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野外博物館 - Wikipedia

野外やがい博物館はくぶつかん(やがいはくぶつかん、えい: Open Air Museum)は、建築けんちくぶつ集合しゅうごうたいや、展示てんじぶつ屋内おくないではなく、屋外おくがいにあり、たりさわったりで体験たいけんしてまなんでもらうことに主眼しゅがんいた博物館はくぶつかんである。

デンマークオーフスにあるきゅう市街しがい再現さいげんした野外やがい博物館はくぶつかんデン・ガムレ・ビュー英語えいごばん

ヨーロッパの野外やがい博物館はくぶつかんは「スカンセン」、「ミュージアムズ・オブ・ビルディング」(建物たてもの博物館はくぶつかん)、「フォーク・ミュージアム」(民俗みんぞく博物館はくぶつかん)など様々さまざまかたがある。最新さいしん様式ようしきフランス発祥はっしょうエコミュージアムである。発想はっそうとしての、また設備せつび施設しせつとしての野外やがい博物館はくぶつかんのよくまとまった歴史れきしガイドは、 スウェーデンの博物館はくぶつかん学者がくしゃステン・レンツホグ (Sten Rentzhog) のほん野外やがい博物館はくぶつかん 歴史れきし視覚しかくてきアイディアの将来しょうらい』 (Open air museums. The history and future of a visionary idea, 2007) などがある。

野外やがい博物館はくぶつかん一種いっしゅとして「リビング・ファーム・ミュージアムズ」、「リビング・ミュージアムズ」などをふくむかし生活せいかつ実演じつえん当時とうじ衣装いしょう当時とうじ生活せいかつ様式ようしきせる。アメリカにおいては植民しょくみん時代じだいなど、一般いっぱんむかし、あるいはある特定とくてい時代じだい建物たてものらし、道具どうぐ手仕事てしごとをそのままにせるといった目的もくてきつくられているものがおおい。この生活せいかつ様式ようしきには屋外おくがいかまどでの料理りょうり、バターの撹拌かくはん紡績ぼうせき織物おりもの近代きんだいてき農機具のうきぐ使つかわない農業のうぎょうなどがふくまれる。おおくのリビング・ミュージアムでは鍛冶屋かじやたるおけ製造せいぞう陶芸とうげい製粉せいふん製材せいざい印刷いんさつ医療いりょう商店しょうてんなど伝統でんとうてき手工業しゅこうぎょう実演じつえんおこなわれる。

 
スロバキアStará Ľubovňa にある野外やがい博物館はくぶつかん

屋外おくがい[1]、「ファーム・ミュージアム」(農園のうえん博物館はくぶつかん)、「ヒストリック・ハウス・ミュージアム」(歴史れきしてき邸宅ていたく博物館はくぶつかん)、「アーカイオロジカル・オープンエア・ミュージアム」(考古学こうこがくてき野外やがい博物館はくぶつかん英語えいごばん)などで建造けんぞうぶつふくまれることがおおい。「野外やがい博物館はくぶつかん」として、とくされた展示てんじぶつや、通常つうじょう過去かこ風景ふうけいせてつくられた場所ばしょふくあいてき歴史れきしてきなおされた建造けんぞうぶつがあり、しばしばリビング・ヒストリー実演じつえん)がふくまれる。そのためこれらのおおくは建物たてもの博物館はくぶつかんであるともいえる。ヨーロッパの野外やがい博物館はくぶつかん木造もくぞう建造けんぞうぶつなど当初とうしょ場所ばしょ位置いちすることがおおい。

欧米おうべい野外やがい博物館はくぶつかんは19世紀せいき初頭しょとう歴史れきし表現ひょうげんするものがおおく、様々さまざま職種しょくしゅ人々ひとびと日常にちじょう紹介しょうかいする。

広義こうぎ野外やがい博物館はくぶつかんには、地域ちいき自然しぜん産業さんぎょう文化ぶんか焦点しょうてんてるフィールドミュージアムばれる活動かつどうや、一般いっぱんには、従来じゅうらい博物館はくぶつかんのように建物たてものなか展示てんじ保存ほぞん学習がくしゅうなどを完結かんけつするのではなく、屋外おくがい地域ちいき活動かつどう空間くうかんとするあたらしいタイプの博物館はくぶつかんす。天然記念物てんねんきねんぶつ文化財ぶんかざい追跡ついせきなどの現地げんち保存ほぞん活動かつどううごきがある。

