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攻城戦 - Wikipedia

おさむしろせん

てきとりでしろ城壁じょうへき都市とし奪取だっしゅするための戦闘せんとう
篭城ろうじょうから転送てんそう

おさむしろせん(こうじょうせん、えい: siege)とは、てきとりでしろ城壁じょうへき都市とし奪取だっしゅするための戦闘せんとうのことである。相手あいてえさせる戦法せんぽうであるため兵糧ひょうろうともいう。また、まもがわ防塞ぼうさいるいふさが)から戦闘せんとう籠城ろうじょうせん(または篭城ろうじょうせん、ろうじょうせん)とぶ。

コンスタンティノープルの陥落かんらく

概要がいよう

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古代こだいから近世きんせい初期しょきにいたるまで、野戦やせんならぶ2だい戦闘せんとう形態けいたいの1つであった。

城塞じょうさい技術ぎじゅつは、15-16世紀せいき火薬かやく大砲たいほうじゅう活躍かつやくによっておおきく変化へんかしており、こののち要塞ようさいめる行為こうい類似るいじ戦闘せんとうではあるが相違そういてんおおい。したがって、ほんこうではそれ以前いぜんおさむしろせん中心ちゅうしん記述きじゅつし、一部いちぶ関連かんれん説明せつめいするものの16世紀せいき以降いこう防衛ぼうえい拠点きょてん攻囲こういせん市街しがいせんにて記述きじゅつする。

現代げんだい戦争せんそうでは兵器へいき攻撃こうげきりょく通信つうしん技術ぎじゅつ発達はったつしているため大軍たいぐん建物たてもの籠城ろうじょうし、そこをめるおさむしろせんいたることはまれであるが、装備そうびひん有無うむしろ定義ていぎしろ参照さんしょう)によっては現代げんだいでもおさむしろせんきえる。

孫子まごこ』では、防御ぼうぎょてっする守備しゅびがわ攻略こうりゃくすることは容易よういではなく、おさむじょう下策げさくもっとけるべきとべられている。

古典こてんてき戦記せんきなどでは会戦かいせんおおえがかれるが、実際じっさい戦争せんそうは「小競こぜい」と「おさむしろせん」がほとんどをめたといえる[よう出典しゅってん]城内きうち防御ぼうぎょがわ勢力せいりょく長期ちょうきわた守勢しゅせいてっして攻撃こうげきがわ対峙たいじつづけることは「篭城ろうじょう」とばれ、しろ攻撃こうげきがわ侵入しんにゅう阻止そしれずにその支配しはいけんわたすことは「落城らくじょう」、「陥落かんらく」とばれる。

目的もくてき

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おさむしろせんには通常つうじょうつぎのような目的もくてきがある。

軍事ぐんじてき観点かんてんからの要衝ようしょう確保かくほ
交通こうつう要衝ようしょうなど軍事ぐんじてき重要じゅうよう地点ちてん確保かくほすれば、その会戦かいせんをするのも持久じきゅうせんむにも有利ゆうりになる。しかし、城壁じょうへきなどを修復しゅうふく不能ふのうなまでに完全かんぜん破壊はかいしてしまえばさい利用りよう不可能ふかのうになるため、しゅはそれに留意りゅういする必要ひつようがある。
地域ちいき支配しはい
地域ちいき支配しはい中心ちゅうしんであるしろうばえば、その地域ちいきおのずからそれにしたがうようになる。くにレベルにおいてもコンスタンティノープルのような首都しゅとうばえば、くに全体ぜんたい征服せいふく容易よういになる。
とみ物資ぶっし略奪りゃくだつ
おも城壁じょうへき都市とし場合ばあい、そこにたくわえられた財宝ざいほう食料しょくりょう物資ぶっし直接的ちょくせつてき目的もくてきとなることもある。
君主くんしゅ捕獲ほかく
古代こだい中世ちゅうせい戦争せんそう君主くんしゅらえれば終結しゅうけつし、ぎゃく捕獲ほかくできなければ抵抗ていこうがいつまでもつづくことがおおい。野戦やせんではげられる可能かのうせいもそれなりにあるが、しろめば捕獲ほかくできるかくりつたかくなる。
へいうしないたくない
野戦やせんだと相手あいてがわふくめ、味方みかたへいもどうしてもおおくが戦死せんししてしまう。それにたいとく相手あいてがわ籠城ろうじょうがわ)をえさせる場合ばあいおさむしろせんではしろかこみ、食糧しょくりょうがつきるのをつまでたたかわなくていいためへいうしな可能かのうせいひくい。包囲ほうい期間きかんながくすればするほど籠城ろうじょうがわ食事しょくじれずによわっていくため勝利しょうり確実かくじつせいす。籠城ろうじょうがわめるさい相手あいて空腹くうふくなので抵抗ていこうりょくよわく、被害ひがい最小限さいしょうげんおさえられる。

