15世紀 せいき に描 えが かれた(悪魔 あくま のカードを除 のぞ く)ヴィスコンティ・スフォルツァ版 ばん デッキ
タロット (英 えい :tarots [tǽrou] 、伊 い :tarocchi)、あるいはタロットカード は遊戯 ゆうぎ や占 うらな い (タロット占 うらな い )などに使用 しよう されるカード である。
現代 げんだい ではタロットは、78枚 まい 1組 くみ が一般 いっぱん 的 てき で、寓意 ぐうい 画 が が描 えが かれた22枚 まい の大 だい アルカナ (絵 え 札 さつ 、トランプのカード)と、ワンド (棍棒 こんぼう )、カップ (杯 はい )、ソード (剣 けん )、ペンタクル (五 ご 芒 すすき 星 ぼし )のスート (マーク)の4組 くみ に分割 ぶんかつ される56枚 まい の小 しょう アルカナ (数 かず 札 さつ )で構成 こうせい される。
タロットは中世 ちゅうせい 末期 まっき にイタリアで生 う まれた貴族 きぞく の遊 あそ び道具 どうぐ 、賭博 とばく 用品 ようひん で、印刷 いんさつ 技術 ぎじゅつ の発展 はってん に伴 ともな い、南 みなみ フランスやドイツにも広 ひろ まったとされる。ローカルゲームとしてある程度 ていど の人気 にんき があった。
近世 きんせい になると、寓意 ぐうい 札 さつ と数 かず 札 さつ の組 く み合 あ わせに様々 さまざま な神秘 しんぴ 性 せい を見出 みいだ す人々 ひとびと が登場 とうじょう し、ひらめきによってタロットのエジプト起源 きげん 説 せつ を唱 とな えた、パリの百科全書 ひゃっかぜんしょ 派 は の学者 がくしゃ でフリーメーソン のメンバー、フランツ・アントン・メスメル の動物 どうぶつ 磁気 じき 説 せつ (メスメリズム)の熱心 ねっしん な信奉 しんぽう 者 しゃ だったアントワーヌ・クール・ド・ジェブラン (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) や、同 おな じくエジプト起源 きげん 説 せつ を唱 とな え、タロット全体 ぜんたい をヒエログリフ で書 か かれた古代 こだい エジプトのトートの書 しょ と捉 とら えたド・メレ伯爵 はくしゃく 等 とう のフランス人 じん のタロット論 ろん が決定的 けっていてき な役割 やくわり を果 は たし、ゲームの道具 どうぐ だったタロットは神秘 しんぴ 化 か され、オカルト的 てき なものに変容 へんよう していった。彼 かれ らのエジプト起源 きげん 説 せつ は根拠 こんきょ はなかったが、この後 のち タロットに(かなり強引 ごういん に)重 かさ ね合 あ わされた神秘 しんぴ 的 てき 解釈 かいしゃく の要素 ようそ の多 おお くが含 ふく まれており、この後 のち に続 つづ く者 もの 達 たち は、二人 ふたり の説明 せつめい 不足 ふそく な部分 ぶぶん を埋 う めるように、タロットの象徴 しょうちょう に関 かん して自由 じゆう に発想 はっそう (妄想 もうそう )を膨 ふく らませていった。彼 かれ らが想像 そうぞう したタロット観 かん は、エッティラ (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) (エテイヤ)等 とう の占 うらな い師 し たちに大 おお きな影響 えいきょう を与 あた え、エッティラはド・メレが提示 ていじ した占 うらな いの道具 どうぐ としての面 めん を強調 きょうちょう し、現代 げんだい まで続 つづ く「カード占 うらな い」の伝統 でんとう を確立 かくりつ し、オカルト 的 てき な思想 しそう の媒体 ばいたい としてのタロット観 かん を示 しめ した。彼 かれ らは、太古 たいこ に起源 きげん を持 も つタロットは、特別 とくべつ な理解 りかい 力 りょく と洞察 どうさつ 力 りょく を持 も つ人々 ひとびと だけが到達 とうたつ できる秘密 ひみつ の智恵 ちえ を含 ふく むものだと主張 しゅちょう し、こうして単 たん なる遊 あそ びの道具 どうぐ だったタロットは、18世紀 せいき 後半 こうはん 以降 いこう 「ありとあらゆる神秘 しんぴ 的 てき 教義 きょうぎ の秘匿 ひとく と開示 かいじ を担 にな うシンボル 集成 しゅうせい 、さらには人間 にんげん の運命 うんめい を見通 みとお すことを可能 かのう にする魔術 まじゅつ の道具 どうぐ 」となっていった。このような神秘 しんぴ 的 てき な意味 いみ 付 づ けの行為 こうい は、フランス革命 かくめい 後 ご のフランスで、政治 せいじ 的 てき ・経済 けいざい 的 てき 基盤 きばん を失 うしな った貴族 きぞく ・知識 ちしき 階級 かいきゅう が、自分 じぶん たちは霊的 れいてき な秘密 ひみつ に通 つう じており今 いま もエリートなのだと主張 しゅちょう し、特権 とっけん 的 てき な立場 たちば を保 たも とうとする努力 どりょく の一部 いちぶ だった。
エッティラの系統 けいとう の「エジプト・タロット」とそのヴァリエーションは生産 せいさん され続 つづ け、19世紀 せいき 末 まつ 西洋 せいよう のオカルティズム隆盛 りゅうせい の中 なか で存在 そんざい 感 かん を獲得 かくとく していった。19世紀 せいき のオカルティストのエリファス・レヴィ は、タロットは占 うらな いの道具 どうぐ というより「古代 こだい の書物 しょもつ 」であり、「神秘 しんぴ を解 と き明 あ かす鍵 かぎ 」であると主張 しゅちょう し、22枚 まい の寓意 ぐうい 札 さつ と22のヘブライ文字 もじ の照応 しょうおう を提唱 ていしょう し、動物 どうぶつ 磁気 じき 説 せつ に影響 えいきょう を受 う けたアストラル光 こう (星 ほし 気 き 光 こう )の理論 りろん と関連付 かんれんづ け、タロットを魔術 まじゅつ と結 むす びつけ、タロットはカバラと関連付 かんれんづ けられることで心身 しんしん 変容 へんよう 法 ほう のツールという面 めん を持 も つようになり、オカルトの文脈 ぶんみゃく の中 なか に置 お かれるようになった。
イギリスでは19世紀 せいき 初頭 しょとう から魔術 まじゅつ 書 しょ の出版 しゅっぱん が盛 さか んで、オカルト知識 ちしき の普及 ふきゅう が進 すす んでいたが、フランスで発展 はってん したオカルト・タロットについては知 し られていなかった。フリーメイソン的 てき 薔薇 ばら 十 じゅう 字 じ 思想家 しそうか のイギリス人 じん ケネス・マッケンジー (英語 えいご 版 ばん ) がエリファス・レヴィに様々 さまざま な図版 ずはん やタロットを見 み せてもらい、オカルト・タロットをイギリスに紹介 しょうかい しようとタロット本 ほん の準備 じゅんび を進 すす めたが、実現 じつげん することなく死去 しきょ し、彼 かれ が残 のこ した暗号 あんごう で書 か かれたタロット原稿 げんこう と儀式 ぎしき 群 ぐん は、フリーメイソン系 けい の薔薇 ばら 十 じゅう 字 じ 団体 だんたい のメンバーの友人 ゆうじん ウィリアム・ウィン・ウェストコット の手 て に渡 わた り、「暗号 あんごう 文書 ぶんしょ 」として黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん の創立 そうりつ の土台 どだい になり、ここに書 か かれたタロットとヘブライ文字 もじ の照応 しょうおう 関係 かんけい は結社 けっしゃ の秘伝 ひでん となり、団員 だんいん たちはタロットを発展 はってん させ、広 ひろ めていった。現在 げんざい 最 もっと もポピュラーなウェイト=スミス版 ばん タロット も、アレイスター・クロウリー のトート・タロット もこの系譜 けいふ にあり、現代 げんだい の定番 ていばん の占 うらな い方 かた である「ケルト十字 じゅうじ 展開 てんかい 法 ほう 」にも黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん が関 かか わっている。
タロットは現代 げんだい では、占 うらな いやオカルト的 てき な目的 もくてき に幅広 はばひろ く使 つか われるようになり、一部 いちぶ のオカルト探究 たんきゅう 者 しゃ だけでなく、新 しん 時代 じだい のスピリチュアリティ の表現 ひょうげん として広 ひろ い層 そう に受 う け入 い れられ、人気 にんき が高 たか い。多種 たしゅ 多様 たよう な商品 しょうひん パックが販売 はんばい されているが、その殆 ほとん どはキリスト教 きりすときょう の聖書 せいしょ の物語 ものがたり の絵 え を描 えが いたもので、ユング心理 しんり 学 がく における元 もと 型 かた と類似 るいじ 点 てん が多 おお いテーマ周辺 しゅうへん でカードが構成 こうせい されている。そのため占 うらな いだけでなく、セラピーの道具 どうぐ としても発達 はったつ しており、おそらくセラピーとしての使用 しよう が最 もっと も一般 いっぱん 的 てき となっている。
