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緑化 - Wikipedia

緑化りょくか(りょっか、りょくか)は、ある場所ばしょくさえること、あるいはそれらがそだつような算段さんだんをすること。またその植物しょくぶつうえ育成いくせい管理かんりすること。目的もくてきみどりによる環境かんきょう改善かいぜんはかることであるため、通例つうれい収穫しゅうかく目的もくてきとしない。

概要がいよう

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景観けいかん緑化りょくかいちれい東京とうきょうの「すきま緑化りょくか事業じぎょうによる自販機じはんき、2011ねん
 
壁面へきめん緑化りょくかいちれい

緑化りょくか植樹しょくじゅ植林しょくりんともかさなる部分ぶぶんがあるが、植樹しょくじゅ往々おうおうにして単独たんどくえることを意味いみし、植林しょくりん材木ざいもく生産せいさん目的もくてきとして、有用ゆうようじゅしゅ一斉いっせいえて人工じんこうりんつくることがおおい。これにたいして、緑化りょくかは、その植物しょくぶつ生長せいちょうすること自体じたい目的もくてきとするものである。

緑化りょくかおおきくふたつにけられる。ひとつは 園芸えんげい街路がいろじゅ屋上おくじょう緑化りょくか壁面へきめん緑化りょくか など、人工じんこうてき環境かんきょうに、さらに人工じんこうてき植物しょくぶつえることであり、もうひとつは、自然しぜんもり緑地りょくちのようなものを目的もくてきとするものである。

後者こうしゃは、さらおおきく2つにかれる。ひとつめは、元来がんらい植物しょくぶつ生育せいいくしていなかった場所ばしょ、あるいはすくなくとも最近さいきんしばらくは植物しょくぶつ生育せいいくしていない場所ばしょに、様々さまざま工夫くふうをして植物しょくぶつ生育せいいくできるようにすることである。砂漠さばく緑化りょくか砂丘さきゅう緑化りょくかなどがこれにたる。この場合ばあい緑化りょくかは、その地域ちいき環境かんきょうそのものを人間にんげん生活せいかつによりてきしたものにえようとの意図いとがある。植物しょくぶつ生育せいいくするようになれば、農業のうぎょうおこないやすくなる、またうまくゆけば気候きこうやわらぐ(地表ちひょうめん温度おんど上昇じょうしょうおさえられるとう)などと期待きたいして、おこなわれる。

この場合ばあい、もともと植物しょくぶつそだっていなかったのは、植物しょくぶつ成長せいちょう阻害そがいするなんとうかの要因よういんがそこにあるはずであるから、それにたいする対処たいしょがまず必要ひつようになる。具体ぐたいてきには、みず補給ほきゅうほう確保かくほ地表ちひょうめん安定あんていすな移動いどう制限せいげんなどがおこなわれる。

ふたつめは、人為じんいてき攪乱かくらんによってつくられたはだかふたた植物しょくぶつおおうことである。一般いっぱんに、ぜん近代きんだいでは過剰かじょう材木ざいもく伐採ばっさいたきぎ採取さいしゅおこなわれたことをけ、近代きんだいでは治水ちすい観点かんてんから、山林さんりん保水ほすい能力のうりょく回復かいふく洪水こうずい防止ぼうしすることが指向しこうされた。日本にっぽんでは1950ねん国土こくど緑化りょくか推進すいしん委員いいんかい設置せっちされ、国土こくど緑化りょくか大会たいかい開催かいさいされた[1]日本にっぽんでは、道路どうろ周辺しゅうへんのりめんなどがよくその対象たいしょうとなった。また牧畜ぼくちくこくでは、放牧ほうぼくによりうしなわれた森林しんりん緑化りょくか課題かだいとなることもある。