籠城ろうじょうがわ目的もくてき当然とうぜん上記じょうき目的もくてき阻止そしとなるが、籠城ろうじょうせん選択せんたくする目的もくてきとしてはつぎのようなものがある。なお、積極せっきょくてき戦略せんりゃくとしてではなく、野戦やせんでの敗戦はいせん電撃でんげきてき奇襲きしゅうなどにより籠城ろうじょうせん余儀よぎなくされるケースもある。

時間じかんかせ
援軍えんぐん到来とうらいてきかた兵糧ひょうろう不足ふそくなど、時間じかん経過けいかさせれば勝機しょうきととの見込みこみがある場合ばあいには時間じかんかせぐことが出来できる。
野戦やせんでの勝利しょうりむずかしい
兵力へいりょく不足ふそく準備じゅんび不足ふそく野戦やせんでの勝利しょうり見込みこめない場合ばあいも、籠城ろうじょうせんならば兵力へいりょく準備じゅんびととのえやすく、戦況せんきょう有利ゆうりみやすくなる。

作戦さくせん

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短期たんきせん長期ちょうきせんけられ、これは準備じゅんび装備そうびことなるため区別くべつされる。

短期たんきせん
  • 圧倒的あっとうてき大軍たいぐん動員どういんしたうえで、しろへい生命せいめい安全あんぜん退去たいきょ保証ほしょうしたり、場合ばあいによっては、臣従しんじゅうちかわせ人質ひとじちるだけで、そのまましろ保有ほゆうさせるなどの寛大かんだい条件じょうけんしめし「開城かいじょう交渉こうしょう」をおこなう。
  • 移動いどうがた略奪りゃくだつがた行軍こうぐんなかで、しろへいすくなかったり、防備ぼうび欠陥けっかんるようなしろ城壁じょうへき都市とし攻撃こうげきする。短期間たんきかん落城らくじょうしなければそのまま移動いどうつづけるもので、中国ちゅうごく流民りゅうみんぐん中世ちゅうせい欧州おうしゅう地域ちいき[ちゅう 1]おこなわれた。
  • だい規模きぼ会戦かいせんまえ戦略せんりゃくてき優位ゆういめるために、要衝ようしょうしろ戦力せんりょく損耗そんこう覚悟かくごうえで「強攻きょうこう」する。
  • てき警戒けいかいしていないときに「奇襲きしゅう」をかけてしろ内部ないぶ侵入しんにゅうし、しろによる守勢しゅせいがわ優位ゆういせいうばう。
長期ちょうきせん
  1. まず、補給ほきゅうなどを確保かくほ防御ぼうぎょ設備せつびきずいたうえで、交通こうつうさえて、しろ包囲ほういする。
  2. おさむじょう兵器へいき火矢ひや使つかってしろ破壊はかいしたり、しるしあるいは鉄砲てっぽうなどの道具どうぐしろへい損傷そんしょうはかる。
  3. 開城かいじょう交渉こうしょう調しらべりゃくおこないながら、心理しんりてき圧力あつりょくをかける。
  4. しろ設備せつび破壊はかい相手あいて兵糧ひょうろう物資ぶっし窮乏きゅうぼう士気しき低下ていか確認かくにんするため時々ときどき攻撃こうげきをかけてみる。
  5. 十分じゅうぶんよわまったと判断はんだんしたらそう攻撃こうげきである「強攻きょうこう」をかける。あるいはてき食糧しょくりょう不足ふそくなどで降伏ごうぶくするまで、さらに滞陣たいじんする。

