地球ちきゅうがい生命せいめい

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天文学てんもんがくじょう解決かいけつ問題もんだい
地球ちきゅうがい生命せいめい存在そんざいするか。
地球ちきゅうがい生命せいめい探査たんさ
活動かつどう領域りょういき稼働かどう区域くいきおおきくことなる3つのれいげる。
1. 宇宙うちゅう空間くうかん航行こうこうしながら太陽系たいようけいがい惑星わくせい探査たんさつづける宇宙うちゅう探査たんさ画像がぞう探査たんさケプラー
2. 宇宙うちゅう文明ぶんめいからの電波でんぱ地球ちきゅうじょう受信じゅしんすべくSETIおこな電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう画像がぞうアレン・テレスコープ・アレイ
3. 地球ちきゅう以外いがい太陽系たいようけいうち惑星わくせい着陸ちゃくりくして地上ちじょう探査たんさする探査たんさしゃ画像がぞう火星かせい探査たんさするマーズ・サイエンス・ラボラトリー探査たんさしゃキュリオシティ (en)。

地球ちきゅうがい生命せいめいちきゅうがい せいめいとは、地球ちきゅう以外いがい惑星わくせい宇宙うちゅう空間くうかんなど、地球ちきゅう大気圏たいきけんそと生存せいぞんしている(またはそこ由来ゆらいの)生命せいめいをいう[1][2]地球ちきゅうがい生命せいめいたいちきゅうがいせいめいたい地球ちきゅうがい生物せいぶつちきゅうがいせいぶつともいう。

知能ちのう高低こうていわず、知的ちてき生命せいめいでないものもふく[1]。また、大気圏たいきけんがいにあって生存せいぞんしてはいても地球ちきゅう由来ゆらい生物せいぶつ宇宙うちゅう飛行ひこう宇宙船うちゅうせんうち実験じっけんよう生物せいぶつ)はこれをふくまない[1]

英語えいご事実じじつじょう国際こくさい共通きょうつう)では、"extraterrestrial日本語にほんごおとうつしれい:エクストゥラティレストゥリアル、日本語にほんご慣習かんしゅうみ:エクストラ テレストリアル)" [3]、"extraterrestrial being" [3]、"extraterrestrial biological entity" [3]、"extraterrestrial life" [3]等々とうとう様々さまざま名称めいしょうもちいられるが、日本語にほんごの「生命せいめい」「生命せいめいたい」「生物せいぶつ」のもつ語意ごいのようなものがそれぞれにことなるのと同様どうようすこしずつニュアンスがことなる。ET(イーティー)という略語りゃくご頻用ひんようされるが、これは extra-terrestrial の頭字かしらじである[3]EBE(イーバ)も略語りゃくごで、こちらは extraterrestrial biological entity の頭字かしらじ[3]。また、それが知能ちのうひくくないほしじんヒト相似そうじする、ほし知的ちてき生命せいめい)であれば、"alien life" ともいう。

概要がいよう[編集へんしゅう]

1967ねんソビエト連邦れんぽう発行はっこうした16カペイカ切手きっては、ほしじん宇宙船うちゅうせん画題がだいとしためずらしいもの。当時とうじソ連それんではこのようなテーマがはやされており、これは切手きってバージョンといったところ。

1970年代ねんだいから天文学てんもんがくしゃおも電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょうもちいて地球ちきゅうがい知的ちてき生命せいめい活動かつどう兆候ちょうこう探索たんさくしているが、いまだに地球ちきゅうがい生命せいめいたい存在そんざい確認かくにんされていない。

1787ねんころ、イタリア神父しんぷ博物はくぶつ学者がくしゃラザロ・スパランツァーニが、「そもそも地球ちきゅう生命せいめい地球ちきゅうがいからた」とするせつとなえていた。生命せいめい起源きげん地球ちきゅうがいにあるとするせつは「パンスペルミアせつ」というが、こうしたせつ仮説かせつ)は、DNAじゅうらせん構造こうぞう発見はっけんしたフランシス・クリック表明ひょうめいしている[4][5]

じゅうきゅう世紀せいき観測かんそく[編集へんしゅう]

アメリカ天文学てんもんがくしゃパーシヴァル・ローウェル(1855-1916ねん)は、火星かせい観測かんそくした結果けっか、その表面ひょうめんに「運河うんが」などの人工じんこうてき建造けんぞうぶつえる巨大きょだい構造こうぞうがあるとしんじ、火星かせい文明ぶんめい存在そんざいする証拠しょうこだと著作ちょさくべた。サイエンス・フィクション分野ぶんやでは火星かせいタコじょうイカじょう)の生命せいめいたい(たこがた火星かせいじん)がさかんにえがかれたが、これはイギリス作家さっかH・G・ウェルズが1898ねん発表はっぴょうしたSF小説しょうせつ宇宙うちゅう戦争せんそう』によるイメージの定着ていちゃく発端ほったんであるとされる。

