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陶芸 - Wikipedia

陶芸とうげい

陶磁器とうじきつくられた芸術げいじゅつ作品さくひん

陶芸とうげい(とうげい、えい: Pottery)とは、粘土ねんど成形せいけいして高温こうおん焼成しょうせいすることにより陶磁器とうじきなどをつく技術ぎじゅつのこと。陶磁器とうじき以外いがいにも種類しゅるいはある。きものともばれる。生業せいぎょうとして陶芸とうげいおこなもの陶工とうこうもしくは陶芸とうげいぶ。

伝統でんとうてき乾燥かんそうだなかれた焼成しょうせいまえの「なま素地そじ
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくインディアナしゅうフィッシャーズきた歴史れきし博物館はくぶつかんコナー・プレーリー英語えいごばん」にて展示てんじ
ブルガリアトロヤン伝統でんとう工芸こうげい応用おうよう美術びじゅつミュージアムにて再現さいげんされた伝統でんとうてきかまじょう

きものはほどこせしない土器どき(および高温こうおん焼成しょうせいした炻器)とほどこせ釉した陶磁器とうじき陶器とうき磁器じき)とに大別たいべつされるが、この区分くぶんには地域ちいき文化ぶんかによりばらつきがあり、欧米おうべいではほどこせ釉されたものも炻器(ストーンウェア)にふく[1]、また中国ちゅうごくでは土器どき陶器とうき区別くべつしない[2]

九谷焼くたにやき使用しようされたかま

造形ぞうけい方法ほうほうには、びねり、かたもちいてかたちととのえる方法ほうほう轆轤ろくろ(ろくろ)のうえ手足てあし機械きかいまわしながら両手りょうてさらつぼなどのかたちつくっていく方法ほうほうなどがある。かたには、かまもちいない「野焼のやき」や、ななりんもちいる「ななりん陶芸とうげい」などという手法しゅほうもある。種類しゅるいやこねかた、そして温度おんどなど、様々さまざま要素ようそ作品さくひん貢献こうけんする。したがって、世界中せかいじゅうにいろいろな技法ぎほう存在そんざいする。

陶芸とうげい人類じんるいのもっともふるテクノロジーおよび芸術げいじゅつ形式けいしきのうちのひとつであり、今日きょうもなお主要しゅよう産業さんぎょうでありつづけている。考古こうこ学者がくしゃたちのよる定義ていぎでは、人形にんぎょうなどのうつわではないものや、轆轤ろくろによってつくられたのではないものは、同様どうよう過程かていで、おそらくはおな人々ひとびとによってつくられたセラミックス製品せいひんであっても陶芸とうげいひんふくめない傾向けいこうにある。

陶芸とうげいでは、粘土ねんど素地そじ胎土)をもとめる品物しなもの姿すがた成形せいけいし、かま加熱かねつすることで強度きょうどたかめ、硬化こうかさせ、かたち固定こていさせる(ときには気泡きほうのためこわれてしまうこともある)。陶芸とうげいもちいられる素材そざい性質せいしつには地域ちいきによりおおきなバリエーションがあり、このためにかく地域ちいき独特どくとくきものがまれる。ある目的もくてきてきした胎土をるために粘土ねんどとその各種かくしゅ素材そざい混合こんごうされることが普通ふつうである。

成形せいけいおこなまえに、胎土のなかはいった空気くうきのぞ必要ひつようがある。この作業さぎょうだつばれ、真空しんくうねり使つかうか、もしくはみ(り)しておこなわれる。みには胎土全体ぜんたい水分すいぶん含量を均一きんいつにするはたらきもある。胎土のだつみがむと、さまざまな技法ぎほうもちいて成形せいけいおこなわれる。成形せいけいした胎土はまえ乾燥かんそうされる。乾燥かんそうにはいくつかの段階だんかいがある。「はんかわき」(Leather-hard)は水分すいぶんがおよそ15%の段階だんかいす。この段階だんかいの胎土は非常ひじょう堅固けんごで、可塑かそせいおおきくない。けずりや、りつけなどはこの段階だんかいおこなわれることがおおい。「絶対ぜったい乾燥かんそう」(bone-dry)は水分すいぶんが(ほぼ)0%となった段階だんかいす。まえのものはなま素地そじ(greenware)とばれる。この段階だんかいの胎土は非常ひじょうもろく、簡単かんたんこわれてしまう。

成形せいけい方法ほうほう

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陶芸とうげい成形せいけいにはさまざまな方法ほうほうがある。

 
びねり(ネパールカトマンズ

びねりは最初さいしょから存在そんざいした手法しゅほうである。たまひもひもづくり)などのかたちをした粘土ねんどでこねてかたちつくる。ほかに、いたじょうばした粘土ねんど(タタラ)をつなぎわせたりさらじょう成形せいけいしたりするタタラ成形せいけいや、なかをくりいた粘土ねんどかたまりをつなぎわせるくりきといった手法しゅほうがある[3]

