(Translated by https://www.hiragana.jp/)
死神 (日本) - Wikipedia コンテンツにスキップ

死神しにがみ (日本にっぽん)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去かこはんです。逃亡とうぼうしゃ (会話かいわ | 投稿とうこう記録きろく) による 2012ねん9がつ29にち (土) 19:42個人こじん設定せってい設定せっていならUTC時点じてんはん (あたらしいページ: 死神しにがみ#日本にっぽんにおける死神しにがみ加筆かひつ予定よていでしたが加筆かひつぶんだけで死神しにがみばいのサイズにふくがりバランスがわるいので独立どくりつ記事きじとしてきました)であり、現在げんざいはんとはおおきくことなる場合ばあいがあります。

死神しにがみ(しにがみ)は、人間にんげんさそう、または人間にんげんこさせるとされるかみ[1]ほんこうでは日本にっぽん宗教しゅうきょう古典こてん民間みんかん信仰しんこう大衆たいしゅう文化ぶんかにおける死神しにがみについて記述きじゅつする。日本にっぽん以外いがい神話しんわ民間みんかん伝承でんしょううえ死神しにがみについては死神しにがみ参照さんしょう

日本にっぽん宗教しゅうきょうじょう死神しにがみ

京都きょうと宮津みやづ成相寺せいしょうじ閻魔えんまぞう

仏教ぶっきょうにおいてはにまつわるとして「死魔しま」がある[2]。これが人間にんげんにたくさせる魔物まもので、これにかれると衝動しょうどうてき自殺じさつしたくなるなどといわれ、「死神しにがみ」と説明せつめいされることがある[3]。また仏教ぶっきょう唯識ゆいしき文献ぶんけんである『瑜伽ゆがろん』には衆生しゅじょう死期しきさだめるがある[4]冥界めいかいおうとされる閻魔えんまや、そのしたにいる牛頭ごず馬頭めずなどのおに死神しにがみるいとされることもある[5]

小林こばやしひさしてん瓊をもっ滄海そうかいさぐるの」。ひだりがイザナミ。

神道しんとうでは、日本にっぽん神話しんわにおいてイザナミ人間にんげんあたえたとされており、イザナミを死神しにがみなすこともある[5][6]かみみ#黄泉よみくに参照さんしょう)。

しかしイザナミや閻魔えんまは、西洋せいよう神話しんわのような死神しにがみとはことなるとするかんがえもあり[4][7]仏教ぶっきょうにはかみろんっているために「死神しにがみ」の概念がいねんはないとする見方みかたもある[4]日本にっぽん仏教ぶっきょう信仰しんこうなかされた鬼神きじん怨霊おんりょうなどは、人間にんげんいのちうばうことはあっても、人々ひとびと世界せかいみちびくことだけをつかさどる「死神しにがみ」ではないとする意見いけんもある[7]

人形浄瑠璃にんぎょうじょうるりでの死神しにがみ

日本にっぽん古典こてんにおいては死神しにがみ一般いっぱんてきではなかったらしく、記述きじゅつすくないが[8]江戸えど時代じだいはいると、近松ちかまつ門左衛門もんざえもんによる心中しんちゅうのをテーマにした人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり古典こてん書籍しょせきに「死神しにがみ」のられる。

近松ちかまつ宝永ほうえい3ねん1706ねん上演じょうえんの『心中しんちゅうのまい絵草紙えぞうし』では、心中しんちゅうのさそわれる男女だんじょが「死神しにがみみちびみちや……」とかれており[9]宝永ほうえい6ねん1709ねん上演じょうえんの『心中しんちゅうのこおり朔日さくじつ』では、男性だんせい心中しんじゅうしようとした女性じょせいが「死神しにがみさそいのちのはかなさよ」とかたっている[10]。これらは、死神しにがみ存在そんざいによって男女だんじょ心中しんちゅうのいたることをっているのか、それとも心中しんちゅうの様子ようす死神しにがみにたとえたのかはあきらかになっておらず[5]、「死神しにがみ」という単語たんごもちいることでなまのはかなさを表現ひょうげんしているとの解釈かいしゃくもある[11]

ほかにも、やはり近松ちかまつ作品さくひんとおる5ねん1720ねん上演じょうえんの『心中しんちゅうの天網てんもうとう』に「あるともしらぬにがみに、さそわれくも……」とある。これは登場とうじょう人物じんぶつ商売しょうばい紙屋かみやであることから「かみ」と「かみ」をかけ、直面ちょくめんする人物じんぶつしん表現ひょうげんしたものとかんがえられているが[12][13]文面ぶんめんのとおり「あるともしらぬ死神しにがみに」と解釈かいしゃくし、作者さくしゃ近松ちかまつ本人ほんにんが、死神しにがみ存在そんざいするとかんがえていなかったとする見方みかたもある[5]

