしゅの攻勢こうせい機雷きらい戦せん）。

ただし、この戦法せんぽうには「味方みかたを送おくり出だすことはできても、連つれ戻もどすことはできない」というデメリットがあり、退路たいろもなく敵てきの眼前がんぜんに移送いそうされた戦力せんりょくが反撃はんげきで撃破げきはされる危険きけんも大おおきい。一方いっぽう、この短所たんしょは戦術せんじゅつ・運用うんようによってある程度ていどはカバーできる。『ヤマト』の七なな色しょく星団せいだん決戦けっせんでは、ドメルは複数ふくすうの攻撃こうげき隊たいで波状はじょう攻撃こうげきを加くわえて退却たいきゃく中ちゅうの攻撃こうげき隊たいへの追撃ついげきを許ゆるさず、ヤマト側がわの迎撃げいげき隊たいが消耗しょうもうしたタイミングを見計みはからって、止とめの重じゅう爆撃ばくげき機きを送おくり込こんだ。『ヤマト2』では、デスラーは退却たいきゃくが不要ふような無人むじんの機雷きらいを転送てんそうすることで、ヤマトの波動はどう砲ほうを無力むりょく化かしている。

将棋しょうぎの持もち駒ごまの動うごきに近ちかい。（但ただし、将棋しょうぎの持もち駒ごまは、相手あいて（敵てき）に見みえているので、完全かんぜんな奇襲きしゅうにはならない。）

劇げき中ちゅうでの描写びょうしゃ

宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト

ドメルの旗艦きかんドメラーズ2世せいに搭載とうさいされている。第だい22話わにおけるヤマトとの七なな色しょく星団せいだん決戦けっせんでは、ドメルの戦術せんじゅつ構想こうそう通どおりに急降下きゅうこうか爆撃ばくげき隊たい・雷撃らいげき隊たい・そして重じゅう爆撃ばくげき機きをヤマトの至近しきんに転送てんそうし、先制せんせい攻撃こうげきでヤマトを追おい詰つめる。ただし、攻撃こうげき後ごの急降下きゅうこうか爆撃ばくげき隊たい・雷撃らいげき隊たいはヤマト戦闘せんとう機き隊たいによって大だい打撃だげきを受うけている。

さらば宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト 愛あいの戦士せんしたち

デスラー艦かんの艦かん首くびに装備そうびされている。駆逐くちく艦かんを移送いそうすることでヤマトへの奇襲きしゅうが成功せいこうし、ヤマトの全ぜん砲塔ほうとうを撃破げきはする。作中さくちゅうの説明せつめいは無ないが、駆逐くちく艦かんならワープ機能きのうを持もっているはずであり、あえて瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう器きを使用しようした必然ひつぜん性せいが不明ふめいであるが、ワープに用もちいる自艦じかんのエネルギーを節約せつやくして、ワープ終了しゅうりょう時じに即座そくざに攻撃こうげきに移うつるメリットがあると推測すいそくされる。ちなみにヤマトはデスラー艦かんの近距離きんきょりにワープして反撃はんげきを行おこなったが、この際さいは接せっ舷ふなばたしての白兵戦はくへいせんを行おこなっており、艦載かんさい兵器へいきを用もちいていないため、ワープアウト直後ちょくごにはエネルギー消耗しょうもうのため即座そくざに攻撃こうげきができないものと想像そうぞうされる（もっともこの時ときは全ぜん砲塔ほうとうが使用しよう不能ふのうであったためどの道みち白兵戦はくへいせんを選えらばざるを得えなかった可能かのう性せいの方ほうが濃厚のうこうである）。

宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2

『さらば』と同おなじくデスラー艦かんの艦かん首くびに装備そうびされている。第だい23話わで使用しようされており、急降下きゅうこうか爆撃ばくげき隊たい・雷撃らいげき隊たいを移送いそうすることでヤマトを奇襲きしゅうして大だい打撃だげきを与あたえ、さらに磁力じりょく機雷きらいを波動はどう砲ほうの砲ほう口こう直前ちょくぜんに移送いそうすることで波動はどう砲ほうすら封ふうじた。

宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマトIII

二に連れん三さん段だん空母くうぼの飛行ひこう甲板かんぱん先端せんたんに個こ艦かん装備そうびされており、第だい11話わで使用しようされる。運用うんよう方法ほうほうに変化へんかが見みられ、発はつ艦かんする機き毎ごとに転送てんそうさせる方式ほうしきとなっている。

PSゲーム

PS用ようゲームソフト『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト 遥はるかなる星ほしイスカンダル』および『さらば宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト 愛あいの戦士せんしたち』で登場とうじょう。

名称めいしょうは「瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう機き」で統一とういつされているが、基本きほん設定せっていはアニメ版ばんと同おなじである。

PS2用ようゲームソフト『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト 暗黒あんこく星団せいだん帝国ていこくの逆襲ぎゃくしゅう』では、前作ぜんさくの『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト イスカンダルへの追憶ついおく』の時ときにデスラーから見みせられていたものを参考さんこうに、真田さなだと大山おおやまが共同きょうどうで開発かいはつ。ブラックホール内ないに落おち込こんでしまった味方みかたに対たいして使用しようし、ワープさせることによってブラックホールから脱出だっしゅつさせた。この時ときの瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう機きは実験じっけん作さくのようなものであり、実用じつよう化かにはガミラスの協力きょうりょくが不可欠ふかけつであると真田さなだは述のべている。なお、脱出だっしゅつに使用しようされた移送いそう機きは、ブラックホールに呑のみ込こまれることが前提ぜんていのため、使つかい捨すてとなった。

