ゴールコンダ王国おうこく

ゴールコンダ王国おうこく

سلطنت قطب شاهی

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1518年ねん - 1687年ねん

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（国旗こっき）

公用こうよう語ご	ペルシア語ご
首都しゅと	ゴールコンダ ハイダラーバード
スルタン 1518年ねん - 1543年ねん スルターン・クリー・クトゥブ・シャー 1672年ねん - 1687年ねん アブル・ハサン・クトゥブ・シャー 変遷へんせん 1518年ねん 成立せいりつ 1687年ねん 滅亡めつぼう
現在げんざい	インド

ゴールコンダ王国おうこく（ゴールコンダおうこく、英えい: Golconda Sultanate）は、16世紀せいき初頭しょとうから17世紀せいき末すえにかけてインドのデカン地方ちほうに存在そんざいした、バフマニー朝あさが分裂ぶんれつしてできたデカン・スルターン朝あさのひとつであるイスラーム王朝おうちょう。クトゥブ・シャーヒー朝あさ（英えい: Qutb Shahi dynasty）とも呼よばれる。首都しゅとはゴールコンダ、ハイダラーバード。

歴史れきし

建国けんこく

ゴールコンダ要塞ようさいから王おう陵墓りょうぼを望のぞむ

デカン高原こうげん一帯いったいを支配しはいしたバフマニー朝あさ、その13代目だいめの王おうムハンマド・シャー3世せいの統治とうち期き（1493年ねん）に、テランガーナ地方ちほうで問題もんだいが発生はっせいしたためスルターン・クリー・クトゥブル・ムルクが同どう地方ちほうの総督そうとくとして派遣はけんされた。クリー・クトゥブル・ムルクは、続つづくマフムード・シャーからも幾いくつかの称号しょうごうを授さづけられ、バフマニー朝あさの宰相さいしょうとなった。

1518年ねん、彼かれは独立どくりつを宣言せんげんしてゴールコンダ王国おうこくをうちたてた。そして、王国おうこくの首都しゅとをゴールコンダに定さだめ、カーカティーヤ朝あさ期きの古ふるぼけた泥どろの砦とりでを強固きょうこな石いしのゴールコンダ要塞ようさい都市としとして再さい造営ぞうえいした。彼かれの後継こうけい者しゃもその事業じぎょうを受うけ継つぎ、数すう多おおくの強固きょうこな増築ぞうちくがなされた。

内乱ないらん

クリー・クトゥブ・シャーは1543年ねんにジャムシード・クリー・クトゥブ・シャー（在位ざいい1543年ねん - 1550年ねん）に殺害さつがいされた。しかし、1550年ねんジャムシードが死しぬと、その息子むすこスブハーン・クリー・クトゥブ・シャー（在位ざいい1550年ねん）はヴィジャヤナガル王国おうこくに亡命ぼうめいしていたジャムシードの弟おとうとイブラーヒーム・クリー・クトゥブ・シャー（在位ざいい1550年ねん - 1580年ねん）に討うたれた。

最盛さいせい期き

ムハンマド・クリー・クトゥブ・シャーの肖像しょうぞう

16世紀せいき後半こうはんヴィジャヤナガル王国おうこくが圧迫あっぱくしてくると、イブラーヒーム・クリー・クトゥブ・シャーはほかのムスリム5王国おうこくと同盟どうめいし、1565年ねんヴィジャヤナガル王国おうこく軍ぐんをターリコータの戦たたかいで撃破げきはした。

1580年ねんイブラーヒームが死しぬと、息子むすこのムハンマド・クリー・クトゥブ・シャー（在位ざいい1580年ねん - 1612年ねん）が王おうとなった。この王おうの治世ちせい下かは、長ながらく平和へいわで繁栄はんえいに満みちたものである一方いっぽう、衰退すいたいするヴィジャヤナガル王国おうこくの領土りょうどにもたびたび侵入しんにゅうした。まさに、ゴールコンダ王国おうこくの絶頂ぜっちょう期きをもたらした王おうとされる。

1589年ねん、ムハンマド・クリー・クトゥブ・シャーは、ムーシー川がわ周辺しゅうへんが豊ゆたかな緑みどりに覆おおわれた土地とちであることに目めをつけ、そこをゴールコンダ王国おうこくの王おう都とに定さだめた。有名ゆうめいない伝いつたえによると、そこにはチチェラムという村むらが存在そんざいしたが（チャール・ミナールがあるあたり）、彼かれはこの新あたらしい王おう都との名なを、愛あいしてやまなかった美うつくしい踊おどり子こであるバーグマティーにちなんで、バーグナガルと命名めいめいした。王おうからのこの贈おくり物ものに驚おどろいた彼女かのじょは、ムスリムに改宗かいしゅうして、自身じしんの名なをハイダル・マハルという以前いぜんと全まったく異ことなるムスリム名めいに改あらためた。しかし、王おうはめげることなく王おう都との名なをハイダラーバード（すなわち「ハイダルの町まち」）と改あらためた。

1611年ねんに王おうが没ぼっすると、甥おいのスルターン・ムハンマド・クトゥブ・シャー（在位ざいい1612年ねん - 1626年ねん）が王座おうざを引ひき継つぎ、1614年ねんにヴィジャヤナガル王おうヴェンカタ2世せいが死しぬと、彼かれは王族おうぞく間あいだの内乱ないらんにも介入かいにゅうするなど、ヴィジャヤナガル王国おうこくに対たいしての圧迫あっぱくを強つよめている（トップールの戦たたかいなど）。

