第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめい

第だい4次じ産業さんぎょう革命かくめい (だいよんじさんぎょうかくめい、英えい: Fourth Industrial Revolution、略称りゃくしょう: 4IR) は、18世紀せいきの最初さいしょの産業さんぎょう革命かくめい以降いこうの4番目ばんめの主要しゅような産業さんぎょう時代じだいを指さす。21世紀せいき前半ぜんはんにも起おこるとされ、それは物理ぶつり、デジタル、生物せいぶつ圏けんの間あいだの境界きょうかいを曖昧あいまいにする技術ぎじゅつの融合ゆうごうによって特徴とくちょうづけられる。

産業さんぎょう革命かくめいの段階だんかい

第だい一いち次じ産業さんぎょう革命かくめい

蒸気じょうき機関きかん「パッフィンビリー」の写真しゃしん(ロンドンのサイエンス・ミュージアムで撮影さつえい)

詳細しょうさいは「産業さんぎょう革命かくめい」を参照さんしょう

第だい一いち次じ産業さんぎょう革命かくめいはヨーロッパとアメリカで18世紀せいきから19世紀せいきに渡わたって起おきた。この時期じきに主おもに農耕のうこう・地方ちほう社会しゃかいの工業こうぎょう化か・都市とし化かが進すすんだ。鉄てつと繊維せんい工業こうぎょう（軽工業けいこうぎょう）は蒸気じょうき機関きかんの発展はってんと共ともに産業さんぎょう革命かくめいにおいて中心ちゅうしん的てきな役割やくわりを担になった。この時点じてんでは工場こうじょうを中心ちゅうしんとした機械きかいの導入どうにゅうが行おこなわれた。

第だい二に次じ産業さんぎょう革命かくめい

詳細しょうさいは「第だい二に次じ産業さんぎょう革命かくめい」を参照さんしょう

第だい二に次じ産業さんぎょう革命かくめいは1870年ねんから第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん直前ちょくぜんの1914年ねんまでの間あいだに起おきた 。既存きそんの産業さんぎょうの成長せいちょうに加くわえ、鋼鉄こうてつ、石油せきゆ、電気でんきなどの新あらたな産業さんぎょう（重化学じゅうかがく工業こうぎょう）も拡大かくだいしていき、電力でんりょくを使つかい大量たいりょう生産せいさんを行おこなった。この期間きかんにおける主要しゅような技術ぎじゅつ的てき進歩しんぽは電話機でんわき、電球でんきゅう、蓄音機ちくおんき、内燃ないねん機関きかんなどがある。この時点じてんでは、広範こうはんなエネルギー利り活用かつようのためのインフラが完成かんせいした。

第だい三さん次じ産業さんぎょう革命かくめい

詳細しょうさいは「第だい三さん次じ産業さんぎょう革命かくめい」を参照さんしょう

第だい三さん次じ産業さんぎょう革命かくめいまたはデジタル革命かくめいは、アナログ回路かいろ及および機械きかいデバイスから今日きょう用もちいているデジタル技術でじたるぎじゅつへの技術ぎじゅつ的てき進歩しんぽを指さす。この時代じだいは1980年代ねんだいから始はじまり、現在げんざいも継続けいぞく中ちゅうである。また、1950年代ねんだい（20世紀せいき半なかば）以降いこうの原子力げんしりょくエネルギーの活用かつようも含ふくまれることがある。

第だい三さん次じ産業さんぎょう革命かくめいにおける進歩しんぽは、パーソナルコンピュータ、インターネット、情報じょうほう通信つうしん技術ぎじゅつ (ICT) などがある。これらの技術ぎじゅつ革新かくしんは人間にんげんの知的ちてき作業さぎょうの効率こうりつ化かを実現じつげんした。初期しょきの情報じょうほう技術ぎじゅつ (IT) は知的ちてき作業さぎょうの大幅おおはばな高速こうそく化かに寄与きよしたが、あくまで従来じゅうらいのアナログ的てきな道具どうぐの置おき換かえでしかなかった。この時点じてんのコンピュータは極きわめて他律たりつ的てきで融通ゆうずうが効きかず、情報じょうほうシステムの動作どうさを規定きていするソフトウェアの殆ほとんどは、人間にんげんがルールベースでコーディングを行おこなっていた。しかし、1つの到達とうたつ点てんとして、インターネットに常時じょうじ接続せつぞくされたノートパソコンやスマートフォンなどの情報じょうほう機器ききが携帯けいたい可能かのうになったことで、場所ばしょを選えらばない協きょう働はたらけや、人間にんげんの擬似ぎじ的てきな能力のうりょく強化きょうかが可能かのうになった。一方いっぽうで、情報じょうほう通信つうしん技術ぎじゅつへの依存いぞん度どが強つよくなり、インターネット依存いぞん症しょうや歩あるきスマホなども問題もんだいになった。この革命かくめいは以前いぜんの革命かくめいと比較ひかくして極きわめて急速きゅうそくに進行しんこうした。

