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ダーウィン (探査たんさ機き)

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ダーウィン (英語えいご: Darwin) は、欧州おうしゅう宇宙うちゅう機関きかん (ESA) が提案ていあんしていた、4機きあるいは5機き、または8機き[1]の宇宙うちゅう機きを1つの観測かんそく機きとして太陽系たいようけい外がい地球ちきゅう型がた惑星わくせいの直接ちょくせつ検出けんしゅつ、および地球ちきゅう外がい生命せいめいの調査ちょうさを目的もくてきとした基礎きそ計画けいかくである。2015年ねん以降いこうの打うち上あげを予定よていしていた。2007年ねんに費用ひようが高たかすぎるとしてミッションは打うち切きられた[2]。

コンセプト[編集へんしゅう]

最新さいしんの設計せっけいでは編成へんせい飛行ひこうする口径こうけい3-4メートルの宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう(または集光器しゅうこうき)を搭載とうさいした子こ機きとなる3機きの宇宙うちゅう機き、及および親おや機きとなる1機きの宇宙うちゅう機きを1つの巨大きょだいな干渉かんしょう計けいとすることが考案こうあんされていた。遠とおくの惑星わくせいおよび星ほしからの光ひかりを受うけた子こ機きは、ビームコンバイナ、分光ぶんこう器き、アレイ干渉かんしょう計けい、および通信つうしんハブ機能きのうを備そなえた親おや機きにリダイレクトする機能きのうを有ゆうしていた。「ロビン・ローレンス設定せってい」と呼よばれる初期しょき設計せっけいにおいては、口径こうけい1.5メートルの宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう6機き、ビームコンバイナ宇宙うちゅう機きと電源でんげんを別べつとする通信つうしん用よう宇宙うちゅう機きの8機き構成こうせいとなっていた。しかし計画けいかくの検討けんとうは2007年ねんに「検討けんとう終了しゅうりょう」(Study ended) とされ[3]、以降いこうの活動かつどうは計画けいかくされていない[4]。仮かりに計画けいかくが続行ぞっこうしていたとしても、画像がぞうイメージの生成せいせいに各かく宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうが数すうマイクロメートル内ないの距離きょりを保たもった上うえでおよそ1ナノメートル以内いないで受信じゅしん制御せいぎょを行おこなう必要ひつようがあり[5]、この様ような精度せいどが技術ぎじゅつ的てきに実現じつげん可能かのうかどうかについてはさらなる検討けんとうが必要ひつようになっていたと思おもわれる[1]。

宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによる観測かんそくは電磁でんじスペクトルの赤外線せきがいせん領域りょういきを利用りようして行おこなう。太陽系たいようけい外がい惑星わくせいの研究けんきゅうにおいて超ちょう高こう分解能ぶんかいのう、いわゆるミリ秒びょうオーダーの赤外線せきがいせん画像がぞうを生成せいせいすることで、天体てんたい物理ぶつり学がくの様々さまざまな詳細しょうさい研究けんきゅうが可能かのうであったと考かんがえられている。

赤外線せきがいせん領域りょういきが選えらばれた理由りゆうとして、地球ちきゅう型がた惑星わくせいは可視かしスペクトル領域りょういきにおいて他ほかの10億おくの星ほしよりも輝かがやいていることによるが[6]、赤外線せきがいせんにおいてその差さは桁違けたちがいに小ちいさいものとなる。2000年ねん、ESAによれば赤外線せきがいせんによる観測かんそくを行おこなうためには（宇宙うちゅう空間くうかんの大気たいき環境かんきょうにより）宇宙うちゅう機きに搭載とうさいされた光学こうがく機器ききは40ケルビン(約やく-233度ど)まで受動じゅどう的てきに冷却れいきゃくされると報道ほうどうされた[6]。

惑星わくせいの調査ちょうさにはヌル干渉かんしょう計けいの使用しようが想定そうていされていたと考かんがえられる。これは3ビームの位相いそう変化へんかを利用りようすることで大おおきな干渉かんしょうを受うけた中心ちゅうしんの星ほしからの光ひかりは打うち消けされるが、周回しゅうかいしている惑星わくせいはわずかにずれが生しょうじるため打うち消けされることはない。この現象げんしょうによって星ほしからはるかに明あかるい光ひかりがあっても惑星わくせいの検出けんしゅつが可能かのうとなる。

