(Translated by https://www.hiragana.jp/)
BTR-60 - Wikipedia
Wikipedia

BTR-60

旧きゅうソ連それんの装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃ

BTR-60（ロシア語ご: БТР-60）は、ソビエト連邦れんぽうで開発かいはつされた装そう輪わ式しきの装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃである。

BTR-60
BTR-60PB
基礎きそデータ
全長ぜんちょう 7.56m
全幅ぜんぷく 2.835m
全ぜん高こう 2.31m
重量じゅうりょう 10.3t
乗員じょういん数すう 10名めい
乗員じょういん配置はいち 車くるま長ちょう1名めい、操縦そうじゅう手しゅ1名めい、歩兵ほへい8名めい
装甲そうこう・武装ぶそう
装甲そうこう 5mm-9mm
主しゅ武装ぶそう KPVT 14.5mm重じゅう機関きかん銃じゅう
副ふく武装ぶそう PKT 7.62mm機関きかん銃じゅう
機動きどう力りょく
速度そくど 80km/h（整地せいち）
10km/h（水上すいじょう）
不ふ整地せいち速度そくど 60km
エンジン GAZ-49B
4ストローク直列ちょくれつ6気筒きとう液えき冷ひやガソリン×2
180hp
懸架けんか・駆動くどう トーションバー方式ほうしき
ハイドロサスペンション
八はち輪りん駆動くどう
行動こうどう距離きょり 500km
テンプレートを表示ひょうじ

概要がいよう

編集へんしゅう

1959年ねんに採用さいようされてから21世紀せいきに入はいっても現役げんえきで使用しようされている、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごに開発かいはつされた装そう輪わ式しき装甲車そうこうしゃとしては代表だいひょう的てきなものの一ひとつである。

それまでソビエト軍ぐんで使用しようされていたBTR-40やBTR-152といった装そう輪わ式しきの装甲車そうこうしゃは、堅実けんじつな設計せっけいであったが、基本きほん的てきには「トラックをそのまま装甲そうこう化かした」ものに過すぎず、実戦じっせん部隊ぶたいからは「戦車せんしゃに充分じゅうぶんに追随ついずいできず、機械きかい化か部隊ぶたいの装甲車そうこうしゃとしては能力のうりょく不足ふそくである」との意見いけんも多おおかった。PT-76水陸すいりく両用りょうよう戦車せんしゃを基もとに装そう軌式の装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃであるBTR-50も開発かいはつされたが、この車両しゃりょうは高価こうかで生産せいさん費用ひようがかかり、運用うんよう維持いじにかかるコストも大おおきいために大量たいりょう配備はいびに難なんがあるとされ、「装そう輪わ式しきで生産せいさん・運用うんようコストが廉価れんかで、充分じゅうぶんな能力のうりょくを持もった装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃを」という要望ようぼうにより開発かいはつされたのが本ほん車しゃである。

 
BTR-60PB 側面そくめん

1950年代ねんだい後半こうはんから開発かいはつが開始かいしされ、生産せいさん・運用うんようのコストを抑おさえるために極力きょくりょく民間みんかん向むけのトラックと共通きょうつうするコンポーネントを用もちいることを第だい1に、T-54戦車せんしゃに無理むりなく追随ついずいできる能力のうりょくがあることが求もとめられ、ゴーリキー自動車じどうしゃ工場こうじょう設計せっけい局きょく（GAZ）とリハチェフ記念きねん工場こうじょう設計せっけい局きょく（ZIL）設計せっけい局きょくによってそれぞれ4軸じく8輪りん・背せの高たかい舟ふね型がた車体しゃたいを持もつGAZ-49と3軸じく6輪りん・同おなじく舟ふね型がただが背せの低ひくい車体しゃたいを持もつZIL-153（ロシア語ご版ばん）が開発かいはつされ、評価ひょうか試験しけんの結果けっかGAZ-49が1959年ねんに採用さいようされた。

