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AZD1222 - Wikipedia
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AZD1222

COVID-19ワクチンの一ひとつ
新型しんがたコロナウイルス (SARS-CoV-2) > 新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょう (COVID-19) > COVID-19ワクチン > オックスフォード-アストラゼネカCOVID-19ワクチン (AZD1222)

オックスフォード＝アストラゼネカCOVID-19ワクチン（Oxford–AstraZeneca COVID-19 vaccine、コードネーム：AZD1222、販売はんばい名めい：バキスゼブリア筋すじ注ちゅう）は、イギリスのオックスフォおっくすふぉード大学どだいがくと医薬品いやくひんメーカーのアストラゼネカ社しゃが共同きょうどうで開発かいはつしたCOVID-19ワクチン。旧きゅう開発かいはつコードは、ChAdOx1 nCoV-19[9]。別名べつめい、コビシールド（Covishield）ともいう[10]。

オックスフォード＝アストラゼネカCOVID-19ワクチン
オックスフォード＝アストラゼネカCOVID-19ワクチンのバイアル瓶びん
ワクチン概要がいよう
病気びょうき COVID-19
臨床りんしょうデータ
販売はんばい名めい バキスゼブリア（Vaxzevria）、COVID-19 Vaccine AstraZeneca[8]、コビシールド（Covishield）
ライセンス EMA:リンク
胎児たいじ危険きけん度ど分類ぶんるい
法的ほうてき規制きせい
IND, BD, AG, SV, DOM, MEX, NE, BR, SL: EUA only
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
 2420395-83-9
ATCコード None
DrugBank DB15656
UNII B5S3K2V0G8
テンプレートを表示ひょうじ
オックスフォード-アストラゼネカCOVID-19ワクチンの100回分かいぶんが入はいった箱はこ

概要がいよう

編集へんしゅう

AZD1222は、ヒトに対たいする毒性どくせいを弱よわめたチンパンジー由来ゆらいのアデノウイルスであるChAdOx1をウイルスベクターとして利用りようし、筋肉きんにく内ない注射ちゅうしゃで接種せっしゅを行おこなう新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょう（COVID‑19）用ようのワクチンである[11][12][13][14][15]。2020年ねん11月23日にちにアストラゼネカ社しゃが公表こうひょうした臨床りんしょう試験しけんの中なか間あいだ解析かいせきによれば、イギリスで実施じっしした55歳さい未満みまんを対称たいしょうとした第だいII/III相しょう臨床りんしょう試験しけんにおいて、標準ひょうじゅん用量ようりょうの半分はんぶんを投与とうよした後のち、1ヵ月かげつ以上いじょうの間隔かんかくを空あけて標準ひょうじゅん用量ようりょうを投与とうよした接種せっしゅ群ぐんで、90％の有効ゆうこう性せいを示しめした[16]。他方たほう、ブラジルで実施じっしした第だいIII相しょう臨床りんしょう試験しけんにおいては、標準ひょうじゅん用量ようりょうを投与とうよした後のち、1ヵ月かげつ以上いじょうの間隔かんかくを空あけて再ふたたび標準ひょうじゅん用量ようりょうを投与とうよした接種せっしゅ群ぐんが示しめした有効ゆうこう性せいは、62％だった[16]。アストラゼネカ社しゃは、両者りょうしゃの平均へいきんで70%の発症はっしょう予防よぼう効果こうかがあるとしている[16]。

AZD1222は、開発かいはつが先行せんこうするファイザー＝ビオンテック製せいワクチンBNT162b2やモデルナ製せいワクチンmRNA-1273と比較ひかくして、保管ほかんや輸送ゆそうの面めんで扱あつかいやすく、かつ、価格かかくが安やすいという特長とくちょうがある[17][18]。いずれのワクチンも低温ていおんで保管ほかんする必要ひつようがあるが、ファイザー＝ビオンテック製せいは、マイナス70度ど前後ぜんこうの超ちょう低温ていおんで最長さいちょう6か月げつ間あいだ、一般いっぱん的てきな冷蔵庫れいぞうこでの保存ほぞん期間きかんは5日間にちかん、モデルナ製せいは、マイナス20度どで最長さいちょう6か月げつ間あいだ、一般いっぱん的てきな冷蔵庫れいぞうこでの保存ほぞん期間きかんは30日間にちかんであるのに対たいし、アストラゼネカ製せいは、超ちょう低温ていおんを維持いじするための特別とくべつな設備せつびを必要ひつようとせず、一般いっぱん的てきな冷蔵庫れいぞうこで最短さいたんでも6か月げつ間あいだの保存ほぞんが可能かのうである[17]。また、接種せっしゅ1回かいあたりの費用ひようでは、ファイザー＝ビオンテック製せいが約やく20ドル、モデルナ製せいが約やく33ドルであるのに対たいし、アストラゼネカ製せいは約やく4ドルで5分ぶんの1以下いかの低ていコストで調達ちょうたつ可能かのうである[17]。