おさむしろせん手法しゅほう

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相手あいてすうばい戦力せんりょくをもって、しろ包囲ほうい外界がいかいとの接触せっしょく遮断しゃだんする。これによりみず食料しょくりょう、その備蓄びちく軍需ぐんじゅ物資ぶっし枯渇こかつはかるとともに、情報じょうほう遮断しゃだんすることにより正確せいかく状況じょうきょう判断はんだん困難こんなんにさせ、絶望ぜつぼうかんあた士気しき低下ていか期待きたいする。河川かせんをせきめる「水攻みずぜ」、補給ほきゅうつことにより生活せいかつをままならなくする「兵糧ひょうろう」などの手法しゅほうもある。

攻撃こうげきがわ損耗そんこう最小さいしょうみ、ほぼ確実かくじつとせる戦法せんぽうであるが、なんといっても長期ちょうきせんになり、篭城ろうじょうがわ同様どうようおさむしろがわ食料しょくりょう補給ほきゅうもとめられ、兵士へいし士気しき維持いじ伝染でんせんびょう発生はっせいにも留意りゅういする必要ひつようがある。攻撃こうげきがわ城内じょうないからの奇襲きしゅうという戦闘せんとう前面ぜんめんへのそなえだけでなく、てきぐん援軍えんぐんがあれば襲撃しゅうげきぎゃく包囲ほういされたりもするので、周囲しゅうい警戒けいかいなど背後はいごへのそなえももとめられる。千早ちはやじょうたたかどくせんだい世界せかい大戦たいせん)におけるレニングラード包囲ほういせんのように、戦局せんきょく全体ぜんたい変動へんどうにより包囲ほういかざるをなくなる事態じたい発生はっせいしうる。また包囲ほういといっても戦力せんりょく制限せいげん地形ちけいてき条件じょうけんによっては完全かんぜんおこなうことはむずかしく、レニングラード包囲ほういせんではいのちみちロシアばん英語えいごばんばれる氷上ひかみ補給ほきゅう使つかってわずかに補給ほきゅうたもつことができた。

一般いっぱんに、飲料いんりょうすい確保かくほ食料しょくりょうなどの備蓄びちくりょうによって守備しゅびがわ篭城ろうじょう可能かのう期間きかんまる[ちゅう 2]守備しゅびがわ豊富ほうふ食糧しょくりょうたくわえられていると落城らくじょう容易よういではないので、事前じぜん商人しょうにんしろ周辺しゅうへんつかわしてべい穀類こくるいめさせたり、付近ふきん農民のうみんとう乱暴らんぼう狼藉ろうぜきとうおこな城内じょうないことおこなわれた。篭城ろうじょうせんでは戦闘せんとうによる死傷ししょうしゃ破壊はかいけられるが、守備しゅびがわでは、通常つうじょう戦闘せんとうではこと子供こども老人ろうじんなど多数たすう餓死がししゃし、死人しにんにくらうなど悲惨ひさん状況じょうきょうしょうじることがあり、そのめんでは人道的じんどうてき戦法せんぽうではない。

