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TRAPPIST-1d

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
TRAPPIST-1d
TRAPPIST-1dの想像図 (2017年2月時点の観測データに基づいたもの)
TRAPPIST-1dの想像そうぞう
(2017ねん2がつ時点じてん観測かんそくデータにもとづいたもの)
星座せいざ みずがめ
分類ぶんるい 太陽系たいようけいがい惑星わくせい
岩石がんせき惑星わくせい
軌道きどう種類しゅるい 周回しゅうかい軌道きどう
発見はっけん
発見はっけんねん 2016ねん[1]
発見はっけんしゃ TRAPPIST
発見はっけん方法ほうほう トランジットほう
軌道きどう要素ようそ性質せいしつ
軌道きどうちょう半径はんけい (a) 0.02228038 ± 0.00000044 au[2]
(3,333,144 ± 66 km)
はなれしんりつ (e) 0.00837 ± 0.00093[2]
公転こうてん周期しゅうき (P) 4.049959 ± 0.000078 [3]
軌道きどう傾斜けいしゃかく (i) 89.75 ± 0.16°[4]
きんてん引数ひきすう (ωおめが) -8.73 ± 6.17°[2]
のぼり交点こうてんけい (Ωおめが) 173.92 ± 6.17°[2]
通過つうか時刻じこく 7670.14227 ± 0.00026 BJD[3]
TRAPPIST-1[1]惑星わくせい
位置いち
もと:J2000.0
あかけい (RA, αあるふぁ)  23h 06m 29.36s[5]
あかぬき (Dec, δでるた) −05° 02′ 29.2″[5]
固有こゆう運動うんどう (μみゅー) あかけい: 922.1 ミリびょう/とし[5]
あかぬき: -471.9 ± 1.8 ミリびょう/とし[5]
距離きょり 39.4 ± 1.3 光年こうねん
(12.1 ± 0.4 パーセク[1]
物理ぶつりてき性質せいしつ
直径ちょっけい 9,850 km
半径はんけい 0.784 ± 0.023 R[2]
表面積ひょうめんせき 3.135×108 km2
体積たいせき 5.220×1011 km3
質量しつりょう 0.297+0.039
−0.035
M[2]
平均へいきん密度みつど 0.616+0.067
−0.062
ρろー[2]
(3,397+369
−342
kg/m3
表面ひょうめん重力じゅうりょく 0.483+0.052
−0.048
g[2]
(4.73+0.51
−0.47
m/s2
表面ひょうめん温度おんど 282.1 ± 4.0 K[3]
年齢ねんれい 30 - 80おくねん[6]
大気たいきあつ 不明ふめい
カタログでの名称めいしょう
K2-112 d
2MASS J23062928-0502285 d[7]
Template (ノート 解説かいせつ■Project

TRAPPIST-1d地球ちきゅうからみずがめ方向ほうこうに39.4光年こうねんはなれた位置いちにある赤色あかいろ矮星TRAPPIST-1ハビタブルゾーン内側うちがわ付近ふきん公転こうてんしている岩石がんせきしつ太陽系たいようけいがい惑星わくせいである。

2016ねんTRAPPISTによってトランジットほうでb・cととも発見はっけんされたと報告ほうこくされた[8][9]が、複数ふくすう惑星わくせい観測かんそくデータが混在こんざいしていた。現在げんざい「TRAPPIST-1d」とばれている惑星わくせいは、同年どうねんスピッツァー宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう観測かんそくもとづき2017ねん発表はっぴょうされたものである。

おおきさの比較ひかく
地球ちきゅう TRAPPIST-1d
地球 Exoplanet


発見はっけん

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当時とうじ推測すいそくもとづきえがかれた、TRAPPIST-1dの地表ちひょう想像そうぞう

ベルギーリエージュ大学だいがく天文てんもん物理ぶつり地質ちしつ研究所けんきゅうじょのマイケル・ギロンをはじめとする天文学てんもんがくしゃチームはチリアタカマ砂漠さばくラ・シヤ天文台てんもんだいにあるTRAPPIST望遠鏡ぼうえんきょう(Transiting Planets and Planetesimals Small Telescope)[10]もちいて恒星こうせいTRAPPIST-1を観測かんそくし、周回しゅうかいする惑星わくせいさがした。トランジットほうもちいることにより、3つの地球ちきゅうがた惑星わくせい発見はっけんした。チームは2015ねん12月から観測かんそくはじめ、ネイチャー2016ねん5がつごうに、その調査ちょうさ結果けっか発表はっぴょうした[4][10]

