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チラコイド

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（グラナから転送てんそう）
チラコイド（緑みどり）は、葉は緑みどり体たいの中なかにある。

チラコイド(Thylakoid)は、葉は緑みどり体たいやシアノバクテリア中なかで膜まくに結合けつごうした区画くかくである。光合成こうごうせいの光化学こうかがく反応はんのうが起おこる場所ばしょである。チラコイドという言葉ことばは、「嚢」を表あらわすギリシャ語ごの θύλακος （thylakos）に由来ゆらいする。チラコイドは、ルーメンの周まわりを取とり巻まくチラコイド膜まくから構成こうせいされる。緑色みどりいろ植物しょくぶつの葉は緑みどり体たいのチラコイドは円盤えんばん状じょうで、積つみ重かさなってグラナと呼よばれる構造こうぞうをなしている。グラナはストロマとつながり、単一たんいつ機能きのうを持もつ構造こうぞうを作つくっている。

チラコイドの構造こうぞう[編集へんしゅう]

チラコイドの構造こうぞう
グラナの透過とうか型がた電子でんし顕微鏡けんびきょう写真しゃしん

チラコイドは膜まくと結合けつごうした構造こうぞうで、葉は緑みどり体たいのストロマに埋うめ込こまれている。

膜まく[編集へんしゅう]

チラコイド膜まくは、直接ちょくせつ埋うめ込こまれた光合成こうごうせい色素しきそ内うちで光化学こうかがく反応はんのうが起おこる場所ばしょである。1nm幅はばの暗くらいバンドと明あかるいバンドが交互こうごに重かさなった模様もようとして見みえる[1]。チラコイドの脂質ししつ二に重層じゅうそうは、原核げんかく生物せいぶつの膜まくや葉は緑みどり体内たいない膜まくと同おなじ性質せいしつを持もっている。例たとえば、チラコイド膜まくやシアノバクテリア、その他たの光合成こうごうせい細菌さいきんの膜まくでは酸性さんせい脂質ししつが見みられ、光合成こうごうせいの機能きのう的てき統合とうごうに関かかわっている[2]。高等こうとう植物しょくぶつのチラコイド膜まくは、主おもにリン脂質ししつと[3]ガラクト脂質ししつが非対称ひたいしょうに配列はいれつして構成こうせいされている[4]。チラコイド膜まくの脂質ししつは、小しょう胞体と色素しきそ体たい包つつみ膜まくの内うち膜まくの脂質ししつ前駆ぜんく体たいを交換こうかんする複雑ふくざつな経路けいろで合成ごうせいされ、内うち膜まくから小しょう嚢を通とおってチラコイドに輸送ゆそうされる[5]。

ルーメン[編集へんしゅう]

チラコイドルーメンは、チラコイド膜まくに結合けつごうした区画くかくである。光合成こうごうせい過程かていでの光ひかりリン酸化さんかに不可欠ふかけつな役割やくわりを果はたす。光化学こうかがく反応はんのうの際さいには、チラコイド膜まくを通過つうかしてルーメン内ないにプロトンが輸送ゆそうされ、pH4まで酸性さんせい化かされる。

グラナ[編集へんしゅう]

グラナは、チラコイドの円盤えんばんが重かさなった構造こうぞうである。葉は緑みどり体たいは1つ当あたり10個こから100個このグラナを持もつ。グラナは、ラメラと呼よばれる細長ほそながく伸のびたチラコイドによって結むすばれている。グラナを構成こうせいするチラコイドとストロマ内ないのチラコイドは、タンパク質たんぱくしつ組成そせいによって区別くべつできる。グラナは、葉は緑みどり体たいが体積たいせきに対たいして大おおきい表面積ひょうめんせきを持もつのに貢献こうけんしている。またチラコイドの電子でんし断層だんそう撮影さつえいの解釈かいしゃくによって、グラナの構造こうぞうについて2つのモデルが作つくられている。どちらも、ラメラはグラナの円盤えんばんの重かさなりと平行へいこうに交差こうさすると仮定かていしているが、グラナの重かさなりの軸じくと垂直すいちょくに交差こうさしているか、それとも右みぎ巻まきのらせんを描えがいているかについて、論争ろんそうがある[6]。

チラコイドの形成けいせい[編集へんしゅう]