だい規模きぼ包囲ほういせんガリア戦争せんそうにおけるアレシアのたたか1885ねんスーダンハルツーム包囲ほういせん代表だいひょうてきである。日本にっぽんでは「兵糧ひょうろうめ」とぶことがおおい。豊臣とよとみ秀吉ひでよし得意とくいとし、三木みき合戦かっせん鳥取とっとりじょうたたか備中高松びっちゅうたかまつじょうたたか小田原おだわら征伐せいばつなどでおこなった。とく兵糧ひょうろう早々そうそうきた鳥取とっとりじょうたたかいは鳥取とっとりじょうごろしとして400ねん以上いじょうったいまでもかたがれるほど悲惨ひさん状況じょうきょうおちいった。

近代きんだい以降いこうでは、軍用ぐんようミサイル発達はったつにより、包囲ほうい籠城ろうじょうがわみちことわったうえで、空襲くうしゅうなどによりのない籠城ろうじょうがわ一方いっぽうてき損害そんがいあたえることもある。最近さいきんれいとしては、市街地しがいちつつみ封鎖ふうさしたうえ空爆くうばくくわえたファルージャの戦闘せんとうなどがある。

開城かいじょう交渉こうしょう

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適当てきとう条件じょうけんしめしたり、おどしたりしながら、開城かいじょう条件じょうけん交渉こうしょうする。たがいの状況じょうきょう正確せいかくにはわからないためにきがあり、守備しゅびがわにとってははや開城かいじょうすれば寛大かんだい措置そちけ、最後さいごまで抵抗ていこうすれば略奪りゃくだつ虐殺ぎゃくさつされるという囚人しゅうじんのジレンマかんじることになる。日本にっぽんでは「調しらべりゃく」ともう。

中世ちゅうせいから近世きんせい欧州おうしゅうでは、武装ぶそう解除かいじょなしで退去たいきょわたしの慣習かんしゅうがあり、しょう名誉めいよとされた。これはキリスト教きりすときょうしたに「ちかい」が重視じゅうしされた文化ぶんか発生はっせい合意ごういである。あらかじ一定いってい期間きかんない援軍えんぐんない場合ばあい開城かいじょうしていと領主りょうしゅから指示しじがあることもおおかった。

強攻きょうこう

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城壁じょうへきをよじのぼる、梯子はしご雲梯うなてをかける、おさむしろとう接近せっきんするなどして城内じょうないはいりこみ、守備しゅびとう占拠せんきょしたり城門じょうもんひらくことをこころみる。

おさむしろがわ兵士へいし城内じょうない侵入しんにゅうできても、守備しゅびへいたび士気しきたか場合ばあいや、城内きうちにさらに守備しゅび工夫くふう通路つうろ複雑ふくざつなど)がほどこされている場合ばあいおさむしろがわ損害そんがいおおきくなる。コンスタンティノープル攻略こうりゃく山中さんちゅうじょうおさむじょうなど。

しろ破壊はかい

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みなみフランス・プロバンス地方ちほう、レ・ボー城塞じょうさいのトレビュシェット

しろ城壁じょうへきほりそなえ、しろへの侵入しんにゅう困難こんなんにしている。そのため、攻撃こうげきがわ強攻きょうこう先立さきだてだって、てきじょうほりめ、城壁じょうへき城門じょうもん突破口とっぱこうつくり、おもぐん進入しんにゅう確保かくほする必要ひつようがある。

しろへい損傷そんしょう

編集へんしゅう

防備ぼうび人員じんいん殺傷さっしょうしてらすことでしろ防御ぼうぎょりょく低下ていかはかる。

  • ゆみへい投石とうせきへいバリスタで、城壁じょうへきじょう城内きうちてきへい攻撃こうげきしろへい損傷そんしょうやす。
  • 汚物おぶつ腐乱ふらんした死体したいんで、伝染でんせんびょう流行はやらす。
  • 挑発ちょうはつするなどしててきぐんしろがいおびせ、野戦やせんむ。ヒッティーンのたたか有名ゆうめい

