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たましゅ (野球やきゅう)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

野球やきゅうにおけるたましゅ(きゅうしゅ)は、野球やきゅう投手とうしゅげる直球ちょっきゅうまたは変化球へんかきゅう種類しゅるいやその名称めいしょうである。かくたましゅ詳細しょうさい説明せつめいは、かくリンクさき参照さんしょう

フィクションに登場とうじょうする魔球まきゅうについてはここではあつかわない。

概要がいよう[編集へんしゅう]

投手とうしゅとうじたボールは、投球とうきゅう動作どうさによりスピンしながら、重力じゅうりょくによって放物線ほうぶつせんじょう軌道きどうえがくように空中くうちゅうすすむ。このとき、ボールは重力じゅうりょくのほかに、空気くうき抵抗ていこう、そしてスピンによってしょうじる揚力ようりょくける(マグヌス効果こうか)。このスピンは投球とうきゅう動作どうさによって変化へんかたせること可能かのうで、スピン次第しだい空気くうき抵抗ていこう揚力ようりょく、ひいてはたま軌道きどう変化へんかする。また、ボールを鷲掴わしづかみにするなどボールのにぎかた、リリース次第しだいうで以外いがい[注釈ちゅうしゃく 1]球速きゅうそくおそくできる。

これらの方法ほうほうたま軌道きどう球速きゅうそく標準ひょうじゅんである投球とうきゅう速球そっきゅう・ストレート)にたい変化へんかさせたたま変化球へんかきゅうという。

変化球へんかきゅうげる目的もくてきとして、投球とうきゅう軌道きどう打者だしゃにとってがたいものにえる、打者だしゃのバッティング動作どうさのタイミングをえる、打者だしゃ軌道きどう・タイミングの予測よそくはずすことがあるとされる[注釈ちゅうしゃく 1]

たましゅ名称めいしょうにぎりやかたじゅんじて名付なづけられる場合ばあいと、変化へんか特徴とくちょうから名付なづけられる場合ばあいおおい。それにおうじて#分類ぶんるいおこなわれる。これらは厳密げんみつ定義ていぎされているわけではなく、おなだましゅであっても投手とうしゅによってとうほう変化へんか差異さいがあったり、どういち投手とうしゅどういちきゅうしゅであってもるものによって解釈かいしゃくちがいからことなるたましゅとして認識にんしきされることもある。とくに、こまかな分類ぶんるいとなると境界きょうかいせん区別くべつ非常ひじょう曖昧あいまいである。また、時代じだい変化へんかによって名称めいしょうわったり、細分さいぶんされ明確めいかく区別くべつされたり、あるいは一纏ひとまとめにされることも多々たたある。さらに日米にちべいにおいてもたましゅたいする認識にんしきおおきくことなる場合ばあいがあり、名称めいしょう分類ぶんるい仕方しかたおおきな差異さいられる。

さとさき智也ともやは、NPB先発せんぱつ投手とうしゅつとめたいなら直球ちょっきゅうくわえ、チェンジアップ、ツーシーム、フォークボールの3つのいずれか1つ、その1つ、合計ごうけい3きゅうしゅ最低限さいていげん必要ひつようで、ストレートをふくむ3きゅうしゅはいつでもストライクとボールにおもどおりにげられる必要ひつようがあるとかたっている[1]

原理げんり[編集へんしゅう]

一般いっぱん投球とうきゅう軌道きどう個性こせいあたえる要素ようそとしてマグヌス効果こうかによる揚力ようりょく影響えいきょうおおきいが、例外れいがいてきなものとして、ボールの回転かいてんくすこと通常つうじょうとはちが変化へんかこさせるものもある。

マグヌス効果こうか[編集へんしゅう]

飛行ひこうするボールが進行しんこう方向ほうこうたいして角度かくどじくにてスピンしているとき、マグヌス効果こうかによって揚力ようりょく発生はっせいする。マグヌス効果こうかによれば、ボールがすすことによってけるかいかぜと、進行しんこう方向ほうこうたいして角度かくどちながらスピンするボールがむ「循環じゅんかん」が、干渉かんしょうすることで、揚力ようりょく発生はっせいしてボールの軌道きどう変化へんかする。

