イニング

イニング（英えい: inning（野球やきゅうなど）、innings（クリケット））は、スポーツ、特とくに野球やきゅう・ソフトボール・クリケット・ビリヤードにおいて、攻撃こうげきを行おこなう間あいだの試合しあいの部分ぶぶんである。

他たの多おおくのスポーツでは、試合しあいの長ながさは、それぞれのスポーツのルールによって定さだめられた時間じかんが経過けいかする、または一方いっぽうのチームが規定きていの得点とくてんを取とるまで、ボールまたは同おなじような用具ようぐを使つかうことによって攻撃こうげきと防御ぼうぎょの役割やくわりが活動かつどう的てきに入いれ替かわる。しかし、冒頭ぼうとうに挙あげた3つの競技きょうぎでは、1つのチームは攻撃こうげき側がわとして点数てんすうを取とることを試こころみ（どちらのスポーツでも得点とくてんとなる）、もう1つのチームは守備しゅび側がわとして攻撃こうげきを行おこなうチームの得点とくてんを防ふせぎ、アウトを獲得かくとくする。守備しゅび側がわのチームが決きめられた数かずのアウトを取とった場合ばあいに攻守こうしゅを交代こうたいし、経過けいか時間じかんとは関係かんけいなく試合しあいが進行しんこうする。

野球やきゅう

野球やきゅうにおけるイニングは日本語にほんごでは「回かい（かい）」と呼よばれる。「表ひょう（おもて、英語えいごではtop）」と「裏うら（うら、bottom）」の2つから構成こうせいされる（厳密げんみつに言いえば「表ひょう (top)」「表裏ひょうりの間あいだ (middle)」「裏うら (bottom)」「回かいの終おわり (end)」の4つ）。それぞれ、一方いっぽうのチームが3つのアウトを取とられるまで攻撃こうげき（バッティング）を行おこない、他方たほうのチームは守備しゅびを行おこなう。1つのイニングは6つのアウト、各かくチームに3つずつのアウトから構成こうせいされる。先攻せんこうチームは常つねにイニングの最初さいしょである「表ひょう」に攻撃こうげきを行おこない、後こう攻おさむチームは常つねに「裏うら」に攻撃こうげきを行おこなう。メジャーリーグや日本にっぽんプロ野球やきゅうなどでは、ビジターチームが先攻せんこう、ホームチームが後こう攻おさむとされている。

野球やきゅうの得点とくてんは試合しあい中ちゅうに減点げんてんされることはなく（ルールによって得点とくてんが取とり消けしになった場合ばあいを除のぞく）、攻守こうしゅが明確めいかくに分わかれているため、先攻せんこうチームの攻撃こうげき終了しゅうりょう時点じてんか後こう攻おさむチームの攻撃こうげき中ちゅうに後こう攻おさむチームがリードしている（相手あいてチームより多おおくの得点とくてんを取とっている）場合ばあいには、後こう攻おさむチームの攻撃こうげき（攻撃こうげき終了しゅうりょう）を待またずにイニングが成立せいりつする。

よって、最終さいしゅうイニング（多おおくの場合ばあい最終さいしゅうイニングは9回かいであるが、ルールにより異ことなることがある（ソフトボール・少年しょうねん野球やきゅうの多おおくは7回かい。リトルリーグ・ボーイズリーグ小学生しょうがくせいの部ぶは6回かい））の表ひょうの攻撃こうげきが終了しゅうりょうした時点じてんで後のち攻おさむチームがリードしている場合ばあいには、後こう攻おさむチームの勝利しょうりは確定かくていしていることになり、最終さいしゅう回かい裏うらを行おこなわずに、直ただちに後ご攻おさむチームの勝利しょうり（スコアボードの後のち攻おさむ得点とくてん最終さいしゅう回かい欄らんに対角線たいかくせん (X)、総合そうごう得点とくてん欄らんに後こう攻おさむの総そう得点とくてんとその脇わきにXを記載きさいするので俗ぞくに後こう攻おさむの"X（エックス）勝かち" / 先攻せんこうの"X敗まけ"と呼よばれる。）として試合しあいを終了しゅうりょうする。最終さいしゅうイニングの裏うらが始はじまった時点じてんで同おなじ得点とくてんまたは先攻せんこうチームがリードしていたが、裏うらの攻撃こうげきで後のち攻おさむチームが得点とくてんを挙あげてリードした状態じょうたいになった場合ばあいは、イニングはアウトの数かずに関係かんけいなくその瞬間しゅんかんに完了かんりょうする。これをサヨナラゲームと呼よぶ。また、最終さいしゅう回かい終了しゅうりょう後ごに同おなじ得点とくてんであった場合ばあい、これを以って引ひき分わけとする場合ばあいを除のぞき試合しあいは延長えんちょう戦せんとなる。延長えんちょう戦せんにおいては最終さいしゅう回かいと同様どうように、後こう攻おさむチームがリードした時点じてんで直ただちに終了しゅうりょうし後ご攻おさむチームの勝利しょうりとなる。これもサヨナラゲームと呼よぶ。