葉は緑みどり体たいは、植物しょくぶつが地面じめんから発芽はつがする際さいに色素しきそ体たいから発展はってんしてできる。チラコイドの形成けいせいには光ひかりが必要ひつようである。胚はいの段階だんかいで光ひかりが当あたらないと、色素しきそ体たいは、プロラメラ体たいと呼よばれる半はん結晶けっしょうの膜まく構造こうぞうを持もつエチオプラストになる。光ひかりに曝露ばくろされると、プロラメラ体たいはチラコイドになる。光ひかりの量りょうが不十分ふじゅうぶんだとチラコイドの形成けいせいに失敗しっぱいし、葉は緑みどり体たいができずに植物しょくぶつは死しんでしまう。

チラコイドの形成けいせいには、vesicle-inducing protein in plastids 1 (VIPP1)と呼よばれるタンパク質たんぱくしつの働はたらきが必要ひつようである。このタンパク質たんぱくしつを欠かくと植物しょくぶつは生いきることができず、VIPP1の発現はつげん量りょうを減へらすと光合成こうごうせいの能力のうりょくが落おち、成長せいちょうは遅おそく、色いろは薄うすくなる。VIPP1はチラコイド膜まくの形成けいせいに必要ひつようだと考かんがえられているが、チラコイド膜まく上じょうのタンパク質たんぱくしつ複ふく合体がったいには含ふくまれていない[7]。このタンパク質たんぱくしつは、シアノバクテリア[8]、クラミドモナスのような緑藻りょくそう[9]、シロイヌナズナのような高等こうとう植物しょくぶつ[10]を含ふくむチラコイドを持もつ全すべての生物せいぶつで保存ほぞんされている。

チラコイドの単たん離はなれと分ぶん画が[編集へんしゅう]

チラコイドは、重力じゅうりょく遠心えんしん法ほうと分ぶん画が遠心えんしん法ほうを組くみ合あわせることによって[11]、植物しょくぶつ細胞さいぼうから単たん離はなされる。機械きかいせん断だん力りょくが働はたらくと、ルーメン分ぶん画がが流出りゅうしゅつしてしまい、チラコイドの単たん離はなれは上手うまくいかない。表おもて在ざい性せい膜まくや内在ないざい性せい膜まくは、膜まく画が分ぶんの残ざん渣から抽出ちゅうしゅつされる。炭酸たんさんナトリウムによる処理しょりにより表おもて在ざい性せい膜まくタンパク質たんぱくしつを分離ぶんりし、界面かいめん活性かっせい剤ざいや有機ゆうき溶媒ようばいによる処理しょりにより内在ないざい性せい膜まくタンパク質たんぱくしつを可か溶化することができる。

チラコイドタンパク質しつ[編集へんしゅう]

チラコイドは、内うち腔タンパク質たんぱくしつの他ほかに、多おおくの表おもて在ざい性せい及および内在ないざい性せい膜まくタンパク質たんぱくしつを持もつ。チラコイド画が分ぶんのプロテオーム解析かいせきの研究けんきゅうにより、チラコイドのタンパク質たんぱくしつ組成そせいがより詳細しょうさいに理解りかいされた[12]。これらのデータは、いくつかのオンラインのタンパク質たんぱくしつデータベースで入手にゅうしゅすることができる[13][14]。

これらの研究けんきゅうによると、チラコイドのタンパク質たんぱくしつは少すくなくとも335種類しゅるいから構成こうせいされる。そのうち、89種類しゅるいは内うち腔性、116種類しゅるいは内在ないざい性せい、62種類しゅるいはストロマ側がわの表おもて在ざい性せい、68種類しゅるいはルーメン側がわの表おもて在ざい性せいである。さらに、コンピュータを用もちいた方法ほうほうにより、存在そんざい量りょうの少すくない内うち腔性のタンパク質たんぱくしつが予測よそくされた[11][15]。機能きのう別べつに見みると、42%が光合成こうごうせいに関かかわるもの、11%がフォールディングの際さいのタンパク質たんぱくしつ標的ひょうてきに関かかわるもの、9%が酸化さんかストレスへの応答おうとうに関かかわるもの、8%が翻訳ほんやくに関かかわるものであった[13]。

