クエスト (ISS)

クエスト・ジョイント・エアロック・モジュール (NASA)

クエスト（Quest Joint Airlock、以前いぜんはJoint Airlock Moduleと呼よばれていた）は、国際こくさい宇宙うちゅうステーション (ISS) の最初さいしょのエアロックである。アメリカの船ふね外がい活動かつどう宇宙うちゅう服ふく (EMU) とロシアのオーラン宇宙うちゅう服ふく (Orlan) のどちらでも船ふね外がい活動かつどうを行くだりなえるように設計せっけいされた。クエストが取とり付つけられる以前いぜんは、オーラン宇宙うちゅう服ふくを使つかうロシアの船ふね外がい活動かつどうはズヴェズダからしか行おこなえず、船ふね外がい活動かつどう宇宙うちゅう服ふくを使つかうアメリカの船ふね外がい活動かつどうはスペースシャトルがドッキングしている時ときだけに限かぎられていた。2001年ねん9月16日にちにピアースが到着とうちゃくし、オーラン宇宙うちゅう服ふくでの船ふね外がい活動かつどうができるエアロックが備そなわった。

設計せっけい

クエストは、宇宙うちゅう服ふくと機材きざいを格納かくのうしている「装備そうびロック」 (Equipment lock) と、宇宙うちゅう飛行ひこう士しが宇宙うちゅうに出でていく「クルーロック」 (Crew Lock) の2つの部分ぶぶんで構成こうせいされている。スペースシャトルのエアロックが基もとになっているが、エアロック使用しよう時じの空気くうきの喪失そうしつを大幅おおはばに抑おさえるため、空気くうき回収かいしゅうポンプが装備そうびされている。クエストは、2001年ねん7月がつのSTS-104で、ユニティモジュール右舷うげんの共通きょうつう結合けつごう機構きこうに取とり付つけられた。船ふね外がい活動かつどう時じにハッチを開ひらくことで少すこし喪失そうしつする空気くうきを ISS内ないへ補充ほじゅうするために、クエストの外部がいぶには4基きの高こう圧あつガスタンクを備そなえている。2基きは酸素さんそで2基きは窒素ちっそである（なお、STS-129で酸素さんそタンクを1基き運はこんで追加ついか設置せっちした他ほか、シャトル退役たいえきに備そなえてSTS-134でも予備よびの酸素さんそタンクが運はこばれてトラス上じょうに保管ほかんされた）。

構成こうせい要素ようそも調整ちょうせいも接続せつぞくも異ことなるため、アメリカの宇宙うちゅう服ふくはロシアのエアロックであるピアースに適合てきごうせず、クエストが必要ひつようとなった。クエストはどちらの宇宙うちゅう服ふくでも使つかえる機材きざいを備そなえるよう設計せっけいされていたが、ロシアの宇宙うちゅう服ふくを使用しようするために必要ひつようとなる機材きざいが取とり付つけられていなかったため、利用りよう可能かのうなのはアメリカの宇宙うちゅう服ふくでの船ふね外がい活動かつどうだけであった。そのためアメリカの宇宙うちゅう服ふくに問題もんだいが見みつかり、急遽きゅうきょロシアの宇宙うちゅう服ふくを使つかうことになった第だい9次じ長期ちょうき滞在たいざいのクルーは、クエストから船ふね外がいに出でることが出来できず、ピアースを使つかったため作業さぎょう現場げんばまで行いくのに遠回とおまわりが必要ひつようとなった。 結局けっきょく、クエストからロシアの宇宙うちゅう服ふくを使つかった船ふね外がい活動かつどうは実施じっしされず、現在げんざいでも米国べいこくの船ふね外がい活動かつどうはクエストを使用しようし、ロシアの船ふね外がい活動かつどうはピアース(ピアースを廃棄はいきした後のちはポイスク(MRM-2)がロシアの新あたらしいエアロックとなる)を使つかうことで棲すみ分わけされている。

プリブリース手順てじゅん

宇宙うちゅう服ふくを装着そうちゃくする低圧ていあつ環境かんきょう下かでの減圧げんあつ症しょうを防ふせぐためには血液けつえき中ちゅうから窒素ちっそガスを排除はいじょしなければならない。このため宇宙うちゅう飛行ひこう士しが船ふね外がい活動かつどうの前まえに体内たいないの血ち流りゅう中ちゅうから窒素ちっそを排出はいしゅつするために酸素さんそを呼吸こきゅうするプリブリースという手順てじゅんが必要ひつようとなる。この手順てじゅんは徐々じょじょに改善かいぜんされており、当初とうしょはエクササイズしながら酸素さんそを呼吸こきゅうすると窒素ちっその排出はいしゅつが早はやまることからエクササイズ・プリブリースが使つかわれていた。その後ご、エアロック内ないを2/3気圧きあつに減圧げんあつして一いち晩ばん過すごすことで翌朝よくあさの作業さぎょう開始かいしを早はやく行おこなえるようにした「キャンプアウト（camp out）」プリブリースが導入どうにゅうされた。2006年ねん4月がつに、第だい12次じ長期ちょうき滞在たいざいのコマンダー、ウイリアム・マッカーサーと第だい13次じ長期ちょうき滞在たいざいのフライトエンジニア、ジェフリー・ウィリアムズは、クエストのエアロックで一いち晩ばん「キャンプアウト」して船ふね外がい活動かつどうに備そなえる新あたらしい方法ほうほうをテストした。エアロック内ないの気圧きあつは、通常つうじょうの14.7psiから10.2psiまで下さげられた。この方法ほうほうに比くらべると、船ふね外がい活動かつどうに備そなえる以前いぜんの方法ほうほうは、体内たいないから窒素ちっそを一掃いっそうして減圧げんあつ症しょうを避さけるためには、純じゅん酸素さんそで呼吸こきゅうしなければならない時間じかんが長時間ちょうじかんであった。二人ふたりが眠ねむりについて4時じ間あいだ後ごのエラー音おんで管制かんせい官かんが中止ちゅうしを宣言せんげんしたが、テストには成功せいこうしたとみなされ、以後いごはこの手順てじゅんが使つかわれた。

2011年ねんのSTS-134の第だい3回かい船せん外がい活動かつどうからはISLE (In-Suit Light Exercise)という新あらたな手順てじゅんが導入どうにゅうされた。これは宇宙うちゅう服ふくを装着そうちゃくした状態じょうたいで手て脚あしを軽かるく動うごかすだけの簡単かんたんな手順てじゅんであるが、効果こうか的てきにプリブリースを行おこなえるようになり、STS-135の船ふね外がい活動かつどうでもこの手順てじゅんが使つかわれた。

建造けんぞう

エアロックとタンクのシステムはアルミニウム製せいで、ボーイング社しゃによりアラバマ州しゅうハンツビルにあるNASAのマーシャル宇宙うちゅう飛行ひこうセンターでテストされた。

エアロックの諸しょ元もと

• 材質ざいしつ : アルミニウム
• 全長ぜんちょう : 5.5 m (18 ft)
• 直径ちょっけい : 4 m (13 ft)
• 重量じゅうりょう : 6,064 kg (13,368 lb)
• 容積ようせき : 34 m³ (1,200 ft³)
• 費用ひよう : 1億おく6400万まんドル、タンクを含ふくむ

外部がいぶリンク

• クエスト（エアロック） - JAXA　（日本語にほんご）
• Quest Joint Airlock -- NASA （英語えいご）