タロットの起源 きげん を古代 こだい バビロン や古代 こだい エジプト の伝説 でんせつ 上 じょう のヘルメス・トリスメギストス (トート)やユダヤ教 きょう 神秘 しんぴ 主義 しゅぎ のカバラ に求 もと める説 せつ もあり、はるか古代 こだい の英知 えいち を寓意 ぐうい の形 かたち で紹介 しょうかい したものだと主張 しゅちょう する占 うらな い入門 にゅうもん 書 しょ も多 おお かったが、学術 がくじゅつ 的 てき な根拠 こんきょ は無 な い。20世紀 せいき 後半 こうはん の地道 じみち な実証 じっしょう 的 てき 研究 けんきゅう でタロットの概略 がいりゃく はほぼ解明 かいめい されており、夢幻 むげん 的 てき な起源 きげん 説 せつ は、18世紀 せいき 後半 こうはん 以降 いこう に誤解 ごかい と一種 いっしゅ のファンタジー、想像 そうぞう や妄想 もうそう によって後 のち 付 つ けされたものであることが分 わ かっている。
エジプト起源 きげん 説 せつ を唱 とな えたのは、ジェブランやド・メレであるが、彼 かれ らの主張 しゅちょう は実質 じっしつ 的 てき な内容 ないよう が薄 うす く、根拠 こんきょ を示 しめ そうという姿勢 しせい もほとんどなかった。カバラを起源 きげん と主張 しゅちょう したのはエリファス・レヴィであるが、彼 かれ のタロットに関 かん する歴史 れきし 観 かん は全 まった く実証 じっしょう 性 せい がなく、最初 さいしょ エジプト起源 きげん 説 せつ を支持 しじ し、後 のち にカバラ起源 きげん 説 せつ を唱 とな えたが、どちらの説 せつ も今日 きょう では証拠 しょうこ に欠 か けるとして否定 ひてい されている。1425年 ねん 頃 ごろ にタロットを作 つく ったとされるイタリアのキリスト教徒 きりすときょうと たちは、カバラと全 まった く関係 かんけい がなく、また、カバラの文献 ぶんけん にもタロットへの言及 げんきゅう はなく、今日 きょう のユダヤ教徒 きょうと のカバリストもタロットをカバラの遺産 いさん とは思 おも っていないようである。ロマ人 じん (いわゆるジプシー)に代々 だいだい 伝 つた わる秘密 ひみつ の霊 れい 性 せい を含 ふく むものだという主張 しゅちょう もあった。
この
節 ふし には
複数 ふくすう の問題 もんだい があります。
改善 かいぜん や
ノートページ での
議論 ぎろん にご
協力 きょうりょく ください。
現在 げんざい のトランプやタロットの原型 げんけい となった4つのスートの遊戯 ゆうぎ 用 よう カードは、14世紀 せいき にアジアからおそらくイスラーム 世界 せかい を経由 けいゆ して、西 にし ヨーロッパに入 はい った。
会計検査院 かいけいけんさいん の記録 きろく に、精神 せいしん を病 や んだシャルル6世 せい のために、14世紀 せいき 初頭 しょとう にパリに住 す んでいたほぼ無名 むめい の画家 がか ジャックマン・グランゴヌール (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) が3組 くみ の遊戯 ゆうぎ 用 よう カードを描 えが いて報酬 ほうしゅう を受 う け取 と ったと記録 きろく されており(1392年 ねん ?)、これは長 なが らくタロットに関 かん する最古 さいこ の記述 きじゅつ とされ、この遊戯 ゆうぎ 用 よう カードをタロットと考 かんが える人 ひと は「シャルル六 ろく 世 せい デッキ 」等 とう と呼 よ んでいたが、現存 げんそん しておらず実態 じったい はわからない[注 ちゅう 1] 。
哲学 てつがく 者 しゃ でタロット研究 けんきゅう 者 しゃ のマイケル・ダメット 、美術 びじゅつ 史 し 研究 けんきゅう 者 しゃ のロナルド・デッカー、カードゲーム史 し 研究 けんきゅう 者 しゃ のティエリー・デュポリス (英語 えいご 版 ばん ) は、1996年 ねん にオカルト・タロット研究 けんきゅう の金字塔 きんじとう として名高 なだか い『A Wicked Pack of Cards: Origins of the Occult Tarot (邪悪 じゃあく なカード・パック―オカルト・タロットの起源 きげん )』で、タロットは1425年 ねん 頃 ごろ にイタリアのキリスト教徒 きりすときょうと たちの間 あいだ で生 う まれたと述 の べている。15世紀 せいき に北 きた イタリアで、数 かず 札 さつ から成 な るカードに、切 き り札 ふだ である絵 え 札 さつ (今 いま でいう「死 し 」「恋人 こいびと (愛 あい )」「審判 しんぱん 」等 とう )が付 つ けくわえられ、貴族 きぞく の優雅 ゆうが で知的 ちてき な遊 あそ びとしてタロット・ゲームが生 う まれた。
タロットのパックについての最 もっと も古 ふる い記述 きじゅつ は、北 きた イタリアのフェラーラ の宮廷 きゅうてい の1442年 ねん の帳簿 ちょうぼ の記述 きじゅつ で、納入 のうにゅう 簿 ぼ に「トリオンフィ (英語 えいご 版 ばん ) のカード、一 いち パック」、収納 しゅうのう 簿 ぼ に「トリオンフィの小 しょう カード、四 よん パック」の記載 きさい がある。トリオンフィ(勝利 しょうり や凱旋 がいせん を意味 いみ する trionfo の複数 ふくすう 形 がた )はこの時代 じだい のイタリアでタロッキ(tarochhi)、つまりタロットを指 さ しており、英語 えいご のトライアンフ(triumph)=トランプと同 おな じ語源 ごげん である。
この頃 ころ 、フェラーラでエステ家 か のために作 つく られたと思 おも われるデッキのうち15枚 まい (うち大 だい アルカナ8枚 まい )がイェール大学 だいがく に所蔵 しょぞう されている[16] 。またパリ国立 こくりつ 図書館 としょかん にも17枚 まい (大 だい アルカナは16枚 まい )が残 のこ っており、これは1469年 ねん から1471年 ねん の間 あいだ に上記 じょうき のエステ家 か のボルソ・デステ (Borso d'Este) 侯爵 こうしゃく のためにフェラーラでつくられたものと推測 すいそく されている[17] 。このデッキの図像 ずぞう は上記 じょうき ヴィスコンティ・スフォルツァ版 ばん とも後述 こうじゅつ のマルセイユ版 ばん とも異 こと なる図案 ずあん がみられる[注 ちゅう 2] 。
後 ご の78枚 まい から成 な るマルセイユ版 ばん タロットの源流 げんりゅう と考 かんが えられる、現存 げんそん する最古 さいこ のパックは、15世紀 せいき 半 なか ばの1440年代 ねんだい 前半 ぜんはん から1450年代 ねんだい に、北 きた イタリア のミラノ のヴィスコンティ家 か とスフォルツァ家 か 周辺 しゅうへん で作成 さくせい されたもので、ピアモント・モーガン=ベルガモ・パックのほかに、2種類 しゅるい が知 し られている。「ヴィスコンティ・スフォルツァ版 ばん 」とも。これは、様々 さまざま な博物館 はくぶつかん 、図書館 としょかん 、そして世界中 せかいじゅう の個人 こじん コレクションに散 ち らばる、約 やく 15デッキのタロットを総称 そうしょう したものである。このうちには1484年 ねん の日付 ひづけ の入 はい ったものもあるが、それよりも古 ふる いもので1442年 ねん から1447年 ねん の間 あいだ に作 つく られたと推測 すいそく されるものも存在 そんざい する。この「ヴィスコンティ・スフォルツァ版 ばん 」はデッキごとにも微妙 びみょう な違 ちが いがあるが、全体 ぜんたい 的 てき にも後 ご のいわゆる「マルセイユ版 ばん 」とは図柄 ずがら がかなり異 こと なっており、番号 ばんごう がないため、いわゆる大 だい アルカナに相当 そうとう するカードの配列 はいれつ 順番 じゅんばん も現在 げんざい のタロットと同 おな じなのかどうか不明 ふめい である。しかし、現在 げんざい の大 だい アルカナ22枚 まい に相当 そうとう するカードは少 すく なくとも20枚 まい はあった[注 ちゅう 3] ことはわかる。
15世紀 せいき 後半 こうはん には、北 きた イタリアのボローニャ 、フェラーラ、ミラノ の宮廷 きゅうてい でタロット・ゲームが盛 さか んに行 おこな われ(占 うらな いではない)、20種類 しゅるい ほどのパックの存在 そんざい が知 し られている。