  • 揚力ようりょくきは、スピン角度かくど進行しんこう方向ほうこうたいして垂直すいちょく要素ようそによってめられる。
    • スピンがバックスピンのとき揚力ようりょくうえ方向ほうこうはたらき、投球とうきゅう軌道きどういち三塁さんるい方向ほうこうから直線ちょくせんちかものとなる(直球ちょっきゅう)。その直球ちょっきゅうたいして、揚力ようりょくちいさくすることにより、「直球ちょっきゅうたいしてとす」のがフォークボールのおも効果こうかである。直球ちょっきゅうのスピンとはぎゃくに、たまのスピンがトップスピンであれば下向したむきの揚力ようりょく発生はっせいして、放物線ほうぶつせんよりさらに落下らっかする軌道きどうになる(たましゅにおけるカーブの変化へんか)。スピンがよこ回転かいてんであれば横向よこむ方向ほうこう揚力ようりょく発生はっせいし、うえからみぎまわりであればみぎ方向ほうこうひだりまわりであればひだり方向ほうこう変化へんかするボールとなる。投手とうしゅのききて方向ほうこうへの変化へんかをもたらすスピンをシュート回転かいてんぎゃくをスライダー回転かいてんぶ。
    • なお、投球とうきゅうはバックかトップスピンと、サイドスピンの要素ようそあわっている。たとえば直球ちょっきゅうは、文字もじとおり「直進ちょくしんするもの」とかんがえられることがおおいが、実際じっさいには放物線ほうぶつせんよりうえ変化へんかすると同時どうじに、ほとんどの投手とうしゅ投球とうきゅうするさいうで身体しんたいよこ角度かくどつために、シュート方向ほうこうへも変化へんかしている。また、カーブなどは基本きほんてきにトップスピンとスライダー回転かいてん要素ようそたまであり、スライダー方向ほうこうがりながらちる変化へんかをしている。
  • 揚力ようりょくりょうは、進行しんこう方向ほうこうたいするスピンのりょうとスピンの進行しんこう方向ほうこうたいしての角度かくどによってまる。
    • スピンりょうについて、スピンりょうおおいほど、揚力ようりょくつよ発生はっせいしておおきな変化へんかしょうじる。球速きゅうそくとスピンりょうには比例ひれいちか関係かんけいある一方いっぽうどうスピンりょうでは、球速きゅうそくはやほう揚力ようりょくおおきくなる。
    • スピンの角度かくどについて、揚力ようりょくきをめる進行しんこう方向ほうこう垂直すいちょく要素ようそほか進行しんこう方向ほうこう(ジャイロ・ライフル方向ほうこう)にも角度かくど要素ようそつ。このジャイロ方向ほうこうへのスピンじくかたむきが進行しんこう方向ほうこう平行へいこうちかいほど揚力ようりょくちいさく、進行しんこう方向ほうこう垂直すいちょくちかいほど、揚力ようりょくはスピンのりょうたいして効率こうりつはたらくようになる。
      • とくに、スピンじく進行しんこう方向ほうこう完全かんぜん一致いっちしている場合ばあいジャイロボール)、マグヌス効果こうかによる揚力ようりょく発生はっせいしない。そのような投球とうきゅう空気くうき抵抗ていこう重力じゅうりょくのみをけた軌道きどうえがくが、投球とうきゅう放物線ほうぶつせん軌道きどうえがあいだにスピンじく進行しんこう方向ほうこう一致いっちしなくなるなどから、どのような投球とうきゅうりょうはあれど揚力ようりょく影響えいきょうける。
    • ふるくから「スピンのりょうおお直球ちょっきゅうほど変化へんかりょう・キレがあるボールである」とされてきたが、これは誤解ごかいである。スピンのりょうおおくても、進行しんこう方向ほうこうたいしてのスピン角度かくどちいさい場合ばあい効率こうりつよく揚力ようりょく発生はっせいせず、変化へんかられない。