古典こてん文学ぶんがくでの死神しにがみ

絵本えほんひゃく物語ものがたりより「死神しにがみ」。竹原たけはらはるいずみひとし

江戸えど時代じだい古典こてん文学ぶんがくには、人間にんげんり憑く死神しにがみかたられている。天保てんぽう12ねん1841ねん)の奇談きだんしゅう絵本えほんひゃく物語ものがたり』には「死神しにがみ」の奇談きだんがあるが、これは悪念あくねん死者ししゃが、生者しょうじゃ悪念あくねん呼応こおうしてそのものしきところにみちびくものとされ、これにより殺人さつじんのあった場所ばしょでは同様どうよう事件じけんき、くびつり自殺じさつのあった場所ばしょではまたおな自殺じさつがあるなど[14]人間にんげんにたくなるように仕向しむけるもののようなものとされる[8][15]。これにちかいものに、幕末ばくまつ随筆ずいひつ反古ほごのうらがき』において人間にんげんくびつり自殺じさつをしたくなるよう仕向しむけたとされる「縊鬼(いつき)」や、民間みんかん信仰しんこうにおけるものである「餓鬼がき憑き」「ななにんミサキ」などがある[4]

江戸えど時代じだい後期こうき随筆ずいひつ作者さくしゃ三好みよしそうやまによるよしみひさし3ねん1850ねん)の随筆ずいひつそうやま著聞ちょぶんしゅう』のうちの「がみづけたるとうんうそともうんかたこと」は、死神しにがみひょういた女郎じょろうおとこ心中しんちゅうのさそはなしであり[1][16]河竹かわたけ黙阿弥もくあみによる明治めいじ19ねん1886ねん上演じょうえん歌舞伎かぶきめくら長屋ながやうめ加賀かがとんび』も、人間にんげん思考しこうなか死神しにがみはいみ、そのもの自分じぶんおかした悪事あくじおもこしてにたくなるというはなしである[17]。これらはかみよりも幽鬼ゆうき(ゆうき:亡霊ぼうれい幽霊ゆうれいのこと[18])、または悪霊あくりょうちかいものとかんがえられている[5]

三遊亭圓朝さんゆうていえんちょうによる古典こてん落語らくご演目えんもくに『死神しにがみ』があるが、これは日本にっぽん独自どくじかんがえられたものではなく、イタリア歌劇かげきくつちょくクリスピノ』(en)[19]、またはグリム童話どうわ死神しにがみ名付なづおや』の翻案ほんあんかんがえられている[20]

民間みんかん信仰しんこうじょう死神しにがみ

戦後せんご民間みんかん信仰しんこうにおいても「死神しにがみ」はかたられている。熊本くまもとけん宮地みやじまち習俗しゅうぞくでは、夜伽よとぎかえものは、かならちゃめしいちはいくえしてなければならず、これをおこたると死神しにがみかれるといわれる[21]

静岡しずおかけん浜松はままつ地方ちほうでは、さんうみ、または鉄道てつどうひとんだ場所ばしょくと死神しにがみり憑くという。そのような場所ばしょでの死者ししゃにはばん(しにばん)というものがあり、つぎ死者ししゃないかぎり、いくら供養くようされてもかばれないので、から生者しょうじゃ死者ししゃまねかれるといわれている[1]。また、彼岸ひがん墓参はかまいりはりの中日ちゅうにちおこなうのが一般いっぱんてきだが、岡山おかやまけんでは彼岸ひがんけのまいると死神しにがみかれるという。またりのまいったさいにはけのにもまい必要ひつようがあり、かたさん(かたまい)りをすると死神しにがみり憑くという[1]。こうした俗信ぞくしん背景はいけいには、まつしゅのない死者ししゃ亡霊ぼうれい仲間なかまもとめてひとさそうというかんがかたがあったとかんがえられている[1]