内応ないおう

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さそったり、真偽しんぎわず「てにしている援軍えんぐんない」の情報じょうほうながすなどして内部ないぶでの対立たいりつ発生はっせいさせ、それを利用りようしててきへい内応ないおうさせる。 かり内応ないおういたらなくとも、てきへい戦意せんい低下ていかさせる効果こうかねらえる。

奇襲きしゅう

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しろ防御ぼうぎょ準備じゅんびをしていない段階だんかい素早すばや攻撃こうげき城内じょうないはいむ。とく中世ちゅうせい欧州おうしゅうしろ城壁じょうへき都市とし平時へいじおおくのひと出入でいりがあるため奇襲きしゅう有効ゆうこうだった。

奇策きさく撹乱かくらん

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みち内応ないおうしゃ使つかって少数しょうすうへい城内じょうないはいり、撹乱かくらんしたり城門じょうもんひらく。ギリシャ神話しんわ登場とうじょうするトロイアの木馬もくばなど。

ぼうじょうがわぼうじょうせん)の手法しゅほう

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おさむしろへい損傷そんしょう

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  • おさむしろがわおなじくちょうゆみやバリスタによる城壁じょうへきじょうからの射撃しゃげき投石とうせき投石とうせき)や落石らくせき石弓いしゆみ)、丸太まるた投下とうかするなどによりおさむしろへい損傷そんしょうあたえる。
  • 糞尿ふんにょうくさったたまご病死びょうしした動物どうぶつ屍骸しがい城壁じょうへきじょうからげつけ、戦意せんい喪失そうしつさせる心理しんりせん伝染でんせんびょう蔓延まんえんねる。
  • 捕虜ほりょったてきくび胴体どうたい城壁じょうへきじょうからとし、損傷そんしょう心理しんりてき挑発ちょうはつ・ダメージをあたえる。
  • かゆむぎかゆのりした澱粉でんぷん)をびせる、あるいはサリヤの(シリアの、あるいはギリシアのばれる噴霧ふんむしき火炎かえん放射ほうしゃ火炎かえん放射ほうしゃ城壁じょうへきより射掛いかけ、城壁じょうへきおさむしろへい火傷かしょう転落てんらくわせる。

挑発ちょうはつ戦意せんい高揚こうようおさむしろがわへの戦意せんい喪失そうしつ

編集へんしゅう
  • 空城そらじょうけいによるおさむしろがわ疑心暗鬼ぎしんあんき誘発ゆうはつ
  • シュプレヒコール演説えんぜつによるぼうじょうがわ正当せいとうせい主張しゅちょう威嚇いかく
  • 流言飛語りゅうげんひごなどのあやま情報じょうほう情報じょうほう操作そうさ
  • おさむしろがわ将兵しょうへい居住きょじゅう場所ばしょあたえないため城下町じょうかまちとうはらう。
  • 食料しょくりょう沢山たくさんべさせた家畜かちく城壁じょうへきからとして破裂はれつさせ、糧秣りょうまつ余裕よゆうがあることをあきらめさせる。
  • 膠着こうちゃく状態じょうたい一時いちじ停戦ていせんもう宴会えんかい舞踏ぶとうかいあるいは茶会ちゃかいなどを開催かいさいし、ときにはてき代表だいひょうまねいてまだぼうじょう余裕よゆうがあるところをける。
  • おさむしろがわ兵糧ひょうろう奇襲きしゅう封鎖ふうさなど輜重しちょうめんつまたは商業しょうぎょうてきまたは権威けんいてきったうえ兵糧ひょうろうめにし、こちらから食料しょくりょうして余裕よゆうけるとともに屈辱くつじょくあたえるもしくは温情おんじょうこさせる(てきしおおく)。
  • あるいは隣国りんごく密通みっつうして挟撃きょうげき増援ぞうえんせつけ停戦ていせん和平わへいもうむ。

