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コペンハーゲン基準きじゅん

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欧州おうしゅう連合れんごう
欧州連合の旗
欧州おうしゅう連合れんごう政治せいじ

コペンハーゲン基準きじゅん(コペンハーゲンきじゅん)とは、あるくに欧州おうしゅう連合れんごう加盟かめいするのにてきしているかを判断はんだんする基準きじゅん。この基準きじゅんでは加盟かめい希望きぼうするくにたいして民主みんしゅてき統治とうち人権じんけん尊重そんちょうし、市場いちば経済けいざい機能きのうする体制たいせいゆうすることと、欧州おうしゅう連合れんごう義務ぎむ目的もくてきれることをもとめている。この加盟かめい基準きじゅんは1993ねん6がつデンマークコペンハーゲンでの欧州おうしゅう理事りじかいにおいて決定けっていされ、このため加盟かめい基準きじゅんにコペンハーゲンの名前なまえがつけられている。

加盟かめい基準きじゅん[編集へんしゅう]

コペンハーゲン理事りじかいでの議長ぎちょう声明せいめいによると加盟かめい基準きじゅんつぎとおりとなっている。

Membership requires that candidate country has achieved

  • stability of institutions guaranteeing democracy, the rule of law, human rights and respect for and, protection of minorities,
  • the existence of a functioning market economy as well as the capacity to cope with competitive pressure and market forces within the Union.
  • the ability to take on the obligations of membership including adherence to the aims of political, economic and monetary union.

日本語にほんごためしやく加盟かめい候補こうほこく加盟かめい必要ひつよう要件ようけんとして以下いか基準きじゅん達成たっせいしていることがもとめられる。

  • 民主みんしゅ主義しゅぎほう支配しはい人権じんけんマイノリティ尊重そんちょう保護ほご確保かくほする安定あんていした体制たいせいゆうしていること
  • 連合れんごうないにおける経済けいざいてき競争きょうそうりょく市場いちば原理げんりえうる能力のうりょくゆうしていることにくわえ、市場いちば経済けいざい機能きのうしていること
  • 政治せいじ同盟どうめい経済けいざい同盟どうめい通貨つうか同盟どうめいとしての目的もくてき遵守じゅんしゅするなどの、加盟かめいこくとしての義務ぎむうことができること

上記じょうき要件ようけんは1995ねんごろから10年間ねんかんほどをかけて、欧州おうしゅう司法しほう裁判所さいばんしょ欧州おうしゅう人権じんけん裁判所さいばんしょにおける判例はんれいのほか、欧州おうしゅう理事りじかい欧州おうしゅう委員いいんかい欧州おうしゅう議会ぎかいにおける法令ほうれい明文化めいぶんかされつつある。しかしげん加盟かめいこくにおいて解釈かいしゃく若干じゃっかん齟齬そごられることがある。

また、加盟かめい基準きじゅん以下いかの3つの文書ぶんしょにおいてさだめられている。

  • 1992ねん署名しょめい欧州おうしゅう連合れんごう条約じょうやくだいOじょう - 地理ちりてき要件ようけんおよび全般ぜんぱんてき方針ほうしんかんする要件ようけん
  • 1993ねん6がつのコペンハーゲン欧州おうしゅう理事りじかいにおける宣言せんげん(コペンハーゲン基準きじゅん) - より詳細しょうさい全般ぜんぱんてき方針ほうしん記述きじゅつされている、
    • 政治せいじてき要件ようけん
    • 経済けいざいてき要件ようけん
    • 法令ほうれいじょう要件ようけん
  • 加盟かめい候補こうほこくごとの交渉こうしょうにおける枠組わくぐ文書ぶんしょ
    • 個別こべつ特有とくゆう詳細しょうさい状況じょうきょう
    • 欧州おうしゅう連合れんごう自体じたい加盟かめい能力のうりょく十分じゅうぶんにあり、態勢たいせいととのっていると判断はんだんされるまで、新規しんき加盟かめいこく連合れんごうないにおいて加盟かめいこくとしての地位ちいることができないと協調きょうちょうしている文書ぶんしょ