成形せいけいしたうつわ部品ぶひんは、胎土とみず水性すいせいかかにごえきであるスリップ英語えいごばんどろ漿)をもちいて結合けつごうされることがおおい。びねりは轆轤ろくろによる成形せいけいより時間じかんがかかるが、うつわおおきさやかたちをよりきめこまかく制御せいぎょすることができる。迅速じんそく反復はんぷくしやすいほかの技法ぎほうテーブルウェアのようなぴったりったぞろいのうつわつくるのによりてきしている一方いっぽうで、ただ1つしかない芸術げいじゅつ作品さくひんすにはびねりのかたがよいとかんがえる陶芸とうげいたちもいる。

 
轆轤ろくろもちいて成形せいけいおこな男性だんせいトルコカッパドキア
電動でんどう轆轤ろくろ成形せいけいする陶工とうこうHelp:音声おんせい動画どうが再生さいせい
 
むかしながらの足踏あしぶしき轆轤ろくろ轆轤ろくろ)(ドイツエアフルト

轆轤ろくろによる成形せいけいでは、粘土ねんどたまかがみばんばれる回転かいてんだい中央ちゅうおうかれ、これを陶工とうこうぼうあし、もしくは速度そくど制御せいぎょできる電動でんどうもちいて回転かいてんさせる。

急速きゅうそく回転かいてんする轆轤ろくろうえで、やわらかい粘土ねんどたまされ、つぶされ、上方かみがたもしくは外側そとがわへとかれ、空洞くうどうのあるかたちつくられていく。あら粘土ねんどたま下方かほう内側うちがわして完全かんぜん回転かいてん対称たいしょうとする最初さいしょ工程こうていは「しんし」「ごろし」とばれ、以降いこう工程こうていはいまえ習得しゅうとくすべき重要じゅうよう技能ぎのうである。それから、あなけ、ひろげ、そこつくり、壁面へきめんげ、あつみを均等きんとうにし、そろえてかたちととのえ、あしつくるなどといった作業さぎょうおこなう。

轆轤ろくろにより一定いってい水準すいじゅんうつわつくるためにはかなりの技能ぎのう熟練じゅくれんようし、たか芸術げいじゅつてき価値かち作品さくひんつくせる一方いっぽうで、再現さいげんせいにはとぼしい[4]回転かいてんによる成形せいけいという性質せいしつじょう円形えんけい回転かいてん対称たいしょうがたしかつくることができない。成形せいけいのちかたし、げ、せんこくみぞり、彫刻ちょうこくなどがほどこされることもある。陶工とうこうのほか、ヘラ、きむゆかとリブ[訳語やくご疑問ぎもんてん]切除せつじょあなけのためのナイフ、かんないとなどももちいられる。さらにぶたあしそそこうなどをりつけることもある。

こなたい成形せいけい

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こなたい成形せいけいは、粒状りゅうじょうにしたはんかわきの粘土ねんどかた圧力あつりょくをかけて成形せいけいする方法ほうほうである。粘土ねんどしょうあなのあるダイスによってかたまれ、しょうあなとおだかあつみず注入ちゅうにゅうされる。噴霧ふんむ乾燥かんそうにより、5 - 6%ほどの水分すいぶんふく精細せいさい自在じざいながれるこな流体りゅうたい粘土ねんどつくられもちいられる。こなたい成形せいけいタイル製造せいぞうひろもちいられるほか、さらにももちいられるようになりつつある。

射出しゃしゅつ成形せいけい

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射出しゃしゅつ成形せいけいねつ可塑かそせい樹脂じゅし金属きんぞく部品ぶひん成形せいけい長年ながねんもちいられてきた方法ほうほうで、食器しょっき産業さんぎょうにも応用おうようされるようになった[5]複雑ふくざつかたちをした品目ひんもく大量たいりょう生産せいさんくこの技法ぎほうおおきな利点りてんのひとつは、ティーカップふくめ1つのプロセスで生産せいさんできることであり、ける工程こうていはぶけるのみならずより丈夫じょうぶなものがつくれる[6]成形せいけいダイスには50 - 60%の焼成しょうせい陶土とうどこなたいと、結合けつごうざい英語えいごばん潤滑じゅんかつざい可塑かそざいならなる40 - 50%の有機ゆうき添加てんかざいとの混合こんごうぶつ供給きょうきゅうされる[7]。この技法ぎほうはほかの成形せいけいほうほどひろくは使用しようされていない[8]


ジガリングとジョリイング

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  ジガリング

ジガリングとジョリイングは轆轤ろくろうえおこなわれ、うつわ画一かくいつてきかたちにするのにかかる時間じかん短縮たんしゅくする。ジガリングえい: Jiggering)は、轆轤ろくろうえ石膏せっこうがたにセットされた胎土に、成形せいけいした工具こうぐ接触せっしょくさせる操作そうさである。ジガー工具こうぐ一方いっぽうめんを、かた他方たほうめん成形せいけいする。ジガリングはさらのようなたいらなうつわ生産せいさんにのみもちいられるが、カップのようなふかみのあるうつわ(ホローウェア)にもこれに類似るいじした技法ぎほうであるジョリイングえい: jolleying)がもちいられる。これらの技法ぎほうおそくとも18世紀せいきには陶芸とうげいもちいられていた。工場こうじょうでの大量たいりょう生産せいさんでは通常つうじょうこれらは自動じどうされており、はん熟練じゅくれん労働ろうどうによって操業そうぎょうすることが可能かのうとなっている。