基本きほんてきに「はやたまげる」という共通きょうつう目標もくひょうっておこなわれる動作どうさによりとうじられる投球とうきゅうには、「一般いっぱんてき変化へんかき」「一般いっぱんてき変化へんかりょう」というものがしょうじる。打者だしゃはその「一般いっぱんてき投球とうきゅう」をベースに投球とうきゅう軌道きどう予測よそくするが、その予測よそくはずたま打者だしゃたいして効果こうかてき投球とうきゅうであるとされる。

たとえば一般いっぱんてき速球そっきゅうたいして、おなじスピンかくながらスピンをおおけられている、スピンのじく進行しんこう方向ほうこうたいして垂直すいちょくちかいなどで揚力ようりょくによる変化へんかおおきい投球とうきゅう、もしくは投手とうしゅより進行しんこう方向ほうこうへのスピンの角度かくどたもったうえ進行しんこう方向ほうこう垂直すいちょく要素ようそのスピン角度かくど純粋じゅんすいなバックスピンにちかく、うえ方向ほうこうへの変化へんかりょうおおたまは、ぞくに「キレのあるたま」とばれる[注釈ちゅうしゃく 2]直球ちょっきゅうについて、山本やまもとあきら和田わだあつし上原うえはらひろしとくにメジャー移籍いせき)、星野ほしの伸之のぶゆきなどは球速きゅうそくについては「おそい」とされるが、「キレのある直球ちょっきゅう」をじくとして打者だしゃ幻惑げんわくするピッチングをひろげた。

空気くうき抵抗ていこう[編集へんしゅう]

空中くうちゅうげられたボールは空気くうき抵抗ていこうけて徐々じょじょ減速げんそくする。空気くうき抵抗ていこうおおきさはボールののちりゅうおおきさに影響えいきょうけるが、球速きゅうそくはやいほど空気くうき抵抗ていこうおおきくなる。またスピンの方向ほうこう[注釈ちゅうしゃく 3]りょう[注釈ちゅうしゃく 4]影響えいきょうけるとされる[2]。これによりおな初速しょそくでも打者だしゃへの到達とうたつ時間じかん変化へんかするほか、重力じゅうりょくける時間じかん変化へんかするためたま軌道きどうにも影響えいきょうしょうじる。

揚力ようりょく空気くうき抵抗ていこうともに、空気くうき密度みつどちいさくなると、それらはちいさくなる。この空気くうき密度みつど気圧きあつ気温きおん湿度しつど関連かんれんしており、気圧きあつがる[注釈ちゅうしゃく 5]気温きおんがる・湿度しつどがると[注釈ちゅうしゃく 6]空気くうき密度みつど空気くうき抵抗ていこう揚力ようりょくちいさくなる。空気くうき密度みつどちいさい環境かんきょうは、空気くうき抵抗ていこうによる投球とうきゅう減速げんそくすくなくなるが、マグヌス効果こうかによる揚力ようりょくちいさくなることからかくたましゅ軌道きどうすくなくなり、打者だしゃにとってはちやすさにつながることから、打球だきゅう減速げんそくすくなく[注釈ちゅうしゃく 7]距離きょりびることあいまって打者だしゃ有利ゆうりであるとされる。また、球場きゅうじょう影響えいきょうとしてはふうもあり、強烈きょうれつかぜ空気くうき抵抗ていこう揚力ようりょく変化へんかするなどで、変化球へんかきゅう独特どくとく変化へんかをする球場きゅうじょう存在そんざいする(ZOZOマリンスタジアムなど)。

回転かいてん[編集へんしゅう]

ボールがほとんど回転かいてんしていない場合ばあい毎秒まいびょう1回転かいてん程度ていど)はマグヌス効果こうかによる揚力ようりょく発生はっせいしないが、ボールこうりゅう変化へんかたま軌道きどうおおきな影響えいきょうおよぼす。ボールがわずかに回転かいてんすることで位置いち変化へんかして上下じょうげ左右さゆうこうりゅうみだれ、それにおうじて揚力ようりょく抗力こうりょく発生はっせいし、ボールが不規則ふきそく変化へんかする。また、位置いちによってこうりゅうおおきさも変化へんかするため減速げんそく効果こうか変化へんかしてボールの速度そくどみだれることになる。ナックルボールや回転かいてんのフォークボールなどの変化へんかがこれにあたる。ボールの回転かいてんおお場合ばあいわりがはやぎて一様いちよう状態じょうたいちかくなり、この効果こうかあらわれない。