近代きんだい大衆たいしゅう文化ぶんかでの死神しにがみ

戦後せんご西洋せいよう死神しにがみ観念かんねん日本にっぽんはいってきたことで、死神しにがみ人格じんかく存在そんざいとしてかたられるようになり[4]フィクション作品さくひん題材だいざいになることもおおくなっている。昭和しょうわでは『ゲゲゲの鬼太郎おにたろう』をはじめとする水木みずきしげる漫画まんが作品さくひん登場とうじょうする死神しにがみられており、1979ねんのテレビドラマ『日本にっぽん名作めいさく怪談かいだん劇場げきじょう』では歌舞伎かぶき役者やくしゃ中村なかむら鴈治郎がんじろう死神しにがみえんじている[15]平成へいせい以降いこうでは『DEATH NOTE』『BLEACH』『死神しにがみ精度せいど』などの漫画まんがアニメ小説しょうせつ作品さくひんでしばしば作品さくひん自体じたいのテーマとしてもちいられており[22]、『しん女神めがみ転生てんせい』『ファイナルファンタジーシリーズ』『ドラゴンクエストシリーズ』などのゲーム作品さくひん登場とうじょうすることもおお[22]

脚注きゃくちゅう

  1. ^ a b c d e 大藤おおふじ1986ねん、100ぺーじ
  2. ^ 中村なかむらはじめこうせつ佛教ぶっきょうだい辞典じてんちゅうまき東京書籍とうきょうしょせき、2001ねん、720ぺーじISBN 978-4-487-73177-0 
  3. ^ 大栗おおぐりどうさかえ図説ずせつおもむきけい入門にゅうもん 密教みっきょう核心かくしん鈴木すずき出版しゅっぱん、1997ねん、101ぺーじISBN 978-4-7902-1074-0 
  4. ^ a b c d e 多田ただ1997ねん、127-128ぺーじ
  5. ^ a b c d e ななかい2009ねん、168-193ぺーじ
  6. ^ 河野こうの信子のぶこへんおんなおとこ時空じくう』 1かん藤原ふじわら書店しょてん、1995ねん、115ぺーじISBN 978-4-89434-022-0 
  7. ^ a b 木村きむら2007ねん、141ぺーじ
  8. ^ a b 村上むらかみ2005ねん、166-167ぺーじ
  9. ^ 近松ちかまつ、76ぺーじ
  10. ^ 近松ちかまつ、266ぺーじ
  11. ^ スズキトモユ (2005ねん7がつ4にち). “日刊にっかん! ニュースな本棚ほんだな”. エキサイト. 2012ねん9がつ22にち閲覧えつらん
  12. ^ 近松ちかまつ、424ぺーじ
  13. ^ 近松ちかまつ世話せわ浄瑠璃じょうるり”. 文化ぶんかデジタルライブラリー. 日本にっぽん芸術げいじゅつ文化ぶんか振興しんこうかい (2010ねん). 2012ねん9がつ22にち閲覧えつらん
  14. ^ 桃山ももやまじん桃山ももやまじん夜話やわ 絵本えほんひゃく物語ものがたり角川書店かどかわしょてん角川かどかわソフィア文庫ぶんこ〉、2006ねん、131ぺーじISBN 978-4-04-383001-5 
  15. ^ a b 村上むらかみ2000ねん、69ぺーじ
  16. ^ 三好みよしそうやま ちょそうやま著聞ちょぶんしゅう」、谷川たにがわ健一けんいちへん へん日本にっぽん庶民しょみん生活せいかつ史料しりょう集成しゅうせいだい16かんさんいち書房しょぼう、1970ねん、81-83ぺーじNCID BN02048386 
  17. ^ 河竹かわたけ黙阿弥もくあみ河竹かわたけ黙阿弥もくあみしゅうだい12かん戸板といた康二こうじ監修かんしゅう東京とうきょうそう元新もとしんしゃ名作めいさく歌舞伎かぶき全集ぜんしゅう〉、1970ねん、218ぺーじISBN ISBN 978-4-488-02512-0{{ISBN2}}のパラメータエラー: 無効むこうISBNです。 
  18. ^ 松村まつむらあきらへん大辞林だいじりん』(だい3はん三省堂さんせいどう、2006ねん、2579ぺーじISBN 978-4-385-13905-0 
  19. ^ 永井ながいあきらおっと三遊亭円朝さんゆうていえんちょう』(新装しんそうばん青蛙あおがえるぼう青蛙あおがえる選書せんしょ〉、2011ねん、271-272ぺーじISBN 978-4-7905-0875-5 
  20. ^ 北村きたむら正裕まさひろ死神しにがみのメルヘン グリム童話どうわ日本にっぽん落語らくご」『駿台すんだいフォーラム』だい18ごう駿台予備学校すんだいよびがっこう、2000ねん8がつ、54-68ぺーじ 
  21. ^ 八木はちぼくさん熊本くまもとけん宮地みやじまち地方ちほう」『たび伝説でんせつだい6ねん7がつごうさんげんしゃ、1933ねん7がつ、178ぺーじ 
  22. ^ a b ななかい2009ねん、3ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん