球 種 (野球 )
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概要 [編集 ]
これらの
原理 [編集 ]
マグヌス効果 [編集 ]
揚力 の向 きは、スピン角度 の進行 方向 に対 して垂直 な要素 によって決 められる。- スピンがバックスピンの
時 、揚力 は上 方向 へ働 き、投球 の軌道 は一 ・三塁 方向 から見 て直線 に近 い物 となる(直球 )。その直球 に対 して、揚力 を小 さくすることにより、「直球 に対 して落 とす」のがフォークボールの主 な効果 である。直球 のスピンとは逆 に、球 のスピンがトップスピンであれば下向 きの揚力 が発生 して、放物線 よりさらに落下 する軌道 になる(球 種 におけるカーブの変化 )。スピンが横 回転 であれば横向 き方向 の揚力 が発生 し、上 から見 て右 回 りであれば右 方向 、左 回 りであれば左 方向 へ変化 するボールとなる。投手 のき手 方向 への変化 をもたらすスピンをシュート回転 、逆 をスライダー回転 と呼 ぶ。 - なお、
投球 はバックかトップスピンと、サイドスピンの要素 を併 せ持 っている。例 えば直球 は、文字 の通 り「直進 するもの」と考 えられることが多 いが、実際 には放物線 より上 に変化 すると同時 に、ほとんどの投手 が投球 する際 、腕 が身体 の横 に角度 を持 つために、シュート方向 へも変化 している。また、カーブなどは基本 的 にトップスピンとスライダー回転 の要素 を持 つ球 であり、スライダー方向 に曲 がりながら落 ちる変化 をしている。
- スピンがバックスピンの
揚力 の量 は、進行 方向 に対 するスピンの量 とスピンの進行 方向 に対 しての角度 によって決 まる。- スピン
量 について、スピン量 が多 いほど、揚力 が強 く発生 して大 きな変化 が生 じる。球速 とスピン量 には比例 に近 い関係 ある一方 、同 スピン量 では、球速 が速 い方 が揚力 は大 きくなる。 - スピンの
角度 について、揚力 の向 きを決 める進行 方向 に垂直 な要素 の他 、進行 方向 (ジャイロ・ライフル方向 )にも角度 の要素 を持 つ。このジャイロ方向 へのスピン軸 の傾 きが進行 方向 に平行 に近 いほど揚力 は小 さく、進行 方向 に垂直 に近 いほど、揚力 はスピンの量 に対 して効率 良 く働 くようになる。特 に、スピン軸 が進行 方向 と完全 に一致 している場合 (ジャイロボール)、マグヌス効果 による揚力 が発生 しない。そのような投球 は空気 抵抗 と重力 のみを受 けた軌道 を描 くが、投球 が放物線 軌道 を描 く間 にスピン軸 と進行 方向 が一致 しなくなるなどから、どのような投球 も量 に差 はあれど揚力 の影響 を受 ける。
古 くから「スピンの量 が多 い直球 ほど変化 量 ・キレがあるボールである」とされてきたが、これは誤解 である。スピンの量 が多 くても、進行 方向 に対 してのスピン角度 が小 さい場合 は効率 よく揚力 が発生 せず、変化 も得 られない。
- スピン
空気 抵抗 [編集 ]
無 回転 [編集 ]
ボールがほとんど
投 げ方 [編集 ]
ボールの
また、
分類 [編集 ]
- ファストボール:
球速 が速 い球 種 全般 を示 す。直進 するものや変化 するものがある。- フォーシーム・ファストボール:
日本 ではストレート[注釈 8]、直球 と呼 ばれる直線 的 な軌道 の速球 。最 も落差 が少 なく到達 時間 も短 い球 種 である事 などから、基本 になる球 種 とされている。 - ムービング・ファストボール:
日本 では癖 球 と呼 ばれる。フォーシーム・ファストボールに近 い、速 い球速 にて手元 で変化 させることで打 ち損 じや空振 りを狙 う球 種 である。日本 では変化球 の一種 とされることも多 い。- ツーシーム・ファストボール:フォーシーム・ファストボールに
対 して投手 のき腕 方向 に変化 する速球 。変化 の方向 、握 りなどで「ワンシーム・ファストボール」「シンキング・ファストボール」など細分 される。 - カット・ファストボール:フォーシーム・ファストボールに