当時 とうじ は、貴族 きぞく や富豪 ふごう のために画家 がか が手描 てが きで描 えが いて作製 さくせい していた。この頃 ころ のタロットは、まだ枚数 まいすう や絵柄 えがら などもどの程度 ていど 確定 かくてい していたのか不明 ふめい ではあるが、上述 じょうじゅつ の諸々 もろもろ のデッキの構成 こうせい から、すでに後世 こうせい でいう大 だい アルカナと小 しょう アルカナが合体 がったい したものであることは推察 すいさつ できる[注 ちゅう 4] 。一般 いっぱん 的 てき には、ゲーム用 よう として用 もち いられその遊 あそ びの中 なか の一 ひと つとして占 うらな いに使 つか うこともあっただろうと考 かんが えられている。とはいえゲーム用 よう でも占 うらな い用 よう でもない寓意 ぐうい 画 が として観賞 かんしょう されたのかも知 し れず、正確 せいかく なところは不明 ふめい である。
その後 ご 、16世紀 せいき 頃 ころ から木版 もくはん 画 が の量産 りょうさん 品 ひん が出回 でまわ るようになり、徐々 じょじょ に庶民 しょみん へ、全 ちょん ヨーロッパ へと普及 ふきゅう して行 い った。特 とく にタロット・ゲームによるギャンブル は盛 さか んで、風紀 ふうき を乱 みだ すという理由 りゆう から何 なん 度 ど も禁止 きんし 令 れい が出 で たという。確実 かくじつ なタロット占 うらな いの記録 きろく が文献 ぶんけん に現 あらわ れるのは18世紀 せいき (後述 こうじゅつ のエッティラ)以降 いこう のことである。
18世紀 せいき の標準 ひょうじゅん 的 てき な遊戯 ゆうぎ 用 よう カード(トランプ )であったマルセイユ版 ばん タロット。
フランス最古 さいこ のタロットは、1557年 ねん にリヨン で作 つく られた「ケイトリン・ジョフロイ版 ばん 」(Catelin Geofroy) だが、このデッキのトランプ(いわゆる大 だい アルカナ)は図像 ずぞう 的 てき にみるとかなり特徴 とくちょう 的 てき で、のちの「マルセイユ版 ばん 」の元祖 がんそ とは言 い い難 がた い[注 ちゅう 5] 。
いわゆる現在 げんざい の「マルセイユ版 ばん 」とほぼ同 おな じ図像 ずぞう 、絵柄 えがら が確立 かくりつ したのは、1650年 ねん 頃 ころ のパリで発行 はっこう されたジャン・ノブレ (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) の「ジャン・ノブレ版 ばん 」が最初 さいしょ で、これが遡 さかのぼ りうる限 かぎ りでのマルセイユ版 ばん の元祖 がんそ と言 い い得 え る[注 ちゅう 6] 。マイケル・ダメット によると、最古 さいこ のタロット占 うらな いの記録 きろく は、18世紀 せいき 前半 ぜんはん のタロット占 うらな いのやり方 かた を記 しる した手書 てが きのシートである。この記録 きろく によれば、タロットカードにはそれぞれの意味 いみ が1枚 まい ごとに割 わ り振 ふ られていた[注 ちゅう 7] ようであるが、当初 とうしょ はもっぱらゲームに使 つか われていた。
この系統 けいとう のタロットは、18世紀 せいき 頃 ごろ にはミラノ 辺 あた りでも生産 せいさん されたが、当時 とうじ 一 いち 大 だい 生産 せいさん 地 ち となったマルセイユ にちなみ「マルセイユ版 ばん タロット 」と呼 よ ばれる。この頃 ころ はまた、ちょうどフランス革命 かくめい 前後 ぜんこう の不安定 ふあんてい な社会 しゃかい を背景 はいけい に、占 うらな い師 し エッティラが活躍 かつやく していた頃 ころ に重 かさ なり、タロットを神秘 しんぴ 的 てき なものと見 み る風潮 ふうちょう が高 たか まって占 うらな い にも多用 たよう されるようになっていく。
アントワーヌ・クール・ド・ジェブラン (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) が『太古 たいこ の世界 せかい 』を著 あらわ し、タロットのエジプト起源 きげん 説 せつ を唱 とな える[注 ちゅう 8] と、それに触発 しょくはつ されて、最初 さいしょ の職業 しょくぎょう タロット占 うらな い師 し でもあるエッティラ (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) (エテイヤ)[注 ちゅう 9] が新 しん 解釈 かいしゃく のタロットを作 つく り出 だ した。エッティラは上記 じょうき のカード占 うらな いの方法 ほうほう をつかって最初 さいしょ の体系 たいけい 的 てき なタロット占 うらな い術 じゅつ を編 あ み出 だ し、1783年 ねん から1785年 ねん にかけて『タロットと呼 よ ばれるカードのパックで楽 たの しむ方法 ほうほう 』を出版 しゅっぱん した。かれはジェブランを信奉 しんぽう し、エジプト起源 きげん 説 せつ によってタロットに神秘 しんぴ 主義 しゅぎ 的 てき な意味 いみ づけをした。またタロット占 うらな いに初 はじ めて「逆 ぎゃく 位置 いち (リバース)」という解読 かいどく 法 ほう を加 くわ えた他 ほか 、小 しょう アルカナの4スートに、四 よん 元素 げんそ を当 あ てはめるなどし、さらに、初 はじ めてタロットと占星術 せんせいじゅつ を具体 ぐたい 的 てき に結 むす びつけ、大 だい アルカナから3枚 まい を除 のぞ いた19枚 まい に7惑星 わくせい や12星座 せいざ との関連 かんれん を与 あた え「机上 きじょう の占星術 せんせいじゅつ 」という一 いち 面 めん をもたらした[注 ちゅう 10] 。これらのタロット大 だい 革命 かくめい により、エッティラは事実 じじつ 上 じょう 、現代 げんだい につながるオカルト・タロットの開祖 かいそ となった。また、それとは別 べつ に、タロットの順番 じゅんばん が長 なが い歴史 れきし の間 あいだ に誤 あやま って伝 つた わってきたと主張 しゅちょう して、独自 どくじ の考 かんが えに基 もと づいて大幅 おおはば なカードの順番 じゅんばん 入 い れ替 か えと絵柄 えがら の変更 へんこう を行 おこな い、はじめて、占 うらな い専用 せんよう でしかも美麗 びれい なオリジナルデザインの「エッティラ版 ばん タロット」デッキを作成 さくせい した。このデッキはヘルメス哲学 てつがく 、錬金術 れんきんじゅつ 、旧約 きゅうやく 聖書 せいしょ 、数 かず 秘術 ひじゅつ なども取 と り込 こ んだもので、のちに数 すう 多 おお くの独創 どくそう 的 てき なオリジナルタロットが創作 そうさく される嚆矢 こうし となった。
オカルト・タロットの隆盛 りゅうせい とイギリスへの流入 りゅうにゅう [ 編集 へんしゅう ]
フランス では一時期 いちじき はタロットといえば「エッティラ版 ばん 」が主流 しゅりゅう となり、一般 いっぱん の「マルセイユ版 ばん 」をほとんど駆逐 くちく してしまったこともあった。この後 のち 、1854年 ねん には、エリファス・レヴィ が『高等 こうとう 魔術 まじゅつ の教義 きょうぎ と儀式 ぎしき 』を著 あらわ し、カバラ起源 きげん 説 せつ を主張 しゅちょう してタロットとカバラ (ユダヤ神秘 しんぴ 主義 しゅぎ )との関係 かんけい を体系 たいけい 化 か し、その中 なか で大 だい アルカナ22枚 まい とヘブライ文字 もじ 22文字 もじ の対応 たいおう 関係 かんけい を改 あらた めて主張 しゅちょう した[注 ちゅう 11] 。なお、彼 かれ のタロットの象徴 しょうちょう 体系 たいけい には辻褄 つじつま の合 あ わない部分 ぶぶん があり、その体系 たいけい 的 てき 不備 ふび が指摘 してき されている。レヴィはタロットを魔術 まじゅつ と結 むす びつけ、彼 かれ への注目 ちゅうもく が高 たか まるに従 したが って、タロットの神秘 しんぴ 性 せい も高 たか まっていった。