ローラーヘッドマシン

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  ローラーヘッドマシンによる成形せいけい

ローラーヘッドマシンはジョリージガー同様どうよう回転かいてんするかたうえ成形せいけいおこなうが、ジガー工具こうぐ固定こていされたプロフィールのわりに回転かいてんしき成形せいけい使用しようされる。回転かいてんしき成形せいけい成形せいけいされるうつわおな半径はんけいあさ円錐えんすいであり、製造せいぞうするうつわ背面はいめんかたちつくられている。製造せいぞうする製品せいひんおおきさにもよるが、1ふんに12ほどを比較的ひかくてき単純たんじゅん労働ろうどうによって成形せいけいすることができる。この技術ぎじゅつだい世界せかい大戦たいせん直後ちょくごのイギリスでサービス・エンジニアーズしゃにより開発かいはつされ、すぐに世界中せかいじゅう製造せいぞう業者ぎょうしゃ採用さいようされた。今日きょうたいらなうつわ(フラットウェア)製造せいぞう主流しゅりゅうでありつづけている[9]

圧力あつりょく鋳込いこ

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特別とくべつ開発かいはつされた高分子こうぶんし材料ざいりょうにより、4.0MPa(メガパスカル)までの外圧がいあつえるかたつくることができる。これは毛細管もうさいかんりょくが0.1 - 0.2MPaほどの圧力あつりょく相当そうとうとなる石膏せっこうがたでのスリップ鋳込いこみよりもはるかにおおきなである。こうあつ非常ひじょう高速こうそく鋳込いこ速度そくどをもたらし、よって製造せいぞうサイクルもはやくなる。さらに、鋳込いこぶつさい高分子こうぶんし材料ざいりょうかたこうあつ空気くうきをかけることで、おながた即座そくざつぎ鋳込いこみサイクルを開始かいしすることができる。石膏せっこうがたでは乾燥かんそう長時間ちょうじかんようするのである。また高分子こうぶんし材料ざいりょう石膏せっこうよりもはるかに耐久たいきゅうせいすぐれるので、よりよい寸法すんぽう許容きょよう成形せいけいひんつくることができ、かた寿命じゅみょうもずっとながい。圧力あつりょく鋳込いこみは1970年代ねんだい衛生えいせい陶器とうき生産せいさんのために開発かいはつされたが、近年きんねんではテーブルウェアにも応用おうようされるようになっている[10][11][12][13]

小規模しょうきぼ工房こうぼうなどでは、轆轤ろくろみずきした素地そじかたたたいて成形せいけいするかたち、かたこしとばれる方法ほうほうおこなわれている。轆轤ろくろ成形せいけいにはてきさないさらはち生産せいさんいた手法しゅほうであり、日本にっぽんではおもに磁器じき生産せいさん使つかわれ江戸えど時代じだい初期しょきから有田焼ありたやきなどでおこなわれている[14]

ラム鋳込いこ

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ラム鋳込いこ英語えいごばんは、しょうあなのある2つの鋳込いこいた調合ちょうごうした胎土に加圧かあつしてテーブルウェアや装飾そうしょくひん成形せいけいする工場こうじょうでの工程こうていである。加圧かあつには、鋳込いこいたしに圧縮あっしゅく空気くうききつけることで成形せいけいしたものをはずす。

スリップ鋳込いこ

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スリップ鋳込いこ英語えいごばん

スリップ鋳込いこ英語えいごばん(スリップキャスティング、どろ漿鋳み)は陶器とうき大量たいりょう生産せいさんにしばしばもちいられる方法ほうほうで、ほかの手段しゅだんでは成形せいけいできないようなものの製造せいぞうにも理想りそうてきである。胎土をみずうすめたものであるスリップ英語えいごばんどろ漿)が吸収きゅうしゅうせいたか石膏せっこうがたへとそそまれる。スリップの水分すいぶんかた吸収きゅうしゅうされ、かた表面ひょうめんにそのかたちをした胎土のそうのこるのである。あまったスリップはかたから除去じょきょされ、それからかたひらいて目的もくてきかたちとなった物体ぶったい[15]。スリップ鋳込いこみは衛生えいせい陶器とうき生産せいさんひろ使つかわれるほか、複雑ふくざつかたち人形にんぎょうのようなよりちいさい品物しなものにも使つかわれている。

装飾そうしょくほどこせ

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現代げんだい陶器とうき日本にっぽん沖縄おきなわけん

装飾そうしょく

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陶芸とうげいでは以下いかのものをはじめとするさまざまな方法ほうほう装飾そうしょくおこなわれる。

 
パキスタンパンジャーブしゅう

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胎土を成形せいけいするまえなにかをんでおくことで、きものにのぞ効果こうかすことができる。すなシャモット英語えいごばんいた粘土ねんど粉砕ふんさいしたもの)といったザラザラしたぶつが、完成かんせいひんもとめる質感しつかんすためにもちいられることがある。対照たいしょうてきいろ粘土ねんどやシャモットを文様もんようつくすためにもちいることもある。金属きんぞく酸化さんかぶつ炭酸たんさんしおなどの顔料がんりょう単独たんどくまたはふくあわさせてくわえ、もとめるいろることもされる。可燃かねんぶつ小片しょうへんを胎土にくわえ、もしくは表面ひょうめんしつけることによっても質感しつかんむことができる。