2010年代ねんだい、第だい三さん次じ産業さんぎょう革命かくめいで十分じゅうぶんに発達はったつし安価あんかになった情報じょうほう通信つうしん技術ぎじゅつを援用えんようしながら、全ぜん世界せかいで技術ぎじゅつ開発かいはつ競争きょうそうが繰くり広ひろげられた。技術ぎじゅつ規格きかくの提唱ていしょう時じから大幅おおはばに進歩しんぽしたWebでソフトウェアが多数たすう公開こうかいされ、誰だれでも簡単かんたんにソフトウェアを利用りようできるようになり、開発かいはつにも参入さんにゅうできるようになった。結果けっかとして、ソフトウェアエンジニアが人気にんきの職業しょくぎょうになった。その中なかで、人工じんこう知能ちのうなどでブレークスルーが起おき、産業さんぎょう応用おうようが進すすめられたことで、第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめいの姿すがたが見みえ始はじめてきた。

第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめい

1983 Industrial Robots KUKA IR160/60, 601/60

「第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめい」というフレーズは2016年ねんの世界せかい経済けいざいフォーラムにおいて初はじめて使用しようされた。

スイスのダボスで開ひらかれた2016年ねんの世界せかい経済けいざいフォーラムの年次ねんじ会議かいぎでは「第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめいの理解りかい (Mastering the Fourth Industrial Revolution)」がテーマとなった。

第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめいはデジタル革命かくめいを大前提だいぜんていとしており、技術ぎじゅつが社会しゃかい内ないや人体じんたい内部ないぶにすら埋うめ込こまれるようになる新あらたな道みちを表あらわしている。

Arik Segalによれば、第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめいは人間にんげんのコミュニケーションと紛争ふんそうの解決かいけつを改善かいぜんする独特どくとくの機会きかいを持もっているという。

第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめいはロボット工学こうがく、人工じんこう知能ちのう (AI) 、ブロックチェーン（仮想かそう通貨つうか）、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー（生物せいぶつ工学こうがく）、量子りょうしコンピュータ、モノのインターネット (IoT) 、3Dプリンター、自動じどう運転うんてん車しゃ（スマートカー）、仮想かそう現実げんじつ、拡張かくちょう現実げんじつ、複ふく合あい現実げんじつ、プラズマなどの多岐たきに渡わたる分野ぶんやにおいての新興しんこうの技術ぎじゅつ革新かくしんを特徴とくちょうとする。

これらの技術ぎじゅつ革新かくしんは2030年代ねんだいまでには機械きかいの自律じりつ性せいや柔軟じゅうなん性せいを極限きょくげんまで高たかめ、機械きかいが人間にんげんにとって創造そうぞう的てきでない仕事しごとを肩代かたがわり出来できるようにする。それどころか、次第しだいに生物せいぶつと機械きかいを区別くべつできなくし（動物どうぶつとの意思いし疎通そつうなど）、最終さいしゅう的てきにはバイオテクノロジーやナノテクノロジーを用もちいた人体じんたい改造かいぞうでポストヒューマンを生うみ出だすことを可能かのうにする。その時点じてんで、人間にんげんの思考しこうは機械きかいの情報処理じょうほうしょりと統合とうごうされ、真しんの意味いみで拡張かくちょう可能かのうになり、人類じんるい進化しんかは次つぎのステージに進すすむことになる。

第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめいの究極きゅうきょくの到達とうたつ点てんでは、人間にんげんの定義ていぎすらも覆くつがえる可能かのう性せいがあるが、レイ・カーツワイルによる「技術ぎじゅつ的てき特異とくい点てん」(technological singularity) の仮説かせつでは2045年ねんにはその状況じょうきょうが現あらわれるとしている。技術ぎじゅつ的てき特異とくい点てん以後いごは人間にんげんの定義ていぎが覆くつがえるため、もはや生身なまみの人間にんげんでは想像そうぞうが及およばない時代じだいとなる。

世界せかい経済けいざいフォーラムの創設そうせつ者しゃ兼けん会長かいちょうのクラウス・シュワブ教授きょうじゅは、自著じちょ『The Fourth Industrial Revolution』で第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめいが主おもに技術ぎじゅつの発展はってんによって特徴とくちょうづけられた過去かこの三さん度どの産業さんぎょう革命かくめいとは根本こんぽん的てきに異ことなると説明せつめいした。これらの技術ぎじゅつは数すう十じゅう億おく人にんをウェブに繋つなげ続つづけ、事業じぎょうと組織そしきの効率こうりつ性せいを劇的げきてきに改善かいぜんし、より良よい資産しさん管理かんりを通つうじて自然しぜん環境かんきょうの再生さいせいに役立やくだつ大おおきな可能かのう性せいがある。デジタル化かと人工じんこう知能ちのうの経済けいざいに及およぼす影響えいきょうの観点かんてんから第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめいを「第だい二にの機械きかい時代じだい」と関連付かんれんづけたが、それに生物せいぶつ工学こうがくにおける進歩しんぽのためのより幅広はばひろい役割やくわりを加くわえた。

産業さんぎょう革命かくめいの第だい四よんの波なみは、破壊はかい的てきな効果こうかを伴ともなう可能かのう性せいの高たかいいくつかの新興しんこう技術ぎじゅつが十分じゅうぶんに実行じっこうされた時ときに来くると予想よそうされている。

そして、これらの変化へんかの広ひろさと深ふかさは、生産せいさん、管理かんり、ガバメント、ガバナンス、コンプライアンス、プロパガンダ、知的ちてき財産ざいさん権けんの、全ぜんシステムの変革へんかくを告つげるものとなるであろう。

関連かんれんリンク

• インダストリー4.0
• ソサエティー5.0 (Society 5.0)
• 情報じょうほう革命かくめい
• 脱だつ工業こうぎょう化か社会しゃかい
• ジェネレーションαあるふぁ（アルファ世代せだい）