かた[編集へんしゅう]

ボールのにぎかたっきゅうしゅによってそれぞれことなるが、おなだましゅでも投手とうしゅによってにぎりがちがう。これはとうほうかたちなどの個人こじんからてきしたにぎりもわってくるためである。1人ひとり投手とうしゅおなだましゅ変化へんか角度かくど程度ていど球速きゅうそくなどをえてけることもおおい。

また、うで角度かくどなどの要因よういんからオーバースロースリークォーターサイドスローアンダースローといった投球とうきゅうフォームによってげやすい・変化へんかさせやすいたましゅ存在そんざいする。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

変化球へんかきゅう細分さいぶんは、変化へんか方向ほうこう球速きゅうそく回転かいてんにぎり・目的もくてきなどおおくの観点かんてんがあるので注意ちゅうい必要ひつようである。いちれいとしてメジャーリーグにおける一般いっぱんてき分類ぶんるい沿ったものをしるす。

こんなみ隆博たかひろによると、NPB選手せんしゅなら打席だせき投球とうきゅうてどんなたましゅげられたか判別はんべつできないひとほうまれだという(2023ねん時点じてん)[3]

  • ファストボール球速きゅうそくはやたましゅ全般ぜんぱんしめす。直進ちょくしんするものや変化へんかするものがある。
    • フォーシーム・ファストボール日本にっぽんではストレート[注釈ちゅうしゃく 8]直球ちょっきゅうばれる直線ちょくせんてき軌道きどう速球そっきゅうもっと落差らくさすくなく到達とうたつ時間じかんみじかたましゅであることなどから、基本きほんになるたましゅとされている。
    • ムービング・ファストボール日本にっぽんではくせたまばれる。フォーシーム・ファストボールにちかい、はや球速きゅうそくにて手元てもと変化へんかさせることでそんじや空振からぶりをねらたましゅである。日本にっぽんでは変化球へんかきゅう一種いっしゅとされることもおおい。
      • ツーシーム・ファストボール:フォーシーム・ファストボールにたいして投手とうしゅのききうで方向ほうこう変化へんかする速球そっきゅう変化へんか方向ほうこうにぎりなどで「ワンシーム・ファストボール」「シンキング・ファストボール」など細分さいぶんされる。
      • カット・ファストボール:フォーシーム・ファストボールにたいして投手とうしゅのききうでぎゃく方向ほうこう変化へんかする速球そっきゅう
      • スプリットフィンガー・ファストボール:スプリットのなかでも高速こうそくもの名称めいしょう日本にっぽんでは、フォークボールとどう系統けいとうだが、よりにぎりのあさたましゅとしてあつかわれることがある。SFFともわれる。
  • オフスピードピッチ(en:Off-speed pitch)球速きゅうそくおそたましゅ全般ぜんぱんしめす。おおきく以下いかの3つに分類ぶんるいされる。