惑星わくせいの探知たんちを行おこなうために、宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうはイメージングモードで運用うんようを行おこなう。地球ちきゅう型がた惑星わくせいの検出けんしゅつには数カ月すうかげつでおよそ10時じ間あいだ分ぶんの観測かんそくが必要ひつようとなると考かんがえられている。2002年ねんに設計せっけいされた口径こうけい1.5メートルの宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうの場合ばあい、地球ちきゅう型がた惑星わくせいのスペクトルを得えるためにおよそ100時じ間あいだの観測かんそく時間じかんが必要ひつようになると考かんがえられていた[7]。

ダーウィン探査たんさ機きが生命せいめい活動かつどうに適てきした惑星わくせいを発見はっけんできていれば赤外線せきがいせんスペクトルを分析ぶんせきすることで大気たいきの詳細しょうさいについて研究けんきゅうされていたと考かんがえられる。スペクトルを分析ぶんせきすることで大気たいき組成そせいを決定けっていすることが出来できた場合ばあい、それは地球ちきゅう外がい生命せいめいの存在そんざいする証拠しょうことなる可能かのう性せいがある。これは酸素さんそは反応はんのう性せいが非常ひじょうに高たかいため、仮かりに大気たいき中なかに高こう濃度のうどの酸素さんそが存在そんざいした場合ばあい、光合成こうごうせいの様ような常つねに酸素さんそを生成せいせいするプロセスが必要ひつようになるからであり、大気たいき中ちゅうの大だい素もとと水蒸気すいじょうきの存在そんざいは地球ちきゅう外がい生命せいめいの証拠しょうことなり得えるからである。

酸素さんそのみの存在そんざいは生命せいめいの証拠しょうこにはなり得えない。木星もくせいの月つきの1つである衛星えいせいエウロパの場合ばあい、水分すいぶん子この放射線ほうしゃせん分解ぶんかいによって生成せいせいされる大気たいき中ちゅうの酸素さんそ濃度のうどは希薄きはくである。数値すうちシミュレーション上じょうでは適切てきせつな条件下じょうけんかにおいて二酸化炭素にさんかたんその光ひかり分解ぶんかいから酸素さんそを生成せいせいすることは可能かのうと示しめされている。水蒸気すいじょうきと二酸化炭素にさんかたんその光ひかり分解ぶんかいは水酸化物すいさんかぶつイオンと原子げんし状じょうの酸素さんそをそれぞれ生成せいせいした後のち、宇宙うちゅう空間くうかんに水素すいそが放出ほうしゅつされることで低てい濃度のうどの酸素さんそを生成せいせいする。 水みず(H2O)の光ひかり分解ぶんかいが高こう高度こうどで行おこなわれて酸素さんそ(O2)が生成せいせいされ、効率こうりつ的てきにオゾン(O3)に衝突しょうとつすると、オゾンが蓄積ちくせきされる代かわりに水素すいそイオン(H+)、水酸化物すいさんかぶつイオン(OH-)、水みず(H2O)の様ような水素すいそ化合かごう物ぶつが生成せいせいされる。大気たいき中ちゅうのオゾン(O3)が高こう濃度のうどである場合ばあいに酸素さんそが生成せいせいされるためには、生物せいぶつ学がく的てきな光合成こうごうせいのような反応はんのうが低てい高度こうどで行おこなわれることが唯一ゆいいつの方法ほうほうであり、それはまた少量しょうりょうの水みず(水蒸気すいじょうき)が紫外線しがいせんのある高こう高度こうどに到達とうたつすることを意味いみする。

大気たいき中ちゅうにオゾン、水みず、そして二酸化炭素にさんかたんそが同時どうじに存在そんざいすることが、地球ちきゅう型がた惑星わくせいでの生命せいめいの痕跡こんせきを示しめすものとして信頼しんらい性せいが高たかいものであり、ダーウィン探査たんさ機きはこれらの大気たいき成分せいぶんを検出けんしゅつ出来できただろうと考かんがえられている[7]。

探査たんさ候補こうほとなっていた惑星わくせい[編集へんしゅう]

2007年ねんに発見はっけんされた惑星わくせいグリーゼ581dはダーウィン計画けいかくの候補こうほと考かんがえられていた。ハビタブルゾーン内うちを周回しゅうかいするこの惑星わくせいは地球ちきゅう外がい生命せいめいの存在そんざいを推測すいそくしていた[8]。（2014年ねんの研究けんきゅうにより惑星わくせいの存在そんざいが疑問ぎもん視しされたが[9][10][11]、2015年ねんに再ふたたび存在そんざいの可能かのう性せいが指摘してきされている[12]）

同様どうようの取とり組くみ[編集へんしゅう]