AZD1222の研究けんきゅうは、オックスフォおっくすふぉード大学どだいがくのジェンナー研究所けんきゅうじょとオックスフォード・ワクチン・グループ（英語えいご版ばん）が、臨床りんしょう試験しけん用ようのCOVID-19ワクチンの最初さいしょのバッチを製造せいぞうしたポメーツィアにあるイタリアの製造せいぞう会社かいしゃアドベント社しゃと協力きょうりょくして行いっている[19]。研究けんきゅうチームは、セーラ・ギルバート（英語えいご版ばん）、エイドリアン・V・S・ヒル（英語えいご版ばん）、アンドルー・ポラード（英語えいご版ばん）、テレザ・ラム（英語えいご版ばん）、サンディ・ダグラス及およびキャサリン・M・グリーン（英語えいご版ばん）が率ひきいている[19][20]。

2020年ねん12月30日にち、AZD1222はイギリスの予防よぼう接種せっしゅプログラム（英語えいご版ばん）で使用しようが承認しょうにんされ[21]、翌よく2021年ねん1月がつ4日にちに治験ちけん外がいでの最初さいしょのワクチン接種せっしゅが行おこなわれた[22]。日本にっぽんでは、2020年ねん8月がつ7日にちにアストラゼネカ社しゃと厚生こうせい労働省ろうどうしょうが基本きほん合意ごういに達たっし[23]、同年どうねん12月がつ10日とおか、1億おく2,000万まん回分かいぶんのワクチン供給きょうきゅうで最終さいしゅう合意ごういに至いたった[24]。翌よく2021年ねん2月がつ5日にち、アストラゼネカ社しゃは厚生こうせい労働省ろうどうしょうに対たいしワクチンの製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん申請しんせいを行おこなった[15]。

ワクチンのプラットフォーム

編集へんしゅう

AZD1222ワクチンは、複製ふくせい欠損けっそんチンパンジーアデノウイルスベクターであり、SARS-CoV-2スパイクタンパク質たんぱくしつの完全かんぜん長ちょうコドン最適さいてき化か（英語えいご版ばん）コード配列はいれつと、組織そしきプラスミノーゲン活性かっせい化か因子いんし（tPA）リーダー配列はいれつを含ふくんでいる[25][26]。

複製ふくせい欠損けっそんアデノウイルスは、ウイルスゲノムからウイルスの増殖ぞうしょくに必須ひっすな初期しょき遺伝子いでんしであるE1A・E1B領域りょういきの遺伝子いでんしが欠かけ失しっしているため感染かんせんした細胞さいぼう内ないで増殖ぞうしょくできないが、E1A・E1Bを恒常こうじょう的てきに発現はつげんしているHEK293細胞さいぼうなどでは増殖ぞうしょくできるので培養ばいようできる。このため、AZD1222ワクチンはm-RNAをリポソームに封入ふうにゅうするワクチンより低ていコストで製造せいぞうできる。

スパイクS1タンパク質たんぱくしつは、SARS型がたコロナウイルスがACE2の酵素こうそドメインを介かいして細胞さいぼう内ないに入はいることを可能かのうにする外部がいぶタンパク質たんぱくしつである[27]。ワクチン接種せっしゅ後ご、このスパイクタンパク質たんぱくしつが産さん生むされ、後のちにコロナウイルスが体内たいないに感染かんせんした場合ばあい、免疫めんえき系けいがコロナウイルスを攻撃こうげきするように促うながす[28]。