アガートウェア

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アガートウェア英語えいごばん瑪瑙めのうき)はいろちがう胎土を、個々ここいろうしなわれてしまわない程度ていど混合こんごうしてつくられる。複数ふくすう色彩しきさいおびもしくはそう渾然一体こんぜんいったいとなった石英せきえい鉱物こうぶつである瑪瑙めのう(agate)から名付なづけられた。独特どくとくしま模様もようむら模様もようつ。「アガートウェア」はイギリスのものを言葉ことばである。日本にっぽんでは「練上ねりあげ()」とばれる。中国ちゅうごくではとうだいよりこのたねきものがつくられており、marbled ware[訳語やくご疑問ぎもんてん]ばれる。アガートウェアをつくさいもちいる胎土の選定せんていには細心さいしん注意ちゅうい必要ひつようで、ねつ移動いどう特性とくせいっていなければならない。

バンディング

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バンディング[訳語やくご疑問ぎもんてん](banding)またはライニング(lining)は、もしくは機械きかいさらやカップのえんいろおびをつけることをす。轆轤ろくろおこなわれることがおおい。

艶出つやだ

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てついしせい用具ようぐ使つか焼成しょうせいまえ表面ひょうめんみがくことで、焼成しょうせいにものこつやつくすことができる。精細せいさいな胎土をもちいるか、胎土がなか乾燥かんそうして水分すいぶんをほとんどふくまない状態じょうたいでこれをおこなうことで、きわめてつやのあるきものをつくることが可能かのうであるが、この状態じょうたいのものは非常ひじょう脆弱ぜいじゃくであり、破損はそんしてしまうリスクもおおきい。みずめの効果こうかもあり、しょうとう[16]ほどこせ釉がおこなわれるようになるまえ土器どきではしばしばおこなわれた[17]

 
古代こだいアルメニアかざつぼ

化粧けしょう

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化粧けしょう(エンゴーベ)は、しろもしくはクリームしょくなどのスリップ英語えいごばん通常つうじょう焼成しょうせいまえきものの表面ひょうめんおおうことである。装飾そうしょくてき目的もくてきほどこされることがおおいが、また胎土の欠陥けっかんかくすためにももちいられる。化粧けしょうけはってほどこすことも、均一きんいつなめらかな被覆ひふく実現じつげんするためにひたしてほどこすこともできる。化粧けしょうけは先史せんし時代じだいから現在げんざいまで使つかわれつづけている技法ぎほうである。化粧けしょうけの一部いちぶけずって胎土のいろ露出ろしゅつさせるズグラッフィートとし)の技法ぎほうとも併用へいようされることがある[18]いろちが化粧けしょうけをじゅうほどこし、うえそうだけをけずることでしたそういろ装飾そうしょくおこなうことも慎重しんちょうおこなえば可能かのうである。このようにしてもちいられる化粧けしょうけには相当そうとうりょう

リトグラフもしくはデカルコマニー意匠いしょう作品さくひん転写てんしゃする技法ぎほうである。リトグラフは3つのそうからなる。

  • 装飾そうしょくデザインからなる、いろもしくは図像ずぞうそう
  • 透明とうめい保護ほごそうてい融点ゆうてんガラスをふくむこともある
  • スクリーン印刷いんさつもしくはリソグラフィーで意匠いしょう印刷いんさつされたうら

うら除去じょきょするさい意匠いしょう転写てんしゃする方法ほうほうにはさまざまなものがあり、機械きかいによる製造せいぞういたものもある。

金彩きんさい

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高級こうきゅうきものにはかねによる装飾そうしょくほどこされることもある。

  • Best gold[訳語やくご疑問ぎもんてん] - 精油せいゆ金粉きんぷんかかにごえきが、溶媒ようばい水銀すいぎんしおわされる。これをふでなどでってえがく。焼成しょうせい発色はっしょくにぶく、みがいて発色はっしょくさせてやる必要ひつようがある。
  • Acid Gold - 1860年代ねんだい初頭しょとうイギリスストーク=オン=トレントミントン工場こうじょう開発かいはつされた金彩きんさい技法ぎほうである。ほどこせ釉した表面ひょうめん希釈きしゃくしたフッ水素すいそさん腐食ふしょくさせ、そのうえ金彩きんさいほどこす。非常ひじょうたか技能ぎのう必要ひつようとされ、さい高級こうきゅうひん装飾そうしょくにしかもちいられない。
  • Bright Gold -かねのスルホンさん樹脂じゅしさんしおおよびほかの金属きんぞく樹脂じゅしさんしお溶媒ようばいとからなる溶液ようえきもちいる。焼成しょうせい直後ちょくごから装飾そうしょくかがやき、研磨けんまする必要ひつようがないことからこのがある。
  • Mussel Gold -ふるくからある金彩きんさい方法ほうほうである。金箔きんぱくしお砂糖さとうとともにこすりつけ、それから水溶すいようせい物質ぶっしつあらながす。