対 して投手 のき腕 と逆 方向 に変化 する速球 。 - スプリットフィンガー・ファストボール:スプリットの
中 でも高速 の物 を指 す名称 。日本 では、フォークボールと同 系統 だが、より握 りの浅 い球 種 として扱 われることがある。SFFとも言 われる。
- ツーシーム・ファストボール:フォーシーム・ファストボールに
- フォーシーム・ファストボール:
- オフスピードピッチ(en:Off-speed pitch):
球速 が遅 い球 種 全般 を示 す。大 きく以下 の3つに分類 される。- ブレイキングボール:ボールにスピンをかけて
軌道 を変化 させるボールを示 す。なお、日本 でもよく「ブレーキの効 いたカーブ」のように変化 を表現 することがあるが、この分類 でのブレーキの綴 りは「割 れる・壊 れる」の“break”であり、軌道 が急激 に変化 することを表 している[注釈 9]。 - チェンジアップ:メジャーリーグの
場合 、基本 的 に速球 と同 じ腕 の振 りで投 じられる遅 い球 全般 を指 す。速球 と同 じ腕 の振 りで球 が遅 れて打者 へ向 かってくることでタイミングをずらす事 、指 に挟 んで抜 くなどしてボールに回転 をかけずにボールを落 とし、空振 りを奪 う、凡打 に打 ち取 ることを目的 とする。 - ジャンクピッチ:オフスピードピッチの
中 でもブレイキングボール、チェンジアップより遅 い球 種 のこと。
- ブレイキングボール:ボールにスピンをかけて
その
- ナチュラルシュート:フォーシーム・ファストボール(ストレート)を
投 げる際 に、リリースポイントなどの関係 で自然 にシュート回転 がかかった球 を指 す。 - ナチュラルカット:フォーシーム・ファストボール(ストレート)を
投 げる際 に、リリースポイントなどの関係 で自然 にスライド回転 がかかった球 を指 す。真 っスラとも呼 ばれる。 - ジャイロボール:ボールの
進行 方向 に回転 軸 が向 いている球 種 で、縦 のスライダーや抜 けたカッターがそれに近 いとされる。
ギャラリー[編集 ]
-
標準 とされる、フォーシーム・ファストボール(速球 ストレート)の握 り方 の一 例 -
フォーシーム・ファストボール、
別 の角度 から -
ツーシーム・ファストボールの
握 り方 の例 -
ツーシーム・ファストボール、
別 角度 -
カーブの
握 り方 の例 -
1905
年 刊行 の"How to base ball"に掲載 されたカーブの握 り方 のイラスト -
"How to base ball"
掲載 のカーブの握 りと手首 角度 の写真 -
シュートの
握 り方 の一 例 -
スライダーの
握 り方 の一 例 -
チェンジアップの
握 り方 の一 例 -
フォークボールの
握 り方 の一 例 -
フォークボールの
握 り方 、逆 から見 る -
パームボールの
握 り方 の一 例 -
シンカーの
握 り方 の一 例 -
シンカーの
握 り方 の別 の例
関連 用語 [編集 ]
決 め球 (ウイニングショット):3つ目 のストライクを奪 う時 に投 げる球 のこと。投手 が得意 とする球 を投 げる事 が多 い。そのことから投手 が最 も得意 とする球 を示 すこともある。見 せ球 :速 い球 を投 げる前 の布石 として投 げる遅 い球 、ストライクゾーン低 め、特 に落 とす球 を投 げる前 の布石 としてストライクゾーンの高 めに投 げる球 、内角 に投 げる前 の布石 として外角 に投 げる球 などのこと。打者 の視線 、感覚 や意識 を狂 わせる目的 の球 であり、ストライクゾーンには入 れず、敢 えてボール球 を投 げる事 も多 い。釣 り球 :打者 のスイングを誘 うボール球 。意図 的 にストライクゾーンから外 して投 げた球 でスイングを誘 い、空振 りや凡打 を狙 う。持 ち球 :その投手 が投球 可能 な球 種 。荒 れ球 :制球 が定 まらないこと。それ自体 は良 いことではないが、主 に速球 派 投手 の球 が荒 れて、ストライクゾーンの上下 左右 に適度 に散 らばることで、投手 の狙 いとも打者 の予想 と全 く異 なるところへボールが来 ると、逆 に打 ち辛 くなることもある。これを意図 的 に利用 して活 かすピッチャーも存在 する。逆 球 :狙 ったコースと逆 のコースにいった球 。キャッチャーの構 えたコースと違 うので捕 球 が難 しい。- フロントドア・バックドア:ベース