歴史れきし

編集へんしゅう

2020年ねんの開発かいはつ

編集へんしゅう

2020年ねん2月がつ、ジェンナー研究所けんきゅうじょは、臨床りんしょう試験しけん用ようのワクチン候補こうほの最初さいしょのバッチを製造せいぞうするために、イタリアの企業きぎょうアドベントとの提携ていけいに合意ごういした[29]。

2020年ねん3月がつ[30][31]、ゲイツ財団ざいだんがオックスフォード大学だいがくにCOVID-19ワクチンを市場いちばに出だすために大だい企業きぎょうパートナーを見みつけるよう要請ようせいしたことを受うけて、大学だいがくは、いかなる製薬せいやく会社かいしゃにも権利けんりを提供ていきょうするという以前いぜんの公約こうやくから手てを引ひいた[32]。また、英国えいこく政府せいふは、トランプ政権せいけん下かでのワクチンのため込こみを懸念けねんして、オックスフォおっくすふぉード大学どだいがくが、米国べいこくに拠点きょてんを置おくメルク＆カンパニーではなく、英国えいこくのアストラゼネカと提携ていけいすることを奨励しょうれいした[33]。

2020年ねん6月がつ、アメリカ国立こくりつアレルギー・感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょ（NIAID）は、オックスフォおっくすふぉード大学どだいがくとアストラゼネカが開発かいはつした潜在せんざい的てきなワクチンの第だいIII相しょう試験しけんが2020年ねん7月がつに開始かいしされることを確認かくにんした[34]。

臨床りんしょう試験しけん

編集へんしゅう

2020年ねん7月がつ、アストラゼネカはIQVIA社しゃと提携ていけいし、米国べいこくでの臨床りんしょう試験しけんのスピードアップを図はかった[35]。

2020年ねん8月がつ31日にち、アストラゼネカは、米国べいこくが資金しきん提供ていきょうする3万まん人にんの被験者ひけんしゃを対象たいしょうとした後期こうき治験ちけんへの成人せいじんの登録とうろくを開始かいししたと発表はっぴょうした[36]。

2020年ねん9月がつ8日にち、アストラゼネカは、英国えいこくの被験者ひけんしゃにおける有害ゆうがい作用さようの発生はっせい可能かのう性せいを調査ちょうさしている間あいだ、ワクチン試験しけんを世界せかい的てきに中止ちゅうしすると発表はっぴょうした[37][38][39]。9月13日にち、アストラゼネカとオックスフォおっくすふぉード大学どだいがくは、規制きせい当局とうきょくが安全あんぜんと判断はんだんした後のち、英国えいこくでの臨床りんしょう試験しけんを再開さいかいした[40]。アストラゼネカは、英国えいこくで実験じっけん用ようワクチンを接種せっしゅした2人ふたりの被験者ひけんしゃの重じゅう篤あつしな神経しんけい疾患しっかんについて詳細しょうさいを提供ていきょうすることを拒否きょひし、それを指摘してきした専門せんもん家かからの懸念けねんを受うけた後のち、ワクチンの安全あんぜん性せいについて批判ひはんを受うけた[41]。英国えいこく、ブラジル、南みなみアフリカ、日本にっぽん[42]、インドでは試験しけんが再開さいかいされたが、米国べいこくでは2020年ねん10月がつ23日にちまで臨床りんしょうは保留ほりゅうされた[43]。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく保健ほけん福祉ふくし省しょう（HHS）のアレックス・アザール長官ちょうかんによると、臨床りんしょう保留ほりゅうのきっかけとなった患者かんじゃの病気びょうきをアメリカ食品しょくひん医薬品いやくひん局きょく（FDA）が調査ちょうさしている間あいだ、試験しけんが一時いちじ停止ていしされたという[44]。

2020年ねん10月がつ15日にち、AZD1222の臨床りんしょう試験しけんで試験しけんワクチンの代かわりにプラセボを投与とうよされたブラジル・リオデジャネイロのJoão Pedro R. Feitosa医師いし（28歳さい）がCOVID-19の合併症がっぺいしょうで死亡しぼうした[45][46][47]。ブラジル国家こっか衛生えいせい監督かんとく庁ちょう（英語えいご版ばん）は、ブラジルでの臨床りんしょう試験しけんを継続けいぞくすると発表はっぴょうした[48]。