    • ブレイキングボール:ボールにスピンをかけて軌道きどう変化へんかさせるボールをしめす。なお、日本にっぽんでもよく「ブレーキのいたカーブ」のように変化へんか表現ひょうげんすることがあるが、この分類ぶんるいでのブレーキのつづりは「れる・こわれる」の“break”であり、軌道きどう急激きゅうげき変化へんかすることをあらわしている[注釈ちゅうしゃく 9]
      • スライダー投手とうしゅのききうで反対はんたい方向ほうこうがるたましゅ球速きゅうそく変化へんか方向ほうこうなどで「たてスライダー」「高速こうそくスライダー」「スラーブ」など細分さいぶんされる。
      • カーブ投手とうしゅのききうで反対はんたい方向ほうこうがりながらちるたましゅ球速きゅうそく変化へんか方向ほうこうにぎりなどで「ナックルカーブ」「スローカーブ」「ドロップカーブ」「パワーカーブ」など細分さいぶんされる。
      • シュート投手とうしゅのききうで方向ほうこうがるたましゅとく球速きゅうそくはやいものは「高速こうそくシュート」に細分さいぶんされる。
      • シンカースクリューボール投手とうしゅのききうで方向ほうこうがりながらちるたましゅ。シンカーとスクリューボールのちがい・アジアけんとそれ以外いがいでの定義ていぎちがいについては当該とうがい記事きじ参照さんしょう
    • チェンジアップ:メジャーリーグの場合ばあい基本きほんてき速球そっきゅうおなうでりでとうじられるおそたま全般ぜんぱんす。速球そっきゅうおなうでりでたまおくれて打者だしゃかってくることでタイミングをずらすことゆびはさんでくなどしてボールに回転かいてんをかけずにボールをとし、空振からぶりをうばう、凡打ぼんだることを目的もくてきとする。
      • チェンジアップたましゅ):おも中指なかゆび薬指くすりゆび中心ちゅうしんにボールをげるたましゅ落差らくさもとめたものと、直球ちょっきゅうちか軌道きどうながら球速きゅうそく緩急かんきゅうをつけるものおおきく二分にぶんされる。にぎ次第しだいうでへの負担ふたんすくないとされ、アメリカでは子供こども最初さいしょおぼえるたましゅとされる。変化へんか方向ほうこうにぎりなどで「サークルチェンジ」「バルカンチェンジ」「パラシュートチェンジ」「高速こうそくチェンジアップ」など細分さいぶんされる[注釈ちゅうしゃく 10]
      • フォークボール人差ひとさゆび中指なかゆびあいだにボールをはさんでげ、たてちるたましゅ。アメリカではスプリッターばれることがおおい。
      • パームボールひら(パーム)ですようにげ、たてちるたましゅ
    • ジャンクピッチ:オフスピードピッチのなかでもブレイキングボール、チェンジアップよりおそたましゅのこと。
      • ナックルボール:ボールにゆびててげ、ほぼ回転かいてん不規則ふきそくれながらちるたましゅ。このたましゅげるにはナックルボールにとくしたフォームが必要ひつようなど例外れいがいてきたましゅである(当該とうがい記事きじ参照さんしょう)。
      • スローボール:イーファスピッチとも。非常ひじょうおそ速度そくどで、やまなりの軌道きどうえがたま。「げるたまがない」という状態じょうたいでの窮余きゅうよさく打者だしゃぐ、ファンへのサービスなどと解釈かいしゃくされることがおおい。