最初さいしょ期きの型かたは車体しゃたい天面あまつらに装甲そうこうのない“オープン・トップ”タイプだが、採用さいよう後ごほどなくソビエト軍ぐんのドクトリンが核かく戦争せんそう下かでの行動こうどうを重視じゅうししたものに転換てんかんされたため、密閉みっぺい型がたの車体しゃたいを持もつBTR-60PAが開発かいはつ、更さらに「武装ぶそうが貧弱ひんじゃくである」という意見いけんに応こたえて更さらに大だい口径こうけいな重じゅう機関きかん銃じゅうを搭載とうさいしたBTR-60PBが開発かいはつされ、以後いごはこのPB型がたが主力しゅりょく生産せいさん型がたとなりソビエト始はじめ東側ひがしがわ諸国しょこくにも大量たいりょうに配備はいびされ、BTR-60PBを改良かいりょうしたBTR-70が配備はいびされるとソビエトのような先進せんしん国こくでは退役たいえきが進すすんだが、途上とじょう国こくでは21世紀せいきに入はいっても多数たすうが現役げんえきである。

構造こうぞう

編集へんしゅう

車体しゃたい後部こうぶにエンジンを搭載とうさいし、2基きのエンジンで第だい1、第だい3車軸しゃじくと第だい2、第だい4車軸しゃじくを分担ぶんたんして駆動くどうさせている独特どくとくの機構きこうを採とっており、これは2基きのエンジンを同調どうちょうさせることが難むずかしく、引火いんかしやすいガソリンエンジンのため、被弾ひだんすると爆発ばくはつ炎上えんじょうしてしまう危険きけん性せいが高たかいという欠点けってんがある。一方いっぽうで片方かたがたのエンジンが故障こしょうや損傷そんしょうしても問題もんだいなく走行そうこうできる冗長じょうちょう性せいの高たかさを兼かねている。車体しゃたい後部こうぶに水上すいじょう推進すいしん用ようのウォータージェットを一ひとつ装備そうびしており、水上すいじょう航行こうこう時じには車体しゃたい前面ぜんめん下部かぶの波切なきり板いたを展開てんかいする。

兵員へいいん室しつの側面そくめん上部じょうぶには左右さゆうそれぞれ3つのガンポート（銃眼じゅうがん）が設もうけられている。本ほん車しゃが実戦じっせんで運用うんようされた際さいには、兵員へいいん室しつから降車こうしゃするための側面そくめん上部じょうぶハッチが小ちいさいために素早すばやく降車こうしゃできない点てんが最大さいだいの問題もんだいとなった。上面うわつらハッチからの降車こうしゃも目立めだつため集中しゅうちゅう的てきに攻撃こうげきされる難点なんてんがあった。前述ぜんじゅつのガソリンエンジンの引火いんか性せいから素早すばやい降車こうしゃが求もとめられる本ほん車しゃにおいて、兵員へいいん室しつからの脱出だっしゅつが遅おくれてそのまま焼死しょうししてしまう恐おそれが強つよかった。そのため、歩兵ほへい達たちは兵員へいいん室しつに入はいらず車くるま上じょうに跨またが乗のして警戒けいかいすることを好このんだ。

BTR-60PBより全ぜん周旋しゅうせん回かい砲塔ほうとうが搭載とうさいされ、武装ぶそうはKPVT 14.5mm重じゅう機関きかん銃じゅうおよび同軸どうじくのPKT 7.62mm機関きかん銃じゅうであり、俯仰ふぎょう角かくは-5度ど~+60度どとなっている。

  •  
    BTR-60PB 操縦そうじゅう席せき
  •  
    BTR-60PB 操縦そうじゅう席せき(2)
  •  
    BTR-60PB 兵員へいいん室しつ
  •  
    BTR-60PBの乗員じょういん配置はいち（1.車くるま長ちょう兼けん分隊ぶんたい長ちょう 2.操縦そうじゅう手しゅ 3.砲手ほうしゅ 4.歩兵ほへい）
  •  
    車体しゃたい後ご端はしのウォータージェット推進すいしん口こう カバーを開ひらいた状態じょうたい

派生はせい型がた

編集へんしゅう
BTR-60P
初期しょき生産せいさん型がた。1960年ねんより生産せいさん開始かいし。上部じょうぶ開放かいほう型がたの車体しゃたいが特徴とくちょう。乗員じょういんは2+14名めい。通常つうじょうはPKT 7.62mm機関きかん銃じゅう1挺ていを前部ぜんぶのピントルマウントに搭載とうさいするが、DShK 12.7mm重じゅう機関きかん銃じゅうも搭載とうさいできた。また、左右さゆう側面そくめんにもピントルマウントがあり、必要ひつように応おうじて機関きかん銃じゅうを取とり付つけられた。
BTR-60Pu
指揮しき通信つうしん車輌しゃりょう。屋根やねは布ぬの張ばり。
BTR-60PuM
BTR-60PuM1
BTR-60Pu12
PuMを改良かいりょうした防空ぼうくう指揮しき車輌しゃりょう。
BTR-60Pu12M
Pu12の改良かいりょう型がた。
  •  
    BTR-60P
  •  
    BTR-60PU
  •  
    BTR-60Pu-12
 
