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アレクサンドリアのクレメンス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
アレクサンドリアのせいクレメンス
教父きょうふ
生誕せいたん 150ねん?
マ帝国まていこく
ギリシア
アテナイ
死没しぼつ 215ねん?
マ帝国まていこく
エルサレム
崇敬すうけいする教派きょうは 東方とうほうしょ教会きょうかい
東方とうほう典礼てんれいカトリック教会きょうかい
アングリカン・コミュニオン
記念きねん 12月4にち/12月5にち
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アレクサンドリアのクレメンスあるいはティトゥス・フラウィウス・クレメンス(Titus Flavius Clemens, 150ねん? - 215ねん?)は、2世紀せいき人物じんぶつで、初期しょきキリスト教きりすときょう代表だいひょうする神学しんがくしゃ一人ひとりエジプトアレクサンドリア活躍かつやくしたためこのばれるが、エジプト出身しゅっしんではなくギリシアアテナイ出身しゅっしんかんがえられている。ギリシア教父きょうふばれる一群いちぐん神学しんがくしゃ一人ひとりで、オリゲネスとならんでアレクサンドリア学派がくは代表だいひょうてき神学しんがくしゃである。

生涯しょうがい

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なま没年ぼつねんふくめてクレメンスの生涯しょうがいについてはほとんどられていない。しかし、かれ著作ちょさくストロマテイス』の記述きじゅつ流麗りゅうれいなギリシア文体ぶんたい、ギリシア古典こてんふか知識ちしきなどからアテネの裕福ゆうふく家庭かてい出身しゅっしん高等こうとう教育きょういくけていたことがうかがえる。クレメンス自身じしんによれば、ギリシアをて、みなみイタリア、シリア、パレスチナを[1]、エジプトのアレクサンドリアでキリスト教きりすときょう教師きょうしパンタイノス出会であい、かれまなんだ。パンタイノスの死後しごディダスカレイオンといわれるキリスト教きりすときょうおしえる学校がっこうひらいてそこでおしえた。カイサレイアのエウセビオス著書ちょしょ教会きょうかい』のなかで「オリゲネスもクレメンスにまなんだ」としるしている。セプティミウス・セウェルスみかど迫害はくがいのさなかにアレクサンドリアをはなれ、カッパドキアのがれたといわれている。

クレメンスが司祭しさいであったかどうかもさだかではない。エウセビオスはクレメンスが「長老ちょうろう」であったとしるしているが、長老ちょうろうというのが教会きょうかいにおける職階しょっかい意味いみするのか、たんなる敬称けいしょうなのかがさだかではないからである。

思想しそうてき特徴とくちょう

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クレメンスの思想しそう特徴とくちょうは、ギリシア哲学てつがく文学ぶんがくがキリストきょう人々ひとびとみちびくために存在そんざいしたとかんがえ、その思想しそうてき遺産いさんをキリストきょう継承けいしょうしようとしたことにある。これはプラトンとギリシア思想しそう精通せいつうしたクレメンスならではの発想はっそうであり、とくロゴス=キリストであるとした「ロゴス・キリストろん」は、ギリシア思想しそうとキリストきょう神学しんがくむすびつけ、以降いこうキリスト教きりすときょう神学しんがく発展はってんおおきな貢献こうけんをするものとなった。

ユスティノスもロゴス・キリストろん展開てんかいしたが、両者りょうしゃおおきなちがいは、ユスティノスキリスト教きりすときょう真理しんりせい異教徒いきょうとしめすためにロゴスろんもちいたのにたいして、クレメンスは、キリスト教徒きりすときょうとたちが哲学てつがく真理しんりせい理解りかいするようになるためにロゴスろんもちいたことである。[2]

著作ちょさくなかに、クレメンスの博学はくがくさが披露ひろうされている。また、著作ちょさく特徴とくちょうとして、旧約きゅうやく聖書せいしょ新約しんやく聖書せいしょ引用いんようだけではなく、ギリシャの哲学てつがくしゃ詩人しじんげき作家さっか史家しかからの引用いんようがある。[3]また、ギリシャ哲学てつがくはヘブライじん書物しょもつからきょうせつ剽窃ひょうせつした、とべ、剽窃ひょうせつしたきょうせつろんじていもいる。[3]

神学しんがく

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異端いたんへの反論はんろん

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ストロマテイスだい5かんには、初期しょきのグノーシス主義しゅぎ教師きょうし、バシレイデースへの反論はんろんふくまれている。また、だい7かん異端いたんについての反論はんろんがあり、「かれらは敬虔けいけんとは程遠ほどとおく、かみおきて、すなわち聖霊せいれいたいして不満ふまんらす」といている。


その神学しんがくてき記述きじゅつ

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クレメンスは旧約きゅうやく聖書せいしょ有名ゆうめい箇所かしょ引用いんようし、かみ到来とうらいについて説明せつめいしている。

「この「ほう」(いずるエジプト 3:14)、このほうは、にくよわさのゆえに、れることのできないものどもにはられることがない。むしろこのほうが、感覚かんかくしうる身体しんたいり、おきてへの聴従ちょうじゅうによって人間にんげんたちにしうることをしめすために到来とうらいしたのである[4]

「ギリシャ哲学てつがくによって哲学てつがくごうんだとしても、キリストをとおして真理しんりまなび、すくわれなければならないのである[3]」とべ、この根拠こんきょとしてエフェソ3:5を引用いんようしている。

また、せいなるさんについてかたっている箇所かしょもある。

「すなわり聖霊せいれいだいさんであり、だいであり、このとおし、ちち意向いこうしたがって「すべてがった(ヨハネ1:3)」のである[3]