NASAの地球ちきゅう型がた惑星わくせい探査たんさ計画けいかくであるTerrestrial Planet Finder(TPF)は干渉かんしょう計けいを使用しようするものでダーウィン計画けいかく[13]とコンセプト上じょうでも科学かがく目的もくてきにおいても類似るいじしていたが、2006年ねん2月がつ6日にちに行おこなわれた2007年ねんの予算よさん報告ほうこく[14]において無む期限きげんに延期えんきとなり[15]、2011年ねん6月がつに計画けいかくの中止ちゅうしが報告ほうこくされた。 en:Antoine Labeyrieは、個々ここの宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうを球面きゅうめん配置はいちし干渉かんしょうイメージングに重点じゅうてんを置おいた、より大型おおがたの天文てんもん干渉かんしょう計けいを利用りようするハイパーテレスコープというダーウィン計画けいかくに類似るいじした計画けいかくを提案ていあんしたが、ダーウィン計画けいかくやTPF計画けいかくより大おおきくまた多おおくの編成へんせいされた宇宙うちゅう機きを用もちいるためより複雑ふくざつとなり、予算よさんもはるかに高額こうがくな計画けいかくとなっている。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b “Darwin: study ended, no further activities planned”. European Space Agency (2009年ねん10月がつ23日にち). 2009年ねん10月がつ27日にち閲覧えつらん。
  2. ^ “宇宙うちゅう開発かいはつ技術ぎじゅつは、山積さんせきする地球ちきゅう上じょうの問題もんだいを解決かいけつする”. WIRED.jp. 2021年ねん1月がつ23日にち閲覧えつらん。
  3. ^ “Darwin factsheet: Finding Earth-like planets”. European Space Agency (2009年ねん10月がつ23日にち). 2008年ねん5月がつ13日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2009年ねん10月がつ27日にち閲覧えつらん。
  4. ^ “Darwin overview”. ESA. 2010年ねん1月がつ12日にち閲覧えつらん。
  5. ^ Penny, Alan J (1999年ねん7月がつ27日にち). “A concept for the `Free-Flyer' version.”. Rutherford Appleton Laboratory. 2005年ねん10月がつ28日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2009年ねん10月がつ30日にち閲覧えつらん。
  6. ^ a b Fridlund, CVM (2000年ねん8月がつ). “ESA Bulletin 103: Darwin: The Infrared Space Interferometry Mission” (PDF). ESA. 2016年ねん11月7日にち閲覧えつらん。
  7. ^ a b Karlsson, Anders (2002年ねん4月がつ). “Darwin: The Infrared Space Interferometer” (GIF). Alcatel. 2005年ねん10月がつ28日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2009年ねん10月がつ30日にち閲覧えつらん。
  8. ^ Science Daily: Extrasolar planet may indeed be habitable
  9. ^ Robertson, Paul; Mahadevan, Suvrath; Endl, Michael; Roy, Arpita (3 July 2014). “Stellar activity masquerading as planets in the habitable zone of the M dwarf Gliese 581”. Science 345: 440–444. arXiv:1407.1049. Bibcode: 2014Sci...345..440R. doi:10.1126/science.1253253. http://www.sciencemag.org/content/early/2014/07/02/science.1253253.abstract 2014年ねん7月がつ8日にち閲覧えつらん。. 
  10. ^ Quenqua, Douglas (2014年ねん7月がつ7日にち). “Earthlike Planets May Be Merely an Illusion”. New York Times. https://www.nytimes.com/2014/07/08/science/earthlike-planets-may-be-merely-an-illusion.html 2014年ねん7月がつ8日にち閲覧えつらん。 
  11. ^ “New doubt cast on 2 of the most Earth-like planets ever found”. CBC News. http://www.cbc.ca/news/technology/earth-like-planets-gliese-581-g-and-d-likely-don-t-exist-study-says-1.2696945 2017年ねん1月がつ7日にち閲覧えつらん。 
  12. ^ “Reanalysis of data suggests ‘habitable’ planet GJ 581d really could exist”. Astronomy Now. (2015年ねん3月がつ9日にち). http://astronomynow.com/2015/03/09/reanalysis-of-data-suggests-habitable-planet-gj581d-really-does-exist/ 2015年ねん5月がつ27日にち閲覧えつらん。 
  13. ^ von Bloh, W.; Bounama, C.; Cuntz, M.; Franck, S. (2007). “The Habitability of Super-Earths in Gliese 581”. Astronomy & Astrophysics 476 (3): 1365–1371. arXiv:0705.3758. Bibcode: 2007A&A...476.1365V. doi:10.1051/0004-6361:20077939. 
  14. ^ “NASA budget statement”. Planetary Society (2006年ねん2月がつ6日にち). 2006年ねん7月がつ17日にち閲覧えつらん。
  15. ^ NASA President's FY 2007 Budget Request

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