 
1888ねん、オスロ近郊きんこうビグデイにあるオスカーおうのコレクションを展示てんじした世界せかいはつ野外やがい博物館はくぶつかん
 
オスカーおう博物館はくぶつかんのバーダルのロフト室内しつない看板かんばんには「1885ねんだい2だいオスカーおうはこのスタバーをバーダルからビグデイに移設いせつした」と記載きさいしてある。

19世紀せいき前半ぜんはんには、フランスのヴェルサイユ宮殿きゅうでんバージニアしゅうにあるジョージ・ワシントン邸宅ていたくマウントバーノンなどのようにおおくの歴史れきしてき重要じゅうよう建造けんぞうぶつやそれらに関連かんれんするものは博物館はくぶつかんとして一般いっぱん公開こうかいされていた。しかし野外やがい博物館はくぶつかんとしての発想はっそう博物館はくぶつかんは、19世紀せいきまつナショナル・ロマンティシズムねつたかまっていたスカンジナビアはじめてつくられた。地元じもとつたわる建築けんちく技術ぎじゅつ基礎きそとした木造もくぞう建造けんぞうぶつ伝統でんとうてき移築いちく再建さいけん展示てんじおこなうためであった。これは屋内おくない博物館はくぶつかん傾向けいこうであった。複数ふくすう建造けんぞうぶつ収集しゅうしゅうおよび展示てんじをするために野外やがい博物館はくぶつかんとなった。当時とうじ野外やがい博物館はくぶつかんは18世紀せいきにあったエキゾチックなパビリオン、アンティークな寺院じいん遺跡いせきちいさな農家のうかなどであった。19世紀せいき中期ちゅうきから後期こうきには国際こくさい博覧はくらんかいちいさな農家のうか展示てんじされるようになった。

そのヨーロッパ、北米ほくべいへとひろまり、世界せかいはつ野外やがい博物館はくぶつかんは、1881ねん当時とうじスウェーデン=ノルウェー王国おうこくオスカル2せいクリスチャニア現在げんざいのオスロ)郊外こうがい公開こうかいしたものである。なつ離宮りきゅうスターヴ教会きょうかいゴル・スターヴ教会きょうかい)などノルウェー各地かくち貴重きちょう建物たてもの移築いちくさせ、自身じしんかんした『オスカル2せいコレクション』として保存ほぞん公開こうかいしたのがはじまりである。当初とうしょ中世ちゅうせいからのノルウェイ建築けんちく進化しんか表現ひょうげんするため8けんから10けん建物たてもの建設けんせつする予定よていであった。しかし5けんてたところで経済けいざいてき理由りゆうによりオスカル2せい興味きょうみうしなわれた。そのこの博物館はくぶつかんは1890年代ねんだい隣接りんせつした土地とち設立せつりつされたノルウェー民俗みんぞく博物館はくぶつかんまれた[2]民俗みんぞく学者がくしゃのアッター・ハセリオスはこのコレクションに影響えいきょうけて、正式せいしきな「博物館はくぶつかん」としては世界せかいはじめて1891ねん建立こんりゅうされたのがスウェーデンのスカンセン野外やがい博物館はくぶつかん英語えいごばんであり[3]後続こうぞく北部ほくぶおよび東部とうぶのヨーロッパ、最終さいしゅうてきには世界中せかいじゅう野外やがい博物館はくぶつかんのモデルとなった。スカンセン野外やがい博物館はくぶつかんはSTOCKHOLM CARDの利用りようにより入場にゅうじょう無料むりょうとなり、スウェーデン各地かくち民俗みんぞく文化ぶんか建物たてもののみならず、トナカイムース水生すいせい動物どうぶつとうられる。中央ちゅうおうヨーロッパひがしヨーロッパ一部いちぶでは「スカンセン」という野外やがい博物館はくぶつかん歴史れきしてき建造けんぞうぶつのコレクションをあらわ名詞めいしとして使用しようされている[4]

1900ねんごろ、スカンジナビア、とくノルウェイスウェーデン続々ぞくぞく野外やがい博物館はくぶつかん設立せつりつされた。

おおくの野外やがい博物館はくぶつかん郊外こうがい文化ぶんか集中しゅうちゅうしている。しかし1914ねんデンマークオーフスデン・ガムレ・ビュー英語えいごばん[5]はつ博物館はくぶつかんがいとして開業かいぎょうして以降いこうまち文化ぶんか野外やがい博物館はくぶつかんの1つの範囲はんいとなった[6]あたらしい博物館はくぶつかんがい郊外こうがい文化ぶんか博物館はくぶつかんてられることがおおい。