内在ないざい性せいタンパク質たんぱくしつ[編集へんしゅう]

チラコイド膜まくには、光合成こうごうせいの際さいの光ひかり受容じゅようや光化学こうかがく反応はんのうにおいて重要じゅうような役割やくわりを果はたす内在ないざい性せいタンパク質たんぱくしつが存在そんざいする。主要しゅようなタンパク質たんぱくしつ複ふく合体がったいには、次つぎの4つがある。

光化学こうかがく系けいIIタンパク質たんぱくしつ複ふく合体がったいは、主おもにグラナのチラコイドに、光化学こうかがく系けいIタンパク質たんぱくしつ複ふく合体がったいは主おもにストロマのチラコイドやグラナの外層がいそうに存在そんざいする。シトクロムb6f複ふく合体がったいはチラコイド膜まくに平均へいきん的てきに広ひろがっている。チラコイド膜まく上じょうで2つの光化学こうかがく系けいの存在そんざいする位置いちが離はなれているため、電子でんしの運搬うんぱんが必要ひつようである。このためには、プラストキノンやプラストシアニンが稼働かどう型がた電子でんし運搬うんぱん体たいとなって電子でんしを運はこぶ。プラストキノンは光化学こうかがく系けいIIタンパク質たんぱくしつ複ふく合体がったいからシトクロムb6f複ふく合体がったいまで、プラストシアニンはシトクロムb6f複ふく合体がったいから光化学こうかがく系けいIタンパク質たんぱくしつ複ふく合体がったいまで電子でんしを運搬うんぱんする。

またこれらのタンパク質たんぱくしつは、光ひかりエネルギーによって電子でんし伝達でんたつ系けいを動うごかしてチラコイド膜まくを挟はさんで電気でんき化学かがく的てき勾配こうばいを作つくり出だし、酸化さんか還元かんげん反応はんのうの最終さいしゅう産物さんぶつであるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸さん(NADPH)を作つくり出だす。ATP合成ごうせい酵素こうそは電気でんき化学かがく的てき勾配こうばいを用もちいて、光ひかりリン酸化さんかによりアデノシン三さんリン酸さん(ATP)を作つくり出だす。

光化学こうかがく系けい[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「光化学こうかがく系けい」を参照さんしょう

これらの光化学こうかがく系けいは、光ひかりで稼働かどうする酸化さんか還元かんげん中心ちゅうしんで、それぞれが葉は緑みどり体からだ及およびカロテノイドやフィコビリンタンパク質しつ等ひとしのその他たの光合成こうごうせい色素しきそを用もちいて様々さまざまな周波数しゅうはすうの光ひかりを受容じゅようするアンテナ複ふく合体がったいから構成こうせいされている。アンテナ複ふく合体がったいはそれぞれ250個こから400個この色素しきそ分子ぶんしを持もち、これらが吸収きゅうしゅうするエネルギーはそれぞれの光化学こうかがく系けい中心ちゅうしんが持もつ特殊とくしゅなクロロフィルaに共鳴きょうめい輸送ゆそうされる。反応はんのう中心ちゅうしんの2つのクロロフィルa分子ぶんしのどちらかが光ひかりを吸収きゅうしゅうすると、電子でんしが励起れいきして電子でんし受容じゅよう分子ぶんしに転移てんいする。光化学こうかがく系けいIは、700nmまでの波長はちょうの光ひかりを吸収きゅうしゅうするP700と呼よばれる1対ついのクロロフィルaを持もつ。光化学こうかがく系けいIIは、680nmの波長はちょうの光ひかりを最もっとも良よく吸収きゅうしゅうするP680と呼よばれるクロロフィルを持もつ（これらの波長はちょうは、深紅しんく色しょくである）。Pは色素しきそ(pigment)という言葉ことばを縮ちぢめたものであり、数字すうじはそれぞれの反応はんのう中心ちゅうしんのクロロフィル分子ぶんしが吸収きゅうしゅうする波長はちょうのピークをnm単位たんいで表あらわした値ねである。

シトクロムb6f複ふく合体がったい[編集へんしゅう]