1993ねんにコペンハーゲン基準きじゅん合意ごういされたさい既存きそん加盟かめいこくがこの基準きじゅん遵守じゅんしゅしていることを確認かくにんするための仕組しくみがなかった。しかしオーストリアのイェルク・ハイダーひきいる自由党じゆうとう政権せいけんたいする欧州おうしゅう連合れんごう制裁せいさい合意ごういされたことにより、現在げんざいでは上記じょうき加盟かめい基準きじゅん遵守じゅんしゅ確保かくほするためのめが導入どうにゅうされている。この合意ごういは2003ねん2がつ1にちニース条約じょうやく規定きていにより効力こうりょくつようになった。

加盟かめい候補こうほこくとの協議きょうぎ機関きかんにおいて、コペンハーゲン基準きじゅんたすことにけた進展しんてんじょうきょう定期ていきてき査定さていされる。この査定さていもとづいて加盟かめい是非ぜひ時期じき、または加盟かめい可能かのうになるまえ必要ひつよう措置そちかんして決定けっていがなされる。

地理ちりてき要件ようけん[編集へんしゅう]

1992ねん署名しょめい欧州おうしゅう連合れんごう条約じょうやくだいOじょう現在げんざいだい49じょう)では、欧州おうしゅう連合れんごう原則げんそく尊重そんちょうするヨーロッパくに加盟かめい申請しんせいすることができるとうたわれている。欧州おうしゅう連合れんごう拡大かくだいかんしてヨーロッパ以外いがいくにについては言及げんきゅうされていないが、モロッコ加盟かめい申請しんせい却下きゃっか決定けっていイスラエルとの密接みっせつ関係かんけいを「完全かんぜん加盟かめい資格しかくゆうしていないだけ」 (just short of full membership) としていることから、ヨーロッパ以外いがいくに欧州おうしゅう連合れんごう加盟かめいないことがわかる。しかしヨーロッパの定義ていぎについてはさまざまなものがあり、あるくにがヨーロッパのくにであるかどうかの判断はんだん欧州おうしゅう委員いいんかいや、より重要じゅうようなものとしては欧州おうしゅう理事りじかいでなされる。ヨーロッパであるかかの欧州おうしゅう連合れんごう内部ないぶ分別ふんべつは、まったくというものではないが、欧州おうしゅう評議ひょうぎかい分別ふんべつ類似るいじしている。ヨーロッパであるかどうかについてキプロス事例じれいでいくつか議論ぎろんこっており、キプロスとう地理ちりてきにはアジアぞくしているが、広範こうはん分野ぶんやにおいて歴史れきしてきにも、文化ぶんかてきにも、政治せいじてきにもほかのヨーロッパ諸国しょこくとの関係かんけいつよく、このことから地理ちりてき位置いちとは関係かんけいなく、キプロスはヨーロッパのくにかんがえられることがおおい。またヨーロッパ以外いがいにある加盟かめいこく領域りょういきについても欧州おうしゅう連合れんごう領域りょういきとすることがあり、たとえばみなみアメリカ大陸あめりかたいりくにあるフランスりょうギアナフランス海外かいがい地域ちいきけんとして欧州おうしゅう連合れんごう領域りょういきふくめられる。グリーンランドきたアメリカ大陸あめりかたいりくふくまれる地域ちいき一部いちぶかんがえられているが、1973ねんにデンマークの海外かいがいぐんとして欧州おうしゅう経済けいざい共同きょうどうたい加入かにゅうしたものの、自治じちけんた4ねんの1983ねん住民じゅうみん投票とうひょう実施じっしして共同きょうどうたいから離脱りだつしている。

ヨーロッパの境界きょうかいせんいちれい[よう出典しゅってん]
  ヨーロッパ
  ヨーロッパに領土りょうどくにのアジアの部分ぶぶん
  文化ぶんか歴史れきしめんでヨーロッパと判断はんだんされるくに地域ちいき

トルコ国土こくどの3%にあたるひがしトラキア地方ちほう地理ちりてきにヨーロッパにふくまれていることから、トルコ自体じたいもまたヨーロッパのくにとすることができるかについて議論ぎろんさかんにおこなわれている。既存きそん加盟かめいこくがトルコの加盟かめい手続てつづきをすすめることに不満ふまんいているが、これは国民こくみんの90%以上いじょうムスリムであるくにがヨーロッパのアイデンティティであるキリスト教きりすときょう基本きほんてきかんがかたしたがうことができるのか疑問ぎもんかんじているという意見いけんがある。このほかにもトルコにたいして障害しょうがいとなる経済けいざい政治せいじかんするおおくの争点そうてんがある。欧州おうしゅう連合れんごうは2005ねん10がつ3にちにトルコ政府せいふ加盟かめい協議きょうぎ開始かいししているが、同日どうじつ採択さいたくされたトルコの加盟かめい協議きょうぎかんする枠組わくぐ文書ぶんしょでは、加盟かめい協議きょうぎ過程かてい公開こうかいされ、また事前じぜん先行さきゆきの保障ほしょうはできないとされている。