イスラームの陶芸とうげいでは金彩きんさいかがやきをラスターいろどりおこなわれたが、これはどうぎん酸化さんかぶつもちいる。

ほどこせ

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きもののガラスしつのコーティングである。装飾そうしょく保護ほごをおもな目的もくてきとする。多孔たこうしつきもののうつわを、みずやその液体えきたいさないようにすることも重要じゅうよう役割やくわりである。釉は固体こたいのものをまぶしたり、釉薬とみずうすかかにごえきけたりひたしたりながしたり刷毛はけったりしてほどこされる。焼成しょうせいするまえこうとでは釉のいろおおきくちが場合ばあいもある。焼成しょうせいさいほどこせ釉した作品さくひんかま備品びひんにくっついてしまわぬよう、作品さくひん一部いちぶあしなど)にほどこせ釉しない部分ぶぶんのこしておくか、あるいはスプール(ハマ)とばれる耐火たいかせい支持しじたいもちいられる。ハマは焼成しょうせいわるとはずされ廃棄はいきされる。

特殊とくしゅほどこせ釉法に以下いかのものがある[19]

  • しお英語えいごばん - 焼成しょうせいちゅうに、塩化えんかナトリウムかまれられる。しお高温こうおんのため揮発きはつし、きものの表面ひょうめん堆積たいせきして胎土と反応はんのうしアルミノケイ酸けいさんナトリウムの釉を形成けいせいする。17 - 18世紀せいきには家庭かていよう陶器とうき生産せいさんしお釉がもちいられていた。今日きょうでは、一部いちぶ陶芸とうげいおこなうのみとなっている。しお釉の下水道げすいどうかん生産せいさんだい規模きぼ使用しよう最後さいごれいで、大気たいき汚染おせん問題もんだいのためにおこなわれなくなった[20][21]
  • はい英語えいごばん - 植物しょくぶつ燃焼ねんしょうしてはいが釉の溶剤ようざい成分せいぶんとしてもちいられる。はいかま燃料ねんりょうのこりがもちいられることが普通ふつうであるが、耕作こうさくぶつのごみのはいもちいられていた可能かのうせい研究けんきゅうされている[22]燃料ねんりょうはいりかかりひとりでに釉が形成けいせいされたものは「自然しぜん釉」とばれる[19]はい釉は極東きょくとうにおいて歴史れきしてき重要じゅうようせいがあるが、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくカトーバだに陶芸とうげい英語えいごばんなどでも小規模しょうきぼおこなわれていたという報告ほうこくがある。現在げんざいでは、素材そざい可変かへんせいから予期よきできない効果こうか価値かち一部いちぶ陶芸とうげいおこなうのみとなっている[23]

焼成しょうせい

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還元かんげんかま

焼成しょうせいは胎土に可逆かぎゃく変化へんかをもたらす。焼成しょうせいはじめて作品さくひんきものとなる。低温ていおん焼成しょうせいでは、胎土ちゅうあら粉末ふんまつ同士どうし接点せってんしょうゆいという変化へんかこる。ちがった素材そざい使つかわれ、よりたか温度おんど焼成しょうせいされる磁器じきにおいては、構成こうせい成分せいぶん物理ぶつりてき化学かがくてき鉱物こうぶつがくてき性質せいしつおおきな変化へんかこる。いずれの場合ばあいも、焼成しょうせい目的もくてき陶磁器とうじき恒久こうきゅうてき硬化こうかさせることであり、焼成しょうせいほうもちいる素材そざい合致がっちしたものでなければならない。おおよその目安めやすとして、陶器とうき通常つうじょう1,000 - 1,200℃、炻器は1,100 - 1,300℃、磁器じきは1,200 - 1,400℃で焼成しょうせいされる。しかしながら、かまなかでのきものの変化へんか最高さいこう温度おんどだけでなく時間じかんながさによっても影響えいきょうされるため、一定いってい時間じかんかま最高さいこう温度おんどたもつことがおこなわれることがおおい。また条件じょうけんえて装飾そうしょくなどをおこなうために素焼すやきとほんきなどふくすうかいけて焼成しょうせいされることもある[24]工場こうじょうでの大量たいりょう生産せいさんでは、たなのある台車だいしゃせ、1にちほどをかけてトンネルかまをくぐらせ予熱よねつ焼成しょうせいじょひやいちおこな[25]

焼成しょうせいちゅうかま空気くうき環境かんきょう完成かんせいひん外観がいかん影響えいきょうおよぼしうる。かま空気くうきはいるようにすることでられる酸化さんか環境かんきょうでは胎土と釉の酸化さんか反応はんのうこされる。かまへの空気くうき流入りゅうにゅう制限せいげんすることでられる還元かんげん環境かんきょうでは胎土と釉の表面ひょうめんから酸素さんそうばわれる。これはがりの外観がいかん影響えいきょうあたえ、たとえばてつふくむ釉のなかには酸化さんか環境かんきょうでは茶色ちゃいろに、還元かんげん環境かんきょうでは緑色みどりいろになるものがある。かま環境かんきょう調整ちょうせいすることで、複雑ふくざつ効果こうかを釉にすことができる[26]