板 、左右 ボールゾーンからストライクゾーンに入 れる球 を「ドア系 変化球 」と呼 び、打者 の内角 ボールゾーンからストライクゾーンへ入 れる球 を、ホームベースを家 となぞらえ、正面 玄関 から入 るということでフロントドア、外角 ボールゾーンからストライクゾーンを入 れる球 を「バックドア」と呼 ぶ。ボール、特 に内角 の場合 は死球 と思 わせてからストライクゾーンに入 るため、意表 を突 ける、また、相手 の打撃 を崩 せるなどの効果 が望 めるが、投 げ損 なった場合 、ストライクゾーンに向 かう球 であるという性質 上 、長打 を浴 びやすい球 であるため、高等 技術 であるとされる。 - バックフット:バックフットは
直訳 すれば「後 ろ足 」で、投手 から見 て、打者 の後 ろ側 にある足 (軸 足 )を目 がけて投 げることからそう呼 ばれる。前足 を目 がけて投 げると変化 が早 く打者 に見極 められてしまうが、後 ろ足 だとより打者 のそばで変化 するので見極 めにくい。また、打者 の足元 、打撃 を崩 すにも有効 である。高 い制球 力 に加 え、球 種 を見切 られない軌道 、球速 、横 だけでなく、落 ちる縦 への変化 量 も求 められる。ダルビッシュ有 らが左 打者 へ投 じるバックフットスライダーなどが知 られている[4]。
不正 投球 [編集 ]
- エメリーボール(emery ball)
砂 ・やすり等 の道具 や爪 等 でボールに傷 を付 けて投 げる。滑 らなくなることで激 しい回転 がかかり、空気 抵抗 にも影響 し大 きく曲 がるようになる。- スピットボール(spit ball)
指 やボールに唾 を付 けるなどして投 げる。唾 の代用 として、帽子 の庇 に塗 るなどで隠 し持 った松脂 や髭 剃 りクリーム、自 らの後 ろ髪 等 に多 めに付 けた整髪 用 ジェル、耳 たぶの中 や裏 に隠 し塗 ったワセリン、口内 に仕込 んだ歯磨 きペーストなどの粘液 などを付 ける。滑 ることでナックルボールのような無 回転 状態 に近 くなって不規則 な変化 が起 きたり、直球 と逆 の回転 をさせて下 方向 の揚力 を生 み、大 きく落 ちる変化 をつけられる。- MLBでは
当初 不正 ではなかったが、スピットボールによる死亡 事故 が発生 したことにより、1920年 から禁止 とされた。ただしその時点 で持 ち球 としていた選手 (バーリー・グライムスなど)には例外 的 に認 められた。 日本 でも慶應義塾大学 などで活躍 した新田 恭一 が1930年 頃 、このスピットボールを投 げていたと古 い文献 に記述 されている[6]。竹中 半平 著 『背番号 への愛着 』には、新田 を「日本 では最後 であり唯一 であったかも知 れぬスピット=ボール投手 」と書 かれている[7]。- マッドボール(mud ball)
- グラウンドの
土 を付 け、これを滑 り止 めとして投 げる。マッドボールを投手 に与 えないよう捕手 にワンバウンドキャッチされたボールは速 やかに交換 されるが、わずかに付 いただけの場合 は捕手 が主審 に判断 を求 め、問題 なしと判断 されれば土 を拭 って使用 続行 となる。 - シャインボール(shine ball)
使 いすぎて磨 り減 りピカピカになったボールの事 で、試合 中 にたびたび新 しいボールへ交換 するようになった現在 のプロの試合 では見 られない(ファウルボールはスタンドに飛 び込 んだもの以外 、全 てボールパーソンが回収 する)。ボールが磨 り減 ると空気 抵抗 が変 わるため奇妙 な変化 をすることがある。
慣用 句 [編集 ]
この
注釈 [編集 ]
- ^ a b