その分類ぶんるいからはずれる関連かんれん用語ようごについて。

  • ナチュラルシュート:フォーシーム・ファストボール(ストレート)をげるさいに、リリースポイントなどの関係かんけい自然しぜんにシュート回転かいてんがかかったたます。
  • ナチュラルカット:フォーシーム・ファストボール(ストレート)をげるさいに、リリースポイントなどの関係かんけい自然しぜんにスライド回転かいてんがかかったたます。っスラともばれる。
  • ジャイロボール:ボールの進行しんこう方向ほうこう回転かいてんじくいているたましゅで、たてのスライダーやけたカッターがそれにちかいとされる。

ギャラリー[編集へんしゅう]

関連かんれん用語ようご[編集へんしゅう]

  • だま(ウイニングショット):3つのストライクをうばときげるたまのこと。投手とうしゅ得意とくいとするたまげることおおい。そのことから投手とうしゅもっと得意とくいとするたましめすこともある。
  • だまはやたまげるまえ布石ふせきとしてげるおそたま、ストライクゾーンひくめ、とくとすたまげるまえ布石ふせきとしてストライクゾーンのたかめにげるたま内角ないかくげるまえ布石ふせきとして外角がいかくげるたまなどのこと。打者だしゃ視線しせん感覚かんかく意識いしきくるわせる目的もくてきたまであり、ストライクゾーンにはれず、えてボールだまげることおおい。
  • だま打者だしゃのスイングをさそうボールだま意図いとてきにストライクゾーンからはずしてげたたまでスイングをさそい、空振からぶりや凡打ぼんだねらう。
  • だま:その投手とうしゅ投球とうきゅう可能かのうたましゅ
  • だま制球せいきゅうさだまらないこと。それ自体じたいいことではないが、おも速球そっきゅう投手とうしゅたまれて、ストライクゾーンの上下じょうげ左右さゆう適度てきどらばることで、投手とうしゅねらいとも打者だしゃ予想よそうまったことなるところへボールがると、ぎゃくからくなることもある。これを意図いとてき利用りようしてかすピッチャーも存在そんざいする。
  • ぎゃくたまねらったコースとぎゃくのコースにいったたま。キャッチャーのかまえたコースとちがうのでたまむずかしい。
  • フロントドア・バックドア:ベースばん左右さゆうボールゾーンからストライクゾーンにれるたまを「ドアけい変化球へんかきゅう」とび、打者だしゃ内角ないかくボールゾーンからストライクゾーンへれるたまを、ホームベースをいえとなぞらえ、正面しょうめん玄関げんかんからはいるということでフロントドア、外角がいかくボールゾーンからストライクゾーンをれるたまを「バックドア」とぶ。ボール、とく内角ないかく場合ばあい死球しきゅうおもわせてからストライクゾーンにはいるため、意表いひょうける、また、相手あいて打撃だげきくずせるなどの効果こうかのぞめるが、そこなった場合ばあい、ストライクゾーンにかうたまであるという性質せいしつじょう長打ちょうだびやすいたまであるため、高等こうとう技術ぎじゅつであるとされる。
  • バックフット:バックフットは直訳ちょくやくすれば「うしあし」で、投手とうしゅからて、打者だしゃうしがわにあるあしじくあし)をがけてげることからそうばれる。前足まえあしがけてげると変化へんかはや打者だしゃ見極みきわめられてしまうが、うしあしだとより打者だしゃのそばで変化へんかするので見極みきわめにくい。また、打者だしゃ足元あしもと打撃だげきくずすにも有効ゆうこうである。たか制球せいきゅうりょくくわえ、たましゅ見切みきられない軌道きどう球速きゅうそくよこだけでなく、ちるたてへの変化へんかりょうもとめられる。ダルビッシュゆうらがひだり打者だしゃとうじるバックフットスライダーなどがられている[4]

不正ふせい投球とうきゅう[編集へんしゅう]

日本にっぽん球界きゅうかいでは2000ねん6がつブライアン・ウォーレン投手とうしゅめぐ騒動そうどうのようにはげしく糾弾きゅうだんされる不正ふせい投球とうきゅうだが、メジャーリーグベースボール (MLB) ではルールじょうきびしい罰則ばっそく規定きていされているものの、実際じっさい適用てきようかんしてはあまい。

ふるくから下記かきのような不正ふせい投球とうきゅう禁忌きんきとされるほどの行為こういでなく「見破みやぶれなかった相手あいてわるい」「やるならバレないように使つかうのが礼儀れいぎ程度ていど認識にんしきされており、不審ふしんかんじた相手あいてチームからはげしい抗議こうぎがあろうとも、審判しんぱん現行げんこうはん証拠しょうこさえないかぎり、退場たいじょう処分しょぶんくだることは滅多めったい。

おな不正ふせい行為こういでもドーピング問題もんだいのそれとはファンや関係かんけいしゃたちからのあつかいにもおおきな温度おんどがある。

もっと顕著けんちょれいとして、ゲイロード・ペリー以下いかべるスピットボール、エメリーボールの常習じょうしゅうしゃとして現役げんえき時代じだいから非常ひじょう有名ゆうめい選手せんしゅだったが、りょうリーグでサイ・ヤングしょう受賞じゅしょうした史上しじょうはつ投手とうしゅとなり、野球やきゅう殿堂でんどうにも表彰ひょうしょうされ、2005ねんにはサンフランシスコ・ジャイアンツ時代じだい背番号せばんごう36が球団きゅうだん永久えいきゅう欠番けつばんとなった。ほかにも、2008ねん引退いんたい表明ひょうめいしたトッド・ジョーンズ現役げんえき時代じだいから「自分じぶんまつヤニを使つかっている」と公言こうげんするなど、メジャーリーグにおいて不正ふせい投球とうきゅうはしばしばおこなわれている。[5]