かま木材もくざい石炭せきたん、ガスなどをやし、または電気でんきもちいることで加熱かねつされる。燃料ねんりょうとして石炭せきたん木材もくざいもちいた場合ばあいけむりすすはいかまはいることで、保護ほごされていないきものの外観がいかん影響えいきょうあたえる可能かのうせいがある。このため、木材もくざい石炭せきたんもちいるかまでは「くしげはち」(さや)とばれるぶたのできる陶器とうきはこきものをれて保護ほごする。ガスや電気でんきもちいる現代げんだいてきかまはより清浄せいじょうであり、木材もくざい石炭せきたんによるものより制御せいぎょもしやすく、また短時間たんじかんげられる場合ばあいおおい。日本にっぽん伝統でんとうてき楽焼らくやきおよびこれに影響えいきょうけた西洋せいよう陶芸とうげいでは、きものはまだあついうちにかまからされ、はい木屑きくずなどのなかめることで特徴とくちょうてき炭化たんかした外観がいかんつくす。この技法ぎほうはマレーシアでも伝統でんとうてきな「ラブ・サユ」(labu sayung)とばれる水差みずさしをつくるのにももちいられる[27][28]

 
現存げんそんする最古さいこきものとされる、グラヴェット文化ぶんか人形にんぎょうのひとつ。紀元前きげんぜん2まん9000ねん - 2まん5000ねん
 
クピスニケ文化ぶんか英語えいごばんきもの。ねこ人間にんげんあらわしたあぶみがたちゅうくち土器どきペルーリマラルコ博物館はくぶつかん英語えいごばんくら
 
破片はへんから復元ふくげんされた縄文じょうもん土器どき紀元前きげんぜん10000 - 8000ねん東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんくら

最初さいしょ陶芸とうげいでこねてかれていたものとかんがえられている。焼成しょうせい時間じかんみじかいが、火中かちゅうられる最高さいこう温度おんどはおそらくは900℃前後ぜんこうたかく、また非常ひじょうすみやかに到達とうたつしたものであろう。による土器どきにはすな砂利じゃりくだいた貝殻かいがら土器どき破片はへんなどをぜた粘土ねんどもちいられることがおおかった。これにより素材そざいあらくし、粘土ねんどふくまれる水分すいぶん揮発きはつせい成分せいぶん自然しぜん放出ほうしゅつされるようにしたのである。粘土ねんどないあら粒子りゅうしはまた冷却れいきゃくちゅうきるきものの収縮しゅうしゅくおさえ、ねつ応力おうりょくによる破損はそんのリスクを低減ていげんさせる役割やくわりたした。がいして、初期しょきによる土器どきは、破損はそんしやすい鋭角えいかくけたまるそこつことがおおかった。意図いとてきつくられた最初さいしょかまは、あなって燃料ねんりょうおおったかまもしくはみぞがまであった。地面じめんけたあな断熱だんねつ提供ていきょうし、焼成しょうせい制御せいぎょしやすくした。

現存げんそんする最古さいこきものとされているのは、今日きょうチェコドルニ・ヴェストニッツェなどで発見はっけんされたグラヴェット文化ぶんか人形にんぎょうである。ドルニ・ヴェストニッツェのヴィーナス英語えいごばん紀元前きげんぜん2まん9000 - 2まん5000ねんのものとされる裸婦らふ人形にんぎょうである[29]現在げんざいまでに発見はっけんされているなか最古さいこきもののうつわとされるものは中国ちゅうごく南部なんぶたま蟾岩遺跡いせき英語えいごばんから発掘はっくつされたもので、2009ねん米国べいこく科学かがくアカデミー紀要きようではこれらは1まん8000ねんまえにさかのぼるとされている[30]紀元前きげんぜん1まん500ねんごろのものとされる、日本にっぽん縄文じょうもん時代じだい初期しょき縄文じょうもん土器どき発見はっけんされている[31][32]。「縄文じょうもん」というのは「なわ文様もんようがある」という意味いみであり、なわきつけたぼうもちいて土器どきうつわ人形にんぎょうにつけられた文様もんようからられた名前なまえである。きたアフリカでも紀元前きげんぜん1まんねんごろに[33]みなみアメリカでも紀元前きげんぜん7千年紀せんねんきごろに[34]はそれぞれ独立どくりつして陶芸とうげい発達はったつしていたようである。おおくの文化ぶんかけんにおいて、最初さいしょうつわでこねて成形せいけいし、もしくは粘土ねんどほそまるひもじょうにしてからとぐろをかせてうつわかたちにしてつくられていた。