緑化りょくかには地球ちきゅう温暖おんだん生物せいぶつふく生態せいたいけいへの影響えいきょうがあり、それも目的もくてきふくまれることもある。

問題もんだいてん

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緑化りょくか自然しぜん保護ほご目的もくてきとする場合ばあいでさえも、かえって悪影響あくえいきょうをもたらす場合ばあいがあり、無視むしできない。たとえば街路がいろじゅえることも快適かいてきさなどのてんにおいて、環境かんきょう改善かいぜんになっているかというと、複雑ふくざつである。単純たんじゅんかんがえるよりも困難こんなん問題もんだいてんおおい。砂漠さばく緑化りょくか街路がいろじゅ屋上おくじょう緑化りょくかこう参考さんこう

また砂漠さばく緑化りょくかなどは困難こんなんであるが、実際じっさいにそれができたとしても、その最終さいしゅうてき影響えいきょう予想よそう困難こんなんであり、まった意図いとしない影響えいきょうをもたらす可能かのうせいもある。極端きょくたんれいとしては、サハラ砂漠さはらさばく完全かんぜん緑化りょくかされたら、シロッコとして南欧なんおうはこばれるねつがなくなり、ヨーロッパ寒冷かんれいするとおもわれる。そもそも砂漠さばく自然しぜん環境かんきょう一部いちぶであり、独自どくじ生態せいたいけいやバランスが存在そんざいし、地球ちきゅうじょうのあるべき場所ばしょには存在そんざいしていて当然とうぜんのものである。それを安易あんい緑化りょくかすること人間にんげんによる環境かんきょう破壊はかいにほかならない。

とく初期しょきには、とにかくすぐにみどりになればよいと、成長せいちょうはや国外こくがい植物しょくぶつ安易あんい使つかわれるれいおおく、帰化きか植物しょくぶつ侵入しんにゅう重大じゅうだい経路けいろひとつともなっていた。これにかんしては、1990年代ねんだいごろより、国内こくない植物しょくぶつ利用りようするれいえた。たとえばハギなどは道路どうろほうめんさかんにもちいられるようになった。しかし、この場合ばあいも、外来がいらいしゅ意図いとしないまぎみが確認かくにんされている[2][3]国内こくない植物しょくぶつえる場合ばあいでさえ、その地域ちいき本来ほんらい植生しょくせいことなる植樹しょくじゅがされることがある。

また、植物しょくぶつしゅ自体じたいはその地域ちいき自生じせいするものであっても、地域ちいきによる変異へんいは、これまでほぼ無視むしされてきた。植樹しょくじゅ使つか種子しゅしなえを、地域ちいきや、あるいは道路どうろ工事こうじなどでは中国ちゅうごく朝鮮半島ちょうせんはんとうなどからはこれることで、えられたもののその土地とちにあまり適応てきおうできず、れる、成育せいいくわるいなど、効率こうりつわるいことがある。また交雑こうざつによって本来ほんらい遺伝子いでんしプールそこなわれる遺伝子いでんし移入いにゅうは、かえしがつかない[4]。たとえ種子しゅしなえ近隣きんりんから採取さいしゅされたとしても、少数しょうすうかぶ由来ゆらいする場合ばあいは、将来しょうらいてきにはそのかぶ子孫しそんえすぎることで、やはり遺伝子いでんしプールのゆたかさをそこなうことになる。

アメリカでは、20世紀せいき前半ぜんはんクズかずら)が土壌どじょう浸食しんしょくふせカバープラントとして政府せいふによって奨励しょうれいされたなどの経緯けいい導入どうにゅうされた。ところがあまりにひろ繁殖はんしょく拡散かくさんしたため、侵略しんりゃくてき外来がいらいしゅとして大変たいへん有害ゆうがいとなっている。

ロシアでは、だい世界せかい大戦たいせんのちポプラ:トーポリ)が緑化りょくかため大量たいりょうえられた。しかし、綿毛わたげ大量たいりょう飛散ひさんするため、ゴミとして、またアレルギー原因げんいんになるなどのがいている。