打者 は、投球 がマウンドからホームプレートの投手 側 からおおよそ2分 の1から3分 の2ほど進 んだ時点 までの球 の挙動 を見 て、他 の投手 などとの対戦 経験 からその先 の投球 の軌道 を予測 し、それに合 わせてバッティングを行 う。そのため、例 えば変化球 を投 げることで速球 に比 べ腕 の振 りが緩 まる、球 種 ごとにリリースポイントがずれる、特 にスライダーなど速球 と思 わせてその軌道 の違 いで打 ち取 る球 種 なのに、変化 量 が少 ないのも打 ち難 さが少 ないためと変化 量 を過度 に求 め打者 にとって早 い段階 から変化 が分 かる変化球 は好 ましくないとされる。 - ^
速球 同士 を比 べるとき、鉛直 方向 の変化 量 が多 い投球 は、奪 空振 り、対戦 打者 の打球 において、アウトになる確 率 が高 いポップフライ打球 が増加 するとされる。逆 に、変化 量 が少 ない投球 は、長打 になる確 率 が低 いゴロ打球 が増加 するとされる。 - ^ ジャイロ
軸 へのスピンの傾 きが空気 抵抗 へ影響 を与 えることが分 かっている。実験 によれば、バックスピンの直球 の空気 抵抗 係数 (CD値 )0.35に対 して、縫 い目 が風 を受 け流 し後 流 の乱 れが少 ない、回転 軸 を中心 に対称 な縫 い目 を見 せて回転 しているフォーシームジャイロがCD値 0.17。カルマン流 が上下 に変動 するなど後 流 の乱 れが大 きい、巴 型 の模様 が正面 に見 えるワンシームジャイロがCD値 0.51となる。 - ^
進行 方向 に対 してスピン軸 が垂直 である環境 においては、スピン量 が増 えるにつれ空気 抵抗 は大 きくなるとされる。 - ^ クアーズ・フィールドは
通称 のマイル・ハイの通 り標高 約 1600mに位置 することで気圧 が下 がり、球場 の広 さによる外野 守備 の難 しさも相 まって「打者 天国 」であるとされる。 - ^ ただし、
湿度 の空気 抵抗 への影響 については割合 小 さく、湿度 によるボールの反発 係数 の変化 、重量 の変化 の方 が試合 には影響 があるとされる。 - ^ ただし、
打球 に加 えられたスピンによる揚力 も小 さくなる。 - ^ ストレートは
和製 英語 であり、英語 においてストレートは棒 球 を意味 する。 - ^
日本 でブレーキとの表現 が使 われる場合 、主 にカーブやチェンジアップに対 して「腕 の振 りに対 して球 が遅 く来 ることで打者 のタイミングが狂 わされる」と言 った「止 まる」の“brake”である。 - ^
高津 臣 吾 や高橋 尚 成 、摂津 正 などが投 じる球速 が速 いタイプではないシンカーも、アメリカではチェンジアップと認識 されている。
脚注 [編集 ]
- ^ Q.プロで
活躍 するには変化球 最低 いくつ必要 ? Satozaki Channel 2023/01/30 (2023年 6月 3日 閲覧 ) - ^ 「
初速 」と「終 速 」の差 が小 さければ良 いストレートなのか? - ^
現代 野球 って球 種 が山 ほどあるけど見分 けられてるの/今 浪 隆博 のスポーツメンタルTV 2023/02/03 (2023年 2月 12日 閲覧 ) - ^ マエケン
宝刀 「バックフット・スライダー」でカノK斬 り - ^ MLB Column from East-ケニー・ロジャース「
不正 」投球 疑惑 - ^
腰 本 寿 、私 の野球 、三省堂 、1931年 /覆刻 版 :恒文社 、1978年 、106頁 - ^
竹中 半平 『背番号 への愛着 』あすなろ社 、1978年 、31頁
参考 文献 [編集 ]
小岩 利夫 『野茂 のフォークはなぜ落 ちる投 げる・打 つ・走 る――ベースボールの物理 学 』日本 実業 出版 社 、1998年 、ISBN 4-534-02768-0- 『
変化球 バイブル』ベ ースボ ール・マガジン社 、2003年 、ISBN 4-583-61248-6 - 『
変化球 バイブル [理論 &実践 編 ]』ベ ースボ ール・マガジン社 、2007年 、ISBN 978-4-583-10001-2
関連 項目 [編集 ]
外部 リンク[編集 ]
変化球 の謎 に迫 る姫野 龍太郎 氏 (アットホーム(株) 大学 教授 対談 シリーズ『こだわりアカデミー』 2002年 6月 号 掲載 )福岡工業大学 工学部 知能 機械 工学科 溝田 研究 室 研究 活動