中近東ちゅうきんとうでの最初さいしょ陶芸とうげい生産せいさん歴史れきしは4つの時代じだい区分くぶんできる。ハッスナ紀元前きげんぜん5000 - 4500ねん)、ハラフ紀元前きげんぜん4500 - 4000ねん)、ウバイド紀元前きげんぜん4000 - 3000ねん)、ウルク紀元前きげんぜん3500 - 2000ねん)である。メソポタミアではハラフには釉薬が発見はっけんされ、ウバイドでの轆轤ろくろ発明はつめい陶芸とうげい革命かくめいてき変化へんかをもたらした[35]専門せんもんした陶工とうこうたちは世界せかい最初さいしょしょ都市としでの拡大かくだいする需要じゅようこたえられるようになったのである。古代こだいインドでもメヘルガルII紀元前きげんぜん5500 - 4800ねん)からしん石器せっき時代じだい銅器どうき時代じだいとしてられている。エド・ズールとしてられているものをふくインダスがわ流域りゅういき起源きげんとする陶芸とうげいひんインダス文明ぶんめいしょ地域ちいきから発見はっけんされている[36][37]

地中海ちちゅうかい沿岸えんがんでは、古代こだいギリシアの暗黒あんこく時代じだい紀元前きげんぜん1100 - 800ねん)ではアンフォラやその陶芸とうげいひん装飾そうしょく四角よつかどまるせんといった幾何きかがく文様もんようもちいられていた。古代こだい朝鮮ちょうせん紀元前きげんぜん1500 - 300ねん時期じき無文むもん土器どき時代じだいとしてられている[38]

中世ちゅうせいから現代げんだいまで

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6世紀せいきには中国ちゅうごくしろかたうす白磁はくじ出現しゅつげんし、7世紀せいきにはあざやかなから三彩さんさいまれた[39]中国ちゅうごく陶磁器とうじきはイスラーム商人しょうにんらによるセラミック・ロードとばれる貿易ぼうえきルートに日本にっぽんから中東ちゅうとうまでのひろ地域ちいきへと輸出ゆしゅつされ、珍重ちんちょうされおおきな影響えいきょうおよぼした[40]

イスラームの陶芸とうげいでは磁器じき模倣もほうする努力どりょくおこなわれたがカオリン入手にゅうしゅできなかったことなどからたせず、すず釉をもちいてしろ陶器とうきつくられ、ラスターいろどりミーナーイーしゅなど多彩たさい独自どくじ技法ぎほうまれ陶芸とうげいおおきくさかえた。13世紀せいきにはスペインへと流入りゅうにゅうしたムスリムの陶工とうこうたちによりラスターいろどり陶器とうきつくられイスパノ・モレスク陶器とうき誕生たんじょう[41]、またイタリア・ルネサンスを代表だいひょうするすず釉陶であるマヨリカマヨルカとうからかえられたラスターいろどり陶器とうき起源きげんとしている[42]

だい航海こうかい時代じだいになるとけいとく鎮窯に代表だいひょうされる中国ちゅうごく磁器じき直接ちょくせつヨーロッパにもたらされるようになり[43]中国ちゅうごく日本にっぽん陶磁器とうじき美術びじゅつひんとして宮殿きゅうでんの「磁器じきあいだ」などにかざられるようになり評価ひょうかたかまった。こう品質ひんしつ陶磁器とうじき製作せいさく模索もさくがなされるようになり、デルフトマイセンセーヴルなどのめいかままれた[44]

日本にっぽん独創どくそうてき陶芸とうげいはじまるのは桃山ももやま時代じだいであり、千利休せんのりきゅうちゃすえ見出みだあたらしい価値かちかんてたことで創造そうぞうせいたかまり[45]志野しの唐津からつでは絵付えつけがおこなわれるようになる[46]江戸えど時代じだいはいると朝鮮ちょうせん陶工とうこうたちにより磁器じき伊万里焼いまりやきつくられるようになり[47]明治めいじ時代じだいまでにかけヨーロッパへも輸出ゆしゅつされた。

産業さんぎょう革命かくめいともな陶磁器とうじき現代げんだいてき施設しせつ大量たいりょう生産せいさんされるようになっていったなかで、機能きのう追求ついきゅうするウィリアム・モリスらのアーツ・アンド・クラフツ運動うんどうこり、ちいさな工房こうぼう芸術げいじゅつもしくは工芸こうげいとしての陶芸とうげいスタジオ・ポッタリー英語えいごばん)が世界中せかいじゅうおこなわれるようになっている[48]

考古学こうこがく

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チャタル・ヒュユク発見はっけんされた土器どき紀元前きげんぜん6000ねん

考古学こうこがく人類じんるいがく歴史れきしがくにおいて、陶芸とうげい研究けんきゅう過去かこ文化ぶんかへの洞察どうさつをもたらしうる。きものは丈夫じょうぶであり、ほかのより耐久たいきゅうせいすぐれない品物しなもの風化ふうかして認識にんしき不可能ふかのうになってしまったずっとまでも、きもののすくなくとも破片はへん残存ざんそんしていることがおお[49]。ほかの証拠しょうこわせることで、陶芸とうげい遺物いぶつ研究けんきゅうはそれをしもしくは入手にゅうしゅした社会しゃかい構成こうせい経済けいざい状況じょうきょう文化ぶんかてき発達はったつなどにかんする理論りろん発展はってん寄与きよする。陶芸とうげい研究けんきゅうから、ある文化ぶんかにおける日常にちじょう生活せいかつ[50]宗教しゅうきょう社会しゃかいてき関係かんけい隣人りんじんたいする姿勢しせい自分じぶんたち自身じしん世界せかいたいする姿勢しせい、さらには宇宙うちゅう理解りかい様式ようしきまでをも推測すいそくすることができる。

