鼻毛
機能
特徴
名称
また、
「
鼻 毛抜 き
鼻毛 のエピソード
夏目 漱石 は、鼻毛 を抜 いて原稿 用紙 に植 え込 む癖 があった。この鼻毛 の生 えた書 き損 じの原稿 は、漱石 の弟子 の一人 である内田 百間 が保管 していたが、第 二 次 世界 大戦 中 に空襲 で焼失 してしまったため現存 しないという(第 三 随筆 集 『無 絃琴』所収 「漱石 遺 毛 」)。加賀 藩 三 代目 当主 の前田 利常 は、加賀 百 万 石 を徳川 幕府 によるお取 り潰 しから護 るために、自分 に謀反 の疑 いがかけられた時 、わざと鼻毛 を伸 ばしてバカ殿 を装 った。国際 標準 化 機構 (ISO) によって、痛 みの統一 単位 「ハナゲ (hanage) 」が制定 され、「長 さ1センチメートルの鼻毛 を鉛直 方向 に1ニュートンの力 で引 っ張 り、抜 いたときに感 じる痛 み」が「1ハナゲ」と定義 された……というチェーンメールがある。これはジョークサイトであるやゆよ記念 財団 において1995年 に発表 されたもので、一時期 都市 伝説 めいたチェーンメールとしてネット上 に広 まった。詳細 は痛 みの基準 はハナゲの項 を参照 。- ある
声優 のグラビア写真 において、顔 のアップの一 枚 で鼻毛 が出 ていた(ように見 えた)ため、一時期 話題 になったことがある。 - 「トリビアの
泉 」で女 に甘 い様 を指 す「鼻毛 」な主人公 が登場 する漫画 として、『いちご100%』が紹介 された。主人公 が「鼻毛 真 拳 」の体得 者 である『ボボボーボ・ボーボボ』を差 し置 いて、ラブコメである『いちご100%』が「鼻毛 漫画 」として紹介 されたことが、掲載 誌 「週刊 少年 ジャンプ」読者 の間 で話題 になった。 日本人 の姓 の中 には、「鼻毛 」という苗字 が存在 する。- 『
文藝 』の編集 長 だった坂本 一 亀 は膨大 な量 の生 原稿 (持込 原稿 を含 む)を読破 する超 人的 な仕事 ぶりで知 られた。ある作家 は、坂本 が本当 にそれらを読破 しているか否 か疑 ったが、あるとき原稿 を調 べてみると、ところどころに坂本 が読 みながら抜 いたと思 われる鼻毛 が挟 まっているのを発見 し、降参 したという[2]。 大阪 府議会 (平成 21年 9月 定例 府議会 )において、大阪 府 庁舎 をWTCへ移転 する条例 案 の審議 中 、ある議員 が代表 質問 で「WTCは換気 が悪 くて鼻毛 が伸 びる」と発言 し、鼻毛 論争 が勃発 した。
文学 ・漫画 の中 の鼻毛
文学
夏目 漱石 の小説 『吾輩 は猫 である』で猫 の主人 となる苦 沙弥 先生 は、作者 と同 じく鼻毛 を抜 いて原稿 用紙 に植 え付 ける癖 があり、別 のところでは白髪 の鼻毛 を見 せて妻 を追 っ払 うシーンがある。短編 『硝子 戸 の中 』でも鼻毛 を抜 くシーンがあり、漱石 は最 も鼻毛 にこだわりを持 つ文学 者 と言 えよう。正岡子規 の『萬葉集 を讀 む』には、歌 で韻律 を重要 視 する文法 至上 主義 は、感情 を制 する弊害 があり、文法 の例 には歌 を引 く学者 を揶揄 した上 で、矛先 は文法 御用 歌人 に向 かう。そこには鼻毛 を使 った秀逸 な揶揄 表現 がある。「但 文法 の例 に引 かるゝやうな歌 をつくりて滿足 し居 る歌人 の鼻毛 こそ海士 が引 く千尋 繩 (ちひろたくなは)よりも長 かめれと氣 の毒 に思 はるゝなり。」- 1920