第だいIII相しょう試験しけんの結果けっか

編集へんしゅう

2020年ねん11月23日にち、オックスフォおっくすふぉード大学どだいがくとアストラゼネカは、現在げんざい進行しんこう中ちゅうのワクチンの第だいIII相しょう試験しけんの中なか間あいだ結果けっかを発表はっぴょうした[16][49]。報告ほうこく書しょで使用しようされた方法ほうほうは批判ひはんがあり、70％という数字すうじに到達とうたつするために、異ことなる用量ようりょうを与あたえられた被験者ひけんしゃの異ことなるグループの62％と90％の結果けっかを組くみ合あわせていた[50][51][52]。アストラゼネカは、90％という結果けっかを得えた低てい用量ようりょうを用もちいた多国たこく間あいだ試験しけんをさらに実施じっしすると述のべた[53]。

2020年ねん12月8日にち、進行しんこう中ちゅうの4つの第だいIII相しょう試験しけんの中なか間あいだ結果けっかが完全かんぜん発表はっぴょうされ、これらの報告ほうこくが明あきらかになった[54]。活性かっせいワクチンの初回しょかい投与とうよを21日にち以上いじょう前まえに受うけた群ぐんでは、プラセボを受うけた群ぐんとは異ことなり、入院にゅういんや重じゅう篤あつしな疾患しっかんは認みとめられなかった。重おも篤あつな有害ゆうがい事象じしょうは、臨床りんしょう試験しけんでは活性かっせい群ぐんと対照たいしょう群ぐんでバランスが取とれていた、すなわち、活性かっせいワクチンには安全あんぜん性せいの懸念けねんはなかった。ブースター接種せっしゅから14日にち後ごに横断おうだん性せい脊髄せきずい炎えんの1症例しょうれいが報告ほうこくされ、独立どくりつした神経しんけい学がく的てき委員いいん会かいは、特発とくはつ性せい（英語えいご版ばん）の短たん分節ぶんせつ性せい脊髄せきずい脱だつ髄ずいと診断しんだんされる可能かのう性せいが最もっとも高たかいと考かんがえられるが、ワクチン接種せっしゅに関連かんれんしている可能かのう性せいがあるとされた。横断おうだん性せい脊髄せきずい炎えんの他ほかの2例れいは、1つはワクチン群ぐん、もう1つは対照たいしょう群ぐんで、ワクチン接種せっしゅとは無関係むかんけいと考かんがえられた[54]。その後ごの解析かいせきでは、1回かい目めの接種せっしゅから22日にち後ごに76％のワクチン有効ゆうこう性せいが示しめされ、1回かい目めの接種せっしゅから12週間しゅうかん以上いじょうが経過けいかした後のちに2回かい目めの接種せっしゅを行おこなうと82％に上昇じょうしょうしたことが示しめされている[55]。

2020年ねん12月27日にち、アストラゼネカの最高さいこう経営けいえい責任せきにん者しゃであるパスカル・ソリオは、研究けんきゅう者しゃが2回かいの接種せっしゅが行おこなわれたオックスフォード-アストラゼネカCOVID-19ワクチンの形かたちで「勝利しょうりの方程式ほうていしき」を見みつけたと信しんじていると述のべた[56]。

2021年ねん1月がつ4日にち、ブライアン・ピンカー（82歳さい）は、臨床りんしょう試験しけん以外いがいでオックスフォード-アストラゼネカCOVID-19ワクチンを接種せっしゅした最初さいしょの人ひととなった[22]。

2021年ねんの開発かいはつ

編集へんしゅう

2021年ねん2月がつ、オックスフォード-アストラゼネカは、コロナウイルスの新あたらしい変異へんい体たいを標的ひょうてきとしたワクチンを開発かいはつし、効能こうのう促進そくしん剤ざいとして数すうヶ月かげつ以内いないに修正しゅうせいワクチンの提供ていきょうを見込みこんでいることを明あきらかにした[57][58]。重要じゅうような懸念けねん事項じこうは、E484K変異へんいが免疫めんえき反応はんのうに影響えいきょうを与あたえるかどうか、また、現在げんざいのワクチンの有効ゆうこう性せいに影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいがあるかどうかである[59]。E484K変異へんいは南みなみアフリカ（B.1.351）とブラジル（B.1.1.28）の変異へんい体たいに存在そんざいし、少数しょうすうの変異へんい例れいがオリジナルのSARS-CoV-2ウイルスとUK/Kent（B.1.1.7）の変異へんい体たいでも検出けんしゅつされている[59]。