ナポレオン3世 せい に仕 つか え一 いち 世 せい を風靡 ふうび した有名 ゆうめい な占 うらな い師 し エドモン (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) は、このレヴィの説 せつ に基 もと づいたオリジナルタロットを使用 しよう していた[注 ちゅう 12] 。続 つづ いて1889年 ねん にスタニスラス・ド・ガイタ (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) とともに「薔薇 ばら 十 じゅう 字 じ カバラ団 だん 」を設立 せつりつ したパピュス (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) は、カバラの基本 きほん 文献 ぶんけん である『形成 けいせい の書 しょ 』のヘブライ文字 もじ と世界 せかい の構成 こうせい 諸 しょ 要素 ようそ を対応 たいおう させる思想 しそう に基 もと づき(各 かく カードを介 かい して)ヘブライ文字 もじ を7惑星 わくせい ・12星座 せいざ と対応 たいおう させた[注 ちゅう 13] 。小 しょう アルカナについてもカバラの象 ぞう 意 い を配当 はいとう した。即 すなわ ちワンド・カップ・ソード・コインのスートに、それぞれヤハウェ の名前 なまえ Y・H・V・H、さらに各 かく スートの1から10までの数 かず 札 さつ に生命 せいめい の樹 き におけるケテルからマルクトまでのセフィロトを関連付 かんれんづ けた。またパピュスは神秘 しんぴ 主義 しゅぎ 的 てき タロット論 ろん 『ジプシーのタロット』を著 あらわ した[注 ちゅう 14] が、同書 どうしょ に付 ふ された22枚 まい のタロットはスタニスラス・ド・ガイタの弟子 でし のオズヴァルド・ヴィルト の作画 さくが であった[注 ちゅう 15] 。これはレヴィやパピュス、ガイタ、そしてウィルトらの説 せつ に基 もと づいてヘブライ文字 もじ と対応 たいおう させた最初 さいしょ のタロットでもあった。
イギリスでは19世紀 せいき 初頭 しょとう からフランシス・バレット 等 ひとし の魔術 まじゅつ 書 しょ の出版 しゅっぱん が盛 さか んで、占星術 せんせいじゅつ 師 し ラファエル(ロバート・クロス・スミス (英語 えいご 版 ばん ) )が出 だ す年鑑 ねんかん 等 とう を通 とお しオカルト知識 ちしき の普及 ふきゅう が進 すす んでおり、エドワード・ブルワー=リットン のオカルト小説 しょうせつ 『ザノーニ』による薔薇 ばら 十 じゅう 字 じ 啓蒙 けいもう も盛 も り上 あ がっていたが、フランスで発展 はってん したオカルト・タロットについてはまだ知 し られていなかった。フリーメイソン的 てき 薔薇 ばら 十 じゅう 字 じ 思想家 しそうか のケネス・マッケンジー (英語 えいご 版 ばん ) が、1861年 ねん にエリファス・レヴィ宅 たく を訪問 ほうもん して様々 さまざま な図版 ずはん やタロットを見 み て、イギリスにオカルト・タロットを紹介 しょうかい しようと本 ほん の準備 じゅんび を進 すす めたが、彼 かれ は飲酒 いんしゅ や借金 しゃっきん で身 み を持 も ち崩 くず し、タロット本 ほん を出版 しゅっぱん することなく1886年 ねん に死去 しきょ した。彼 かれ が残 のこ した暗号 あんごう で書 か かれたタロット原稿 げんこう と儀式 ぎしき 群 ぐん は、友人 ゆうじん の英国 えいこく 薔薇 ばら 十 じゅう 字 じ 協会 きょうかい (英語 えいご 版 ばん ) 会員 かいいん ウィリアム・ウィン・ウェストコット の手 て に渡 わた り、「暗号 あんごう 文書 ぶんしょ 」として黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん の創立 そうりつ の土台 どだい になり、ここに書 か かれたタロットとヘブライ文字 もじ の照応 しょうおう 関係 かんけい は結社 けっしゃ の秘伝 ひでん となり、この系統 けいとう から後 のち にいくつかの有名 ゆうめい なタロットが生 う まれた。黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん では、タロットとヘブライ文字 もじ との関係付 かんけいづ け、タロットと7惑星 わくせい ・12星座 せいざ との関係 かんけい 付 づ けも改 あらた めて行 い った[注 ちゅう 16] 上 うえ 、小 しょう アルカナについてもワンド・カップ・ソード・ペンタクルにカバラの創世 そうせい 論 ろん におけるアツィルト (英語 えいご 版 ばん ) (流出 りゅうしゅつ 界 かい )、ブリアー (英語 えいご 版 ばん ) (創造 そうぞう 界 かい )、イェツィラー (英語 えいご 版 ばん ) (形成 けいせい 界 かい )、アッシャー (英語 えいご 版 ばん ) (活動 かつどう 界 かい )の四 よん 界 かい (英語 えいご 版 ばん ) を、キング・クイーン・ナイト・ペイジにはコクマー・ビナー・ティファレト・マルクトのセフィロト (英語 えいご 版 ばん ) と四 よん 元素 げんそ の火 ひ ・水 みず ・風 ふう ・地 ち を当 あ てはめている。
ウェイト=スミス版 ばん タロットの出現 しゅつげん とその影響 えいきょう [ 編集 へんしゅう ]
タロット史 し の第 だい 二 に の革命 かくめい は、黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん 系 けい の解釈 かいしゃく とフランス系 けい の特徴 とくちょう を折衷 せっちゅう したアーサー・エドワード・ウェイト による構造 こうぞう を元 もと にパメラ・コールマン・スミス が絵 え を作画 さくが した「ウェイト=スミス版 ばん タロット 」[注 ちゅう 17] である。このデッキは単調 たんちょう な数 すう 札 さつ であった小 しょう アルカナすべてに絵柄 えがら を与 あた えるという創作 そうさく を加 くわ えた。これが多 おお くのタロット愛好 あいこう 家 か に受 う け入 い れられ、ちょうどかつてのフランスで一時期 いちじき はタロットといえば「エッティラ版 ばん 」をさしたように、一時期 いちじき の英 えい 米 べい ではタロットといえば「ウェイト=スミス版 ばん 」をさすほどであった。現在 げんざい の多 おお くの創作 そうさく タロットも数 すう 札 さつ に絵柄 えがら を入 い れる場合 ばあい はウェイト=スミス版 ばん のアイディアに準拠 じゅんきょ することが多 おお い[注 ちゅう 18] 。またこのデッキは大 だい アルカナの8番 ばん と11番 ばん を入 い れ替 か えていた[注 ちゅう 19] 。またこれまで「愚者 ぐしゃ 」のカードは番号 ばんごう が与 あた えられていないか、22番 ばん であったのを、0番 ばん の番号 ばんごう を与 あた えた[注 ちゅう 20] 。しかしヘブライ文字 もじ の表記 ひょうき 自体 じたい はカードから消 け し去 さ っている[注 ちゅう 21] 。
他 た に、黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん の系統 けいとう としてはアレイスター・クロウリー がデザインしフリーダ・ハリス (英語 えいご 版 ばん ) が絵 え を作画 さくが した「トート・タロット 」も名作 めいさく とされている。こちらは8番 ばん と11番 ばん のカードの位置 いち は伝統 でんとう 的 てき な配置 はいち のままである[注 ちゅう 22] 。
タロット史 し の第 だい 三 さん の革命 かくめい は、1972年 ねん イギリスの「アルフレッド・ダグラス版 ばん 」とよばれるタロットの出現 しゅつげん である。このデッキはウェイト=スミス版 ばん に準拠 じゅんきょ しつつも、シンプルで力強 ちからづよ い大胆 だいたん なデザインと原色 げんしょく を基調 きちょう とした鮮 あざ やかな色彩 しきさい で人気 にんき を博 はく した。これより以前 いぜん 、エッティラの昔 むかし から、一家言 いっかげん をもった神秘 しんぴ 家 か たちがおのおのの自説 じせつ に基 もと づくオリジナルタロットを出版 しゅっぱん することはよくあることだったが、現在 げんざい のように、魔術 まじゅつ 系 けい タロットのみならず、考 かんが えうるあらゆるものをモチーフとし、自由 じゆう なアイディアを盛 も り込 こ んだ多 おお くのオリジナルデザインのタロットカードが無数 むすう に創作 そうさく されるようになったのは、このアルフレッド・ダグラス版 ばん の大 だい ヒットから始 はじ まったことである。これ以来 いらい 、映画 えいが 『007 死 し ぬのは奴 やつ らだ 』の小道具 こどうぐ として創作 そうさく された「007タロット」、ヒンドゥー教 きょう のタントラ に基 もと づくタロット「ダーキニー・オラクル」、日本 にっぽん 風 ふう の「浮世絵 うきよえ タロット」、不思議 ふしぎ の国 くに のアリスのタロット、サルバドール・ダリ がデザインした巨大 きょだい サイズのタロット、ユング心理 しんり 学 がく に基 もと づく「ユングのタロット」等 とう 、多 おお くのタロットが誕生 たんじょう した。アルフレッド・ダグラス版 ばん は現代 げんだい タロット文化 ぶんか の繁栄 はんえい のきっかけとなっており、現在 げんざい も様々 さまざま なタロットが生 う み出 だ され続 つづ けている。