拡大かくだいすすめようとするもののおおくは、アレクサンドロス3せいからオスマン帝国ていこくまでのアナトリアとヨーロッパのあいだでの歴史れきしには広範囲こうはんいにわたって関連かんれんせいがあり、地理ちりてき議論ぎろんというのは本質ほんしつてきなものではないと主張しゅちょうしている。

ヨーロッパのくに加盟かめいこくになりえないとされているが、そのようなくに国際こくさい協定きょうていによって欧州おうしゅう連合れんごうとのさまざまな交流こうりゅうによる恩恵おんけいけている。欧州共同体おうしゅうきょうどうたい加盟かめいこく一体いったいてきに、あるいは個別こべつてきだい3こくとの協定きょうていむすぶことにくわえて、欧州おうしゅう近隣きんりん政策せいさくをはじめとするより具体ぐたいてき協力きょうりょく関係かんけい発展はってんしている。欧州おうしゅう近隣きんりん政策せいさく欧州おうしゅう連合れんごう地中海ちちゅうかい沿岸えんがん諸国しょこくとの関係かんけい枠組わくぐみとなっていたバルセロナ・プロセスわってされたものであり、バルカン西部せいぶにおける安定あんてい連合れんごうプロセス欧州おうしゅう経済けいざい領域りょういきとはことなるものである。ロシアは欧州おうしゅう近隣きんりん政策せいさく対象たいしょうではなく、べつ枠組わくぐみのなか協力きょうりょく関係かんけい構築こうちくしている。これらのことから欧州おうしゅう近隣きんりん政策せいさくちか将来しょうらいにおける欧州おうしゅう連合れんごう境界きょうかいせん画定かくていするものとして認識にんしきされうるものになる。

政治せいじてき基準きじゅん[編集へんしゅう]

民主みんしゅ主義しゅぎ[編集へんしゅう]

民主みんしゅてき統治とうち機能きのうしているとされるには、そのくに市民しみん地方ちほう行政ぎょうせいから国家こっかレベルまでにいたるあらゆる統治とうち行為こういかんする政治せいじ決定けっていさいして、平等びょうどう地位ちいもとづいて参加さんかすることがもとめられる。また秘密ひみつ投票とうひょうによる自由じゆう選挙せんきょや、執行しっこう機関きかんたいしてほうがその権限けんげん制約せいやくあたえ、また行政ぎょうせいけんから独立どくりつした司法しほう自由じゆう接触せっしょくすることができることも民主みんしゅ主義しゅぎにおいてかせない要件ようけんとなっている。

ほう支配しはい[編集へんしゅう]

ほう支配しはいとは、統治とうち機構きこうはその行為こうい明文化めいぶんかされたほうしたがっているときにのみゆるされるというものであり、またそのほう正当せいとう手続てつづきで採択さいたくされたものでなければならない。この原則げんそく個々ここにおいて独裁どくさい支配しはいふせ措置そちとされている。

人権じんけん[編集へんしゅう]

人権じんけんとは、ひとがそれぞれと人間にんげんとしての性質せいしつのためにゆうする権利けんりであり、それは不可侵ふかしんで、すべての人間にんげんあたえられたものである。ある権利けんり侵害しんがいされないということは、その権利けんりあたえられるものでも、みとめられるものでも、制限せいげんされるものでも、交換こうかんされるものでも、はらわれるものでもないということを意味いみする。これらの人権じんけんにはきる権利けんり違反いはん行為こういおこなった時点じてん存在そんざいするほうでしか訴追そついされない権利けんり奴隷どれいてきあつかいをけない権利けんり拷問ごうもんけない権利けんりふくまれる。