承認しょうにん

編集へんしゅう

2020年ねん11月27日にち、英国えいこく政府せいふは医薬品いやくひん・医療いりょう製品せいひん規制きせい庁ちょうに対たいし、AZD1222ワクチンの一時いちじ的てきな供給きょうきゅうを目的もくてきとした評価ひょうかを依頼いらいし[60]、2020年ねん12月30日にちに全国ぜんこく展開てんかい（英語えいご版ばん）に入はいる2番目ばんめのワクチンとして承認しょうにんした[61]。

欧州おうしゅう医薬品いやくひん庁ちょう（EMA）は、2021年ねん1月がつ12日にちに同どうワクチンの条件じょうけん付つき製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん（CMA）申請しんせいを受理じゅりした。プレスリリースによると、1月がつ29日にちまでにEMAから勧告かんこくが出だされ、欧州おうしゅう委員いいん会かいが数日すうじつ以内いないにCMAに関かんする決定けっていを下くだす可能かのう性せいがあると述のべた[62]。ハンガリーの規制きせい当局とうきょくは、EMAの承認しょうにんを待またずに一方いっぽう的てきにワクチンを承認しょうにんした[63]。

2021年ねん1月がつ29日にち、EMAは、18歳さい以上いじょうを対象たいしょうとしたAZD1222の条件じょうけん付つき製造せいぞう販売はんばい承認しょうにんの付与ふよを勧告かんこくし[2][3]、同日どうじつ、欧州おうしゅう委員いいん会かいに承認しょうにんされた[4][64]。

また、このワクチンはアルゼンチン[65]、エルサルバドル[66]、インド[67][68]、メキシコ[69]、バングラデシュ[70]、ドミニカ共和国どみにかきょうわこく[71]、パキスタン[72]、フィリピン[73]、ネパール[74]、ブラジル[75]、スリランカ[76]、台湾たいわん[77]の規制きせい当局とうきょくによって、それぞれの国くにでの緊急きんきゅう使用しようが承認しょうにんされている。

2021年ねん2月がつ7日にち、南みなみアフリカでのワクチンの展開てんかいは中止ちゅうしされた。ウィットウォーターズランド大学だいがく（英語えいご版ばん）の研究けんきゅう者しゃは、事前じぜん分析ぶんせきで、アストラゼネカのワクチンは、若年じゃくねん者しゃの軽度けいどまたは中等ちゅうとう度どの疾病しっぺい感染かんせんに対たいして最低限さいていげんの保護ほごしか提供ていきょうしないと述のべた[78][79]。BBCは、2021年ねん2月がつ8日にち、世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）の予防よぼう接種せっしゅ部門ぶもんを統括とうかつするキャサリン・オブライエンが、アストラゼネカのワクチンが南みなみアフリカでの感染かんせん症しょう、特とくに重おも篤あつな病気びょうきや死亡しぼうの予防よぼうに「意味いみのある影響えいきょう」を与あたえる可能かのう性せいがあると「本当ほんとうにもっともらしい」と感かんじていると述のべたことを報ほうじた[80]。同おなじ報告ほうこく書しょはまた、イングランドのジョナサン・ヴァン・タム副ふく最高さいこう医療いりょう責任せきにん者しゃは、（ウィットウォーターズランドの）研究けんきゅうは、アストラゼネカワクチンが南みなみアフリカの変異へんい体たいからの重症じゅうしょう化かへの効果こうかが「むしろ可能かのう性せいが高たかい」との彼かれの意見いけんを変更へんこうしなかったと述のべた[80]。

2021年ねん2月がつ10日とおか、韓国かんこくはアストラゼネカにCOVID-19ワクチンの最初さいしょの承認しょうにんを与あたえ、高齢こうれい者しゃを含ふくむすべての成人せいじんに2回かい接種せっしゅすることを認みとめた。ただし、65歳さい以上いじょうの高齢こうれい者しゃへの投与とうよについては、臨床りんしょう試験しけんで人口じんこう統計とうけいからのデータが限かぎられているため、注意ちゅういが必要ひつようであるとしている[81][82]。