衰退すいたいと滅亡めつぼう

アブル・ハサン・クトゥブ・シャー

1626年ねんにスルターン・ムハンマド・クトゥブ・シャーが没ぼっすると、ムガル帝国ていこくの圧迫あっぱくによりゴールコンダ王国おうこくは徐々じょじょに衰退すいたいへと向むかっていくが、滅亡めつぼうまでにはさらに60年ねんの歳月さいげつを要ようし、二人ふたりの王おう－アブドゥッラー・クトゥブ・シャー（在位ざいい1626年ねん-1672年ねん）（スルターン・ムハンマドの息子むすこ）、およびアブル・ハサン・クトゥブ・シャー（在位ざいい1672年ねん－1687年ねん）（アブドゥッラーの娘むすめ婿むこであり、そしてゴールコンダ王国おうこく初代しょだいの従兄弟いとこの曾孫そうそん）がこの王国おうこくの末期まっきを飾かざった。

ムガル帝国ていこくの版図はんと拡大かくだい政策せいさくにより、1687年ねんゴールコンダ王国おうこくはアウラングゼーブ皇帝こうてい指揮しきの第だい三さん次じ遠征えんせい軍ぐんの大だい攻撃こうげきをうけた。ゴールコンダ王国おうこく軍ぐんは、難攻不落なんこうふらくのゴールコンダ要塞ようさいに篭城ろうじょうして、長期ちょうきにわたる包囲ほうい攻おさむ城しろ戦せんをよく持もちこたえていた。しかし、アフガニスタン戦士せんしアブドゥッラー・ハーンの裏切うらぎりにより戦局せんきょくは一転いってん。彼かれは遠征えんせい軍ぐんに内通ないつうし、同年どうねん（1687年ねん）9月21日にち早朝そうちょうに、守備しゅび兵員へいいんが手薄てうすとなっていたキールキー城門じょうもんから、密ひそかにムガル帝国ていこく軍ぐんを迎むかえ入いれた。ゴールコンダ王国おうこく守備しゅび軍ぐんは、完全かんぜんに無防備むぼうびを襲おそわれ、防御ぼうぎょ線せんを瞬しばたく間あいだに破やぶられてしまう。かくしてゴールコンダ要塞ようさいは、この年としついにアウラングゼーブ帝みかど遠征えんせい軍ぐんのまえに陥落かんらくする。これは、同時どうじにゴールコンダ王国おうこくの滅亡めつぼうでもあった。

王おうたちの偉業いぎょう

ゴールコンダ王国おうこくの統治とうち期きは、アーンドラ・プラデーシュ州しゅうにおける建築けんちくおよび芸術げいじゅつの黄金おうごん時代じだいであった。歴代れきだいゴールコンダ王国おうこくの王おうたちは偉大いだいな建築けんちく家かであり、また建設けんせつをこよなく愛あいしていた。彼かれらの統治とうち期きに、数かぞえ切きれない宮殿きゅうでんや邸宅ていたく（後ごのムガル帝国ていこく遠征えんせい軍ぐんにより徹底的てっていてきに破壊はかいされ、灰燼かいじんと帰かえしたが）、壮麗そうれいなモスク、そして数かぞえきれないほどの湖みずうみや溜池ためいけが造営ぞうえいされた。これらは18世紀せいきに帝国ていこくから独立どくりつしたニザーム王国おうこくのもとで活躍かつやくした。

また王国おうこく中葉ちゅうようの王おうは、アーンドラ・プラデーシュ州しゅうの在来ざいらい言語げんごであるテルグ語ごを保護ほごし、教養きょうよう階級かいきゅうの公用こうよう語ごであったアラビア語ご、ペルシア語ご、およびウルドゥー語ごと同様どうように奨励しょうれいしたことでも知しられる。

歴代れきだい君主くんしゅ

1. スルターン・クリー・クトゥブ・シャー（在位ざいい：1518年ねん - 1543年ねん）
2. ジャムシード・クリー・クトゥブ・シャー（在位ざいい：1543年ねん - 1550年ねん）
3. スブハーン・クリー・クトゥブ・シャー（在位ざいい：1550年ねん）
4. イブラーヒーム・クリー・クトゥブ・シャー（在位ざいい：1550年ねん - 1580年ねん）
5. ムハンマド・クリー・クトゥブ・シャー（在位ざいい：1580年ねん - 1612年ねん）
6. スルターン・ムハンマド・クトゥブ・シャー（在位ざいい：1612年ねん - 1626年ねん）
7. アブドゥッラー・クトゥブ・シャー（在位ざいい：1626年ねん - 1672年ねん）
8. アブル・ハサン・クトゥブ・シャー（在位ざいい：1672年ねん - 1699年ねん）

参考さんこう文献ぶんけん

• 小谷おたに汪ひろし之これ『世界せかい歴史れきし大系たいけい 南みなみアジア史し2―中世ちゅうせい・近世きんせい―』山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ、2007年ねん。 

関連かんれん項目こうもく

• デカン・スルターン朝あさ