国際こくさい連合れんごう世界せかい人権じんけん宣言せんげん人権じんけんについて規定きていした文書ぶんしょにおいてもっと尊重そんちょうされるものとされているが、欧州おうしゅう人権じんけん条約じょうやく人権じんけん基本きほんてき自由じゆう保護ほごのための条約じょうやく)のように強制きょうせいりょくのある仕組しくみはたない。欧州おうしゅう人権じんけん条約じょうやく規定きてい沿うようにするため、近年きんねん欧州おうしゅう連合れんごう加盟かめいした一部いちぶくに立法りっぽう行政ぎょうせい司法しほう制度せいどにおいて大幅おおはば変更へんこうをなすことがもとめられた。その変更へんこうには民族みんぞくてき、あるいは宗教しゅうきょうてきなマイノリティのあつかいや政治せいじ基盤きばんちがいによるあつかいの差別さべつ撤廃てっぱいがある。

マイノリティの尊重そんちょう保護ほご[編集へんしゅう]

各国かっこくないのマイノリティとされる人々ひとびとは、言語げんごといった独特どくとく文化ぶんか慣習かんしゅうについて、他者たしゃ人権じんけんはんすることなくまた民主みんしゅ主義しゅぎほう支配しはい理念りねんはんしないかぎりにおいて、差別さべつけることがないようにされなければならない。

マイノリティ問題もんだいかんする欧州おうしゅう評議ひょうぎかい条約じょうやく解決かいけつけておおきな役割やくわりっていた。ところがこの分野ぶんや繊細せんさいなものであるため、条約じょうやくではマイノリティそのものの明確めいかく定義ていぎをもたらすことができなかった。結果けっか調印ちょういんこくおおくが自国じこくないのマイノリティにかんする説明せつめいぶん署名しょめいえるかたちをとった。以下いか民族みんぞくてきマイノリティの保護ほごかんする枠組わくぐ条約じょうやく署名しょめい[1]付記ふきされた各国かっこくないのマイノリティの一部いちぶれいである。

このほかにもどう条約じょうやく調印ちょういんこくはあるが、自国じこくないにはマイノリティと定義ていぎされるものはいないとしている。

法律ほうりつ学者がくしゃ構成こうせいされるヴェネツィア・グループでは、この条約じょうやくでは、独特どくとく集団しゅうだんとして位置いちづけられ、ある明確めいかく分野ぶんやにおいて歴史れきし集団しゅうだん現在げんざいでは歴史れきしてき重要じゅうようとされるマイノリティを構成こうせいし、また居住きょじゅうするくに安定あんていした友好ゆうこうてき関係かんけい維持いじする民族みんぞく言語げんご宗教しゅうきょうにおいて独特どくとくである人々ひとびとについて言及げんきゅうしているという認識にんしき一致いっちしている。一方いっぽう学者がくしゃくに一部いちぶには民族みんぞくについてさらにこの範囲はんい拡大かくだいするべきであるというかんがえがある。しかし移民いみんのような近年きんねんのマイノリティについては、この条約じょうやくないでいずれの調印ちょういんこくれていない。

経済けいざいてき基準きじゅん[編集へんしゅう]

経済けいざいてき基準きじゅん一般いっぱんてきわれているのが、加盟かめい候補こうほこくには機能きのうしている市場いちば経済けいざいゆうしていること、国内こくない生産せいさん事業じぎょうしゃ連合れんごうない競争きょうそう市場いちば圧力あつりょく対応たいおうしうることがもとめられている。

法令ほうれい調整ちょうせい[編集へんしゅう]

厳密げんみつにはコペンハーゲン基準きじゅんもとめられていることではないが、加盟かめい見込みこんでいるくには、過去かこ連合れんごうない制定せいていされたほう総体そうたいけいであるアキ・コミュノテール沿うための法令ほうれい整備せいびしなければならない。加盟かめいけてアキ・コミュノテールは複数ふくすうしょうけられ、それぞれがことなる政策せいさく分野ぶんやてられる。2007ねんブルガリアとルーマニアの加盟かめいとなるだい5拡大かくだいさいには31のしょうけられて国内こくないほう欧州おうしゅう連合れんごうほう整合せいごうせいについて精査せいさされた。クロアチアマケドニア共和国まけどにあきょうわこく、トルコについては35のしょうけられている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Framework Convention for the Protection of National Minorities CETS No.: 157 欧州おうしゅう評議ひょうぎかい英語えいごほかフランス語ふらんすご、ドイツ、イタリア、ロシア

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]