2021年ねん2月がつ10日とおか、世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）は暫定ざんていガイダンスを発表はっぴょうし、アストラゼネカのワクチンをすべての成人せいじんに推奨すいしょうしたが、その予防よぼう接種せっしゅに関かんする戦略せんりゃく的てき諮問しもん委員いいん会かい（英語えいご版ばん）も、変異へんい体たいが存在そんざいする場合ばあいの使用しようを検討けんとうし、推奨すいしょうする必要ひつようはないと結論けつろん付つけた[83]。

2021年ねん2月がつ15日にち、オーストラリア治療ちりょう製品せいひん管理かんり局きょく（英語えいご版ばん）（TGA）は、アストラゼネカCOVID-19ワクチンの暫定ざんてい承認しょうにんを与あたえた[1][8]。

生産せいさんと供給きょうきゅう

編集へんしゅう

本ほんワクチンは冷蔵庫れいぞうこの温度おんどで安定あんていしており、1回かいの投与とうよ量りょうあたり3～4米あめりかドル程度ていどの費用ひようがかかる[84]。12月17日にちには、ベルギー予算よさん国務こくむ長官ちょうかん（英語えいご版ばん）のツイートにより、欧州おうしゅう連合れんごう（EU）が1回かいの投与とうよ量りょうあたり1.78ユーロ（2.16米あめりかドル）を支払しはらうことが明あきらかになった[85]。

アストラゼネカの運営うんえいおよびIT担当たんとう副ふく社長しゃちょうのパム・チェンによると、同社どうしゃは2020年ねん末まつまでに全ぜん世界せかいで約やく2億おく用量ようりょうを準備じゅんびし、生産せいさん量りょうが増加ぞうかすれば月産げっさん1億おく～2億おく用量ようりょうの生産せいさん能力のうりょくがあるという[50]。

2020年ねん6月がつ、アストラゼネカとエマージェント・バイオソリューションズ（英語えいご版ばん）は、英国えいこくのNHSがワクチン接種せっしゅプログラム（英語えいご版ばん）[86]のために1億おく用量ようりょうを利用りようできるようにすることに加くわえて、米国べいこく市場いちばに特とく化かしたワクチンの用量ようりょうを製造せいぞうするために8,700万まんドルの契約けいやくに署名しょめいした。この契約けいやくは、2020年ねん末まつまでに標的ひょうてき接種せっしゅの開発かいはつと迅速じんそくな生産せいさん規模きぼの拡大かくだいを目指めざすトランプ政権せいけんのOperation Warp Speed構想こうそうの一環いっかんである[87]。キャタレント（英語えいご版ばん）社しゃは、仕上しあげとパッケージングのプロセスを担当たんとうする[88]。製造せいぞう作業さぎょうの大半たいはんは英国えいこくで行おこなわれる[要よう出典しゅってん]。

2020年ねん6月がつ4日にち、世界せかい保健ほけん機関きかん（WHO）のCOVAXファシリティは、同社どうしゃから低てい・中ちゅう所得しょとく国こく向むけに3億おく用量ようりょうの初回しょかい購入こうにゅうを行おこなった[89]。また、アストラゼネカとセラム・インスティテュート・オブ・インディア（SII）は、インドを含ふくむ中なか低てい所得しょとく国こくにオックスフォおっくすふぉード大学どだいがくのワクチン10億おく用量ようりょうを供給きょうきゅうするライセンス契約けいやくを締結ていけつした[90][91]。2020年ねん9月がつ29日にち、ビル&メリンダ・ゲイツ財団ざいだんからの助成じょせい金きんにより、COVAXは、アストラゼネカまたはノバックスのいずれかから1億おく回分かいぶんのCOVID-19ワクチンの追加ついか投与とうよ量りょうを1回かいあたり3米あめりかドルで確保かくほすることができた[92]。

2020年ねん6月がつ13日にち、アストラゼネカは、フランス、ドイツ、イタリア、オランダで結成けっせいされたグループである包括ほうかつ的てきワクチン同盟どうめいとの間あいだで、欧州おうしゅう連合れんごう（EU）の全ぜん加盟かめい国こくに最大さいだい4億おく回分かいぶんのワクチンを供給きょうきゅうする契約けいやくに署名しょめいした[93][94][95]。しかし、欧州おうしゅう委員いいん会かいが介入かいにゅうして契約けいやくの正式せいしき化かを阻止そししたが、EU全体ぜんたいを代表だいひょうして交渉こうしょうを引ひき継つぎ、8月がつ末まつに協定きょうていに署名しょめいした[96]。