最近さいきんでは、フランスからはじまったエコミュージアムというあたらしいタイプの野外やがい博物館はくぶつかんもある。エコミュージアム地域ちいき住民じゅうみん主体しゅたいてき参加さんか重視じゅうしし、また生態せいたいけい観察かんさつ保護ほご目指めざすの活動かつどうふくまれる。

海外かいがい著名ちょめい野外やがい博物館はくぶつかんでは、スイスバレンベルク野外やがい博物館はくぶつかんに、フィンランドセウラサーリ野外やがい博物館はくぶつかんなど、むかし生活せいかつらしかた博物館はくぶつかんがヨーロッパにはおおい。アメリカにも独立どくりつ戦争せんそう時代じだい歴史れきしてき背景はいけいなか当時とうじ生活せいかつ体験たいけんさせるような野外やがい博物館はくぶつかんがある。

北米ほくべい

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コロニアル・ウィリアムズバーグうち歴史れきしてき建物たてもの

きたアメリカの野外やがい博物館はくぶつかん通常つうじょう「リビング・ヒストリー・ミュージアム」とばれ、ヨーロッパの野外やがい博物館はくぶつかんちがって体験たいけんができるようになっている。1928ねんヘンリー・フォードが「アメリカの縮図しゅくず」としてミシガンしゅうディアボーングリーンフィールド・ヴィレッジ設立せつりつしたのが最初さいしょであった[7]。しかし1934ねんコロニアル・ウィリアムズバーグ設立せつりつすると、ミスティック・シーポートプリマス・プランテーションルイブール要塞ようさいなどきたアメリカの博物館はくぶつかん発展はってん多大ただいなる影響えいきょうあたえた。きたアメリカとヨーロッパでは解釈かいしゃくちがい、ヨーロッパでは建造けんぞうぶつにより焦点しょうてんわせている。

きたアメリカではおおくの野外やがい博物館はくぶつかん従業じゅうぎょういん当時とうじ衣装いしょうけ、当時とうじ手工業しゅこうぎょう日常にちじょう生活せいかつ実演じつえんしてせる[8]。そのためリビング・ミュージアムでは文化ぶんか自然しぜん環境かんきょう歴史れきし実際じっさいまえることができる。これは来場らいじょうしゃ五感ごかん使つかってその特定とくてい文化ぶんか環境かんきょう歴史れきし経験けいけんすることを目的もくてきとしている。ただしこの実演じつえん信憑しんぴょうせい精度せいど誤解ごかいしょうじやすく、奴隷どれい制度せいどなどの不正ふせい歴史れきしからそむけるようになるなど人類じんるい学者がくしゃからしばしば批判ひはんけている。このような批判ひはんけ、ウィリアムズバーグなどは歴史れきしくら部分ぶぶん展示てんじ追加ついかしてきている[9]

くにべつ野外やがい博物館はくぶつかん一覧いちらん

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アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

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日本にっぽん

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Oxford English Dictionary Second Edition on CD-ROM (v. 4.0) © Oxford University Press 2009
  2. ^ Tonte Hegard: Romantikk og fortidsvern. Historien om de første friluftsmuseene i Norge, Universitetsforlaget, Oslo 1984. ISBN 82-00-07084-0
  3. ^ 『ことりっぷ海外かいがいばん 北欧ほくおう昭文社しょうぶんしゃ、2015ねん、66ぺーじISBN 978-4-398-15460-6 
  4. ^ Sten Rentzhog: Open air museums: The history and future of a visionary idea, Carlsson Jamtli Förlag, Stockholm and Östersund 2007. ISBN 978-91-7948-208-4
  5. ^ (デンマーク: Den Gamle By) 「きゅう市街しがい」を意味いみする。
  6. ^ http://www.dengamleby.dk/int/english.htm
  7. ^ Kenneth Hudson, Museums of Influence, Cambridge University Press, 1987. p. 153
  8. ^ Ibid, p. 154
  9. ^ Scott Magelssen, Living History Museums: Undoing History Through Performance, Scarecrow Press, 2007

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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博物館はくぶつかん