エメリーボール(emery ball)
すな・やすりとう道具どうぐつめとうでボールにきずけてげる。すべらなくなることではげしい回転かいてんがかかり、空気くうき抵抗ていこうにも影響えいきょうおおきくがるようになる。
スピットボール(spit ball)
ゆびやボールにつばけるなどしてげる。つば代用だいようとして、帽子ぼうしひさしるなどでかくった松脂まつやにひげりクリーム、みずからのうしがみとうおおめにけた整髪せいはつようジェル、みみたぶのなかうらかくったワセリン口内こうない仕込しこんだ歯磨はみがきペーストなどの粘液ねんえきなどをける。すべることでナックルボールのような回転かいてん状態じょうたいちかくなって不規則ふきそく変化へんかきたり、直球ちょっきゅうぎゃく回転かいてんをさせてしも方向ほうこう揚力ようりょくみ、おおきくちる変化へんかをつけられる。
MLBでは当初とうしょ不正ふせいではなかったが、スピットボールによる死亡しぼう事故じこ発生はっせいしたことにより、1920ねんから禁止きんしとされた。ただしその時点じてんたまとしていた選手せんしゅバーリー・グライムスなど)には例外れいがいてきみとめられた。
日本にっぽんでも慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがくなどで活躍かつやくした新田にった恭一きょういちが1930ねんごろ、このスピットボールをげていたとふる文献ぶんけん記述きじゅつされている[6]竹中たけなか半平はんぺんちょ背番号せばんごうへの愛着あいちゃく』には、新田しんでんを「日本にっぽんでは最後さいごであり唯一ゆいいつであったかもれぬスピット=ボール投手とうしゅ」とかれている[7]
マッドボール(mud ball)
グラウンドのけ、これをすべめとしてげる。マッドボールを投手とうしゅあたえないよう捕手ほしゅにワンバウンドキャッチされたボールはすみやかに交換こうかんされるが、わずかにいただけの場合ばあい捕手ほしゅ主審しゅしん判断はんだんもとめ、問題もんだいなしと判断はんだんされればぬぐって使用しよう続行ぞっこうとなる。
シャインボール(shine ball)
使つかいすぎてりピカピカになったボールのことで、試合しあいちゅうにたびたびあたらしいボールへ交換こうかんするようになった現在げんざいのプロの試合しあいではられない(ファウルボールはスタンドにんだもの以外いがいすべボールパーソン回収かいしゅうする)。ボールがると空気くうき抵抗ていこうわるため奇妙きみょう変化へんかをすることがある。

慣用かんよう[編集へんしゅう]

比喩ひゆ表現ひょうげんとして、ビジネス会議かいぎにおける交渉こうしょうじゅつ発言はつげん仕方しかた人間にんげん性格せいかく場合ばあい使用しようされることもある(れい:「発言はつげんで、変化球へんかきゅうげつける」「あのひと直球ちょっきゅう勝負しょうぶひとだ」など)。

この場合ばあいの「変化球へんかきゅう」とは「どういう過程かていでも捕手ほしゅのミットにおさまる」ということから、結論けつろんおなじなのにまわりくどいことをうこと、あるいは相手あいて意表いひょう論理ろんりもちいることをすものであり、的外まとはずれなことをっている場合ばあいには普通ふつう使つかわれない。一方いっぽう、「直球ちょっきゅう勝負しょうぶ」とはさくろうしたり根回ねまわしをおこなったりせず正論せいろんだけでなにかをげようとすることをしめし、前述ぜんじゅつ変化球へんかきゅう反対はんたいではない。後者こうしゃはしばしば使つかわれる言葉ことばである。