BTR-60PK（PA）
BTR-60PA
1963年ねんより生産せいさん開始かいし。上部じょうぶが密閉みっぺい式しきとなり、上部じょうぶハッチにPKT 7.62mm機関きかん銃じゅうまたはDShK 12.7mm重じゅう機関きかん銃じゅうを1挺ていを搭載とうさい。乗員じょういん2名めいと兵員へいいん10名めいを乗のせる。
BTR-60PAI
武装ぶそうをKPVT 14.5mm重じゅう機関きかん銃じゅうに換かわ装そうしたもの。
BTR-60PB
KPVT 14.5mm重じゅう機関きかん銃じゅうとPKT 7.62mm機関きかん銃じゅうを装備そうびする円錐えんすい形がたの砲塔ほうとうを搭載とうさい。1966年ねんから1976年ねんまで生産せいさんされ、乗員じょういん3名めいに兵員へいいん8名めいを乗のせる。
BTR-60PBK
 
BTR-60PBK
指揮しき通信つうしん車輌しゃりょう。-Puとは異ことなり砲塔ほうとうを搭載とうさいしている。
BTR-60 R-156
BTR-60PBベースの航空こうくう管制かんせい車しゃ。
BTR-60 R-975M1
R-156の改良かいりょう型がた。
BTR-60 1V18
対空たいくうミサイルを搭載とうさいした砲兵ほうへい観測かんそく車輌しゃりょう。
BTR-60 1V19
1V18の改良かいりょう型がた。射撃しゃげき指揮しき車輌しゃりょう。
BTR-60PZ
 
BTR-60PZ
BTR-70と同おなじ砲塔ほうとうを搭載とうさいした改良かいりょう型がた。
BTR-60 R-145「チャイカ」
指揮しき通信つうしん車輌しゃりょう。
BTR-60 R-145BM
R-145の改良かいりょう型がた。
MTP-2
MTR-2
装甲そうこう回収かいしゅう車しゃ型かた。
BTR-60SP AAG
キューバで開発かいはつされた派生はせい型がた。30mm連装れんそう機関きかん砲ほう搭載とうさい。
OT-64 SKOT
ポーランドとチェコスロバキアが共同きょうどうで開発かいはつした8輪りん式しき装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃ。厳密げんみつには派生はせい型がたではなく競合きょうごう車輌しゃりょうである。
→詳細しょうさいは「OT-64装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃ」を参照さんしょう

ルーマニア

編集へんしゅう
TAB-63（ルーマニア語ご版ばん、英語えいご版ばん）
BTR-60Pのライセンス生産せいさん型がた。
TAB-71（ルーマニア語ご版ばん、英語えいご版ばん）
BTR-60PBのライセンス生産せいさん型がた。側面そくめん上部じょうぶのハッチを増ふやし、大型おおがたにするなどの改良かいりょうがされている。

採用さいよう国こく

編集へんしゅう
 
BTR-60の採用さいよう国こく
ラテンアメリカ
東ひがしアジア、東南とうなんアジア、南みなみアジア
中東ちゅうとう、北きたアフリカ
欧州おうしゅう、旧きゅうソ連それん構成こうせい国こく
サハラ以南いなんのアフリカ（ブラックアフリカ）

登場とうじょう作品さくひん

編集へんしゅう

映画えいが

編集へんしゅう
『REDリターンズ』
主人公しゅじんこうのフランク・モーゼズとハン・チョバイが立たち寄よった倉庫そうこ内ないに駐車ちゅうしゃされている。
『ペンタゴンウォーズ』
アメリカ軍ぐんが入手にゅうしゅしたものをテストしている車両しゃりょうとして登場とうじょう。
『ランボー3/怒いかりのアフガン』
ソ連それん軍ぐんの装甲車そうこうしゃとして登場とうじょう。
『若わかき勇者ゆうしゃたち』
ソビエトのアメリカ侵攻しんこう軍ぐんの車両しゃりょうとして登場とうじょう。
上記じょうき3作さくに登場とうじょうするものは、実物じつぶつではなくレプリカ車両しゃりょうである。このレプリカ車両しゃりょうは1950年代ねんだい末すえ-1960年代ねんだい初頭しょとうにかけて米べい軍ぐんで行おこなわれた水陸すいりく両用りょうよう戦術せんじゅつトラックの開発かいはつ計画けいかくにより開発かいはつされた試作しさく車両しゃりょう、XM453を改造かいぞうして製作せいさくされたもので[4]、BTR-60の特徴とくちょうをよく捉とらえているが、実物じつぶつに比くらべて車体しゃたい上部じょうぶが大おおきく、側面そくめんから見みた時ときに4軸じくある車輪しゃりんの第だい2軸じくと第だい3軸じくの間あいだの間隔かんかくが広ひろいことで見分みわけることができる。なお、このレプリカ車両しゃりょうは1990年代ねんだい-2000年代ねんだいに入はいっても現存げんそんしており、いくつかの作品さくひんに登場とうじょうしている。