この
節 ふし には
複数 ふくすう の問題 もんだい があります。
改善 かいぜん や
ノートページ での
議論 ぎろん にご
協力 きょうりょく ください。
大 だい アルカナ (Major Arcana 、22枚 まい )と小 しょう アルカナ (Minor Arcana 、56枚 まい )の2種類 しゅるい があるが、小 しょう アルカナはカードゲーム以外 いがい では余 あま り使用 しよう されないため、市販 しはん のカードには大 だい アルカナのみのセットも多 おお い。
一 いち 組 くみ のタロットカードのセットを、デッキという。
ウィキメディア・コモンズには、
タロット に
関連 かんれん する
メディア および
カテゴリ があります。
詳細 しょうさい については大 だい アルカナ を参照 さんしょう のこと。
※ 1:「0」は番号 ばんごう 無 む 表示 ひょうじ の場合 ばあい もある。元々 もともと は番号 ばんごう が割 わ り当 あ てられていないか「22」であった。英国 えいこく のウェイト が初 はじ めて愚者 ぐしゃ を0番 ばん としたとの説 せつ があるがこれは誤 あやま りで、正 まさ しくはジェブランである。
※ 2:マルセイユ版 ばん など伝統 でんとう 的 てき な物 もの の場合 ばあい 。ウェイト=スミス版 ばん の影響 えいきょう をうけたタロットでは「VIII」と「XI」が逆 ぎゃく になっている。
※ 3:「XIII」13 (忌 い み数 すう ) は無 む 記名 きめい の場合 ばあい あり。
項目 こうもく 小 しょう アルカナ も参照 さんしょう 。以下 いか の4種類 しゅるい に大別 たいべつ され、それぞれ1〜10・ペイジ(Page)・ナイト(Knight)・クィーン(Queen)・キング(King)で構成 こうせい される。
ワンド (Wand)
バトン(Baton)とも。棍棒 こんぼう 。トランプ のクラブに相当 そうとう 。
ソード (Sword)
剣 けん 。トランプのスペードに相当 そうとう 。
カップ (Cup)
杯 はい または聖 ひじり 杯 はい 。トランプのハートに相当 そうとう 。
コイン (Coin)
ペンタクル(Pentacle)、またはディスク(Disk)とも。金貨 きんか 又 また は護符 ごふ 。トランプのダイヤに相当 そうとう 。
この
節 ふし には
複数 ふくすう の問題 もんだい があります。
改善 かいぜん や
ノートページ での
議論 ぎろん にご
協力 きょうりょく ください。
中央 ちゅうおう ヨーロッパのゲーム用 よう タロットより愚者 ぐしゃ ・切 き り札 ふだ の21・切 き り札 ふだ の1
ヨーロッパ大陸 たいりく 部 ぶ では、タロットは現在 げんざい でもゲームに使用 しよう されている。トランプ と同 おな じく様々 さまざま な遊 あそ び方 かた があるが、多 おお くのゲームではトランプのトリックテイキング のルールに従 したが う。特定 とくてい のカードに得点 とくてん がある、ポイントトリックゲームである。
とくにフランス と、旧 きゅう ハプスブルク君主 くんしゅ 国 こく 諸 しょ 地域 ちいき (中央 ちゅうおう ヨーロッパのオーストリア ・ハンガリー などの諸国 しょこく )で盛 さか んであるが、両者 りょうしゃ でカードのデザインやルールがかなり異 こと なる。
フランスでは、78枚 まい のカードがそのまま使 つか われる。切 き り札 ふだ 以外 いがい のスートはトランプと同 おな じスペード・ハート・ダイヤ・クラブで、ジャックとクイーンの間 あいだ に騎士 きし (cavalier、略号 りゃくごう C)が加 くわ わるため、56枚 まい になる。切 き り札 ふだ は1から21の番号 ばんごう がついており、番号 ばんごう の大 おお きいほうが強 つよ い。そのデザインはオカルト用 よう の大 だい アルカナとはまったく異 こと なっている(1=個人 こじん の狂気 きょうき 、2=幼年 ようねん 、3=青年 せいねん 、4=壮年 そうねん 、5=老年 ろうねん 、6=朝 あさ 、7=昼 ひる 、8=夕方 ゆうがた 、9=夜 よる 、10=地 ち ・風 ふう 、11=水 みず ・火 ひ 、12=踊 おど り、13=買 か い物 もの 、14=狩 か り、15=絵 え 、16=春 はる 、17=夏 なつ 、18=秋 あき 、19=冬 ふゆ 、20=遊 あそ び、21=集団 しゅうだん の狂気 きょうき )。ゲームをプレイするにおいては番号 ばんごう のみに意味 いみ がある。愚者 ぐしゃ のカードは「l'Excuse 」と呼 よ ばれ、通常 つうじょう はマンドリンを持 も った道化師 どうけし として描 えが かれている。ゲームの上 うえ で切 き り札 ふだ とは異 こと なる独特 どくとく の特徴 とくちょう を持 も つ。
中央 ちゅうおう ヨーロッパ でもスートはフランス式 しき のスペード・ハート・ダイヤ・クラブになっているが、トランプのスカート と同様 どうよう 、低位 ていい の数字 すうじ 札 さつ が存在 そんざい しない。また、愚者 ぐしゃ は最強 さいきょう の切 き り札 ふだ として扱 あつか われ、フランスでのような特殊 とくしゅ な役割 やくわり は持 も っていない。オーストリアでは通常 つうじょう 54枚 まい で、切 き り札 ふだ 22枚 まい とそれ以外 いがい 32枚 まい (絵 え 札 さつ 16枚 まい と高位 こうい の数字 すうじ 札 さつ 16枚 まい )よりなる。数字 すうじ 札 さつ は、黒 くろ いスート(スペード・クラブ)では数字 すうじ が大 おお きいほど強 つよ く(K > Q > C > J > 10 > 9 > 8 > 7)、赤 あか いスート(ダイヤ・ハート)では数字 すうじ が小 ちい さいほど強 つよ い(K > Q > C > J > 1 > 2 > 3 > 4)。これはうんすんカルタ にも見 み られる古 ふる い特徴 とくちょう である。40枚 まい しか使 つか わない地域 ちいき もある(切 き り札 ふだ の2・3を使用 しよう せず、数字 すうじ 札 さつ は黒 くろ いスートの10と赤 あか いスートの1しかない)。「ケーニヒルーフェン 」というゲームでは、切 き り札 ふだ の1・2・3・4は「Vogel(鳥 とり ) 」と呼 よ ばれ、特別 とくべつ な役割 やくわり を持 も っている。
イタリア ではラテン式 しき スートが保 たも たれており、数 かず 札 さつ は中央 ちゅうおう ヨーロッパと同様 どうよう にスートによって強弱 きょうじゃく の順序 じゅんじょ が異 こと なる。切 き り札 ふだ のデザインも伝統 でんとう 的 てき なデザインに近 ちか いが、順序 じゅんじょ はかなり異 こと なっていて、天使 てんし ( = 審判 しんぱん )がもっとも強 つよ い。フランス式 しき と同様 どうよう に、愚者 ぐしゃ は通常 つうじょう の切 き り札 ふだ とは別 べつ の特徴 とくちょう を持 も つ。
以下 いか はフランスの公式 こうしき ルールにしたがって述 の べる[21] 。
原則 げんそく として4人 にん で遊 あそ ぶ。ゲームは反 はん 時計 とけい 回 まわ りに進行 しんこう する。競 せ りと最初 さいしょ のトリックのリードはディーラーの右 みぎ 隣 となり からはじめる。ディーラーはプレイごとに反 はん 時計 とけい 回 まわ りに移動 いどう する。
手札 しゅさつ は18枚 まい で、残 のこ り6枚 まい は伏 ふ せておく。この6枚 まい を「chien(犬 いぬ ) 」と呼 よ ぶ。競技 きょうぎ 者 しゃ は順 じゅん に競 せ りを行 おこな う。すなわち自分 じぶん が立 た つことを宣言 せんげん するか、パスする。宣言 せんげん の種類 しゅるい は以下 いか の4つのレベルがある。レベルの高 たか い宣言 せんげん はそれ以前 いぜん のレベルの低 ひく い宣言 せんげん に勝 か つ。
prise (ふつうの宣言 せんげん 、chienを使用 しよう する。chienの点数 てんすう は宣言 せんげん 者 しゃ のものになる)
garde (priseと条件 じょうけん は同 おな じだが、勝 か っても負 ま けても点数 てんすう が倍 ばい になる)
garde sans chien (chienを使用 しよう しない。chienの点数 てんすう は宣言 せんげん 者 しゃ のものになる。点数 てんすう は4倍 ばい になる)
garde contre chien (chienを使用 しよう しない。chienの点数 てんすう は宣言 せんげん 者 しゃ の敵 てき 側 がわ のものになる。点数 てんすう は6倍 ばい になる)