また、コールドゲームとして試合しあいを打うち切きる場合ばあいも、試合しあい成立せいりつとなる規定きていのイニングまでの成立せいりつ要件ようけん（得点とくてん差さによる場合ばあいはかつ規定きてい以上いじょうの得点とくてん差さ）を満みたしている必要ひつようがある。

• 日本にっぽんプロ野球やきゅうでは5回かい、アマチュアの多おおくは7回かいで試合しあい成立せいりつとなるので、後こう攻おさむチームがリードしていれば5 (7) 回かい表ひょう終了しゅうりょう時点じてんで試合しあいが成立せいりつする。

  同点どうてんまたは先攻せんこうチームがリードしている場合ばあい、後こう攻おさむチームが同点どうてんに追おいつくか逆転ぎゃくてんするか、または3アウトが記録きろくされるまではイニングが成立せいりつしない。イニングが成立せいりつしないままコールドゲームとなった場合ばあい、そのイニングの記録きろくは無効むこうとなる（ただし、その前まえの回かいまでの勝敗しょうはいに影響えいきょうしない場合ばあいの記録きろくは有効ゆうこうとなる）。また試合しあい成立せいりつに必要ひつような、規定きていイニングの攻撃こうげきが完了かんりょうせずに試合しあいが打うち切きりとなった場合ばあいは、ノーゲームとなり、その試合しあいそのものが無効むこうとなる。

• 点差てんさによるコールドゲームでは成立せいりつイニング以降いこうの表ひょうの攻撃こうげき終了しゅうりょう時点じてんで点差てんさの規定きていを満みたしていればその時点じてんで試合しあい終了しゅうりょうとなる。また、成立せいりつイニング以降いこうの裏うらの攻撃こうげき中ちゅうにコールド規定きていの点差てんさを満みたした場合ばあいには、サヨナラゲームと同様どうようにその時点じてんで試合しあい終了しゅうりょうとなる（高校こうこう野球やきゅうの地方ちほう大会たいかいでは「5・6回かいで10点てん差さ、7・8回かいで7点てん差さ以上いじょうの場合ばあい」、社会しゃかい人じん野球やきゅうでは「7・8回かいで10点てん差さ以上いじょうの場合ばあい」に適用てきようされるケースが多おおい）。同どう規定きていは主おもにアマチュアを中心ちゅうしんに採用さいようされているが、高校こうこう野球やきゅうの甲子園こうしえん全国ぜんこく大会たいかい（春はる・夏なつとも）、東京とうきょう六ろく大学だいがく野球やきゅうなどの主要しゅよう大学だいがくリーグ、プロ野球やきゅうでは点差てんさによるコールドゲームは採用さいようされておらず、必かならず9回かいまで行おこなわれる。
• 日本にっぽんのプロ野球やきゅうでは試合しあい時間じかん制限せいげんを設もうけていた時期じきがあり、試合しあい開始かいしから一定いってい時間じかんが経過けいかするとその時間じかんが経過けいかした時点じてんでのイニングの完了かんりょうをもってコールドゲームとなっていた（ただし、1971年ねん以降いこうは、時間じかん制限せいげんを理由りゆうとしたコールドゲームは廃止はいしされた）。

関連かんれん項目こうもく

• 投球とうきゅう回かい
• ビッグイニング
• 野球やきゅうの各種かくしゅ記録きろく