クレメンスは、はじめげん唯一ゆいいつかどうかについて言及げんきゅうし、ギリシャじん代表だいひょうとしてプラトンのティマイオスから引用いんようし、自分じぶん思想しそう証言しょうげんしゃとしている。

万物ばんぶつ唯一ゆいいつなるはじめげんまれざるものである。もしまれたものであるとすすれば、それはすでにはじめげんではなく、そこからはじめげんしょうじたところのものであろう[3]

そして、このはじめげんについて、「万物ばんぶつはじめげんであるかみすくぬしばれる(コロサイ 1:18)[3]」と新約しんやく聖書せいしょ引用いんようしながらいている。

著作ちょさく

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現存げんそんする著作ちょさく

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  • さんさく
    • プロトレプティコス(ギリシアじんへの勧告かんこく)』195ねん
    • ストロマテイス綴織つづれおり)』198ねん-203ねん
    • 『パイダゴーゴス(訓導くんどうしゃ)』198ねん
  • 『テオドトスからの抜粋ばっすい
  • すくわれる富者ふしゃとはだれであるか』

著作ちょさく日本語にほんごやく

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訳書やくしょ

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  • 『キリストきょう教父きょうふ著作ちょさくしゅう だい4かん1 アレクサンドリアのクレメンス1』 秋山あきやままなぶやくきょうぶんかん, 2018ねん1がつ
    • 『ストロマテイス(綴織つづれおり)』1
  • 『キリストきょう教父きょうふ著作ちょさくしゅう だい4かん2 アレクサンドリアのクレメンス2』 秋山あきやままなぶやくきょうぶんかん, 2018ねん5がつ
    • 『ストロマテイス(綴織つづれおり)』2
  • 『キリストきょう教父きょうふ著作ちょさくしゅう だい5かん アレクサンドリアのクレメンス3』 秋山あきやままなぶやくきょうぶんかん, 2022ねん9がつ
    • 『パイダゴーゴス(訓導くんどうしゃ)』、『プロトレプティコス(ギリシアじんへの勧告かんこく)』、『テオドトスからの抜粋ばっすい』、『預言よげんしょ撰文せんぶんしゅう』、『すくわれる富者ふしゃとはだれであるか』、「断片だんぺんしゅう
  • 中世ちゅうせい思想しそう原典げんてん集成しゅうせい だい1かん 初期しょきギリシア教父きょうふ平凡社へいぼんしゃ、1995ねん
    • 抄訳しょうやく『ストロマテイス』(283-416ぺーじ)、『すくわれる富者ふしゃだれか』(417-466ぺーじ秋山あきやままなぶやく

わけ稿こう

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  • 『プロトレプティコス』(『ギリシアじんへの勧告かんこく』)ぜん1かん全訳ぜんやくばん
    • 秋山あきやままなぶやく文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう 文藝ぶんげいへん (57):1-82, 2010
  • 『ストロマテイス』(『綴織つづれおり』)ぜん8かん全訳ぜんやくばん
    • だい1かん文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう. 文藝ぶんげいへん (63):63-163, 2013
    • だい2かん文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう. 言語げんごへん (63):147-223, 2013
    • だい3かん古典こてん古代こだいがく (5):27-93, 2012
    • だい4かん文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう. 文藝ぶんげいへん (65):77-158, 2014
    • だい5かん文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう. 言語げんごへん (66):57-148, 2014
    • だい6かん文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう. 言語げんごへん (65):41-136, 2014
    • だい7かん古典こてん古代こだいがく (6):35-113, 2013
    • だい8かん文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう. 文藝ぶんげいへん(66):87-115, 2014
  • 『パイダゴーゴス』(『訓導くんどうしゃ』)、秋山あきやままなぶやくぜん3かん全訳ぜんやくばん
    • だい1かん文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう 文藝ぶんげいへん (59):1-62, 2011
    • だい2かん文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう 言語げんごへん (59):1-74, 2011
    • だい3かん古典こてん古代こだいがく (3):25-76, 2010
  • 『テオドトスからの抜粋ばっすい秋山あきやままなぶやく文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう(68):31-62, 2015。全訳ぜんやくばん
  • すくわれる富者ふしゃとはだれであるか』
    • すくわれる富者ふしゃとはだれであるか』 秋山あきやままなぶやく文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう. 文藝ぶんげいへん (67):51-87, 2015
  • 断片だんぺんしゅう秋山あきやままなぶやく文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう(69):19-58, 2016
  • 預言よげんしょ撰文せんぶんしゅう秋山あきやままなぶやく文藝ぶんげい言語げんご研究けんきゅう(68):183-203, 2015

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Kirisutokyōshi. Eizō. Kikuchi, Shinji Kikuchi, 榮三えいざ 菊地きくち, 伸二しんじ きく. Tōkyō: Kyōbunkan. (2005). ISBN 4-7642-7248-2. OCLC 676238030. https://www.worldcat.org/oclc/676238030 
  2. ^ González, Justo L. (2002.6-2003.5). Kirisutokyoshi. Manabu Ishida, がく 石田いしだ. Tokyo: Shinkyo shuppansha. ISBN 4-400-22114-8. OCLC 123037046. https://www.worldcat.org/oclc/123037046 
  3. ^ a b c d e f 中世ちゅうせい思想しそう原典げんてん集成しゅうせい だい1かん 初期しょきギリシア教父きょうふ平凡社へいぼんしゃ、1995ねん2がつ6にち 
  4. ^ 秋山あきやままなぶ. “アレクサンドリアのクレメンス『ストロマテイス』 だい7かん”. 筑波大学つくばだいがく. 2022ねん5がつ14にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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