シトクロムb6f複ふく合体がったいは、チラコイドの電子でんし伝達でんたつ系けいの一部いちぶであり、1対ついのプロトンがルーメンの中なかに取とり込こまれる。エネルギー的てきには2つの光化学こうかがく系けいの間あいだに位置いちづけられ、光化学こうかがく系けいII-プラストキノンから光化学こうかがく系けいI-プラストシアニンに電子でんしを転移てんいする。

ATP合成ごうせい酵素こうそ[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「ATP合成ごうせい酵素こうそ」を参照さんしょう

チラコイドのATP合成ごうせい酵素こうそは、ミトコンドリアのATPアーゼと類似るいじしたF1F0-ATP合成ごうせい酵素こうそである。ストロマに突つき出でたチラコイド膜まくのCF-1部位ぶいに埋うめ込こまれている。そのため、ATP合成ごうせいは光合成こうごうせいの暗くら反応はんのうがおこるチラコイドのストロマ側がわで行おこなわれる。

内うち腔性タンパク質たんぱくしつ[編集へんしゅう]

電子でんし伝達でんたつタンパク質たんぱくしつのプラストシアニンはルーメン内ないに存在そんざいし、シトクロムb6f複ふく合体がったいから光化学こうかがく系けいIに電子でんしを輸送ゆそうする。プラストキノンは脂あぶら溶性ようせいでチラコイド膜まく内ないを移動いどうするのに対たいし、プラストシアニンはチラコイドルーメン内ないを移動いどうする。

ルーメンには、光化学こうかがく系けいIIのルーメン側がわとともに水みずを酸化さんかする酸素さんそ発生はっせい複ふく合体がったいも存在そんざいする。

内うち腔性タンパク質たんぱくしつは、ターゲットシグナルに基もとづき、コンピュータで予測よそくすることができる。シロイヌナズナでは、Tatシグナルを処理しょりする最もっとも大おおきいグループでは、19%がタンパク質たんぱくしつプロセシング(タンパク質たんぱくしつ分解ぶんかいやフォールディング)に、18%が光合成こうごうせいに、11%が代謝たいしゃに、7%が酸化さんか還元かんげんの運搬うんぱんや防御ぼうぎょに関与かんよするものだった[11]。

チラコイドタンパク質しつの発現はつげん[編集へんしゅう]

葉は緑みどり体たいは、多数たすうのチラコイドタンパク質しつをコードする独自どくじのゲノムを持もつ。しかし、シアノバクテリアからの色素しきそ体たいの進化しんかの過程かていで、葉は緑みどり体たいゲノムから細胞さいぼう核かくへの広範こうはんの遺伝子いでんし転移てんいが生しょうじた。これにより、チラコイドの4つの主要しゅようなタンパク質たんぱくしつ複ふく合体がったいが、部分ぶぶんごとに葉は緑みどり体たいと細胞さいぼう核かくの両方りょうほうでコードされることになった。植物しょくぶつは、化学かがく量りょう論ろん的てきに適切てきせつな量りょうを発現はつげんし、タンパク質たんぱくしつ複ふく合体がったいを組くみ立たてるため、2つの別々べつべつの器官きかんにコードされる異ことなるサブユニットの発現はつげんを共同きょうどう制御せいぎょする様々さまざまな機構きこうを発展はってんさせてきた。例たとえば、光合成こうごうせい装置そうちの一部いちぶをコードする細胞さいぼう核かくゲノムの転写てんしゃは、光ひかりによって制御せいぎょされる。チラコイドタンパク質しつ複ふく合体がったいの合成ごうせい、維持いじ、分解ぶんかいは、チラコイド膜まくのRedox感受性かんじゅせいキナーゼによるリン酸化さんかによって制御せいぎょされる[16]。葉は緑みどり体たいにコードされるタンパク質たんぱくしつの転写てんしゃ速度そくどは、エピスタシスによって制御せいぎょされる[17]。この機構きこうの中なかには、過剰かじょうのタンパク質たんぱくしつが葉は緑みどり体たいmRNAの5'非ひ転写てんしゃ領域りょういきに結合けつごうすることによるネガティブフィードバックも含ふくまれる[18]。葉は緑みどり体たいには、光化学こうかがく系けいIと光化学こうかがく系けいIIのバランスも重要じゅうようである。チラコイド膜まくの電子でんしを運搬うんぱんするプラストキノンの酸化さんか還元かんげん状態じょうたいは、光化学こうかがく系けいの反応はんのう中心ちゅうしんのタンパク質たんぱくしつをコードする葉は緑みどり体たい遺伝子いでんしの転写てんしゃに直接ちょくせつ影響えいきょうし、電子でんし伝達でんたつ系けいのバランスを調節ちょうせつする[19]。