年 に『赤 い鳥 』に掲載 された、宮原 晃一郎 『漁師 の冒険 』には、おかしみのあるファンタジーの道具 として鼻毛 が登場 する。漁師 である仙 蔵 と次郎 作 が、巨人 の島 に流 され、スイカを食 べる。スイカ畑 で二人 をとらえた巨人 の孫 とおじいさんであったが、ある日 おじいさんが孫 にこう提案 したことから、もうひとつの漁師 たちの冒険 が始 まる。「これ/\孫 や、俺 (わし)にお前 の虫 を貸 してくれまいか。」「おぢいさん、貸 してあげてもいゝですが、何 をなさるんですか?」「あのね、あの虫 は大変 賢 いだらう。だから俺 (わし)の鼻 の孔 (あな)に沢山 毛 が生 えて、垢 (あか)もついてゐるから、毛 をかつたり垢 を掃除 したりさせるのだよ。」 夢野 久作 の随筆 『鼻 の表現 』には、「鼻毛 が長 い」「鼻毛 をよむ」「鼻毛 を勘定 する」など、鼻毛 のほか、鼻 という部位 を使 った慣用 句 をユーモラスに綴 っている。夢野 久作 『超人 鬚 野 博士 』の「惜 しい鼻柱 」には、鬚 野 博士 がバレンチノ似 の若 い色男 医学 士 ・羽 振 とのユーモラスな鼻毛 論争 の末 、鼻柱 を引 っ剥 がす。以下 、抜粋 引用 。「ウン。成 る程 のう……ところで加賀 の国 の何 代目 かの殿様 は、家老 や奥 女中 から笑 われるのも構 わずに鼻毛 を一寸 以上 伸 ばして御座 ったという話 だが、アレは君 が教 えたのか」(中略 )「よく知 らん知 らんと云 うのう。それじゃ鼻毛 のよく伸 びる奴 は、大 てい女好 きで長生 きをするものだが……俺 なんかは無論 、例外 だが……アレはやっぱりホルモンの関係 じゃないのか」「サア、わかりませんが。研究 中 ですから……」「そんな研究 ではアカンぞ」「ヘエ、相 済 みません」(中略 )「成 る程 、君 はその方 の専門 だったね、失敬 失敬 。今 の鼻毛 の話 よ。鼻毛 は健康 の礎 (もとい)……ホルモンのメートルだという……」宮本 百合子 『氷 蔵 の二 階 』にあるのは、鼻 毛抜 きに関 する徹底的 なリアリズム。「眺 め飽 きると、志野 は手 を延 し、脇 の小棚 から懐中 鏡 をとり出 した。鏡 を開 いて片手 に持 ち、片方 の指 で頻 りに鼻毛 を抜 き出 した。円 いくくれた顎 をつき出 し、一心 に目 を据 えてぐっと引張 るが、なかなか抜 けて来 ない。気合 をこめて引張 っては擽 ったそうな顔 をする。房 が到頭 ふき出 した。」(三 )小熊 秀雄 の詩 『初雪 の朝 』には、「鼻毛 をくすぐるほどの柔 かい風 に吹 かれて」という、ユーモラスな表現 がある。(『詩集 (1)初期 詩篇 』)太宰 治 が『日本 永代 蔵 』巻 五 の五 、三 匁 五 分 曙 (あけぼの)のかねを翻案 した『新釈 諸国 噺 』の『破産 』では、女房 が放蕩 夫 へ、悋気 混 じりにこう痛罵 する。「あたしの田舎 の父 は、男 というものは野良 姿 (のらすがた)のままで、手足 の爪 (つめ)の先 には泥 (どろ)をつめて、眼 脂 (めやに)も拭 (ふ)かず肥 桶 (こえおけ)をかついでお茶屋 へ遊 びに行 くのが自慢 だ、それが出来 ない男 は、みんな茶屋 女 の男 めかけになりたくて行 くやつだ。(中略 )くやしかったら肥 桶 をかついでお出掛 けなさい、出来 ないでしょう、なんだいそんな裏 だか表 だかわからないような顔 をして、鏡 をのぞき込 んでにっこり笑 ったりして、ああ、きたない、そんな事 をするひまがあったら鼻毛 でも剪(つ)んだらどう?伸 びていますよ、くやしかったら肥 桶 をかついで」
漫画
澤井 啓 夫 のギャグ漫画 『ボボボーボ・ボーボボ』の主人公 ・ボーボボは鼻毛 を伸 ばして自在 に操 り、敵 を倒 す鼻毛 真 拳 (北斗 神 拳 のパロディ)の使 い手 である。なお、読 み切 り版 では「鼻毛 "神 "拳 」となっていた。他 に「我流 鼻毛 真 拳 」「ワキ毛 真 拳 」「バビロン真 拳 」などのバリエーションもある。赤塚 不二夫 のギャグ漫画 『天才 バカボン』のバカボンのパパは、鼻 の下 に鼻毛 とも髭 ともつかぬ放射線状 の毛 をたくわえている。原作 では、表紙 で本人 がはっきりと「これは鼻毛 ではなくヒゲですのだ」と明言 している回 がある。- Moo.