しかし、不連続ふれんぞく観測かんそくにより72.82にちはなれた2かいのトランジットしか観測かんそくできなかったため、公転こうてん周期しゅうきは72.82にちの1・2・3・4・5・6・7・8・9・14・16ぶんの1のどれかとしか推定すいていできなかった。つまり、4.551にち、5.200にち、8.090にち、9.101にち、10.401にち、12.135にち、14.561にち、18.202にち最適さいてき)、24.270にち、36.408にち、72.820にちの11とおりがかんがえられていた[8]。2かいのトランジットがべつ惑星わくせいである可能かのうせい考慮こうりょされたものの、ライトカーブの類似るいじから、同一どういつ惑星わくせい推定すいていされた。

その、2016ねん9がつ19にちからのスピッツァー宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによる観測かんそくによって、d、efghの5つの惑星わくせい特定とくていされ、2017ねん2がつ22にち発表はっぴょうされた[4]

TRAPPISTで発見はっけんされていた「d」は、どのしん惑星わくせいとも一致いっちしていないが、それは、2惑星わくせい(dではない)のトランジットを、おな惑星わくせいの2かいのトランジットと誤認ごにんしたためであった[4]。ただし、TRAPPISTや先行せんこう観測かんそく検出けんしゅつしていた、当時とうじはトランジットと断定だんていできなかったげんこうが、d・e・f・gのものと特定とくていされた。dのものはTRAPPISTで3かいウィリアム・ハーシェル望遠鏡ぼうえんきょうで1かい観測かんそくされていた[4]

特徴とくちょう

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物性ぶっせい

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TRAPPIST-1dは地球ちきゅうの0.784ばい半径はんけいちいさな地球ちきゅうがた惑星わくせいである[2]。これは地球ちきゅう火星かせいなかあいだほどのおおきさであり、TRAPPIST-1けいなかでは、TRAPPIST-1hいで2番目ばんめちいさい。

質量しつりょうは、現在げんざいのdが特定とくていされた2017ねん2がつ発表はっぴょうでは地球ちきゅうの0.41ばいとされた[4]が、2018ねん2がつ発表はっぴょうされた観測かんそく結果けっかにより、現在げんざいは0.297ばい前後ぜんこうというになっている[2]。TRAPPIST-1けいなかでは、もっと質量しつりょうちいさい[11]。また、これまで質量しつりょう誤差ごさおおきかったため、詳細しょうさいもとめられなかった密度みつど表面ひょうめん重力じゅうりょく詳細しょうさいもとめられ、TRAPPIST-1dは地球ちきゅうの0.616ばい密度みつどち、表面ひょうめん重力じゅうりょくつよさは地球ちきゅうの0.483ばいであること判明はんめいした[2]

TRAPPISTにもとづく2016ねん発表はっぴょうでは、半径はんけいは1.17ばいとされていたが[8]、これは実際じっさいはdではなく、eとg(半径はんけい1.15ばいと0.90ばい)がざった観測かんそくもとづく数値すうちである。さらに質量しつりょうも1.60ばい推測すいそくされたが[12]、これも実際じっさいのdをあらわすものではない。

軌道きどう要素ようそ居住きょじゅう可能かのうせい

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TRAPPIST-1dはやく4.05にち周期しゅうきで、しゅほしからやく0.0223au(やく333まんkm)はなれた軌道きどう公転こうてんしている。これは太陽系たいようけいもっと太陽たいようちか惑星わくせいである水星すいせいまでの距離きょり(0.387au[13])のやく18ぶんの1しかない。しかし、しゅほしTRAPPIST-1が木星もくせいクラスのサイズを非常ひじょう小型こがた恒星こうせいのため、この軌道きどうはTRAPPIST-1のハビタブルゾーンうち位置いちしている可能かのうせいがある。表面ひょうめん温度おんどは282K(9℃)で、地球ちきゅうとほぼおなじとされており、また質量しつりょう密度みつどちいさいため、みずこおり大気たいきといった揮発きはつせい物質ぶっしつふくんでいる可能かのうせいがある[2][11]

TRAPPISTにもとづく2016ねん軌道きどう推定すいていあやまった仮定かていもとづいていたが、その最小さいしょう(≧0.022AUえーゆー)は偶然ぐうぜんにもただしいちかく、それにもとづき当時とうじから、最小さいしょうをとった場合ばあいにはハビタブルゾーンにはい可能かのうせい指摘してきされていた[9]