奇襲きしゅう奇策きさく撹乱かくらん

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みちとおじょうがいへと少数しょうすう精鋭せいえい出兵しゅっぺいし、おさむしろがわ背後はいご側面そくめんく、あるいは逃亡とうぼうしてしろからとおくへとけて撹乱かくらんするなど陽動ようどうし、城内きうち本隊ほんたい呼応こおうしておさむしろがわ退路たいろ挟撃きょうげきする。

救援きゅうえんぐん

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おさむしろがわ撃破げきはするか撤退てったいさせられる有力ゆうりょく味方みかた救援きゅうえんぐんぶ。

中世ちゅうせい欧州おうしゅうにおけるおさむしろせん

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しろ城壁じょうへきほりそなえ、しろへの侵入しんにゅう困難こんなんにしている。そのため、攻撃こうげきがわ強襲きょうしゅう先立さきだてだって、てきじょうほりめ、城壁じょうへき城門じょうもん突破口とっぱこうつくり、また防備ぼうび人員じんいん殺傷さっしょうしてらすことでしろ防御ぼうぎょりょく低下ていかおもぐん進入しんにゅう確保かくほ目的もくてきとするのである。

  • 挑発ちょうはつするなどして守備しゅびへいしろがいさそ
  • 火矢ひやなどでをつける。
  • やぶしろづち投石とうせき城門じょうもんとう城壁じょうへきなどを破壊はかいする。
  • 移動いどうしょうしゃ接近せっきんさせてほりめたり攻撃こうげきのための足場あしばきずき、あるいは城壁じょうへき直下ちょっかにトンネルをってかべ自重じちょうによる崩壊ほうかいさそう。
  • 城壁じょうへき雲梯うなててて兵士へいし突入とつにゅうさせ、内部ないぶから城門じょうもんひらくなどして進入しんにゅう確保かくほし、自軍じぐんまねれる
  • 上記じょうきのような攻撃こうげきさいに、ゆみへい投石とうせきへい、バリスタで城壁じょうへきじょう城内きうちてきへい攻撃こうげきして作業さぎょうちゅう味方みかた援護えんごする。
  • 中世ちゅうせい末期まっきには城壁じょうへき基部きぶ地盤じばんあなり、火薬かやく燃焼ねんしょうした空気圧くうきあつ城壁じょうへき崩壊ほうかいおこなうこともあった

中世ちゅうせい欧州おうしゅうでは、だい規模きぼ軍隊ぐんたい移動いどう兵站へいたん確保かくほ充分じゅうぶんおこなわれることはすくなかったので、おさむしろがわしろ周囲しゅういとどまって作戦さくせんくだりなえる期間きかんみじかかった[2]防衛ぼうえいがわも、余剰よじょう人員じんいんそとして、食料しょくりょうりを抑制よくせいするさくおこなうことがあった[3]

中世ちゅうせい欧州おうしゅうおさむじょう兵器へいき

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  • 雲梯うなて - おさむしろとう:はしごだけでは城壁じょうへきうえからゆみへい射抜いぬかれるので、おおいをそなえたおさむしろとうとなった
  • やぶしろづちからの防御ぼうぎょおおいとなる屋根やね(とおそらくはかべも)がそなわるが、城壁じょうへきじょうからそそがれた熱湯ねっとう溶解ようかい金属きんぞくなどからの防護ぼうご能力のうりょくには限界げんかいがあった
  • 投石とうせき(カタパルトやオナガー、トレビュシェット):いしだけでなくはな可燃かねんぶつ動物どうぶつ死体したい守備しゅびがわ兵士へいし死体したい不衛生ふえいせいものなどもれた
  • バリスタ
  • テストゥド(Testudo)[ちゅう 3]頑丈がんじょう屋根やね片側かたがわ壁面へきめん車輪しゃりんそなえた長屋ながやじょう移動いどうしき小屋こやである。これらを多数たすうづく城壁じょうへきちかくへ移動いどうさせて廊下ろうか、ギャラリー(Gallery)を形成けいせいする。兵士へいし城壁じょうへきからはなたれる落下らっかぶつから保護ほごしながら城壁じょうへき直下ちょっかまで接近せっきんさせ、地盤じばんるなどの破壊はかい作業さぎょうのための安全あんぜん環境かんきょうつくる。ほりめる材料ざいりょうはこんだりすることにも使つかわれる