2020年ねん8月がつ、アストラゼネカは、米国べいこくに3億おく用量ようりょうを12億おく米あめりかドルで提供ていきょうすることに合意ごういした。アストラゼネカの広報こうほう担当たんとう者しゃによると、この資金しきん提供ていきょうには開発かいはつと臨床りんしょう試験しけんも含ふくまれているという[97]。また、メキシコ政府せいふやアルゼンチン政府せいふと技術ぎじゅつ移転いてん協定きょうていを締結ていけつし、少すくなくとも4億おく用量ようりょうを生産せいさんしてラテンアメリカ全体ぜんたいに配布はいふすることに合意ごういした。有効ゆうこう成分せいぶんはアルゼンチンで生産せいさんされ、メキシコに送おくられて完成かんせいして流通りゅうつうすることになる[98]。

2020年ねん9月がつ、アストラゼネカはカナダに2,000万まん用量ようりょうを提供ていきょうすることで合意ごういした[99][100]。

2020年ねん10月がつ、スイスはアストラゼネカと最大さいだい530万まん用量ようりょうの事前じぜん注文ちゅうもんをする契約けいやくを締結ていけつした[101][102]。

2020年ねん11月5日にち、バングラデシュ政府せいふ、セラム・インスティテュート・オブ・インディア、バングラデシュのベキシムコ・ファーマシューティカルズ（英語えいご版ばん）の間あいだで三さん者しゃ間あいだ協定きょうていが締結ていけつされた。この協定きょうていの下した、バングラデシュはベキシムコを通つうじてセラムにオックスフォード-アストラゼネカワクチンの3,000万まん回分かいぶんを1用量ようりょうたり4ドルで発注はっちゅうした[103]。

2020年ねん11月、タイはアストラゼネカに2,600万まん用量ようりょうのワクチンを発注はっちゅうした[104]。人口じんこうの約やく20％にあたる1300万まん人にんをカバーし[105]、5月がつ末まつに最初さいしょのロットが納入のうにゅうされる見込みこみである[106][107][108]。保険ほけん相しょうは、支払しはらった価格かかくを1用量ようりょうあたり5ドルと示しめしたが[109]、アストラゼネカ（タイ）は2021年ねん1月がつ、各国かっこくが支払しはらう価格かかくは製造せいぞうコストや製造せいぞう能力のうりょく、人件じんけん費ひ、原材料げんざいりょう費ひなどのサプライチェーンの違ちがいに依存いぞんすると、論争ろんそうになった後のちで説明せつめいした[110]。2021年ねん1月がつには、タイ内ない閣かくがさらに3,500万まん回分かいぶんの追加ついか接種せっしゅを発注はっちゅうする協議きょうぎを承認しょうにんし[111]、タイのFDAは1年間ねんかんの緊急きんきゅう用ようワクチンを承認しょうにんした[112][113]。Vajiralongkornが所有しょゆうするSiam Bioscience社しゃは、技術ぎじゅつ移転いてんを受うけ[114]、ASEANへの輸出ゆしゅつに向むけて年間ねんかん2億おく用量ようりょうまでの製造せいぞう能力のうりょくを持もつことになる[115]。

また、11月にはフィリピンが260万まん用量ようりょうを購入こうにゅうする契約けいやくを締結ていけつし[116]、約やく7億おくポンド（約やく5.6ドル/用量ようりょう）の価値かちがあると報ほうじられている[117]。

2020年ねん12月、韓国かんこくはアストラゼネカとの間あいだで、2,000万まん容量ようりょうのワクチンを確保かくほする契約けいやくを締結ていけつした。これは、タイとフィリピンが署名しょめいしたワクチンと同どう程度ていどの価値かちがあるとされ[118]、早はやければ2021年ねん1月がつにも初回しょかい出荷しゅっかが予定よていされている。2021年ねん1月がつの時点じてんで、このワクチンは、韓国かんこく疾病しっぺい管理庁かんりちょうの審査しんさを受うけている[119][120]。アストラゼネカは、韓国かんこくのSKバイオサイエンスと自社じしゃのワクチン製品せいひんを製造せいぞうする契約けいやくを締結ていけつした。この提携ていけいにより、SKの関連かんれん会社かいしゃは、ローカルおよびグローバルな市場いちば向むけにAZD1222を製造せいぞうすることになった[121]。