競 せ りに勝 か った宣言 せんげん 者 しゃ は、ひとりで残 のこ り3人 にん の連合 れんごう 軍 ぐん と戦 たたか う。chienを使用 しよう する契約 けいやく の場合 ばあい 、宣言 せんげん 者 しゃ はchienを表 ひょう 返 かえ してから手札 しゅさつ に加 くわ え、かわりに不要 ふよう な6枚 まい を裏返 うらがえ しに出 だ し(切 き り札 ふだ は出 だ してはならない)、それからプレイをはじめる。実際 じっさい のプレイは通常 つうじょう のトリックテイキングのルールに従 したが うが、リードと同 おな じスートのカードを持 も っておらず、かつ切 き り札 ふだ を持 も っている場合 ばあい は、切 き り札 ふだ を出 だ さなくてはならない。また、切 き り札 ふだ を出 だ す場合 ばあい は、場 ば に出 で ているすべてのカードに勝 か てる切 き り札 ふだ を持 も っている場合 ばあい 、それを出 だ さなければならない。勝 か てる切 き り札 ふだ がない場合 ばあい は、どの切 き り札 ふだ を出 だ してもよい。切 き り札 ふだ もない場合 ばあい は、任意 にんい のカードを出 だ してよい。
愚者 ぐしゃ はトリックテーキングのマストフォローのルールに従 したが わず、いつでも出 だ せる。愚者 ぐしゃ は通常 つうじょう もっとも低 ひく いカードなので、トリックに勝 か つことはできないが、愚者 ぐしゃ のカードはそのトリックに勝利 しょうり した人 ひと ではなく、カードを出 だ した人 ひと のものになる。
各 かく カードはランクにより異 こと なる点数 てんすう を持 も っている。切 き り札 ふだ の1・21および愚者 ぐしゃ の3枚 まい は「oudlers 」と呼 よ ばれ、1枚 まい あたり4.5点 てん 。それ以外 いがい はキングが4.5点 てん 、クイーンが3.5点 てん 、騎士 きし が2.5点 てん 、ジャックが1.5点 てん 、それ以外 いがい が0.5点 てん となる。全部 ぜんぶ のカードの点数 てんすう を合計 ごうけい すると91点 てん になる。
最終 さいしゅう トリックで切 き り札 ふだ の1が出 で た場合 ばあい は、追加 ついか 点 てん 10点 てん がそのトリックに勝利 しょうり した側 がわ に与 あた えられる。
取 と らなければならないカードの点数 てんすう には基本 きほん 点 てん があり、oudlersがなければ56点 てん 、1枚 まい なら51点 てん 、2枚 まい なら41点 てん 、3枚 まい なら36点 てん になる。宣言 せんげん 者 しゃ が基本 きほん 点 てん 以上 いじょう の点数 てんすう を取 と ったら宣言 せんげん 者 しゃ の勝 か ちとなり、残 のこ り3人 にん が点 てん を宣言 せんげん 者 しゃ に支払 しはら う。点数 てんすう が基本 きほん 点 てん 未満 みまん ならば、宣言 せんげん 者 しゃ が残 のこ り3人 にん に点 てん を支払 しはら う。支払 しはら う点数 てんすう は (25 + 基本 きほん 点 てん との差 さ の絶対 ぜったい 値 ち + 最終 さいしゅう トリックで切 き り札 ふだ の1が出 で た時 とき の追加 ついか 点 てん )×(宣言 せんげん により1・2・4・6のいずれか) となる。
全部 ぜんぶ のトリックを取 と った場合 ばあい (グランドスラム)、200点 てん のボーナス点 てん がはいる。あらかじめ宣言 せんげん しておけば倍 ばい の400点 てん になるが、宣言 せんげん しておいて失敗 しっぱい した場合 ばあい は200点 てん を支払 しはら わなければならない。
最初 さいしょ に配 くば られたカードの中 なか に切 き り札 ふだ および愚者 ぐしゃ が10枚 まい 以上 いじょう あったら20点 てん 、13枚 まい 以上 いじょう なら30点 てん 、15枚 まい 以上 いじょう なら40点 てん のボーナス点 てん がはいる。このボーナス点 てん を得 え るには最初 さいしょ のトリックで自分 じぶん の番 ばん が来 き た時 とき にあらかじめカードをさらして宣言 せんげん しておく必要 ひつよう がある。なお、カードをさらしておきながらプレイに負 ま けた場合 ばあい は、カードをさらした側 がわ のメンバーはそれぞれボーナス点 てん を逆 ぎゃく に相手 あいて に払 はら う必要 ひつよう がある。
この
節 ふし には
複数 ふくすう の問題 もんだい があります。
改善 かいぜん や
ノートページ での
議論 ぎろん にご
協力 きょうりょく ください。
フランス語 ふらんすご や英語 えいご ではtarot の語尾 ごび の t を発音 はつおん せず日本語 にほんご の「タロ(ー) 」に近 ちか い発音 はつおん となるが、日本語 にほんご では語尾 ごび の t を発音 はつおん し「タロット」と呼 よ ぶのが一般 いっぱん 的 てき である。因 ちな みに他 た 言語 げんご ではイタリア語 ご : tarocchi (タロッキ、単数 たんすう 形 がた は「tarocco」)、ドイツ語 ご : Tarock (タロック)となっている。tarot の語源 ごげん は不明 ふめい である。
アイルランドのアベイ座 ざ 設立 せつりつ への影響 えいきょう [ 編集 へんしゅう ]
イギリスの資産 しさん 家 か で芸術 げいじゅつ の支援 しえん 者 しゃ 、黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん の重鎮 じゅうちん でタロットに熟達 じゅくたつ していたアニー・ホーニマン (英語 えいご 版 ばん ) は、同 おな じく団員 だんいん で才能 さいのう を高 たか く評価 ひょうか していた詩人 しじん ・劇 げき 作家 さっか のウィリアム・バトラー・イェイツ への支援 しえん をめぐってタロット占 うらな いを行 おこな い、この読 よ み解 と きをもとに、彼 かれ が自由 じゆう に活動 かつどう できる場 ば を与 あた えるために劇場 げきじょう を用意 ようい することに決 き め、常設 じょうせつ 劇場 げきじょう のアベイ座 ざ を建 た てた。アベイ座 ざ はアイルランド演劇 えんげき (英語 えいご 版 ばん ) 運動 うんどう 、アイルランド文芸 ぶんげい 復興 ふっこう (英語 えいご 版 ばん ) 運動 うんどう の最前線 さいぜんせん となった。
^ 17世紀 せいき の歴史 れきし 家 か ・収集 しゅうしゅう 家 か フランソワ=ロジェ・ド・ゲニエール (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) が所有 しょゆう していたいくつかのタロットが、このグランゴヌール作 さく の3組 くみ の遊戯 ゆうぎ 用 よう カードと勘違 かんちが いされ「グランゴヌール版 ばん 」等 とう と呼 よ ばれていたが、別 べつ のものである(誤解 ごかい が解 と けた後 のち も、シャルル六 ろく 世 せい デッキまたはグランゴヌール版 ばん という呼 よ び名 な はそのまま残 のこ った[13] 。)。また、ゲニエールは15世紀 せいき 初頭 しょとう のパリの職人 しょくにん 街 がい で錬金術 れんきんじゅつ 師 し のニコラ・フラメル と交流 こうりゅう があったとも言 い われるが、い伝 いつた えの域 いき を出 で ない。[14]
^ イェール大学 だいがく のものとパリ図書館 としょかん のものを照合 しょうごう して重複 じゅうふく を除 のぞ くと大 だい アルカナはなお4枚 まい が未 み 発見 はっけん で、18枚 まい の絵柄 えがら が判明 はんめい している。またこれも番号 ばんごう が付 ふ されてないので配列 はいれつ 順 じゅん が不明 ふめい なだけでなく、もともと大 だい アルカナは18枚 まい だけで構成 こうせい されていたのか他 た のカードもあったのかも不明 ふめい である。
^ 「悪魔 あくま 」と「塔 とう 」の凶 きょう 札 さつ 2枚 まい が欠 か けており、最初 さいしょ から無 な かったのか、紛失 ふんしつ によって欠損 けっそん したのか、凶 きょう 意 い を排除 はいじょ するために意図 いと 的 てき に廃棄 はいき されたのかは、今 いま でも研究 けんきゅう 家 か の間 あいだ で意見 いけん が分 わ かれている。ただし、ほぼ同 どう 時期 じき の後述 こうじゅつ の「エステ家 か のタロット」には「塔 とう 」が含 ふく まれている。