近代きんだいせん

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おさむしろせん狭義きょうぎの「兵糧ひょうろうめ」ではないが、近代きんだいせんにおいては、だい世界せかい大戦たいせんなかひしげはじめあがえつ包囲ほういせんバルジのたたかでのバストーニュ包囲ほういせんインパール作戦さくせんでのコヒマ包囲ほういせんがそれにちかい。れいげたうち攻囲こういがわ勝利しょうりしたのはハルトゥーム包囲ほういせんひしげはじめあがえつ包囲ほういせんである。コヒマ包囲ほういせん日本にっぽん陸軍りくぐんはイギリスぐん空輸くうゆ作戦さくせんまえくっし、やがてインパール作戦さくせん破滅はめつてき瓦解がかいへとつながった。レバノン内戦ないせんでは、「キャンプ戦争せんそう」とばれるシリアぐんによるPLOけいパレスチナ難民なんみんたいする包囲ほういせんおこなわれた。これはシリアぐん難民なんみんキャンプを包囲ほういしてみず食料しょくりょう供給きょうきゅう遮断しゃだんしたうえに、難民なんみんたち使用しようする井戸いど周辺しゅうへん狙撃そげきポイントを設定せってい井戸いど使用しようする人間にんげん無差別むさべつ狙撃そげき)したため、難民なんみんがわ多数たすう犠牲ぎせいしゃ発生はっせいした。

消耗しょうもうひん食料しょくりょう燃料ねんりょう)について

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日本にっぽんにおいて、凱旋がいせん出陣しゅつじんに、ぐりちアワビ、昆布こぶを(てきち、よろこぶ)にかけて儀式ぎしきともべられた。

しろ敷地しきちないに、食料しょくりょう燃料ねんりょうとなる食物しょくもつそだてるれいられる。かきがきにして保存ほぞんされた。ぐりぐりともなり、保存ほぞん出来できたことから保管ほかんされた。まつ燃料ねんりょうとなり、常食じょうしょくまつがわもちともなった。うめ食料しょくりょう保存ほぞんきず消毒しょうどくともなり奨励しょうれいされた。徳川とくがわ家康いえやす駿府すんぷじょう食料しょくりょうとなるようにミカンをえた。

また、長期間ちょうきかん籠城ろうじょうせんそなえ、熊本くまもとじょうでは、にわ銀杏いちょうたたみ芋茎ずいきかべ干瓢かんぴょうほり蓮根はすねそなえられていた。べられた食料しょくりょうとしてべい乾燥かんそうさせめしや、味噌みそなどがあげられ、さらにいろんな食材しょくざいわせた兵糧ひょうろうまるつくられた。