極端きょくたんれいでは、とにかくみどりになればよいとして、緑色みどりいろ塗料とりょうけたれい[5]があった。

各国かっこく地域ちいきにおける緑化りょくか

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日本にっぽん

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道路どうろ緑化りょくか」「工場こうじょう緑化りょくか」「学校がっこう緑化りょくか」などと、対象たいしょう施設しせつむすびつけてぶこともある。また,世界せかいてきすす砂漠さばくをとどめるための緑化りょくか運動うんどうおこなわれている。

都市とし緑地りょくちほう(1973ねん公布こうふ、1974ねん施行しこう)の規定きていもとづき用途ようと地域ちいきさだめられている都市とし計画けいかく区域くいきうちで、緑化りょくか推進すいしん必要ひつようがあるとして、都市とし計画けいかく敷地しきち面積めんせきたいする緑地りょくち割合わりあい(「緑化りょくかりつ」という)の最低さいてい限度げんどさだめた地域ちいきを「緑化りょくか地域ちいき」とよんでいる。

住民じゅうみん参加さんかいち形態けいたいとして、啓蒙けいもうてき役割やくわりから一定いっていひろがりのある地域ちいき樹木じゅもく草花くさばな育成いくせい管理かんりすることを、店舗てんぽしゃ同士どうしまたは居住きょじゅうしゃ公共こうきょう用地ようち管理かんりしゃ合意ごういする協定きょうていを「緑化りょくか協定きょうてい」という。

公共こうきょう団体だんたい作成さくせいするみどり基本きほん計画けいかくさい開発かいはつ計画けいかくなどのなかで、緑化りょくかうえ栽の全体ぜんたい計画けいかく策定さくていしたり、工場こうじょう学校がっこう住宅じゅうたくなどの緑化りょくかうえ計画けいかくは「緑化りょくか計画けいかく」とばれる。上記じょうきはマクロな場合ばあいで、ミクロでは工場こうじょう学校がっこう住宅じゅうたくなどの緑化りょくかうえ計画けいかくす。

一定いっていひろがりのある地域ちいきで、樹木じゅもく草花くさばな育成いくせい管理かんりすることを、店舗てんぽしゃ同士どうしまたは居住きょじゅうしゃ公共こうきょう用地ようち管理かんりしゃ合意ごういする緑化りょくか協定きょうていなどもまれている。これは住民じゅうみん参加さんかいち形態けいたいであり住民じゅうみんたいする啓蒙けいもうてき役割やくわりもある。

都市とし緑地りょくちほう規定きていもとづき用途ようと地域ちいきさだめられている都市とし計画けいかく区域くいきないで、緑化りょくか推進すいしん必要ひつようがあるとして、都市とし計画けいかくに、敷地しきち面積めんせきたいする緑地りょくち割合わりあい(「緑化りょくかりつ」という)の最低さいてい限度げんどさだめた地域ちいきを「緑化りょくか地域ちいき」としている。

公共こうきょう事業じぎょうとして、1950ねんから全国ぜんこく植樹しょくじゅさい、1983ねんから全国ぜんこく都市とし緑化りょくかフェアがある。

だい世界せかい大戦たいせんときに、陣地じんちげるさい土砂どしゃかくすために、沖縄おきなわけん小笠原諸島おがさわらしょとうギンネムえられたことがある。

インド東部とうぶビハールしゅうにあるしょう都市としバブア英語えいごばんでは、2014ねん1がつに「インドはつ緑化りょくか都市とし世界せかいはつとも[6])」を宣言せんげん建物たてもの外観がいかん緑色みどりいろ統一とういつして市民しみん意識いしきたかめるうごきからはじまり、道路どうろ沿いのみや市民しみん公園こうえんにおける緑化りょくか対策たいさくにも着手ちゃくしゅ。さらに集配しゅうはいゴミの一括いっかつ処理しょりポイ捨ぽいす禁止きんしへも波及はきゅうしている[7]

ヨーロッパでは歴史れきしてき森林しんりんだい部分ぶぶんうしなわれた。EUは1990ねんから、農家のうか緑化りょくか補助ほじょきん交付こうふしている。これは農地のうち森林しんりんもどこと森林しんりん維持いじたいしてである。これにより、1993ねんから1997ねんにかけて、5000km2以上いじょう緑化りょくかされた。この計画けいかくだい2が2000ねんから2006ねんにもおこなわれ、だい3は2007ねんはじまった。