念 平 の漫画 『あまいぞ!男 吾 』で、主人公 ・巴 男 吾 は大文字 学園 中学 に入学 するが、始業 式 から10日 も遅刻 してしまった。父親 が鼻毛 を抜 きつつ入学 の日取 りの書 いてある書類 を読 んでいたため、鼻毛 が一本 、月日 のところに付 いて、入学 日 を見 間違 えてしまったのである。(4月 3日 が始業 式 、という部分 に1本 鼻毛 が落 ち、3の隣 に落 ちたため13日 、と間違 えた) - つげ
義春 の短編 漫画 作品 『チーコ』では、同居 している漫画 家 の青年 と水商売 に勤 めている女性 のカップルが文鳥 を飼 うエピソードが綴 られているが、その中 で文鳥 がキスしてきた女性 の鼻毛 を嘴 でむしり取 り、青年 が「女 にも鼻毛 が生 えている」と驚愕 するシーンがある。
鼻毛 の表現
「
鼻毛 が長 い女 の色香 に迷 っているさま。鼻毛 を伸 ばす、鼻毛 が伸 びる女 に甘 く、でれでれしている様 。「鼻 の下 を伸 ばす」に近 いか。鼻毛 を読 む、鼻毛 を数 える女 が自分 に溺 れている男 のだらしない様 を見抜 いて、思 うままにもてあそぶこと。鼻毛 で蜻蛉 を釣 る鼻毛 を長 く伸 ばしているたとえの他 に、「阿呆 の鼻毛 で蜻蛉 をつなぐ」などのように阿呆 を強調 する表現 にもなる。鼻毛 を抜 く文字通 りの意味 の他 に、「生 き馬 の目 を抜 く」と似 た意味 で他者 を出 し抜 くことを指 すこともある。鼻毛 通 し- 「
端 毛 通 し」とも。日本 刀 の柄 頭 にかぶせた金物 にあいた、緒 を通 すための穴 のこと。
鼻毛 のついた地名
宮城 県 仙台 市 泉 区 実沢 字 鼻毛 。鼻毛 橋 、鼻毛 橋 バス停 がある。(紀行 文 )福島 県 福島 市 飯坂町湯野 字 鼻毛 (地図 )福島 県 相馬 市 尾浜 字 牛 鼻毛 地図 ・紀行 文 )群馬 県 前橋 市 鼻毛石 町 (地図 、紀行 文 )新潟 県 上越 市 大島 区 の「鼻毛 峠 」 (地図 )
鼻毛 のついた書名
短編 『大 鼻毛 』尾崎 紅葉 著 (『紅葉 全集 』第 5巻 (岩波書店 )に収録 )短編 『鼻毛 』出 久根 達郎 著 (短 編集 『お楽 しみ』(新潮社 )に収録 )短編 『鼻毛 』阿 刀 田高 著 (短 編集 『消 えた男 』(角川書店 )に収録 )短編 『月 の輪 鼻毛 』山岡 荘八 著 (『山岡 荘八 全集 』第 36巻 (講談社 )に収録 )- 『
鼻毛 を伸 ばした赤 ん坊 』稲上 説 雄 著 (審美 社 ) - 『ABC
文体 鼻毛 のミツアミ』嵐山 光三郎 著 (講談社 ) - 『キミは
他人 に鼻毛 が出 てますよと言 えるか』北尾 トロ著 (鉄人 社 ) - 『
音曲 鼻毛 ぬき』耳 鳥 斎 著 (『随筆 文学 選集 』第 6巻 (書斎 社 )に収録 ) 狂言 『音曲 鼻 毛抜 』(『雑 芸 叢書 第 2』(国書刊行会 )に収録 )
鼻毛 のついた曲名
- 『ハナゲの
唄 』作詞 ・作曲 :ひがしのひとし、歌 :ソルティー・シュガー - 『
鼻毛 がちょっととびだしている。』歌 :Funta - 『
君 のハナ毛 は長 い』作詞 ・作曲 :財津 和夫 歌 :チューリップ、ライブ盤 『LIVE!! ACT TULIP Vol.2』収録 - 『
鼻毛 ボー』歌 :ジョンジョリーナ・アリー
出典
- ^ a b フジテレビトリビア
普及 員 会 編 『トリビアの泉 ~へぇの本 ~素晴 らしきムダ知識 』Ⅲ、講談社 、2003年 12頁 ISBN 9784063527049 - ^
櫻井 秀 勲 『戦後 名 編集 者 列伝 -売 れる本 づくりを実践 した鬼才 たち』編 書房 、2003年 、135頁 ISBN 9784434030116