中世ちゅうせいヨーロッパ
  • 出陣しゅつじんがわ荷物にもつはこうしはこんだあとに食料しょくりょうとなる)、クラッカーやかんパン、塩漬しおづ食料しょくりょう、その漬物つけもの乾燥かんそうマメ、チーズ、ビール・ワイン。にくべないもあったので、乾燥かんそうまたは塩漬しおづけされたさかなとくにタラの塩漬しおづけであるバカラオだい航海こうかい時代じだいささえる優秀ゆうしゅう食料しょくりょうであった。、オリーブオイル、コショウ、サフラン、生姜しょうが。ロウソク。
中国ちゅうごく[4]
中国ちゅうごくでは、兵糧ひょうろう粮という。
かん王朝おうちょう以前いぜん中国ちゅうごく北部ほくぶでは、べい小麦こむぎくらべて保存ほぞんきやすいきび(キビ)が重宝ちょうほうされ、しお野菜やさい漬物つけもの発酵はっこうけされたさかな英語えいごばんまめからつくった調味ちょうみりょうなどがくわえられたかゆ小米こごめかゆ)としてきょうされた。かん王朝おうちょう以後いごは、たねしパンべられるようになり、そのままだとかたいため、ちゃやスープとともべられるようになった。
あかりになると、なかあなひらいたかんパンをひもとおしてはこべられた。これらかんパンは軍用ぐんようのみつくられた。
とうそうになると、焼餅やきもちだいもちあさもちきびもちざつもちがたべられた。とく有名ゆうめいものは「なべ盔餅」である。
中国ちゅうごく南部なんぶでは、あわべる習慣しゅうかんかったので、めしべられた。
主食しゅしょく以外いがい悲惨ひさんで、味噌みそ漬物つけものまめこなにしたものを乾燥かんそうさせがためたもので、新鮮しんせんにく野菜やさいかった。もしむらから耕作こうさくよううしってきてべようとした場合ばあい死罪しざいであった。そのため、にくれるには、てき味方みかたであった人間にんげん調理ちょうりする必要ひつようがあった。
遠征えんせいまえには豪勢ごうせい宴会えんかいひらかれ、うししゅがふるまわれた。
もと(モンゴル)では、にく乾燥かんそうさせた乾燥かんそうにくうし膀胱ぼうこうめたボルツべられた。これらの食料しょくりょう栄養えいよう豊富ほうふであったため兵站へいたんくし機動きどうてき戦闘せんとうおこなうのに重宝ちょうほうした。
近代きんだい
  • 缶詰かんづめ発明はつめいされたあとも、様々さまざま調理ちょうり技術ぎじゅつによってレーション開発かいはつされた。

おもおさむしろせん

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日本にっぽん

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ひゃくねん戦争せんそうどきのイングランドぐんった戦法せんぽうれいである。
  2. ^ 17世紀せいきオスマン帝国ていこくによるウィーン包囲ほういでは、都市とし生活せいかつしゃ排便はいべんによる悪臭あくしゅうひどかったという。
  3. ^ テストゥド、Testudoはラテン語らてんごで「かめ」を意味いみし、移動いどうしき小屋こやである。ローマぐん歩兵ほへい防御ぼうぎょ隊形たいけい名前なまえでもある。

出典しゅってん

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  1. ^ 楠木くすのき正成まさしげ」『新版しんぱん 日本にっぽん架空かくう伝承でんしょう人名じんめい事典じてん平凡社へいぼんしゃ、2012ねんISBN 9784582126440 
  2. ^ マーチン・ファン・クレフェルトちょ 佐藤さとうたすく三郎さぶろうやく 『補給ほきゅうせん』 中公ちゅうこう文庫ぶんこ 2006ねん5がつ25にち初版しょはん発行はっこう ISBN 4122046904
  3. ^ Hoskin 2006, p. 105.
  4. ^ 古代こだい軍隊ぐんたいども甚麼いんもいく乎没ゆうにく つね殺人さつじん做肉

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Bell, J. B. 1966. Besieged: Seven cities under siege. Philadelphia: Chilton Books.
  • Duffy, C. 1975. Fire and stone: The science of fortress warfare, 1660-1860. Newton Abbot, England: Dvid and Charles.
  • Duffy, C. 1979. Siege warfare. 2 vols London: Routledge and Kegan Paul.
  • Fall, B. B. 1966. Hell in a very small place: The siege of Dien Bien Phu. Philadelphia: Lippincott.
  • Pepper, S. 1986. Firearms and fortifications: Military architecture and siege warfare in sixteenth century Siena. Chicago: Univ. of Chicago Press.
  • Hoskin, John, Carol Howland (2006). Vietnam. New Holland Publishers. p. 105. ISBN 978-1-84537-551-5. https://books.google.com/books?id=ZHn_8ihziN8C&pg=PA105 

関連かんれん項目こうもく

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