2021年ねん1月がつ7日にち、南みなみアフリカ政府せいふは、セラム・インスティテュート・オブ・インディアから初回しょかい100万まん用量ようりょうを確保かくほし、その後ご、2月がつにさらに50万まん用量ようりょうを確保かくほしたと発表はっぴょうした[122]。

2020年ねん12月、ミャンマーは、セラム・インスティテュート・オブ・インディアと3000万まん用量ようりょうのワクチンを確保かくほする契約けいやくを結むすんだ。ミャンマーは、2021年ねん2月がつから1,500万まん人にん分ぶんの投与とうよ量りょうを確保かくほする見込みこみである[123]。

2021年ねん1月がつ22日にち、アストラゼネカは、欧州おうしゅう連合れんごう（EU）がアストラゼネカCOVID-19ワクチンを承認しょうにんした場合ばあい、ベルギーのノバセップ（英語えいご版ばん）社しゃでの生産せいさん問題もんだいにより、当初とうしょの供給きょうきゅう量りょうが予想よそうよりも少すくなくなり、2021年ねん3月がつまでに欧州おうしゅう連合れんごう（EU）に納入のうにゅうされる予定よていの8,000万まん用量ようりょうのうち、3,100万まん用量ようりょうのみとなることを発表はっぴょうした[124]。アストラゼネカのCEOパスカル・ソリオは、イタリアの新聞しんぶんラ・レプッブリカのインタビューで、欧州おうしゅう連合れんごうへの納入のうにゅうスケジュールが予定よていより2ヶ月かげつ遅おくれていると述のべ、欧州おうしゅうの大だい規模きぼ施設しせつでの細胞さいぼう培養ばいようからの収おさむ率りつが低ひくいこと[125]、また、ガーディアン紙かみに掲載けいさいされた分析ぶんせきでは、ベルギー工場こうじょうのバイオリアクターでの収おさむ率りつが低ひくいことが明あきらかになっており、収おさむ率りつが変動へんどうすることが多おおいこの形態けいたいのプロセスを設置せっちすることの難むずかしさを指摘してきした[126]。その結果けっか、欧州おうしゅう連合れんごう（EU）はワクチン投与とうよ量りょうの輸出ゆしゅつ規制きせいを課かし、用量ようりょうが英国えいこくに転用てんようされるかや、北きたアイルランドへの配送はいそうが中断ちゅうだんされるかどうかで論争ろんそう（英語えいご版ばん）が起おこった[127]。

2021年ねん4月がつ26日にち、欧州おうしゅう連合れんごうはワクチンが契約けいやく通どおり供給きょうきゅうしていないとしてアストラゼネカを提訴ていそした。欧州おうしゅう連合れんごうとの事前じぜん購入こうにゅうの契約けいやくでは、同年どうねん1月がつ-3月の間あいだに1億おく2000万まん回分かいぶんのワクチンが各国かっこくに供給きょうきゅうされる予定よていであったが、前述ぜんじゅつの遅おくれにより4月がつ末まつまでに約やく5000万まん回分かいぶんと大幅おおはばに下回したまわる見込みこみが明あきらかになったため[128]。

副ふく反応はんのうに関かんする警告けいこく

編集へんしゅう

2021年ねん9月8日にちに欧州おうしゅう医薬品いやくひん庁ちょう（EMA）がまれな副ふく反応はんのうとしてギラン・バレー症候群しょうこうぐんを追加ついかしたことを発表はっぴょうした[129]。これは、同年どうねん7月がつ31日にちまでの全ぜん世界せかいでの接種せっしゅ数すう5億おく9200万まん回かいのうち、ギラン・バレー症候群しょうこうぐんの発症はっしょうが833件けん報告ほうこくされていることから、因果いんが関係かんけいに「少すくなくとも合理ごうり的てきな可能かのう性せい」があると判断はんだんされたことによる。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
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外部がいぶリンク

編集へんしゅう
 
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