地球ちきゅうにどれだけ組成そせいているかをしめ地球ちきゅう類似るいじせい指標しひょう(ESI)のは2018ねん3がつ時点じてんの、既知きち太陽系たいようけいがい惑星わくせいではもっとたかい0.90である[14]

画像がぞう

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出典しゅってん

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  1. ^ a b c Planet TRAPPIST-1 d”. The Extrasolar Planet Encycloapedia. 2017ねん7がつ13にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j k l Grimm, Simon L.; Demory, Brice-Olivier; Gillon, Michael; Dorn, Caroline; Agol, Eric; Burdanov, Artem; Delrez, Laetitia; Sestovic, Marko; Triaud, Amaury H.M.J.; Turbet, Martin; Bolmont, Emeline; Caldas, Anthony; de Wit, Julien; Jehin, Emmanuel; Leconte, Jeremy; Raymond, Sean N.; Van Grootel, Valerie; Burgasser, Adam J.; Carey, Sean; Fabrycky, Daniel; Heng, Kevin; Hernandez, David M.; Ingalls, James G.; Lederer, Susan; Selsis, Franck; Queloz, Didier (5 February 2018). "The nature of the TRAPPIST-1 exoplanets". arXiv:1802.01377v1 [astro-ph.EP]。
  3. ^ a b c Delrez, Laetitia; Gillon, Michael; H.M.J, Amaury; Brice-Oliver Demory, Triaud; de Wit, Julien; Ingalls, James; Agol, Eric; Bolmont, Emeline; Burdanov, Artem; Burgasser, Adam J.; Carey, Sean J.; Jehin, Emmanuel; Leconte, Jeremy; Lederer, Susan; Queloz, Didier; Selsis, Franck; Grootel, Valerie Van (9 January 2018). "Early 2017 observations of TRAPPIST-1 with Spitzer". arXiv:1801.02554v1 [astro-ph.EP]。
  4. ^ a b c d e f Gillon, Michaël; Triaud, Amaury H. M. J.; Demory, Brice-Olivier; Jehin, Emmanuël; Agol, Eric; Deck, Katherine M.; Lederer, Susan M.; de Wit, Julien et al. (2017). “Seven temperate terrestrial planets around the nearby ultracool dwarf star TRAPPIST-1”. Nature 542 (7642): 456-460. doi:10.1038/nature21360. ISSN 0028-0836. http://www.eso.org/public/archives/releases/sciencepapers/eso1706/eso1706a.pdf. 
  5. ^ a b c d SIMBAD Astronomical Database”. Result for TRAPPIST-1d. 2017ねん7がつ13にち閲覧えつらん
  6. ^ Luger, Rodrigo; Sestovic, Marko; Kruse, Ethan; Grimm, Simon L.; Demory, Brice-Oliver; et al. (12 March 2017). "A terrestrial-sized exoplanet at the snow line of TRAPPIST-1". arXiv:1703.04166 [astro-ph.EP]。
  7. ^ TRAPPIST-1”. Open Exoplanet Catalogue. 2017ねん7がつ13にち閲覧えつらん
  8. ^ a b c Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star”. ヨーロッパ南天なんてん天文台てんもんだい (2016ねん5がつ2にち). 2017ねん7がつ13にち閲覧えつらん
  9. ^ a b ちょう低温ていおんの矮星のまわりに、生命せいめい存在そんざいしうる地球ちきゅうサイズの惑星わくせい3つを発見はっけん”. AstroArts (2016ねん5がつ9にち). 2017ねん7がつ13にち閲覧えつらん
  10. ^ a b Could these newly-discovered planets orbiting an ultracool dwarf host life?”. The Guardian (2016ねん5がつ2にち). 2017ねん7がつ13にち閲覧えつらん
  11. ^ a b TRAPPIST-1の惑星わくせい地球ちきゅう大気たいき大量たいりょうみず存在そんざい”. AstroArts. 2018ねん3がつ15にち閲覧えつらん
  12. ^ Janna K. Barstow; Patrick G. J. Irwin (7 June 2016). "Habitable worlds with JWST: transit spectroscopy of the TRAPPIST-1 system?". arXiv:1605.07352v2 [astro-ph.EP]。
  13. ^ Mercury fact sheet NASA
  14. ^ Habitable Exoplanets Catalog Planetary Habitability Laboratory
  15. ^ This Weird Planetary System Seems Like Something From Science Fiction”. NBC News. 2018ねん3がつ7にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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