1959ねん、イタリアの物理ぶつり学者がくしゃジュゼッペ・コッコーニ英語えいごばんとアメリカの物理ぶつり学者がくしゃフィリップ・モリソンが、地球ちきゅうがい生命せいめい言及げんきゅうする論文ろんぶん学術がくじゅつはじめて発表はっぴょうし(※は『ネイチャー』)、「地球ちきゅうがい文明ぶんめい社会しゃかい存在そんざいすれば、我々われわれすでにその文明ぶんめい通信つうしんするだけの技術ぎじゅつてき能力のうりょくっている」と指摘してきした。また、「その通信つうしん電波でんぱおこなわれるだろう」と推論すいろんした。この論文ろんぶん自然しぜん科学かがくしゃらに衝撃しょうげきあたえ、一般人いっぱんじん知的ちてき生命せいめいたいがこの宇宙うちゅう存在そんざいする可能かのうせいについてだい真面目まじめかたり、様々さまざま憶測おくそく様々さまざま空想くうそうかたられるようになっていた。

1960ねんにはフランク・ドレイクオズマ計画けいかく着手ちゃくしゅした。

ドレイクの方程式ほうていしき[編集へんしゅう]

1961ねんアメリカ天文学てんもんがくしゃフランク・ドレイクドレイクの方程式ほうていしきしめし、画期的かっきてきなことに、可能かのうせいかくりつについて具体ぐたいてき数値すうちろんずることを可能かのうにした。我々われわれ銀河系ぎんがけい存在そんざいする通信つうしん可能かのう地球ちきゅうがい文明ぶんめいかずかりに「N」とあらわすとするならば、そのNはつぎしきあらわせる、とべたのである。


ただし、かく変数へんすう下記かきとおりである。

変数へんすう 定義ていぎ
人類じんるいがいる銀河系ぎんがけいなかで1年間ねんかん誕生たんじょうするほし恒星こうせい)のかず
ひとつの恒星こうせい惑星わくせいけい割合わりあいかくりつ
ひとつの恒星こうせいけいつ、生命せいめい存在そんざい可能かのうとなる状態じょうたい惑星わくせい平均へいきんすう
生命せいめい存在そんざい可能かのうとなる状態じょうたい惑星わくせいにおいて、生命せいめい実際じっさい発生はっせいする割合わりあいかくりつ
発生はっせいした生命せいめい知的ちてきなレベルまで進化しんかする割合わりあいかくりつ
知的ちてきなレベルになった生命せいめいたいほしあいだ通信つうしんおこな割合わりあい
知的ちてき生命せいめいたいによる技術ぎじゅつ文明ぶんめい通信つうしんをする状態じょうたいにある期間きかん技術ぎじゅつ文明ぶんめい存続そんぞく期間きかん

1961ねんにこのしき発表はっぴょうしたとき、ドレイクはかくかんする推測すいそくあわせてしめし、


計算けいさんしてみせた。つまりそうした文明ぶんめいかずを10だと推定すいていしてみせたのである。これがまた自然しぜん科学かがくしゃらにおおきな衝撃しょうげきあたえた。SFに登場とうじょうする「タコじょう火星かせいじん」などのイメージの影響えいきょう悪影響あくえいきょう)で、地球ちきゅうがい生命せいめいあたまごなしに否定ひていしていた自然しぜん科学かがくしゃでも、この理詰りづめのしきせられて、自分じぶんたちがおもっていた以上いじょう存在そんざい可能かのうせいがあるのかもれない、とりあえず調しらべてみる価値かちはあるのかもれない、論理ろんりてきかんがえても存在そんざい可能かのうせい期待きたいしてもよいのかもれない、とかんがえるようになったのである。このドレイクのしき説得せっとくりょくが、賛同さんどうしゃやし、地球ちきゅうがい生命せいめい探索たんさくのための政府せいふ予算よさんむことにつながった。

生命せいめい起源きげんかんするパンスペルミアせつでは、そもそも宇宙うちゅうには生命せいめいたねちており、宇宙うちゅうのあちこちで生命せいめい誕生たんじょうしている、とかんがえている。

太陽系たいようけいない[編集へんしゅう]

太陽系たいようけいない知的ちてき生命せいめいへの期待きたい観測かんそく探査たんさ[編集へんしゅう]