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 打者だしゃは、投球とうきゅうがマウンドからホームプレートの投手とうしゅがわからおおよそ2ぶんの1から3ぶんの2ほどすすんだ時点じてんまでのたま挙動きょどうて、投手とうしゅなどとの対戦たいせん経験けいけんからそのさき投球とうきゅう軌道きどう予測よそくし、それにわせてバッティングをおこなう。そのため、たとえば変化球へんかきゅうげることで速球そっきゅうくらうでりがゆるまる、たましゅごとにリリースポイントがずれる、とくにスライダーなど速球そっきゅうおもわせてその軌道きどうちがいでたましゅなのに、変化へんかりょうすくないのもむずかしさがすくないためと変化へんかりょう過度かどもと打者だしゃにとってはや段階だんかいから変化へんかかる変化球へんかきゅうこのましくないとされる。
  2. ^ 速球そっきゅう同士どうしくらべるとき、鉛直えんちょく方向ほうこう変化へんかりょうおお投球とうきゅうは、だつ空振からぶり、対戦たいせん打者だしゃ打球だきゅうにおいて、アウトになるかくりつたかいポップフライ打球だきゅう増加ぞうかするとされる。ぎゃくに、変化へんかりょうすくない投球とうきゅうは、長打ちょうだになるかくりつひくいゴロ打球だきゅう増加ぞうかするとされる。
  3. ^ ジャイロじくへのスピンのかたむきが空気くうき抵抗ていこう影響えいきょうあたえることがかっている。実験じっけんによれば、バックスピンの直球ちょっきゅう空気くうき抵抗ていこう係数けいすう(CD)0.35にたいして、ふうながりゅうみだれがすくない、回転かいてんじく中心ちゅうしん対称たいしょうせて回転かいてんしているフォーシームジャイロがCD0.17。カルマンりゅう上下じょうげ変動へんどうするなどこうりゅうみだれがおおきい、ともえがた模様もよう正面しょうめんえるワンシームジャイロがCD0.51となる。
  4. ^ 進行しんこう方向ほうこうたいしてスピンじく垂直すいちょくである環境かんきょうにおいては、スピンりょうえるにつれ空気くうき抵抗ていこうおおきくなるとされる。
  5. ^ クアーズ・フィールド通称つうしょうのマイル・ハイのとお標高ひょうこうやく1600mに位置いちすることで気圧きあつがり、球場きゅうじょうひろさによる外野がいや守備しゅびむずかしさもあいまって「打者だしゃ天国てんごく」であるとされる。
  6. ^ ただし、湿度しつど空気くうき抵抗ていこうへの影響えいきょうについては割合わりあいちいさく、湿度しつどによるボールの反発はんぱつ係数けいすう変化へんか重量じゅうりょう変化へんかほう試合しあいには影響えいきょうがあるとされる。
  7. ^ ただし、打球だきゅうくわえられたスピンによる揚力ようりょくちいさくなる。
  8. ^ ストレートは和製わせい英語えいごであり、英語えいごにおいてストレートはぼうだま意味いみする。
  9. ^ 日本にっぽんでブレーキとの表現ひょうげん使つかわれる場合ばあいおもにカーブやチェンジアップにたいして「うでりにたいしてたまおそることで打者だしゃのタイミングがくるわされる」とった「まる」の“brake”である。
  10. ^ 高津たかつしんわれ高橋たかはししょうなり摂津せっつせいなどがとうじる球速きゅうそくはやいタイプではないシンカーも、アメリカではチェンジアップと認識にんしきされている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Q.プロで活躍かつやくするには変化球へんかきゅう最低さいていいくつ必要ひつよう Satozaki Channel 2023/01/30 (2023ねん6がつ3にち閲覧えつらん)
  2. ^ 初速しょそく」と「おわりそく」のちいさければいストレートなのか?
  3. ^ 現代げんだい野球やきゅうってたましゅやまほどあるけど見分みわけられてるの/ こんなみ隆博たかひろのスポーツメンタルTV 2023/02/03 (2023ねん2がつ12にち閲覧えつらん)
  4. ^ マエケン宝刀ほうとう「バックフット・スライダー」でカノK
  5. ^ MLB Column from East-ケニー・ロジャース「不正ふせい投球とうきゅう疑惑ぎわく
  6. ^ こしほん寿ことぶきわたし野球やきゅう三省堂さんせいどう、1931ねん/ 覆刻ふっこくばん恒文社こうぶんしゃ、1978ねん、106ぺーじ
  7. ^ 竹中たけなか半平はんぺん背番号せばんごうへの愛着あいちゃく』あすなろしゃ、1978ねん、31ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]