リメイクアニメ

『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト』のリメイク作品さくひんである『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2199』では、名称めいしょうが「物質ぶっしつ転送てんそう機き」となっている。その後ご、『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2202 愛あいの戦士せんしたち』に登場とうじょうした際さいには「瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう機き」に改あらためられている。

転送てんそうの具体ぐたい的てきな原理げんりが設定せっていされており、母艦ぼかんの波動はどう主ぬし機きを一時いちじ的てきに過か負荷ふか状態じょうたいで駆動くどうさせ、主おも機きの外部がいぶに次元じげんの重複じゅうふく領域りょういきを拡張かくちょうし、それを物質ぶっしつ転送てんそう波は（指向しこう性せいを持もった「ゲシュタムの穴あな」）として照射しょうしゃする。これにより、ワープ機能きのうを持もたない小型こがた兵器へいきをワープさせることが可能かのうとなる。

2199世界せかいでの航こう宙ちゅう艦かんはワープ(ゲシュタム・ジャンプ)が可能かのうなため航こう宙ちゅう機きのアウトレンジ攻撃こうげきが優位ゆうい性せいを発揮はっき出来できない。一方いっぽうで恒星こうせい付近ふきんなどワープが利用りようできない場所ばしょも存在そんざいするため空母くうぼと戦艦せんかんが共存きょうぞんしており、瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう機きは艦載かんさい機きの威力いりょくを飛躍ひやく的てきに高たかめるものとして開発かいはつされている。 劇げき中ちゅうでの描写びょうしゃとしては、可視かし光線こうせんを断続だんぞく的てきに照射しょうしゃするのではなく、複眼ふくがん状じょうのレンズの個々ここが激はげしく点滅てんめつし、そのたびに数個すうこの対象たいしょう物ぶつがワープするようになっている。

劇げき中ちゅうでの描写びょうしゃ（リメイクアニメ）

宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2199

最高さいこう機密きみつの試作しさく兵器へいきであり、七なな色しょく星団せいだん海戦かいせんの折おりにドメラーズIII世よに搭載とうさいされた。旧作きゅうさく同様どうよう、攻撃こうげき機き「スヌーカ」で編成へんせいされる第だい二に次じ攻撃こうげき隊たい、重じゅう爆撃ばくげき機き「ガルント」、そして雷撃らいげき機き「ドルシーラ」で編成へんせいされる第だい三さん次じ攻撃こうげき隊たいをヤマトの至近しきんに転送てんそうさせ奇襲きしゅうを仕掛しかける。試作しさく型がたであるため、成功せいこう率りつは7割わりとされていた。

作中さくちゅうではワープであることを見抜みぬいた沖田おきたが、その事実じじつを信しんじられない南部なんぶを諭さとしている。

宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2202 愛あいの戦士せんしたち

ノイ・デウスーラの艦かん首くびに搭載とうさいされている。懸架けんかしたゴーランドミサイルを転送てんそうしヤマトを攻撃こうげきする。

宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2205 新あらたなる旅立たびだち

デウスーラⅢ世せいに搭載とうさいされている。劇げき中ちゅう冒頭ぼうとうではドルシーラ隊たいを転送てんそうし航行こうこう不能ふのう状態じょうたいのボラー艦隊かんたいを奇襲きしゅうする。最終さいしゅう決戦けっせん時じには共同きょうどう作戦さくせんを組くんだ地球ちきゅうの航空こうくう隊たいもデザリアム艦隊かんたいへ転送てんそうしている。

派生はせいおよび類似るいじの兵器へいき

火炎かえん直撃ちょくげき砲ほう

『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2』に登場とうじょうする、白色はくしょく彗星すいせい帝国ていこくの提督ていとくバルゼーが乗艦じょうかんする艦隊かんたい旗艦きかんメダルーザの装備そうびする艦載かんさい兵器へいき。

PSゲーム版ばん『さらば宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト 愛あいの戦士せんしたち』では、ガミラス（デスラー）から供与きょうよされた瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう器きの技術ぎじゅつを応用おうようしたものという設定せっていが追加ついかされている。

『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2199 星ほし巡めぐる方舟はこぶね』に登場とうじょうする「火焔かえん直撃ちょくげき砲ほう」についても、ガミラスの科学かがく奴隷どれいに「物質ぶっしつ転送てんそう機き」の技術ぎじゅつを用もちいて作つくらせたとされている。本ほん作さくでは「転送てんそう投擲とうてき器き」と呼称こしょう。

ワープ光線こうせん

『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト 完結かんけつ編へん』に登場とうじょう。都市とし衛星えいせいウルクからこの光線こうせんを照射しょうしゃし、水みず惑星わくせいアクエリアスをワープさせている。

ミサイルランチャーワープ装置そうち

『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト 完結かんけつ編へん』に登場とうじょう。移動いどう要塞ようさい母艦ぼかんに装備そうびされている、卵たまご型がたの浮遊ふゆうミサイルランチャーを移送いそうするための設備せつび。瞬間しゅんかん物質ぶっしつ移送いそう器きとほぼ同おなじ運用うんよう法ほうであるが、ワープ光線こうせん発生はっせい器きは1基きである。実際じっさいの本編ほんぺんでは、本ほん兵器へいきの使用しようシーンはカットされている。