ジョヴァンニ・スキアパレッリ火星かせい観測かんそくかんする論文ろんぶん発表はっぴょうされた時代じだい(1879ねん、1881ねん)から[6]今日きょういたながきにわたって、地球ちきゅう以外いがい太陽系たいようけいない惑星わくせいにも生命せいめい存在そんざいする(あるいは、存在そんざいした)のではないかとの推測すいそくえたことはない[6]温度おんど大気たいき組成そせい引力いんりょくおおきさなどを考慮こうりょしたところ、とく生命せいめいたいんでいる可能かのうせいたかいとかんがえられていたのが火星かせいであった。「火星かせい知的ちてき生命せいめいんでいて地球ちきゅうにまでやってくる」といったストーリーのSF作品さくひんさかんにつくられた。

ローウェルえがいた火星かせいの“運河うんが

火星かせい観測かんそくした天文学てんもんがくしゃパーシヴァル・ローウェル(1855-1916ねん)は、スキアパレッリがイタリアで "canali"(※『運河うんが』のもあるが、ここでは自然しぜん地形ちけいとしての『みぞ』の)とんだ地表ちひょうめん直線ちょくせんてき地形ちけい英語えいごで "canal"(運河うんが)と解釈かいしゃく[6]、「人面じんめんがん」など人工じんこう建造けんぞうぶつえる巨大きょだい構造こうぞうたいがあるのにも気付きづき、これらがスキアパレッリのうような自然しぜん地形ちけいではなく人工じんこうぶつちがいないとの認識にんしきした[6]文明ぶんめい存在そんざいしめすものであろうとのせつを、1894ねんにボストン科学かがくソサエティでおこなった講演こうえんはじめてうた[6]いで、1895ねん自著じちょ "Mars "(かずだい火星かせい[7]、1906ねん自著じちょ "Mars and Its Canals " [8]、1908ねん自著じちょ "Mars As the Abode of Life "(かずだい火星かせい 生命せいめいのすみか[6][9]にもしるした[6][ちゅう 1]。しかしながら、後世こうせいおこなわれたマリナー計画けいかく(1962-1973ねん)による探査たんさ研究けんきゅうにより[6]、パーシヴァルのていたものが自然しぜん地形ちけいであった事実じじつ判明はんめい[6]火星かせい人工じんこうぶつせつめぐ論争ろんそう完全かんぜん否定ひていされるかたち決着けっちゃくした[6]知的ちてき生命せいめい火星かせいでの現生げんなま確認かくにんできず、パーシヴァルが指摘してきした文明ぶんめい痕跡こんせき否定ひていされたことから、太陽系たいようけいないにおける地球人ちきゅうじん以外いがい知的ちてき生命せいめい存在そんざい可能かのうせいかぎりなくひくいと做されるようになった。

地球ちきゅうにもねつすい噴出ふんしゅつあな付近ふきんなど、摂氏せっし400え、太陽光たいようあきらとどかない過酷かこく環境かんきょうでも生物せいぶつきているという事実じじつから、エウロパなど宇宙うちゅうほし々にも、微生物びせいぶつなどの地球ちきゅうがい生命せいめい存在そんざいするのではとかたNASA研究けんきゅうしゃもいる[10]

太陽系たいようけいない原始げんしてき生命せいめい[編集へんしゅう]

アラン・ヒルズ84001からつかった生命せいめい痕跡こんせきとされる構造こうぞう

火星かせい知的ちてき生命せいめいはいないにしても、原始げんしてき生命せいめいかんしては、火星かせいはかつて大気たいき液体えきたいみずっていたとかんがえられている(その証拠しょうことされるものがつかっている)ので、生命せいめい発生はっせいしていた可能かのうせいもある、とかんがえられている。

1970年代ねんだいNASAおくんだ火星かせい探査たんさバイキング1ごうおよび2ごう火星かせい表土ひょうどのサンプルを採取さいしゅし、そこに生命せいめい活動かつどう兆候ちょうこうられるか確認かくにんする試験しけんおこなったが、結果けっか生命せいめい存在そんざい肯定こうていするものではなかった。

1996ねんにギブソンらがおこなった報告ほうこくでは、火星かせい由来ゆらい隕石いんせき化石かせきじょう構造こうぞうみとめられ、生命せいめい痕跡こんせきかんがえられるとしている。ただしこの見解けんかい統一とういつ見解けんかいにはいたらず、論争ろんそうまとになっている(詳細しょうさいアラン・ヒルズ84001参照さんしょう)。