漫画まんが

編集へんしゅう
『気分きぶんはもう戦争せんそう』
中ちゅうソ戦争せんそうのシーンにBTR-60Pが登場とうじょう。

アニメ

編集へんしゅう
『ゴジラ S.P ＜シンギュラポイント＞』
インド軍ぐん仕様しようのPB型がたが登場とうじょう。

ゲーム

編集へんしゅう
『ARMA 2』
独立どくりつ拡張かくちょうパック"Operation Arrowhead"に登場とうじょうし、プレイヤーやAIが操作そうさ可能かのう。
『Project Reality（BF2）』
北きたベトナム軍ぐん・中東ちゅうとう連合れんごう軍ぐん（MEC）・ロシア連邦れんぽう軍ぐんの装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃ(APC)としてBTR-60PBが登場とうじょうする。装備そうびはOU-3・K10-Tのカメラ2種しゅ、クラクション、歩兵ほへい用ようの給きゅう弾だん箱ばこ、KPVT 14.5mm重じゅう機関きかん銃じゅう、PKT 7.62mm同軸どうじく機銃きじゅう。
『コール オブ デューティシリーズ』
『CoD:MW2』
ロシア軍ぐんがAn-124 ルスラーン輸送ゆそう機きから投下とうかしたことが無線むせん中なかにて言及げんきゅうされている。
『CoD:BO』
ハドソンらCIAの工作こうさく員いんがソ連それん軍ぐんから鹵獲ろかくし、使用しようする。
『CoD:BO2』
Mi-8 ヒップやMi-24 ハインドなどとともに登場とうじょう。プレイヤーは、スティンガーミサイルや対戦たいせん車しゃ地雷じらいを用もちいて戦たたかうことになる。
『大だい戦略せんりゃくWEB』
RS国こくのライセンスとして登場とうじょう研究けんきゅうを進すすめることで生産せいさんできる。
『バトルフィールド ベトナム』
北きたベトナム軍ぐんとベトコンの装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃとして登場とうじょうする。水上すいじょう航行こうこうが可能かのう。
『マーセナリーズ』
北朝鮮きたちょうせん反乱はんらん軍ぐんが使用しようする装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそう車しゃとして「BTR」の名称めいしょうで登場とうじょうする。
『メタルギアソリッド ピースウォーカー』
ステージボスとして登場とうじょう。PAとPBの2種しゅが登場とうじょうし、PAは7.62mm機関きかん銃じゅうで、PBは25mm機関きかん砲ほうで武装ぶそうしている。

脚注きゃくちゅう・出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 198. ISBN 978-1-032-50895-5 
  2. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 205. ISBN 978-1-032-50895-5 
  3. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 182. ISBN 978-1-032-50895-5 
  4. ^ Не теряйте мужества - худшее впереди!｜Sep.18th,2011｜Мировое киноискусство понесло тяжелую утрату... ※2020年ねん12月21日にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう
 
ウィキメディア・コモンズには、BTR-60に関連かんれんするメディアがあります。
 
ウィキメディア・コモンズには、BTR-60PとBTR-60PAとBTR-60PBに関連かんれんするメディアがあります。

外部がいぶリンク

編集へんしゅう
 

この項目こうもくは、軍用ぐんよう車両しゃりょうに関連かんれんした書かきかけの項目こうもくです。この項目こうもくを加筆かひつ・訂正ていせいなどしてくださる協力きょうりょく者しゃを求もとめています（プロジェクト:戦車せんしゃ、プロジェクト:軍事ぐんじ／Portal:軍事ぐんじ）。

「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=BTR-60&oldid=102019260」から取得しゅとく