^ プレイング・カード(日本 にっぽん でいうトランプ)とタロットの関係 かんけい については、占 うらな いに使 つか われるタロットの小 しょう アルカナに愚者 ぐしゃ (フール)の札 さつ を加 くわ えてトランプが発生 はっせい したと言 い う説 せつ や、ゲームをより複雑 ふくざつ で面白 おもしろ くするためにトランプに絵 え 札 さつ を加 くわ えていって、最終 さいしゅう 的 てき にトランプがタロットになったという説 せつ 、その他 た にもいろいろな説 せつ があるが、いずれもその真偽 しんぎ について信憑 しんぴょう 性 せい を欠 か いており、詳 くわ しい経緯 けいい はよくわかっていない。
^ 現存 げんそん する38枚 まい (うち大 だい アルカナ12枚 まい )のみがフランクフルト のクンストハンドヴェルク博物館 はくぶつかん に所蔵 しょぞう され、カード番号 ばんごう は、現在 げんざい のマルセイユ版 ばん と同 おな じである。これまでの「ヴィスコンティ・スフォルツァ版 ばん 」等 とう には番号 ばんごう はなかった。奇術 きじゅつ 師 し のカードには複数 ふくすう の客 きゃく が描 えが かれる等 とう 、エステ家 か のタロットに似 に ているところもある。
^ 「ジャン・ノブレ版 ばん 」と同 どう 時期 じき に同 おな じパリで作 つく られた「ジャック・ヴィーヴル版 ばん (フランス語 ふらんすご 版 ばん ) 」(Jacques Vieville) もあるが、こちらは図像 ずぞう が特徴 とくちょう 的 てき で、大 だい アルカナのうち6枚 まい ほどが典型 てんけい 的 てき なマルセーユ版 ばん とは図案 ずあん が異 こと なる。そのうち星 ほし と月 つき のカードは観測 かんそく をする人物 じんぶつ が描 えが かれ「エステ家 か のタロット」などと似 に ている。またこの「ジャック・ヴィーヴル版 ばん 」は大 だい アルカナに相当 そうとう するカードの配列 はいれつ 順 じゅん が通常 つうじょう と違 ちが っている(上述 じょうじゅつ の「ボローニャ版 ばん 」と同 おな じではないがかなり似 に た配列 はいれつ 順 じゅん になっている)のも特徴 とくちょう 。
^ 【参考 さんこう 】タロットでなくカード(日本 にっぽん でいうトランプ)の話 はなし であるが、一般 いっぱん 的 てき な印象 いんしょう と異 こと なり、トランプ占 うらな いとタロット占 うらな いでは、トランプ占 うらな いの方 ほう が古 ふる い。トランプ占 うらな いの最古 さいこ の記録 きろく は1540年 ねん にフェラーラ公 こう ヘルキューレ・エステに献 けん じられた占 うらな いの書物 しょもつ に記 しる されたものである。なお、カード(日本 にっぽん でいうトランプ)による占 うらな いの方法 ほうほう は、古 ふる い時代 じだい には、あらかじめカードに意味 いみ が割 わ り当 あ てられているタイプのものではなく、易 えき 占 うらな いやサイコロ占 うらな いのように、出 で た数 すう 枚 まい のカードの組 く み合 あ わせに対 たい して、それぞれ解説 かいせつ が割 わ り当 あ てられているという方式 ほうしき のものであり、いわばカード自体 じたい は、偶然 ぐうぜん 性 せい を提供 ていきょう する役 やく をしているにすぎなかった。現在 げんざい に通 つう じる、カードに予 あらかじ め意味 いみ が割 わ り当 あ てられているタイプのカード占 うらな いを確立 かくりつ したのは、エッティラが著 あらわ した1770年 ねん の書物 しょもつ である。この本 ほん の初版 しょはん でエッティラは逆 ぎゃく 位置 いち による意味 いみ の変化 へんか 、カードに予 あらかじ め意味 いみ を割 わ り当 あ てる、といった点 てん をトランプ占 うらな いに導入 どうにゅう した。ただし、こうした占 うらな いの方法 ほうほう が、彼 かれ 以前 いぜん の数 すう 十 じゅう 年 ねん 程度 ていど の範囲 はんい であれば、記録 きろく に残 のこ らないところで、すでに民間 みんかん で生 う まれていた可能 かのう 性 せい もある。
^ ジュブランは1781年 ねん にタロットを発行 はっこう しているがこれはオリジナルではなく当時 とうじ の普通 ふつう のものをそのまま発行 はっこう しただけである。また、このエジプト起源 きげん 説 せつ は根拠 こんきょ のあるものではなく、当時 とうじ 、歴史 れきし 的 てき な箔 はく 付 づ けのためにオカルト関係 かんけい 事 ごと の起源 きげん をエジプトに求 もと めることが多 おお かったことから、タロットもこれに倣 なら って、神秘 しんぴ 的 てき な魔術 まじゅつ 用具 ようぐ として起源 きげん をエジプトに求 もと めたものと考 かんが えられている。また、カード占 うらな いを生業 せいぎょう とする者 もの が多 おお かった流浪 るろう の民 みん がジプシー (エジプトからの流民 りゅうみん )と呼 よ ばれていたことも、エジプト起源 きげん 説 せつ の一因 いちいん となっている。しかし、現在 げんざい ではジプシーはエジプトではなく西 にし アジアからの移民 いみん である説 せつ が有力 ゆうりょく である。また、ジプシーの占 うらな いは、元来 がんらい は手相 てそう 占 うらな いが主 おも であり、カード占 うらな いが行 おこな われるようになるのは、それがひろまってからのことである。
^ 本名 ほんな ジャン・バプティスタ・アリエット。エッティラは本名 ほんみょう を逆 ぎゃく に綴 つづ ったもの。ただし英語 えいご 読 よ みであり、仏語 ふつご ではエテイヤと発音 はつおん する。日本 にっぽん では英語 えいご 読 よ みのエッティラまたはエッティーラで親 した しまれている。なお、一般 いっぱん にエッティラの前 ぜん 職 しょく が理髪 りはつ 師 し またはカツラ職人 しょくにん であったとされるがこれは誤解 ごかい で、実際 じっさい の前 まえ 職 しょく は商人 しょうにん であった。
^ ただしタロットと占星術 せんせいじゅつ の対応 たいおう 関係 かんけい については、後世 こうせい の「黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん 」等 とう の説 せつ とは異 こと なっているが、現代 げんだい の創作 そうさく タロットでもフランスや中米 ちゅうべい 産 さん のものにエッティラ説 せつ を踏襲 とうしゅう しているものが存在 そんざい する。
^ 大 だい アルカナとヘブライ文字 もじ の対応 たいおう 関係 かんけい を主張 しゅちょう したのはレヴィが最初 さいしょ であるとの説 せつ があるが誤 あやま りで、上記 じょうき のジェブランの同 どう 時代 じだい 人 じん ド・メレ伯爵 はくしゃく の説 せつ が最初 さいしょ である。ただし、ド・メレの説 せつ は「世界 せかい 」のカードがヘブライ文字 もじ のアレフ、「審判 しんぱん 」がベート、というようにカードと文字 もじ の順番 じゅんばん を逆 ぎゃく 向 む きに対応 たいおう させるもので、レヴィの新説 しんせつ とは異 こと なっていた。
^ エドモンタロットは1950年代 ねんだい の占 うらな い師 し ベリーヌが発見 はっけん し「グラン・タロー・ベリーヌ 」という名 な で復刻 ふっこく されている。
^ 「ヘブライ文字 もじ を介 かい して 各 かく カードと占星術 せんせいじゅつ が結 むす びついている」と誤解 ごかい した説 せつ があるが、正 まさ しくは「カードを介 かい して 占星術 せんせいじゅつ とヘブライ文字 もじ が結 むす び付 つ けられた」のである。パピュスは大 だい アルカナとヘブライ文字 もじ との対応 たいおう 関係 かんけい についてはレヴィの説 せつ を踏襲 とうしゅう し、大 だい アルカナと7惑星 わくせい ・12星座 せいざ との対応 たいおう 関係 かんけい についてはエッティラの説 せつ を微 ほろ 修正 しゅうせい した上 うえ で踏襲 とうしゅう し、その上 うえ で両者 りょうしゃ を組 く み合 あ わせ、カードとヘブライ文字 もじ と占星術 せんせいじゅつ の3者 しゃ の対応 たいおう 関係 かんけい を一覧 いちらん にしたのであって、『形成 けいせい の書 しょ 』には3者 しゃ を具体 ぐたい 的 てき に対応 たいおう させる記述 きじゅつ はない。
^ パピュスはタロットと占星術 せんせいじゅつ の対応 たいおう 関係 かんけい についてほぼエッティラを踏襲 とうしゅう したがわずかに変更 へんこう を加 くわ えている。またレヴィが考 かんが えたヘブライ文字 もじ との対応 たいおう に従 したが って、ヘブライ文字 もじ のアルファベット順 じゅん にカードを並 なら べかえ、愚者 ぐしゃ のカード(当時 とうじ は0番 ばん ではなく番号 ばんごう がなかった)に21番 ばん の番号 ばんごう を与 あた え、通常 つうじょう なら21番 ばん とされる「世界 せかい 」のカードを22番 ばん に変更 へんこう した。