チラコイドの機能きのう[編集へんしゅう]

チラコイド膜まくにおける光化学こうかがく系けい反応はんのう

チラコイドは光合成こうごうせいの光化学こうかがく反応はんのうが行おこなわれる場所ばしょである。これには、光ひかりによる水みずの酸化さんかと酸素さんその生成せいせい、プロトンと電子でんしの勾配こうばい形成けいせい等とうが含ふくまれる。

水みずの光ひかり分解ぶんかい[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「光ひかり分解ぶんかい」を参照さんしょう

光合成こうごうせいの第だい一いち段階だんかいでは、光ひかりにより水みずを酸化さんかし、電子でんし伝達でんたつ系けいに電子でんしを供給きょうきゅうするとともにプロトン勾配こうばいを形成けいせいする。水みずの開ひらき裂きれ反応はんのうはチラコイド膜まくのルーメン側がわで行おこなわれ、光化学こうかがく系けいによって捕獲ほかくされた光ひかりのエネルギーが用もちいられる。この水みずの酸化さんか反応はんのうによって、細胞さいぼう呼吸こきゅうに不可欠ふかけつな酸素さんそが廃棄はいき物ぶつとして生成せいせいされる。生成せいせいされた酸素さんそ分子ぶんしは、大気たいき中ちゅうに放出ほうしゅつされる。

電子でんし伝達でんたつ系けい[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「電子でんし伝達でんたつ系けい」を参照さんしょう

光合成こうごうせいでは、以下いかの2種類しゅるいの方法ほうほうで電子でんし伝達でんたつが行おこなわれる。

  • 非ひ循環じゅんかん的てき電子でんし伝達でんたつまたは非ひ循環じゅんかん的てき光ひかりリン酸化さんか反応はんのうには、両方りょうほうの光化学こうかがく系けいが関与かんよし、NADPH + H+とATPを生成せいせいする。
  • 循環じゅんかん的てき電子でんし伝達でんたつまたは循環じゅんかん的てき光ひかりリン酸化さんか反応はんのうには、光化学こうかがく系けいIのみが関与かんよし、ATPのみを生成せいせいする。
  • 光化学こうかがく系けいIは、光ひかりエネルギーを用もちいてNADP+をNADPH + H+に還元かんげんする。非ひ循環じゅんかん的てき電子でんし伝達でんたつにも循環じゅんかん的てき電子でんし伝達でんたつにも関与かんよする。循環じゅんかん的てき電子でんし伝達でんたつでは、励起れいき電子でんしが電子でんし伝達でんたつ系けいに伝つたわり、葉は緑みどり体たいに戻もどる。
  • 光化学こうかがく系けいIIは、光ひかりエネルギーを用もちいて水分すいぶん子こを酸化さんかし、電子でんし、プロトン、酸素さんそ分子ぶんしを生成せいせいする。循環じゅんかん的てき電子でんし伝達でんたつのみに関与かんよする。この系けいでは電子でんしは保存ほぞんされず、水分すいぶん子この酸化さんかにより継続けいぞく的てきに供給きょうきゅうされ、NADP+のNADPHへの還元かんげんに消費しょうひされる。

化学かがく浸透しんとう[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「化学かがく浸透しんとう」を参照さんしょう

チラコイド膜まくと光化学こうかがく系けいの主要しゅような役割やくわりは、化学かがく浸透しんとう圧あつを形成けいせいすることである。電子でんし伝達でんたつ系けいでの輸送ゆそうは、電子でんしのエネルギーを用もちいてストロマからラメラにプロトンを能動のうどう輸送ゆそうする。光合成こうごうせいの際さいには、ルーメンはpH4程度ていどの酸性さんせい、ストロマはpH8程度ていどの塩基えんき性せいである。これは、チラコイド膜まくを挟はさんでプロトンの濃度のうどが約やく1万まん倍ばいも違ちがうことを意味いみしている。