ポーランドでは、だい世界せかい大戦たいせん森林しんりん面積めんせき森林しんりんりつ)は国土こくどの20%まで低下ていかし、植林しょくりん政府せいふにより計画けいかくされた。2006ねん12月31にち時点じてんでは29%となった。2050ねんまでに33%とする計画けいかくである。

スペインは、1990ねんから2005ねんにかけて、りつうえではヨーロッパでもっとはや植林しょくりんがなされた[8]。この期間きかんに4まんkm2以上いじょう植林しょくりんされ、森林しんりん面積めんせきは13まん5000km2から17まん9000km2となった。国土こくど面積めんせきめるりつは26.6%から35.4%となった。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

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アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、ネブラスカしゅう知事ちじであったジュリアス・スターリング・モートンが、1872ねん植樹しょくじゅ提唱ていしょう同年どうねんより植樹しょくじゅ開始かいしされ、20ねんにはしゅう荒蕪こうぶ荒地あれち)に70まんエーカーの森林しんりんひろがるようになった[9]。また、これら植樹しょくじゅ活動かつどう日本にっぽんにも紹介しょうかいされ、日本にっぽん国内こくないにおいてあいりん活動かつどう学校がっこうりん活動かつどう波及はきゅうした。

出典しゅってん

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  1. ^ 国土こくど緑化りょくか推進すいしん機構きこう 国土こくど緑化りょくか推進すいしん機構きこうとは|歴史れきし沿革えんかく 2017ねん7がつ9にち閲覧えつらん
  2. ^ 大橋おおはしひろこう, 根本ねもと智行ともゆき, 伊藤いとう隆之たかゆきハギぞく帰化きか植物しょくぶつ4しゅ」『植物しょくぶつ研究けんきゅう雑誌ざっしだい78かんだい1ごう植物しょくぶつ研究けんきゅう雑誌ざっし編集へんしゅう委員いいんかい、2003ねん2がつ、50-54(p.50)、CRID 1390575296421508608doi:10.51033/jjapbot.78_1_9638ISSN 00222062 
  3. ^ 根本ねもと智行ともゆき, 大橋おおはしひろこう, 伊藤いとう隆之たかゆき中国ちゅうごくおよび日本にっぽんさんマメハギぞくの1新種しんしゅ」『植物しょくぶつ研究けんきゅう雑誌ざっしだい82かんだい4ごう植物しょくぶつ研究けんきゅう雑誌ざっし編集へんしゅう委員いいんかい、2007ねん8がつ、222-231ぺーじCRID 1390012335398594560doi:10.51033/jjapbot.82_4_9978ISSN 00222062 
  4. ^ 「ブナりん 植樹しょくじゅよわる」なえ流通りゅうつう 実態じったいつかめず」。いずれもYOMIURI ONLINE緑化りょくかぜんより。
  5. ^ 雲南うんなん:ペンキって「やま緑化りょくか」に非難ひなん失笑しっしょう落胆らくたん(2007/02/13中国ちゅうごく情報じょうほうきょく
  6. ^ Bhabua in Bihar to become World's first Green City - Biharprabha News. Retrieved 2014ねん1がつ15にち
  7. ^ 読売新聞よみうりしんぶん、2014ねん2がつ10日とおか朝刊ちょうかん35めん世界せかいから *インド・バブア 建物たてものいろ みどり統一とういつ
  8. ^ Mongabay.com:スペインにおける森林しんりん破壊はかい資料しりょう英語えいご
  9. ^ 社団しゃだん法人ほうじん国土こくど緑化りょくか推進すいしん委員いいんかい国土こくど緑化りょくか20ねんあゆみ』社団しゃだん法人ほうじん国土こくど緑化りょくか推進すいしん委員いいんかい、1970ねん、p243ぺーじ 

関連かんれん項目こうもく

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