^ ウィルトはタロットと占星術 せんせいじゅつ の対応 たいおう 関係 かんけい についてはエッティラやパピュスとも、また黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん の説 せつ ともまったく異 こと なる説 せつ を立 た てた。彼 かれ のタロットはその後 ご 何 なん 度 ど か出 で たが1927年 ねん に『中世 ちゅうせい 版 ばん 画師 えし のタロット』と題 だい する黄金 おうごん に輝 かがや く絢爛 けんらん たるカードとして決定 けってい 版 ばん が出 だ された。これは早 はや くから復刻 ふっこく された名作 めいさく である。
^ ただし、黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん では、「愚者 ぐしゃ 」のカードにアレフ、「魔術 まじゅつ 師 し 」にベートを当 あ てはめ、以下 いか 、タロットの番号 ばんごう 順 じゅん にヘブライ文字 もじ を当 あ てはめるという方式 ほうしき になっており、上記 じょうき のレヴィの説 せつ とは異 こと なっている。大 だい アルカナと占星術 せんせいじゅつ との対応 たいおう 関係 かんけい もエッティラ以来 いらい の伝統 でんとう 的 てき な説 せつ とはまったく異 こと なっている。
^ パメラ・コールマン・スミスへの正当 せいとう な評価 ひょうか は遅 おそ く、長年 ながねん 裏方 うらかた 扱 あつか いされており、「ウェイト版 ばん 」もしくは、出版 しゅっぱん 社 しゃ のライダー社 しゃ から「ライダー版 ばん 」「ライダー・ウェイト版 ばん 」と呼 よ ばれていた。今日 きょう では「ライダー・ウェイト・スミス版 ばん タロット」とも。1990年 ねん の『タロット百科 ひゃっか 事典 じてん 』でスチュアート・キャプテンが彼女 かのじょ を論 ろん じたことを契機 けいき に多 おお くのウェブサイトがその人生 じんせい と功績 こうせき を取 と り上 あ げるようになった。スミスは日本 にっぽん 画 が を専門 せんもん とし浮世絵 うきよえ を研究 けんきゅう したアーサー・ウェズリー・ダウ に学 まな んでおり、複数 ふくすう の版木 はんぎ での印刷 いんさつ を前提 ぜんてい とした浮世絵 うきよえ 由来 ゆらい の作画 さくが 法 ほう を習得 しゅうとく していた。80枚 まい のカードのデザインに対 たい し、スミスに支払 しはら われた報酬 ほうしゅう はわずかだった。
^ ただしこれらの小 しょう アルカナに絵柄 えがら を付 つ けるアイディアは必 かなら ずしもウェイトの独創 どくそう ではなく16世紀 せいき の絵柄 えがら 付 つ きタロット「ソラ・ブスカ版 ばん (英語 えいご 版 ばん ) 」を参考 さんこう にしたものである。
^ タロットと占星術 せんせいじゅつ の対応 たいおう 関係 かんけい についての伝統 でんとう 的 てき な説 せつ では星座 せいざ の順番 じゅんばん 通 どお りに配列 はいれつ されているが、黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん の新説 しんせつ では特定 とくてい の星座 せいざ だけカードの絵柄 えがら との類似 るいじ にこだわって天秤 てんびん の描 えが かれたカードである「正義 まさよし 」に天秤 てんびん 宮 みや を、獅子 しし の描 えが かれたカードである「力 ちから 」に獅子 しし 宮 みや を当 あ てはめたため、伝統 でんとう 的 てき なタロットの並 なら び順 じゅん からすると、天秤 てんびん 座 ざ と獅子 しし 座 ざ の位置 いち に入 い れ替 か わりが生 しょう じてしまう。そこでこれを修正 しゅうせい しようとして8番 ばん と11番 ばん の順番 じゅんばん を入 い れ換 か えて12星座 せいざ の配列 はいれつ 順 じゅん に合 あ わせる説 せつ がでた。「ウェイト=スミス版 ばん 」もこの入 い れ替 か え説 せつ に従 したが ったものであるが、ウェイト自身 じしん の創案 そうあん というわけではない。
^ 愚者 ぐしゃ のカードを0番 ばん としたのはウェイトのオリジナルではなく元々 もともと はジェブランの創案 そうあん である。
^ 消 け した理由 りゆう は、ウェイトは、ヘブライ文字 もじ との対応 たいおう に関 かん してはレヴィ、パピュスやウィルトの説 せつ を継承 けいしょう し「黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん 」の公式 こうしき 見解 けんかい とは異 こと なっていたためである。またこれまで「愚者 ぐしゃ 」のカードは冒頭 ぼうとう か末尾 まつび に置 お かれていたのをウェイトが最初 さいしょ に20番 ばん と21番 ばん の間 あいだ に置 お いたとの説 せつ があるが誤 あやま りで、ウェイトは「愚者 ぐしゃ 」を冒頭 ぼうとう に置 お いた。最初 さいしょ に20番 ばん と21番 ばん の間 あいだ に置 お いたのはパピュスである。
^ 黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん の公式 こうしき 見解 けんかい とは別 べつ に、それぞれの自説 じせつ をもったメンバーの内紛 ないふん もあり、ウェイト=スミス版 ばん は世間 せけん では大 だい ヒットしたが団 だん の内部 ないぶ では必 かなら ずしも評判 ひょうばん のよいものではなかった。黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん の系統 けいとう に属 ぞく する現代 げんだい の魔術 まじゅつ 結社 けっしゃ にも、自前 じまえ のオリジナルカードを製作 せいさく せず、アストラル・ネットワーク 説 せつ を根拠 こんきょ にマルセイユ版 ばん を推奨 すいしょう する人 ひと がいるほどである。ウェイト自身 じしん の著作 ちょさく も、個人 こじん 的 てき な説 せつ を述 の べているところと自説 じせつ は抑 おさ えて団 だん の公式 こうしき 見解 けんかい を述 の べているところが混在 こんざい しているので注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。従 したが って、一般 いっぱん 的 てき にウェイト=スミス版 ばん に分類 ぶんるい されて黄金 おうごん の夜明 よあ け団 だん の系統 けいとう とされる諸々 もろもろ のデッキも、必 かなら ずしもすべてが同一 どういつ の説 せつ に基 もと づいてはいるわけでもなく当然 とうぜん ながら絵柄 えがら も同 おな じではない。
伊 い 泉 いずみ 龍一 りゅういち 『タロット大全 たいぜん : 歴史 れきし から図像 ずぞう まで』紀伊國屋 きのくにや 書店 しょてん 、2004年 ねん
John Drane 著 ちょ 、冨澤 とみさわ かな 訳 やく 「タロット」『現代 げんだい 世界 せかい 宗教 しゅうきょう 事典 じてん —現代 げんだい の新 しん 宗教 しゅうきょう 、セクト、代替 だいたい スピリチュアリティ』クリストファー・パートリッジ 編 へん 、井上 いのうえ 順 じゅん 孝 こう 監訳 かんやく 、井上 いのうえ 順 じゅん 孝 こう ・井上 いのうえ まどか・冨澤 とみさわ かな・宮坂 みやさか 清 きよし 訳 やく 、悠 ゆう 書 しょ 館 かん 、2009年 ねん 、461頁 ぺーじ 。
『ユリイカ 2021年 ねん 12月臨時 りんじ 増刊 ぞうかん 号 ごう 総 そう 特集 とくしゅう タロットの世界 せかい 鏡 かがみ リュウジ責任 せきにん 編集 へんしゅう 』、青土 おうづち 社 しゃ 、2021年 ねん 。
鏡 かがみ リュウジ「はじめに」。
伊藤 いとう 博明 ひろあき 「ルネサンスにおけるタロットの創出 そうしゅつ ―「マンテーニャのタロット」をめぐって」。
今野 こんの 喜和 きわ 人 じん 「フランスのタロティストたち―クール・ド・ジェブランからヴィルトまで」。
武内 たけうち 大 まさる 「エリファス・レヴィにおけるタロット占 うらな いの意義 いぎ 」。
江口 えぐち 之 の 隆 りゅう 「ライダー・ウェイト・スミス・タロット登場 とうじょう の背景 はいけい 」。
マギー・ハイド 著 ちょ 、鏡 かがみ リュウジ 訳 やく 「カードの女王 じょおう ―ホロスコープに見 み るパメラ・コールマン・スミスとライダー・ウェイト版 ばん タロット」。
メアリ・K・グリア 著 ちょ 、松田 まつだ 和也 かずや 訳 やく 「アベイ座 ざ のタロット・リーディング」。