プロトン勾配こうばいの原因げんいん[編集へんしゅう]

ルーメンのプロトンの供給きょうきゅう源げんには、主おもに以下いかの3つがある。

  • ルーメン内ないでの光化学こうかがく系けいII複ふく合体がったいによる、水みずの酸素さんそ、電子でんし、プロトンへの光ひかり分解ぶんかい
  • 非ひ循環じゅんかん的てき電子でんし伝達でんたつの際さいの光化学こうかがく系けいIIからプラストキノンへの電子でんしの輸送ゆそうにより、ストロマのプロトンが2つ消費しょうひされる。これは、ルーメン内ないで還元かんげんされたプラストキノンがシトクロムb6f複ふく合体がったいによって酸化さんかされる際さいに解放かいほうされる。
  • 循環じゅんかん的てき電子でんし伝達でんたつの際さいのフェレドキシンによるプラストキノンの還元かんげんによっても、ストロマからルーメンに2つのプロトンが輸送ゆそうされる。

ストロマ内ないでNADPレダクターゼによりNADP+からNADPHを生成せいせいする際さいにもプロトン勾配こうばいが発生はっせいする。

ATP生成せいせい[編集へんしゅう]

葉は緑みどり体内たいないでのATP生成せいせいの分子ぶんし機構きこうは、ミトコンドリア内ないでの機構きこうと類似るいじしており、プロトン駆動くどう力りょくが用もちいられる。しかし、葉は緑みどり体たいではATP合成ごうせいに必要ひつようなポテンシャルエネルギーをプロトン駆動くどう力りょくの化学かがくポテンシャルにより大おおきく依存いぞんしている。プロトン駆動くどう力りょくはプロトン勾配こうばいによるプロトンの化学かがくポテンシャルと膜まくを挟はさんだ電位でんいの総和そうわである。電荷でんかの分離ぶんりによる膜まく電位でんいがかなり大おおきいミトコンドリア内ない膜まくと比くらべ、チラコイド膜まくでは電位でんい勾配こうばいはほとんどない。これを埋うめ合あわせるために、ミトコンドリア内ない膜まくのプロトン勾配こうばいが10倍ばい程度ていどであるのに対たいして、チラコイド膜まくのプロトン勾配こうばいは1万まん倍ばいにも達たっする。結果けっかとしてのルーメンとストロマの間あいだの電気でんき化学かがく的てき勾配こうばいは、ATPシンターゼを用もちいたATP合成ごうせいに十分じゅうぶんなものとなっている。プロトンがATPシンターゼのチャネルを通とおって勾配こうばいに沿そって元もとに戻もどると、ADP + Piが結合けつごうしてATPが生成せいせいする。このような機構きこうで光化学こうかがく反応はんのうはプロトン勾配こうばいを通つうじ、ATP合成ごうせいと協調きょうちょうしている。

シアノバクテリアのチラコイド膜まく[編集へんしゅう]

シアノバクテリア(Synechocystis)に含ふくまれるチラコイド（緑みどり）

シアノバクテリアは、高度こうどに分化ぶんかした膜まく系けいを持もつ光合成こうごうせい原核げんかく生物せいぶつである。シアノバクテリアは内部ないぶにチラコイド膜まくを持もち、そこでは光合成こうごうせいと呼吸こきゅうの電子でんし伝達でんたつが行おこなわれる。別べつの膜まく系けいの存在そんざいもあり、シアノバクテリアは細菌さいきんの中なかでも独特どくとくの細胞さいぼうとなっている。シアノバクテリアは、膜まくの再さい構成こうせい、新あたらしい膜まく脂質ししつの合成ごうせい、正ただしい膜まくへのタンパク質たんぱくしつのターゲッティングが可能かのうなはずである。細菌さいきん外がい膜まく、原はら形質けいしつ膜まく、チラコイド膜まくは、シアノバクテリア細胞さいぼうの中なかでそれぞれが特殊とくしゅな役割やくわりを果はたす。膜まく系けいの組織そしき、機能きのう、タンパク質たんぱくしつ構成こうせい等とうを調しらべることは、シアノバクテリア細胞さいぼう生物せいぶつ学がくの大おおきな課題かだいとして残のこっている[20]。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参照さんしょうテキスト[編集へんしゅう]

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