陶芸とうげいもとづく年代ねんだいがく文字もじたない文化ぶんか年代ねんだいさだめるうえでは不可欠ふかけつであることがおおく、歴史れきしてき文化ぶんか年代ねんだい同定どうていにおいてもしばしばたすけとなる。おも中性子ちゅうせいし放射ほうしゃによる微量びりょう元素げんそ解析かいせきは胎土の由来ゆらい正確せいかく同定どうてい可能かのうにし[51]、また熱発ねっぱつこう試験しけんにより最後さいご焼成しょうせいされた時期じき推測すいそくすることも可能かのうである[52]先史せんし時代じだいきものの破片はへん調査ちょうさつうじ、科学かがくしゃたちは粘土ねんどない鉄材てつざいがその時期じき地球ちきゅう磁場じば正確せいかく状況じょうきょう記録きろくしていることを発見はっけんした[よう出典しゅってん]

環境かんきょう問題もんだい

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陶磁器とうじき生産せいさんによる環境かんきょうへの影響えいきょうすうせんねんまえから存在そんざいしていたが、その一部いちぶ現代げんだいのテクノロジーと生産せいさん規模きぼのために増幅ぞうふくされてきている。考慮こうりょすべき問題もんだいてんは2つに大別たいべつされる。労働ろうどうしゃへの影響えいきょうと、環境かんきょう全体ぜんたいへの影響えいきょうである。労働ろうどうしゃへの影響えいきょうのうち主要しゅようなものとしては、屋内おくないそら気質きしつ騒音そうおんによる健康けんこう被害ひがい英語えいごばん過剰かじょう照明しょうめい英語えいごばんがある。環境かんきょう全体ぜんたいへの影響えいきょうとしては、燃料ねんりょう消費しょうひ外部がいぶ水質すいしつ汚染おせん大気たいき汚染おせん危険きけんぶつ廃棄はいきなどがある。

歴史れきしてきに、釉薬をもちいた陶芸とうげいではなまり中毒ちゅうどく重大じゅうだい健康けんこう問題もんだいであった。これはすくなくとも19世紀せいきには認識にんしきされており、イギリスでは陶工とうこうたちの曝露ばくろ制限せいげんするはつ法律ほうりつが1899ねん導入どうにゅうされた[53]今日きょうでは陶芸とうげい関係かんけい労働ろうどうしゃのリスクはおおきく軽減けいげんされているとはいえ、依然いぜんとして無視むしできるものではない。そら気質きしつかんしていえば、労働ろうどうしゃ浮遊ふゆう粒子りゅうしじょう物質ぶっしつ一酸化いっさんか炭素たんそ重金属じゅうきんぞくなどにさらされる可能かのうせいがある。最大さいだい健康けんこうリスクは、二酸化にさんかケイ素けいそ結晶けっしょう長期間ちょうきかんさらされつづけることにより珪肺けいはいとなる可能かのうせいである。適切てきせつ換気かんきによりリスクは軽減けいげん可能かのうであり、これをさだめた法律ほうりつがイギリスで1899ねん制定せいていされている[53]オークランドレイニー・カレッジ英語えいごばんでの最近さいきん研究けんきゅうでは、これらの要素ようそすべては工房こうぼう工場こうじょう環境かんきょうのデザインにより制御せいぎょ可能かのうであると示唆しさしている[54]

エネルギーと汚染おせん物質ぶっしつ使用しようおおきな問題もんだいとなりつつある。電気でんきによる焼成しょうせいほう燃料ねんりょう燃焼ねんしょうによる焼成しょうせいより環境かんきょうやさしいことはほぼ間違まちがいないが、発電はつでん方式ほうしきにより環境かんきょうへの影響えいきょうにはがある[よう出典しゅってん]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 矢部やべ, 入澤いりさわ & 小山こやま 2008, pp. 86–87
  2. ^ 長谷部はせべ 1999, p. 30
  3. ^ 『つくる陶磁器とうじき編集へんしゅう へん 1997, p. 24,44.
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  17. ^ クーパー 1997, pp. 24–25
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  40. ^ 長谷部はせべ 1999, pp. 107–108
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参考さんこう文献ぶんけん

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    206ページ、フルカラー。巻末かんまつ充実じゅうじつした年表ねんぴょう地図ちず文献ぶんけん索引さくいんそなえる。
  • 長谷部はせべ, らくしか (1999-05-01), 【カラーばん世界せかいやきもの, 東京とうきょう: 美術びじゅつ出版しゅっぱんしゃ, ISBN 4-568-40049-X 
    205ページ、フルカラー。(矢部やべ 1998)の姉妹しまいへん
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関連かんれん項目こうもく

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足踏あしぶしき轆轤ろくろでの成形せいけいトルコギュルシェヒル英語えいごばんにて

世界せかいおも陶芸とうげいひん

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日本にっぽん国宝こくほう指定していされたおも陶芸とうげいひん

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日本にっぽん陶芸とうげい関係かんけい公募こうぼてん

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日本にっぽん陶芸とうげいせんもんのミュージアム

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外部がいぶリンク

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