2003ねんESA火星かせいおくんだビーグル2ごうはバイキング以来いらいはじめての生命せいめい探査たんさ目的もくてきとした着陸ちゃくりくだったが、大気圏たいきけん突入とつにゅう交信こうしん途絶とだえて失敗しっぱいわった。

火星かせい以外いがいでは、木星もくせい衛星えいせいであるエウロパガニメデ土星どせい衛星えいせいであるエンケラドゥスなどが、原始げんしてき生命せいめいがいる候補こうほとして注目ちゅうもくされている。これらの天体てんたいおもこおり岩石がんせきから出来できているが、地下ちかには液体えきたいみずそう存在そんざいしているのではないかとかんがえられている。水中すいちゅうにはバクテリアがいるかもしれない。また、土星どせい衛星えいせいタイタンも、あつ大気圏たいきけんち、表面ひょうめん液体えきたい炭化たんか水素すいそ存在そんざいしていることなどから、生命せいめい存在そんざいする天体てんたい候補こうほげられている。

太陽系たいようけいがい[編集へんしゅう]

原始げんしてき生命せいめいかんしては太陽系たいようけいないでの探索たんさくつづけられているが、知的ちてき生命せいめいかんしては太陽系たいようけいないのぞうす判断はんだんされるようになり、太陽系たいようけいがいでの探索たんさくつづけられている。

ケプラー442b想像そうぞう)と地球ちきゅう比較ひかく

NASAなどによって地球ちきゅうがい知的ちてき生命せいめいたいがいるのかどうかの探査たんさ地球ちきゅうがい知的ちてき生命せいめいたい探査たんさ頭字かしらじ:SETI)がおこなわれている。現在げんざいおこなわれている探査たんさ研究けんきゅう活動かつどうはいくつかの手法しゅほうがある。ひとつは、宇宙うちゅう空間くうかんつうじてやってくる電波でんぱのパターンを受信じゅしん解析かいせきすることで地球ちきゅうがい知的ちてき存在そんざい活動かつどう発見はっけんしようというこころみである。とくちかほししぼんでおこな手法しゅほうもある。手法しゅほうとしては、地球ちきゅうからちか恒星こうせいなかから、生命せいめいまれる可能かのうせいがありそうな惑星わくせいつものをつけ、その惑星わくせいたいして電波でんぱをこちらから送信そうしんしてやり、反応はんのうがあるかどうか調しらべる、という方法ほうほうである。地球ちきゅうもっとちか恒星こうせい惑星わくせいぐんなかには、地球ちきゅうから(わずか)すう光年こうねんすうじゅう光年こうねん程度ていど距離きょりにあるものもあるので、実験じっけんとして現実げんじつてき年数ねんすうあいだ生命せいめいからの反応はんのう返信へんしんられるかもれないという期待きたいとともに探査たんさおこなわれている。受信じゅしん方式ほうしき探査たんさを「パッシブ」、送信そうしん方式ほうしき探査たんさを「アクティブ」とんでいる。

ケプラー442b
ハビタブルゾーン生命せいめい居住きょじゅう可能かのう領域りょういきない惑星わくせい存在そんざいする可能かのうせいたかく、生命せいめい存在そんざいすることが期待きたいされている太陽系たいようけいがい惑星わくせい

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 2020ねんころでも同様どうようせつが、ちょうつね現象げんしょうあつか雑誌ざっしWebとなえられた。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 小学館しょうがくかん『デジタル大辞泉だいじせん』. “地球ちきゅうがい生命せいめい”. コトバンク. 2020ねん4がつ1にち閲覧えつらん
  2. ^ 横尾よこお広光ひろみつ (cf. researchmap)、小学しょうがくかん日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)』. “地球ちきゅうがい生命せいめい”. コトバンク. 2020ねん4がつ1にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f Extra-Terrestrial”. えいろう on the WEB. アルク. 2020ねん4がつ1にち閲覧えつらん
  4. ^ Crick 1981.
  5. ^ クリック 2005.
  6. ^ a b c d e f g h i j ナショナルジオグラフィック 2016ねん11月23にち p. 2
  7. ^ Lowell 1895.
  8. ^ Lowell 1906.
  9. ^ Lowell 1909.
  10. ^ 深海しんかいエビ、地球ちきゅうがい生命せいめいたいかぎにぎる? NASA研究けんきゅう. 日本にっぽんばんCNN (CNN). (2014ねん11月24にち). http://www.cnn.co.jp/fringe/35056956.html 2014ねん12月12にち閲覧えつらん 

文献ぶんけん一覧いちらん[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

内部ないぶリンク[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]